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(資料 3- 1 - 患者サービスの向上・上質化 に向けた基本的な考え方 28 年 2 月 12 日 大阪府立成人病センター事務局 サービス向上・上質化推進プロジェクトチーム

患者サービスの向上・上質化 に向けた基本的な考え方(2)患者サービスの質と量の向上に向けた取り組み ①体感待ち時間の短縮 ②癒し

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(資料 3)

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患者サービスの向上・上質化 に向けた基本的な考え方

平 成 2 8 年 2 月 1 2 日 大阪府立成人病センター事務局

サービス向上・上質化推進プロジェクトチーム

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目 次 1.はじめに

2.現病院の患者サービス・広報等の状況

(1)患者サービス・広報の状況 (2)患者サービス・広報の組織体制の状況

3.患者サービスの向上・上質化等に向け取り組むべき課題

4.患者サービスの向上・上質化に向けた具体的な取り組み (1)患者サービス及び広報に関する組織体制の整備に向けた取り組み

①患者サービス提供の実施体制

②広報の実施体制 (2)患者サービスの質と量の向上に向けた取り組み

①体感待ち時間の短縮

②癒し ③アート

④音楽

⑤笑い ⑥学び

⑦栄養サポート

⑧接遇向上 ⑨接遇研修・啓発

⑩NPO・ボランティアとの連携(地域や大学との連携)

⑪提案・意見箱の活用(PDCA)

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⑫落ち着く、癒しの香りの活用 ⑬患者の利便性を向上させるアプリサービス等の導入

⑭地域連携アプリの導入

⑮患者参加型コミュニティサイト ⑯病院内デジタルサイネージ

(3)戦略的な広報の展開に向けた取り組み

①コンセプトの決定 ②各種媒体による目的・ターゲットごとの広報の展開

③JCI認証取得

(4)財源確保に向けた取り組み ①寄付の募集充実

②広告収入の拡大等

5.今後の実行と検証について 6.終わりに

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1. はじめに

成人病センターに来院する殆どが、がん患者であるため肉体的だけでなく、精神的ストレス下にある。患者・家族の

視点では、特に精神的ストレスを軽減することが最も重要なことであるが、従来はがん診療の「早い・治る・安心」を

目標に医療プロセスを改善してきた。しかし今後は、身体的回復は勿論、病院の環境状況、たとえば医療スタッフや病

院職員の立ち振る舞い、患者待ち状況の改善、さらには、患者に対するイベントの開催など様々なサービスの提供を通

して、患者とその家族の精神的ストレスを軽減する、新たな試みとしての「癒される方策」を本格的に講じる必要があ

る。

また、新病院への移転に向けて平成27年末に策定した「新成人病センターの一層の発展に向けて」において、新病

院での様々な取組みを実現するためには、安定的な経営基盤の確保が重要であり、そのための方策のひとつとして患者

目線に立ったサービスの最大化にも取組み、患者や家族の満足度をより高め、公立病院としての新たなモデルとなる病

院を目指すこととしている。

そこで、何が必要なのかをセンター全体で考えていくため、この平成 27年 10月に「サービス向上・上質化推進プロ

ジェクトチーム」を事務局内に設置し、改革案の検討を行ってきた。

これまでの検討を踏まえ、今般、新病院への移転後を見据えた改善案を取りまとめたので報告する。

また、今後は、この報告書の内容をPDCAサイクルに則りながら、具体的に実施し、かつ定期的にその効果検証を

行っていくことが必要である。

2.現病院の患者サービス・広報等の状況 (1)患者サービス・広報の状況

現病院の患者サービスの状況は、調査の結果、約 30 事業存在する。その中には組織の再編により別の組織に

引継ぎがされたもの、引継がれることなく休止となったものもある。また、研修やセミナーについて、類似の趣

旨や目的で実施されているものもある。

成人病センターの広報の状況は、ホームページ上で、医療従事者向けの専門的な内容から医療スタッフの求人、

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患者向け情報など様々なコンテンツが提供されている。その一方で情報提供の対象(医療従事者、求職者、患者

