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Contents National Hospital Organization Kyushu Cancer Center 2016 年 秋季号 36 発行所 ● 福岡市南区野多目3丁目 1-1 独立行政法人国立病院機構九州がんセンター 編集発行 ● 広報部会 印刷 ● 陽文社印刷㈱ 九州がんセンター癒し憩い画像データベースより(http://iyashi-ikoi.net/) 2016 年 地域に根ざしたがんセンターを目指して …2 第2回健康フェスタを開催して… 3〜5 緊急緩和ケア病床の整備と緩和ケア地域連携…6 薬剤部の紹介…………………………… 7 放射線部の紹介………………………… 8 臨床検査科の紹介……………………… 9 栄養科の紹介………………………… 10 膵がんについて……………………… 11 食道胃接合部癌に関して…………… 11 喉頭癌(声門)T3症例の成績……… 12 乳癌検診のあり方について………… 12 九州がんセンターの新しい顔… 13〜14 医事統計……………………………… 15 外来担当医一覧表…………………… 16

National Hospital Organization Kyushu Cancer …...National Hospital Organization Kyushu Cancer Center 九州がんセンター 院長九州がんセンタ院長 藤 也寸志藤 也寸志

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Page 1: National Hospital Organization Kyushu Cancer …...National Hospital Organization Kyushu Cancer Center 九州がんセンター 院長九州がんセンタ院長 藤 也寸志藤 也寸志

C o n t e n t s

N a t i o n a l H o s p i t a l O r g a n i z a t i o n K y u s h u C a n c e r C e n t e r

2016 年 秋季号36発行所 ● 福岡市南区野多目3丁目 1-1 独立行政法人国立病院機構九州がんセンター|編集発行 ● 広報部会|印刷 ● 陽文社印刷㈱

九州がんセンター癒し憩い画像データベースより(http://iyashi-ikoi.net/)

2016 年 秋

地域に根ざしたがんセンターを目指して… …2

第2回健康フェスタを開催して… 3〜5

緊急緩和ケア病床の整備と緩和ケア地域連携……6

薬剤部の紹介……………………………7

放射線部の紹介…………………………8

臨床検査科の紹介………………………9

栄養科の紹介………………………… 10

膵がんについて……………………… 11

食道胃接合部癌に関して…………… 11

喉頭癌(声門)T3症例の成績………… 12

乳癌検診のあり方について………… 12

九州がんセンターの新しい顔… 13〜14

医事統計……………………………… 15

外来担当医一覧表…………………… 16

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nnnaaaalll HHHHHoooosssspppppiii tttaaalll OOOOrrrrggggaaaannniiizzzzaaaaattt iiiioooonnnn KKKKyyyuuuussshhhhuuuu CCCCaaannnnnccccceeeeerrrr CCCCCeeeennnnnttttteeeeerrrrrNNNNaaaatttt iiiioooonnn

九州がんセンター 院長 藤 也寸志

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九州がんセンタ 院長 藤 也寸志

地域に根ざした  がんセンターを目指して

九州がんセンターは、本年3月1日に全面

建て替えによる新病院がオープンし、新たな

一歩を踏み出しました。「患者さんにもご家族

にもスタッフにも優しい日本をリードするがん

専門病院」を新しい九州がんセンターのビジョン

として掲げ、さらに『世界トップレベルのがん

専門病院』を目指していこうと思います。そのた

めの第一歩が、まず『地域にしっかりと根ざした

地域の方々のためのがんセンター』になることだ

と思います。

超高齢社会が到来し、がん患者さんは今後

も当分の間増加し続けます。がん患者さんやご

家族、さらに地域の医療関係の皆様の希望や

期待を受け止めながら、九州がんセンターは単

なるがんの治癒率の向上だけでなく、スタッフ

全員の力を結集してがん患者さんやご家族のサ

ポート体制を充実し、生活の質や満足度の向

上を求めていかなければなりません。新病院で

は、患者さんやご家族の相談支援やがんの情報

発信のために、『がん相談支援センター』を強

化拡張し、新設した『緩和ケアセンター』、大き

な『患者サロン』、『アピアランスケアルーム』、

『患者図書室』とともに玄関横に集結させ、

<患者・家族支援センター>として機能させてい

ます。

新病院では、胸腔鏡・腹腔鏡手術の推進

のための手術室や外来化学療法センターの大

幅な拡充に加えて、世界最高機能の放射線治

療装置2台を含む3台のリニアックを備えた

<高精度放射線治療センター>、放射線診断部

への PET/CT や高精度 CT の新設など、最高

のがん医療を提供するための設備もさらに充実さ

せました。これらの設備を地域医療者の皆様に

是非ご利用いただければと思います。

さらに、九州がんセンターの使命の一つ

である臨床研究にも力を入れていきます。

<臨床研究センター>を中心として、既に極めて

多くの医師主導臨床試験や第1相試験を含む新

薬の治験(世界規模で行われるグローバル試験

を多く含む)を施行しており、この分野で既に日

本のリーダー施設の1つになっています。

今後は、認知症を持つがん患者さんの治療

やケアなど新たな問題も生じてきています。地

域の皆様のお力添えをいただきながら、一つ

一つの課題を確実にクリアーできるように頑

張っていきたいと思います。九州がんセンター

のさらなる充実を図り、また地域のみならず日

本のがん医療の発展のため、そして何よりが

ん専門施設として、病院の基本理念<私たちは

「病む人の気持ちを」、そして「家族の気持ちを」

尊重し、温かく、思いやりのある、最良のがん

医療をめざします>を常に考えながら、それらに

十分にお応えするために精一杯努力したいと存じ

ます。皆様方のご指導ご鞭撻の程、何卒宜しく

お願い申し上げます。

2

Page 3: National Hospital Organization Kyushu Cancer …...National Hospital Organization Kyushu Cancer Center 九州がんセンター 院長九州がんセンタ院長 藤 也寸志藤 也寸志

