MR(Medical Business)_20110307 KnowledgeCOMMONS vol.1

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KnowledgeCOMMONS http://knowledgecommons.net/ Presenter http://www.facebook.com/hidefumi.otsuka

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製薬業界の仕組みについて

大塚 英文

自己紹介

自己紹介〜履歴

1971年1月17日生まれの現在40歳

博士号をもつ分子生物学者として、研究機関で研究(33歳迄)。

医療系広告代理店で、広告戦略や戦術にに携わる(36歳迄)

製薬企業でマーケティング業務に携わる(現在)

自己紹介〜興味

ダイビング歴 5年、220本。今月パラオへ

アシュタンガヨガ歴 4年

旅行 22カ国、好きな場所はロンドン、ニース

読書 年間300冊以上

日本文化全般への興味(書道、茶道)

心理学 コーチング、NLP、タロット

本日の発表の流れ

薬の開発薬を売る準備

(prelaunch)

薬の承認と発売(approval

and launch)

PMDA MHLW

薬事法

本日の発表の流れ

薬の開発薬を売る準備

(prelaunch)

薬の承認と発売(approval

and launch)

PMDA MHLW

薬事法

薬とは?

薬は、種類や作用によって、薬事法の規制が厳しかったり、ゆるかったりする。

法規制上の分類

医療用医薬品(ethical drug)

一般用医薬品(Over the counter drug、OTC、大衆薬)

医療用医薬品

処方せん医薬品

正当な理由がなければ処方せんによる指示なしでは販売できない。違反行為には罰則が適用される

それ以外の医薬品

作用が比較的緩和で、安全性も高く使い方も特に難しくない。

一般用医薬品

一般の人が、自らの判断で使用することを目的とするもの

医療用医薬品が一般用医薬品に転用(スイッチ)されたもの、スイッチOTCともいう。

オーファンドラッグとは?

オーファンドラッグ(orphan drug):日本人で対象患者が50,000人未満の疾患。希少疾病用医薬品ともいう。

アメリカでは、200,000人未満、またいは発症率が5人/10,000人の疾病が対象。1983年に制定。2004年迄に、249品目が対象に。

バイオベンチャーの飛躍のきっかけとなる。

特典として、開発に必要な資金の助成、優先審査の実施、薬価上の優遇、再審査期間の延長(市場独占権)、税制上の優遇。米国では、市場に対する排他権は8年、ヨーロッパでは10年得ることができる。

薬の開発の流れ

候補の化合物を選定(研究)

実生活に役立つようにデータを集める(開発)

申請書類をまとめる(薬事)

国へ提出、承認を得る(承認申請)

承認を得た薬を上市(launch)する(発売)

どこが審査、承認?

審査:PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)

(審査過程は、審査報告書という形で、Homepageに公開されている)

承認:厚生労働省(MHLW)

ほかの国々では?

アメリカでは、FDA(food and drug administration)

欧州では、EMEA(european agency for the evaluation of medicinal products)が承認申請を行う。

医療規制を行う行政機関のことを、医療当局(Health authorities)という。当局と略すこともある。

審査人数に違いが・・

日本:197名

イギリス:693名

アメリカ:2200名

フランス:942名

ただし・・

アメリカ:臨床試験の報告書となまデータを使って、審査員が独自に解析を進める。

日欧:企業に解析、考察を求め、それを審査する。

そのため、アメリカは日欧よりも多くなる。

人員不足がドラッグ・ラグの原因?

製薬業界は研究を行わなくなってきている

Birch Bayh上院議員とRobert Dole上院議員によってBayh Dole act(バイ・ドール法):80年代

米国国立衛生研究所(NIH)から得た助成金による成果が、すべて国に帰属だったのが、大学やベンチャーなどが特許取得可能に

大学が特許をTLOで管理、特許取得、ライセンス供与、特許使用料がとれるようになった

製薬企業はリスクの高い研究を行わなくなっており、ベンチャー企業やNIHに依存するようになってきている。

必要なデータ

医薬品の可能性のある物質に対して:

有効性(薬効)、安全性(毒性)を動物、培養細胞で調べる。発ガンの影響?胎児への影響など(非臨床試験)

有効性、安全性を人で調べる(臨床試験、治験)

どのように、試験をするかについては、厚生労働省でガイドラインが示されている。

例えば、

臨床試験については、薬事法によって全て定められている。

治験の依頼をしようとする者は、治験を依頼するにあたって、厚生労働省令で定める基準に従ってこれを行わなければならない(第八十条の二)

