58
日本の生産性の現状、 サービス産業の生産性向上 に向けた取組み イノベーションを通じた生産性向上に関する研究会 財務省財務総合政策研究所 第1回会合 2017928東洋大学経済学部 滝澤美帆 1

日本の生産性の現状、 サービス産業の生産性向上 …...日本の生産性の現状、 サービス産業の生産性向上 に向けた取組み イノベーションを通じた生産性向上に関する研究会

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日本の生産性の現状、サービス産業の生産性向上

に向けた取組みイノベーションを通じた生産性向上に関する研究会

財務省財務総合政策研究所第1回会合

2017年9月28日

東洋大学経済学部滝澤美帆

1

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Part 1

労働生産性の概念と日米労働生産性の概況

2

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日本の生産性の動向(1)• 高齢化と人口減少下での経済活動の維持→生産性の向上が必須

• 生産性=アウトプット(産出)÷インプット(投入)

• 労働生産性、全要素生産性(TFP)など労働生産性=TFP×資本装備率^(1-労働分配率)

• 水準、成長率 3

アウトプット

インプット

1 2 3 4 5

生産性向上のパターン①~⑤

Aggressive

Efficient

Passive

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日本の生産性の動向(2)

4

1.09%

-1.22%-0.72%

1.73%

0.90%0.34%

3.28%

1.02%1.51%

6.10%

0.70%1.12%

1980-90 1990-2000 2000-2012

成長会計(製造業)労働投入増加の寄与(2) 資本投入増加の寄与(3)TFP上昇率(4) GDP成長率(1)=(2)+(3)+(4)

データの出所)JIP2015データベース

1.08%

0.31% 0.23%

1.93%

1.06%

0.18%

0.72%

-0.35%

0.15%

3.73%

1.02%

0.56%

1980-90 1990-2000 2000-2012

成長会計(非製造業)労働投入増加の寄与(2) 資本投入増加の寄与(3)TFP上昇率(4) GDP成長率(1)=(2)+(3)+(4)

Page 5: 日本の生産性の現状、 サービス産業の生産性向上 …...日本の生産性の現状、 サービス産業の生産性向上 に向けた取組み イノベーションを通じた生産性向上に関する研究会

日本の生産性の動向(3)•労働生産性(時間当たり)の水準に注目•米国との比較•時系列での比較

•データJIPデータベースWorld KLEMSデータベースEU KLEMSデータベース など

5

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143.2

92.7

109.6

84.5 74.7 74.0

62.9

4.7

56.7 63.7

44.3

60.9

40.4 48.0

34.0 42.0

19.4

38.4

0

50

100

0 20 40 60

図1 日米の産業別生産性(1時間あたり付加価値)と付加価値シェア(2010~2012年)

卸売・小売業

建設業

紙・パルプ

金融

運輸業

縦軸:労働生産性水準(米国=100) 横軸:付加価値シェア(%)

機械

食品製造業

石油石炭

電気・ガス

電気機械

飲食・宿泊

農林水産業

木材木製品

輸送機械

化学

金属製品

情報通信業

物品賃貸

事業サービス

ゴム製品

※青箇所:サービス産業分野

卸売・小売業

建設業

紙・パルプ

金融

運輸業

縦軸:労働生産性水準(米国=100) 横軸:付加価値シェア(%)

機械

食品製造業

石油石炭

電気・ガス

電気機械

飲食・宿泊

農林水産業

木材木製品

輸送機械

化学

金属製品

情報通信業

米国の生産性水準

(=100)

物品賃貸

事業サービス

ゴム製品

※青箇所:サービス産業分野

※製造業全体:69.7 /サービス産業(第三次産業) 49.9

31.8

6

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106.5 102.2

84.3 70.2

66.3 60.0

54.5 47.9 44.7

31.5

105.5

92.3

81.8

69.6 60.5

57.4 50.8 46.8

33.1

4.7 0

50

100

0 20 40 60 80

図2 日米の産業別生産性(1時間あたり付加価値)と付加価値シェア(1998~2000年)

卸売・小売業

建設業

紙・パルプ

金融

運輸業

縦軸:労働生産性水準(米国=100) 横軸:付加価値シェア(%)

