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イーサネット
MPLS-TP対応伝送装置
スイッチ/ルーターATM
ATM交換機SDH
SDH伝送装置
モバイル・バックホール基地局用伝送装置
IPルーター
現状現状
MPLS-TPを採用MPLS-TPを採用
通信サービスごとに異なるインフラを構築
異なるサービスを一つのインフラ上に構築できる
イーサネットATMSDH
モバイル・バックホールIPMPLS-TP
38 NIKKEI COMMUNICATIONS 2009.5.1
☞MPLS-TPは,通信事業者のインフラの中核となる☞伝送技術の本命と目されている。高い柔軟性とマルチサービス提供の容易さといった従来型MPLS(IP/MPLS)の良さと,高い信頼性や耐障害性,厳密な帯域や遅延の保証といったレガシー系伝送方式の良さを兼ね備えた技術である。この技
術を使うと,統合が難しかったIPやイーサネットなどのパケット・ベースのサービスと,☞SDHや☞ATMなどのレガシー系伝送サービスを一つのインフラで提供できるようになる(図1)。 現在☞IETFで標準化作業が進んでおり,7月ごろに基本部分ができる見込みだ。仕様を先取りした装置を既に販売しているベンダーもある(写真1)。 NTTコミュニケーションズのように,☞実サービスのインフラに導入した事業者も登場し始めた。第1弾は,イーサネット専用線サービス「ギガストリーム プレミアムイーサ」である。 同社の狙いは,レガシー系と同水準の信頼性とSL A(サービス品質保証)をイーサネット系サービスで担保することと,低コスト化を進めることだ。既存のIP/MPLS網の信頼性を高める狙いもある。将来的には,ATMなどレガシー系サービスもMPLS-TP網に載せることを視野に入れているという。 ほかの通信事業者もMPLS-TPの採
MPLS-TP
次世代伝送技術の本命IP・イーサ系とレガシー系を統合MPLS -TPは,IPやイーサネットのパケット・ベースのネットワークと,ATMやSDHなどのレガシー系伝送網を統合できる“究極”の技術だ。これまでサービスごとに個別に設けてきたサービス・インフラを一つにまとめ上げ,設備コストと運用の手間を大幅に低減する。
IP・イーサ系と
レガシー系を
一つのインフ
ラで統合
NIKKEI COMMUNICATIONS 2009.5.1 39
用に傾いているという。「ほかの大手通信事業者がMPLS-TPに向かっていると聞いている」(同社 ネットワーク事業部 IPネットワーク部 ネットワークSE部門の鈴木昭徳氏)。
従来型IP/MPLSの信頼性は不十分 通信事業者が抱える課題は,通信サービスや通信方式ごとにインフラを用意しなければならないことだ。例えば,IP-VPNや広域イーサネット・サービスにはIP/MPLSを使い,☞TDM
(SDH),ATM,☞FRなどレガシー系伝送サービスには,それぞれ異なる伝送技術によるインフラが必要となる。 既存のIP/MPLSも,複数のサービスを一つのインフラで提供するのに適した技術と言われていた。実際,TDM,ATM,FRなどのサービスをIP/MPLS
上で提供するための「回線エミュレーション」仕様も作られている。 こうしたレガシー系の伝送方式をIP/MPLSで統合できなかった理由は,レガシー系伝送方式が持つ高い信頼
性をIP/MPLSでは実現できなかったからだ。レガシー系伝送方式には,回線を固定的に設定して遅延時間や帯域を厳密に保証したり,故障検知や高速切り替えを実現したりする仕組みが基本仕様として備わっている。ところが,IP/MPLSにはそうした機能がない。 レガシー系伝送方式のサービス向けに既存の伝送インフラを使い続けるこ
本文中☞の付いた用語を解説
MPLS-TP=multiprotocol label switch-ing - transpor t prof ile。従来型MPLS(IP/MPLS)に信頼性を向上する機能などを追加した次世代の伝送技術。従来型MPLSはIPにATM型のパスの考え方を導入するために開発された。しかし,ルーティングなどの基本的な仕組みをIPに依存しており(IP/MPLSと表記される理由),信頼性の向上が課題だった。
ブロードバンド回線(FTTHなど)
イーサネット専用線サービス
専用線サービス
ATMサービス
広域イーサネット
IP-VPN
携帯電話基地局
ATM : asynchronous transfer modeIP : internet protocolLTE : long term evolutionMPLS : multiprotocol label switching
MPLS-TP : MPLS-transport profilePW : pseudo wireSDH : synchronous digital hierarchyTDM : time division multiplexing
イーサネット
メトロ・アクセス(MPLS-TP)
MPLS-TP伝送装置
メトロ・コア(MPLS-TP)
モバイル・バックボーン
ほかのレガシー系伝送網
ほかのIP/MPLSコア
インターネット(ISP網)
モバイル・バックホール(3G, LTEなど)
ATM回線
TDM回線
MPLSの疑似回線(PW)によって, IPやイーサネット,レガシー系を含むすべてのデータを転送できる
従来は, 既存のIP/MPLSベースのインフラでは収容できず, 個別の伝送インフラが必要だったサービス
図1 個別に設けていた伝送インフラをパケット・ベースのインフラに統合 従来のIP/MPLSはIPやイーサネットのサービスを収容してきたが,専用線やATM,モバイル・バックホールなどの伝送インフラは収容できなかった。これに対しMPLS-TPは,それらのすべてのサービスを一つのインフラに統合できる。
仏アルカテル・ルーセントの「1850 Transport Service Switch(TSS)」
日立製作所の「AMN1700」
米コリジェントシステムズの「CM4140」
スウェーデンのエリクソンの「OMS1410」
写真1 MPLS-TP対応伝送装置の例 アルカテル・ルーセント,コリジェントシステムズ,日立製作所の製品は,T-MPLSや独自技術などにより,MPLS-TPの機能を先取りしている。エリクソンの製品は,標準仕様が固まった後にソフトウエア・アップグレードでMPLS-TPをサポート予定。
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