前日までの雨が嘘のように上り、秋晴れの天気のもと、

「九州がんセンター第二回健康フェスタ」を開催しまし

た。目的は、昨年と同様に地域の方々や患者家族の皆

さん方を対象に、がんに対する知識や健康に対する意識

を高め、また、真の当院の機能などを知っていただくた

めに昨年より開催しています。

昨年の来場者は、約 700 名程度であったため、本年

度は1000名の来場者を目標に各部署での趣向を凝らし

た催しを企画、実施しました。

新病院での開催ということもあり、どの場所で何を行う

のか計画し調整するのが大変でしたが、職員全員参加

型によるイベントを催すことができたと思います。

イベント前日は、生憎の低気圧通過により相当の雨が

降り、準備も半分程度しかできませんでしたが、当日、

朝早くから駆け付けたスタッフ

の頑張りで立派なイベント

会場を築くことができま

した。

院長の開会のあいさつ後、オープニングセレモニーは

「花鼓周」による和太鼓演奏により開幕しました。お腹

に響く和太鼓の演奏で、職員の顔にも活気がみなぎって

きます。

また、定例となった「福岡女学院中学校・高等学校」

のミッションオーケストラ部による演奏も、患者さんをは

じめ家族の皆さんや来訪者などに大変喜ばれました。

特に、高校生に至っては模擬試験中にも関わらず、急

きょ駆けつけていただき演奏をいただきました。

1階の外来ブースでは、各部署の出し物が展示、バ

ザー、体験コーナーと出されており、「骨密度測定コー

ナー」、「血管いきいき度コーナー」などのように人気が

ある場所においては整理券を発行していました。

バザーコーナー、バスボムづくりコーナー、子供たち

の写真撮影コーナー、ピンクリボンコーナー、栄養管理

室による試食コーナー、子供薬剤師体験コーナー、各相

談コーナーも多くの来場者が詰め寄せていました。

2階の講堂での医師による寄席が始まると、楽しみに

していた患者さん達等が笑いと感動を得て満足されてい

ました。午前、午後の時間をとって、患者会より希望があっ

た、一般の方のライブを行い、踊りや歌の中にみんなで

手拍子をしていました。午後からの医師による講演につ

いても、熱心に聞き入る患者さんや家族の方がいました。

また、病院の外では福岡県南区警察署、福岡市南区

消防署のご協力によりパトカー、白バイ展示、はしご車

試乗体験など訪れたちびっこ達が興奮気味にはしゃいで

いました。

11 時からは事務職員による模擬店を開催、調理師さ

んが作ったカレー、職員が揚げた「揚げたこ焼き、フラ

イドポテト」、その他にも「チュロス、サツマイモ、フラ

ンクフルト」は大変人気でした。特に、汗だくで調理した

「焼きそば」は大人気で長い行列ができるほどでした。

時間がたつのは早いもので秋晴れの中、開催した健康

フェスタもあっという間に閉会となり、来年への反省も残

りましたが、終わったという充実感で一杯でした。最終

的には 791 名の地域の方々などに来場いただきました。

最後に、第二回健康フェスタを開催するにあたり、ご

協力をいただいた皆様方に職員を代表して感謝申し上げ

ます。

事務部長 植松 裕

3

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Photo gallery

Mission オーケストラ部演奏

(福岡女学院中学校)

消防車展示

警察車両展示

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独立行政法人国立病院機構九州がんセンター内がん相談支援センター(1階)〒811-1395福岡県福岡市南区野多目三丁目1番1号TEL 092-541-8100(10:00~16:00)TEL 092-542-8532(9:00~17:00)

お問い合わせ先

平成28年度【肝臓病教室】開催のお知らせ場所:九州がんセンター2階講堂2 時間:14:00~15:15

11月30日(水)

1月11日(水)

肝臓病の食事と運動~肝臓病が悪くならないために~

肝臓病の日常生活と食事~肝臓病の栄養と食事療法~

消化器・肝胆膵内科 医長 杉本 理恵管理栄養士 吉丸 健一理学療法士 山本祐紀恵

消化器・肝胆膵内科 医長 杉本 理恵管理栄養士 吉丸 健一

■参加費は無料。患者・家族教室は

毎回、同じ内容です。

■電話での事前予約をお願いします

。(当日でも参加可能です。)

11月

12月3月

2月1日(火)

6日(火)

1月

7日(火)

7日(火)

10日(火)

ACPアドバンスケアプランニング

~がんと上手につきあっていくための

コツ~

「がんになっても自分らしい過ごし方を

するためにできること」

場所:九州がんセンター2階講堂2

時間:12:30受付 13:00~13:30

講師:緩和ケアチーム医師 大島彰、大

谷弘行

元気隊がんサロン「かたらんね」のご案内がんの体験者等と、不安なことやがんとの付き合い方など、気軽に話し合ってみませんか? 匿名でも参加できますよ。

場所:九州がんセンター1階患者サロン時間:13:00~15:00

■参加費無料  ■可能な方はご予約をお願いします。

11月

12月3月

2月16日(水)・30日(水)

18日(水)・25日(水)

21日(水)1月

15日(水)・22日(水)15日(水)・22日(水)

2016年 患者さんとご家族のためのがん教室のご案内

■講師は変更になる可能性があります。

■講義の後に看護師・ソーシャルワーカーによる個別のがん相談を行い

ます。

■予約が必要です。お電話でお申し込みください。

場所:九州がんセンター2階講堂時間:13:00~14:00(質疑の

時間により超過するかもしれません。)

