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最近のノーベル賞に学ぶ,最近のノーベル賞に学ぶ,21世紀の神経科学21世紀の神経科学
大学院理学系研究科生物科学専攻大学院理学系研究科生物科学専攻生体情報学研究室生体情報学研究室
岡岡 良隆良隆
20042004年年ノーベル医学生理学賞、米の2氏にノーベル医学生理学賞、米の2氏に
嗅覚に関する研究嗅覚に関する研究
スウェーデンのカロリンスカ医科大学は4日、今年のノーベル医学生理学賞を、米コロンビア大のリチャード・アクセル教授(58)と、米フレッド・ハッチンソンがん研究センターのリンダ・バック博士(57)に贈ると発表した。においのセンサーである受容体の遺伝子を突き止め、動物の嗅覚(きゅうかく)システムを解明したことが評価された。賞金は1000万クローナ(約1億5000万円)で、両氏で折半する。授賞式は12月10日、ストックホルムで開かれる。花や料理のにおいは、においの分子が鼻の細胞の表面にある受容体に結びつき、神経を通して信号が脳に伝えられる。
両氏は様々なにおいの分子に応じた受容体をつくるために、多数の受容体遺伝子が存在していることを突き止め、91年に共同で論文を発表。嗅覚研究が大きく進展する基礎を築いた。両氏はまた、受容体から嗅覚の刺激が伝わる仕組みも、分子レベルから細胞間の関係まで詳しく解明した。これらの研究は、動物の行動に影響する化学物質フェロモンや、味覚の研究などにも結びついている。
〈リチャード・アクセル氏〉 ニューヨーク生まれ、58歳。70年ジョンズ・ホプキンス大で医学博士号を取得、78年コロンビア大教授に就任。84年からハワード・ヒューズ医学研究所研究員。83年から全米科学アカデミー会員。
〈リンダ・バック氏〉 米シアトル生まれ、57歳。80年テキサス大で博士号取得。84~91年ハワード・ヒューズ医学研究所研究員。ハーバード大医学部教授を経て、02年からフレッド・ハッチンソンがん研究センター研究員。03年から全米科学アカデミー会員。
神経細胞(ニューロン)の構造
脳(Brain) の構成要素
• 神経細胞(ニューロン)
• 神経膠細胞(グリア)
• 血管
他のニューロンから来た軸索
シナプス終末(終末ボタン)
樹状突起の枝
神経伝達物質を含むシナプス小胞
樹状突起
細胞体
細胞体
核
ゴルジ装置
リボソーム
他のニューロンから来た軸索
軸索
ミエリン鞘(オリゴデンドログリア)
ミトコンドリア
粗面小胞体
有髄繊維
ランヴィエ絞輪
神経細胞の電気信号
電極刺入
Threshold: 閾値Resting potential: 静止膜電位
活動電位
イオンポンプ イオンチャネル
イオンポンプ• 濃度勾配に逆らってイオンを能動輸送する• 新たなイオン濃度勾配を作る
イオンチャネル• 濃度勾配にしたがってイオンを拡散させる• 特定のイオンに対して選択的透過性を示す
イオンポンプとイオンチャネル
パッチクランプ法Neher & Sakmann, 1991年ノーベル医学生理学賞
軽く吸引する
ピペットと膜の間に強力なシールができる
強く吸引する
細胞質がピペット内とつながる
電極を引き戻す
小胞ができる
電極を引き戻す
膜の切れ端が癒合
する
細胞膜の外側が外を向く
細胞膜の内側が外を向く
空気中にさらす
脱分極
過分極膜電位
外側
内側
脱分極
過分極膜電位
外側
内側閉 開 閉
閉 開 閉不活性化
膜電位依存性Na+チャネルとK+チャネルの
機能的状態変化
Hodgkin & Huxley, 1963年ノーベル医学生理学賞
培養神経細胞からのパッチクランプ記録
electrode
脳スライスを使うとGnRH細胞を簡単
に見分けることができる
TN-GnRH neurons50μm
Telencephalon
Olfactory Bulb
IR-DIC image of TN-GnRH neurons
フィラメントボックス
プログラムキー
パラメータ表示部
デシケーター
プッシュボタン
ガラス電極作成器(プラー)
サウンドモニタ
パッチクランプアンプ コンピュータ
オシロスコープ
A/D D/A コンバータ
マニピュレータ
除振台
正立顕微鏡
マニピュレータ
近赤外線ビデオカメラ
ビデオモニタ
酸素・二酸化炭素混合ガス
プリンタ
電気刺激装置
パッチクランプ実験セット
