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粟木 一博（仙台大学） 平成27年8月23日（日）
•競技力向上のためのチームマネジメント
•競技向上のための情報とその活用
競技者育成のための指導法 ①
競技者育成のための指導法
トップアスリートを育てるために 〜指導者が持つべき視点〜
•競技力向上のためのチームマネジメント
•競技向上のための情報とその活用
チームとは何か？
競技力向上のためのチームマネジメント
チームとは、共通の目的、達成すべき目標、そのためのアプローチを共有し、連帯責任を果たせる補完的なスキルを備えた少人数の集合体である。
ハーバード・ビジネス・レビュー2004年12月号
「チームとグループは異なる」より
競技力向上のためのチームマネジメント
Team
Team
「全体の力は、部分としての個人力を集めたよりもはるかに大きい。
個人では決してなしえないことがチームなら可能となる。」
（スティーブ・ジョブズ）
競技力向上のためのチームマネジメント
スポーツ集団の構造
コミュニケーション構造
Y型 円型 X型 鎖型
スポーツ集団におけるリーダーシップ
PM式リーダシップ理論
集団の生産性 → PM Pm pM pm 仕事の満足度、凝集性 → PM pM Pm pm P機能とM機能の相互作用的な効果 スポーツ集団では 戦績 → PMが最も高い 成員のモラール → PM pM ＞ Pm pm 練習への参加率 → M機能との関連性が高い
スポーツ集団におけるリーダーシップ
状況適合論 （Fiedler, F. E., 1967）
LPC（Least Preferred Co-worker) この得点が高い人が人間関係重視型とみなした。 リーダーと成員との関係 ソシオメトリーにより、リーダーが成員にどれだけ受け入れられているかを測定 課題構造 やることが明確に規定されているものを構造的とした。 リーダーの権限
これからの集団（チーム）の在り方
競技力向上のためのチームマネジメント
• 成員の利益の多様性を認める。
• その総合体をチームの力と捉える。
• 個人の長所を生かし、個人の利益を保
障するようなチームづくり。
マネジメントとは何か？
競技力向上のためのチームマネジメント
マネジメント １ 経営などの管理をすること。
２ 経営者。管理者。「トップ―」 （参照：「大辞泉」）
競技力向上のためのチームマネジメント
「組織をして成果を上げさせるための道具、機能、期間がマネジメントである。」
ピーター・ドラッカー（1909-2005）
競技力向上のためのチームマネジメント
ドラッカーから学ぶ
マネジメントが対応すべき課題
1. 組織に特有の目的と使命を知る。
2. 仕事の生産性を上げて、働く人を活かす。
3. 社会的責任を全うする。
組織体が機能し、特定の成果を上げて社会に貢献するために取り組まなければならない課題
競技力向上のためのチームマネジメント
我々のチームは何なのか？
我々のチームは将来どうなるのか？
我々のチームは何であるべきなのか？
自チームの定義と使命の明確化
競技力向上のためのチームマネジメント
チームの定義・使命の明確化
チームの方向性を合わせる
（チームの定義・使命の共有）
競技力向上のためのチームマネジメント
If one does not know to which port one is sailing, no wind is favorable. 「そもそも、目的地を持たない船に順風は存在しないのだ」
Seneca
背景 社会的背景、取り巻く環境・情勢等
ニーズ 必要性、期待、要望など
ミッション 使命、存在意義
ビジョン 望ましい姿、めざす将来像
コンセプト 活動の基本理念
ゴール 目的
スケジュール 行動・活動計画
財源・予算 活動資金等
評価基準 活動の評価とその方法
競技力向上のためのチームマネジメント
トータルデザインされた全体構想
具体的強化計画の骨子例
目標 達成目標、強化目標
実力把握 競技レベルの評価、成績分析など
ライバル分析 ライバルの特定、対戦相手の分析など
方策・対策 パフォーマンス向上方策 パフォーマンス発揮方策 情報戦略の推進方策 スポーツ医・科学の活用 ドーピング防止対策 リスク管理
体制 強化体制、サポート体制
時間 マイルストーン（中間達成目標）
資金 予算計画
評価 自己評価計画（計画評価指標）
競技力向上のためのチームマネジメント
具体的強化計画（強化戦略プラン）の骨子
（日本オリンピック委員会の資料を基に作成）
