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リーフレット集
生きぬく科
ミニミニ授業
セット
【第 1 学年】「あたまをまもるもの」 地震
【第 1 学年】「かみなりがなったら」 積乱雲
【第1学年】「ひなんじょってなあに?」 避難生活
【第 2 学年】「じしんがおきたら~音楽室」 地震
【第 2 学年】「どの道を通ればいいの?」 大雨
【第 2 学年】「みのまわりのものをつかって~バンダナ」 避難生活
【第 3 学年】「ゆれたらもえる?」 地震
【第 3 学年】「雷・大雨~そのときどうする?」 積乱雲 大雨
【第 3 学年】「ひなん生活にひつようなもの~ぼうさいバッグ」 避難生活
【第 4 学年】「ひなん所生活で困ること」 避難生活
【第 4 学年】「避難所宿泊学習」 避難生活
案
平成 25-28 年度 文部科学省 研究開発校 東京都日野市立平山小学校
別冊参考事例 4
【第 4 学年】「台風が来たら」 大雨
【第 5 学年】「安全な避難経路を探そう」 大雨
【第 5 学年】「ハザードマップをつくろう」 地震 大雨
【第 5 学年】「倒れている人がいたら~AED」 救急法
【第 6 学年】「自然からの恵み」 自然環境
【第 6 学年】「富士山が噴火したら」 火山噴火
【第 6 学年】「災害に強いまちをつくろう」 自治体
【わかくさ】「じしんのしくみ」 地震
【わかくさ】「くもはかせになろう」 積乱雲
【わかくさ】「大雨がふったら」 大雨
2
目 次
1.はじめに ····················································································· 03
2.「生きぬく科」ミニミニ授業セット リーフレット集 ······························ 04
【第 1学年】「あたまをまもるもの」自然現象(大地) 地震 04
【第 1学年】「かみなりがなったら」自然現象(気象) 積乱雲 08
【第 1学年】「ひなんじょってなあに?」まちづくり・くにづくり 避難生活 12
【第 2学年】「じしんがおきたら~音楽室」自然現象(大地) 地震 16
【第 2学年】「どの道を通ればいいの?」自然現象(気象) 大雨 20
【第 2学年】「みのまわりのものをつかって~バンダナ」自然現象(気象) 大雨 24
【第 3学年】「ゆれたらもえる?」自然現象(大地) 地震 28
【第 3学年】「雷・大雨~そのときどうする?」自然現象(気象) 積乱雲 大雨 32
【第 3学年】「ひなん生活にひつようなもの~ぼうさいバッグ」まちづくり・くにづくり 避難生活 36
【第 4学年】「ひなん所生活で困ること」まちづくり・くにづくり 避難生活 40
【第 4学年】「避難所宿泊学習」まちづくり・くにづくり 避難生活 44
【第 4学年】「台風が来たら」自然現象(気象) 大雨 48
【第 5学年】「安全な避難経路を探そう」自然現象(気象) 大雨 52
【第 5学年】「ハザードマップをつくろう」自然現象(大地・気象) 地震 大雨 56
【第 5学年】「倒れている人がいたら~AED」命 救急法 60
【第 6学年】「自然からの恵み」自然現象(気象) 自然環境 64
【第 6学年】「富士山が噴火したら」自然現象(大地) 火山噴火 68
【第 6学年】「災害に強いまちをつくろう」まちづくり・くにづくり 自治体 72
【わかくさ】「じしんのしくみ」自然現象(大地) 地震 76
【わかくさ】「くもはかせになろう」自然現象(気象) 積乱雲 80
【わかくさ】「大雨がふったら」自然現象(気象) 大雨 84
3
はじめに
平成25年度から28年度まで文部科学省の研究開発校に指定されている日野市立平山小学校は、防災
をテーマとした「生きぬく科」について、研究・開発を行っています。
これは防災を中心とした安全教育に関連する指導内容を統合・追加・再編成して、未来へ生き抜く力の基盤となる基礎的・基
本的な知識・技能を定着させるとともに、主体的・協働的・創造的に行動する態度を育成するための学び方の変革を図り、新
たな教科等の枠組を構築する研究開発です。
平山小学校 研究開発学校運営指導委員(敬称50音順) ★委員長
大澤 眞人 環境NPO 東原 義訓 信州大学
上野 康弘 気象庁 総務部情報利用推進課 ★藤井 聡 内閣官房参与・京都大学大学院
小柳和喜雄 奈良教育大学 三橋さゆり 国土交通省 水管理・国土保全局 河川環境課
鯨井 俊彦 明星大学 矢崎 良明 鎌倉女子大学
酒井 慎一 東京大学 地震研究所観測開発基盤センター
吉冨 芳正 明星大学
市東 保夫 日本赤十字社 東京都支部青少年・ボランティア課
運営指導委員の先生方以外にも、たくさんの専門家・団体の方にご
指導をいただいています。
「生きぬく科」で育てる資質・能力とは?
●生きぬく科は、未来を生きぬく力を育む教科です。この生き抜く力を 6 つの実践力として表しました。その基礎
となる知識・技能を4つに、身に付けたい能力を5つに整理しました。
4
1 学年
あたまをまもるもの
自然現象(大地)
地震
達成目標
地震の際には、頭を守ることが大切であることを知り、どんな方法で頭を守ることができるか考える。
実践力 (態度)
頭を守る理由と守るために使えそうなものを考え、他の人の意見を聞きながら、より確実に頭を守ってくれ
るものを提案する。(2:命を大切にする)
知識 (内容)
①地震の揺れは、小さな揺れから大きな揺れがある。(イ:基礎知識)
②大きな揺れがおそってきたときは、まず頭部を守ること(安全姿勢)が大切である。(ハ:防災知識)
能力 ①提示資料などから見つける(1:情報を収集する能力)
②先生に言われたことを思い出して判断する(4:根拠をもって判断する能力)
学習活動 頭を守れそうなものを個々に考え、それを実際に頭の上に置き、物を落としたときの頭への衝撃の度合いを
実験する。
条件(既習・経験事項)
●理由は知らないが、地震の時は、机の下にもぐることができる。避難する時は、防災頭巾をかぶることができる。
集まって来た順に並ぶことができる。
目 安 時 間
45 分
【事前アンケート用紙と結果】 【ワークシート】
5
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】地震の映像を見て震度について知る。
【発問】地震の映像を見て、考えましょう。 何と言っていましたか。
【教材】東日本大震災、茨城県竜ケ崎市の映像
・震度5と言っていました。 ① ①
STEP2
【課題】地震が起きた時の様子について気付いたことを挙げる。
【発問】震度は、地震の揺れの大きさを表す言葉です。震度5の状態では、どんなことが起こりましたか。
・棚から物が落ちてきました。 ・照明がはずれそうになっていました。 ・テレビが揺れて倒れそうでした。
STEP3
【課題】地震が起きた時にしそうなけがを予想する。
【発問】もしも、この部屋にいたら、どんなけがをしそうですか。
◎頭に何かが当たって血が出そうです。 ◎棚が倒れてきて頭を打ちそうです。 ・上から何かが落ちてきて頭が割れてしまいそうです。
・転んで足をけがしそうです。 ・転んで手をすりむきそうです。
STEP4
【課題】なぜ頭を守ることが大切なのか予想する。
【発問】頭にけがをすると、どうして困るのでしょう。
・頭を打つと気絶して、避難が遅れるからです。 ◎頭には脳みそが入っていて考えるところだからです。
◎頭には大事なものが入っていてけがをすると死んでしまうからです。
・頭は体に指令を出しているからです。
② ②
STEP5
【課題】頭を守るものについて挙げる。 【発問】教室の中で、頭を守れそうな物には、何がありますか。
・机です。 ・防災頭巾です。 ・ランドセルでも頭を守れそうです。 ・教科書でも頭を守れるかな。
STEP6
【課題】それぞれの物で頭を守った時に、どのくらいの衝撃があるか試す。
【発問】机、防災頭巾、ランドセルで頭を守り、ペアの人に上から紅白玉を落としてもらいます。何もつけていない時と比べましょう。
【教材】ワークシート
◎机は、紅白玉を落としたかどうかも分からない。
◎教科書でも頭を守れると思ったけど、結構感じるな。
・ランドセルで頭を守る時、どこを持つといいのかな。
②
STEP7 【課題】実験の結果について比較する。 【発問】それぞれの物について、どう感じましたか。
・机は、何も感じませんでした。 ・防災頭巾は、少し感じました。 ・ランドセルは、何も感じませんでした。
STEP8
【課題】学習の感想を書いて交流し、学習のまとめをする。
【発問】実験をして気付いたことや今日の学習で分かったことをワークシートに書きましょう。
◎机の下にもぐれば、痛みを感じることはないので、地震の時は机の下にもぐるのが一番いいと思いました。
◎机や防災頭巾以外にも、頭を守ることができる物はあると分かりました。
・頭はとても大事なところだと分かりました。 ◎地震の時は、頭を守ることが大切だと分かりました。
・教科書のように薄いものよりもランドセルのように厚みのある物の方が、物が当たっても感じないということが分かりました。
6
授業の様子
動画の中に出てきた「震度」という言葉の意味につ
いて簡単に学ぶ(基礎知識)
地震が起きたときにどんなけがをしそう?
頭が危ない! 頭にけがをしそう!
頭を守るものは? 実際に確かめよう!
命を守るために、厚い物・硬いものを被って、 まずは頭を守ることが大切!
児童の記述
児童の感想
●ランドセルは厚くて、頭を守れるとは思わなかった。
●頭に何もつけていないと、すごく感じた。
●頭の中には、脳みそがあって、体を動かすたいじなものだとわかった。
●何かを被るだけで、感じなくなった。
●硬いものを被った方がいい。
授業の考察
授業前は、地震が起きて机の下にもぐる時に、全身を机の下に入れようとするあまり、頭を机の外に出し
てしまう児童が目立った。授業後は、頭を守ることが大切な理由が分かり、机がなければ椅子など身の回り
の物で頭を守ろうとしたり、腕で頭をかかえて安全姿勢をとったりと自分の命を大切にした行動をすること
ができるようになった。
しかし、頭では理解していても、行動に移せない児童もいるので、命の大切さを意識させながら練習して
いく必要がある。
8
1 学年
かみなりがなったら
自然現象(気象)
積乱雲
達成目標
積乱雲が雷に関係していることと、雷が鳴ったときの行動のしかたがわかる。
実践力 (態度)
頭積乱雲が出てきて雷が鳴ったときに、できるだけ危険を避けながら安全な場所に移動する。
(2:自分の命を大切にする)
知識 (内容)
①積乱雲は、真黒く見えて「入道雲」「雷雲」などと言われている。(イ:基礎知識)
②積乱雲ができると、急に大雨が降ったり雷が鳴ったりすることがある。(ロ:災害知識)
③雷は、人に落ちることもあり、感電する。(ロ:災害知識)
④雷が鳴ったら外出をしない。また、外出していたら、早めに家の中や車の中に避難する。(ハ:防災知識)
能力 写真や資料をもとに、積乱雲と雷の関係と雷が鳴ったときの行動のしかたを考える。
(1:情報を収集して問題を発見する)
学習活動 積乱雲や雷の画像を見ながら自身の経験を想起し、雷が鳴ったときにどのように行動したらよいか考え交
流する。
条件(既習・経験事項)
●真黒にもくもくとしていてカリフラワーのような形の雲を見たことがある。
●雷の音を聞いたり、稲妻を見たりしたことがある。
【提示用教材】
目 安 時 間
45 分
写真:Yahoo フリー画像
9
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】積乱雲(にゅうどう雲・かみなり雲)の名前を知る。
【発問】こんな雲を見たことがありますか。 何という名前の雲でしょうか。
【教材】積乱雲の画像
○見たことあるけれど名前は知らない。 ◎にゅうどうぐも ◎かみなりぐも ○もくもくぐも
①
STEP2
【課題】積乱雲(にゅうどう雲・かみなり雲)を巻雲(すじ雲)と比べてこの後の天気について発表する。
【発問】積乱雲が出てくると、どんな天気になりそうか予想しましょう。
【教材】巻雲と積乱雲の画像
◎ゴロゴロと雷がなる。 ◎空が暗くなる。 ◎雨が降る。 ◎たくさん雨が降る。
②
STEP3
【課題】雷は、人に落ちることもあり、感電することを知る。
【発問】雷はどうして怖いのでしょうか。【教材】落雷による被害の動画
○人に落ちて死んでしまう? ○高い木に落ちる? ○家に落ちて火事になる?