機械

食品製造業

石油石炭

電気・ガス

電気機械

飲食・宿泊

農林水産業

木材木製品

輸送機械

化学

金属製品

情報通信業

対個人サービス

米国の生産性水準

(=100)

物品賃貸

事業サービス

ゴム製品

※青箇所:サービス産業分野

※製造業全体:66.4 / サービス産業(第三次産業):50.87

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水準比較のポイント• 10~12年平均と98~00年平均の差(前者―後者)をみると、製造業は格差が縮小(差は3.2%ポイント)、サービス産業は格差が拡大(同マイナス0.9%ポイント)• 00年以降の日米生産性格差拡大の主因は非製造業。•質の調整など、産業別労働生産性水準の比較には注意を要する

8

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日米生産性水準比較時の質の調整• 生産性水準の国際比較(特にサービス産業)では、サービスの品質の国際的な違いを調整できていないという深刻な問題が指摘• 公益財団法人日本生産性本部は「サービス品質の日米比較」調査(2017年7月発表)を実施• 米国滞在経験のある日本人は、宅配便やタクシー、コンビニエンスストアなどの分野で日本のサービス品質が米国を15~20%程度、上回っていると認識。ホテルや百貨店などでも10%程度米国より品質が高いと認識• 仮に、本調査における「宅配便」の結果(日米の品質の差は18%日本の方が高い)を考慮し、輸送業の日米労働生産性水準比較の結果を調整しても、格差が5割程度から3割程度に縮小するが、依然格差は存在

9

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Part 2

労働生産性変動の分解(日本・産業別)

10

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分子/分母の変動⇔生産性の変動• 生産性の変動=

分子の変動(2010年÷97年)

分母の変動(2010年÷97年)

11

アウトプット

インプット

1 2 3 4 5

生産性向上のパターン①~⑤

Aggressive

Efficient

Passive

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12

農業

鉱業

食料品

繊維 木材

パルプ

石炭

化学ゴム

非鉄金属

機械

電機

輸送用機械

その他製造業

電機ガス水道

建設

卸売小売飲食宿泊

輸送サービス

金融

不動産

リース対事業所サービス

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8

Valu

e ad

ded(

2012

/199

7)

Total hours worked (2012/1997)

日本(縦軸=分子の変動、横軸=分母の変動)

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13

農業

鉱業

食料品

繊維 木材

パルプ

石炭

化学ゴム

非鉄金属

機械

電機

輸送用機械

その他製造業

電機ガス水道

建設卸売小売

飲食宿泊輸送サービス金融

不動産

リース対事業所サービス

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6

Valu

e ad

ded(

2010

/199

7)

Total hours worked (2010/1997)

日本(縦軸=分子の変動、横軸=分母の変動)

Page 14: 日本の生産性の現状、 サービス産業の生産性向上 …...日本の生産性の現状、 サービス産業の生産性向上 に向けた取組み イノベーションを通じた生産性向上に関する研究会

電気機械

輸送用機械

卸売・小売

宿泊・飲食運輸

金融

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

Valu

e ad

ded(

2010

/199

7)

Total hours worked(2010/1997)

日本(縦軸=分子の変動、横軸=分母の変動)

14

Page 15: 日本の生産性の現状、 サービス産業の生産性向上 …...日本の生産性の現状、 サービス産業の生産性向上 に向けた取組み イノベーションを通じた生産性向上に関する研究会

電気機械

輸送用機械

卸売・小売

宿泊・飲食運輸

金融

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

Valu

e ad

ded(

2010

/199

7)

Total hours worked(2010/1997)

日本(縦軸=分子の変動、横軸=分母の変動)

15

Efficient

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電気機械

輸送用機械

卸売・小売

宿泊・飲食運輸

金融

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

Valu

e ad

ded(

2010

/199

7)

Total hours worked(2010/1997)

日本(縦軸=分子の変動、横軸=分母の変動)

16

Passive

Aggressive

Page 17: 日本の生産性の現状、 サービス産業の生産性向上 …...日本の生産性の現状、 サービス産業の生産性向上 に向けた取組み イノベーションを通じた生産性向上に関する研究会

