35
Audacity の使い方を分かりやすく解説 2017.11.14 (DAW)Digital Audio Workstation Audacity は高性能な「音楽編集」兼「音声録音」ソフト 2015/10/25 2016/5/28 初心者講座 フリーの音楽編集ソフト「Audacity「歌ってみたの」作り方講座 http://utattemita.dtm-hyper.com/audacity/mix2.html 目次 基本は 6 つのツール 波形の範囲選択 波形の拡大・縮小 タイムシフトツール トラック画面 ボタンの機能 トランスポートツールバー ボタンの機能 ツールバー ツールバーボタンの機能 ミキサーツールバー・再生メーター・録音メーター 不要な部分をカットする(基本的に「選択範囲を指定して削除するだけ」) 音声をカットする際のポイント 切り取った場合の結合 分割してタイムライン上で移動させる ノイズの種類 ノイズ除去のパラメーター設定 ノイズ除去のパラメーター設定項目 クラックルノイズの除去 ボーカルキャンセル(抽出) ピッチを変更する方法(移調「音程差」) リバーブ エコーをかける方法 出だしを無音にしてファイル出⼒する方法 曲の途中に無音部分を挿入 曲の途中から録音して合成 クリップの赤い線 「レベラー」エフェクトで調整する(上げる専用) イコライゼーション コンプレッサー 曲と音声の合成 オリジナル楽曲作成の実際 エフェクトの実際と合成 音声を左右別々割り振って合成する方法 モノラルからステレオへ変換する方法 ステレオからモノラルへ変換する方法 変声 ポッドキャスト用のマスタリング処理 ピー音を合成する方法 音声コーデックの種類と違い(MP3・AAC・WMA・WAV・Vorbis・AC3・FLAC 等)【フォーマット】

Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

  • Upload
    doduong

  • View
    285

  • Download
    1

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

Audacity の使い方を分かりやすく解説 2017.11.14

(DAW)Digital Audio Workstation ・ Audacity は高性能な「音楽編集」兼「音声録音」ソフト 2015/10/25 2016/5/28 初心者講座 フリーの音楽編集ソフト「Audacity」 「歌ってみたの」作り方講座 http://utattemita.dtm-hyper.com/audacity/mix2.html 目次 基本は 6 つのツール 波形の範囲選択 波形の拡大・縮小 タイムシフトツール トラック画面 ボタンの機能 トランスポートツールバー ボタンの機能 ツールバー ツールバーボタンの機能 ミキサーツールバー・再生メーター・録音メーター 不要な部分をカットする(基本的に「選択範囲を指定して削除するだけ」) 音声をカットする際のポイント 切り取った場合の結合 ・ 分割してタイムライン上で移動させる ノイズの種類 ・ ノイズ除去のパラメーター設定 ・ ノイズ除去のパラメーター設定項目 クラックルノイズの除去 ボーカルキャンセル(抽出) ピッチを変更する方法(移調「音程差」) リバーブ エコーをかける方法 出だしを無音にしてファイル出⼒する方法 ・ 曲の途中に無音部分を挿入 ・ 曲の途中から録音して合成 クリップの赤い線 「レベラー」エフェクトで調整する(上げる専用) イコライゼーション ・ コンプレッサー 曲と音声の合成 オリジナル楽曲作成の実際 ・ エフェクトの実際と合成 音声を左右別々割り振って合成する方法 モノラルからステレオへ変換する方法 ・ ステレオからモノラルへ変換する方法 変声 ポッドキャスト用のマスタリング処理 ピー音を合成する方法 音声コーデックの種類と違い(MP3・AAC・WMA・WAV・Vorbis・AC3・FLAC 等)【フォーマット】

Page 2: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

基本は 6 つのツール Audacity には波形を編集するための 6 つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。 左上から順に「選択ツール」「エンベロープツール」「描画ツール」「拡大ツール」「タイムシフトツール」 「マルチツール」という。

波形の範囲選択 波形の範囲を選択するには「選択ツール」を使用する。 選択した範囲をループ再生したり、別の場所に移動したり、選択範囲のみ削除・無音化したり、といった編集を⾏う。 範囲選択は下図のように波形上をドラッグすることで⾏い、灰色になった箇所が選択範囲である。 選択範囲の開始位置、または終了位置付近にマウスを移動させるとマウスアイコンが指先のような形になる。 この状態でマウスドラッグすることで選択範囲を変更できる。 選択範囲の開始位置、終了位置付近で「Shift」キーを押しながらマウスドラッグすることでも同様の操作が可能である。 また別トラックに波形データがある場合、⻩色いガイド線が表⽰され別トラックのオーディオ開始位置・終了位置に選択 範囲をピッタリと合わせることが出来る。 目次へ戻る

Page 3: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

波形の拡大・縮小 これは Audacity 上で編集しやすいように画面表⽰を拡大縮小するだけで、実際の音には変化はおきない。 拡大縮小は「拡大ツール」もしくは「拡大・縮小ツールアイコン」を使用する。

拡大ツールを選択した状態で波形上を左クリックすると波形が拡大され、右クリックすると波形が縮小される。 微調整するときには波形を拡大すると便利である。 また下図の赤枠の箇所を左クリック・右クリックすることで、横ではなく縦に波形を拡大・縮小できる。 小さなノイズなどを編集する際に使用するが、あまり使うことはない。 拡大・縮小ツールアイコンは以下のようになっている。拡大と縮小はそのままの意味です。 「選択部分を合わせる」は現在の選択範囲が画面内に収まるように拡大/縮小をされます。 「プロジェクトを合わせる」はプロジェクトにある波形全部を⼀度に表⽰できるサイズに拡大/縮小されます。 目次へ戻る

Page 4: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

タイムシフトツール(波形を丸ごと移動できるツール) 波形を左右に移動させることで、音が出るタイミングを前後させる。 時間軸上の左右移動だけでなく、あるトラックから他のトラックへ上下移動させることもできる。 複数のトラックを同時に編集している時に使うと便利。動かした拍⼦に波形が消滅して⾏方不明になるような事があった ら、「選択ツール」で動かしたい範囲を選択し、コピー&ペーストで移動先に貼り付ける。 消えてしまった波形は、Ctrl+Z で戻すことがきる。 特にオーディオインターフェイスを使用せずに録音する場合、バッチリのタイミングで歌ってもどうしても音が遅れて録 音されてしまう。 録音後、タイムシフトツールで修正を⾏うことでカラオケ音源とボーカルのタイミングを合わせることが出来る。 タイミング修正は拡大ツールである程度波形を拡大して⾏うとやりやすい。 またタイムシフトツールは「トラックの同期」と組み合わせて使用することがある。 通常の波形移動はクリックしたトラックの波形のみが左右に移動されるが、トラックの同期ボタンをオンにした状態で 波形を左右に動かすと、すべてのトラックの波形が同時に移動する。

トラック画面 挿入した音楽・音声ファイルが「トラック」として追加される画面です。⻘の波形が音声の大きさを⽰している。 この画面にどんどん音声ファイルをドラッグ&ドロップしていく事で、複数の音声ファイルの編集(マルチトラック)も 可能になる。 また、再生中は「シークバー」と呼ばれる縦棒が移動していきます。この「シークバー」は色々編集していく際に必ず使 用する機能なので覚えておきましょう。 目次へ戻る