施設が、医薬品の実施に関する基準(Good Clinical Practice, GCP)に満たす必要がある。

治験を行うために

厚生労働省へ治験届の提出

それ以外に

治験実施計画書(Protocol)

標準業務手順書(SOP)

GCPおよび規制条件によって実施、記録、報告(CRF)

これらを監視する者をCRA(治験モニタリング担当者)、モニターという

専門分化が進む

企画全体を統括する、Project Director

PMDAと折衝を行う、Regulatory manager(薬事部)

臨床試験をマネジメントする、Trial Manager

非臨床データを解析する、Pre clinical manager

品質などの管理、CMC manager

申請文書、Statistician、Medical writer

本日の発表の流れ

薬の開発薬を売る準備

(prelaunch)

薬の承認と発売(approval

and launch)

PMDA MHLW

薬事法

市場参入のためには

保険制度をしる

薬価制度を知る

発売準備をする

日本の保険制度の特徴

全ての国民が保険制度に加入している

患者は自己負担が少なく医療機関の受信に制限がない。

医師は自由に開業可能

医療報酬が医療機関や医師によって差がなく、一律であること。=>出来高払い(fee for service)制度

問題点として

薬漬けになる可能性が大きい(薬が処方されればさせれるほど医療機関が儲かる)

医療費の高騰

サービスの量は増えるが、効率のいい医療に結びつかない。

利益の低い医療サービスには目が向かない。

DPC制度の導入

DRG (Diagnosis related group)、PPS (Prospective Payment system):定額払い、診療別包括払い方式

疾病の種類、重症度によって費用が決まっており、標準化された診療を行う必要がある。

定額払い、医療費の抑制が可能。

日本では、主に急性期入院患者に対して導入。DPC(diagnosis procedure combination)という。

対比として、包括

出来高払い方式 診断別包括払い方式

医療機関の収入 サービス量に応じて疾病の種類、重症度に

よって決まる

医療の診療の指針 比較的自由 標準化された治療

サービスの質 増加傾向 低下傾向

医療費のコントロール 困難 容易

対比としてのアメリカ

伝統型(indemnity)とマネージドケア(managed care)の2つがあり。

伝統型:自分で選んだ医師、病院にかかって後から治療費を保険会社に請求

マネージドケア:患者が保険会社と契約している医師や病院にかかって、治療費のうち自己負担分を支払う。

医療報酬が医療機関や医師によって差がなく、一律であること。=>出来高払い(fee for service)制度

マネージドケア

HMO (health maintenance organization)

指定のかかりつけ医師を通さなければ、いかなる専門医の診療も受けられない。定額保険料を支払う。

PPO (Preferred Provider Organization)

数多くの加盟医師の中から好きな医師を選定、比較的安い価格で出来高払いに基づいた医療、健康医療を受けられる。

POS (point of service)

保険会社が契約した医療機関のみならず、契約外の医療機関も選定可能。ただし、その場合には自己負担額が大きくなる。

マネージドケアとフォーミュラリー

伝統型の場合には、医師の選択に制限はないが、自己負担額と掛け金はマネージドケアよりも高い。

マネージドケアは、医療費の高騰を抑えるために、うまれた保険形式のため、自己負担額や掛け金は、伝統型よりも低い。ただし、治療の制約が大きい。

マネージドケアの導入の背景には、特定の病気に対する予防、診断、投薬、治療を含む対処方法をパッケージ化し、有効性の高い医療品の利用を促せば、トータルの医療費は抑えられるというコンセプトになっている。

ポイントは、「有効性の高い医療品を処方する」

製薬会社は、マネージドケアの処方集(フォーミュラリー)に掲載されるように努力する。

医療用医薬品と薬価基準

一般用大衆薬(OTC)は、自由に価格設定が可能。

医療用医薬品は薬価基準という公定価格がある。

薬価基準は、国によって定められた医療用医薬品の公定価格のことをいう。この公定価格は、保険者から医療機関に支払われる薬剤の価格であり、建前では、医療機関、薬局が卸から購入する際の薬の価格である。

医療用医薬品の納入価格は市場原理が働く。

卸からの納品価格と保険者への請求価格との間に差額が生じた場合、「薬価差益」となる。

医療用医薬品と薬価基準

医療用医薬品が使われるためには薬価基準に収載されることが必要。

市場で実際に販売されている価格、すなわち市場実勢価格を適正な薬価基準に反映させるため、薬価調査(市場価格調査)により実態を把握、適宜に薬価は改正される。医療用医薬品は薬価基準という公定価格がある。

