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はじめに pseudo-Meigs 症候群を呈した卵巣明細胞腺癌の症例 は極めてまれである.今回我々は両側胸水および腹水が 卵巣腫瘍摘出により消失した卵巣明細胞腺癌による pseudo-Meigs 症候群の 1 例を経験したので報告する. 患者:59 歳,女性. 主訴:呼吸困難. 既往歴,家族歴:特記すべきことなし. 職業歴:特記すべきことなし. 喫煙歴:なし. 現病歴:2003 年 1 月上旬より咳嗽が出現し,2 月 5 日 近医を受診した.胸部 X 線写真にて両側胸水を認めた ため当院へ入院となった. 入院時現症:身長 154 cm,体重 53 kg,体温 36.7℃, 血圧 138! 84 mmHg,脈拍 96! 分,整,呼吸数 20 回! 分, 結膜に貧血,黄疸を認めなかった.胸部聴診で呼吸音低 下と声音振蘯の減弱を認めた.下腹部ほぼ正中に手拳大, 弾性硬の腫瘤を触知した. 入院時検査成績(Table1):ESR78mm! hr,CRP 2.72 mg! dl と炎症反応の増加を認めた.腫瘍マーカーは AFP 2,525 ng! ml,CA19-9 216.6 U! ml,CA125 1,188 U! ml と それぞれ著明な増加を認めた. 入院時胸部 X 線写真では両側の胸水貯留を認めた (Fig. 1).肺野に異常を認めなかった.胸部 CT でも同 様に両側胸水を認めた(Fig.2).肺野に異常なく縦隔・ 肺門リンパ節の腫脹はなかった.腹部 CT では腹水を認 めた(Fig. 3).骨盤部 CT では子宮の前方右側に長径 15 cm 大の内部不均一な不整形の卵巣腫瘍を認めた(Fig. 4). 右側胸水検査(Table 2):胸水は淡黄色で,比重は 1.033,蛋白 4.8 g! dl,LDH 512 U! l と滲出性であり,細 胞数は 1,062! µl(組織球 17%,リンパ球 73%,好中球 1%,中皮細胞 9%)であった.細胞診は陰性で反応性 の中皮細胞を認めた. 入院後経過:入院時より呼吸困難,咳嗽が著明であり, 右胸腔より試験穿刺後,胸腔ドレナージチューブを挿入 し約 1,500 cc 排液した.ドレナージチューブからは連日 約 200 cc の排液が続いた.その後左側胸水の増加傾向 を認め,左胸腔ドレナージチューブを挿入し約 1,800 cc 排液した.左胸腔ドレナージチューブからも連日約 150 cc の排液が続いた. 胸水の性状は左右ともに滲出性で, 細胞診は陰性,ADA は 14.5 IU! l ,結核菌 PCR 陰性, 一般及び抗酸菌培養陰性であり,結核性胸膜炎を示唆す る所見は認められなかった.胸水細胞診は右 4 回,左 3 回施行したが全て陰性であった.画像上,少量の腹水の 貯留を認め,穿刺を試みたが少量にて採取不能であった. 下腹部に腫瘤を触知し,骨盤部 CT にて卵巣腫瘍を認め, 腫瘍マーカーも高値を示したため,卵巣の悪性腫瘍によ る pseudo-Meigs 症候群を疑い,産婦人科へ転科入院と なった.本人,家族との十分な話し合いの上,インフォー ムドコンセントを得て,2003 年 3 月 3 日,開腹術を施 行.右付属器,子宮,大網切除術を行った.開腹時淡黄 色透明の腹水を認めたため,これを採取した.腹水細胞 診は陽性,adenocarcinoma であった.腫瘍は右卵巣に ●症 卵巣明細胞腺癌による pseudo-Meigs 症候群の 1 例 清水谷尚宏 仙波征太郎 小宮山 畑尾 英一 伊藤 昌之 来生 須藤 晃彦 厚次 柳生 久永 大石 修司 中村 博幸 松岡 要旨:症例は 59 歳女性で,呼吸困難と両側胸水にて入院.胸水は両側ともに悪性細胞は認められなかった が,腹水および右卵巣腫瘍が認められ産婦人科にて右卵巣腫瘍による Meigs 症候群を疑い,右付属器,子 宮,大網切除術を施行した.術後病理組織学的に右卵巣原発の明細胞腺癌 stage II c と診断した.腫瘍摘出 後,胸・腹水は消失し,pseudo-Meigs 症候群と診断した.海外,本邦における pseudo-Meigs 症候群を呈 した卵巣明細胞腺癌の症例は極めてまれなため報告した. キーワード:胸水,腹水,pseudo-Meigs 症候群,卵巣明細胞腺癌 Pleural effusion,Ascites,Pseudo-Meigs Syndrome,Clear Cell Adenocarcinoma 〒3000395 茨城県稲敷郡阿見町中央 3―20―1 東京医科大学内科学第 5 講座 (受付日平成 16 年 8 月 31 日) 日呼吸会誌 43(4),2005. 236 日呼吸会誌 43(4),2005.