Page 5: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

ボタンの機能 ︓トラックを削除します。録音に失敗したトラック等、不要になったトラックを削除するのに使う。

︓トラック名です。トラック名部分をクリックする事で名前の変更も出来ます。また、▼マーク部分を

押す事でトラックに関する様々なメニューが開ける。 ︓読み込んだファイルの簡単な情報が⾒れる。(かなり⽂字が小さいので⾒づらいですが)

︓このトラックをミュートする。何個もトラックを挿入してる場合に、ミュートにしたいトラックが ある場合に使用する。

︓このトラック以外のトラックをミュートする。何個もトラックを挿入している場合で、 「このトラックだけを聞きたい」って時に使用する。

︓トラックの音量の大きさ(ゲイン)を設定出来ます。+にすればするほど音量が大きくなる。 ︓パン(音の左右への振り分け)を設定できる。「R」にすると右から聞こえてくる音が大きくなり、

「L」にすると左から聞こえてくる音が大きくなる。 ︓トラックを最小化する。何個もトラックを挿入していて画面が⾒づらい場合などに使用する。

トランスポートツールバー 音声の「再生・⼀時停⽌・停⽌・シークバーを初期値まで戻す・シークバーを最後まで進める」などの事が⾏えるボタン である。

ボタンの機能

︓再生ボタンです。これを押すと再生がスタートする。Space キーでも代替出来る。 (SHIFT を押しながら押すと「ループ再生」できる。(Space+SHIFT キー))

︓停⽌ボタンです。再生中にこのボタンを押すと再生がストップする。 (再生していない時は非アクティブになる)

︓シークバーをトラックの最初まで戻す。(Home キー) ︓シークバーをトラックの最後まで進める。(End キー) ︓再生中に押すとシークバーが⼀時停⽌します。再度押すと再生が再開します。エフェクトを掛ける範囲

などを細かく⾒たい場合などに使用する。(P キー) ︓録音を開始する。(R キー) そのまま押した場合は、新しくトラックを作成して「シークバーの位置」

から録音を開始する。 SHIFT を押しながら録音開始すると、「現在選択中のトラック」の「シークバーの位置」から追加録音を開始する。 目次へ戻る

Page 6: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

ツールバー

音楽編集していく際のツールについて。 初心者の内は「選択ツール」と「タイムシフトツール」くらいしか使わないと思う。

ツールバーボタンの機能

(選択ツール)︓「選択範囲」を指定出来るツールである。 カットしたりエフェクトをかけたりするのに使用する。

(エンベロープツール)︓波形を直接的に変更出来るツールである。

音の大きさを滑らかに変えたいときに使います。 このツールを選択している時に波形をクリックすると、点が現れます。 それをいじることによって、その点から次の点までの音量を、徐々に変えていくことができます。 「効果」の「フェードアウト」「フェードイン」では端が無音になってしまうので、フェードアップやフェードダウンにしたい時はこの機能を使ってください。 ⼀度作った点は、つかんだまま上か下に引っ張って欄外へ持っていけば消えます。

(描画ツール)︓波形を直接的に変更出来るツールである。 (SHIFT キー押しっぱで完全に⾃由⾃在に変更出来る)

(拡大ツール)︓波形を拡大・縮小出来るツールである。 (SHIFT キー押しっぱで縮小出来る)

(タイムシフトツール)︓クリップ(トラックを分割した際の 1 つ当たりの単位)を前後に移動する事が出来る ツールである。

(マルチツールモード)︓上記のツールを 1 つにまとめたツールである。 (使いづらいので使用する事は無いと思う)

目次へ戻る

Page 7: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

ミキサーツールバー・再生メーター・録音メーター 音声の大小を調整・確認する為のツール類について。 ツールの機能 ミキサーツールバー︓再生・録音のボリュームを調整する。 再生メーター︓再生した音声の大きさが表⽰されます。音が大きすぎる場合は「ミキサーツールバー」で調整する。 録音メーター︓録音中の音声の大きさが表⽰されます。音が大きすぎる場合は「ミキサーツールバー」で調整する。

また録音の前に録音メーターをクリックすることで「モニタを開始」出来ますので、事前に音量の大きさ を確認出来る。

編集ツールバー 音声⾃体をカットしたり貼りつけたり無音化したりするツールである。 基本的にこれらのツールは「キーボードのショートカットキー」で代替出来るので、「Audacity を使いこないしたい︕」 と思っている⼈は最初からキーボードでの操作を覚えたほうが良い。 ボタンの機能

︓「選択範囲」を切り取る。(Ctrl+X)

︓「選択範囲」をコピーする。(Ctrl+C)

︓切り取り・コピーした「選択範囲」をシークバー位置に貼り付ける。(Ctrl+V)

︓「選択範囲」以外の部分を削除(トリミング)する。(Ctrl+T)

︓「選択範囲」を無音化する。(Ctrl+L)

︓アンドゥ(直前の操作の取消)、リドゥ(アンドゥの取り消し)を⾏う。(Ctrl+Z、Ctrl+Y) ︓「タイムシフトツール」を使用してトラックを動かした際、全てのトラックを同時に動かせるようになる設

定である。 ︓トラックを拡大・縮小するボタンである。

︓再生速度を変更して再生する事が出来るボタンで、最大 3 倍速で、最低が 0.01 倍速である。 目次へ戻る

Page 8: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

不要な部分をカットする(基本的に「選択範囲を指定して削除するだけ」) 1.選択範囲の指定

まず、選択ツール( )が選択されている事を確認する。(ツールバーに有る) 次に、トラックのカットしたい部分をドラッグで選択する。

2.選択範囲の微調整「選択範囲を細かく指定する︕」

「選択範囲」は、適当に選択範囲を指定した後に、以下の事をする事で範囲を微調整できる。 (1) 「SHIFT + →」と「SHIFT + ←」で選択範囲を少しずつだけ拡げられる。 (2) 「SHIFT + Ctrl + →」と「SHIFT + Ctrl ←」で選択範囲を少しずつだけ狭められる。

3.シークバー位置から最後まで指定、シークバー位置から最初まで指定

シークバーの位置から「最初」までと「最後」までを指定する方法もある。 (1) シークバー位置から最後まで指定︓「SHIFT + K」 (2) 位置から最初まで指定︓「SHIFT + J」

4. 選択範囲を詰めて切り取る(または削除) ボタンを押して選択範囲を切り取る(Ctrl + X キーでも同じ効果)もしくは、Delete キーで削除する。

5. 選択範囲を詰めずに切り取る(または削除) メニューの「編集」→「特殊な削除・切り取り」で詰めずに切り取りや削除ができる。 「分割して切り取り」(Ctrl + Alt + X でも同じ効果) 「分割して削除」(Ctrl + Alt + K でも同じ効果)

目次へ戻る

Page 9: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

音声をカットする際のポイント カットする際のポイントとして、カットの始点と終点は「ゼロクロスポイント」で⾏うようにする。 「ゼロクロスポイント」というのは、「0db」のラインと交差している部分の事を指します。

この「ゼロクロスポイント」以外の所でカットすると、「ブチッ」みたいな ノイズ音が若⼲ですが入ってしまう。(良く聞かないと分からないレベルで ある)なので、出来れば以下のように「ゼロクロスポイント」単位でカット するようにした方が綺麗な音になる。

カット前 カット後

「ゼロクロスポイント」の簡単な指定のやり方として、「選択範囲」を指定した状態で、メニューの「編集」→ 「ゼロとの交差部分を⾒つける」を押す事で、開始位置と終了位置に⼀番近い「ゼロクロスポイント」を勝手に指定し てくれる。また、「Z」キーを押すことでも同じ効果になる。

