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Technical Article - assets.vector.com · 図2:obdはすでにdem、 dcm、fimの各モジュール で使用可能です 図1:dcmモジュールのobd固有の拡張には、9個のサービ

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1October 2013

Technical Article

OBD、AUTOSARに出会う

OBDの背景

近年、内燃機関搭載車に課せられる排気ガス規制の厳格化が進んでいます。数年に及ぶ車両運用の期間を通してこの規制を順守するには、オンボード診断システムでコンポーネントやシステムをモニターし、障害のない動作を実現しなければなりません。このようなオンボード診断システムは、カリフォルニア州大気資源局 (CARB:Californian Air Resources Board) が1988年型車両を対象に策定したOBD Iで初めて要求されました。これに続くOBD IIでは、1996年型車両を対象として、故障診断コード (DTC:Diagnostic Trouble Code) と外部スキャンツールの接続コネクターの標準化が図られました。この標準はEUで広く採用され、ヨーロッパの2001年型以降の車両を対象に、EOBDとして義務化されました。通常、1台の車両には3つのクラスのECUが定義されています。

「マスターECU」は主要データを収集・処理し、供給するほか、

運転者への警告表示を制御します。「プライマリーECU」は局所的なデータを自身のフォールトメモリー内に記録するECUで、スキャンツールとの通信も行います。「セカンダリーECU」は排気ガス浄化に関する処理を実行しますが、これらは格納が必要なデータを常にプライマリーECUやマスターECUに送信します。コンポーネントとシステムをモニターする機能は2つのカテゴ

リーに細分化されます。「主要モニター」は排気ガスの値に直接影響するシステムを対象とするもので、これには燃料噴射装置および排気ガス再循環システム、触媒コンバーター、粒子状物質除去フィルターが含まれます。「包括的コンポーネントモニター」では、主要モニターに必要なシステムや、排気ガスに間接的に作用するシステムがチェックされます。これには回生ブレーキ、バッテリー管理、空調制御などのシステムに関連した機能が含まれます。

~AUTOSARベーシックソフトウェアへのOBD機能の統合で、診断の実装がシンプルに~

パワートレインのハイブリッド化に伴い、OBD(on-board diagnostics:オンボード診断システム)に関連するECUの数は増加の一途をたどっています。その結果、標準化されたソリューション、つまり理想的にはAUTOSARに基づくソリューションへの要求が一層高まっています。本稿では、AUTOSARベーシックソフトウェアにどのようなOBD機能が統合されるのか、そしてそれらがどのようなユースケースに対応するのかについて解説します。

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2October 2013

Technical Article

固有のサービスを実装します (図1)。しかも、OBDのリクエストはUDS (Unif ied Diagnostic Services) のリクエストよりも高い優先度で、またはそれと並行して処理されます。DEMモジュールにも、UDSの機能に加えて多彩なOBD拡張が含まれます。これにはUDSとは異なるDTC記録方式や、Permanent DTCの格納、フリーズフレームデータの保存、IUMPR (In Use Monitor Per formance Ratio) の計算などが該当します。さらに、DEMモジュールはPID $21の「Distance travelled while MIL is activated」といった補助的なデータも提供します。FIMモジュールと組み合わせれば、特定の異常が検出された時点でIUMPRカウンターの加算を直ちに無効化できます。

DEM、DCM、FIMモジュールの量産化可能なOBD拡張は、ベクターのAUTOSAR 4ベーシックソフトウェアですでに利用が可能となっています (図2)。これはAUTOSAR 3のソリューションにも統合できます。ベクターは現在、自動車メーカー 5社について、各社独自の修正を加えたOBD機能を提供しています。

本稿は2013年10月発行のATZ extra (10 Years AUTOSAR)に掲載されたベクター執筆による記事を和訳したものです。

提供元:見出し画像/図1および2:Vector Informatik GmbH

リンク:ベクター・ジャパン http://www.vector-japan.co.jp

図2:OBDはすでにDEM、DCM、FIMの各モジュールで使用可能です

図1:DCMモジュールのOBD固有の拡張には、9個のサービスが新たに含まれます

AUTOSARベーシックソフトウェアの一部となるOBD機能

電動アシスト駆動の急速な普及により、包括的コンポーネントモニター機能を持つプライマリーECUもその数を増しています。とすれば、こういったECUのためのOBD機能を標準のソフトウェアの枠組みに実装する足掛かりは作っておくべきではないでしょうか。AUTOSARはDCM (Diagnostic Communication M a n a g e r )、D E M ( D i a g n o s t i c E v e n t M a n a g e r )、F I M (Function Inhibition Manager) の各モジュールに実装すべきOBD機能を規定しています。それらはOBDの標準と指令の規定を相当レベルまで参照していますが、具体的な実装はソフトウェアの供給元が自動車メーカーと協力して定義しなければなりません。

DCMモジュールは$04の「Clear/Reset Emission-Related DTCs」や$09の「Request Vehicle Information」といったOBD

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3October 2013

Technical Article

Thomas Necker(Dr. Ing.)

組込ソフトウェア分野のチームリーダーとして、診断モジュールとそのOBD拡張の開発を担当しています。

Oliver Garnatz (Dipl. Ing.)

組込ソフトウェア分野のプロダクトマネージャーであり、AUTOSARのほか、自動車診断分野のISOのメンバーも務めています。

執筆者:

■ 本件に関するお問い合わせ先ベクター・ジャパン株式会社営業部(組込ソフトウェア関連製品) TEL: 03-5769-7808E-Mail: [email protected]