③
STEP4
【課題】外にいて雷が鳴ったとき、どこに逃げたらよいか、発表する。
【発問】もし外で雷が鳴りはじめたら、どこに逃げたらよいでしょうか。
○急に雨が降って来たら、近くのお店の中に逃げる。
○学校に逃げる。 ○車の中に逃げる。 ○木の下で雨宿りをする。 ○家に帰る。
○
STEP5
【課題】雷クイズをもとに、雷が鳴ったときの安全な場所と身の守り方を予想する。
【発問】絵の中で、どこが安全で、どこが危険でしょうか。 (建物・車の中・木の下) また、低い姿勢は安全ですか。
【教材】建物の中、車の中、木の下に避難している挿絵
○壁があるから、安全だと思う。 ○頑丈だから、安全だと思う。 ○電気を通しそうだから、危険だと思う。 ○車が守ってくれるから、安全だと思う。 ○体を低くしても、雷が落ちそう。 ○体を低くしているから、安全だと思う。 ○木が守ってくれるから、安全だと思う。 ○木には雷が落ちそうだから、危険だと思う。
④ ○
STEP6
【課題】動画を見て、雷の被害と身の守り方を知る。
【発問】映像を見て、答えあわせをしましょう。
【教材】「急な大雨・雷・竜巻から身を守ろう!」(気象庁)のDVDの中の「雷のとき」
プレゼンソフト2枚目で○×を確認し、答え合わせする。
プレゼンソフト3枚目を見せながら、まとめをする。
◎建物の中は、安全だ。 ◎車は雷が落ちても電流が地面に流れていくので、車の中も安全だ。
◎木から離れていれば、低い姿勢も安全だ。 ◎木は、雷が落ちる可能性が高いから、木の下は危険だ。
④ ○
STEP7
【課題】今日の学習で分かったことを書く。
【発問】雷の時について考えて、分かったことをワークシートに書きましょう。
【教材】ワークシート
◎雷のときは、建物の中に逃げる。 ◎雷のときは、車に乗っていても大丈夫だと分かった。
◎雷のときに低い姿勢をしても、雷が落ちることもあることが分かった。
◎雷のときは、木の下には行ってはいけないことが分かった。
○
10
授業の様子
児童の記述
授業の考察
積乱雲については、正式名称は知らなくても「かみなりぐも」「にゅうどうぐも」という呼び名で知ってい
る児童がほとんどであった。また、黒い雲が近づくと雨が降ってくることも経験の中で学んでいた。
しかし、雷については「ゴロゴロ鳴る」というだけで、人体に落ちて危険を及ぼすことまで知っている児
童は少なかった。安全な場所については、高いところが危険そうだから、建物の中でもなるべく下の階がい
いという考えもあった。
小学校1年生の段階で、雷についての知識や体験は意外に少なかった。落雷は放課後児童だけで遊んでい
るときに起こり得る状況でもあり、被害のニュースも耳にすることもある。
やはり、この時期にしっかりとした基礎知識・災害知識・防災知識を身に付けておく必要性を感じた。
12
1 学年
ひなんじょってなあに?
まちづくり・くにづくり
避難生活
達成目標
避難所とはどのようなところか知り、避難所生活になった際には、きまりやマナーを守ろうとする。
実践力 (態度)
避難所での生活を知り、多くの人が集まって生活するときには、いつも以上にきまりやマナーを守って行動
しようとする。(4:共に生きる)
知識 (内容)
①集団生活では、自分のことは自分でやることが大切である。(ハ:防災知識)
②集団生活では、時間やきまりやマナーを守ることが大切である。(ハ:防災知識)
能力 避難所の様子を見て、避難所で生活する人々の大変さを想像して、生活する上で大切なことを言える。
(1:情報を収集して問題を発見する)
学習活動 被災して避難所で生活するような状況になったときに、どのように行動したらよいか考え交流する。
条件(既習・経験事項)
●幼稚園・保育園や小学校で、集団生活を経験している。
目 安 時 間
45 分
【ワークシート】
13
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】避難所生活についての写真を見て、避難所生活について知る。
【発問】大きな地震の後は、どのような生活になるでしょうか。予想してみましょう。
【発問】写真で見てみましょう。どのような生活になっていましたか。
【教材】避難所の様子の画像(Yahoo フリー画像)
○避難所で生活している。 ○避難してきた人たちが生活している。 ○安全に過ごせるところに住んでいる。
○
STEP2
【課題】避難所でのルールについて知る。
【発問】これは避難所の様子です。どんな様子ですか。
【教材】画像①~③ ①体育館内の様子 ②炊き出しに並ぶ様子 ③トイレに並ぶ様子
【発問】どんなことを考えて過ごせばよいでしょうか。グループごとに話し合いましょう。
【教材】画像①~③をグループごとに配布
○人がたくさんいてうるさそう。 ○順番を守らないから、お年寄りや赤ちゃんがこまっている。 ○並ぶ列がとても長くて大変そう。 ○大騒ぎしない。 ○順番を守る。 ○ゆずりあう。 ○みんなで使うものを大切にする。 ○汚さないようにする。 ○汚れたらきれいにふく。 ◎みんなのことを考えて行動する。 ◎お年寄りや赤ちゃんや体の不自由な人を優先にする。 ◎わがままを言わずに我慢する。
① ②
○
STEP3
【課題】避難所での経験を聞き、意見交流をする。
【発問】実際に避難所で生活をした子どもの作文を読みます。
【教材】つなみ(被災地のこども80人の作文集) 『ぼくはがんばります』 『つよくてやさしい人になりたい』
○
STEP4
【課題】学習の振り返りをする。 【発問】避難所生活では、どのようなことに気をつければいいか、今日の学習でわかったことや考えたことを書きましょう。
【教材】ワークシート
◎周りにいる人のことを考えて行動することが大切だとわかった。
◎助け合うことが大切だとわかった。 ◎きまりや、マナーを守ることが大切だとわかった。
① ②
14
授業の様子
児童の記述
まなボードを使ってグループ活動
児童の感想
つなみ(被災地のこども80人の作文集)を読んだ感想
●大地震がすごく大変で怖いということが分かった。
●寝るときに布団がなくて寒くてかわいそうだと思った。
●おうちの人と会えなくても泣かずに我慢してえらいなと思った。ぼくだったら泣きたくなる。
●津波の話を聞いてすごく怖いんだなと思った。そんな津波の怖さにも負けないそんな強い気持ちをもつ人になり
たいと思った。
授業の考察
「避難所」とはどういうところなのかについては、漠然とではあるが知っている児童が多かった。テレビ
で避難所の映像が流れているのを目にしたようである。しかし、そこでの生活がどんなものであるかは全く
実感がない。そこで、体育館内でひしめき合って生活している様子、炊き出しやトイレに並ぶ長い列、簡易
トイレなどの画像を提示して、そこから避難生活の様子を想像させた。日頃の生活と大きく違うことに気付
き、我慢することやみんなのことを考えることが大切であると考えることができた。
また、被災地の1年生の作文を聞いて、「ぼくだったら・・・」と自分事として捉えられる児童も見られた。
今後は、少しでも避難所生活を改善できるためには、どのような工夫をすればよいか考え、実験していく。
16
2 学年
じしんがおきたら~おんがくしつ~
自然現象(大地)
地震
達成目標
音楽室で地震が起こったときの危険を、既習事項をもとに考え、身を守ることができる。
実践力 (態度)
初めていった場所でも、周囲の様子をよく観察して適切な避難行動をする。(2:命を大切にする)
知識 (内容)
音楽室での安全な場所は「おちてこない」「たおれてこない」「とんでこない」ところである。
(ハ:防災知識)
能力 教室や大会議室での学びをもとに、音楽室での危険を予測し、身を守る方法を考える。
(4:根拠をもって判断する能力)
学習活動 友達からの情報をもとにして考える。
条件(既習・経験事項)
●①固定されないものはとんでくる。
●②固定されているものでもとれることがある。
●③高いところに置いてあるものは倒れやすい。
●④高く積んであると落ちやすい。
●⑤ガラスはわれやすい。
●⑥タイヤがついているものは動きやすい
【ワークシート】
(音楽室見取図)
目 安 時 間
45 分
17
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】音楽室で地震が起こるとどのような危険があるか予想する。
【発問】音楽室で地震が起きたらどのような危険がありますか。 何という名前の雲でしょうか。
【教材】第二音楽室の見取り図
・楽器が動いたりたおれたりしてぶつかり、けがをする。
・テレビが落ちて、大けがをする。 ・鏡が割れて飛び散り、体にささる。 ・窓ガラスが割れて破片がささり、けがをする。 ・蛍光灯が割れて、破片が落ちてくる。 ・棚が倒れて、上にあるものが飛んできてけがをする。
○
STEP2
【課題】音楽室で地震が起きるとどのような危険があるか発表しあう。
【発問】どうしてそう思うのか理由も話しあいましょう。
【教材】第二音楽室の見取り図
・ガラスがとんでくる。 ・いすが倒れてくる。 ◎楽器がとんでくると思います。なぜなら、タイヤがついているからです。
◎ガラスがわれてとんでくると思います。なぜなら、教室でガラスはわれると学んだからです。
★既習事項をもとに理由を説明する。
○ ○
STEP3
【課題】安全な場所を考え、安全姿勢をとる。安全な場所や危険な場所について、理由をつけて発表しあう。
【発問】音楽室で危険な場所を確認しましょう。
【教材】CD 効果音大全集「38:地震」 【発問】なぜそこが安全だと思いましたか。 皆さんが考えた場所は、本当に安全ですか。危険はありませんか。
【教材】第二音楽室の環境
・ピアノが動いて危ない。 ・テレビが落ちて飛んできそうで危ない。 ・ドアのガラスが割れて危ない。 ◎窓ガラスが割れてとんでこない場所だから安全。
◎電気が割れて落ちてこない場所だから安全。 ◎「おちてこない」「たおれてこない」「とんでこない」場所を考えて、窓ガラス、楽器、蛍光灯、棚、鏡、テレビから離れた所で安全姿勢をとる。
◎楽器が倒れてきたり、動いてこない場所だから安全。
○ ○
STEP4
【課題】話し合いをしたことをもとに、学習したことを振り返る。
【発問】話し合ったことをもとにわかったことを書きましょう。
【教材】第二音楽室の見取り図 ワークシート
◎「おちてこない」「たおれてこない」「とんでこない」場所で安全姿勢をとる。
◎テレビから自分の身の守り方を考えられた。 ◎勉強したことがやくにたった。
○
18
授業の様子
まずは、地図上で予測する 教室で地震が起きたときの学習をもとに考える
グループでまとめた考えを全体で共有 予想したことを確かめるために音楽室へ
前時まで
①日常学習している教室で地震が起
きたときに「危険な場所」「安全
な場所」を考えた。
②体育館の見取図を見て、教室と比
べながら「危険な場所」「安全な場
所」を考え、実際に確かめに行った。
児童の記述
授業の考察
1年生から学んできた地震の学習を基に、音楽室で地震が起きた時の危険について「おちてこない・たお
れてこない・とんでこない」場所について平面図を使用して考えた。音楽室にある様々な楽器の危険性を個
人で考え、危険箇所と安全な場所についてグループで話し合った。「タイヤがついているから木琴はとんでく
るよ。」「窓の近くはガラスがとんでくるから危ない。」等、自分が選んだ危険箇所や避難経路を、他の場所で
学んだことをもとに根拠をもって説明することができた。
グループでの話合いの中で、自分では安全だと思った場所が「実は危ない場所なのではないか。」と友達の
意見から気付いた児童もいる。さらに話し合いを全体に広げ、考えを学級全体で共有してから全体で音楽室
に確認をしに行きました。実際に音楽室に行くことで、自分の考えを確認できた。自分の身を守るためには
どうしたらよいかを、既習を活用して行動できるようになってきた。
ワークシート(体育館見取図)
20
2 学年
どの道を通ればいいの?