等)が混在したホームページ構成になっており、利用者目線に立ったものとは言い難いという意見が関係者から

出ている。また、対外的な情報発信としてマスメディアの活用も病院側から積極的に行っている状況ではなく、

メディア側から取材があればその都度対応するという受動的な状況である。

さらに、上述の患者サービスの広報については、サービスの実施主体が広報主体となっているため、各主体で

独自の広報を行っている。その結果として、対象者が同じ研修やセミナー等のサービスであっても異なる広報先

や広報媒体を設定している現状がある。また、各実施主体を一元的に管理する組織がなく、広報先や広報媒体、

財源等について、統一的なルールが定められていない状態となっている。

(2)患者サービス・広報の組織体制の状況

現在、患者サービスを行っている組織(関係組織、部門)は下記≪関係組織・部門一覧≫のとおりである。複

数の関係部門が、並列に存在し、各サービスについて独自に企画・立案している状況にあり、各部門が十分に協

力・連携を行うための体制が整っていない状況である。

成人病センターの広報の組織体制は、事務局の総務 Gでホームページの管理を総括的に行っているが、ホーム

ページの更新の権限は各部門にあり、全ての情報を総務 Gで管理するのは難しい状況。ホームページの更新の必

要が生じた際は、各部門が医療情報部の関係部門であるコンピュータ室(委託先:SCSK)に対して依頼を行うと

いう体制になっている。

また、患者サービスの広報の組織体制は、患者サービスの提供主体と同一であり、各主体の権限や位置づけは

並列の関係となっている。広報手段についても別個・独自に検討している状況にあり、その広報戦略立案の過程

においても、協力・連携のための体制が整っていない状況である。

≪関係組織・部門一覧≫

事務局(総務G・施設保全G・医事G等)、看護部、内科外来、医療安全管理部門、感染対策部門、緩和ケアセン

ター、呼吸器内科医局、地域医療連携室、大阪成人病予防協会、大阪対がん協会、産経新聞 など

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3.患者サービスの向上・上質化等に向け取り組むべき課題

以上から下記の課題があると考えられる。

(1)患者サービス及び広報に関する組織体制の整備

(2)患者サービスの質と量の向上

(3)戦略的な広報の展開 (4)財源の確保

4.患者サービスの向上・上質化に向けた具体的な取り組み 上記の課題を踏まえ、各課題に対応する下記の具体的な取り組みを実施する。

(1) 患者サービス及び広報に関する組織体制の整備に向けた取り組み

今後、公立病院として新たなモデルとなる病院を目指すためには、広報や患者サービス提供を一元的に管理・

調整する組織が必要であり、さらに民間がもつ様々なノウハウを吸収・活用する必要がある。

①患者サービス提供の実施体制

患者へのサービスについて、情報等を一元管理しマネジメントを行う必要がある。また、既存のノウハウを

はじめ、民間のノウハウの取得・蓄積による事業の継続性を担保することが重要となる。更に改善を行うため

の効果検証を行う体制も必要である。そのためには患者サービスや情報を一元的に管理する組織体制が不可欠

であり、既存の事務局の組織を再編し広報部門を設置するなどの対応を検討する必要がある。当該部門は各サ

ービスを実施する委員会等組織の上部組織として位置付け、経営資源である予算や情報を一元的に管理する司

令塔機能を担い、運営に関する責任を負う。具体的には下記の機能を付加する。

(ⅰ)情報等の一元化

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従来、各委員会等組織で個別に実施していた事業について、予算化も含め一元的に把握し効率的・効果的

