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折り丁(見本)の作り方 1
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●折り丁とは
通常製本するものは、1枚の大きな紙に 16 ページ(ないし 4 ページ、8 ページ、32 ページ)単位で両面印刷し、それを
折ってページ順にならぶようにして、製本します。この、1枚の紙分の単位を「折り」といい、製本するために折りたたまれ
たもののことを「折り丁」(または折本)といいます。
●面付けとは
印刷し終わった紙を製本するために折ったときに、ちゃんとページ順にならぶようにしなければなりませんが、そのように
ページを配置することを「面付け」といいます。
通常、フィルムや CTP で PS 版を出力するときに、面付けソフト(Qx のエクステンションである Imposition や Facilis など
が有名)でデジタル面付けします。
●折り丁(面付け)見本を作る
折のページ数、右綴じか左綴じか、天袋か地袋かで、面付けの仕方は変わってきます。間違えないように面付けするた
めに、折り丁見本を作ります。
1.まず折り丁を作ります。
下のやり方は一番オーソドックスなもので、「回し折り」「時計折り」といいます。(ほかにも何種類か折り方はありますが、
通常の本であれば、下のやり方が一般的です。)
1.まず紙を用意します。
2.真ん中で、右から左へと折ります。
(この時点で4ページ折り)
3.折った後、時計回りに 90°回転しま
す。
4.真ん中で、右から左へと折りま
す。(この時点で、8ページ折り)
5.折った後、時計回りに 90°回転します。
6.真ん中で、右から左へと折ります。
(この時点で、16 ページ折り)
5、6ともう一度繰り返すと、32 ページ折りに
なります。
折り丁(見本)の作り方 2
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2.次に、右綴じ(左開きともいう)か左綴じ(右開きともいう)か、天袋か地袋かを決めます。
右綴じ左綴じはだいたいご存知と思いますが、天袋・地袋とは何か。
それは、綴じの部分を持ったときに、「袋」の部分が上にあるか下にあるかです。
通常、全国ルールでは、左綴じが「天袋」(開始ページが右下にくる)、右綴じが「地袋」(開始ページが左上にくる)で
あると思うのですが、地方によっては全部地袋!(北陸がいい例)というところもあるので、製本会社、印刷会社に問い合
わせる必要があります。
左綴じ天袋 右綴じ地袋 左綴じ地袋 右綴じ天袋
◎これが一般的
(横組・縦本)
◎これが一般的
(縦組・縦本 ★あまり使わない ★あまり使わない
3.次に、ページ番号(ノンブル)をふります。
ここで注意するのは、平綴じか・中綴じかによって、ページ番号のふり方が変わってくることです。
平綴じならば、折り順に、1折り目は1~16(16 ページ折りの場合)、2折り目は 17~32、3折り目は 33~48 とふっていけばよ
いのですが、中綴じは違います。
中綴じは、例えば 48 ページの中綴じの場合、16 ページ折りが3折り分必要です。1折り目は、最初の8ページと最後の8
ページがきますから、ふるページ数は、最初の半分が1~8、後の半分が 41~48 となります。
平綴じの場合 中綴じの場合
折り丁(見本)の作り方 3
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4.次は、ドブ幅を決めます。
下の面付け図は、16 ページ折り、左綴じ天袋の折り丁(オモテ面)を開いたものです。
ドブとは、断裁の時に裁ち落とすの部分の中でも、袋になっている部分のことです。
上の画像の色のついている部分が、断裁の時に裁ち落とす部分なんですが、「ドブ」はその中でもピンク・ブルーの部分
になります。
4ページ折りや8ページ折りの場合、折ってもそれほど紙は厚くならないので、ドブ幅は通常のヌリタシ部分
(3mm+3mm=6mm)になることが多いのですが、16 ページ折りになると、紙を折ったときに誤差が出やすくなるので、ドブ幅
を少し多くとるのが普通です。
私の場合、16 ページ折りでは、ピンクの部分は 6mm、ブルーの部分は 10mm とることが多いです。
ドブ幅を書き込んで、隅っこに折り番号、オモテ・ウラを書き込んだら、折り丁見本の完成です。
●必要なら、ミーリング幅を指示する
「ミーリング」は、製本の方法が「無線とじ」の場合、必要になります。