自然現象(気象)
大雨
達成目標
突然の大雨にあっても、周りの状況を見て経路を選択したり、建物に入ったりするなど、適切に避難行
動ができる。
実践力 (態度)
大雨になったとき、状況に応じて危険を予想し、身を守る行動をすることができる。
(2:自分の命を大切にする)
知識 (内容)
大雨が降ると、地下道に水が流れ込むことがある。(ロ:災害知識)
能力 的確に状況判断をし、理由を述べながら避難経路を決めることができる。
(3:根拠をもって判断する)
学習活動 突然の雨にあう場面を想定し、「状況によってどんな危険があってどのように安全に注意しながら家に帰る
か」について、絵地図を見ながら意見交換する。
条件(既習・経験事項)
●大雨が降ると河川の水が増水し、
洪水や浸水の被害が起こることが
あることを知っている。
(大雨のようすを動画で視聴済み)
目 安 時 間
45 分
【ワークシート】
21
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】大雨が降ったときに起こり得る危険の対応策を振り返る。
【発問】大雨が降ったとき、どのような危険があるか、その危険からどのように身を守るか覚えていますか。
・大雨になる前に避難する。 ・屋内に避難する。 ◎川に近づかない。 ◎雷が鳴っているときには、木の下やそばに行かない。
◎建物の中に避難する。
STEP2
【課題】雨が降ってきたときの帰宅経路を考える。
【発問】雨が降ってきたとき、どの道を通って帰るのがよいか考えましょう。
【教材】ワークシート(絵地図)
・用水路の水があふれたら危ないので通らない。
・雷が落ちたら危ないので、高い木のそばの道は通らない。
・大雨が降ると、地下道に水が流れ込むことがあるから、通らない。
・どの道も危ないからどうしていいかわからない。
○
STEP3
【課題】状況に応じてどの経路がよいかを話し合う。
【発問】雨が降り始めたとき、どの道を通るのがよいか、それはなぜかを話し合いましょう。
【教材】ワークシート(絵地図)
・雨が降り始めたときなら用水路のそばでも早く帰れる道を通る。
・雷が鳴っていなければ、高い木のそばを通る。 ◎大雨のときは地下道を通らない。
○ ○
STEP4
【課題】大雨のときの安全策について整理する。
【発問】大雨や雷が鳴っている時の安全な避難のしかたについて整理しましょう。
【教材】ワークシート
◎大雨になる前に行動する。◎建物の中に避難する。
◎川の近くに行かない。 ◎雷が鳴っているときには、木の下に行かない。 ◎地下道を通らない。
○ ○
22
授業の様子
児童の記述
グループで話し合った結果を記述したもの(発表用ボード)
児童の感想
●3つのコースすべてに危険があるので迷った。
●危ないなと思う所を重点に考えた。
●他のコースの良さもあるから、1番良いコースをするのに迷った。
●自分の考えと友達の考えと比べて迷った。
●なぜそのコースにしたかをみんなで話し合うのが楽しかった。
●友達の理由を聞いたことで、自分の考えが変わった。
授業の考察
雨が降り始めたときに、公園から家までの道で、どのコースが一番安全なのかを話し合った。3つのコー
スから1つ選び、その理由も考えた。
①地下道を通るコース、②大きな木の前を通るコース、③橋を2回渡るコース
①は、地下道を通ると洪水に遭う危険性があるが、図書館で雨宿りができるよさに気づ
いた。
②は、木があるので、雷を警戒すべきだが、川を一度しか渡らないよさに気づいた。
③は、橋を2回渡るが、距離が短いよさに気づいた。
児童は、それぞれのコースに安全な場所と危険な場所があることを理解して、自分の意見を発表し合うこ
とができた。グループで1つの地図を見て、雨が降ったときに起こりうる災害を考えることができた。また、
雨が降りだしたときと、降っている最中のときとでは、選ぶコースが変わってくることも理解した。友達の
意見を聞いて納得し、自分の考えを変える児童もいた。適切な避難コースを考えて、自分の身の守り方をシ
ミュレーションすることができた。
24
2 学年
みのまわりのものをつかって~バンダナ
まちづくり・くにづくり
避難生活
達成目標
バンダナを使って避難生活に役立ちそうなものを考えて、友達と協力しながら作ったり、紹介し合った
りできるようになる。
実践力 (態度)
被災して物不足になっても、身の回りの物を活用して、生活に役立てたり身を守ったりできる。(5:防災
に努める)
知識 (内容)
バンダナ(風呂敷)は物を包むだけでなく、帽子やリュックサックになったり、防寒具になったり様々に活
用できる。(ハ:防災知識)
能力 友達を相談しながら、風呂敷の使い方を考える。(4:多様な他者と協働して創造する)
学習活動 バンダナ(風呂敷)の活用の仕方を試行錯誤しながら考え、交流する。
条件(既習・経験事項)
●バンダナを三角巾として調理をするときに身に付けたことがある。
●真結びの仕方がわかる。
【手提げ袋】
【日よけ帽子】
目 安 時 間
45 分
25
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】避難生活でのバンダナが必要な場面を想像する。
【発問】バンダナは様々なものを包んだり、運んだりすることができます。どのようなことに役立つでしょうか。
【教材】バンダナ
○マスクになる。 ○帽子になる。 ○マフラーにする。 ◎かばんにする。
○
STEP2
【課題】「真結び」の復習をする。 【発問】バンダナの結び方では真結びが基本です。真結びをしたりほどいたりする復習をしましょう。
【教材】バンダナ、手順を示したスライド
○縦結びをする。 ◎真結びをする。
○
STEP3
【課題】バンダナで手提げ袋や日よけ帽子をつくる。
【発問】バンダナを使って手提げ袋を作りましょう。できた手提げ袋にものを入れて運んでみましょう。
【発問】バンダナを使って日よけ帽子を作りましょう。
【教材】バンダナ、手順を示したスライド
○真結びして手提げ袋と日よけ帽子をつくる。 ○友達に手伝ってもらいながら手提げ袋と日よけ帽子を作る。
◎自分で真結びをして、手提げ袋と日よけ帽子を作る。
◎自分が作った手提げ袋にものを入れて運ぶ。 ◎自分が作った日よけ帽子をかぶる。
○ ○
STEP4
【課題】バンダナで避難生活に役立ちそうなものをつくる。
【発問】バンダナを使って、避難生活に役立ちそうなものを作ります。友達と協力して考えましょう。
【教材】バンダナ、ワークシート
◎手提げ袋や日よけ帽子の作り方をもとにして、他の作品を考える。
◎2~3枚をつなぎ合わせて、新たな作品を考える。
◎友達と協力して複数のバンダナで物を作ろうとしている。
・エプロン ・マフラー ・マスク ・冷却剤ホルダー
・簡易服 ・ミニリュックサック 等
○
STEP5
【課題】バンダナが避難生活に役に立つと思ったことを書く。
【発問】バンダナを使って、避難生活に役立つと思ったことを書きましょう。
【教材】ワークシート
・中に何かを入れればまくらになる。 ・何回か結ぶと、帽子ができる。 ・細く結ぶとマフラーになる。 ・口に当てるとマスクになる。 ◎避難生活に適したものを書くことができる。
○
26
授業の様子
児童の記述
児童の感想
●バンダナは役に立たないと思ったけれど、みんなで考えたら使い方がたくさんあった。
●赤ちゃんがいる人が避難所にいるとき、バンダナを組み合わせると抱っこひもをつくること
ができる。お母さんから離れずに生活できるので、便利かなと思った。
●バンダナは、ひなん生活で必要なときにバックやポケットからすぐに出せるから、便利。
●バックだけじゃなくて、リュックにすると重いものも背負える。
●バンダナは、折り方によっていろんなものに変わるから便利だなと思った。
授業の考察
バンダナを使って避難生活のときに役に立つものをグループで話し合い、考えた。初めに真結びのやり方
を復習し、作り方の動画を見ながら手提げバッグと日よけ帽子を個人で作った。バッグの中に物を入れたり
帽子をかぶったりして、実用性を体感することができた。その後、避難生活で役に立ちそうなものをグルー
プで話し合い、実際にバンダナを折って物を作った。児童は避難生活に必要なものを考えて、エプロンやマ
スクなどを作った。一枚のバンダナで他に作れるものを試してみるだけでなく、複数のバンダナをつなぎ合
わせて洋服にするなど、グループで一つのものを協力して作ることもできた。全体での紹介のときには、友
達の意見を聞き、新たな考えに気付くことができた児童もいた。
実際の避難生活をイメージし、どの場面で役に立つかというところまで深く考えて作ることができた。
28
3 学年
ゆれたらもえる?
自然現象(大地)
地震
達成目標
地震の後に火災が起こりうることが言えて、火災のときに電気のもとを断つという適切な避難
行動ができる。(阪神淡路大震災の後に起きた火災の原因は、通電火災によるものが多かったことを踏まえて)
実践力 (態度)
地震が起きたときには、電気のもとを遮断する。(2:自分の命を大切にする。)
知識 (内容)
①地震が起きると火災が起きることがあり、その原因は火だけでなく電気によるものもある。
(ロ:災害知識)
②揺れが収まったらあわてて逃げないで、落ち着いて周りの様子を見ることが大切である。
(ハ:防災知識)
能力 学校で地震が起きた時の避難行動をもとに、家でどのような危険が起こるか予測して、適切な避難行動を考
える。(3:根拠をもって判断する能力)
学習活動 1人で家にいるときに地震や火災が起こった際の避難の仕方について話し合い、実際に家の模型の中で疑
似体験する。
条件(既習・経験事項)
●学校で地震が起きたときの危険と適切な避難行動を知っている。
●火が原因で火事が起こることを知っている。
●地震が起こると物が落ちてきたり、倒れてきたり、飛んできたりすることを知っている。
【ワークシート】
目 安 時 間
45 分
29
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】大きな地震の後に、起こることについて振り返る。
【発問】大きな地震の後に起こることは、どんなことがありましたか。
・津波です。 ・停電です。 ・断水です。 ◎火事です。
① ○
STEP2
【課題】何が原因で火事になるのか話し合う。
【発問】この家の中で地震が起きたら、どんな危険があるか話してみましょう。
【教材】画像入りのワークシート
模擬体験用家財道具(小物込)
・料理の火が燃え移って火事になる。 ・倒れたストーブの火が物に燃え移って火事になる。
・こたつの熱で物が燃えて火事になる。 ◎テレビのコードを抜かないと火事になる。
① ○
STEP3
【課題】どんな危険があるか話し合ったことを発表する。 【発問】話し合ったことを基に、発表してみましょう。 【教材】画像入りのワークシート
模擬体験用家財道具(小物込) 通電火災の動画
・使っている火はすぐに消す。 ◎こたつのコードを抜く。 ◎テレビの電源を消してコードを抜く。 ◎ストーブのコードを抜く。
①② ○
STEP4
【課題】これからどのように行動するのか考える。
【発問】家で地震がおきたら、これからはどう行動しますか。
【教材】ワークシート
・火を使っていると、火事になる。 ・友達が言ったことでわからなかったことがわかった。
◎電気を使っていると、火事になる。 ◎電気を消したり、コードを抜くと火事にならない。
◎家の中の状況をよく確認してからブレーカーをもどす。
①② ○
30
授業の様子
児童の記述
児童の感想
●コンセントから花火のように火が出ていてびっくりした。家で地震が起きたら、コンセントを抜
いて避難するといいことがわかった。
●大きな地震が起きるとブレーカーが切れることがわかった。ブレーカーを戻すときには、周りの
安全を確かめないといけない。
●家で地震が起きたら、机の中で周りの安全を確認してから防災バックを持って外に出ようと思う。
●地震が起きたら、慌てないで落ちついて行動する。コンセントも抜きたい。
授業の考察
2年生までの学習では、地震が起きたら机の下にもぐるなど、自分の身の安全について考え行動すること
を学んできた。今回の学習では、地震の後に起こることや、火事になる原因ついて考え、話し合った。地震
の後には、火災が起こりやすいことを知り、通電火災やトラッキングなど火災の恐ろしさについて理解でき
た。
火災の危険性について話し合ったり、全体で共有したりすることによって、大きな地震の後には、コンセ
ントを抜くことや周りの安全を確認してからブレーカーを戻すことが大切であることが分かった。
この学習を通して、地震の後に起こりうる火災などの原因を予測し、どのように行動し判断すればよいの
か、児童の意識を高めることができた。
32
3 学年
雷・大雨そのときどうする?