2000年ノーベル
医学生理学賞
Arvid CarlssonEric KandelPaul Greengard
Kandelの業績
神経伝達物質を含むシナプス小胞
シナプスアクティブゾーン
セロトニン受容体
神経修飾ニューロン(セロトニンを含む)
感覚ニューロン(シナプス前要素)
伝達物質放出の促進
ジアシルグリセロール
cAMP
カルシウム
カルシウムチャネル
カルモジュリン
アデニル酸シクラーゼ
カリウムチャネル
運動ニューロン(シナプス後要素)
cAMP蛋白
質キナーゼ
蛋白質キナーゼC
カルシウムチャネル
アメフラシ
えら
外套膜サイフォン
アメフラシ
学習と記憶アメフラシのえら引き込め反射
2003年ノーベル化学賞に米国の2氏
スウェーデンの王立科学アカデミーは8日、03年のノーベル化学賞を、米ジョンズ・ホプキンス大のピーター・アグレ教授と、米ロックフェラー大学のロドリック・マキノン教授に贈ると発表した。業績は「生体細胞膜に存在する物質の通り道の研究」。授賞式は12月10日にストックホルムで開かれる。賞金は総額1000万クローナ(約1億4000万円)を受賞者で等分。自然科学系分野のノーベル賞は、昨年まで3年連続で日本人が受賞したが、今年は選ばれなかった。
生き物の体は水に満たされた多くの細胞からできている。水やさまざまの物質が細胞膜のどこを、どのように通って細胞に出入りするかは、長い間の関心事だった。
アグレ教授は88年、細胞膜に新しい膜たんぱく質を見つけた。さらに、この膜たんぱく質が水だけを通す穴(チャンネル)であることを突き止め、「アクアポリン」と名付けた。人も全身に存在しているこの穴によって、飲んだ水を吸収したり尿を作ったりできる。
また、水とともに細胞を出入りする分子やイオンも、神経や筋肉などの組織で細胞間の情報伝達にかかわっている。マキノン教授は98年、カリウムイオンが通るチャンネルの姿を原子レベルで解明することに成功。細胞膜チャンネルの構造や働きの研究に新しい道を開いた。水やイオンのチャンネルに起こる異常は、腎臓や心臓など多くの組織で病気の原因となる。2人の研究成果は、病気の理解や治療薬の開
発に役立っている。昨年、化学賞を受けた島津製作所フェローの田中耕一さんは「(昨年まで)3年連続の日本人受賞は単なる巡り合わせ。昨年以来、私より
けた違いに頑張っておられたり、成果を出しておられたりする方にたくさんお会いした。自信をもって進んでいってほしい」と、出張先のカナダからコメントを寄せた。01年に同賞を受賞した野依良治・理化学研究所理事長は「今回の化学賞授賞テーマは、従来の古典的な化学分野とは異なり、生物に近
い。(医学生理学賞も含め)今年の受賞者を見ると、学問に垣根はない、ということを象徴している」と話した。(10/09 00:37)
ピーター・アグレ氏 米国生まれ。米ジョンズ・ホプキンス大医学部で医学博士号取得。同大教授。54歳。
ロドリック・マキノン氏 米国生まれ。米タフツ大医学部で医学博士号取得。米ロックフェラー大ハワードヒューズ医学研究所の教授。47歳。
“イオンチャネル” “水チャネル”
アクアポリン(水チャネル)とイオンチャネル
Fig 1. The dividing wall between the cell and the outside world – including other cells – is far from being an impervious shell. On the contrary, it is perforated by various channels. Many of these are specially adapted to one specific ion or molecule and do not permit any other type to pass. Here to the left we see a water channel and to the right an ion channel.
Fig 2. Peter Agre’s experiment with cells containing or lacking aquaporin. The aquaporin is necessary for making the cell absorb water and swell.