な事業実施を図る。

(ⅱ)年間スケジュールの集約・調整機能

各委員会等組織で個別に作成し個別に管理していたスケジュールについて、年度初めに総務・企画 G(仮

称)で把握し管理する。サービスが年間を通じて安定供給されるよう提供時期の調整を行う。

(ⅲ)患者サービス実施のための協力団体等との調整

サービス実施にあたっての協力団体等との調整を行い、安定したサービスを供給できるようにする。後述

するボランティアや NPO等との調整も含む。

②広報の実施体制 サービスに関する広報は、報道機関・患者・府民等に向けて最大限効果的に実施するため、情報を一元管理

しマネジメントを行う必要がある。また、継続的に広報活動を実施し、ノウハウを蓄積するための体制を構築

し、効果検証を行っていく必要がある。そこで、先述の「総務・企画 G(仮称)」の機能強化を行う。具体的に

は下記の取り組みを実施する。

(ⅰ)広報人材の確保

既存の人材では、メディアに対する「攻める広報」(メディアからの取材を受動的に待つのではなく、自ら

積極的にメディアと連携し情報発信する広報)など、対外広報に関するノウハウがないため、当面は民間

機関と連携・協力し広報戦略を立案し実行する。その過程でセンター内に広報のノウハウを蓄積し、将来

的には自立した広報運営を目指す。

(ⅱ)広報機能の強化・一元化

広報機能のツールとして最も効率的・効果的なものがホームページ等のIT活用である。患者とその家族

目線に立った、適切な情報を発信できるホームページを早期に策定し常に新しい情報の発信を行う。

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また、事務局内に広報担当者を配置し、ホームページや名刺に掲載等してマスメディアなど外部機関等へ

周知することにより、取材する側がアプローチしやすい体制を整える。

(ⅲ)広報に対するセンター職員の意識改革の推進

・定期的にセンター職員に対するセミナーを開催する。(プロに講師依頼)

・電子カルテ及び勤態端末の掲示板への定期掲載

・広報ハンドブックの作成 など

(2)患者サービスの質と量の向上に向けた取り組み

今後は、患者サービスについて以下のように目的ごとに類型化することで、重複サービスの統合による質の向

上及び新規サービスの導入による量の向上を目指し、多面的な患者サービスにより患者ニーズを捉え、効果的に

満足度を高める取り組みを展開する。

①体感待ち時間の短縮 外来診療を 750名体制に縮小することに伴い、新病院では診察室に余剰が生じることから診察室を活用した患者サ

ービスの向上・上質化を早急に検討していく。そのため外来患者には待ち時間等を知らせるメール配信やPHSの

配布を行い患者の待ち時間のストレス軽減を図る。

〇学びや憩いを活用した待ち時間の解消

・CD・DVD・本レンタル等の実施

新病院2階の外来診察室を利用し、患者向けに CD・DVD・本のレンタルを行う。患者に待ち時間を有意義に過ごし

ていただき、体感待ち時間を短縮することを目的に実施。外来診察室は 67室の内、診察利用は 40室程度となる

見込みから診察室に空きが発生するため、当該スペースを有効活用する。

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※DVDは病室内の床頭台にあるブルーレイプレイヤーにて再生可能であるため、入院患者を対象として想定。

・図書室の開放

待ち時間や入院期間を有意義に過ごせるよう、新病院5階の図書室を患者や家族等に開放することは可能かを検

討する。図書室はスタッフエリアにあるため、実施にあたっては、ICカード貸出等セキュリティ面の検討が必要。

・外来書棚の充実

外来に設置している書棚について、職員からの本の寄付又は新聞・本・週刊誌等購入により充実を図る。

患者が待ち時間に閲覧したり、次回の来院まで持ち帰って読めるような仕組みを構築する。

・ネット閲覧スペースの設置

ネットの閲覧が可能なスペースを新病院に設置。情報コンセント及び LANケーブルを用意し、患者等の PC等を接

続できるようにする。なお、新病院には別途「がん情報コーナー」の設置を予定しており、そちらにも2台程度

PC用の LANケーブルを用意する。

(新病院では wifiが設置されるが、アクセス権限をどの程度オープンにするかは今後の医療情報側での検討課題

となっている。)