自然現象(大地)
積乱雲 大雨
達成目標
自分の置かれた状況を把握して、積乱雲が近づき、大雨が降ったり雷が鳴ったりしたらどのよう
な危険があるか予測し、避難の仕方を考えることができる。
実践力 (態度)
知識を活用して、生きぬく方法を考える。(2:自分の命を大切にする)
知識 (内容)
自分が置かれた状況から、どんな危険があるか予測し、避難の仕方を考える。(ハ:防災知識)
能力 ①今まで学習したことや自身の経験、過去の災害をもとに、今後の災害を予測し行動の仕方を考える。
(3:根拠をもって判断する)
②いつ、どのように行動するかを相談する。(4:多様な他者と協働して創造する)
学習活動 災害被害をシミュレーションし、自分で考えた対応を発表して学級全体で共有する。
条件(既習・経験事項)
●積乱雲が発達すると、大雨が降ったり雷が落ちたりする天気になることを知っている。
●雷は細くて先のとがったもの
に落ちやすく、人に落ちること
もあり、感電することなど雷の
特徴を知っている。
●雷による災害から身を守る方
法を知っている。
●大雨が引き起こす自然現象と
生活への影響を知っている。大
雨による浸水や川の増水など
から身を守る方法を
知っている。
【ワークシート】
目 安 時 間
45 分
33
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】地図を読み取り、地図上の町のイメージを膨らませる。
【発問】地図上のまちの様子(どこに何があるか)を見つけよう。
【教材】 地図(丘陵や河川のある架空の町)
・川がある。 ・橋が2本ある。 ・公園がある。 ・学校がある。 ・コンビニがある。 ・川の近くに小屋がある。 ・児童館がある。
STEP2
【課題】地図上の町で積乱雲が発生し大雨が降ったり雷が鳴ったりしたときに、どのような危険があるかを予測する。
【発問】危ないことが起こる場所を見つけて、○でかこみ、どう危ないか書きましょう。
【教材】 地図(丘陵や河川のある架空の町) ワークシート
◎木や鉄塔に雷が落ちる。 ◎大雨で土砂崩れになるかもしれない。 ◎大雨で地下道に水があふれてあぶない。 ◎川が増水して、近くにいたら流されるかもしれない。
○
STEP3
【課題】地図をもとに、危険な場所を班で話し合い、自分の考えが変われば、書き加える。
【発問】自分の考えた危ない場所について班の友達と話し合おう。
【教材】 地図(丘陵や河川のある架空の町)
ワークシート
・公園には木がたくさんあるから、近くのコンビニに行く。
・雷が落ちるかもしれないし、大人がいるから、児童館に行く。
・雷は高い所に落ちるから、その場で安全姿勢をとって姿勢を低くする。
・ジャングルジムに雷が落ちそうだから、小屋に逃げる
②
STEP4
【課題】自分の身を守るために、今いる場所から、どう行動するか、避難の道筋と、どうしてその道筋にしたのかの理由も書く。
【発問】自分の身を守るために、今いる場所からどう行動しますか。通る道を線で書こう。
・木がたくさんあって雷が落ちるかもしれないから、駅ではなく、魚屋に行く。
・がけ崩れが起こるかもしれないから、病院ではなく、肉屋に行く。
・地下道は水があふれて危ないから、家には帰らないで、スーパーの2階に避難する。
・川が増水して橋が壊れるかもしれないから、近くのコンビニに避難する。
・家に帰る。
○ ①
STEP5
【課題】発表をし、全体で交流する。 【発問】今いる場所から、身を守るために、行動しますか。通る道や、その理由も言おう。
【教材】 地図(丘陵や河川のある架空の町) 気象庁 DVD 急な大雨・雷・竜巻から身を守ろう!」
振り返りシート(話し合いの振り返りと感想)
◎木がたくさんあって雷が落ちるかもしれないから、駅は通らない。がけ崩れが起こるかもしれないから、山の方は行かない。地下道があるから家にも帰らないで、身を守るために魚屋に行く。
・川が増水して橋が壊れるかもしれないから、近くのコンビニに避難する。
・家に帰る。
34
授業の様子
~学区域に似た架空の地図を使って~ 雷・大雨のときの危険な場所を予測する
グループで交流する 学級全体で考えを共有する
児童の記述
児童の感想
●大雨のときに地下道が危険だと気付かなかった。
●大雨のときは、川に近づかない方がいいと思った。
●遊んでいるときに雷が落ちてこない場所を探すのは大変。
●普段から、雷がなったら逃げられる場所を考えておくとよいとわかった。
授業の考察
今まで学習した大雨や雷から身を守る学習のまとめとして「積乱雲が起こった時、どのようにして身を守
るのか」ということを考える学習を行った。まず、積乱雲が発生して、大雨が降った時、雷が鳴った時の危
険箇所について考え、話し合った。「病院の近くは山になっているから土砂崩れが起こるかもしれない。」「川
の水が増水して川が氾濫するかもしれない。」「木は雷が落ちるからあぶない。」など、自分が選んだ危険な場
所を、根拠をもって説明することができた。話し合いの中で、自分では気づかなかった危険な場所に気づき、
自分の考えに加えた児童もいた。次に、安全な避難先や経路を探して、自分のいる場所からどう避難するか
を考え、学級全体で共有した。
この学習を通して、これから起こりうる危険を予測し、身を守るための行動を判断しようとする意識を高
めることができた。
36
3 学年
ひなん生活にひつようなもの~ぼうさいバッグ
まちづくり・くにづくり
避難生活
達成目標
被災して最初の48時間を生きぬくために、非常用持ち出し袋の中にどのようなものを準備しておけば
よいかを話し合い、自分の考えをもつことができる。
実践力 (態度)
被災したときに備えて、最小限の必要な物を考えて準備しようとする。
(5:防災に努める)
知識 (内容)
①防災バッグ(非常用持出袋)とは、災害時に避難した際、当面必要となる最小限の品を納めた袋である。
(イ:基礎知識)
②防災バッグ(非常用持出袋)の中身は、それぞれ自分にとって必要な物を考え、準備することが重要であ
る。(ハ:防災知識)
能力 被災したときに何が必要かを考え、防災バッグの中身を意見交換しながら創造する。
(4:多様な他者と協働して創造する)
学習活動 48 時間生きぬくために必要な物を考え、グループで優先順位を決定する。
条件(既習・経験事項)
●防災バッグには災害に遭った
ときに必要なものが最小限入
っていることを知っている。
目 安 時 間
45 分
【ワークシート】
37
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】防災バッグとはどんなものだったか思い出す。
【発問】防災バッグとはどんなものですか?
【教材】防災バッグの写真・イラスト
・防災に関するバッグです。 ◎災害時に生活するために必要なものを入れておくバッグです。
①
STEP2
【課題】防災バッグにどのようなものを入れたらよいか付箋に書き出し、グループで話し合って決定する。
【発問】防災バッグにどのようなものを入れたらよいか、自分の考えを付箋に書き出し、グループごとに話し合おう。
【教材】ワークシート、付箋
◎生きていくためには、食べ物や水が絶対必要です。
◎明かりが使えなくなった時のために、懐中電灯や電池が必要です。
・遊ぶためにゲームが必要だと思います。 ・ゲームは生活していくために必ず必要なものではないと思います。
① ②
○
STEP3
【課題】グループで話し合って自分の考えが変わったところをワークシートに書く。
【発問】グループの友達と話し合って思ったことや考えたことをワークシートに書こう。
【教材】ワークシート
◎食べ物や水が必要だということはみんな同じだった。
◎ゲームが必要だと思っていたけれど、友達の話を聞いて、いらないと思った。
① ②
○
STEP4
【課題】話し合ったことを踏まえて自分の防災バッグの中身を決定し、全体で交流する。
【発問】友達の考えを聞いて、自分の考えが変わったところを発表しよう。
【教材】ワークシート
◎防災バッグには、水や食べ物などの生きていくために必要なものや懐中電灯など生活に使うものを入れる。
・新聞紙や段ボールもあると、布団の代わりに使えて便利。
・おもちゃなどの生活を楽しくするためのものは入れなくてよい。
① ②
○
38
授業の様子
児童の記述
児童の感想
●家族構成が変わると、防災バッグの中身も変わることがわかった。
●赤ちゃんがいると持っていくものがたくさんあって大変だけど、赤ちゃんのことを考えて用意
しないといけないと思った。
●自分では必要ないと思ったのが、友達の説明で考えが変わった。
●自分で考えるのは大変だったけど、みんなで考えたらたくさん意見が出た。
授業の考察
2年生までは、電気が使えないことやトイレの使い方など、避難所の様子について学んでいる。防災バッ
クの授業では、3つの家族構成を設定し、防災バックの中身について個人やグループで考えた。個の考えで
は、生活に必要な物、遊びに必要な物、貴重品など数多くの意見が出た。その意見を参考にして、「2日間生
きぬくために、家族構成を意識して防災バックをつくる」というめあてをたて、グループで話し合いを行っ
た。生活に最低限必要な物として、「電気は止まってしまうから手巻きの発電機が必要だ。」ということや、
赤ちゃん用に粉ミルクやおむつ、老人用につえや薬が必要であるということを話し合った。話し合いをもと
にグループで防災バックの中身を決めて発表を行った。
2年前の授業では、家庭にもどると防災バックをつくるという意識が薄れてしまい、バックをつくった
児童が2%と少なかった。そこで、今回の授業では、家族構成を意識しながらつくることで、自分の家だっ
たらどのようなバックが必要か、防災バックが身近に感じられるようにした。また、家庭への啓発も行った。
その結果、防災バックをつくった児童が70%となった。
40
4 学年
ひなん所生活で困ること~被災者に学ぶ~
まちづくり・くにづくり
避難生活
達成目標
生き抜くために必要なことは何か、被災した人のインタビューの回答をもとに、自分の言葉で言
うことができる。
実践力 (態度)
避難所生活を協力して過ごすために必要な情報をインタビューによって得ることができる。
(4:共に生きる)
知識 (内容)
・「緊急避難場所」と「避難所」の意味(イ:基礎知識)
・避難所生活を乗り切るための心の持ち方(ハ:防災知識・スキル)
・避難所生活の困難を解決する方法(ハ:防災知識・スキル)
能力 避難所生活の困難は何か、被災した人の回答を聞いてそれぞれの感想をもつ。
(1:情報を収集して問題を発見する)
学習活動 熊本地震の被害を受け、避難所生活を経験した熊本市立春日小学校の校長先生に、「避難生活で困ったこと」
をテーマにスカイプを用いてインタビューし、ワークシートに記録する。
条件(既習・経験事項)
●これまでの学習で、避難所の生活が不便であることを知っている。
●熊本地震では大きな被害があったことを知っている。
●「どんなことで困っているのか」グループごとに質問を考えている。
●その質問に対して、答えを予想している。
【使用教材】
目 安 時 間
45 分
41
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】緊急避難場所と避難所の地図記号の違いを知る。
【発問】ハザードマップに載っているこの地図記号の違いを言いましょう。
【教材】 積緊急避難場所と避難所の地図記号 日野市ハザードマップ(東京防災)
○緊急避難場所は公園やグラウンドになっている。
○小学校は緊急避難場所と避難所のマークがある。
◎緊急避難場所は外が多いから、とりあえず逃げる場所。
◎避難場所は体育館など避難して生活する場所。
○
STEP2
【課題】避難所の様子の写真を見て、困っていることを予想する。
【発問】これは熊本市内の小学校周辺の様子です。熊本地震の影響でどのような被害があったのでしょうか。
【教材】 熊本地震における市内小学校周辺の被害の写真
・学校で授業ができなくなった。 ・家に住めなくなった。 ・トイレが使えなくなった。
STEP3
【課題】自分たちの考えた質問を確認する。
【発問】被災した小学校の校長先生にどのようなことを質問しますか。
【教材】ワークシート(前回までに作成した質問の確認)
①学校で授業ができない時、子どもたちはどう過ごしていましたか。
②ひなん所では、こわくなかったですか。 ③ひなん所での一人のスペースはどのくらいの大きさでしたか。
④今でもひなん所には人がいますか。 ⑤ひなん所では食料が一日にどのくらいもらえましたか。
⑥ひなん所であらそい(ケンカ)はおきましたか。
⑦ひなん所に入れなかった人はいましたか。 ⑧ひなん所ではトイレが使えない時にどうしていましたか。
STEP4
【課題】被災した校長先生に自分たちの考えた質問をし、熊本地震の避難所での実情を聞く。
【発問】被災した小学校の校長先生に質問をしましょう。答えていただくときはしっかりと聞きましょう。
【教材】タブレットパソコン、大型モニタ(Skype による交流)
○
STEP5
【課題】被災した小学校の校長先生から実際に避難所生活についての体験を聞き、感じたことをワークシートに記入する。
【発問】被災した校長先生は、避難所生活でどのようなことに困ったと話していましたか。
【教材】ワークシート
◎たくさんの人が避難所にいて、混雑していたことが分かった。
◎トイレのよごれがひどかったことが分かった。
◎一人分のスペースが最初から決まっていなくて、バラバラだったと話していて、とても大変そうだった。
○
42
授業の様子
児童が考えたその他の質問
●仮設トイレ以外でトイレはどうしましたか?
●赤ちゃんの様子はどうでしたか?