電気機械

輸送用機械

卸売・小売

宿泊・飲食運輸

金融

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

Valu

e ad

ded(

2010

/199

7)

Total hours worked(2010/1997)

日本(縦軸=分子の変動、横軸=分母の変動)

17

Shrinking

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Part 3

労働生産性変動分解の日米比較

18

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生産性変動の日米比較日米格差が拡大した産業をいくつかピックアップ製造業• 電機機械・・・一見してかなり悪化したように見えるが、労働生産性はパターン③で上昇

19

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労働生産性変化要因の比較(1)電気機械

20

0.0

100.0

200.0

300.0

400.0

500.0

600.0

700.0

800.0

1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日米労働生産性水準(単位:ドル)

ELECTRICAL AND OPTICAL EQUIPMENT_Japan ELECTRICAL AND OPTICAL EQUIPMENT_US

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労働生産性変化要因の比較(1)電気機械(つづき)

21

US 1997年 2010年 2010年/1997年 1997年から2010年の伸び率1 Nominal Value added_US(millions dollars) 199,320 308,844 1.55 54.9%2 Real Value added_US(millions dollars) 46,213 420,904 9.11 810.8%3 Deflator_US 431 73 0.17 -83.0%4 Total hours worked by persons engaged (millions)_US 4,889 2,887 0.59 -41.0%5 Number of persons engaged (thousands)_US 2,398 1,467 0.61 -38.8%6 1人当たり年間労働時間_US 2,039 1,968 0.96 -3.5%7 労働生産性(1時間当たり実質付加価値額)ドル 9 146 15.43 1442.6%

Japan 1997年 2010年 2010年/1997年 1997年から2010年の伸び率1 Nominal Value added_Japan(百万円) 21,371,675 14,686,643 0.69 -31.3%2 Real Value added_Japan(百万円) 17,365,576 45,638,254 2.63 162.8%3 Deflator_Japan 228 60 0.26 -73.9%4 Total hours worked by persons engaged (百万)_Japan 4,682 3,453 0.74 -26.2%5 Number of persons engaged _Japan(千人) 2,437 1,813 0.74 -25.6%6 1人当たり年間労働時間_Japan 1,921 1,904 0.99 -0.9%7 労働生産性(1時間当たり実質付加価値額)円 3,709 13,216 3.56 256.3%

参考)1(名目付加価値額)÷3(デフレーター)×100=2(実質付加価値額)5(従業員)×6(1人当たり年間労働時間)=4(総実労働時間)2(実質付加価値額)÷4(総実労働時間)=7 実質労働生産性(1時間当たり付加価値額)

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労働生産性変化要因の比較(1)電気機械(つづき)

22

-200%

0%

200%

400%

600%

800%

1000%

1200%

1400%

1600%

US Japan US Japan US Japan US Japan US Japan

電気機械産業の労働生産性変化要因分解(1997年から2010年の変化率)

②実質付加価値額の変化率

③総実労働時間の変化率

④従業員数の変化率

⑤一人当たり労働時間の変化率

①労働生産性の変化率

①労働生産性=②実質付加価値額÷③総実労働時間③総実労働時間=④従業員数×⑤一人当たり労働時間

• 日米ともに人を減らしながらも付加価値を増やし、労働生産性が向上

• 付加価値の増大が米国で9倍と著しかったため、日米労働生産性格差が拡大(日本の労働生産性は97年と比べ、約3.6倍)

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生産性変動の日米比較日米格差が拡大した産業をいくつかピックアップ製造業• 電機機械・・・一見してかなり悪化したように見えるが、労働生産性はパターン③で上昇非製造業• 金融・・・労働投入の減少以上に付加価値が減少し、労働生産性が低下したパターン• 卸売・小売・・・労働生産性は上昇しているが、パターン⑤による上昇• 運輸・・・労働生産性は上昇しているが、パターン⑤による上昇

日米格差が縮小した産業をいくつかピックアップ製造業• 輸送機械・・・パターン②による労働生産性の上昇(かつ一人当たり労働時間は減少)非製造業• 飲食・宿泊・・・パターン⑤による労働生産性の上昇(一人当たり労働時間はかなり減少)