・外来テロップの放送

外来のモニターでコンテンツを放送し、患者への情報提供、体感待ち時間の短縮を行う。

コンテンツは病院側で作成するものやデジタル配信、DVDなどを検討する。

また、コンテンツに広告を入れることで広告収入も検討する。

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・カラオケ

患者がストレスを解消できるようにカラオケルームを設置する。

⇒場所の防音性、運営主体、実現可能性の検討が必要。

・マッサージ

患者が外来待ち時間に利用できるようなマッサージコーナーを設置する。

利用料は有料とし、混雑し過ぎないようにする。

⇒運営主体、体制の検討が必要。

・足湯

足湯を設置し開放することで、患者が苦痛に感じる待ち時間をリラックスタイムに変える。

⇒場所、感染対策上の課題の検討が必要。

・仮眠スペース

体調の悪い患者が横になれるスペース(畳等を活用など)を提供することで、少しでも楽に待ち時間を過ごして

いただけるようにする。外来の一角の利用を検討する。

〇食や生活を活用した待ち時間の解消

・障がい者のパンの販売

障がい者の手作りパンを販売できるよう、患者が来る時間帯にスペースを設置する。

⇒三菱電機ライフサービス㈱が運営するコーヒーショップと競合する可能性があるため、調整が必要。

運営主体の募集(大阪府からの紹介も検討)。

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・フルーツジュースバーの設置

フルーツジュースを販売するスペースを提供。患者にとっては待ち時間に新鮮なジュースを楽しむことができ

る。

・飲食スペースの設置

外来診察室(空き)を利用し、コンビニ、カフェ、フルーツジュースバー等で購入したものを待ち時間に飲食

できる場を提供する。病棟ではデイルームがそのような機能を果たすが、外来にはないため、導入を検討する。

・ビアガーデン(ビアホール)等の設置

利便施設の一環として、新病院にビアガーデン(ビアホール)を用意し、患者、患者家族、面会者等にアルコ

ールの提供を行うことが可能かどうか検討する。

場所はレストラン、コーヒーショップ、ガーデンスペース等を検討。

・大阪産の販売(マルシェ)

患者が外来待ち時間に利用できるようなマルシェを設置し大阪産の野菜等を販売する。

場所は2階の外来診察室(空きを利用)を検討。

⇒野菜だけでなくフリーマーケット、障がい者の手作り商品等の販売も視野に入れて検討する。

・店舗の増設等

患者が外来待ち時間に利用できるようなブティックや旅行代理店など店舗を設置する。

月替わり、週替わりなど飽きさせない工夫を盛り込む。

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⇒運営主体、体制の検討が必要。

・フィットネス

外来診察室(空き)を利用し、ヨガスペース、Gym マシンを用意し、患者が外来待ち時間にストレス解消、健康

増進、免疫力向上を行うことができるスペースを提供する。

②癒し ・七夕会、クリスマス会、看護の日

患者が参加する七夕会、クリスマス会、看護の日のイベントを行い、患者の満足度向上を図る。

・イルミネーション

冬季に中庭のイルミネーションを実施し、患者に対して癒しを提供する。

・川柳の募集・投票・表彰

テーマを設定し、職員に対してテーマに関するユーモアのある川柳の募集を行う。応募作品は一定期間掲示板

に掲示する。患者や職員の投票により、優秀賞を決定し表彰を行う。

患者がより楽しめるように、患者投票だけではなく、患者から川柳を募集することも検討する。

・観葉植物などの設置

外来など、無機質な病院環境の院内に緑を取り入れることで患者に癒しを提供する。

③アート

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・「大阪府現代アートの世界に輝く新星発掘アートプロジェクト」とのコラボ

成人病センター内に同コーナーを設置し、協賛団体賞の作品を含む公募展入選作品の中から数点を展示する。

・写真・絵画のリース

写真や絵画のリースを行い、アートコーナーに展示する。定期的に入れ替えを行いながら、継続し

て患者に楽しんでいただくスペースとして展開し、患者の体感待ち時間の短縮に繋げる。

④音楽

・大阪センチュリー交響楽団のほか府内の交響楽団と連携した演奏会の開催(大講堂などを利用)

・大学等との連携による演奏会の開催

・外来に BGMを流す

・Audio Roomを用意し、患者等が周囲に気兼ねなく音楽を楽しめるスペースをて提供(外来診察室(空き)を利用)