通常、薬価は2年に一度改正される。卸からの納品価格と保険者への請求価格との間に差額が生じた場合、「薬価差益」となる。

また、市場環境によって薬価が見直されることがある。

薬価は、類似薬価方式、原価加算方式の二種類によって算定される。

後発品は、先発品の70%で算出される。

薬価差の問題を解決させるために

薬価差の問題を解決するために、厚生労働省は、2年に一度実態調査を行う。その結果に基づいた薬価を設定する。

1990年までは、薬価差は薬剤費の20%、1兆5000億円だったが、現在減少している。

医療機関の価格の高い先行医薬品の方がもうけが大きいことから、後発品の普及の足かせとなっている。

アメリカでは・・・

公的価格制度を導入せず、民間の市場原理にゆだねる施策がとられている。

一元に決まる薬価は存在しない。メーカーと医療機関、HMOなどのマネージドケアの交渉により決められる。

90年代からは、トータルの医療費の節減する医療品を選定、メーカーtの仕入れ交渉を行い、低価格でマネージドケアや医療機関に提供するPBM (pharmaceutical benefit firm)という企業や組織が出てきている。

保険会社の力が強くなっており、医師が薬を選べなくなっているなどの問題が発生している。

発売準備

基本的に、日本は未承認の薬剤に関する情報提供活動は不可。

臨床試験の結果を受けて、

どのような患者に対して、この薬を使ってもらえるのか?

どういったメッセージを伝えるのか?

どの医師をターゲットとするのか?

主に、市場調査を行い、セグメンテーション、ポジショニング、ターゲッティングを行う(マーケティング戦略を立てる)。

本日の発表の流れ

薬の開発薬を売る準備

(prelaunch)

薬の承認と発売(approval

and launch)

PMDA MHLW

薬事法

医薬品の流通

製造業者

製造販売業者 卸売一般販売業

薬局 病院・診療所 その他

全て薬事法により決まっており、許可を得なければ販売できない。

医薬品の流通の仕組み

医薬品の製品の特徴は、「多品種、少量、高価」である点。

商品の特性(用法・用量、効能・効果、安全性など)の情報の提供が必要。

モノと情報はセットとなっているところに流通の特徴がある。

卸は、製薬企業から仕切り価格で供給を受け、利益を便乗、医療機関へ納品する。そのときに、薬価という公定価格があるために、上限がある。

納品価格は、医療機関と卸との間の交渉により決定。薬価を下回る額を納品した場合には、医療機関の利益にある。

なぜ、製薬は情報提供活動のみか?

かつては、納品価格は、製薬企業と医療機関との間の交渉で決まっていた。

そのため、卸は注文と代金回収のみに終始

納品価格が、卸への仕切り価格よりも低いこともあった(その場合、値引補償制度により補填された)。

この仕組みの欠点は、製薬会社が価格を自由に設定できるというところ。また薬価差により医療機関も儲かる=>独禁法に抵触

そこで、1992年に、医療機関と製薬企業との間の価格交渉が禁止となる。

製薬企業のMR(medical representative)は情報提供のみに終始、価格は卸のMS(medical specialists)が行うこととなった。

MRは何を伝えるのか?

全ての情報は、医薬品医療機器情報ホームページより入手可能

医療用医薬品添付文書(医薬情報の要約、添文ともいう)

医薬品製品情報概要(医師向け)(医薬品の適正な使用を目的に作成)。

インタビューフォーム(薬剤師向け)(日本病院薬剤師会からの依頼で作成。全ての安全性、有効性の情報が入っている)

新医薬品の使用上の注意の解説(添付文書の安全性情報を詳細にのべたもの)

緊急安全性情報(ドクターレター)。

このように、MRは、科学的データに基づく公正な情報を伝える。そして、医療機関から効果、安全性情報を集める

薬価の見直し

ありとあらゆる手段を使い、厚生労働省は薬価を下げようとしている。

2年おきの薬価改定(納入価格に対して、適用)、2−5%の減少

対象疾患の市場が拡大したとき、15−25%減少

より大きな市場性のある適応追加、2−5%減少

合剤の場合、2つの薬剤の合計の80%の薬価になる

利益がでない場合:薬価を上げることありうる

ご清聴ありがとうございました

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