2
気密性・換気 1 サッシの気密性とは、サッシの隙間から漏 れる空気の量を示し、サッシ1m 2 における 1時間当たりの通気量を、JISで定義する 等級グレードで表します。 等級が小さいほど隙間風は少ない。 気密と通気の度合いは、換気・防音・断熱・ 防塵との関係から求めます。 JISグレード(JIS A 4706 4702判定基準 該当する等級について、通気量がJIS A 1516 (建具の気密性試験方法)に規定する気密性等 級線を上回らないこと 気密性グレードの意味 気密性の試験方法 グレードは等級曲線で表わしますが、これ は、右ページのグラフの中では、単位と してm 3 /hr・m 2 の値で示されています。 これは、1時間で、1m 2 あたり何m 3 の空 気が漏れるかを示します。 等級を表わす数字は、戸内外の圧力差が 10Paの時の通気量です。例えばA-3等級 のサッシ・ドアセットとは、内・外の圧力差が 10Paの時、1時間当りサッシ・ドアセット 1m 2 に付き2m 3 <通気量≦8m 3 の空気が もれることになります。 JIS A 1516 - 1998 にサッシ・ドアの気密性試験方法 が規定されています。試験方法は下図のように サッシ・ドアを取付け、各段階の圧力差を加え気密 箱の方にもれた空気の量を測定し、計算した数値 を気密等級グラフにプロットし、あらかじめ決めら れた気密等級線を超えていないか確認します。 冷暖房における 熱負荷の問題 外部からの塵埃、 粉雪の吹込みの問題 外・内部騒音における 遮音の問題 室内換気の問題 省エネルギーに つながる 快適な環境につながる 静けさにつながる 高気密型サッシには 換気設備の設置や 時たまの窓の開放が必要 また、気密性の善し悪しは、次の4点に影響を 及ぼします。 試験状態図 気密試験手順 (加圧線図) 気密性等級線 1000 500 300 120 100 50 30 10 8 5 3 2 1 10 50 30 100 圧力差 P(Pa) q(m 3 /h・m 2 ) A-1等級線 A-2等級線 A-3等級線 A-4等級線 圧力箱 整圧板 (じゃま板) 流量測定装置 試験体 送風機 圧力調節機 試験体取付枠 圧力差測定器 (Pa) (Pa) 500 500 400   300 200 100 3 10 10 10 10 30     50                 100 150 200 300 Pmax Pmax        Pmax+10% ※は開閉確認   ※は開閉確認   時間(s) 時間(s) 3 30 50 100 150 200 300 400 500 600 700 ※  500 400 300 200 100 ●Pmaxが600Pa以下の例 ●Pmaxが600Paを超える例 新等級表示 旧等級表示 A-1 〈A-1等級線〉 120 A-2 〈A-2等級線〉 30 A-3 〈A-3等級線〉 8 A-4 〈A-4等級線〉 2

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気密性・換気

1

サッシの気密性とは、サッシの隙間から漏れる空気の量を示し、サッシ1m2における1時間当たりの通気量を、JISで定義する等級グレードで表します。

◆等級が小さいほど隙間風は少ない。

◆気密と通気の度合いは、換気・防音・断熱・防塵との関係から求めます。

JISグレード(JIS A 4706・4702)

判定基準該当する等級について、通気量がJIS A 1516

(建具の気密性試験方法)に規定する気密性等級線を上回らないこと

気密性グレードの意味

気密性の試験方法

グレードは等級曲線で表わしますが、これは、右ページのグラフの中では、単位としてm3/hr・m2の値で示されています。これは、1時間で、1m2あたり何m3の空気が漏れるかを示します。

等級を表わす数字は、戸内外の圧力差が10Paの時の通気量です。例えばA-3等級のサッシ・ドアセットとは、内・外の圧力差が10Paの時、1時間当りサッシ・ドアセット1m2に付き2m3<通気量≦8m3の空気がもれることになります。

JIS A 1516-1998にサッシ・ドアの気密性試験方法が規定されています。試験方法は下図のようにサッシ・ドアを取付け、各段階の圧力差を加え気密箱の方にもれた空気の量を測定し、計算した数値を気密等級グラフにプロットし、あらかじめ決められた気密等級線を超えていないか確認します。

冷暖房における熱負荷の問題

外部からの塵埃、粉雪の吹込みの問題

外・内部騒音における遮音の問題

室内換気の問題

省エネルギーにつながる

快適な環境につながる

静けさにつながる

高気密型サッシには換気設備の設置や

時たまの窓の開放が必要

また、気密性の善し悪しは、次の4点に影響を及ぼします。

試験状態図

気密試験手順(加圧線図)