●食料はいつも同じものだったのですか?
●大きな怪我や、病気はどうしたんですか?
●避難所で余震が起きた時はどうでしたか?
●避難所生活を送っていく中で、どんな時にストレスを感じるのか?
●避難所生活で工夫していることは?
●普段のくらしと避難所のくらしではどんな所が違うか?
●洗濯をどうしているか? 等。
児童の感想
●避難所では困っていることが、思ったよりたくさんあってびっくりした。
●いつも普通にやっていたことが、熊本ではできないということにびっくりした。
●いつもはできていることがいきなりできなくなると、とても不便になる。
●大変なことがたくさんあっても、何とかしようとがんばっているので自分も見習いたい。
●いろいろな工夫をして、どうにかして、ちょっとでも楽になるようにしてあげたい。
●ケンカが多いと思っていたのに、あまりなかった。
●ひとつのものをみんなでわけたりして大変だったと思う。
●普段の生活にはなっていないけれど、いろいろな人が協力していたから、ほんの少しだけ普段通りの生活に近づ
いた。
●今もまだ避難所にいる人がいると聞いてびっくりした。
●友達や家族がなくなって悲しんでいる人も一生懸命にがんばっていてすごいと思った。
●もし、東京で大地震が起こったら、自分から進んでお手伝いをしたい。
授業の考察
4月の熊本地震を受けて、避難所での生活が日常生活とどのように違うか、不便に感じていることや困っ
ていることはないかについて考えた。そして、実際に被災された学校の先生方にインタビューを行う活動を
行った。
グループで話し合う活動を通じて、実際に困っていることは何か、様々な条件を考えながら「避難所で工
夫していることがあるのではないか。」「どのように助け合っているのだろうか」と自助と共助について考え
る姿が見られた。
この学習を通して、インタビューで実際を知り色々な立場になって考えることができるようになった。自
分事として考えられるようになる児童の変容も見られた。
44
4 学年
避難所宿泊学習
まちづくり・くにづくり
避難生活
達成目標
生き抜くために必要なことは何か、被災した人のインタビューの回答や、既習内容を基に考え、避難所
でよりよく生活することができる。
実践力 (態度)
これまでの既習内容を生かし、協力して避難所生活をすることができる。
(4:共に生きる)
知識 (内容)
・災害時の危険回避や帰宅困難者のための「一時避難所」がある。(公園など)
・災害時に短期間の避難生活をするための「収容避難所」がある。(学校の体育館など)
・避難所生活の困難を解決する方法がある。 (ハ:防災知識・スキル)
能力 避難所生活の困難は何か、被災した人の回答を聞いてそれぞれの感想をもつ。
(1:情報を収集して問題を発見する)
学習活動 熊本地震の被害を受け、避難所生活を経験した熊本市立春日小学校の校長先生に、「避難生活で困ったこと」
をテーマにスカイプを用いてインタビューし、ワークシートに記録する。
条件(既習・経験事項)
●集団生活では、自分のことは自分でやり、時間やきまりやマナーを守ることが大切である。
●避難生活に必要なものや非常食になる食べ物について知っている。
●熊本地震では大きな被害があったことを知っている。
●熊本へのインタビューから、避難所の生活が不便であることを知っている。
【使用教材】
【避難所運営ゲーム(HUG)】
H(hinanzyo 避難所)U(unei 運営)G(game ゲーム)は、避難所運営を皆で考えるための一つの
アプローチとして静岡県が開発したものである。避難所運営の立場から、最初の段階で殺到する人々
や出来事への対応を考えていく。さらに、年齢や性別、国籍やそれぞれが抱える事情が書かれている
避難者カードを意見を出し、話し合いながら避難所となる体育館や校舎の平面図に適切に配置してい
くことで避難所運営を模擬体験することができる。今回は、避難所 HUG ジュニア版を使用した。
(静岡県公式ホームページ「避難所 HUG」より一部引用)
【講師紹介】
佐藤 敏郎 氏 小さな命の意味を考える会 代表 スマートサバイバープロジェクト特別講師 他
本校では、平成 25 年度の道徳地区公開講座でも授業をしていただきました。
目 安 時 間
45 分
45
授業の展開
月 日 曜 内容
7 5 火 保護者へのお知らせ(1学期末保護者会)
9 8 木 学校運営協議会と打ち合わせ
10 5 水 保護者へのお知らせ及び参加申し込みの配布 避難所運営ゲーム(HUG)を実施していただく日野市社会福祉協議会と地域の学生と打ち合わせ
10 6 木 学校運営協議会と打ち合わせ
10 18 火
実施案(実施の流れ)の教職員間での共有 避難所作りの材料準備 ※2 ・ダンボール(校内のストックを使用) ・新聞紙(児童が持参) ・ガムテープ ・ブルーシート ・緩衝剤マット(地域の企業から提供)
19 19 水 地域の方との最終打ち合わせ 情報掲示板の作成・準備 ※1
10 20 木 避難者受付名簿の準備 炊き出し機材の搬入・準備 ※3
19 21 金 避難者(参加者)受付の設置 炊き出しの実施 ※3
※3:当日の炊き出しの様子
地域の方々に運営していただいた。
使用した道具は地域の企業からお借り
し、炊き出しの具材は地域の野菜を使
った。
※1:当日の情報掲示板
一日の時間軸にその都度情報を書い
たカードを貼っていった。各プログラ
ムのカードは事前に準備し、当日に気
付いたことはその場でカードを作成
し、貼った。
※2:寝床作りの材料
校内で集められるものは、前もって
集めておき使用した。緩衝剤マット等
は地域の方に寄付していただいた。
46
学習の様子
児童の感想
【避難所運営ゲーム(HUG)】
●病人や、怪我人を置く場所にすごく迷った。実際の避難所もそうだと思った。
●自分たちで考え、人によって案内する場所を変えたりして、避難所での生活を少しでも楽にできるように話し合
った。なので、話したことを生かし、災害などで家に住めなくなって避難所へ来た人の不安を消すことができた
らいいと思う。
【佐藤敏郎先生のお話】
●改めて地震の怖さを知ることができた。
●いつ地震が起きるか分からないから、今ある命の一分一秒が大切だと分かった。
●震災はいつか必ず起こるので、あらかじめ備えをしておくことが大切なんだと思った。
【避難所作り】
●スペースの確保や、寒くならないような工夫が難しかった。
●みんなと話し合い、全てに新聞紙を張りめぐらせたらとても温かかった。
●寝床をうまく作れるか心配だったけど、友達と協力して作れてよかった。実際に震災が起きた時
にも、協力することが大切だと思った。
【その他】
●ご飯は普段食べるものより少なかったけれど、震災の時には、この食料で命を繋ぐということ
が分かった。感謝して食料を食べるようにしたい。
●寝るときのスペースが小さく、ぎゅうぎゅうで寝て大変だった。
●今回やったことを上の学年にも、下の学年にも伝えたいと思った。
●今回の避難所宿泊学習で、学んだことを実際に震災が起きた時に思い出して、自分の命と、周り
の人の命も守りたい。
授業の考察
本校初となる学習であったが、児童は生きぬく科で学習している内容や4月に発災した熊本地震の被害を
基に目の前の課題を解決することができていた。児童の感想にもあるように、使えるものや食料、一人のス
ペースなどが限られていることを体験を通して実感していた。避難所運営ゲームや避難所作りでは、様々な
人が共に生活するからこそ大変なことや自分だけでは解決できない課題や困難があることに気付くことがで
きた。ただ、課題に直面した際には、友達と協力して、考えを共有しながら試行錯誤するなど協働的な活動
が多く見られた。他者と協働することで自分もよりよく過ごしていくことの大切さに自然と気付ける体験で
あったと考えられる。
これまで学んできた災害の備えに体験的な知識が加わることで、児童が災害時をよりリアルに想像するこ
とができるようになった。その上で、自ら根拠をもって冷静に判断していく姿が見られたことは大きな成果
であったと感じる。
48
4 学年
台風が来たら
自然現象(気象)
大雨
達成目標
台風による被害を知り、自分の住む町での危険を予想し、どのように備えたらよいか考え説明できる。
実践力 (態度)
気象情報から台風について正しく知り、自分の住むまちでの危険を予想して、台風に備える。(5:防災に
努める)
知識 (内容)
①台風による被害には、「暴風」「大雨」「高波」「高潮」など地域によって異なる。(ロ:災害知識)
②台風が近づいたときに自分で行える備えがある。(ハ:防災知識)
能力 台風による被害や危険を予測し、身の守り方を考える。(1:情報を収集して問題を発見する)
学習活動 台風から来るとどんな被害が予想されるか考え、身を守るためにどのようにすることが最善か考えを交流
する。
条件(既習・経験事項)
●台風について、経験したことやニュースで見たことがある。
目 安 時 間
45 分
【ワークシート】
「防災まちづくり・くにづくり」学習ワークブック活用
49
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】台風のときの経験やニュースを見て感じたことについて話し合う。
【発問】今まで台風が来たとき、どんな様子でしたか。
【教材】台風の様子(動画)
○気が倒れそうなくらい風が吹いていた。 ○浅川の水があふれそうになった。 ○家の外においてあったものが飛んで行ってしまった。
○傘が壊れてしまった。 ○全身びしょ濡れになった。
STEP2
【課題】絵地図のまちに台風が来たらどのような被害が起こるか考え話し合う。
【発問】このまちに、大きな台風が来たらどんな被害が起きそうですか。
【教材】「防災まちづくり・くにづくり」学習ワークブック
○台風の被害は地域によって違うと言っていた。
○平山地域は、川が近いから水害の危険がありそう。
○近くの浅川が氾濫しそう。 ○洪水になりそう。 ○地下道があるから水没しそう。 ○木がたくさんあるから折れて飛んできそう
① ○
STEP3
【課題】台風が近づいたとき、どのような備えが必要か予想する。
【発問】台風が近づいたとき、どんな備えが必要か考えよう。
【教材】リーフレット『大雨や台風に備えて』(気象庁)
◎窓や雨戸をしっかりしめて、家の中で過ごす。 ◎風で飛ばされそうなものは、室内にしまったり、固定したりする。
◎停電に備えて、懐中電灯や携帯ラジオなどを準備する。
◎出かけているときは、台風の状況によって、早めに帰宅したり出かけ先の建物の中に留まったりする。
◎川や地下道に近づかない。
② ○
STEP4
【課題】台風への備え方について知る。 【発問】自分で行うことのできる台風被害への備えです。 ①家の外の備え
②家の中の備え ③避難場所の確認 ④非常持ち出し品の用意 【教材】リーフレット『大雨や台風に備えて』(気象庁)
◎家の外と中の備えが必要 ◎気象情報や避難情報をしっかりと確認することが必要
② ○
50
授業の様子
児童の記述
児童の感想
●土砂崩れや、高潮など、土地よって台風から受ける被害が違うということが分かった。
●自分がいる場所をよく確認して、どんな被害が起きるかを思い出して、対策をしたいと思った。
●強風に注意して、飛びそうなものはしまったりしてできるだけ危険を少なくする。
●ニュースなどをよく見て、事前に対策をとることが大事だと思った。
●雨どいの掃除や、軽いものは片付けるなど、日頃から自分でできることをしたい。
●何よりも、台風が起きたらすぐに安全なところに避難する必要があると学んだ。
授業の考察
8月末に平山地域に非常に強い台風が来て、学校が避難所に指定されたことを受け、台風はどのような被
害をもたらすのか、架空の町や家を基に考えた。そして、実際に自分の住む町・家にはどんな危険があるか
を予想し、それぞれどのように備えたらよいのかを考えた。
台風による被害予測や対策を、個人・ペア・グループで考える活動を通じて、地形によって被害の様子が
変わることを読み取る姿が見られた。また、備えについては、個人でできることと、家庭や行政の助けをも
らってできることがあることを理解していた。
