事例 no. ： タイトル：ストレスマネジメントのための POMS の活用事例

Key word（３つ）：ストレスマネジメント，メンタルヘルス，POMS

事例紹介：臨床での実習や理学療法業務において，臨床実習生，理学療法士の抱える過剰

なストレスは，個人のメンタルヘルスに影響を与えるばかりでなく，学習や業務の効率も

低下させる．そのため，ストレスへの効果的な介入が必要であり，医療施設に勤務する理

学療法士 30 名（男性 12 名、女性 18 名、臨床経験年数１～3 年）に，メンタルヘルスの指

標の一つである POMS を活用したストレスマネジメントを行った。

問題分析：面談前では POMS の項目のうち、緊張-不安、抑うつ-落ち込み、疲労、混乱は、

経験年数１年群が他経験年数群と比較して優位に高値(p<0.05)であった。活気の項目では、

3 年群が優位に高値(p<0.05)であった。

問題対応：ストレスマネジメントの内容，取り組みについて説明し，同意を得た後に POMS

の記入を求めた．その後，全員にストレス教育としてストレスに関する知識の提供を行い，

個人面談にて POMS の結果をもとに，各自のメンタルヘルスの状態をフィードバックし，

ストレスへの対処法（コーピング）を提案した．３ヶ月後に再度，POMS の記入を求めた．

問題検証：面談後も項目別の年数群の順列は同様の傾向であったが，緊張-不安、抑うつ-

落ち込み、疲労、混乱の項目では，全群ともに面談前よりも面談後の方が有意に低値(p<0.05)

となった．個人の精神心理的側面を把握し，問題に対する早期の介入を行うために POMS

の活用は有用と考えられる．