キーワード• 3つの分母・分子(付加価値、一人当たり労働時間、従業者数)• Heterogeneity(異質性)

23

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輸送用機械

卸売・小売

宿泊・飲食運輸

金融-1.2

-1

-0.8

-0.6

-0.4

-0.2

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

-0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

Japa

n-US

(Val

uead

ded(

2010

/199

7))

Japan-US(Total hours worked(2010/1997))

日本-米国(縦軸=分子の変動(日ー米)、横軸=分母の変動(日ー米))

24

Page 25: 日本の生産性の現状、 サービス産業の生産性向上 …...日本の生産性の現状、 サービス産業の生産性向上 に向けた取組み イノベーションを通じた生産性向上に関する研究会

輸送用機械

卸売・小売

宿泊・飲食運輸

金融-1.2

-1

-0.8

-0.6

-0.4

-0.2

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

-0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

Japa

n-US

(Val

uead

ded(

2010

/199

7))

Japan-US(Total hours worked(2010/1997))

日本-米国(縦軸=分子の変動、横軸=分母の変動)

25

Relatively aggressive

Relatively shrinking

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労働生産性変化要因の比較(2)輸送機械

26

-60%

-40%

-20%

0%

20%

40%

60%

80%

US Japan US Japan US Japan US Japan US Japan

輸送機械産業の労働生産性変化要因分解(1997年から2010年の変化率)

②実質付加価値額の変化率

③総実労働時間の変化率

④従業員数の変化率

⑤一人当たり労働時間の変化率

①労働生産性の変化率

①労働生産性=②実質付加価値額÷③総実労働時間③総実労働時間=④従業員数×⑤一人当たり労働時間

• 日本は人を増やしつつ(1人当たり労働時間は微減)、付加価値を1.7倍に増やしたため、労働生産性は97年と比べ約1.6倍に

• 米国は付加価値は減少したものの、それ以上に人を減らしたため、労働生産性は約1.4倍

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労働生産性変化要因の比較(3)卸売・小売

27

-30%

-20%

-10%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

US Japan US Japan US Japan US Japan US Japan

卸売・小売業の労働生産性変化要因分解(1997年から2010年の変化率)

④従業員数の変化率

②実質付加価値額の変化率

③総実労働時間の変化率

⑤一人当たり労働時間の変化率

①労働生産性の変化率

①労働生産性=②実質付加価値額÷③総実労働時間③総実労働時間=④従業員数×⑤一人当たり労働時間

• 日本は付加価値が17%減少したが、それ以上に一人当たり労働時間と従業者数を減らしたため、労働生産性は微増

• 米国は一人当たり労働時間を減らし労働投入を減らしつつ、付加価値を1.4倍に増やしたため、労働生産性は約1.44倍

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労働生産性変化要因の比較(4)飲食・宿泊

28①労働生産性=②実質付加価値額÷③総実労働時間③総実労働時間=④従業員数×⑤一人当たり労働時間

-25%

-20%

-15%

-10%

-5%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

US Japan US Japan US Japan US Japan US Japan

飲食・宿泊業の労働生産性変化要因分解(1997年から2010年の変化率)

②実質付加価値額の変化率

③総実労働時間の変化率

④従業員数の変化率

⑤一人当たり労働時間の変化率

①労働生産性の変化率

• 日本は付加価値は減少したものの、それ以上に一人当たり労働時間を減らし、従業者数も減らしたため、労働生産性は1.1倍に

• 米国は一人当たり労働時間を減らす一方で従業者数を増やしたため、労働投入は増加したが、付加価値をそれ以上に増やしたため、労働生産性は約1.1倍に

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労働生産性変化要因の比較(5)運輸

29

-15%

-10%

-5%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

US Japan US Japan US Japan US Japan US Japan

運輸業の労働生産性変化要因分解(1997年から2010年の変化率)