気密性等級線

1000

500

300

120100

50

30

108

5

3

2

110 5030 100

圧力差 P(Pa)

通気量q

(m3/h・m2)

A-1等級線

A-2等級線

A-3等級線

A-4等級線

圧力箱

整圧板(じゃま板)

流量測定装置

試験体

送風機

圧力調節機

試験体取付枠

圧力差測定器

正圧又は負圧

(Pa)

(Pa)

正圧又は負圧

500 500

400  

300

200

100

3 10

10

10

10 30    50                100

150200

300 Pmax

Pmax       Pmax+10%

※は開閉確認  

※は開閉確認  

時間(s)

時間(s)

3

30 50100

150200

300

400

500

600

700

   ※ 

500 400

300

200

100

●Pmaxが600Pa以下の例

●Pmaxが600Paを超える例

新等級表示 旧等級表示A-1〈A-1等級線〉 120A-2〈A-2等級線〉 30A-3〈A-3等級線〉 8A-4〈A-4等級線〉 2

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■冷暖房における熱負荷の問題

■外・内部騒音における遮音の問題

例えば、気密性A-2〈A-2等級線〉とA-3〈A-3等級線〉の製品とでは約4倍の熱負荷の差があります。

例えば、気密性A-2〈A-2等級線〉とA-3〈A-3等級線〉の製品とでは、2〜3dBの遮音効果の差があります。

上表は、引違いサッシ(気密性別)の平均的な遮音特性を示したものです。気密性( )内数値は圧力差10Paにおける性能値です。

気密性能による熱損失比較表

省エネルギー基準の改正に伴う建築の高気密・高断熱化により、快適な室内環境を保つためには、新鮮な外気を取り入れる換気の問題が重要となってきています。換気や通風が充分な部屋は、人体の健康上有効であることはもちろん、結露も生じにくく、中間期もしのぎやすいため、冷暖房期間の節約にもつながります。ただし、都市部での騒音や防塵対策、強風時や寒冷期対策など、相反する要求条件への配慮も必要となります。

室内空気の汚染度は、暖房器具やたばこの煙、さらに人体からも発生する炭酸ガス濃度が目安となりますが、室内の大きさとの比率も関係してきます。建築基準法では、換気に有効な開口面積は居室床面積の1/20と定めていますが、開口部の位置・大きさなどへの配慮・バランスに心がける必要があります。

当社主要サッシ群の引違い窓、片引き窓には、自然換気以外の換気促進装置として、換気かまちと換気小窓を用意しています。

換気について

顕熱負荷 qs=Cpγ△tQi/3600潜熱負荷 qL=rγ△xQi/3600qs =すきま風による顕熱負荷[W]qL =すきま風による潜熱負荷[W] Cp =空気の低圧比熱=1005 J/(kg・K) γ =空気密度 r =空気の蒸発潜熱=2501 J/g△t:室内外乾球温度差[K]△x:室内外絶対湿度差[g/kg] Qi:すきま風の風量[m3/h]

●使用の目安

F換気かまち 換気小窓

気密性・換気

40

30

20

10

0125 250 500 1000 2000 4000

周波数(Hz)

音響透過損失(dB)

気密性;(0.2m3/hr・m2)

気密性;(2m3/hr・m2)

気密性;(5m3/hr・m2)

気密性;(10m3/hr・m2)

(5mmガラス使用)

A-4〈A-4等級線〉

A-3〈A-3等級線〉

A-2〈A-2等級線〉

等        級 A-1〈A-1等級線〉

A-2〈A-2等級線〉

A-3〈A-3等級線〉

A-4〈A-4等級線〉

すきま風の風量[m3/h] 480 120 32.0 8.0

すきま風による熱負荷[W]

冬 

顕 熱 負 荷 3465 866 231 57.8

潜 熱 負 荷 1602 401 107 26.7

合計熱負荷 5067 1267 338 84.5

夏 

顕 熱 負 荷 624 156 41.6 10.4

潜 熱 負 荷 2678 669 179 44.6

合計熱負荷 3302 826 220 55.0

設定条件 W=2,000mm H=2,000mm

冬   期 夏   期

室 内 外 気 室 内 外 気

温  度(℃) 20 0 26 30

相対湿度(%) 40 55 50 65

絶対湿度(g/kg) 5.79 2.07 10.47 17.37

空気密度(kg/m3) 1.20 1.29 1.18 1.16

等級 A-1〈A-1等級線〉

A-2〈A-2等級線〉

A-3〈A-3等級線〉

A-4〈A-4等級線〉

用途

通気性を必要とする特殊部位

一般建築用

防音・断熱・防塵建築用

サッシ・ドアの呼称 — — 普通

サッシ・ドア防音サッシ・ドア断熱サッシ・ドア