切り取った場合の結合

切り取った後は、Ctrl + V でシークバー位置に貼り付ける事ができる。 「詰めずに削除」はその削除した部分に別の音源を挿入したりする際に使用する。 また、「詰めずに削除したけどやっぱり詰めたい︕」「詰めて削除したけどやっぱり離したい︕」という時は、 タイムシフトツール( )を使用する事で、削除したクリップ(トラックを分割した 1 単位の事)をドラッグで 動かす事ができる。

ちなみにクリップ同⼠を離したまま書き出してしまうと、 その空⽩部分は「無音」として出⼒されてしまうので注意 が必要である。

目次へ戻る

Page 10: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

分割してタイムライン上で移動させる 1 移動させたい範囲を「選択ツール」を使用して選択する。 2 [編集] → [特殊な削除・切り取り] → [分割して切り取り] 3 切り取りした状態から、[編集] → [ペースト] で同じ場所に分割した波形として貼り付けられる。 4 [タイムシフトツール] で時間軸上を移動させる。 元波形 分割して切り取り そのままペースト タイムシフトツール で移動

ノイズの種類 ノイズには大きく ●ヒスノイズ ●ハムノイズ ●クラックルノイズ の 3 種類がある。 ヒスノイズというのは、テープの“サーッ”といったノイズ、ハムノイズは電源からくる“ブーン”といったノイズ、そして クラックルノイズはレコードの“プチプチ”といったノイズである。 このいずれのノイズリダクションにも対応しているが、ヒスノイズ、ハムノイズに効くのが「ノイズの除去」、クラックル ノイズに効くのが「クリック音とポップ音の除去」となっている。 目次へ戻る

Page 11: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

ノイズ除去のパラメーター設定 1 「エフェクト」 → 「ノイズ除去」 → 「ノイズプロファイルの取得」でノイズ部分を取得する。プロファイルを取得

すると⼀度メニューが閉じてしまう。 2 もう⼀度メニュー右上の「エフェクト」欄から「ノイズの除去」をクリックし、再び「ノイズ除去」のメニューを表

⽰させノイズ除去のパラメーター設定を⾏う。(先に取得したノイズを元に、このノイズにどれほど近い音をノイズ として除去するのか︖ を設定する。パラメーター設定が終わったら⼀番下の「OK」をクリックすることでノイズ除 去が⾏われる。

設定画面の下辺りに「現象(減少の誤表記)」と「残存」という項目があるが、 基本的には「現象」で OK。(「残存」を選ぶと、ノイズ除去の逆で、ノイズだけ が残るようになる。残存を使った後にノイズじゃない音が混ざっている場合は、 「設定項目がうまくいっていない」ということになるので、その確認には使え る。)

ノイズ除去のパラメーター設定項目 設定項目1、ノイズの除去(dB)(N)

この値を高くすると、先ほど取得したノイズが大きく削られる。逆に、低くするとあまり削られない。 ・ノイズ除去 5(感度 10、周波数平滑化 0) ・ノイズ除去 30(感度 10、周波数平滑化 0) 値が 30 の方は少し音が壊れてきてしまい、大きくしすぎるのもよくない、ということである。

設定項目 2、感度(s) この値を高くすると、先ほど取得したノイズに近い音が削られる。大きくしすぎると、ノイズではない音も大きく削ら れてしまう。 ノイズが小さい場合はこの値は 4〜8 程度で⼗分だが、ノイズが大きく、なおかつノイズ以外の音と似ている場合は 20 くらいまで上げてみる。 ただ、設定項目 1 の「ノイズの除去」の値と連動しているので、微妙に値を変えつつ色々試すのがベターである。

・感度 5(ノイズ除去 10、周波数平滑化 0) ・感度 30(ノイズ除去 10、周波数平滑化 0)

これはあまり違いがわからない。ノイズがもっと元の音声と混ざっていて似ている場合は、この感度を上げるともっと 違いがわかると思う。

設定項目 3、周波数平滑化(バンド)(F) これは基本的に 0 で OK です。上記 2 つの項目を上げまくってもノイズが消えない場合は、これを上げてみよう。

・周波数平滑化 0(ノイズ除去 10、感度 10) ・周波数平滑化 20(ノイズ除去 10、感度 10)

ほとんど違いはわからず、この項目は普段はあまり気にしなくてよい。

ただ、赤丸部分のプレビューをクリックすると、現在の設定値での 「ノイズ除去」後の音声を数秒間聞けるので、この機能を使えば微調整 もだいぶ楽になる。

目次へ戻る

Page 12: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

クラックルノイズの除去 レコードのプチプチしたクラックルノイズを取り除く方法について。こちらはとくに準備は不要である。 取り除きたい部分を波形選択した上で、エフェクトから「クラックノイズの除去」をクリックすると、ダイアログが表⽰ されるので、ここでパラメーターの設定を⾏う。 「閾値(しきい値)」、「最大のスパイク幅」という難しい単語が出てくるが、うまく取り除けるように、適当にいじって みる。閾値というのはいわゆるスレッショルド(Threshold)。どの辺を超えるとノイズ除去をはじめるのかを設定するも の、最大スパイク幅は“プチッ”というノイズの時間を設定するものである。 これで完璧に消すのは難しいが、ある程度緩和することは確かである。 目次へ戻る

Page 13: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

ボーカルキャンセル(抽出) 1. Audacity に「ステレオ」音源を読み込む(ドラッグ&ドロップで読み込める)

2. 「ステレオトラックを分離」する

3. 片方のトラックを選択して「エフェクト」→「上下の反転」を適用する。 (1) ⻩枠で囲まれているから選択されている訳では無い。トラックの左側の空いている部分をクリックして全体

が範囲選択されたようにグレーになっていることを確認する。 (2) ボーカルの配置が左寄りか右寄りかの違いがあるので、「上下の反転」を適用するトラックを両方試してみて

よりボーカルの音がよく消える方を選択する。

4. 両方のトラックを「モノラル」に変更する。

これで普通に再生すると、ボーカルが抽出された状態で再生される。 あとは、「ファイル」→「オーディオの書き出し」から、好きな音声形式(mp3 等)で保存すれば完了。 目次へ戻る

Page 14: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

ピッチを変更する方法(移調「音程差」) 1. Audacity に「ピッチ変更したい音声ファイル」を読み込む。(ドラッグ&ドロップする) 2. 読み込んだ音声ファイル(クリップ)を選択する。(波形部分をダブルクリックすれば選択できる) 読み込み 選択(クリップ) 3. メニューの「エフェクト」→「ピッチの変更」を選択する。

(1) ピッチ変更のダイアログが表⽰されるので好きなピッチに変更して「OK」をクリックする。 半音(#1)上げたい場合は「1」を入⼒する。

上の「ピッチ」と下の「周波数」は連動しています。(どちらを変更しても OK) o 「1 音上げたい」という場合には、上の「音程差」の部分に「2」と入⼒すれば 1 音上がる。 o 「2 音下げたい」という場合には、上の「音程差」の部分に「-4」と入⼒すれば 2 音下がる。 o 「1.35 音下げたい」という場合には、上の「音程差」の部分に「-2.7」と入⼒すれば 1.35 音下がる。

4. あとは「ファイル」→「オーディオの書き出し(E)」から、好きな音楽ファイル形式で出⼒するだけ。 目次へ戻る

Page 15: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

リバーブ 「リバーブ」は、「ある空間内で残響している感じの音」にするエフェクトである。 「空間の大きさ」の設定を大きくすれば、大きなコンサートホールで喋っているような感じにも出来るし、小さくす れば小さなカラオケボックスで喋っているような感じにもできる。