②実質付加価値額の変化率

③総実労働時間の変化率

④従業員数の変化率

⑤一人当たり労働時間の変化率

①労働生産性の変化率

①労働生産性=②実質付加価値額÷③総実労働時間③総実労働時間=④従業員数×⑤一人当たり労働時間

• 日本は付加価値は減少したものの、労働投入を10%減らしたため、労働生産性は1.07倍に

• 米国は従業者数を増やす一方で一人当たり労働時間を減らしたため、労働投入全体としては減少したが、付加価値を1.2倍に増やしたため労働生産性は1.22倍に

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労働生産性変化要因の比較(6)金融

30

-40%

-20%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

US Japan US Japan US Japan US Japan US Japan

金融業の労働生産性変化要因分解(1997年から2010年の変化率)

②実質付加価値額の変化率

③総実労働時間の変化率

④従業員数の変化率

⑤一人当たり労働時間の変化率

①労働生産性の変化率

①労働生産性=②実質付加価値額÷③総実労働時間③総実労働時間=④従業員数×⑤一人当たり労働時間

• 日本は一人当たり労働時間は微増したものの、従業員数をそれ以上に減らしたため労働投入全体は減少したが、付加価値をそれ以上に減らしたため、労働生産性は10%減

• 米国は一人当たり労働時間を減らす一方で従業員を増やしたため、労働投入全体としては増加したが、付加価値をそれ以上に増やし、労働生産性は1.72倍

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Part 4

生産性のダイナミクス(日本のケース)

31

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Transport equipment(2000/1997)

Transport equipment(2003/2000)

Transport equipment(2006/2003)

Transport equipment(2010/2006)

0.6

0.7

0.8

0.9

1

1.1

1.2

1.3

1.4

0.8 0.9 1.0 1.1 1.2

輸送用機械

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Financial(2000/1997)

Financial(2003/2000)

Financial(2006/2003)

Financial(2010/2006)

0.6

0.7

0.8

0.9

1

1.1

1.2

0.8 0.9 1.0 1.1

金融

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まとめとポイント•三つの分母・分子(付加価値、一人当たり労働時間、従業者数)の動きは、産業でそれぞれ•産業の平均の労働生産性水準の値を日米で比較•産業内での生産性のばらつき、日米における企業規模の差などHeterogeneity(異質性)を考慮する必要

34

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Part 5

生産性向上に向けて

35

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生産性向上のために• キーワードは、規制緩和、国際化、IT(及び無形資産)の活用?• 規制OECD「成長に向けて(Going for Growth)2016年版」「製造業と比べたサービス業の相対的な生産性水準が、他のOECD諸国と比べて低い。このため、ネットワーク産業(エネルギー・運輸・電気通信)、専門サービス、小売・流通の分野において、競争やイノベーションを阻む規制障壁を減らすことが改革の優先課題である」• 国際化Dale Jorgenson教授が日本生産本部のインタビュー(2016年9月)に対し「事業国内市場に集中し、規制に守られている産業が日米生産性格差拡大の主因」と指摘• IT(及び無形資産)経済の付加価値を生み出す資産は有形から無形へシフト

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規制と生産性• 中西・乾(2007 )「規制緩和と産業のパフォーマン」CEI Working

Paper Series, No. 2007-3 https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/13503/1/wp2007-3a.pdf

• JIPデータベースにおける産業別規制緩和指標を使用して、規制緩和の進展が、産業別の生産性、生産額の成長率に与える影響を実証分析

• 結果、規制緩和の進展が、両者の成長率に関して、プラスの影響を与えており、またその効果が非製造業において、より顕著であることが明らかとなった

• ウェイトを高めいている非製造業分野における規制緩和の進展が重要

• JIPデータベースにおける産業別規制緩和指標「許認可等現況表(総務省)」に基づき、519部門(IO表)で、その産業が規制を受けているかいないか(一部受けているか、全部受けているか)を判断。JIP分類に519分類を集計する際に分子が、規制を受けている産業の付加価値の合計、分母がそのJIP分類に属する産業全ての付加価値の合計で、規制が強いほど1に近くなる指標