マネジメント＝経営管理
経営管理とは、企業活動を円滑に行うとともに、企業の目的を達成するために、「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つの経営資源を調達し、効率的に配分し、適切に組み合わせる、といった諸活動のことである。
（参照：「Wikipedia “経営管理”」）
競技力向上のためのチームマネジメント
スポーツ現場での経営資源
•ヒト
•モノ
•カネ
•情報
•時間
•場
•知識
競技力向上のためのチームマネジメント
試合当日を考え、その日にマネジメントすべき「場」と、その場で扱うべき「情報」を考えて下さい。
競技力向上のためのチームマネジメント
試合 ロッカー
ウォーミングアップ
ロッカー
バス移動 補食 食事
15:00 14:00 13:30 12:00 9:00
ミーティング
試合のコンセプト
チームの使命
相手チーム情報
ミーティング
自チーム情報
試合当日の「場」と「情報」
競技力向上のためのチームマネジメント
ビデオ ホワイトボード ホワイトボード 紙資料
フレームワークを用いて 競技力向上のプロセスをマネジメントする
ステークホルダーズ・リレーション・マップ
SWOT分析
競技力向上を図るために、チーム外のどのような組織や人
物と関係性を分析する。
自チームの「強み」と「弱み」、外部環境にある「機
会」と「脅威」を分析する。
協力・連携が可能な組織・人物を把握する 活動の阻害要因となっている組織・人物を把握する
チームの行動戦略の策定
競技力向上のためのチームマネジメント
ステークホルダーズ・リレーション・マップを作成する。
競技力向上のためのチームマネジメント
メディア マスコミ
日本体育協会 国内競技団体NF
国立ｽﾎﾟｰﾂ 科学センター
JISS
日本 オリンピック 委員会 JOC
国際連盟IF アジア連盟AF 海外協会
医科学分野 病院 大学 研究所
国 ・文部科学省 ・日本ｽﾎﾟｰﾂ振興ｾﾝﾀｰ ・大使館
サポーター ・選手会･家族会 ファンクラブ 一般ファン
地域・支部
地域協会 都道府県協会
自治体 教育委員会 高体連 中体連
海外 ・アカデミー ・ナショナル トレーニング センター
企業
選手･スタッフ派遣先 スポンサー
業者
用具用品関係 旅行関係 合宿拠点
国内 トップチーム 企業，クラブ 大学・高校
国内外トップ チーム
ﾌﾟﾛﾌｪｯｼｮﾅﾙｴﾘｱﾁｰﾑ
アンチ ドーピング機構
WADA JADA
強化基盤
連携部門
コーチング 部門
競技者 育成部門
マネジメント
部門
NATIONAL TEAM
強化委員会内
情報・医･科学部門
(含む情報戦略部門)
（勝田 2001）
コミュニケーション Communication
競技力向上のためのチームマネジメント
SWOT分析の事例
•試合戦略・戦術の策定
•チームの中長期戦略の策定
競技力向上のためのチームマネジメント
『これからも応援よろしくお願いします』とは僕は絶対に言いません。応援していただけるような選手であるために、自分がやらなければならないことを続けていく、ということをお約束して、それをメッセージとさせていただいてもよろしいでしょうか。
（MLB・マーリンズ2015年1月29日入団会見でファンへ一言との質問に対して）
SWOT分析の事例
O （機会）
T （脅威）
S （強み）
積極的攻勢 回避戦略
W （弱み）
弱点強化 防衛策
SWOT分析の事例
O （相手チームの弱み）
T （相手チームの強み）
S （自チームの強み）
積極的攻勢 回避戦略
W （自チームの弱み）
弱点強化 防衛策
SWOT分析をやってみる
皆さんのチームの強みは？弱みは？ 皆さんのチームにとっての機会は？脅威は？
皆さんのチームがより良くなる戦略は？
競技力向上のためのチームマネジメント
•自チームの定義と使命の明確化
•経営資源を俯瞰（大局観）で捉える
•フレームワークを用いた分析を活かす
競技力向上のためのチームマネジメント
競技者育成のための指導法
トップアスリートを育てるために 〜指導者が持つべき視点〜
•競技力向上のためのチームマネジメント
•競技向上のための情報とその活用
量
質
不確実性
競技力向上のための情報の種類
インフォメーション
インテリジェンス
判断
1. 情報の収集・評価
2. 情報の加工
3. 情報の分析
4. 情報の提供・活用
競技力向上に必要な情報の活用
インテリジェンス・サイクル
公開資料（オシント）
90%
検索力
情報の収集
ＪＲＦＵ 2004
0
0.1
0.2