アクアポリンとイオンチャネル
Kチャネルの三次元構造The Structure of the Potassium Channel: Molecular Basis of K+
Conduction and Selectivity
Declan A. Doyle, Joa˜ o Morais Cabral, Richard A. Pfuetzner, Anling Kuo,
Jacqueline M. Gulbis, Steven L. Cohen, Brian T. Chait, Roderick MacKinnon*SCIENCE VOL. 280 3 APRIL 1998
Ion conduction pore is conserved among
potassium channelsZhe Lu, Angela M. Klem & Yajamana Ramu
NATURE |VOL 413 | 25 OCTOBER 2001
Bacterial K channelKcsA
Naチャネルの三次元構造
The voltage-sensitive sodium channel is a bell-shaped molecule with several cavitiesChikara Sato*, Yutaka Ueno*, Kiyoshi Asai*, Katsutoshi Takahashi², Masahiko Sato³, Andreas Engelß & Yoshinori FujiyoshiNature 409:1047-1051(2001)
膜電位依存性カリウムチャネルのX線構造解析による三次元像
膜電位依存性カリウムチャネルの閉(左)・開(右)状態における膜電位センサーの位置
大学院理学系研究科生物科学専攻
生体情報学研究室生体情報学研究室岡 良隆
環境変化への適応過程における情報伝達機構のはたらき“イオンチャネル,レセプター”• ペプチドニューロン
• 魚類糸球体核
• 卵・精子
Dwarf gourami, Colisa lalia
♂
♀
100μm
終神経-GnRH ニューロンの免疫組織化学
Terminal NerveGnRH System(sGnRH)
Midbrain GnRH System(cGnRH-II)
Hypophysiotrophic Preoptic GnRH System(sbGnRH)
Tel
TeO
ON
OB
Med
Pit
Cb
TN lesion
脊椎動物には複数のGnRH神経系がある
A
C
B
TN-GnRH ニューロンからの細胞内記録
Pacemakeractivity
100μm
単一TN-GnRH ニューロンの細胞内染色像
TN
単一TN-GnRH ニューロンの細胞内染色像; 連続切片から単一ニューロンの全体像を再構成
Ringer
+20 nM sGnRH
+20 nM sGnRHc
washout
Time (s)
d
Vol
tage
(mV
)
a
b
+20 nM sGnRHAV
olta
ge(m
V)
a b c d
0 1 2 3 4 5 6 7 8Time (min.)
+20 nM sGnRH
Freq
uenc
y
0
2
4
6
CB
Effects of sGnRH'98 11/11 No.4
sGnRHを加えると二相性にペースメーカー活動頻度が変化する
0 1 2 3 4 5 6 7
Time(min.)
6
4
2
0
+20 nM sGnRH
Freq
uenc
y
8
+20 nM sGnRH
a b c d
A
40 45
50
25
-25
-50
Ringer
50
a
180 185 190
+20 nM sGnRH50
25
0
-25
-50
c120 125 130
+20 nM sGnRH50
25
0
b
-25
-50
420 425 430
washout50
25
0
-25
-50
Time(s)
d
Vol
tage
(mV
)
B C
Vol
tage
(mV
)
Time (min.)
Effects of sGnRH(Pipette sol. contains
1mM GDP-
b
-S.)
'98 12/8 No.4a
sGnRHによる2相性のペースメーカー頻度変化はピペット中の GDP-β-S で阻害される
Gタンパク質共役型 GnRH-受容体が修飾に関与している
GnRH-受容体の In situ hybridization
Olfactory bulbTN-GnRH neurons
(Oka et al, unpublished data)
TN-GnRH neuronsLight micrographs of
1μm semithin sections
TN-GnRH neuronsElectron micrograph
1μm
50μm
GnRHニューロンは
グリア細胞を介さずに密着した細胞塊を作っている
G
ENVIRONMENTAL/PHYSIOLOGICAL CONDITIONS
Hormones
INa(slow)
TN-GnRH neuron
Na+
INa(fast)
Na+IK(V) K+
TargetNeurons
TargetNeurons
GnRH
Ca2+
ICa(N)
Ca2+
K+
Ca2+
TargetNeurons
K+
IK(Ca) apamin-sensitive
GnRH
GnRH-R?
SOC(?)
ICa(N, P/Q)
IK(M)
Excitability
TransmitterRelease
OlfactorySomatosensoryVisual
GluR/mGluR
ペプチドニューロンの神経生物学
神経核の情報処理機構とその修飾
RE
PS
IM TO
CG
RE
PS
IMTO
CH
CH
LI
ON ON
CR CR
LC
SC
RLTD
G
BACHCH
CHCH
TOTO
CGCG
ILIL
GL SCLFL PC
C
**** ****
** **** **** **
1mm 1mm 50μm
CR cells
time
CR
cel
l act
ivity timePos
tsyn
aptic
resp
onse
膜電位感受性色素を用いた神経核電気活動の可視化
Time (s)
Mem
bran
e po
tent
ial (
mV
)
Sperm
200 400 600
-10
-20
-30
-40
-50
-60
-70
-80
0
Phase I
Phase II
Phase III
卵・精子のイオンチャネル・レセプターと情報伝達
1 2 3
4 5 6
7 8 9受精電位
受精時の細胞内 Ca2+濃度変化