この学習を通して、台風への備えにも自分でできることがあると分かり、大人任せにするのではなく、自
分でできることや呼び掛けられることをすぐに実行しようとする様子が見られた。また、これまで自身の中
の学びで終えていた児童も、家族に学んだことを伝えるといった変容も見られた。
52
5 学年
安全な避難経路を探そう
自然現象(気象)
大雨
達成目標
地形を読みとり、大雨が降った後にどのような災害が起こるのか想定し、避難の仕方を判断することが
できる。
実践力 (態度)
初めて訪れる場所でも、自然災害が起きたときに知識を活用して生きぬく方法を考える。(2:自分の命を
大切にする)
知識 (内容)
①大雨が降ると、河川の水が増水し、堤防が決壊して水害が起こることを予測する。(ロ:災害知識)
②大雨が降った後の土砂災害(がけ崩れ・土石流・地すべり)などによる被害を予想し、自分たちで避難の
仕方を考える。(ロ:災害知識)
③地形からどんな災害が起こるのか考える。(イ:基礎知識)
能力 予想した災害被害をもとに、根拠もって避難経路を判断することができる。(4:根拠をもって判断する能
力)
学習活動 災害被害をシミュレーションし、自分で考えた対応を発表して学級全体で共有する。
条件(既習・経験事項)
●注意報や警報など、災害情報について理解している。
●大雨が降ると土砂崩れや洪水などの災害が起きやすい
ことを理解している
目 安 時 間
45 分
【ワークシート】
53
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】大雨による天候の変化や注意報について考える。
【発問】現在は、大雨が降っていて時間と共に注意報や警報が出ています。
【教材】 大雨の映像(気象庁からの情報を流す
・橋が崩れる ・茶色い水が流れてきている。 ・家を押し流している ◎この道を通ろう ◎崖が崩れている。 ◎山から土砂が落ちてきている。
STEP2
【課題】地形を読み取り、大雨が降ると、河川の水が増水し、水害が起こることや、山や崖が崩れるなど土砂災害が起きることを予測し、災害が起こる場所を予想する。
【発問】どこでどんな災害が起きるのか予想してみよう。
【教材】 タブレット(地形図) 大雨の映像(気象庁より) 気象庁からの情報を流す
・道路が浸水する。 ・橋が崩れる。 ・地盤が緩んでいる。 ・家が傾く。 ◎河川があふれる。 ◎山から水が流れ始めたら危ない。 ◎地震のような音が聞こえたら、土砂が流れ落ちてくる。
① ②
○
STEP3
【課題】地形と気象情報をもとに、大雨による災害をシミュレーションし、避難のしかたを班で話し合う。
【発問】避難指示と気象情報を聞いて、どう避難すればよいのか班で話し合おう。
【教材】 タブレット(地形図) 大雨の映像(気象庁より)
◎河川があふれ、橋が渡れない。 ◎大雨・洪水警報が発令しているから山に近づかない。
◎山の斜面から水が流れてきたら、土砂崩れが起こるから通らない。
① ② ③
○
STEP4
【課題】班で話し合ったことをもとに、自分が考えた避難先と避難経路が安全化どうか、もう一度吟味し、修正する。
【発問】班で話し合ったことをもとにして自分で書いた避難先や避難経路について修正しよう。
【教材】 タブレット(地形図) スタディネット
◎河川があふれ、橋が渡れない。 ◎大雨・洪水警報が発令しているから山に近づかない。
◎山の斜面から水が流れてきたら、土砂崩れが起こるから通らない。
◎ここは危険だからこちらを通ろう。
① ② ③
○
STEP5
【課題】発表をし、全体で交流する。 【発問】大雨による災害が起こったとき、どのように避難すればよいか発表しよう。
【教材】 タブレット(地形図) スタディネット(ストローク再生)
・この建物に避難したら、浸水があるかもしれないから2階以上に避難するといい。
・山や河川から離れた安全な場所に避難する。 ・病院へ避難をしたら、建物の中で山の斜面から遠く、できるだけ高いところに避難する。(垂直避難)
◎大雨が降った後に災害が起こったことを想定し、避難経路を地形や気象情報を根拠にし、判断することができる。
① ② ③
54
授業の様子
「大雨特別警報」そのときどうする? 大雨のときの危険な場所を予測する
自分の考えが友だちの考えによって修正・改善される
児童の記述
授業の考察
理科「流れる水の働き」や社会科の地形の読み取り学習をもとに、大雨が降った時の危険について考えた。
次々と出される気象情報から、想定される災害を考え、危険箇所と安全な場所を話し合った。「沢が近いから
土砂崩れの可能性がある。」「ここは平地だから」「川が近いから。」等、自分が選んだ危険箇所や避難経路を、
根拠をもって説明することができた。
グループでの話し合いを通して、自分の考えを検証し振り返りを行った。その中で、自分では安全だと思
った場所が「実は危ない場所なのではないか。」と気付き、話し合い後に避難経路を修正した児童もいる。さ
らに話し合いを全体に広げ、考えを学級全体で共有した。
今まで災害に対して受け身だった児童が、この学習を通して、気象情報や避難情報等に主体的に耳を傾け、
自分の身を守るためにはどうしたらよいかを判断し、行動しようとする態度につながると考える。
56
5 学年
ハザードマップをつくろう
自然現象(大地・気象)
地震 大雨
達成目標
地形を読み取り、その地域の災害リスクを想定し、避難するルート・場所を判断する。
実践力 (態度)
どんな場所でも、そこの地形を読み取り、その地域の災害リスクを想定し、いざというときに避難できそう
なルートや場所を見つける(6:安全な社会をつくる)
知識 (内容)
○地形からどんな災害が起こるのか考える。(イ:基礎知識)<自然環境>
・河川では大雨が降ると増水し、水があふれたり堤防が決壊して水害が起こることを予測する。(ロ:災害
知識)
・山間部では土砂災害(がけ崩れ・土石流・地すべり)による被害を予測する。(ロ:災害知識)
・沿岸部では地震により津波の被害があることを予測する。(ロ:災害知識)
能力
①専門家グループの他班から、危険な場所と理由等の情報を収集する。(1:情報を収集して問題を発見する
能力)
②地形や標高などから、地図上のまちの様子を読み取る。(2:知識を獲得し構造化する能力)
③リスクを避けて、安全な場所に避難所を設置する。(3:根拠をもって判断する能力)
④収集してきた情報をもとに、ハザードマップを作成し、安全な避難所の設置場所を選定する。(4:多様な
他者と協働して創造する能力)
学習活動 地域別で起こりうる被害を予測し、グループごとに避難所を設置する。
条件(既習・経験事項)
●地形や等高線などの読み取り方を理解している。
●地理的条件、地形条件、土地利用の状況などによって、自然災害の種類が異なることを理解している。(沿岸部:
津波、山間部:土石流・地滑り・がけ崩れ、河岸段丘(中流平坦部):洪水)
【基礎知識・災害知識を振り返る(土石流・地すべり・急な斜面・津波の現象)】
「防災まちづくり・くにづくり」
学習ワークブック P4-7 活用
目 安 時 間
45 分
57
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】沿岸部、山間部、河岸段丘(中流平坦部)での自然災害による被害を考える。
【発問】①自然災害にはどのようなものがあるか。 ②地形や土地利用の状況別にどのような災害が起こるのだろうか。
【教材】三種類の地図(沿岸部・山間部・河岸段丘)
◎沿岸部では、地震による津波が起こる。
◎山間部では、大雨により、土砂崩れが起こる。
◎河岸段丘では、大雨による洪水が起こる。
○ ②
STEP2
【課題】9 つの災害対策本部でそれぞれ沿岸部、山間部、河岸段丘の 3 つに分かれ、まずは個人で危険な場所について予測する。
【発問】発生すると考えられる災害に対してどこが危険な場所か推測しよう。(個人)
【教材】三種類の地図(沿岸部・山間部。河岸段丘)、立体模型(沿岸部・山間部。河岸段丘)、防災まちづくり学習ワークブック、タブレット(担当の地図)
○ ①③
STEP3
【課題】専門家グループに分かれ、危険な場所を話し合う。
【発問】地形別のグループごとに危険な場所について話し合おう。
【教材】三種類の地図(沿岸部・山間部。河岸段丘)、立体模型(沿岸部・山間部。河岸段丘)、タブレット(担当の地図)スタディノート
◎斜面が急になっているところは、土砂崩れが起きそうだ。
◎線路沿いまで津波がきそうだ。 ◎津波は川を逆流する可能性がある。
◎川の水かさが増して、カーブの外側は決壊しそう。
○ ①③
STEP4 山間部の避難
所設置
【課題】専門家グループで話し合われた内容をもとに、山間部の避難ルートと避難所を設置する。
【発問】専門家グループで話し合われた内容をもとに、山間部の避難ルートと避難所を設置しよう。
【教材】タブレット(山間部地図)スタディノート
◎地滑りの危険があるから、公民館はさけよう。
◎小学校は土石流の心配があるから、避難所は避けよう。
○ ①③
STEP5 山間部の避難
所設置
【課題】9 つの災害対策本部で設置した避難所について確認し合う。
【発問】ほかの災害対策本部の避難所を見てみよう。 【教材】山間部地図
◎土砂崩れの被害がなさそうな公民館を避難所にしよう。
◎川の近くは避けて、離れた小学校を避難所にしよう。
次時以降は、沿岸部、河岸段丘での避難所の設置を考える。
STEP6 ハザードマッ
プ作成
【課題】専門家グループで想定した危険個所をもとにハザードマップを作成し、これを基に災害対策本部として安全な場所に避難所を選定(設置)する。
【発問】学んだことをもとにハードマップを完成させよう。
【教材】タブレット(沿岸部、山間部、河岸段丘の地図)
○ ④
58
授業の様子
避難所を開設するために、まずは地図を見て地形を読み取り、危険箇所を予想する。
エキスパートチームに分かれて、専門的に
危険箇所を予測する。(海・山・川チーム)
ホームに戻って、避難所を開設する場所を検討し、
全体で吟味する。
59
授業で使った地図(架空の地域)
A:河岸段丘(中流平坦部) B:山間部 C:沿岸部
自分が作ったハザードマップと専門家が作ったものと比べて、考察する。
児童の感想
●僕が避難所にした高校は、土石流に飲み込まれてしまう。そのため、山間部に避難所を開設する場合は土砂崩れ
と土石流の2つのことを考えながら解説しなくてはいけない。
●災害予測をするのがむずかしかったけど、土地のつくりや高さに注目して避難所を開設することができました。
●ハザードマップを使う人のことを考え、見やすく、分かりやすいようにするために苦労した。
●避難所を設置するのが難しかったです。洪水、土砂崩れ、土石流などから逃れることのできる場所に設置するこ
とが大切なことがわかった。
授業の考察
理科「流れる水の働き」や社会科の地形の読み取り学習、生きぬく科での地形による災害の違いの学習を
基に、ハザードマップをつくりました。地形ごとに想定される災害を考え、危険個所と安全な場所を話し合
った。「沢が近いから土砂崩れの可能性がある。」「ここは平地だから」「川が近いから。」等、自分たちが選ん
だ危険個所や避難所を、根拠をもって説明することができた。
グループでの話し合いを通して、自分の考えを検証し振り返りを行った。その中で、自分では安全だと思
った場所が「実は危ない場所なのではないか。」と気付き、話し合い後に避難所を修正した児童もいる。さら
に話し合いを全体に広げ、考えを学級全体で共有した。
今まで災害に対して受け身だった児童が、この学習を通して、自分の身を守るためにはどうしたらよいか
を判断し、行動しようとする態度につながると考える。
60
5 学年
倒れている人がいたら
命
救急法
達成目標
心肺蘇生が必要かどうかを判断し、正しく行うことができる。
実践力 (態度)
けがをした人や倒れている人を助けるために、複数で協力して処置をする。(3:人を助ける)
知識 (内容)
①意識不明者がいたら、まず呼吸があるかどうか確認する。(ロ:防災知識)
②呼吸がないときは、胸骨圧迫する。(ロ:防災知識)