37

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38出所:中西・乾(2007 )の図2を抜粋

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39

米麦生産業その他の耕種農業 畜産・養蚕業 農業サービス林業

漁業

鉱業

畜産食料品

水産食料品精穀・製粉

その他の食料品

飼料・有機質肥料

飲料

たばこ

ゴム製品

化学肥料

無機化学基礎製品

化学最終製品

医薬品

石油製品

石炭製品

ガラス・ガラス製品

その他の窯業・土石製品その他の鉄鋼

非鉄金属製錬・精製

非鉄金属加工製品

その他の金属製品一般産業機械

特殊産業機械重電機器

民生用電子・電気機器

電子応用装置・電気計測器

電子部品

その他の電気機器

自動車

自動車部品・同付属品その他の輸送用機械

精密機械

その他の製造工業製品建築業

土木業

電気業ガス・熱供給業

上水道業

工業用水道業

廃棄物処理卸売業

小売業

金融業保険業

不動産業

鉄道業道路運送業

水運業

航空運輸業

その他運輸業・梱包

電信・電話業

教育(民間・非営利)

研究機関(民間)

医療(民間)保健衛生(産業)

その他公共サービス

広告業

業務用物品賃貸業

自動車整備・修理業

その他の対事業所サービス

娯楽業

放送業

情報サービス業(インターネット付随サービス業)

出版・新聞業

その他の映像・音声・文字情報制作業

飲食店

旅館業

洗濯・理容・美容・浴場業

その他の対個人サービス

y = -0.8217x + 0.1538

-8

-3

2

7

12

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8

TFP成長率(

2005年~

2010年平均値(%))

規制指標(2005/1995)

規制と生産性成長率

データ:JIPデータベース

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国際化と生産性•海外で生産活動を行っている企業は国内のみで活動を行っている企業よりも生産性が高い•生産性が高い企業が海外市場に参入するという逆の因果関係を考慮しても海外市場への参入は生産性を高める•ただし、その効果のプロセスは様々•国際化と生産性に関するサーベイ論文は川上(2016)を参照

40

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出所:川上(2016)3.2節より抜粋

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日本のIT投資(1)•従来労働集約と考えられてきたサービス産業について、今後の生産性向上を考える際に、資本蓄積が重要な要因

•資本蓄積の中でも、サービス産業において今後重要となる資産の蓄積に注目( IT資産及び無形資産)

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日本のIT投資(2)•米国、英国、ドイツは、付加価値のシェアを5~10%程度上回るIT投資のシェアとなっている

•先進各国の比較からは、 IT投資について日本が一貫して低位にあり、かつ2000年代からそのシェアを落としていることも分かる

•無形資産・IT投資のシェアが付加価値シェアとほぼ同じ程度である日本では、サービス産業のIT投資はまだ不十分と言える

43

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44

60

65

70

75

80

85

90

951985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

先進各国における全産業に対するサービス産業のIT(ハード+ソフト)投資シェア(単位:%)

Germany USA UK JapanData source: EU KLEMS

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サービス産業における資本蓄積の問題点(1)

• 国際的に見て、有形資産偏重の資本構成(左下図)• 2002年頃より、従業員一人当たり IT投資額に製造業との乖離が発生(右下図)

45

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1.4

1.6

1.8

フランス ドイツ イタリア イギリス アメリカ 日本

(出所)EUKLEMS database, INTAN-Invest Database

左下図:無形資産投資/有形資産投資の国際比較

1995-2000 2001-2010

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

800000

1980

1982

1984

1986

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

2004

2006

2008

2010

2012

右下図:従業員1人当たりIT(ソフト+ハード)投資額の推移(単位:円)

製造業 非製造業(出所)JIP2015データベース実質値・2000年価格

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サービス産業における資本蓄積の問題点(2)• 特に、非製造業では、ソフトウエア投資が鈍化

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0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

1980

1982

1984

1986

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

2004

2006

2008

2010

2012

従業員1人当たりIT(ハード)投資額の推移(単位:円)

製造業 非製造業

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

1980

1982

1984

1986

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

2004

2006

2008

2010

2012

従業員1人当たりIT(ソフト)投資額の推移(単位:円)

製造業 非製造業

(出所)JIP2015データベース実質値・2000年価格

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サービス産業における資本蓄積の問題点(3)• 時系列的に見ると、補完的な役割を果たすべき人材投資(無形資産投資の一部)が大きく低下している• 有形資産偏重の問題点:IT投資は増加しているものの、