リバーブ設定例 音の本体に響き部分が加わるので、設定によっては振幅が大きくなる。 音割れを防ぐため、縦方向の余裕も事前に確保しておく必要がある。 (エフェクトの「増幅」をマイナスでかけて波形の振幅を小さくしておく)

ルームサイズ (%)︓ 59

o 反響する部屋の大きさ。 o 大きくすれば、大きな講堂とかで響く感じになる。 o 小さくすれば、風呂場・カラオケルーム等で響く感じになる。

プリディレイ (ms)︓ 10 o 反響が開始するまでの時間。 o 大きくすれば、少し遅れて残響するようになる。

残響 (%)︓ 33(47) o 反響する音の⻑さ。 o 大きくすれば、⻑く残響するように鳴る。(これ以上の値だとエフェクト感がはっきり出てくる)

ダンピング (dB)︓ 50 この値を変えても変化がよくわからないので中間値に設定 ! o 反響音の減衰率的。 o 大きくすれば、1 つ 1 つの残響音が減衰するような感じになる。

トーン Low (%)︓ 100 o 低音部分をどれだけ反響させるか。 o 大きくすれば、低音部分が大きく反響するようになる。

トーン High (%)︓ 100 o 高音部分をどれだけ反響させるか。 o 大きくすれば、高音部分が大きく反響するようになる。

ウェットゲイン (dB) -3 で自然な感じ(-1) o この「リバーブ」エフェクトの効果の大きさ。(響き部分の音量を設定)

数値を大きくするほど響き部分の音が大きくなり、強くリバーブがかかる。 薄くリバーブをかけたい場合は、逆に数値を小さくする。

ドライゲイン (dB)︓ -1 o 原音に対する残響音の割合。 o 大きくすれば残響音のみが響く感じになる。(音割れを防ぐためにはこの値を下げる)

ステレオ幅 (%)︓ 100 o 音源がステレオ音源の場合、左右を独⽴して反響させるかという設定。 o 0 にすると、左右の音が完全に独⽴して反響するようになる。

目次へ戻る

Page 16: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

エコーとディレイ(エコーは音声・ディレイは楽器) 「エコー」と「ディレイ」は同系列のエフェクトである。

どちらも、音声を減衰(音量を下げる)させたものを、⼀定間隔で残響させるエフェクトである。 良くある、「やっほーー」「やっほーー」「やっほーー」「やっほーー」みたいな奴。 この「やっほー」の残響させる間隔を短くしたのが「エコー」で、主にボーカル音声などに使用される。

また、残響させる間隔を⻑くしたものが「ディレイ」となり、ボーカル音声には使用されずに、楽器系のエフェクトと して使用される事が多い。

エコーをかける方法 1.まず Audacity に音楽ファイルをドラッグ&ドロップして読み込む。 2.次に、トラック情報の上部分らへん( )をクリックして、トラックの全部分を選択した状態にする。 3.メニューの「エフェクト」→「エコー」を選択する。 4.エコーについての設定画面が開けるので、⾃分の好みの設定に変更する。 「ディレイ時間」は、音声が残響するまでの時間の事を指す。 「減衰ファクター」は、残響音が元音に比べてどれだけ「減衰」させるかを⽰している。(※「1」で減衰させずに そのままの音で出⼒する)図で表すと、以下のような音源が有ったとして、エコーをかけると、 目次へ戻る

Page 17: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

以下のように「ディレイ時間」の間隔に合わせて次から次へと「減衰」した音が発生する。 なので、「減衰」を「1」に指定してやると、音が「減衰」しないので、永遠とエコーし続ける事になる。 この「減衰音」に更にエコーが掛かっていくのが「ディレイ」となる。 「録音した声」などにエコーを掛ける場合の宅録で試した結果の設定は、

ディレイ時間︓0.05〜0.1 減衰ファクター︓0.3〜0.5(不自然さが無い値は 0.3 で、0.4 以上でエフェクト感が出て来る)

くらいで掛けてやると、ボイス単独では少しエフェクトかけたなと感じるが、合成した時には演奏に紛れて調度良い仕上 がりになる。 ※ リバーブとの相乗効果もあるので、エコーと生音はやっぱり違うなという程度にかけてやる。 また、音声全体では無くて、「音声の⼀部分にだけエコーをかけたい︕」って場合は、選択ツール( )を選択した状態 で、トラック上の波形をドラッグした状態で、 先程と同じ手順で、メニューの「エフェクト」→「エコー」を追加する事で⼀部分にだけエコーを適用出来る。

出だしを無音にしてファイル出⼒する方法 1 [編集] - [カーソルの移動] - [トラックの最初]。 2 [ジェネレーター] - [無音]。 3 秒数を指定して、[OK] → 画面下の表⽰される時間表⽰を参考にする。(タイミングを⾒て⼀時停⽌で確認する) 停⽌させるとカーソルが先頭に戻って時間表⽰が「0」になる。 4 [ファイル] - [書き出し]。 5 ファイルの種類やファイル名を指定して、[保存]。

曲の途中に無音部分を挿入 1 選択ツール [ ] をクリックし、波形上をクリックする。(例として1分30秒付近をクリックしている。) 2 メニューバーの [ジェネレーター] → [無音] をクリックすると [継続時間] の表⽰が出るので、空⽩時間を入⼒ する。(初めから 33.771 S が表⽰されているのでクリアさせる) 3 「OK」をクリックすると下図のように空⽩時間が挿入される。(例として1分+ 33.771 秒を挿入している。) 4 最後に「オーディオの書き出し」を⾏って終了。 目次へ戻る

Page 18: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

曲の途中から録音して合成

1 曲の⼀部分が気に入らなくて再録音する場合、初めからやり直すのではなく、途中から録音して合成する。 2 合成後の音量が変わってしまっては不⾃然なので、⽴ち位置を確認して同じ条件で録音する。 下図は曲全体の波形。 3 曲の途中から録音を開始する(下図では約1分33秒付近から録音を開始している) 4 このまま保存すると空⽩部分が詰められて「1分33秒」が先頭にきてしまう。 そのため、録音開始以前を無音化

して保存する。 5 選択ツールで録音開始位置から「0」までドラッグする。 6 「ジェネレーター」 → 「無音」 → 「OK」で無音化されたファイルとなる。 7 無音化の時間は赤枠で表⽰されているように、寸分の狂いもなく処理される。 8 更に、途中から録音した波形や元波形の不具合な部分を無音化して合成する。 目次へ戻る

Page 19: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

クリップの赤い線 CLIP の赤い線はほぼ 0dB に近い音量のところに出る、0dB を超えたところはクリッピングノイズになるので、録音の 際にはこの赤い線が出ないようにして録音する。 ただし、CD 等のマスタリングされた音源では「0dB」近くまで音圧を上げてある(でも超えてはいない)状態のものが 殆どで、実際にはクリップはしていなくても Audacity ではクリップしていると表⽰されることがある。 実際に聴いておかしくなければ問題はない。(正確には赤くなっているところを拡大して⾒てひと⼭の波形の頂点が平坦に 横に切られていなければクリップしていないと判断出来る)。 CD を読み込んだときの波形表⽰