11月11日(金) 乳癌の治療

12月 9日(金) 肺がんの治療

1月13日(金) 胃がんの治療消化管外科医師 太田 光彦

呼吸器腫瘍科医師 平井 文彦

乳腺科医師 秋吉清百合

2月10日(金) 婦人科がんの治療婦人科医師 有吉 和也

3月10日(金) がんとリハビリ言語聴覚士 飛永 宗治理学療法士 岩本  誠

リハビリテーション科

■患者さん、ご家族や院外の方の参加もお待ちしております。できれば事前予約をお願いします。 参加費は無料です。電話でお申し込み下さい。当日の参加もできます。

寄 席

バルーンコーナー

骨密度測定

個人演奏ライブ

模擬店

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日頃より当センター緩和ケアチーム、緩和ケアセン

ターに対するご支援とご協力に感謝申し上げます。

さて、都道府県がん診療連携拠点病院の指定要件の

一つとして、地域におけるさらなる緩和ケアの充実と普

及啓発のために「緩和ケアセンター」の設置が新たに

加わり、当センターでは 2015 年4月より緩和ケアセン

ターを立ち上げました。

第2期がん対策推進基本計画の中で、緩和ケアは重

点的に取り組むべき4課題の1つです。「がん患者とそ

の家族が可能な限り質の高い生活を送れるよう、緩和

ケアが、がんと診断された時から提供されるとともに、

診断、治療、在宅医療など様々な場面で切れ目なく実

施される必要がある。」と明記されています。

そこで、当緩和ケアセンターでは地域の緩和ケアの

充実を図るため、診療機能として、緩和ケア外来の運営、

緊急緩和ケア病床の確保と運用、地域医療機関に対す

る相談連絡窓口の設置、緩和ケアに関する高次の専門

相談支援、地域の緩和ケア提供体制の実情把握と適切

な緩和ケア提供体制の構築などを行っています。

その中で今回は、緊急緩和ケア病床についてのご案

内とご報告をさせていただきます。

「緊急緩和ケア病床を確保し、かかりつけ患者や連

携協力リストを作成した在宅支援診療所等からの紹介

患者を対象として、緊急入院体制を整備すること」との

通知を受け、2016 年1月より緊急緩和ケア病床を整

備し運用を行っています。地域の施設と連携し、緊急

を要するいわゆるがん難民を出さないという使命の基、

当センターへの受診歴の有無に関わらず 24 時間受け

入れる体制を整備しています。11 月初旬現在で連携

病院は南区6施設、中央区、早良区各3施設、博多区、

西区各2施設等計 23 施設となっています。4月から

8月までの5か月間で緊急症状緩和での入院件数が計

312 件で、そのうちかかりつけ患者が約 90%、連携

施設紹介が約1%、連携施設外紹介が約9%となって

います(図参照)。

症状緩和による緊急入院は、かかりつけ患者が圧倒

的に多いですが、1割はそれ以外ということで、予想よ

りもニーズがそれなりにあることがわかりました。312

件中 50 件(16%)に緩和ケアチームが関わっていま

す。今後も連携病院を増やしつつ、地域における緩

和ケアの推進および充実を図っていきたいと考えてい

ます。緊急緩和ケア病床の連携協力医療機関となるこ

とにご賛同いただける場合は、がん相談支援センター

(TEL:092-542-8532)へご一報いただけると幸い

です。円滑な運用に向け、在宅支援診療所等との意見

交換を継続して行っていく所存です。

当センター緩和ケアチームは 2004 年に発足し院内

及び地域における専門的緩和ケアの提供を担い、入院・

外来の新規の紹介患者・家族が年間 400 名以上で推

移しています。緩和ケアセンター設置に伴いその機能

をさらに高め、地域の緩和ケア推進に貢献していく所存

ですので、緩和ケアチームも含め今後ともよろしくお願

いいたします。

緊急緩和ケア病床入院内訳(312 件:H28 年度4〜8月)

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新病院における薬剤部は大幅に拡充された外来化学療法センター(26 床)と隣接しており、院内の構造的に医師・看護師と連携をしやすい環境となりました。さらに、薬剤部には新設備として調剤室に自動錠剤分包機が導入され、分包紙には医薬品名称・錠数が印字されるようになっています。一方、注射室には注射薬自動払出装置(アンプルピッカー)が導入され、注射カートによる1施用毎の払出が可能となっています。また、医薬品払出室には個人情報保護の観点からセキュリティカードが導入されており、IDカードを持ったメッセンジャーと看護師等の一部職員のみが入室できるようになっています。このように新病院薬剤部では患者個人情報を保護し、かつ機能的に安全に医薬品を提供することが可能となっています。また、今年度からは患者や職員に対する抗がん薬暴露防止を目的として、閉鎖式抗がん薬調製器具および輸液ルートの導入を開始しています。今回、新しく導入された設備として注射薬自動払出装置(アンプルピッカー)と本年度取組み中である抗がん薬暴露防止対策について紹介します。

~より安全で質の高い薬物治療の提供に向けて~新病院から薬剤部に導入されたアンプルピッカー(図1、2)は電子カルテと連動しており、医師の注射薬オーダ情報が自動的にシステムに送信されます。送信されたオーダ情報は搭載医薬品のバーコードと照合され、自動的に搭載医薬品の取り揃えが行われます。注射薬は患者別トレイに1回分ずつ、注射箋、注射ラベルとともに専用の注射カートに準備され(図3)、冷所医薬品や輸液などの未搭載薬品をセット、確認した後で病棟へ払出されます。アンプルピッカーを使用して注射薬の準備をすることで、人為的ミスが最小限となり、効率よく正確に注射薬を払出すことが可能となっています。また、薬剤師は取り揃えを行っていた時間を処方監査に費やすこ

とができるようになり、注射薬の投与量・投与経路・投与速度・配合変化・相互作用などを詳細に確認し、患者ごとに最適で質の高い薬物治療となるように医師と協働して取り組んでいます。

~閉鎖式抗がん薬調製器具および輸液ルートの導入~従来、薬剤部から払出される抗がん薬調製済みの輸液バックは少なからず汚染されており(図4)、取扱う医療従事者および投与される患者に健康被害が現れる危険性があります。そのため九州がんセンターでは、抗がん薬暴露を最小限に抑えるため閉鎖式調製器具(図5)および閉鎖式輸液ルートの導入に取り組んでいます。このように新病院での薬剤部では、より正確で安全な医薬品を提供しつつ、患者にやさしい質が高い最良のがん医療に寄与するように活動しています。

