1)シュウカイドウとベゴニア=秋海棠花の縁05-01-01 1 1...

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花の縁 05-01-01

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1)シュウカイドウとベゴニア=秋海棠 シュウカイドウはシュウカイドウ科の多年草で、原産地は中国からマレー半島、

鑑賞用としてよく庭に植えられる。茎は緑色で節の部分は赤色を帯び、高さ 60cm

ほどになる。葉は長柄を持ち互生し、長さ 8~15cm ほどのハート形で、縁には鋸歯

がある。秋には枝先に 2cm ほどの美しい小花を集散花序に開き、淡紅色の花を下垂

させる。花は雌雄異花で雌花の花弁は三枚、雄花の方は 4 弁になっている。地下茎

は根塊となり、葉腋についた小さい珠芽(ムカゴ)が地に落ちて繁殖する。このムカゴ

は耐寒力が強く翌年には発芽し、その年のうちに花を咲かせる。和名の由来は漢名

『秋海棠』の音読み、 学名は『Begonia Evansiana』で、属名はサントドミンゴの総督

『Michel Begon』の名に因む。種小辞は園芸家エヴァンスのという意味である。

秋海棠が日本に渡来したのは、江戸の初期と思われるがはっきりしない。白井光太郎

は寛永 18 年(1641 年)とし、貝原益軒は『花譜』の中で正保年間(1644~1648 年)頃

とし、『大和本草』(ヤマトホンゾウ)によれば、寛永年間(1624~1644 年)であると

している。しかし 1681 年に成立した『花壇綱目』(カダンコウモク)には栽培法が

記載されており、遅くともこの頃までには渡来していたものと思われる。中国では「秋

花九種」に上げられており、1688 年中国の陳扶揺(チンフヨウ)は『秘伝花鏡』(ヒ

デンカキョウ)において、「秋中第一となす」と賞賛している。

花が咲く頃の秋海棠の全草にはシュウ酸を多く含み、殺菌作用があるために、茎

や葉の絞り汁を用いて、皮膚病やタムシなどの治療薬に用いられた。また花は蜜を

多く出すと見えて、盛んに蜂が集まってくる。特にトラマルハナバチという中型の

蜜蜂は、よほどの好物と見えて毎朝吸蜜にやってくるのを見かける。

シュウカイドウの近縁種にベゴニアがある。学名も同じ『Begonia』で、こちらの方

は茎が直立するものや、蔓となって絡まるもの、さらに太い根茎となって地面を這う

ものなど各種があり、オーストラリアを除く熱帯から亜熱帯に広く分布し、2,000 種

以上が知られている。しかし寒さに弱いものが多く、屋外では越冬できない。最近では

秋咲きの緋赤色が美しいリーガル・ベゴニアといわれる品種が、特に人気商品となり

よく見かける。しかしこれも寒さには敏感である。また昼夜の気温差が大きすぎても

うまく育たず、室内で育てるときには置場所が重要な要素になる。しかしベゴニアも

秋海棠も、比較的半日陰のところを好むので、マンションなどではむしろ作りやすい

品種ということもできよう。ベゴニアは気温が20℃を超えると細菌性の病気にかかり

やすく、また土をよく消毒しておかないと、ネマトーダにもおかされやすい。消毒

をこまめに繰り返すことが大切である。

秋海棠は花屋さんには余り売られていないが、前述のごとくムカゴを蒔いておけば

翌年には芽が出るので、花を見かけたときムカゴをもらってくればよい。リーガル・

ベゴニアはどこの花屋さんでも季節になると、ところ狭しと並べられている。

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シュウカイドウは中国では秋の花の代表である(栃木県佐野市)。

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これは群馬県高崎市の東善寺である。このシュウカイドウを分け入ると、小栗上野介の墓がある。

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墓地までの距離はわずかだが、上り坂は結構きつい。小栗上野介に関しては(07-03-13-B)をご参照下さい。

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ベゴニアは寒さに弱いのが難点、写真は木立ベゴニア(埼玉県深谷市)。

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日本では最もよく見かける、ベゴニア・センパフローレンス。アップしてみるとやさしげ

な花である。学名は『Begonia semperflorens』で、四季咲き種である。

秋咲きで朱赤色の花が美しいリーガル・ベゴニア。冬は少々寒がる。

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リーガル・ベゴニアのオレンジ色種、色が豊富なこともベゴニアの特徴である。しかしもともと

は熱帯系の植物であるために、冬は寒がるものが多く、室内で育てなければならない。

ベゴニアの八重咲種、底の部分が明るい色になっている。

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八重咲種は本種のように覆輪だったり底白だったりするものも多く、花弁に独特の変化を

与えている。これがまたベゴニアのいいところで、表情を豊かにしている。

八重咲き種のベゴニア、紅覆輪が美しい。

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ベゴニアの八重咲種、本種は花径が 5cm以上もあった。ベゴニアには木立性のものや球根性

のものツル性のものなど種々があって、この球根性の種は花が特に大きい。

この黄色種も花径が 5cm以上もある。球根性ベゴニアである。

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最近急速に人気が高まってきているのがこの球根性のベゴニアである。 花径は 10cm 以上も

あって、バラやツバキに匹敵するほどで、色彩もきわめて豊富である。ただ難点をあげれば、

寒さと暑さに弱い点である。越冬は球根状態で 5℃以下にならなければ可能だが、夏は 30℃

以上になってくると、暑さ対策が必要である(東京都調布市神代植物公園)。

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花の乏しかった欧米人の品種改良は、バラが目標であり頂点であった。球根ベゴニアの色の鮮や

かさは、バラやダリアにも似ており、ここにも欧米人の品種改良に対する熱意がにじみ出ている。

大輪の球根ベゴニア(東京都調布市神代植物公園)

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球根ベゴニア、牡丹咲のツバキを思わせる花容である。一方ベゴニアの中には観葉植物と

して栽培される種もある(東京都調布市神代植物公園)。

球根ベゴニア(東京都調布市神代植物公園)

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球根ベゴニア、淡いオレンジ色の覆輪が何とも優しげである(東京都調布市神代植物公園)。

球根ベゴニア(東京都調布市神代植物公園)

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球根ベゴニア、花の姿はカネーションにも似ている(東京都調布市神代植物公園)。

球根ベゴニア(東京都調布市神代植物公園)

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西欧人が描く花の理想は『バラ』である。そのことは「ばら色の人生」という言葉にもよく

現れている。このため西欧人の花はこのベゴニアもクリスマスローズもそしてツバキも、

改良すればするほどバラに近づいてゆく(東京都調布市神代植物公園)。

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球根ベゴニア(東京都調布市神代植物公園)

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球根ベゴニア(東京都調布市神代植物公園)

球根ベゴニア(東京都調布市神代植物公園)

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球根ベゴニア(東京都調布市神代植物公園)

球根ベゴニア(東京都調布市神代植物公園)

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球根ベゴニア(東京都調布市神代植物公園)

球根ベゴニア(東京都調布市神代植物公園)

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球根ベゴニア(東京都調布市神代植物公園)

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ベゴニアの素晴らしい点は、鉢に植えてハンガーでつるして育てることもできる点である。

ここは丸の内オフィス街で、日本でも最も美しい通りの一つになっている(東京都千代田区)。

写真だけ見ていたらどこかヨーロッパの町並みに見える。

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常磐自動車道の守谷サービスエリアで見つけたベゴニアのオブジェ。 目次に戻る

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