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ゼオライトの合成とその利用 - hst.titech.ac.jpmeb/2008/ZEOLITE.pdf · ゼオライトの合成とその利用 東京工業大学附属科学技術高等学校 応用化学分野

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Page 1: ゼオライトの合成とその利用 - hst.titech.ac.jpmeb/2008/ZEOLITE.pdf · ゼオライトの合成とその利用 東京工業大学附属科学技術高等学校 応用化学分野

ゼオライトの合成とその利用 東京工業大学附属科学技術高等学校 応用化学分野 ○丸山 裕椰、 ○和氣 史弥 1.目的 2年生の時触媒に関する講義を受け、ゼオライトに興味を持った。そこでゼオライトを自分

たちで合成し、その機能を調べてみたいと考えた。ゼオライトはその構造の中に細孔を有し、

分子選択性、イオン交換性などをもつ物質である。A 型、X 型、Y 型ゼオライトをそれぞれ合

成し、生成物の評価や生成過程について検証した。 2.方法 NaAlO2:アルミン酸ナトリウム Na2SiO3:ケイ酸ナトリウム (1) A 型ゼオライトの合成方法

(2) X 型ゼオライトの合成方法 (3) Y 型ゼオライトの合成方法 (4) 生成したゼオライトは、X 線回折計及び蛍光 X 線分析装置 を用いて分析を行った。 3.結果、考察 (1) A 型ゼオライトの分析結果 X 線回折パターンから、純粋なA型

ゼオライトが得られた事がわかった。

比較的大きなサイコロ状の結晶が得ら

れた。A 型は比較的簡単に合成できた

ため、安定な結晶構造をもっているこ

とがわかる。Si/Al も 1.09 と文献値に近い値が得られた (lit.: Si/Al= 1.00)。 ○まるやま ゆうや、 ○わけ ふみや

+

+

Feedstock Gel Seed Gel

図 1 A 型ゼオライト

pH9 まで洗浄

100℃で加熱

pH9 まで洗浄

90℃で加熱

図 2 A 型ゼオライトの骨格構造

pH9 まで洗浄

80℃で加熱

H2O NaOH NaAlO2

H2O NaOH metha-Na2SiO3

H2O NaOH NaAlO2

H2O NaOH NaSiO2

+

Zeolite X

H2O NaOH NaAlO2 Na2SiO3

H2O NaOH NaAlO2 Na2SiO3

Zeolite Y

図 4 A 型ゼオライトの X 線回折図形 図 5 A 型ゼオライトの SEM 画像

Zeolite A

図 3 X・Y 型ゼオライトの骨格構造

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図 6 X 型 8hゼオライト

表1 合成 X 型ゼオライトの Si/Al

図7 7d Y 型 7hゼオライト

表2 合成8dY 型ゼオライトの Si/Al

(2)X 型ゼオライトの分析結果 (注:○d→○日間熟成、△h→△時間合成 )

加熱時間を変えても、同じパターンのX線回折図形が

得られたが全体にピークのずれが見られた。これは骨格

構造は同じだが、構成原子の種類が換わったときに現れ

る特徴と考えられる。従って、加熱時間の変化により、

Al3+と Si4+の構成比が少し変化していると考えられる。 またゼオライトが生成する過程において縣濁溶液が沈降、

溶解、再沈殿する段階がある。この溶解段階において溶液

中で Al3+と Si4+のイオン交換が起こり、骨格構造の変化が

起こっていると考えられる。 加熱時間を 4,6,8,12,14hにして合成し、得られた固体を分析した。その結果、8hでの生成

物が文献のX線回折パターンに最も近く、Si/Al も良い結果が得られた。 この方法であれば、8hの加熱により X 型ゼオライトが得られると考えられる。

(3)Y 型ゼオライトの分析結果 2dの Seed Gel を用いた合成では、5,6,7h のものに不純

物が見られた。7dの場合では、それぞれの加熱時間の Y型ゼオライトは文献に近く、またピークがほぼ等しかった。

また 8d の SeedGel を用いて合成しながら 2 時間毎に固体

層を採取し、Si/Al を測定した。 この結果、Y型ゼオライトは 2 日間熟成のものより

7 日間熟成のものの方が、X 線回折図形が文献に近く、

加熱が 5 時間の時までに Y 型に結晶化している事が分

かった。しかし、図7の図形では少しピークがブロー

ドであることから、不純物も残り十分に結晶化していないことがわかる。これは Seed Gel が

上手く調製できず、それに不純物が含まれているためだと考えられる。それは、Si/Al(表 2)の値が文献値から大きくずれていることからもわかる。

これにより Y 型は、Seed Gel が合成の大きな要因であると考えられる。 4.今後の課題 ・Si/Al の大きい純粋な Y 型ゼオライトを合成する。 ・合成した Na 置換型ゼオライトを塩化アンモニウムで処理し、これを焼成することで H 置換

型ゼオライトにすることができる。これを利用して、固体酸触媒として有機合成に利用する。 5.参考 ・ International Zeolite Association(国際ゼオライト組織 ) 合成レシピ (http://www.iza-online.org/synthesis/default.htm)

ゼオライト構造データベース (http://www.iza-structure.org/databases/) ・原 伸宜 , 高橋 浩 編 ,“ゼオライト―基礎と応用” , 講談社 (1975)

6h 8h 12h lit.

Si/Al ≒∞ 1.34 1.35 1.22

1h 3h 5h 7h lit.

Si/Al 1.95 1.86 1.74 1.71 2.45