図1 注射薬自動払出装置(アンプルピッカー)前面

図3 注射カートと患者別トレイ(1 施用毎)

図4 注射薬調製時の汚染状況

図2 注射薬自動払出装置(アンプルピッカー)背面

図5 閉鎖式調製器具(BD ファシール) 7

Page 8: National Hospital Organization Kyushu Cancer …...National Hospital Organization Kyushu Cancer Center 九州がんセンター 院長九州がんセンタ院長 藤 也寸志藤 也寸志

当院の放射線部には画像診断部門と放射線治療部門

があります。奥島部長を筆頭に医師 12 名、診療放射

線技師 22 名、看護師7名、放射線助手4名で構成さ

れ、患者さん中心のチーム医療を心がけ、質の高い検

査や治療を実践するために職種ごとの資格認定を取得

しています。

九州がんセンターが地域の先生方にとって、日常診

療の問題解決を支援するさまざまな機能を備えた病院

として、有効に活用されるためには、放射線部が提供

できるサービスを地域の先生方に再認識していただき

たいと考えています。

そこで今回、新病院建替に伴い新規導入した CT・

MRI 機器を始め PET-CT ならびに高精度放射線治療

装置を紹介します。特に CT・MRI 検査とPET-CT

は検査のみの利用を積極的に進めています。

画像診断部門の CT 検査では最新鋭の 128 スライス

CT 装置を始め、3台体制で待ち時間なくスムーズな

検査が可能になりました。とくにCT 検査は即日検査が

可能です。患者さんが近所の「かかりつけ医」を受診後、

検査が必要になった際にも、当日の CT 検査を申込み、

至急読影が必要と指定されれば、検査終了後「かかり

つけ医」に戻る頃には、FAXでレポートを閲覧するこ

とができ、スムーズな外来診療が可能になります。

MRI 検査は最新鋭の 1.5T(テスラ)MRI 装置で

従来よりも明るく開放的で安心して検査を受けることが

できます。

PET-CT 検査はがん細胞が正常細胞に比べて多く

のブドウ糖を取り込む性質を利用したラジオアイソト

ープ検査で、PET 検査に比べ撮像時間が短く、がん

の位置や範囲が正確に判別でき診断能が向上します

(図1)。最短で2日後の予約ができます。

放射線治療部門では世界最高レベルの高精度放射線

治療装置を導入しています。腫瘍形状に最もフィットし

たピンポイント照射で正常組織の被ばくを極限まで抑え

て副作用を低減するとともに、病変に十分な線量を与

えることで手術と同等の治療効果が得られます(図2)。

地域の先生方があたかも自院の検査・治療室のよう

にお気軽にご依頼くださり、最新の医療機器を効果的

にご利用いただけると幸いです。

患者さんを中心に、さまざまな機能をもつ医療機関

が協力して、患者さんの状態に応じた適切な医療を地

域全体で提供していくための放射線支援システムを構

築したいと考えています。今後も地域の先生方がより利

便性が高く、継続した質の高い診療を円滑に行うため

の環境作りに努めます。

ぜひ、当院の検査・治療予約窓口である

「がん相談支援センター(TEL:092-542-8532、

FAX:092-541-3390)」にお問い合わせください。

図1 PET-CT 検査

図2 高精度放射線治療8

Page 9: National Hospital Organization Kyushu Cancer …...National Hospital Organization Kyushu Cancer Center 九州がんセンター 院長九州がんセンタ院長 藤 也寸志藤 也寸志