「レベラー」エフェクトで調整する(上げる専用) 「レベラー」エフェクトを使用する方法。「レベラー」は「増幅」のクリッピング(音割れ)が発生させずに綺麗に増幅 出来る感じのエフェクトである。(音量を下げる事は出来ない) まず、トラックバーのこういう部分( )をクリックして、トラック全体を選択した状態にする。 次に、メニューの「エフェクト」→「レベラー」を選択する。 「レベル調整の度合」は、音を上げる度合いを指定する。「最も強く」で限界近くまで音量を上げる。 クリッピングしているファイルを「正規化」ではなく、レベラーで「そこそこ」を指定すればピークがあまりカット されないで処理される。 目次へ戻る

Page 20: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

イコライゼーション 1 エフェクト → イコライゼーション を選択する。

グラフの縦軸が増減させる音量(dB)、横軸が周波数(Hz)です。 特定周波数の音量を上げることをブースト、下げることをカットと⾔います。

ボーカルトラックに掛ける場合、大体 80〜120Hz 以下は必要ないので大幅にカットします。 低域をカットすることで吹かれノイズを軽減する効果もあります。 声が埋もれてしまうなどの場合、高域の抜けを良くするために 6000Hz〜8000Hz 以上を少しブーストするか、

300〜700Hz あたりを少しカットしてやります。逆に暖かみが欲しい場合は 800Hz 前後をちょっとブーストしま す。大胆な効果を狙ってやる場合はかまいませんが、音質調整の場合は多くても大体 6dB(-6dB)以内の調整にするよ うにしましょう。

2 周波数を動かしたいポイント、及び固定したいポイントをクリックする。 3 クリックすると⽩いポイントが線上に置かれる。 4 ポイントをドラッグしてゲインを下げる。 5 ⾃分の場合は声がこもり気味になるので、「200Hz」を下降の起点としてポイントし、以下の周波数の任意の場所 にポイントを作り、ドラッグしてゲインを下げる。 6 不⾃然に聞こえないようにカーブを微調整すると、こもらない音にエフェクトできる。 緑色のラインが実際に効果を与えるパターンである 7 マイクに対して斜方向から発声すると低域が大きく減衰するので、場合によってはイコライゼーションが不要とな

る。斜め方向からのパターンを何個か用意しておくとよい。 目次へ戻る

(1) 正面のパターンが⼀番強く低域カットされ、数字が大きくなるパターンで次第に低域の音量が強くなる。

(2) マイクに対して45度の⽴ち位置を基本とするが、マイクの中心からずれた方向へ発声することによって低域が減衰する

ので、数値の大きなパターンを使用するか若しくはエフェクトが不要となる。

Page 21: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

コンプレッサー

コンプレッサー 音量のバラつきを抑えるエフェクターで、コンプとも呼ばれる。 ボーカルのようなメインパートは音量が上下すると聞きづらいので、これを抑えることで聞きやすくする。 コンプレッサーは「エフェクト」→「コンプレッサー」から呼び出す。 (バージョン 2.0.2 の Audacity ではコンンプレサーとミス表記されている) コンプレッサーには主に 4 つの設定がある。 閾値(しきいち) ⼀般的にはスレッショルドと表記される。閾値以上の音量を検知するとコンプレッション(音量の抑制)を⾏う。 レシオ スレッショルドを超えた音量を、どのくらいの割合で抑制するかの設定である。 2:1 なら 1/2 に、4:1 なら 1/4 の音量になる。あくまでスレッショルドを超えた分の音にのみ適用される。 アタックタイム 音量がスレッショルドを超えたときコンプレッションが開始されるまでの遅延時間を設定する。 0.1 秒なら 0.1 秒コンプレッサーが動作するまでの間があるということである。 目次へ戻る

Page 22: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

ディケイタイム ⼀般的にはリリースタイムと表記される。 いったんスレッショルドを超えた音がスレッショルド以下の音量になった時、コンプレッションを終了するまでの遅延時 間を設定する。 目安としてはまず閾値を 0dB(⼀番右端)にして、レシオは 2:1 か 4:1 にする。 アタックタイムとディケイタイムはそのまま。 閾値を徐々に左にスライドしていって、音量がある程度⼀定になる値に設定する。 あまり強く掛けすぎると抑揚がなくなってしまうので注意。 その後に徐々にアタックタイムを遅くしていって、ボーカルが聞きやすい発音になるあたりに設定する。 同じくリリースタイムも徐々に遅くしていく。(ボーカル処理の場合は初期値のままでもかまわない) コンプレッサーは変化がわかりにくい部類のエフェクターなので、掛けすぎに注意する。 掛けすぎると音がつぶれてしまい、聞きづらくなる。 あからさまな音質変化が起こるくらい掛かっているのはやりすぎである。 あくまでボーカルを聞きやすくするためというのを心がける。 「圧縮の後 0dB になるようにゲインを上げる」のチェックがオンだと⾃動でノーマライズ処理が掛けられる。 ノーマライズとは「波形内の⼀番大きな音量を⾃動で検知して、その⼀番大きな音量が 0dB(デジタルでの最大音量)にな るように音量を調整する」という機能である。 トラック内の波形全体に掛けるのならオンのままでかまわない。 トラック内の⼀部のみに掛ける場合は、掛けなかった個所と音量が変わってしまうので、オフがいい。 目次へ戻る

Page 23: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

曲と音声の合成 1. 先に、演奏曲(カラオケ)を読み込んでおき、次に合成したい音声ファイルをドラッグ&ドロップする。 2. タイムシフトツール( )を選択して、読み込んだクリップ(音声ファイル 1 つの単位)を、合わせたい位置

に移動させる 挿入したファイルの位置合わせの微調整は「拡大ツール」( )を使用すると微妙な調整ができる。 3. 「拡大ツール」を選択後にトラックをクリックすると、その都度拡大表⽰され、微妙な調整ができる。

5〜6回程度クリックして拡大すると微調整しやすくなる。 4. 音量を変更したい場合は、同じように「-」「+」と書いている部分のトラックバーを動かせば、それぞれの

トラックの音量を調整出来るので、ボーカルと演奏の音量バランスを調整する。 ボーカルの音量を上げるのではなく、強い方(カラオケ音源)を下げて合成する。 また、レベルオーバーしていなくてもボーカルの音が割れる時は、音量を下げてやることで解消される。

6. 「ファイル」→「オーディオの書き出し」から、好きな音楽形式を指定してファイルとして書き出す。 7.「オーディオの書き出し」で保存したファイルを「正規化」して下がったレベルを上げる。 目次へ戻る

Page 24: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

オリジナル楽曲作成の実際 1 マイクから35Cm 程度離れた⽴ち位置を基準とし、録音レベルが適正な大きさになるように [オーディオインター

フェイス] のレベルを設定する。声がこもる場合は離れるか、後からイコライゼーションパターンで調節する。 2 オーディオインターフェイスの設定。(録音レベルの設定)

コンデンサマイク使用時の設定(48V のファンタム電源を ON にする) Audacity MIC LEVEL ︓最大の 1.0 に固定。 UR22mkⅡ MIC GAIN ︓ 「9.5」でマイクと口の距離が 35Cm〜55cm 程度を基準とする。

(音がこもらない⼈は通常 20〜30cm 程度) MAX だとインジケータは点灯しなくても音割れが生じるのでダメ !