卵巣明細胞腺癌によるpseudo-Meigs症候群の1例 · Table 1 Laboratory findings on admission ESR 78 mm/hr Blood gas analysis(room air) Hematology pH 7.482 WBC 7,800

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はじめに

pseudo-Meigs 症候群を呈した卵巣明細胞腺癌の症例

は極めてまれである.今回我々は両側胸水および腹水が

卵巣腫瘍摘出により消失した卵巣明細胞腺癌による

pseudo-Meigs 症候群の 1例を経験したので報告する.

症 例

患者:59 歳,女性.

主訴:呼吸困難.

既往歴,家族歴:特記すべきことなし.

職業歴:特記すべきことなし.

喫煙歴:なし.

現病歴:2003 年 1 月上旬より咳嗽が出現し,2月 5日

近医を受診した.胸部X線写真にて両側胸水を認めた

ため当院へ入院となった.

入院時現症:身長 154 cm,体重 53 kg,体温 36.7℃,

血圧 138�84 mmHg,脈拍 96�分,整,呼吸数 20 回�分,結膜に貧血,黄疸を認めなかった.胸部聴診で呼吸音低

下と声音振蘯の減弱を認めた.下腹部ほぼ正中に手拳大,

弾性硬の腫瘤を触知した.

入院時検査成績(Table 1):ESR 78 mm�hr,CRP 2.72mg�dl と炎症反応の増加を認めた.腫瘍マーカーはAFP2,525 ng�ml,CA19-9 216.6 U�ml,CA125 1,188 U�ml とそれぞれ著明な増加を認めた.

入院時胸部X線写真では両側の胸水貯留を認めた

(Fig. 1).肺野に異常を認めなかった.胸部CTでも同

様に両側胸水を認めた(Fig. 2).肺野に異常なく縦隔・

肺門リンパ節の腫脹はなかった.腹部CTでは腹水を認

めた(Fig. 3).骨盤部CTでは子宮の前方右側に長径 15

cm大の内部不均一な不整形の卵巣腫瘍を認めた(Fig.

4).

右側胸水検査(Table 2):胸水は淡黄色で,比重は

1.033,蛋白 4.8 g�dl,LDH 512 U�l と滲出性であり,細胞数は 1,062�µl(組織球 17%,リンパ球 73%,好中球1%,中皮細胞 9%)であった.細胞診は陰性で反応性

の中皮細胞を認めた.

入院後経過:入院時より呼吸困難,咳嗽が著明であり,

右胸腔より試験穿刺後,胸腔ドレナージチューブを挿入

し約 1,500 cc 排液した.ドレナージチューブからは連日

約 200 cc の排液が続いた.その後左側胸水の増加傾向

を認め,左胸腔ドレナージチューブを挿入し約 1,800 cc

排液した.左胸腔ドレナージチューブからも連日約 150

cc の排液が続いた. 胸水の性状は左右ともに滲出性で,

細胞診は陰性,ADAは 14.5 IU�l,結核菌 PCR陰性,一般及び抗酸菌培養陰性であり,結核性胸膜炎を示唆す

る所見は認められなかった.胸水細胞診は右 4回,左 3

回施行したが全て陰性であった.画像上,少量の腹水の

貯留を認め,穿刺を試みたが少量にて採取不能であった.