新病院においては、2階の臨床検査科・病理診断科(一

般・生化学・免疫検査、病理・細胞診検査、微生物検

査、輸血部門)を拠点に、生理機能検査は1階内視鏡・

生体機能検査センターおよび2階外来診察室にて検査

業務を行っています。

臨床検査科では本年度より、検査室の国際規格で

ある ISO15189 の取得に向けた活動を開始しました。

ISO15189とは、検査室の組織管理と具体的な検査実

施に関わる技術面に関する数百にわ

たる事項について、国際標準化機構

が示す水準を満たすマネジメントシ

ステムが運営されていることを保証

する資格と言えます。具体的な方法

は当院がこれまでも掲げてきたPlan

Do Check Action (PDCA)サイ

クルの遂行であり、①検査室業務に

おける方向性・作業手順および権限

と責任を明確化し周知を徹底する、②これらに則り業務

を実施する、③すべての手順と実施および発生する問題

点を文書として記録し、④定められた時期に評価および

改善を行う、というものです。このサイクルを繰り返すこ

とで得られる検査データ品質の安定・継続的な向上によ

って、患者さんや依頼医師へより信頼性と水準の高い検

査サービスを供給することを目指しています。

現在、検査業務のすべての行程に関わる手順の確認・

文書化に検査科総力を挙げて取り組んでいます。周知徹

底の為の会議を毎週開催し各検査部門間での情報共有

が活発化した結果、全体を通した運営上の問題点が見

えやすくなり、既に改善に向けた取り組みもいくつか進

めています。例として、検査室内の感染エリアの明確な

区分、入退室口の制限と立ち入り時の予防衣着用を徹底

し、院内・外の職員の安全性の確保を充実させました(図

1~3)。また検査室に出入りする人と物品の明確な記

録を徹底し、厳重なリスク管理・個人情報保護に努めて

います。ISO15189 においては検査室の環境管理も重

要な要求事項であり、機材や物品に関する品質維持と災

害時を想定したリスク管理の為に、物品を床に直接置か

ない工夫を施しました(図4)。同様に重要な要求事項

である、検査業務に携わる職員の安全管理の一つとして、

廃棄物の明確な分別・表示も徹底させました(図5)。

さらに、すべての検査部門において国際基準に照準を当

てた精度管理手順の検討を順次進めています。検体系

検査においては、検査結

果の品質保証に関わる要

因をより深く追求し、一

層安定した品質を目指し

て現状での内部・外部精

度管理の見直しや新たな

精度管理方法の追加を行

っているところです。また、

病理検査や生理学的検査

については新たに精度管

理の設定も求められ、方

法論を議論し必要な機

材等の確認を進めていま

す。今後もさらに検査業務の現状を確認しながら細部ま

で作業手順の文書化、手順に沿った実行を進めていきま

す。本年度中の ISO15189 審査申請を目標に、近日中

には内部監査を開始し、手順の順守確認と問題点の洗

い出し・さらなる改善に向けた活動

を進めていく予定です。

このように新病院での臨床検査科

は、より高品質の検査サービス提供

を目標とし、患者さんのさらなる信

頼を得られる最良のがん医療に寄与

すべく活動を進めています。

図1 感染エリアの区分(橙色のテープの先は感染エリア) 図2 感染エリア立ち入り時の表示

図4 床に物品を置く際のキャスター 図5 廃棄物分別の明確な表示

図3 感染エリア立ち入り時の予防衣(白衣は感染エリア内外で替えるか予防衣を着用)

9

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栄養管理室では「患者さんのために最善をつくし、

安全・安心で、美味しく、喜んでいただける食事を提

供します」を理念とし、毎日3食、365 日休むことなく

食事の提供を行うほか、他職種と連携し、栄養指導を

はじめとした臨床業務に従事しています。

近年、がん治療は集学治療の大きな進歩により、長

くつきあう病気に変わってきました。しかし、がんの素

因や治療による有害事象が栄養状態に大きく影響をき

たし、患者さんを疲弊させてしまいます。このような諸

症状による苦痛を和らげ、少しでも食べていただけるよ

うに給食(栄養)管理の工夫をしています。例えば食

欲不振や吐気に対し、さっぱり食べてもらえるように調

整した食事。量がたくさん入らない方へは量を調整し

た食事。また、放射線治療時などの口内炎や嚥下に考

慮した食事などの準備をしています。もちろん通常の

食事にも配慮し、患者さんのご要望を取り込みながら、

献立作成から提供まで一貫して行なっています。

ほかにも、八十八夜に新茶の提供や、元旦の折詰お

せち料理の提供など、ささやかですが「楽しみ」、「味

わい」、「癒し」の提供に取り組んでいます。また、入

院中の患者さんの誕生日には菓子とバースデーカード

のプレゼントや、スイーツのワゴンサービスなどのサプ

ライズにも取り組んでいます。

臨床面においては横断的医療チームである NST

(Nutrition Support Team =栄養サポートチー

ム)があります。NST の目的は、適切な食事のアドバ

イスや栄養剤の管理をおこなうことで栄養不良の発生

を予防し、栄養状態の改善を図ることを目的としたチー

ム医療です。

メンバーは医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨

床検査技師、言語聴覚士や調理師などの多職種の専門

スタッフが連携し、それぞれの知識や技術を持ち寄り

患者さんの栄養管理をおこなっています。今後は「外

来の化学療法センター」や「患者家族支援センター」

との連携をおこない、外来で受診される患者さんの栄

養支援に取り組む運びです。更に、食の専門家として

引き続き「栄養食事指導」や「食事相談」を介しどん

な小さな栄養に関する疑問やご不安にも対応する事で、

きめ細やかな支援の拡充を行っていきます。

また、がん悪液質の栄養管理においても「緩和ケア

センター」と連携しステージ毎の栄養サポートを確立し

ていきたいと考えます。

がんと生活習慣が関与する事は知られています。予

防に向けて、がん教育などの一次予防や、がんサバイ

バーの食事管理なども必要と考えます。そのためにも

患者さんやご家族のお気持ちを考慮しながらメディカル

スタッフと連携して患者さんにより質の高い栄養管理、

美味しく喜んでいただける食事の提供に寄与できるよう

スタッフ一丸となって邁進していきます。

最後になりますが、食事についてお困りの事があれ

ば、1階、患者家族支援センター G5(ローソン前)

に栄養相談室があります。遠慮なくお声かけください。

図1 食事準備の様子 図2 スイーツの提供 図3 NST ラウンド

10

Page 11: National Hospital Organization Kyushu Cancer …...National Hospital Organization Kyushu Cancer Center 九州がんセンター 院長九州がんセンタ院長 藤 也寸志藤 也寸志

膵がんによる死亡者数は年々増

加しています。2013 年には、肝

臓がんを追い越し、がんによる

死因の第4位となり、今後もその

数は増加していくと考えられます。

また、5年生存率が、わずか 9.2%

と他の臓器がんと比較して、予後

が不良です。病期別での統計では5年生存率はⅠ期:

40.5%、Ⅱ期:18.2%、Ⅲ期:6.3%、Ⅳ期:1.6%と

早期である程予後は良好ですが、Ⅰ期で診断される膵が

んは全体の 6.8%、Ⅱ期では 19.4%しかなく、いかに

早期の段階で診断していくかが重要な課題です。

早期診断の手がかりとなりうるのが、膵がん発症の危

険因子です。喫煙や大量飲酒などの嗜好による危険因

子は当然ですが、その他にも膵がんの家族歴や合併疾

患があります。合併疾患として糖尿病や肥満などの生活

習慣病があげられます。長い糖尿病の罹病期間の中で

膵がんが発症してくることも重要ですが、膵がんにより糖

尿病が発病し、あるいは膵がん発症が原因で糖尿病が

増悪する事があります。とても注意しなければなりませ

ん。その他の疾患として、慢性膵炎や IPMN(膵管内

乳頭粘液性腫瘍)を含む膵嚢胞などがあります。

膵がんの早期診断のためには、これらの高リスク群への

注意深い観察が必要です。その他、アミラーゼなどの血

中膵酵素の異常高値や腹部エコーでの主膵管の拡張など

も早期診断の契機となります。その後の精査としてCT、

MRIの他、超音波内視鏡などの技術も進んでいます。膵

がんの早期診断のため、少しでも膵がんを疑うことがあれ

ば、一度、専門科への受診を勧めて頂ければ幸いです。

食道胃接合部癌とは、腫瘍の

中心が食道胃接合部から上下2

㎝以内の存在する癌とされていま

す。近年では食道胃接合部癌は

増加傾向にあり、40 年前に比べ

て約2倍になっていると報告され

ています。ピロリ菌感染率の低下

等に伴って胃癌の罹患率は減少傾向とされる一方で、も

ともと欧米で多いとされていた食道胃接合部癌が、日本

においても食生活の欧米化に伴って患者数が増加の一

途をたどっています。乳癌や大腸癌が食生活の欧米化に

伴って患者数が増加しているのと同様に、食道胃接合部

癌も現在増加しており、今後さらに患者数が増加すると

予想されている疾患の一つです。

食道胃接合部癌は食道癌と同様に縦郭リンパ節を来し

やすい性格を持つとともに、胃癌同様に腹腔内、特に傍

大動脈リンパ節(#16a2lat)も転移頻度が高いという

特徴もあります。

そこで日本食道学会と日本胃癌学会が合同で食道胃接

合部癌に対する縦郭リンパ節および傍大動脈リンパ節の

郭清効果を検討する介入研究が計画され、当科でも積

極的に症例登録して参加しています。今後は腫瘍の位置

によって郭清をどこまでするべきであるのか、また、放

射線治療・化学療法を術前・術後にどのように組み合わ

せていくことが最善であるのかといったことが段階的に解

明され、飛躍的に進歩する領域であると考えています。

膵(C25)5年相対生存率

全がん協2004~2007年症例

11

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喉頭癌(声門)治療の問題点は、いかに喉頭を温存

して治ることができるかということと思われます。このと

き喉頭の温存とは、気管切開孔がなく、経鼻または胃瘻

による経管栄養を併用せずに経口で十分量の栄養摂取

が可能な状態としています。2000 年以降とくに(化学)

放射線同時併用療法の普及により早期声門癌では 5 年

粗生存率、喉頭温存率ともにおおむね 90%を超えるよ

うになってきています。しかしT4 症例では甲状軟骨が

破壊され甲状軟骨外へ腫瘍が穿破しており、一般的に喉

頭摘出術が必要です。ではT3症例についてはどうでしょ

うか。T3 症例は声帯固定、傍声帯間隙浸潤、甲状軟

骨浸潤(穿破なし)が診断基準であり、治療法も施設間

で異なっております。T3 症例治療内容としては喉頭全

摘を主として行っている場合や喉頭部分切除を行ってい

る場合、また化学放射線治療で喉頭温存を目指す治療

を行っている場合などさまざまです。当施設では喉頭温

存を目指して化学放射線治療を行っております。2000

年1月から2011 年 12 月まで全例5年以上経過した声

門扁平上皮癌 T3 症例の生存率と喉頭温存率をみると図

1のごとく5年粗生存率は 63%、疾患特異的生存率は

78%でした。喉頭温存率は 29%でした。これをさらに

分析したところ甲状軟骨浸潤のない症例では喉頭温存率

が 42%であったのに対し、甲状軟骨浸潤のあった症例

の喉頭温存率は 0%でした。T3 症例の喉頭温存の可否

の差は甲状軟骨浸潤の有無にあるようで、これをどう克

服できるかが今後の課題と考えております。

日本人女性における乳癌罹患

者数は増加の一途を辿り、死亡率

も減少には至っていません。乳癌

死亡率低下のためには、早期発

見、早期治療が重要であることは

疑う余地のないところです。マン

モグラフィ検診が導入され、我が

国でも早期癌での乳癌発見率が上昇してきました。しか

し、我が国の乳癌検診受診率は約 35%と満足できるも

のではなく、受診率向上に向けた取り組みがさらに必要

と考えられます。

一方、近年、マンモグラフィ検診による過剰診断、過

剰治療の問題がクローズアップされるようになってきまし

た。マンモグラフィ検診により診断された乳癌のうち3

分の1は過剰診断だといわれています。米国の多数例

の解析により、低悪性度の非浸潤性乳管癌においては、

切除例と非切除例で予後に有意差がないことが示されま

した。現在、欧米における乳癌の予後改善は、検診に

よる早期発見ではなく、主に全身薬物療法の進歩による

ものと考えられています。また、擬陽性受診者の精神的

苦痛についても、ケアが必要とされています。

我が国では 40 歳代の女性の乳癌罹患率が高く、欧米

のデータをそのまま外挿するわけにはいかないと思いま

すが、検診および精査のあり方について再考の時期かも

しれません。

乳癌検診は 100%確実なわけではなく、その後も乳

癌が発生しないことを保証するものでもありません。検

診で異常を指摘されなくても、定期的に検診受診、自己

触診をすることは非常に重要です。また、要精査となっ

た症例に対する精密検査のあり方としては、必要最小限

の検査を行い、不要な不安をあおらないことが重要と考

えられます。

疾患特異的生存曲線

粗生存曲線

喉頭温存曲線

00

20

40

60

80

100(%)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10(年)