マイクと口の距離が近いと音割れする(50cm 以上離れる)

「PAD」スイッチを「-10」で使用した時の GAIN 最適位置 ↓ マイクと口の距離︓50cm

録音レベルが下がるので「GAIN」を上げている 「PAD」スイッチが「0」の時の最適位置 注︓これ以上(左図)GAIN を上げると音割れしやすくなるので、左図と右図の中間で設定する。 3 オーディオインターフェイスを接続起動後に Audacity を起動しないと、スピーカー出⼒から音が聞こえなくなる。 4 Audacity 録音レベルの設定。 上記のIFの設定に続き、ここでも録音レベルの調節をします。やはりここでレベルオーバーしてしまうと音割れに

つながってしまう。要はレベルメーターの⼀番右側に赤い線が入らないように、また波形が上下にくっつかないよう なレベルに調節するということである。色々試した結果設定は以下通り。 Audacity MIC LEVEL ︓最大の 1.0 に固定(レベル調整はオーディオインターフェイスで⾏う)

(ピークが -6 〜 -3dB 程度)35Cm 以上離れて歌う。近づくほど低音が強調されるので楽曲によって適度に距離 を調節する。

⾃分の声が聞こえないと音程が分からなくなるので、密閉型ではないヘッドホンを使って、⾃分の声を聞きながら 録音する。

目次へ戻る

[PAD]スイッチを押すことにより、「GAIN つまみを 2 時位置から 7 時位置まで下げる操作」

と ほぼ同じ効果を得ることができる。(楽器の録音時に使用する)

マイクのハイパスフィルター 80Hz(デフォルトは「0」)

Page 25: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

ノートパソコンのデバイスツールバーの設定(マイク設定はモノラルが⼀般的) ステレオ録音だと左右のどちらかにボーカルが録音されてしまい歌い手の定位置が中央に来なくなる。

上図は新規デスクトップ「静音 PC」での設定例 PC の音声出⼒にヘッドホンを押してモニターする

(AMP を通すと「0.1 秒」の遅れが生じる) Audacity MIC LEVEL は最大の 1.0 に固定する(マイク入⼒は「steinberg UR22mkⅡ」を指定) コンデンサマイクはオフマイク(口から 35cm 以上離す)。ダイナミックマイクはオンマイク(口を近づける)。

サウンドの設定で PC 内蔵の「realtek Higt Definition Audio」を指定する(※ 器材により異なる) 5 Audacity を起動して正規の音楽(CD、⼜はボーカルキャンセル)ファイルを開く。(またはドラッグする。) 6 録音を開始すると、新たに録音したトラックが追加される。(下図はデスクトップでステレオ録音した時のもの)

7 録音終了後、オリジナルの正規音楽ファイルを削除し、録音した音を無加⼯のまま保存する。 ⾃分でうまく録音できたと思うファイルはそのまま保存し、あとで色々なエフェクトをかけることができるように する。 目次へ戻る

ガイド曲の音量調整(スピーカー出⼒と連動)

マイク入⼒レベル︓1.0 に固定(ピークが絶対に「0dB」を越えないようにレベル調整はオーディオインターフェイスで⾏う。)

録音開始と同時にボーカルのトラックが⾃動的に挿入される。

この絵はデスクトップ PC でステレオ録音が可能な場合の状況。

Page 26: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

エフェクトの実際と合成

1 録音したファイルを開いて、音声に [リバーブ]、[エコー]、[イコライゼーション]・[ノイズ除去] 等の処理を⾏う。 エフェクトは性能の低いPCで⾏うと音質が悪くなるので⾏わない。(会社のPCはダメ !)

リバーブ設定(宅録の最適値) ルームサイズ (%)︓ 59

プリディレイ (ms)︓10 残響 (%)︓ 33(47) ダンピング (dB)︓ 50 大きく変化させてみたが、効果がよく分からないので、中間値で問題ない。 トーン Low (%)︓ 100 トーン High (%)︓ 100 ウェットゲイン (dB)︓ -1 ドライゲイン (dB)︓ -1 ステレオ幅 (%)︓ 100

エコー設定(宅録の最適値) ディレイ時間︓0.1(0.05) 減衰ファクター︓0.4 以上でエコーが効いていることが実感できる(0.1) ⾊々試した結果、エコーは使用せず、[リバーブ] と [イコライゼーション] のみを使用する。 2 エフェクトをかけたボーカルのファイルを保存する。(ノイズが気になる場合は「ノイズ除去」を実⾏する。) ノイズが比較的小さい場合のノイズ除去の設定は以下の通り ノイズの除去(dB)(N) 6〜24 感度(s) 0〜4 周波数平滑化(バンド)(F) 0

(ノート PC を使っての宅録ではノイズが小さいので、処理は不要) 3 ボーカルキャンセルした音楽ファイルを開く。(ドラッグでも読み込むことができる。) 4 その次に、エフェクトをかけた「ボーカルのファイル」をドラッグで追加する。 5 ボーカルキャンセルした音と、録音した音が⼀致するように、音声録音トラックをドラッグして位置を合わせる。 ピッタリ合わせて歌っても少しだけ遅れて録音されるので、 [拡大ツール] で5回程クリックして拡大し、ボーカル

の出だしを少しだけカットして合わせる。カットしすぎても [タイムシフトツール] で後方に移動できるので問題な い。

6 ボーカルと演奏の音量を適正に調整する。(ボーカル音量を上げてはいけない !) ボーカルの音量の方が小さく聞こえるので、カラオケ音源の方のレベルを下げて合わせる。

※ レベルオーバーしていなくてもボーカルの音が割れる時は音量を下げる。 ( -3〜 -6dB 程度下げてやれば間違いない )

「Ctrl」キーを押しながらクリックすると初期値(真ん中)に戻ります。 「Shift」キーを押しながらドラッグすると通常よりも細かい調整ができます。

7 「オーディオの書き出し」で合成したファイルを WAV 保存する。 8 カラオケ音源のレベルを下げて合わせているので、全体として音量が低下しており、合成保存したファイルを

「正規化」⼜は「レベラー」処理を⾏って「0dB」以内で最大のレベルまで引き上げる。 目次へ戻る

曲によって適度に調節する

曲によって適度に調節する

Page 27: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

音声を左右別々割り振って合成する方法 単純に”パン”を振り分けるだけ。(例えば、左からしか聞こえないようにしたり、右からしか聞こえないようにする。) 下図のように、各トラックの左の「L」「R」と書いている部分のトラックバーを動かして、パンを割り振ってやる。 割り振った後は、「ファイル」→「オーディオの書き出し」から、音楽形式を指定してファイルとして書き出してやれば 終了。

※ ちなみに音量を変更したい場合は、同じように「-」「+」と書いている部分のトラックバーを動かせば、それぞれ のトラックの音量を調整出来る。

目次へ戻る

Page 28: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

モノラルからステレオへ変換する方法

※モノラルからステレオへ変換するには、「モノラルトラックが 2 つ」必要である。 ▼2 つの「モノラルトラック」を以下の画像のように上下に並べて設置する。 ▲このように上下に並べた状態で、上にあるトラックの、トラック名横の▼マーク( )を押して、トラック メニューを開いて「ステレオトラック」の作成を選択する。 ▲するとステレオトラックが出来上がる。 ちなみにモノラルトラックの段階で、「左チャンネル」とか「右チャンネル」に設定しておく事が出来るが、それの設定 に関係なく、ステレオトラックにすると「上のトラックが左(Left)」「下のトラックが右(Right)」になる。 目次へ戻る

Page 29: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

ステレオからモノラルへ変換する方法

▼まずステレオの音楽ファイルを Audacity にドラッグ&ドロップして読み込む。 ▼次にトラック名横の▼マーク( )を押して、トラックメニューを開く。 「ステレオトラックを分離」と「ステレオトラックからモノラルへ」でモノラルトラックに変換できる。