「無線とじ」は、糸や針金を使わず接着剤だけで本を綴じる製本方法で、本の背の部分を2~3ミリ切断し鋸歯状(ミーリン
グ)のギザギザをつけてから接着剤をつけ表紙でくるみます。その、ギザギザにする部分の余白を、面付けするときに 2~3
ミリとっておくのです。
データを作るときから、規格寸法に+3ミリとって、のど部分の3ミリは残すというやり方もありますが、データを規格サイズ
で作った場合、デジタルで面付けするときに、面付けソフトでミーリング幅を指定してあげることもできます。
ミーリング幅は、製本屋さんと相談して決めます。
本の綴じの説明は、ここと内容が多少ダブりますが、テクニカルニュース vol.10 をご覧下さい。
●背丁・背標とは
折りを順に並べる作業を「丁合い」といいますが、このときに背を見ただけで、折りが順に並んでいるかをチェックするマ
折り丁(見本)の作り方 4
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本の名称(ハードカバー)
背 表紙の背中の部分 角背の場合は中身を接着するタイトバックが主流。丸背の場合は表紙と中身を
接着せず背の部分を浮かせるフォローバックが主流。
天・地 本の上部と下部の名称
小口(こぐち) 本の綴じる部分以外の三方を総称して小口三方という。背の反対側を前小口といい、通常「小口」と
いう場合は前小口のことで他の小口は含まれない
ミゾ 表紙を開きやすくするために表紙・裏表紙に使われる芯紙と背に使われる芯紙の間のこと。ミゾ入れ
(銀杏入れ)という工程で中身と接着する。ミゾ幅は表紙に使う板紙の厚みによって変わってくる
ークを背の部分につけることがあります。(だいたい4折り以上ある場合は通常つけます)
書名や順番、折り番号などの刷り込んだ記号や文字のことを「背丁」といい、折り丁ごとに一定の間隔でずらして刷り込ん
である階段状の印のことを「背標(または段じるし)」といいます。
●ともがみ・べつがみ
共紙(ともがみ)と別紙(べつがみ)という言葉は、折り丁見本を作るときには確認しておく必要があります。
共紙とは、表紙と本文の紙が同じもののこと、別紙とは表紙と本文の紙が違う物のことをいいます。
別紙の場合、表紙は別の紙に刷りますから、折り丁見本を作るときは本文のみを想定して作ればいいのですが、共紙の場
合は、表紙も本文と同じ紙ですから、表紙周りを含んだ形で折り丁見本を作らなければなりません。
ですから、表紙を含めて総ページが4の倍数ではなくてはなりませんし(16 ページ折りなら 16 の倍数がベスト)、折り丁番号
とノンブルは違ってきますから注意が必要です。
●他の折り方
ここでは紹介を省きますが、上記のような通常の折りの他に、「観音折り」「蛇腹折り」「巻き三ツ折り」など、多種多様な折
り方が存在します。これらはパンフレットやリーフレットに多い折り方です。
折り丁(見本)の作り方 5
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ちり 本の中身を守るために表紙を本の中身より大きくした部分
通常、天地・小口ともに 3 ミリづつ大きくする
寒冷紗
かんれいしゃ 表紙を中身に取り付けるときに間にはさむ補強用の網糸
スピン(ひも) 布製のしおり
花布はなぎれ 本の中身の上下につける飾り布 本かがりの際補強用につけられていたが、現在は装飾的な意味合
いが大きい ヘッドバンともいう
見返し
(力紙)ちからがみ 表紙が中身から外れないように貼りこまれる部分
見返し
(遊紙)あそびがみ 表紙と中身をつないでいる部分
ジャケット
本の表紙の上にかけられる厚手の紙のカバーのこと。
ジャケットには、本の書名や著者名、出版社名、目を引く絵柄、バーコードが印刷されていることが多
い。現在では、装飾宣伝的役割も大きい
帯 ジャケットの外側下部にまく紙製の帯。通常あらすじや著者の紹介を入れる。ジャケットと合わせてデ
ザインを工夫したものが多い 上製本(ハードカバー)とは、印刷された中身を長期保存するために考えられた製本の形態です。最近は表紙に芯を入れ
ない並製本(ソフトカバー)の書籍が多くなっています。文庫本や漫画本、週刊誌などほとんどが並製本です。
本来、上製本は、糸かがりと呼ばれる糸でかがった綴じ方が主流でした。綴じ方の中では一番開きやすく、壊れにくい綴じ
方です。ホットメルト(冷やすと急速に固まる特殊なボンド)が改良され市販の上製本など、あじろの無線と呼ばれるホットメル
トを使った綴じ方が最近では多くなっています。(量産品の場合)
製本コストを考えても、並製本が上製本よりはるかに安くできますが、やはり自分だけの大事な本を 1 冊だけ作るということ
でしたら、上製本にしたいですよね。