1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57 59
確率
ランキング
スキージャンプランキング分析
Funaki Kang
Kim Choi
KOREA
IT: Information Technology ICT: Information and Communicate Technology
情報の収集
分析での２つのアプローチ
定量分析：量的側面からの分析
定性分析：質的側面からの分析
情報の加工・分析
競技力向上に必要な情報の活用 日本オリンピック委員会（ＪＯＣ）と加盟５３団体の女性理事の延べ人数は７９から１００へと約２７％増加したことが分かった。（読売新聞, 2013.7.18）
道は２４日、道内の女子カーリング選手の強化・育成を目指す「北海道女子カーリングアカデミー」を開校する。道内トップレベルの３０選手が対象で、２０１５年に札幌で開かれる予定の世界女子選手権や、１８年のピョンチャン五輪などでのメダル獲得を目指す。（東京読売新聞, 2013.7.18）
文部科学省は、オリンピックでのメダルの獲得数を増やすためには、さらに女子選手の強化を図ることが重要だとして、女子選手に特化した支援事業を始めることになりました。事業では、各競技の強化選手を対象に、例えば、▽出産の前後でも可能な練習方法を指導して早期復帰を支援したり▽子育てと両立できるような練習メニューの相談に応じたりすることなどを検討しています。（NHKニュース, 2013.7.17）
2016年のリオパラリンピックでは過去の大会以上に多くの女性アスリートが出場する。また、ロンドンパラリンピックと比較しても、特に女性アスリートと支援が必要とされるアスリートを中心に、23の種目が追加されるとIPCが発表した。（IPC, 2013.7.5）
Gurdianレポートは、10代の女性がスポーツを辞めてしまうといった傾向に政府が対処すべきと指摘している。WSFF（Women’s Sport and Fitness Foundation）では51％の女子は学校スポーツと体育が嫌いで、45％はスポーツが競争的すぎると主張している。（TEACHERS WHO COACH, 2013/6/14）
UKスポーツのチェアマンであるRod Carr氏はハイパフォーマンスにおける女性コーチおよび障がい者コーチ数の増加させることの重要性を強調している。彼は、男子スポーツ・女性スポーツそれぞれの最高レベルのスポーツ現場で働く女性コーチが増えることは極めて重要なことだと述べ、障がい者スポーツの分野で我が国が進歩していたとしても、エリートパラスポーツで働く障がい者コーチがさらに必要であることを付け加えた。（UK Sport, 2013.6.12）
日本スポーツ振興センターは９日、ママさん選手の活動支援のため、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターの宿泊棟に未就学児の託児室を設置し、報道陣に公開した。五輪種目の強化指定選手らを対象にした予約制で、無料で利用できる。（共同通信, 2013.6.9）
日本レスリング協会は２０日の理事会、評議員会で、国際レスリング連盟が新設する女性委員会の委員に、世界選手権６度優勝の実績を持つ浦野弥生氏を推薦することを決めた。女性委員会の設置は、２０２０年夏季五輪でレスリングの実施競技存続に向けた改革の一つ。（時事通信, 2013.3.20）
奨学金と補助金がオーストラリアのスポーツシステムの中で女性アスリートがより力を身に付けキャリアを積めるようになるために提供される。３月８日の国際女性の日に、スポーツ大臣のケイトランディと女性地位向上大臣ジュリー･コリンズが女性プログラムの最新のスポーツリーダーシップ補助金に対する申請募集を開始した。（ASC, 2013.3.10）
IRBが、ウィメンズ･ラグビー･ワールドカップ、ウィメンズ･ワールド･セブンや国際ウィメンズ･ラグビーなどの大会を支援するための女性レフリーを育成するためのプログラムを立ち上げた。（Inside the game, 2013.2.23）
•情報の秘匿は、情報の還流を妨げる恐れがある
•情報の秘匿を防ぐには、情報の公開を推進する
情報を取り扱うモラル
Need to Know(知る必要性)の時代から Need to share（共有する必要性）の時代へ
SNS活用のリスクとモラルを考える
情報を取り扱うモラル
SNS活用のリスクとモラルを考える
情報を取り扱うモラル
情報を取り扱うモラル