「ステレオトラックを分離」を選択すると、「モノラルトラック」2 つに分離し、その分離した 2 つのモノラル トラックがそれぞれ「左チャンネル」「右チャンネル」に設定される。

「ステレオトラックからモノラルへ」を選択すると、「モノラルトラック」2 つに分離し、その分離した 2 つの モノラルトラックが「モノラル」に設定される。

完全なモノラルな音声にしたいなら「ステレオトラックからモノラルへ」を選択する。 ちなみにステレオ状態で「ステレオチャンネルのスワップ」を選択すると左右のチャンネルが入れ替わる。

変声

RoVee(ロビー)は、VST プラグインの 1 つで、主に以下の様なことが出来る。 男声への変声 ⼥声への変声 ロボット声への変声 犯⼈の声

以下のページからダウンロード出来る。 ソフトウェア – RoVee 1.21 | g200kg Music & Software

解凍したフォルダの中にある「RoVee.dll」を、Audacity の「Plug-Ins」フォルダの中に移動すれば、「エフェクト」の 中から使えるようになる。 目次へ戻る

Page 30: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

ポッドキャスト用のマスタリング処理

Audacity での音量レベルはデシベル単位で表⽰されるが、この単位は dB とも略記される。シーリングとなるレベルが 0db であり、これを超える音は歪んで再生されると思えばいいだろう。ポッドキャスト用の音声ならば、-7db から-14db の間にレベルを収めるべきだ。これは、最大音量側に適当な余裕を保ちつつ、かなり大きめの音量で再生される範囲であ る。また再生時の最大と最小の音量の差を 7db としておくと、聴き手の耳に優しくなる。ただし録音データが-14db を下 回っていても、心配することはない。実際私は、ここで解説するテクニックを使って、-25db 程度の低レベルで録音され たデータを復旧した実績がある。 Audacity は、音声を波形として表⽰する。この波形の上下の振れ幅が音量の大きさに対応するので、波形ピークの上下幅 が大きいセクションほど大きな音で再生される。ただしこうした波形からは、音量レベルについての概要しか知ることが できない。厳密なデシベル値を確認したければ、波形セクションの該当部を反転表⽰してから、Analyze -> Plot Spectrum を選択する。これによりデシベル値を⽰すグラフが、周波数スペクトルのポイントとして表⽰される(グラフ の左側に表⽰されるのがデシベル値の目盛り)。このグラフ上でカーソルを移動させると、対応する各ポイントのピーク・ デシベル値を確認することができる。 デシベル・レベルと同じくらい重要なのは、録音された音声の周波数帯である。周波数は、グラフ底部に数字として表⽰ される。この数字が低いほど音のピッチも低く(James Earl Jones のような声)、逆に高いほど音のピッチも高くなる (Mickey Mouse のような声)。⼈間の声であれば、Plot Spectrum のウィンドウの 86 ヘルツから 3 キロヘルツの間に最 大部が現れるはずである。つまり、トークなどの録音データのデシベル値を確認する際には、この周波数帯がどうなって いるかが問題となる。 Compressor の使用法の把握 Audacity の Compressor は、最も有用であるにもかかわらず、最も理解されていない機能の 1 つである。この機能を用 いると、設定さえ適切であれば、録音データ全体における音量のバラツキを⾃動的に補正できるからだ。つまりこれは、 Audacity に用意された Envelope ツール(詳細は後述)の⾃動バージョンだと⾔える。両者の違いは、録音データ全体を Envelope ツールで処理しようとすれば数時間がかりになるような場合でも、Compressor であれば数分で処理が完了する ことである。 Compressor を理解する上で混乱しやすいのは、この効果が 2 段階で施されるという点だ。まず 1 段階目では、指定値を 超過する部分の音声がすべて小さくされる。そして 2 段階目で、選択範囲全体の音量が大きくされる。1 段階目のステッ プは、いわば地ならし機をかけて不要なピークを取り除く処理である。こうして音量が大きすぎる箇所を取り除いてか ら、2 段階目で全体の音量を大きくすることで、録音レベルの小さすぎる箇所を補正するのである。このような 2 段階の プロセスによって望ましい結果を得るためには、ユーザによる設定値が重要な意味を持つ。 この処理を⾏うには、効果を施す録音部分を反転表⽰させてから、Effect -> Compressor を選択する。効果の設定ウィン ドウが表⽰され、Threshold、Ratio、Attack Time という 3 つの値をユーザ指定できるようになる。この中で最も重要な のが 1 番目の設定値である。Threshold の設定は、Compressor によるデシベル・シーリング値として機能する。つま り、この値以上の音声はすべて音量が小さくされる。ただし、この値以下の音声はそのまま残される。ここで指定すべき は、音量の最大領域を最小領域から 7db 程度に収めることのできる中で、最低の値である(Compressor を実⾏しても波 形に何の変化も生じなかった場合は、Threshold の設定が高すぎる)。 録音時に拾ってしまった不要なノイズを探して除去する ポッドキャストに関する不満の中でも、高すぎるバックグラウンド・ノイズはリストの最上位にくるだろう。⾃分の録音 環境でどのくらいのノイズが拾われるかを確認するには、Audacity を使って無音状態を録音してみればいい。そしてこの 録音データを反転表⽰させてから、Analyze -> Plot Spectrum を選択する。これにより、⾃分の録音環境で拾われるノ イズのデシベル・レベルをグラフとして確認することができる。 目次へ戻る