図1 生存曲線と機能的喉頭温存曲線

12

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このたび、消化管外科の診療

科長を拝命いたしました。

消化管外科では、食道癌、胃

癌、大腸癌を主な疾患対象とし

ています。

進歩や普及が著しい内視鏡外科手術には、域内でも

先駆的に取り組んできました。技量の習熟により、従来

からの内視鏡手術の問題点であった手術時間の延長や

手術機材の設営などは改善されつつあります。適応のあ

る患者さんが適確な内視鏡手術を受ければ長所は明ら

かであり、今後も器具や技術の進歩が続くと予想されま

す。われわれも、あらたな問題点にも留意しながら、内

視鏡手術の標準化と手技の充実に努めていきたいと思い

ます。

高度進行癌であっても治癒の可能性を求めている患者

さんに対しては、最後の砦との意識をもって、最大限の

努力をします。九州がんセンターでは各科に熟達した専

門家が揃っていますので、他科と高いレベルで協力でき

る総合力がわれわれの強みだと考えています。喉咽頭に

およぶ食道癌、腹膜播種を伴う胃癌、骨盤臓器に浸潤

する直腸癌などを他施設からもお引き受けし、化学療法、

放射線療法、拡大手術を組み合わせて集学的治療によ

り治癒の可能性を追求します。

九州がんセンター消化器外科は、開設当初から私自身

も直接、間接に教えをうけた諸先輩方が鋭意努力され、

今日に至っています。九州のがん治療の拠点施設として

の自覚を新たにし、最高水準の外科医療を提供できるよ

う一層努力していく所存です。何卒よろしくお願いします。

2016 年 10 月付けで臨床研

究センター臨床腫瘍研究部 治験

推進室 室長を拝命致しました。

2005 年 10 月、統括診療部呼吸

器腫瘍科(主に外科系)に内科

系医師として赴任し、診療に携わりながら、2012 年より、

治験・臨床試験推進室 室員として、呼吸器腫瘍の新規

薬剤開発や固形癌に対する早期抗がん剤開発などにも

関わってきました。たとえば当センターにおいて治験とし

て世界で初めてヒトに対して投与した薬剤(アレクチニ

ブ)が保険承認を得、更に従来薬より効果が上回り、か

つ有害事象は軽いということを証明する試験や、当セン

ターで日本人に初めて投与した免疫チェックポイント阻

害剤(ペンブロリズマブ)が、従来の殺細胞性抗がん剤

併用療法より、生存期間延長効果が高いことを証明する

試験などです。

治験・臨床試験推進室はこのような新規抗がん剤の

承認を得るための治験や、承認後薬剤の適切な使用方

法を検討する医師主導臨床試験のサポートを行う部門で

す。一般の医療機関では実施できない、早期開発試験、

グローバル試験(世界同時進行)そして医師主導型治

験(企業が手を出せない希少疾患)に力を入れてお

り、現在、年間受託新規治験数は 30 件、総売り上げが

3億程度となっています。また、臨床試験の分野につい

ても、2013 年度に治験とは別部門として立ち上げ、新

たな治療法の研究(臨床試験)をバックアップする体制

をいち早く確立させています。

一般臨床とは異なる法律、制度(GCP)、倫理指針の

下に行う医療であるため、臨床研究コーディネーターや

事務職員の経験や力量が問われる部門ですが、11 年前

は7人であったスタッフも、現在は 30 人を超える規模と

なりました。業務の煩雑さや特殊性から、常に人手不足

で仕事量も多くなりがちですが、新規抗がん剤の開発は、

まさに人類の「夢」であり、人類共通の「宝」の創造です。

「九州のがん患者の夢は九州がんセンターが担う」をモ

ットーに室員一丸となって躍進してまいります。

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この度、消化器肝胆膵内科の

診療科長を拝命いたしました杉

本理恵です。今までも肝臓部門

の担当として各方面の皆様方に

お世話になっておりましたが、今後は当科を取りまとめ

る立場として身の引き締まる思いでおります。

さてご存じのようにここ数年で肝胆膵を取り巻く状況

は大きく変化しました。肝臓分野では新薬の登場により

C 型肝炎が完全に治る時代が到来し、今まで治らなか

った患者さんへの大きな福音となっています。その一

方で脂肪肝からの発がんが急増し、今までのような専

門医によるリスク患者さんの囲い込みの時代から幅広

い御施設との連携により一般患者さんからの発がんを

拾い上げる時代となりました。この結果どうしても進行

がんで見つかる症例が増えてきており、がん専門病院

としての役割はますます重要になっております。一方膵

臓がんは増加の一途をたどっており死因では肝臓がん

を抜いて4位となりました。治療の進歩も目覚ましく次

から次へと新薬やその組み合わせによる新たな治療法

が登場しています。これらを病態に応じて的確に使い

分け、速やかに最適な医療を提供していくことががん

専門病院の医師である我々の使命だと考えています。

いわゆる難治がんとして最後まで残った感のある肝

胆膵がんですが、皆で心を合わせて少しでも患者さん

の力になれるよう、医療に貢献できるよう努力してまい

ります。今後ともなにとぞよろしくお願い申し上げます。

この度、血液内科の診療科長

を拝命いたしました。2010 年に

血液内科医長として九大病院か

ら赴任し、2015 年からは細胞治

療科の科長を併任しております。

血液内科の診療は、主に「白血病」、「悪性リンパ腫」、

「多発性骨髄腫」で、中でも悪性リンパ腫は、1万人

に1人の発症、多発性骨髄腫は高齢者で発症率が高く、

決して稀な病気ではありません。血液腫瘍は、最も抗

がん剤治療が発達した領域で治療選択肢も多く、さら

に最近では分子標的薬、造血幹細胞移植や副作用を軽

減する支持療法の発展により、一部では治癒も目指せ

るようになりました。

血液内科では経験豊富な専門医を中心に質の高いチ

ーム医療を実践しています。患者さんに最善の治療を

提供するために、患者さんの病状や年齢、社会的背景

に合わせて、治療法や治療強度を選択しています。ま

た新病院では、無菌病棟を完備し、安心して治療を受

けて頂く環境が整いました。

これからは、一人でも多くの患者さんの治癒を目指せ

るよう、新規薬剤の開発や全国規模の臨床研究にも参

加し、最前線の治療を提供していきたいと考えておりま

す。現在、九州がんセンターを中心とした研究班で開

発した国内初の「がんワクチン」の治験を実施中です。

がんの治療は、患者さんと医療者のチームワークでもあ

ります。患者さん一人一人に満足して頂ける医療を目

指していきたいと考えております。何卒よろしくお願い

致します。

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Page 16: National Hospital Organization Kyushu Cancer …...National Hospital Organization Kyushu Cancer Center 九州がんセンター 院長九州がんセンタ院長 藤 也寸志藤 也寸志