下腹部に腫瘤を触知し,骨盤部CTにて卵巣腫瘍を認め,

腫瘍マーカーも高値を示したため,卵巣の悪性腫瘍によ

る pseudo-Meigs 症候群を疑い,産婦人科へ転科入院と

なった.本人,家族との十分な話し合いの上,インフォー

ムドコンセントを得て,2003 年 3 月 3 日,開腹術を施

行.右付属器,子宮,大網切除術を行った.開腹時淡黄

色透明の腹水を認めたため,これを採取した.腹水細胞

診は陽性,adenocarcinoma であった.腫瘍は右卵巣に

●症 例

卵巣明細胞腺癌による pseudo-Meigs 症候群の 1例

清水谷尚宏 仙波征太郎 小宮山 学 畑尾 英一

伊藤 昌之 来生 研 須藤 晃彦 岸 厚次

柳生 久永 大石 修司 中村 博幸 松岡 健

要旨:症例は 59歳女性で,呼吸困難と両側胸水にて入院.胸水は両側ともに悪性細胞は認められなかった

が,腹水および右卵巣腫瘍が認められ産婦人科にて右卵巣腫瘍によるMeigs 症候群を疑い,右付属器,子

宮,大網切除術を施行した.術後病理組織学的に右卵巣原発の明細胞腺癌 stage II c と診断した.腫瘍摘出

後,胸・腹水は消失し,pseudo-Meigs 症候群と診断した.海外,本邦における pseudo-Meigs 症候群を呈

した卵巣明細胞腺癌の症例は極めてまれなため報告した.

キーワード:胸水,腹水,pseudo-Meigs 症候群,卵巣明細胞腺癌

Pleural effusion,Ascites,Pseudo-Meigs Syndrome,Clear Cell Adenocarcinoma

〒300―0395 茨城県稲敷郡阿見町中央 3―20―1

東京医科大学内科学第 5講座

(受付日平成 16 年 8月 31 日)

日呼吸会誌 43(4),2005.236 日呼吸会誌 43(4),2005.

Table 1 Laboratory findings on admission

Blood gas analysis(room air)ESR 78 mm/hr

pH 7.482Hematology

PaO2 72.5 mmHgWBC 7,800 / μlPaCO2 30.9 mmHgNeu 79.8 %

BE - 0.1 mEq/lLym 14.1 %

HCO3 - 22.6 mEq/lMon 5.6 %

SaO2 95.8 %Eos 0.4 %

Urinalysis NormalBas 0.1 %

RBC 4.55 × 106 / μlHb 13.4 g/dl

Ht 41.8 %

MCV 91.9 fl

MCH 29.5 pg

MCHC 32.1 %

Plt 44.3 × 104 / μlSerology

CRP 2.72 mg/dl

CEA 0.5 ng/ml

CA19-9 216.6 U/ml

CA125 1,188 U/ml

AFP 2,525 ng/ml

CYFRA 8.2 ng/dl

Biochemistry

TP 7.3 g/dl

Alb 4.0 g/dl

T-Bil 0.5 g/dl

GOT 15 U/lGPT 10 U/lALP 235 U/lLDH 487 U/lγ-GTP 29 U/lT-CHO 256 U/lTG 141 U/lCh-E 129 U/lAmy 43 U/lCPK 79 U/lBUN 18.0 mg/dl

Cre 0.51 mg/dl

UA 6.8 mg/dl

Na 143 mEq/lK 4.1 mEq/lCl 108 mEq/lFBS 107 mg/dl

認められ,直径約 18 cmで表面は灰白色,一部暗赤色

で,�腫状と充実性の部分が混在していたが大部分は充実性であった.病理組織学的には腫瘍は異型細胞の腺腔

状,索状増殖を認め,腫瘍細胞の大部分は胞体が淡明で,

部分的に細胞質に硝子様の封入体が認められ,clear cell

adenocarcinoma と診断した(Fig. 5).子宮,大網に癌

の転移および播種は認められなかった.術後より胸・腹

水の再貯留は認められず,両側胸腔ドレナージチューブ

を術後 3日目に抜去した.術後 8日目の胸部X線写真,

胸部CTにて胸水は消失しており(Fig. 6),最終的に右

卵巣明細胞腺癌,International Federation of Gynecology

and Obstetrics(FIGO)の臨床期別分類にて stage II c,

及び卵巣明細胞腺癌による pseudo-Meigs 症候群と診断

した.術後 24 日目より carboplatin と paclitaxel による

化学療法を開始し,現在 6コース目を施行中であるが再

発の兆候はなく,腫瘍マーカーは全て正常化し,胸・腹

水の再貯留も認めていない.

考 察

1937 年Meigs と Cass が卵巣線維腫に胸・腹水を伴

237卵巣明細胞腺癌による pseudo-Meigs 症候群の 1例

Table 2 Laboratory findings of pleural effusion

Colour yellow

Cell Count 1,062 / μ l

 Macrophage 17 %

 Lym 73 %

 Neu 1 %

 Mesothel 9 %

Specific gravity 1.033

Rivalta (-)

Protein 4.8 g/dl

Glucose 137 mg/dl

LDH 512 U/lADA 14.5 IU/lCEA 0.5 ng/ml

Cytology Negative

Mycobacterium tuberculosis Negative

Bacteria Negative

い,腫瘍摘出により胸・腹水が消失し再発しない 7例に

ついて詳細な報告を行った1).また Rhoads が自験例 1

例を追加報告し,本症候群をMeigs 症候群と命名し

た2).その後Meigs 自身が 1954 年の論文でMeigs 症候

群を以下のように定義した3).�原発腫瘍は fibroma,thecoma,granulosa cell tumor,Brenner tumor などで

あり,�腹水を伴う,�胸水を伴う,�腫瘍摘出により胸・腹水が消失し再貯留しないとし,さらに�~�の全てを満たすものを true-Meigs Syndrome,原発腫瘍が�以外の腫瘍群で�~�を満たすものを pseudo-MeigsSyndrome とした.