⇒防音性の検討等が必要

⑤笑い

新病院1階の大講堂やエントランス等を活用し、ワッハ上方やお笑い事務所等と連携して「笑い」を提供する企

画を展開し、患者、患者家族、面会者等の満足度向上を目指すとともに、笑いにより免疫力を高め、患者の治療

に活かす。

※笑いには、ナチュラル・キラー細胞の働きを活性化させ、がん細胞を破壊する効果や、ストレス関連ホルモン

を低下させ、血糖値の上昇を抑える糖尿病への効果が指摘されている。

・ワッハ上方との連携

・若手芸人の発表の場の提供

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お笑い事務所等から定期的に若手芸人が派遣される仕組みを構築。派遣される芸人や発表内容については、

お笑い事務所等でプログラム編成をしてもらう。成人病センターは大講堂や中講堂といった発表の場所を提

供する。

・DVDの上映

寄席や漫才等のお笑いに関する DVDを購入又はレンタルし、上映する。

著作権法上の課題の整理、上映場所(外来モニター、大講堂、外来診察室(空き)等)を検討する。

⑥学び

・府民・患者向け講座の実施

府民や入院患者を対象に、成人病公開講座、ちゃ・ちゃ・ちゃセミナー、膵がん教室、肝臓病教室、チーム SPRASH

副作用マネジメント教室、がんフォーラム、国際シンポジウム等を実施し、がんや治療に関する啓発を行う。

・がん就労の相談体制

大阪府商工労働部と連携し、がん患者への就労に関する相談や情報提供など、がん患者の就労を支援する。

・パネル展示

成人病センターの歴史パネルを設置し、患者や来院者への成人病センターに対する理解を深めてもらう。

・各種パンフレットの専用コーナーの設置

現在、さまざまな場所に置かれているパンフレットやチラシなどまとめて、1ヶ所で管理し、その場所に行け

ば患者が求めている情報が得られるようなコーナーを設置する。国際化に対応し、パンフレットは英語、中国

語、韓国語にも対応する方向で検討する。

⇒患者総合相談室の付近に設置

⑦栄養サポート

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・メディカルレシピを活用した弁当の販売など栄養サポートを実施する。

⑧接遇向上

・コンシェルジュの配置

新病院エントランスの総合案内にコンシェルジュを配置する。患者や来院者の案内を行い、患者の満足度を高

める。また、国際化に対応し、外国人患者へのホスピタリティを高めるため、英語、中国語、韓国語を話すこ

とのできるコンシェルジュの配置も検討する。

・電話交換手の早朝対応

委託契約の仕様書を変更し、電話交換手の対応時間の延長を検討する。

・医療相談(電話相談)の対応

患者から医療・治療の内容について電話があった場合に、状況を確認し、アドバイスや適切に医師、看護師、

薬剤師等に引き継げる窓口を設置する。

・職員のユニフォーム(制服)の更新

患者に接する職員のユニフォーム(制服)を上質かつ上品で好感の持てるものに更新する。

⑨接遇研修・啓発 職員に接遇に関する研修や啓発を行う。

○研修

・接遇全体研修

・接遇研修(新採医師・レジデント、看護助手・クラーク等)

看護部が主催する研修と、患者サービス向上委員会が主催する研修により、職員の接遇スキルを高め、患者満

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足度向上に繋げる。

○啓発

・接遇マナー新聞の発行

・スマイルカードの贈呈

・接遇大賞の選定・発表 など

⑩NPO・ボランティアとの連携(地域や大学との連携)

・地域、大学、NPO法人等と連携し、ボランティアの開拓及び体制の構築を図る。

・地域の団体との連携

例)社会福祉協議会との連携、地域の女性団体の植栽、手入れ等の協力など

・大学の開拓及び連携

例)森ノ宮医療大学、府立大学をはじめ看護系大学の学生ボランティア体制を構築、病棟や外来での支援を

実施

・NPO法人等の連携

例)大阪ボランティア協会、日本病院ボランティア協会と連携し、ボランティアの研修をはじめ協力体制を

構築

※ボランティアは有償で行い、1回あたり交通費+若干の謝礼(1000円程度)支給等を検討

⑪提案・意見箱の活用(PDCA)

