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Ascentis® Express Peptide ES-C18カラムでのペプチドマッピングカラムでのペプチドマッピングカラムでのペプチドマッピングカラムでのペプチドマッピング

はじめにはじめにはじめにはじめに

ペプチドマッピングはタンパク質の主たる構造への

変化を評価するための確立した技術です。ペプチド

マッピングは、タンパク質配列の変化やアミノ酸の化

学修飾をモニターする品質管理や基礎研究の領域

でアプリケーションがあります。基本的にタンパク質

は、有限数のペプチド断片を生み出すためにシーケ

ンスに依存した方法で裂かれ(消化され)ます。ペプ

チド断片の混合物は、クロマトグラフ的に分離されま

す。消化前のタンパク質の厳密な前処理プロトコル

は多様であり、研究者の研究内容に依存します。し

かし、一般的なタンパク質の前処理プロトコルには、

変性、還元、アルキル化が含まれます。アルキル化

は、フリーのメルカプト基の酸化状態をコントロール

するために実行されます。さもなければ望ましくない

不均質なクロマトグラムを引き起こすことがあり得ま

す。還元は、メルカプト基をアルキル化の前に還元

化するために実行されます。変性は、全てのメルカ

プト基が化学修飾を可能とし、完全にポリペプチド鎖

を消化できるように実行されます。

ペプチドマッピングは通常、逆相クロマトグラフィー

によって行われます。昔から低波長UVにて検出が

行われてきました。低波長UV検出がよくマッチする

のは、イオンペア試薬としてペルフルオロ化有機酸

を使用するためです。この点から、TFAは理想的でし

た。TFAは低濃度でも強酸であるため、ペプチジルカ

ルボキシル末端よりも低pHに保つことにより、シリカ

ゲル基材のカラムでのポリペプチドの保持を最大に

し、同時に塩基性部位とイオン対を形成することに

よってピーク形状を最適化します。このように、TFA

移動相はUV検出におけるペプチドマッピングのため

の標準メソッドになりました。しかし、質量分析法の

出現により、ペプチドマッピングにおいて好ましい標

準的な移動相は再検討が必要となりました。UV検

出でのペプチドマッピングにおける典型的なTFA濃

度(0.1%)は、他の移動相添加剤としての有機酸と

比較して感度の低下を引き起こしてしまうためです

(1)。この原因として、ESI源における荷電した液滴

の高い表面張力と、気相におけるTFAとペプチドの

塩基性部位との間での強いイオン対形成が考えら

れています(1)。酢酸とギ酸がペプチドのLC-MS分

析においてTFAの代替として使われてきましたが、

ギ酸がより一般的となりました。これは、ギ酸が強酸

であり、ペプチジルカルボキシル末端のイオン化を

最小にし、保持が強まるためです。ギ酸、TFAによる

MS検出感度の違いの例をFigure 1に示します。

Hillel Brandes

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実験および結果実験および結果実験および結果実験および結果

Supelcoは、ポリペプチド分析のためにデザインされた

Fused-Core ®粒子で最近新しいカラムAscentis ® Express

Peptide ES-C18を発売しました。Fused-Core粒子の単分

散粒子の均一なカラムパッキングと、多孔質シェル層の

短い拡散経路により、高い理論段数を示します。Table 1

にAscentis Express Peptide ES-C18粒子の主な特徴をま

とめました。

ペプチドマッピングのために、新しく高理論段パッキン

グしている本カラムの大きな利点は、結果として生じる改

良されたピークキャパシティ(Pc)です(tgはグラジエント時

間で、waveは平均ピーク幅です)。

ピークキャパシティとは、グラジエント実行時に、クロマト

グラフィー的に分離される理論的なピーク最大本数を意

味します。有能なカラムは低い平均ピーク幅を持ってお

り、より高いピークキャパシティを示します。この例を

Figure 2、Table 2に示します。Figure 2ではAscentis

Express Peptide ES-C18に対し、典型的なワイドポアC18

カラムにおける複雑なトリプシン消化物のクロマトグラム

を示します。視覚的に、Ascentis Express Peptide ES-C18

の方がより多くのピークを分離したように見えます。

Table 2は、クロマトグラムから拾ったピーク数を示してお

り、より説得力のある定量結果が示されています。よっ

て、Ascentis Express Peptide ES-C18は、統計学的にもよ

り多くのピークを分離することができます。

0.1%ギ酸がLC-MSによるペプチドマッピングの事実上

の標準になる一方で、いくつかの懸念があります。0.1%

ギ酸の場合、ピークキャパシティとピーク形状が

0.1%TFAほど良くない点に注意してください(2)。これは

特にFigure 3で示すように、塩基性ペプチドで明らかです。

また、TFA存在下の方がペプチドの保持が強く、おそらく

TFAがギ酸よりも疎水性が高いためと考えられます。

McCalley(2)は、ギ酸存在下における悪いピーク形状

の原因について解明しました。保持された分析物(ペプ

チド)に十分なイオン対が無くイオン反発したため、分析

物の電荷が中性となり、結果ピークキャパシティが低下

したと報告しました。これはTable 3を参照することでさら

に理解することができます。

0.1%の水溶液中でギ酸は7%イオン化される一方、

TFAは98%イオン化されます。よって明らかにギ酸の場

合よりもTFAの方が、はるかに多く利用できる陰イオン

が存在し、塩基性部位とイオン対が形成可能です。これ

は確かにMcCalleyの仮説と一致しています。この仮説を

試験するための更なるアプローチとして、より多くのギ酸

陰イオンがイオン対として利用できるよう、ギ酸溶液の

pHをより高く調節しました。ギ酸溶液のpHを3.5に調製す

る事で、ギ酸陰イオン濃度を7倍に高めました。実際に

Figure 4で見られるように、移動相の少しの変更で、塩基

性ペプチドのピーク形状に大きな影響を及ぼしました。

pH3.5で改善されたピーク形状は、アンモニウム陽イオ

ンの影響によるものではなく、ギ酸陰イオン濃度の増加

にて説明が可能です。なぜならば、pH3の類似したギ酸

アンモニウム濃度でのピーク形状は、pH3.5と比較して

ほとんど改善されなかったためです(データ未公開)。も

し類似した影響が現れた場合は、アンモニウム陽イオン

がペプチドとシリカゲル表面の間で起こるイオン交換を

軽減させ、悪いピーク形状へ多大な影響を及したことを

示唆します。

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まとめまとめまとめまとめ

Ascentis Express Peptide ES-C18は、ペプチド薬研究・

分析から生成したプロテオミック混合物や試料のポリペ

プチドを、逆相クロマトグラフィーにて分析するための最

新技術カラムです。

* all concentrations, shown as percentages, are v/v.

ReferenceReferenceReferenceReference

1. Apffel, A. et. al. 1995. Enhanced sensitivity for peptide mapping with

electrospray liquid chromatography-mass spectrometry in the presence

of signal suppression due to trifluoroacetic acid-containing mobile

phases. J. Chrom A 712: 177-190.

2. McCalley, D.V. 2004. Effect of buffer on peak shape of peptides in

reversed-phase high performance liquid chromatography. J. Chrom A

1038: 77-84.

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2012.11

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