今回我々が経験した症例は卵巣明細胞腺癌によるもの

であり pseudo-Meigs Syndrome ということになる.

Meigs 症候群における腹水発生機序については以前よ

りさまざまな考察がなされており,骨盤炎症説,低蛋白

血症説,腫瘍圧迫説,腹膜刺激説,Selye の警告説4)な

どが提唱されていたが,現在は腫瘍自身が腹水を産生す

Fig. 1 Chest roentgenogram on admission showing bi-

lateral pleural effusion.

Fig. 2 Thoratic CT scan on admission showing bilat-

eral massive pleural effusion.

Fig. 3 Abdominal CT scan on admission showing as-

cites.

Fig. 4 Pelvic CT scan on admission showing an ovarian

tumor in the right lower abdomen.

238 日呼吸会誌 43(4),2005.

るという説が主流である.Rubin ら5)は腫瘍もしくは腫

瘍茎においてリンパ管,血管に圧迫が加わり,そのため

に充血またはリンパ流のうっ滞を引き起こし腫瘍からそ

の組織液が漏出されるとしている.また腫瘍の炎症性変

化による腫瘍表面または腹腔からの浸出液の貯留も腹水

産生に関係するとも考えられている6).

胸水発生の機序についても以前よりいくつかの説がと

なえられているが,現在では胸水の性状がほぼ腹水と同

様であり,腫瘍の摘出により急速に胸水が消失すること

などから,腹水が何らかの経路を通って胸腔内に達する

との説が主流である.その経路についてはリンパ系を介

する7),もしくは横隔膜に存在する小孔を介する8),など

の報告がある.しかし,Meigs 症候群の患者にリンパ管

造影を行った成績では右胸膜腔への造影剤の流入は認め

られたが,腹腔には認められなかったことから,胸水の

由来は必ずしも腹水のみではない可能性も指摘されてい

る9).いずれにせよ胸水の発生機序が単一なものかどう

かを説明することは困難であり,いまだ定説はない.

今回の症例は当初は卵巣悪性腫瘍による癌性胸膜炎を

疑ったが,左右合計 7回の胸水細胞診においても悪性細

胞は証明されず,pseudo-Meigs 症候群の可能性を考え

た.しかし,術中の腹水細胞診は陽性であり,腹水が胸

腔内に達するという病態生理では説明できず,典型的な

pseudo-Meigs 症候群とは断定できなかったが,定義上

は矛盾しないため pseudo-Meigs 症候群と判断した.

今日までに pseudo-Meigs 症候群は多数報告されてい

るが,卵巣悪性腫瘍に合併した pseudo-Meigs 症候群の

報告は少なく10)~13),今日までにMeigs 自身の 14 例14)を

含めてわずかに 19 例のみである.その 19 例の卵巣腫瘍

の内訳としては,漿液性乳頭状腺癌 12 例12)14),粘液性�胞腺癌 1例13),類内膜癌 2例10)11),線維肉腫 1例14),

Krukenberg 腫瘍 1例14),分類不能癌 1例14),明細胞腺

癌 1例15)であり,漿液性乳頭状腺癌に多い傾向が認めら

れた.また,卵巣悪性腫瘍に合併した pseudo-Meigs 症

候群の胸水貯留の左右差については,右側 10 例,左側

2例,両側 7例であり,Meigs 症候群と同様に,右側に

多い傾向が認められた.今回我々が経験した卵巣明細胞

腺癌によるものは,海外では報告がなく,本邦で 1例の

報告15)があるのみであり,非常にまれな症例と思われた.

今後さらなる症例の蓄積と胸水・腹水の病態生理の解明

が必要と考えられた.胸・腹水を呈する症例の鑑別とし

て,pseudo-Meigs 症候群や true-Meigs 症候群を念頭に

いれ,また原発巣が悪性腫瘍であっても腫瘍摘出により

胸・腹水が完全に消失する pseudo-Meigs 症候群の可能

性を考え,手術不能例として即決しないことが重要であ

る.