患者からの成人病センターに関する提案・意見を広く募集する。

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⑫落ち着く、癒しの香りの活用 患者の滞在エリアにおいて、精油(エッセンシャルオイル)、または精油の芳香や植物に由来する芳香を用いて、

病気や外傷の治療、病気の予防、心身の健康やリラクゼーション、ストレスの解消などを目的としてアロマセラ

ピーを実施する。

⑬患者の利便性を向上させるアプリサービス等の導入

下記のアプリサービスをはじめ患者サービス向上を図るITシステムの導入を検討する。

・アイチケット

主に子持ちママがスマホから予約、病院の待ち状況を確認できるアプリと、病院の診療予約システムを運営

(全国 1,400クリニックに導入実績)。併せて病院の待合室においても院内サイネージで連動し、待ち時間の負担

軽減を図っている。

・スマート病院会計

病院会計を待たずに、後日病院の診察料や調剤薬局の薬代を携帯電話料金とまとめて支払えるサービス(ソ

フトバンクが平成 27 年 12 月からサービス開始)。新病院に限らず現病院からの導入も含めて検討。クレジッ

トカード決済と比較して、決済手数料の削減、未収金の削減、回収の短期化(翌月 15 日)など病院経営上の

収支改善としてのメリットもある。

なお、NTT DOCOMOが同様のサービスで対象を DOCOMOユーザーに限定せず、各キャリアに拡大したサ―ビスを

近々リリース予定であるので、動向を見極め、早期に導入することを検討する。

⑭地域連携アプリの導入

・Welby

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中核病院での臨床検査データを、患者が記録する Welbyの PHRデータへ搭載。地域のかかりつけ診療所にも同

データを患者が持参することで、地域の病診連携を図っている(徳島大学病院と実証実験を実施中)。

・エイル

スマホベースで地域医療連携を可能とするシステムを構築。

⑮患者参加型コミュニティサイト

下記事例のような患者への情報提供ツールとしての患者参加型コミュニティサイトの利用を検討する。

・国立がん研究センター 「がんと共に働く」

日経 BP社と組んで、癌と闘病しながら働く人々の参加型サイトを運営。

運営は、国立がん研究センターの自前の広告費用で行っている。

・TOBYO 日本の闘病記録

日本の患者の闘病記録のブログのポータルサイト

患者が同じような疾患を持つ同年代の患者の闘病記録を閲覧することができる。

また、全国の癌の闘病ブロガーが話題にしている病院をランキングで掲示している。

運営は、一般の広告費で行っている。

⑯病院内デジタルサイネージ

下記事例のようなデジタルサイネージを検討する。

・医療情報基盤

病院は無償で設置・運営が可能(かかるのは電気代程度)。

医療者向け病院内放送をサイネージで行うシステムを運営。

医療者向けの製品ブランド名ありの広告実施が可能で、製薬会社の広告費で運営。

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(資料 3)

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・メディアコンテンツファクトリー

患者向け・待合室向けサイネージを運営。

製薬会社からの一般患者向けの啓発広告や、特保の飲料等の商品広告を掲載。

・アイチケット

患者向け・待合室向けサイネージを運営(上述、診療予約システムも運営)

