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「パラメトリック・デザイン」演習

20160701 東福⼤輔 向⼝武志

以下の演習は、「Grasshopper Premier」の第⼆版 ・第三版から選んだものである。いずれも、よくできた演習で基礎的な理解をする上では必要⼗分と考える。第⼆版は⽇本語版があるが旧バージョンを使っているため情報がいささか古い。⼀⽅で第三版は英語版しかないものの平易に書かれているため、演習後に読んで理解を深めることもできるだろう (URL はウェブに記した)。なお、テキスト 「Rhinoceros + Grasshopper 建築デザイン実践ハンドブック」は授業では最初の説明部分しか使⽤しない。この本に出てくる例については、本演習を終えた後であれば簡単に理解できるだろうから、こちらも演習後に読んで欲しい。

演習 1〜10 は、Grasshopper の基礎的な理解をさせるもので、演習 11 は 「メッシュ」という⽴体を⽤いるためRhinoceros の特性と異なるものについての深い理解を必要とする。授業では希望が多く出ない限りやらないつもりだが、課題でメッシュの利⽤をしたい場合は、与えられたファイルをよく読んで理解してほしい。

なお、パラメトリック・デザインであっても、⼀番⼤切なのは最初の構想であるのは変わらない。諸君が様々なテクニックを習得し、それらを総動員して独⾃のロジックを組み上げることを期待している。 ◆演習1:らせん形状をつくる(1) ・ファイル名:01_spiral.gh ・テキストを⽤いて、Grasshopper の画⾯構成や、基本的操作を習得する。 ・データの発⽣のさせ⽅を学ぶ。 ・関係のない形は⾮表⽰にできる、また、Bake コマンドを⽤いて、作った形を Rhinoceros 上に定着させることができる。 ・ 「レンジ」を使って等差数列を発⽣させ、それをサイン ・コサインの関数に当てはめてそれぞれの点の座標とする。点を順番につないでいくと螺旋状になる。

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◆演習2:らせん形状を作いて、細胞の模式図をつくる(2) ・ファイル名:02_cell.gh ・別の定義の仕⽅でも、同じ形状が作れる。最終的なプロジェクトではロジックは⾒えることはないが、明快かつ簡潔なものの⽅が望ましい。本課題では、ロジックの組み⽴て⽅も評価の対象である。 ・らせんから、細胞の模式図を作る。点を⼀直線上に並べ、サイン・コサインの関数を使って平⾯螺旋状に並べなおす。最後にボロノイ図を当てはめて完成とする。

◆演習3:データ・マネジメント ・ファイル名:03_data_manegement.gh

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・Grasshopper で最も難しいのは⽣成するデータの取り扱いであるため、思い通りの結果が得られるよう、その取扱いを習得する。この内容はこの先も何度も出てくるので、それぞれのコンポーネントについて解説する。 ・この中では後半の 「ツリー」の概念が少々難しい。この後も出てくるので、ここでは 「このようなコンポーネントがある」程度の理解でよい。

◆演習4:「シフト」を⽤いて鞍型 HP シェルをつくる ・ファイル名:04_shift.gh ・前項で学んだ「リストのシフト」を⽤いた簡潔なロジックである。 ・まず、2つの円を⽤意して分割し、それぞれの点を繋ぐ。⼀⽅のデータ・リストをシフトによってずらせるようにする。 ・Rhinoceros 上で形を作りこむ事は否定しないが、Grasshopper をできるだけ利⽤することを試みてほしい。数個の点、あるいは数本の曲線から形態を⽣成させるのがよりエレガントだと思う。今後、データは⼤きくなっていくが、⼀部を⾮表⽰にしたり、ロジックのフローを⼯夫するなどしてコンピュータに過⼤な負荷がかからないように⼯夫してほしい。

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◆演習5:「リスト・アイテム」「リスト・レングス」を⽤いて迷路をつくる ・ファイル名:05_list.gh ・データ・リストから、 「マージ」 「リスト・アイテム」 「リスト・レングス」を⽤いて選択させ、シンプルな迷路を作る。これもまたシンプルなロジックである。 ・グリッドに、数列に基づいたパーツを当てはめてゆき、迷路を作る。グリッドの⼤きさを変えると、「改⾏位置」が変わるので迷路の形も変わってゆくことを確認する。

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◆演習6:「ディスパッチ」と「ウィーブ」を活⽤する ・ファイル名:06_weaving_diffinition.gh ・NURBS 曲線の特性を利⽤し、ところどころの点を 「隣」のものを使うロジック。「ディスパッチ」と 「ウィーブ」を⽤いることで、点を選択させている。

◆演習7:アトラクター(1) ・ファイル名:07_attractors.gh ・ここでいうアトラクターとは、環境に変化を与える点の概念の事。 ・環境を完全にモデル化する軸線とは少々異なった造形概念を学ぶ。

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◆演習8:アトラクター(2)、ボックス ・ファイル名:08_boxes.gh ・ツリーの「フラッテン」、関数のロジックへの組み込みを習得する

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◆演習9:曲⾯の取り扱い ・ファイル名:09_1_surface.gh ・Rhinoceros 上で 3 本の曲線を描き、「スイープ」を⽤いてサーフェイスを作る。Grasshopper がどのように曲⾯を解析し、パラメーターを与えているか、特に「リパラメタライズ」に対する理解を深める。

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・ファイル名:09_surface.gh ・今までの知識を総動員し、少々⻑めのロジックに取り組む。 ・途中にパラメーター変換を含み、⼀度作った⽴体を分解し、曲線を定義する点を取捨選択したうえで描きなおしている。

◆演習10:モーフィング ・ファイル名:10_morphing.gh ・特定のジオメトリをバウンディングボックスに⼊れ、別途ゆがんだ格⼦を⽤意してその中に押し込んでゆく「モーフィング」という⼿法もある。建築の場合はサッシなどの同じ部材が連続してゆくような場合には有効であるが、少々マシンのパワーを必要とする。

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◆演習11:メッシュ ・前項までで Grasshopper での造形はほとんどカバーできていると考えるが、プレゼンテーションで 3D プリンターを利⽤する場合などは、厚みのある閉じたポリサーフェイス、もしくはメッシュで⽴体を定義する必要がある。NURBS 曲⾯とは違い、メッシュでは点の集合によって⽴体を定義している。より⾼度なメッシュの造形をしたい者は、Element*や Weaver Bird といった機能拡張があるので、そちらを各⾃学習してほしい。 ・ファイル名:11_1_mesh_basics.gh ・メッシュの考え⽅の基礎。頂点と結び⽅のデータを別に定義している。

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・ファイル名:11_2_mesh_basics.gh ・メッシュの球を分解し、関数を導⼊して変形している。後半は、法線ベクトルを⽤いて疑似的なレンダリングを⾏っている。細かい⾯を持つメッシュならではの⽅法である。

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・ファイル名:11_mesh_vase.gh ・ねじれ、襞がついた花瓶の造形である。ロジックは⻑⼤であるためファイルを参照のこと。 ・点のナンバリングの仕⽅、底や注ぎ⼝の付け⽅など、⼯夫されているので、よく読み解いてほしい。


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