能力 心肺蘇生が必要かどうか判断し、必要なときは実行することができる。(5:決断して行動する)
学習活動 倒れている人がいたらどんな行動をとるべきか、班ごとにイメージ映像で発表する。その後、専門家から正
しい心肺蘇生法を学ぶ。
条件(既習・経験事項)
●AEDは心肺蘇生機能をもつ装置であることを知っている。
●人が倒れていたら、救急車を呼ぶ・AEDを持ってくる・胸骨圧迫を行うことが必要であると知っている。
目 安 時 間
45 分
【教材①】:たたかう!救急アニメ DVD
「救え!ボジョレー!!」
(大阪ライフサポート協会)
【教材②】:心肺蘇生トレーニングキット
「あっぱくんライト(シート型)」
(大阪ライフサポート協会)
61
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】資料動画「胸骨圧迫(心臓マッサージ)のしかた」を見て正しい胸骨圧迫の方法を確認する。
【発問】胸骨圧迫の練習をしましょう。 【教材】 「救えボジョレー!! 胸部圧迫と AEDを学ぼう~第5話」(大阪ライフサポート協会) あっぱくんライト
○この速さでいいのかな。 ○結構疲れるな。 ○いつまでやればいいのかな。 ○一人で長くはできないかもしれないな。 ○交代でやる意味がわかる。
①② ○
STEP2
【課題】胸骨圧迫(心臓マッサージ)が必要な場面で実行する。
【発問】胸骨圧迫をしなければならない実際の場面を想定して実施してみましょう。
【教材】 心肺蘇生練習用人形(消防署より借用) あっぱくんライト
◎自分たちの力で助けなくちゃ。 ○実際に倒れている人がいたら、本当にできるか不安。
①② ○
STEP3
【課題】学習したことや感想を書く。 【発問】今日学習したことと感想をワークシートに書きましょう。
○自分たちの考えた行動は倒れている人を助けられそうだ。
○海やプールの時は、水に気を付ける必要がある。
○胸骨圧迫(心臓マッサージ)のしかたが分かったな。
○AEDの使い方も知りたいな。
①② ○
62
授業の様子
児童の記述
児童の感想
●胸骨圧迫するのは大変だから、そこにいる人と協力してやるといいことが分かった。
●AED の使い方は前は不安だったけれど、詳しく学んだのでいざというときに使おうと思う。
●自分の少しの勇気で人の命が救えるということが分かった。
●人の命を救うためには適切な判断が必要で、だからこそ普段から救命法を学ぶべきだと思った。
●もし人が倒れていたら駆けつけて協力したい。みんなで協力して一人でも多くの命を亡くさない
ようにしたい。
授業の考察
心肺蘇生(胸骨圧迫・AED)の技能を身に付けていても、実際の場面では「自信がない」「勇気がない」等
の理由で実践につながらないことが多いようである。そこで、技能の習得と活用とを分けてそれぞれ丁寧に
扱うことにした。
本時は心肺蘇生の技能を身に付ける学習の 2 時間目である。前時に「倒れている人がいたときの行動のし
かた」と「心臓のはたらきと心停止の意味」について学習し、本時では「胸骨圧迫のしかた」の習得を目指し
た。知識をしっかり習得することで自信につながり、最終目標の「人を助けるための勇気を身につける」に
つながると考えた。
この授業を受けて、次時に自分たちで人が倒れている具体的な場面を考えて、その中で胸骨圧迫と AED を
どう使うかを考え実践していく。
64
6 学年
自然からの恵み
自然現象(気象)
自然環境
達成目標
自然からの恵みがあってはじめて私たち人間は、生きていくことができることがわかる。
実践力 (態度)
身近な自然の恵みに気付き感謝しようとする。(1:自然の恵みを大切にする)
知識 (内容)
わたしたちの暮らしが身近な自然の恵みによって様々な恩恵を受けていることと、自然がなくなったとき
に生じる影響を知る。 (イ:基礎知識)
・様々な資源を与えてくれる自然
・安らぎを与えてくれる自然
能力 もしも自然の恵みがなければ、私たちの暮らしに様々な影響が生じることを予測する。
(1:情報を収集して問題を発見する)
学習活動 イラストを見ながら、身近な自然からどのような「恵み」を受けているかを考え、発表する。
条件(既習・経験事項)
森林には、次のようなはたらきがあることを知っている。
●雨水を貯えたり、土砂災害を防いだりする。
●二酸化炭素を吸って酸素を増やし空気をきれいにする。
●振動や騒音を遮る。
●森林浴やハイキングに訪れた人々の
心を和ませる。
自然の恵みを考えよう 6年 組 名前( )
目 安 時 間
45 分
【ワークシート】
「防災まちづくり・くにづくり」
学習ワークブック P2~3 活用
65
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】自然からの恵みにはどんなものがあるか、既習事項を思い出す。
【発問】自然からの恵みにはどんなものがありますか。
【教材】ワークシート(防災まちづくり・くにづくり学習ワークブックより抜粋)
○森林が雨水を貯える。 ○森林は、二酸化炭素を吸って酸素を出す。 ○森林は、動物の住処となっている。 ○森林は、振動や騒音を遮る。
○
STEP2
【課題】自然の恵みから恩恵を受けていることは何か考えて書く。
【発問】自然の恵みは、私たちにとってどんなよさがあると思いますか。
【教材】 ワークシート(防災まちづくり・くにづ
くり学習ワークブックより抜粋)
◎森林が雨水を貯え、土砂災害を防いでくれる。 ◎森林は、空気をきれいにしてくれる。 ◎森林は、振動や騒音を遮ってくれる。 ◎森林浴によって訪れた人々の心を和ませてくれる。
◎田畑からは、米や野菜が採れる。 ◎動物たちの糞や亡骸によって、豊かな土壌になる。
◎海や川からは、魚介類が採れる。
○
STEP3
【課題】イラスト上のまちに、ひとたびすごい雨が降ったら、どうなるか予測する。
【発問】このまちで、ひとたび大雨がふったらどうなるか、予想しよう。
【教材】 ワークシート(防災まちづくり・くにづ
くり学習ワークブックより抜粋) 次時で、大雨によって引き起こる災害
の種類を学ぶ。 (土石流・洪水。地すべり・がけ崩れ・高潮)
○山の谷筋で多様の土砂と水が急激に流れ落ちる。
○堤防が壊れたり、川の水があふれたりして、まちや農地が水浸しになる。(特に地下街は大変!)
○雨で傾斜が緩んで、滑り落ちる。 ○雨で急な斜面(がけ)が突然崩れ落ちる。 ○気圧がさがって海面が盛り上がり、海辺のまちや農地に流れ込んでくる。
○
66
授業の様子
イラストのある自然豊かなまちを見て、自然からの恵みについて考える。
わたしたちの暮らしが身近な自然の恵みによってどんな恩恵を受けているか・・・?
でも・・・ひとたびすごい雨がふったら・・・? 「防災まちづくり・くにづくり」学習ワークブック
P6~7 活用
児童の記述
児童の感想
●私たちは、気づかないところでも自然の恵みを受けていることを知った。
●自然はいいところもいっぱいある反面、危険なこともいっぱいあることがわかった。
●人間は自然と共存しているから、大切にしなければならない。
●自然は、食べ物や美味しい空気を与えてくれるだけでなく、「安らぎ」までも与えてくれている
ことがわかった。
授業の考察
自然の恵みについては、第5学年の社会と理科の学習で「森林のはたらき」として学んできている。
しかし、その「森林のはたらき」によって私たち人間がどのような恩恵を受けているかということまで、
理解している児童は多くはいなかった。そこで、本時では「森林のはたらき」を振り返ることから始め、そ
の恩恵を考えさせていった。
児童の考えを発表させていくと、恩恵にも様々なものがあり、テーマごとに分けられることに児童自身が
気付いた。それは「人間にとっての楽しみなもの」「生きるために必要なもの」さらに、「自然災害を防ぐも
の」というテーマも出された。3年間の生きぬく科での学びが生かされていた。
この後、「このまちでひとたび大雨が降ると・・・?」と投げかけ、大雨によって引き起こる災害について、
予測して次時(災害の種類の習得)へとつなげた。
68
6 学年
富士山がふん火したら
自然現象(大地)
火山噴火
達成目標
富士山が噴火したときの被害を予想し、噴火から身を守る方法を考える。
実践力 (態度)
火山が噴火したときに、降ってくる火山灰から身を守る。(2:命を大切にする)
知識 (内容)
①富士山の宝永大噴火(1707 年 江戸時代中期)のときには、江戸に火山灰が 5cm 程積もったことが記録
されている。
②富士山噴火ハザードマップでは、東京~千葉一帯には、火山灰が 2~10cm 程度積もる可能性があると指
摘している。(ロ:災害知識)
③火山噴出物が体内に入らないようにするために、マスクやゴーグルを付けるなどの工夫をする。
④火山灰が降っているときは、ドアや窓を閉めてできるだけ外出しない。(ハ:防災知識)
能力 富士山噴火が起きることによる被害や危険を予測し、身の守り方を考える。
(1:情報を収集して問題を発見する)
学習活動 富士山が噴火して、身を守るためにどのようにすることが最善か考えを交流する。
条件(既習・経験事項)
●火山の噴火のしくみを知っている。
(火山の地下に蓄積されたマグマの内、軽い成分だけが集まっ
たときに上昇し地表に到達して噴出する。)
目 安 時 間
45 分
【ワークシート】
69
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】日本には多くの活火山(110)があり、いつ噴火するかわからない状況であることを思い出す。
【発問】日本の活火山とその中で警戒レベルにある活火山の数はいくつでしたか。
○活火山は110個 ○常に監視している活火山47個 ○警戒レベルある活火山34個
STEP2
【課題】富士山が噴火したときに起こる現象を考え、日野市には 2~10cm 程度火山灰が積もる可能性があることを知る。
【発問】富士山が噴火するとどんな状況になりますか。 ①富士山の付近 ②富士山から離れた地域(日野市)
【教材】 宝永大噴火の際に降り積もった火山灰
の量を示した地図 富士山ハザードマップ
『富士山・噴火・被害』(YouTube フリー動 画)
○富士山付近では、溶岩や火砕流が流れてくる。 ○富士山付近では、火山灰で前が見えなくなる。 ○日野市では、火山灰が降り積もる。
①② ○
STEP3
【課題】火山灰による被害を予想する。 【発問】火山灰が降り積もると、どんな被害があるでしょうか。
○目が痛くなる。 ○皮膚が炎症を起こす。 ○喉が痛くなる。 ○呼吸が苦しくなる。 ○給水停止。(水源地に火山灰が降り積もる) ○停電。(火力発電所が停止や火山灰の重みで、送電線が切れる可能性も有り)
○交通網が停止。(火山灰の影響で車が動かない)
①② ○
STEP4
【課題】火山灰が降り積もったとき、どうやって身を守ればいいか予想する。
【発問】富士山が噴火したとき、どうやって身を守ればいいか考えよう。
【教材】 リーフレット『火山灰から身を守るための対策』(内閣府:防災担当) ◎吸いこまないように、マスクを着ける。
◎目に入らないように、ゴーグルを着ける。 ◎火山灰が目に入ったら、こすらずに水で流す。 ◎皮膚を守るために、長袖長ズボンを着る。 ◎火山灰が付きにくいさらさらな生地の服を着る。(レインコートなど)
◎見通しが悪くなって事故に遭う。
③④ ○
STEP5
【課題】火山灰から身を守る方法を知る。 【発問】火山灰から身を守るための対策です。 ①防塵マスクを着用するなど、火山灰を吸わないようにする。
②火山灰が目に入ったら、手でこすらずに水で洗い流す。
③皮膚を守る。 ④交通事故に気を付ける。
【教材】リーフレット『火山灰から身を守るための対策』(内閣府:防災担当)
③④ ○
70
授業の様子
児童の考え
富士山が噴火したときに予想される被害は?
【周辺】
●溶岩で周りが燃えて火事になる。
●火山灰が積もって家がつぶれる。
●登山している人が命を落とす。
【離れた地域】
●火山灰が降り目や口に入ってくる。
●火山灰で遠くが見えない。
●高速道路や交通機関が麻痺する。
●電気・水が使えなくなる。
火山灰から身を守るには?