Page 31: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

たとえば、私が⾃分のポッドキャストを録音している⾃宅のオフィスで試してみたところ、ノイズ・レベルは-60db であ った。録音データの使用目的を考えると、これは⼗分な値である。許容できる最小値は-50db であるが、この程度でも無 理なく聞き取ることができる。⾃分の録音環境のノイズ・レベルが理想より高ければ、ノイズの発生源をすべて消してか ら、再度サンプリングを⾏ってみればいい。ノイズの発生源としては、エアコンやファンの駆動音が考えられるが、運が 悪いとデスクトップ・コンピューターそのものがノイズを出している場合がある。 Threshold の設定値を決めるにあたって私が初めに⾏うのは、Plot Spectrum ツールを用いて録音データ全体のデシベ ル・レベルを確認することだ。まず最初に、音量が最大となるセクション(波形中で最大のピークを含む部分)を反転表 ⽰させて、これらの値を確認する。そして次に、音量が最小となるセクション(波形中で最小のピークを含む部分)を反 転表⽰させて、同様の操作をする。たとえばピークの大きさが、最大セクションで-10db、最小セクションが-20db であ った場合、私であれば Threshold として両者の中間値の-15db を指定する。あるいはピークの大きさが、最大セクション で-5db、最小セクションが-25db であった場合、私であれば Threshold にはより低い-20db を指定するだろう。 この場合も Compressor によって最適な結果を得るポイントは、音量最大のセクションのレベルをできるだけ最小のセク ションに近づけるために必要となる、⼗分に小さな値を Threshold に指定することである。なお、2 段階目のステップで は全体の音量が高められるので、ここでの指定により音量を下げすぎてしまわないかに気を遣う必要はない。これが特に 当てはまるのは、音量の高低の差が著しいセクションが混在している場合である(VoIP ソフトウェアを介したインタビュ ーをするポッドキャスターの場合、こうした事態には常に遭遇することになる。というのも、手元にあるマイクロフォン は、遠方からの信号よりも大きな音量で音を拾うものだからである)。 2 番目の設定項目 Ratio は、Threshold 値を超過した部分に対する Compressor による減音のレベルを指定する。2:1 と いう指定値では、非常に穏やかな効果が施される。この場合、指定した閾値を超過するすべてのシグナルは半分に下げら れる。この比率を高く指定しすぎると音が歪むので、⼀般的にここの値はできるだけ小さな比率にしておくべきだろう。 ただし、録音データ中に Threshold 値をはるかに超える大音量部が存在する場合は、6:1 などの高めの比率を指定する必 要がある。 Attack time の値は、Threshold 値を超過した場合における Compressor の反応速度を指定する。私の好みとしては、よ り迅速に反応する 0.2 を指定している(より遅く反応する 0.5 を推奨する者もいる)。 最後に、「Normalize to 0db」というチェックボックスをオンにしておく。これは、2 段階目の増音をさせるための設定で ある。OK をクリックすると、Compressor による処理が開始される。気にそぐわない結果が得られた場合は、Edit -> Undo を選択して、異なる設定を試すことができる。Compressor を使いこなすには、何度かの試⾏錯誤が必要となる が、これはそれだけの労⼒に⾒合う機能である。 Envelope ツールによるクリーン・アップ処理 Compressor を使い込んでゆくと、この機能には 1 つの制限があることに気づかされるだろう。たしかに 0db へのノーマ ライズ処理は録音データの音量を高めるが、その増量の幅は、録音データ中の最大音量で規定されてしまう点だ。と⾔う ことは、孤⽴したスパイク状のピークが-2db で存在する場合、ノーマライズ処理は 0db 以上の音量を排除するのである から、この部分が基準となって全体の増音分は 2db に抑えられてしまうことになる。こうした制限は、録音データの残り の部分が-18db を下回っている場合に大きな問題となる。 機能的には、Compressor による増音処理の前に、こうした例外的なピークは⾃動的に排除されることになっている(そ もそもこうしたピークの排除はこの機能の役割である)。問題は、これらの⾃動処理が完全ではないことだ。私の経験から すると、突発的に出現するシャープなピークは⾒落とされる場合がある。対策としては、該当するピークをユーザ⾃身が 探し出して、手動で排除するしかない。 目次へ戻る

Page 32: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

Envelope ツール(左上にある砂時計形のアイコン)を選択する。波形をたどって、最初に出現する突発的なピークを特定 する。ピークを囲むように両側をクリックして、コントロール・ポイントを設定する。設定したコントロール・ポイント をドラッグして、ピークの下げ幅を指定する。上にドラッグすると音量は高くなり、下にドラッグすると音量は低くな る。細かい調整が必要であれば、より多数のコントロール・ポイントを設定することができる。問題のピークが周囲の波 形と同じ程度の高さになったら、次の処理すべきピークに移動して、同様の操作を繰り返す。 Amplify によるシーリングの変更 残存ピークの処理が終われば、最終的な増音処理を実⾏する。録音データ全体を反転表⽰にしてから、Effect -> Amplify を選択する。Amplify ウィンドウが表⽰されるが、その際には、増音させても 0db を超過して音を歪めることのない最大 値が⾃動的に提⽰される。アマチュアのポッドキャスターの場合、録音データの音量は小さくなりがちなので、この最終 ステップによる処理は重要である。 思ったほどの増音効果が得られなかった場合、原因としては、不要なピークが録音データ中に残存していることが考えら れる。録音データ全体に Envelope ツールによるスムージング処理を施すだけの時間的余裕がなければ Amplify を再実⾏ してもよいが、その際には「Donʼt allow clipping」チェックボックスをオフにしておく。これにより、Amplify ウィンド ウにあるデシベル・スライダーをドラッグして、より高い増幅値をユーザ指定できるようになる。ただしこの場合、残存 ピークは 0db よりも高い位置にはみ出すので、結果としてかなりの歪みが生じてしまう。よってこの方式を使用するの は、対象となるピークの幅が非常に狭い場合か、Envelope ツールでピークを手動で除去している時間的な余裕のない場合 に限るべきだろう。また、スライダー値を推奨値よりもあまりに高い設定にすると、全体の音が歪むので注意が必要であ る。

ピー音を合成する方法 1. Audacity に「ピー音」を入れたい音声を読み込む(ドラッグ&ドロップで読み込める)

2. メニューの「トラック」→「新しく追加」→「オーディオトラック」を選択する 目次へ戻る

Page 33: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

3. メニューの「ジェネレーター」→「トーン」を選択する

4. 表⽰されたダイアログを設定して「OK」をクリックする 1. 「波形」︓「サイン波」 2. 「周波数」︓「1000」 3. 「振幅」︓0.8(ピー音を最大まで大きくしたい場合は「1」にする) 4. 「継続時間」︓ピー音を鳴らしたい時間を設定する

(後からカットできるので⻑めに設定しておくと良い)

5. ピー音と重ねたい部分を削除する(Ctrl+Alt+X キーで選択範囲だけを削除できる)

6. タイムシフトツール( )に切り替える 目次へ戻る

Page 34: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

7. 追加した「ピー音」のクリップを、ピー音を入れたい位置まで移動させる

8. ピー音を削除した⻑さに合わせる(Ctrl+T キーでトリミングできる)

9. 「ファイル」→「オーディオの書き出し」から好きな音声形式で出⼒する

これでピー音を合成する事が出来ます。 ピー音以外の合成 「ピー音」以外にも、効果音(例えば拳銃の銃声音「バキューン!!」みたいな音とか)を読み込み → 合成という風にやっ て、ある特定のワードを隠すのも有りです。 以下のサイトで好きな効果音を探す。 http://commons.nicovideo.jp/search/tag/%E3%83%90%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%B3

目次へ戻る

Page 35: Audacityの使い方を分かりやすく解説tukko.art.coocan.jp/Audacity.pdf · 基本は6つのツール Audacityには波形を編集するための6つのツールが用意されている。赤線で囲ったのがツールアイコン群。

音声コーデックの種類と違い(MP3・AAC・WMA・WAV・Vorbis・AC3・FLAC 等)【フォーマット】

2015/9/22 2016/9/28 動画形式・コーデック 音楽ファイルのフォーマット・コーデックには様々なものが有りますが、それぞれに違った特徴が有ります。 このページでは、コーデックについての基礎的な事や、それぞれのコーデックについての違いなどを紹介します。 ※⼀緒に読めば理解が深まる記事

動画コーデック(H.264・VP9・MPEG・Xvid・DivX・WMV 等)の種類と違い 動画形式(AVI・MP4・MOV・MPEG・MKV・WMV・FLV・ASF 等)の種類と違い

目次 [隠す] 1 圧縮方法によるコーデックの違い 2 ファイルフォーマットの違いについて 3 コーデックの種類

o 3.1 非可逆コーデック 3.1.1 MP3 3.1.2 AAC 3.1.3 WMA 3.1.4 Vorbis 3.1.5 AC3 3.1.6 MP2

o 3.2 可逆コーデック 3.2.1 ALAC(Apple ロスレス) 3.2.2 FLAC 3.2.3 TAK 3.2.4 WMA lossless 3.2.5 Monkeyʼs Audio

o 3.3 非圧縮 3.3.1 リニア PCM

4 まとめ o 4.1 音質厨の⼈ o 4.2 そこまで拘らないけど音質は大事だよねって⼈ o 4.3 聴ければ何でもいいよって⼈

5 聴き比べてみよう 6 ファイルサイズについての補足

目次へ戻る