製薬会社からの一般患者向けの啓発広告や、特保の飲料等の商品広告を掲載。

(3)戦略的な広報の展開に向けた取り組み

①コンセプトの決定

≪要素≫

・特定機能病院としてトップレベルのがん医療の提供

・都道府県がん診療拠点病院としてがん医療の体制づくり

・医療における国際貢献の実施

・患者目線に立った様々なサービスの提供

②各種媒体による目的・ターゲットごとの広報の展開

(ⅰ)ホームページの策定 新病院開院半年前(平成28年9月)を目標に策定

⇒前述(3)①のコンセプトに基づいて募集要項等を作成し、公募型プロポーザル方式により選定した事業者に

業務委託

〔目的〕1.新病院開院までに成人病センターを広く周知する

2.「患者目線に立った高度ながん医療」を院外へ広報する

策定に併せて下記事項を検討する。

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・Web経由での寄付の仕組み作り

寄付に対する手続きを簡素化し、寄付を行いやすい環境を整える。

・サービス提供カレンダーを新設

公開講座や各種イベントの提供スケジュールを一元的に情報提供し参加を促す。

・外国語(英語・中国語・韓国語等)への対応

(ⅱ)スマホサイト開設による患者誘導

・患者及び家族を対象としたスマートフォンサイトを作成し、積極的に活用する。

・ホームページ策定と同時期に作成し、統一感を出す。

(ⅲ)新病院プロモーションビデオの制作

・新病院を紹介するプロモーションビデオを制作し、外来のモニターにて放送するほかマスメディアをはじめ積

極的な活用を図る。

(ⅳ)院内掲示板の活用

・センター職員の出演情報などを院内掲示板にてお知らせする。

・講座をお知らせする専用掲示板の設置

外来等にセンターで開催する上記講座等の専用掲示板を設置する。

(ⅴ)パンフレット等の作成 ・新病院開院に向けてのパンフレット、リーフレットの作成(外国語(英語・中国語・韓国語)を含む。)

(ⅵ)マスメディアの活用

・センター職員出演のテレビ番組

・大阪府記者クラブへの情報提供

③JCI認証取得

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病院の国際標準の安全基準となっている Joint Comission International(JCI)認証取得を検討する。

(JCIは聖路加国際病院や亀田総合病院、メディポリス国際陽子線治療センター等が取得している。)

近年、メディカルツーリズムで渡航する外国人患者は、病院が JCI 取得かどうかに注目するようになってきてお

り、医療の安全性向上とメディカルツーリズムの受け入れ拡大を同時に目指す全国の病院において JCI の関心が

高まっている。

(4)財源の確保に向けた取り組み 本取り組みを実施するにあたり、下記により必要な経費の財源の確保に努める。

① 寄付の募集充実

・一般研究基金

継続実施。Webからの寄付も可能にするよう検討する。

・寄付箱の設置

病院 1階の会計付近に寄付箱を設置。寄付に対する手続きの負担を軽減し、潜在的寄付者からの寄付金の拡大

を図る。特に小口での寄付を気軽に行うことができるようにする。

・自動販売機の設置

新成人病センター内の自動販売機は、SPCの構成会社である三菱電機ライフサービス㈱が設置するが、その自動

販売機の売り上げの一部を寄付として納めていただくよう協力を依頼する。

・寄付者ボードの設置

新病院建設のための調査・設計費、工事費や医療機器購入などのために、「大阪府立成人病センター施設整備基

金」を設置しているが、当該基金への寄付者の名前を掲載する寄付者ボード(銘板)を新病院 1階のレストラ

ン前に設置し懸賞を行うなどし、寄付の気運を高める。

Page 22: 患者サービスの向上・上質化 に向けた基本的な考え方(2)患者サービスの質と量の向上に向けた取り組み ①体感待ち時間の短縮 ②癒し

(資料 3)

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② 広告収入の拡大等 ホームページや様々なパンフレット等に広告を募り、患者サービス等のための財源の確保に努める。

また、本取り組みを実施するにあたり、協力企業の参画を積極的に開拓していく。

5.今後の実行と検証について

この報告書で示した改革案の実行を今後担保していくため、PDCAサイクルに則り、各委員会等組織のサービス

提供実績(動員数、広告効果、患者満足度)や実績を達成できなかった場合の要因などについて定期的なヒアリング

を実施する。

あわせて、このヒアリングを通じて、効果の検証と、効果が得られなかった場合の原因究明を行うとともに、必要

に応じて改革案の見直しを行うこととする。

6.終わりに

新病院は、単なる移転でなく、患者に対して充実した環境が整備されるとともに、それに向け、今まで以上の経営努

力、患者満足度の向上が求められる。そのためには、今回提示した改革はぜひとも必要と考えるが、それを実行するの

は各委員会等組織、職員である。また新病院については、「患者サービスの向上・上質化」はもとより、「確かな経営基

盤の強化」や「ITの活用」からの取り組みも重要である。

今後は新病院が医療水準だけでなく、質の高い患者サービスの提供など文字通り全国トップ水準の病院となるよう、

病院一体となった取り組みを行っていく必要がある。