(本論文の要旨は第 155 回日本呼吸器学会関東地方会にお

いて発表した.)

文 献

1)Meigs JV, Cass JW : Fibroma of the ovary with as-

cites and hydrothorax with a report of seven cases.

Am J Obstet Gynecol 1937 ; 33 : 249―267.

2)Rhoads JE, Terrel AW : Ovarian fibroma with as-

cites and hydrothorax(Meigs’syndrome). JAMA

1937 ; 109 : 1684―1687.

3)Meigs JV : Fibroma of the ovary with ascites and

hydrothorax-Meigs’syndrome. Am J Obstet Gyne-

col 1954 ; 67 : 962―987.

4)Selye H : A syndrome produced by diverse nocuous

agents. Nature 1936 ; 38 : 32.

5)Rubin IC, Novak J, Squire JJ : Ovarian fibromas and

theca-cell tumors : report of 78 cases with special

reference to production of ascites and hydrothorax.

Am J Obstet Gynecol 1944 ; 48 : 601―661.

6)木下勝之:Meigs 症候群.呼吸 1988 ; 7 : 1231―

1232.

Fig. 5 Microscopic appearance of the right ovary :

Clear cell adenocarcinoma. (H.E. ×200)

Fig. 6 Chest roentgenogram and CT scan taken after

surgery showing disappearance of pleural effusion.

239卵巣明細胞腺癌による pseudo-Meigs 症候群の 1例

7)Meigs JV, Armstrong SH, Hamilton HH : A further

contribution to fibroma of the ovary with fluid in the

abdomen and chest, Meigs’syndrome. Am J Obstet

Gynecol 1943 ; 46 : 19.

8)奥田邦雄,谷川久一,田中幹夫,他:Meigs 症候群

の 1症例,とくに胸水発生機序に関して.内科

1967 ; 20 : 569―573.

9)Hadari AA, Hodgkinson CP : Lymphangiograms of

Meigs’syndrome. Obstet Gynecol 1968 ; 32 : 477―

481.

10)竹内享介,舟木 馨,藤田一郎,他:Pseudo-Meigs

症候群を合併した卵巣類内膜癌症例.産婦治療

2001 ; 82 : 114―117.

11)Yin H, Li XH, Xu HM, et al : Pseudo-Meigs’syn-

drome secondary to bilateral ovarian endometrioid

carcinomas. Int J Gynaecol Obstet 1999 ; 66 : 293―

295.

12)Hartstein JA, Jacobs AJ, Deppe G, et al : Pseudo-

Meigs syndrome with resulting papillary adenocar-

cinomas of the ovary and follopian tube. Int J Gynae-

col Obstet 1980 ; 18 : 170―171.

13)Jimerson SD : Pseudo-Meigs’syndrome. An unusual

case with analysis of the effusions. Obstet Gynecol

1973 ; 42 : 535―537.

14)Meigs JV : Pelvic tumors other than fibromas of the

ovary with ascites and hydrothorax. Am J Obstet

Gynecol 1954 ; 3 : 471―486.

15)吉本英生,小林寛人,谷村 悟,他:Pseudo-Meigs

症候群を呈した卵巣明細胞腺癌の 1例.臨婦産

2002 ; 56 : 1481―1483.

Abstract

A case of pseudo-Meigs Syndrome due to ovarian clear cell adenocarcinoma

Naohiro Shimizudani, Seitaro Senba, Manabu Komiyama, Hidekazu Hatao,Masayuki Ito, Kiwamu Kioi, Akihiko Sudo, Koji Kishi, Hisanaga Yagyu,

Shuji Oh-ishi, Hiroyuki Nakamura and Takeshi MatsuokaThe Fifth Department of Internal Medicine, Tokyo Medical University Hospital

A 59-year-old woman was admitted with dyspnea. A chest X-ray film revealed a large amount of pleural effu-

sion at the both sides. No malignant cells were found in bilateral pleural effusions. Computed tomography(CT)of

the abdomen showed a huge mass of the right ovary with a small amount of ascites, suggesting a diagnosis of

Meigs syndrome. The ovarian mass and the neighboring organs, including the uterus and the greater omentum,

were surgically removed, and then both the bilateral pleural effusion and ascites disappeared after the surgery.

The histopathological examination revealed that the mass was clear cell adenocarcinoma of the ovary(stage II c),

indicating that the disease was pseudo-Meigs Syndrome. This is the second report of pseudo-Meigs Syndrome

caused by clear cell adenocarcinoma of the ovary in Japan.

240 日呼吸会誌 43(4),2005.