IT化を補完する人材育成投資は減少している(下図)⇒サービス産業の低生産性

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0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

40000

45000

50000

1980

1981

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

従業員1人当たり人的資本投資額の推移(単位:円)

製造業 非製造業(出所)JIP2015データベース実質値・2000年価格

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ICT投資とその効果に関する研究の紹介

•滝澤・宮川(2017)では情報通信技術(ICT)投資の「決定要因」とその「効果」に関して分析• 2014年11月実施(国際IT財団)された「企業の

IT活用の実態と効果についてのアンケート」調査を利用• 回答社数:615社

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滝澤・宮川(2017)分析結果の概要(A):ICT投資の水準補完的投資水準とICT投資水準が相関中途採用IT人材の存在(=人的資本) CIO、専任セクションの存在(=組織資本)社内での人材流動性の高さ(=組織資本)

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企業属性(規模、成長性、投資実

績)ICT投資

ICT投資の成果(効率性改善、売上高伸長、リストラ進展、企画力

改善)

補完的投資(組織資本、人的資本)

(+)

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滝澤・宮川(2017)分析結果の概要(B):ICT投資の効果補完的投資の水準がICT投資の効果と相関 IT人材(新卒:効率性↑、中途:企画力↑) IT人材向け研修(企画力↑) CIO、専任セクション(売上高↑、リストラ↑、企画力↑)

50

企業属性(規模、成長性、投資実

績)ICT投資

ICT投資の成果(効率性改善、売上高伸長、リストラ進展、企画力

改善)

補完的投資(組織資本、人的資本)

(+)

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ICT投資水準・効果の両面に関して補完的投資が関係 ICT投資に対応した補完的な無形資産投資の重要性

無形資産投資の種別毎に発現するICT投資の効果に差異

進行中の分析+今後の検討課題産業別分析、外資比率の影響

無形資産投資の決定・阻害要因

最適なICT投資と無形資産投資のバランス

まとめと今後の課題

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おわりに• 労働力減少という供給制約下にある日本において、生産性の向上は経済面における官民の最重要課題• 特に中小企業の割合が高いサービス産業においては、労働節約に主眼を置いた従来型の効率化の取組に加えて、付加価値の向上も同時に図る必要• ITを利活用したサービスの改善や質の向上、規制緩和による経済全体の新陳代謝改善、高品質の日本型サービスの国際展開を通じた市場の拡大など、検討すべき方策は無数にある• 各企業はまず自社の時系列的な生産性の変動(分母・分子の動き)を把握し、より生産要素を節約すべきか、付加価値を増加することにより努力を払うべきかなどを観察すべき

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おわりに(続き)• 具体的にどのようなIT投資を実施し、IT化による業務改善につなげていくべきか• コンサルティング事業、ITシステムの開発・販売事業を行う株式会社アメリスにヒアリング• キーワードは「見える化(可視化)」

• 日本は、IT革命時に企画や仕組を考えずにまずIT投資を実施• 企画化、仕組化後、ITを導入しないとうまくいかない• 業務の見える化をまず行うべきで、そのためには業務の仕組化、構造化が重要

• 構造化の基本は、組織・業種によらず共通(売ってるものやサービスが違うだけでほとんど同じことを企業内で行っている。プロセスにおいての課題は共通)

• 問題があると考えているプロセスを全てIT化するのではなく、前後のプロセスも考えた後にIT化すべき

• パッケージに合わせて組織や業務を改善した方が生産性向上につながる(実は現在の業務やプロセス自体に問題がある可能性)

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株式会社アメリス ヒアリング結果

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参考資料1

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参考資料2

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参考資料3

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参考資料4

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<参考文献>• 川上淳之(2016)「生産性が高まるには?-経済学がデータから明らかにした方法-」日本生産性本部生産性レポート Vol.1

• 滝澤美帆・宮川大介(2017)「ICT投資の決定要因とその効果:「IT活用実態調査」を用いた実証分析、日本生産性本部生産性レポートVol.5

<Contact information>滝澤 美帆:東洋大学経済学部経済学科〒112-8606 東京都文京区白山5-28-20E-mail: [email protected]: http://researchmap.jp/g0000208044/

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