外来担当医一覧表 休 診 土・日・祝日年末年始

受 付時 間 午前 8:30 〜 11:00

独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター〒 811-1395 福岡市南区野多目3丁目 1-1TEL:(代表①)092-541-3231 (代表②)092-557-6100FAX:092-551-4585URL:http://www.ia-nkcc.jp/

がん相談支援センター

TEL:092-542-8532FAX:092-541-3390

外来 診療科 月 火 水 木 金

A

頭頸科 檜垣(新患)若崎/打田(再来)

益田 宗幸 *(新患)力丸 (再来)

益田*/檜垣(新患)藤/本郷 (再来)

小児科 稲垣 二郎 * 深野/野口 岡村(純) 稲垣 * /野口 深野

泌尿器科 中村 元信 *(新患)古林(新患) 中村 *(再来・午前中) 根岸(再来・午前中) 古林(再来・午後)

根岸(新患)中村 *(新患) 根岸(再来) 古林(再来)

根岸(新患・第 1、3、5) 古林

(新患・第 2、4)

血液内科崔(新患・再来) 中嶋(康)(再来) 中嶋(恵)(再来)

崔(再来) 中嶋(康)

(新患・再来) 

末廣 陽子 *(再来) 中嶋(恵)

(新患・再来)

崔(再来) 中嶋(康)(再来) 中嶋(恵)(新患・再来) 宇都宮(再来)

崔(新患・再来) 中嶋(康)(再来)

細胞治療科 ※1 藤岡 末廣 陽子 * /藤岡 末廣 * /藤岡

B

呼吸器腫瘍科 竹之山 光広 * /山口平井/島松/豊澤/原武 瀬戸/野崎 竹之山 * /山口

平井/枝川/豊澤 瀬戸/野崎 竹之山 * /瀬戸島松/枝川/原武

消化管・腫瘍内科 江﨑 泰斗 *(再来)薦田(新患)

江﨑 *(新患)薦田(再来)

江﨑 *(再来) 薦田(新患)/髙吉(再来)

江﨑 *(新患) 薦田(再来)/桑山(再来)

江﨑 *(新患)髙吉(再来)

消化管・内視鏡科 上田 真信 *2 内田(再来)   (午後)上田 *2

消化管外科 森田 南/吉田 池部 正彦 * 信藤 太田消化器・肝胆膵内科 久野/荒武 杉本 理恵 * /正月/永塩 古川/正月/田中 古川/杉本 * 久野/荒武/永塩肝胆膵外科 辻田 英司 * 井口歯科口腔外科 ※2 永井 清志 * 永井 永井 永井 永井遺伝相談外来/消化管二次検診 織田 信弥 織田 織田 織田 織田

C 循環器科 ※3 河野 美穂子 * 河野 * 河野 * 河野 * 河野 *

J

婦人科 齋藤 俊章 * /岡留/山口 有吉/島本/長山 齋藤 * /北出/富田 当番医

乳腺科徳永 えり子 *(新患) 秋吉(新患) 中村/伊地知/増田

徳永 *(新患) 石田(新患)/秋吉中村/伊地知/増田

徳永 *(新患) 田中(新患)

徳永 *(新患) 石田(新患)/秋吉中村/伊地知/増田

形成外科 ※1 井上 要二郎 * 井上 *(再来のみ)整形外科/骨軟部腫瘍科   横山 良平 *   横山 *緩和ケア外来 ※4緩和治療科 大谷 弘行 * 大谷 * 大谷 * 大谷 *

サイコオンコロジー科 大島 彰 *   大島 *E 放射線治療 ※5 國武 直信 * /植田 國武 * /植田 國武 * /植田 國武 * /植田 國武 * /植田

※ 初めて診察を受けられる方は、現在受診しておられる病院や医院(かかりつけ医)からの紹介状(診療情報提供書)をお持ちください。また、「がん検診(一次検診)等で精密検査が必要とされた方も、検診機関や保健所などからの紹介状(精密検査依頼書)をお持ちください。

※ 当院では「がん検診(一次検診)」で精密検査が必要と判断された方の診療(二次検診)は行っておりますが、「がんの一次検診」は行っておりません。がんの一次検診を希望される方はがん(一次)検診施設を受診されてください ( がんの一次検診施設については相談支援センター[TEL:092-541-8100]にお問合せください)。

※1 形成外科、細胞治療科を初診の際は、電話にてご予約を確認ください。(地域医療連携室)

※2 歯科口腔外科(月~木 9:00 ~ 15:30 金 9:00 ~ 12:00)は基本的に院内他診療科からの紹介に限ります。

※3 循環器科は基本的に院内他診療科からの紹介に限ります。

※4 緩和ケア外来は、全て予約制で、がん相談支援センターにて受付を行います。

※5 放射線治療は事前に放射線治療科に連絡し、地域医療連携室へ紹介状等を FAX して受診してください。

平成28年10月1日現在

* 各診療科責任者  * 2 診療科代表者

各診療科

責任者

消化管・腫瘍内科 :江𥔎 泰斗緩和治療科 :大谷 弘行サイコオンコロジー科 :大島  彰消化器・肝胆膵内科 :杉本 理恵消化管外科 :池部 正彦肝胆膵外科 :辻田 英司消化管・内視鏡科 :上田 真信頭頸科 :益田 宗幸形成外科 :井上要二郎呼吸器腫瘍科 :竹之山光広

小児科 :稲垣 二郎乳腺科 :徳永えり子婦人科 :齋藤 俊章泌尿器科 :中村 元信血液内科 :末廣 陽子整形外科 :横山 良平循環器科 :河野美穂子歯科口腔外科 :永井 清志放射線治療科 :國武 直信

院長:藤 也寸志

副院長古川 正幸

臨床研究センター長江﨑 泰斗

臨床研究センター顧問一瀬 幸人

統括診療部長:森田 勝

* 各診療科責任者  * 2 診療科代表者