●火山灰が取れやすい素材の服を着る。
●火山灰が体に付かないように長袖・長ズボン
の服を着る。
●火山灰を体に入れないようにマスクやゴーグ
ルを着ける。
●なるべく室内にいる。
●丈夫で窓ガラスの少ない建物の中にいる。
●食料などを備えておく。
児童の感想
●いつでも噴火は起こると、いつも考えていることが大切だと思った。
●火山は怖くていろいろな被害があるけれど、温泉などの恵みがあることも忘れてはいけないと
思った。
●富士山が噴火して火山灰が降ったら、口に入らないようにマスクをしたり、目に入らないようにゴーグルをかけ
たり、火山灰がつきにくい素材の服を着たりするといいんだなと分かりました。
授業の考察
第6学年理科「大地のつくりと変化」の中で、火山噴火のしくみや火砕流・火山灰の成分について触れて
いる。しかし、そこでは火山噴火によって想定される被害やその際の身の守り方などまで詳しくは扱ってい
ない。そこで、その学習の次時として、本授業を位置付けた。
児童は、どんな被害があるのか予想し始めたが、火山付近と火山から遠い地域とでは被害が違うという意
見が出てきた。本時で重点を置くのは「遠い地域」つまり、富士山噴火の際に東京都日野市で想定される被
害である。
富士山噴火ハザードマップで東京都日野市の被害想定を見ると、火山灰が 2~10cm 降り積もることが分
かった。そこで火山灰による被害と対策に絞って考えた。
ほとんどの児童が、目や皮膚から体内に入る危険性(災害知識)を予測できた。これは、事前に基礎知識
として火山灰の成分についての学習が関係していると考える。災害知識・防災知識を学ぶ際に、基礎知識を
しっかりと身に付けておくことの大切さを
72
6 学年
災害に強いまちをつくろう
まちづくり・くにづくり
自治体
達成目標
イラストの「まち」の建物を移動したり、設備を追加したりして、強いまちをつくることができる。
実践力 (態度)
自分の住むまちを災害に強くするためにはどのようなことが必要か考え、他の人の意見を聞きながら、より
適切な方策を提案する。(6:安全な社会をつくる)
知識 (内容)
災害に強いまちとは、公共性の高い建物が地形の特性を考えて配置されていて、減災設備が整っているまち
である。(ハ:防災知識)
能力
①地図上のまちについて「どんな危険があるか」「何をどこに移せば安全か」等を、既習事項を基に考える。
(3:根拠をもって判断する)
②災害に強いまちにするための方法を各班で意見交換しながら創造する。(4:多様な他者と協働して創造
する)
③災害に強いまちをつくるための一方途として、まちの構造をつくりかえると巨視的な考えをもつ。
学習活動 地図上のまちの危険箇所を個々に考え、安全なまちに変えるためにどうすればよいか、班ごとに意見交換
し、より適切な方策を提案する。
条件(既習・経験事項)
以下の基礎知識・災害知識・防災知識を知っている。
●減災のための設備(砂防ダム・堤防・緑の堤防・津波タワー・波消しブロック・よう壁 等)
●海沿いの地域では、地震の後に津波の被害に遭うことがある。
●山の谷筋は、土砂崩れが起きやすい。
●大きな工場などは、「広い敷地が必要」「材料が手に入りやすい」「水陸の交通が便利」などの理由で、海沿いにある
方が便利である。
目 安 時 間
45 分
「防災まちづくり・くにづくり」
学習ワークブック P14~17 活用
73
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】地図上のまちはどんな地形で、どんな建物があるか言う。
【発問】海山町はどんな地形で、どんな建物がありますか。
【教材】ワークシート(海山町が描かれた地図)
・山、海、丘、川 ・学校、幼稚園、市役所、消防署、病院 ・発電所、石油コンビナート、工場 ・住宅 ・公園、畑
STEP2
【課題】災害に強いまちにするにはどうすればよいか、建物に着目して班ごとに話し合う。
【発問】海山町を災害に強いまちにするための方法を考えましょう。
〈指導のポイント〉 ・話し合いのめあてをもたせる。(ルーブリック)
・なぜその建物をそこに移動するのかを、知識に基づいて発言させる
〈スタディノートでできること〉 ・今ある建物を移動すること。 ・欄外にある減災の設備を加えること 【教材】スタディノート(海山町が描かれた地図)
◎学校・市役所・病院など、公共性の高い建物を優先して安全な場所に移動する。ただし、住民が行きやすい便利な場所にあることも大切である。 ◎発電所・石油コンビナート・重要な工場など、生活に関係のある工場を優先して安全な場所に移動する。 ◎移動することが無理なところは、減災設備を加える。 キーワード 「公共性の高い建物(公共施設)」 「便利な場所・不便な場所」 〈発言例〉 ・「市役所は海や川の近くにあるので、津波や洪水などの被害に遭いやすい。みんなが使う市役所だから、海や川から離れた便利なところに移動する。」
○ ① ② ③
STEP3
【課題】話し合いの途中経過をタブレット上で共有し、吟味する。
【発問】他の班がどのような視点で「強いまち」をつくっているか見てみよう。
〈指導のポイント〉 ・他の班のものを見るときの観点を与える。(自分の班と同じ視点か?違う視点か?)
・詳しく話を聞いてみたいという声が多い班のものを 2~3 全体発表させる。
【教材】スタディノート(各班の考え途中の「強いまち」)
STEP4
【課題】班で話し合い、提案を改善する。 【発問】他の班の考えを参考にして、自分たちのまちづくりを見直そう。
〈指導のポイント〉 ・地図が完成したら、強いまちづくりのポイントを記入させる。
【教材】スタディノート(海山町が描かれた地図)
〈災害に強いまちづくりのポイント〉 ポイント1: 全てを移すことができないので、公共性の高い建物を優先して移動する。
ポイント2: 移すことが無理なところは、減災設備を整える。
STEP5
【課題】災害に強いまちづくりのポイントを言う。
【発問】どんなまちでも提案できるようなまちづくりのポイントを言いましょう。
【発問】今日の振り返りをしましょう。
◎友達の考えを聞いて、自分の考えを改善できた。
◎建物を移動して、まち全体を作り変えてもいいことに驚いた。
○
74
授業の様子
児童の記述
児童の感想
●小学校・病院・市役所は、避難所の役目や放送したりするから、川・海・山からはできるだけ離すことが大事だ
と思った。
●老人ホームや病院は、動けない人がいるので、海から離れた安全な場所に建てるとよい。
●単に災害だけのことを考えるのではなく、人々の使いやすさや環境のことなども考えて強いまちをつくっていく
ことが大事。
●強いまちづくりのポイントは、減災設備を増やすことだけど、多すぎてもよくない。
●そのまちにとって重要な住宅地や小学校・市役所などは、山や海から離れて建てるべき。
授業の考察
初めから「減災設備」を提示すると、児童は今あるまちを補強しようと際限なく減災設備を設置し始める
のではないかと予想した。そこで、まずは「危険な所」から「安全な所」に建物を移すことから考えさせるこ
とにした。
多くの児童が、住宅を最優先に動かし始めた。すると、安全な所が少なくなり、市役所や病院等の公共施
設を移すことができなくなった。「優先に移すのは、住宅か?公共施設か?」意見が分かれたが、結論はでな
かった。ただ「建物を移すには、優先順位を考えないといけない」ということに気付いた。
後半に、「どうしても建物を移すことができないときは、減災設備を加える」という提案をした。児童は、
堤防・津波タワー・砂防ダム・よう壁 等の設備を加えていった。その中で、「この設備1つ造るのにどのく
らいの予算が必要なのか?」という疑問も生まれてきた。ただ加えるのではなく「まち」の視点で考えると
きには、そういう点も考慮すべきであることにも気付くことができた。
今回は「まち」レベルであったが、首都圏人口集中・地方過疎化等と言われる現在、人口密度の高低と大
震災が予想されている都市等を考慮しながら、「くに」レベルで考える機会もつくりたいと考える。
海や川の水が住宅地などに来ないように!老人ホームや病院は動けない人がいるので、海から遠いところに置くとよい!
そのまちにとって重要な住宅地や小学校・市役所などは、海や山から離して建てるべき。
76
特別支援学級
じしんのしくみ
自然現象(大地)
地震
達成目標
地震の起こるしくみと地震が多い理由がわかる。
実践力 (態度)
日本には地震が多いことと地震の起こるしくみを知り、日頃から地震に備える。(防災に努める)
知識 (内容)
○地震とは地面が揺れること、その上の建物や自然のものもすべて揺れること。(イ:基礎知識)
○地震の正体とは、岩盤がこわれることである。(イ:基礎知識)
○日本は地震が起こりやすい。(ロ:災害知識)
能力 体験や与えられた情報をもとに、どんなことが危険か、そのためにどんな行動をしたらよいか課題を見つけ
る。(1:情報を収集して問題を発見する)
学習活動 資料を見て、危険なことやそのための対策について自分なりに考えたことを交流する。
条件(既習・経験事項)
●経験から、地震は地面が揺れることだと知っている。
●過去 2 年間に、生きぬく科で「しんげんち」「しんど」「マグニチュード」という言葉を知っている。
●東日本大震災の様子を聞いたことがある。
●ニュースで熊本地震が起こったことを知っている
【ワークシート】
目 安 時 間
45 分
77
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】課題:地震に関する昔からの言い伝えを知る。
【発問】昔、世界のいろいろな国では、地震はなぜ起こると思われていたでしょう。
【教材】視覚資料 ・地下の大ナマズ(日本) ・地下の象(インド) ・伝説の動物、神話の神(ヨーロッパ)
(資料を見る前) ・地面の下で何かがおこっている。 ・じめんがゆれる。 (資料を見た後) ・なんでナマズ? ・聞いたことある。 ◎地面の下で動物が動く、っていうのが多い。
STEP2
【課題】地震のしくみを知る 【発問】地面の下では何がおこっているのでしょう。
【教材】視覚教材「プレートのずれ」「じしんの揺れ」
・地面の下で動いていたのは動物じゃなくて板(プレート)だったのか。
◎プレートがぎゅうぎゅう押されているのか。 ◎押されすぎて割れたりずれたりすると地震がおきるのか。 ◎海の中でずれると津波が起こるのか。
○ ○
STEP3
【課題】地震に関する用語を知る。 【発問】よく聞いたことのある、これらの言葉はどういう意味でしょう。
【教材】ワークシート「じしんのしくみ」
・「しんど」と「マグニチュード」はどうちがうのかな。
・「しんど」は場所によってかわる。 ◎「しんげんち」は地震が起こった場所だから、プレートがずれた場所。
○ ○
STEP4
【課題】防災学習の計画を知る。 【発問】熊本の地震では、2 年間勉強してきたこととどんな違うことがありましたか。どんな勉強が必要ですか。
【教材】 パワーポイント 「じしんのしくみ・熊本地震」
視覚教材「プレートと火山と日本列島」
・大きな揺れが二回あった。 ・家がつぶれて死んでしまった人が多かった。避難所に入れない人がいた。
・3 日で助けは来なかった。 ◎何が同じだったのか、違ったのか、もっと知りたい。
78
授業の様子
児童の記述
児童の感想
●地震は地面が揺れる。(1 年生)
●地震は地面の下で「板」がずれることがわかった。(3 年生)
●日本は地震が起こりやすい国だった。(5年生)
●もうすぐ東京にも地震が起こるかもしれない。もっと勉強しておきたい。(6年生)
授業の考察
地震学習の導入。地震とは地面がゆれること。ではなぜゆれるんだろう?「地面の下でなまずがあばれて
いる(日本)」「地面の下でゾウがあばれている(インド)」など、世界で言い伝えられている神話を紹介する
と「おもしろーい」と食いついてきた。地面の下で何が起こっているかを想像させた。「プレートがずれる」
「火山ふんか」を二大理由に対して、私たちの住んでいる日本が地震が起こりやすい国であること、大きな
地震が続いていることを紹介すると、「たいへんだ…」と子どもたちは真剣な表情になっていった。
これまでも 2 年間、様々な災害について「しくみ」と「どうすればいい」をセットで勉強してきた。避難
所生活や備えについても学習を重ねてきている子どもたちだったが、起こったばかりの熊本地震では、避難
所に入れない人など勉強してきたことと違う状況を写真で見て、「東京で地震が起こった時にどうすればいい
のかを勉強していきたい」と学習に対する意欲を見せていた。
80
特別支援学級
くもはかせになろう
自然現象(気象)
積乱雲
達成目標
雲の種類に興味をもち、積乱雲はどのような雲かを知り、積乱雲ができると急な大雨や雷、竜巻などが
起こることを知る。
実践力 (態度)
積乱雲がでたときに、その後の天気の変化を考えて行動する。(2:自分の命を大切にする)
知識 (内容)
積乱雲の特徴を知り、積乱雲ができると急な大雨や雷、竜巻などが起こることを知る。
(イ:基礎知識)
能力 写真や資料をもとに、積乱雲と雷の関係と雷が鳴ったときの行動のしかたを考える。
(1:情報を収集して問題を発見する)
学習活動 積乱雲や雷の画像を見ながら自身の経験を想起し、雷が鳴ったときにどのように行動したらよいか考え交
流する。
条件(既習・経験事項)
●真黒にもくもくとしていてカリフラワーのような形の雲を見たことがある。
●雷の音を聞いたり、稲妻を見たりしたことがある。
目 安 時 間
45 分
【ワークシート】
生きぬく科
くもとてんき
なまえ
① しゃしんのくものなまえをかきましょう。
② しゃしんのくもはどんなかたちをしていますか。
とくちょうをかきましょう。
➂ せきらんうんがでたあとにどんなさいがいが
おきやすいかかきましょう。
写真・イラスト:
フリー画像使用
【提示教材】
81
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】雲と天気が関係していることを知る。
【発問】見たことがある雲はあるかな? 雲と天気は関係しています。 【教材】(視覚教材) ・10種類の雲の写真 ・積乱雲の写真
・この雲は見たことがあります。 ◎雨雲は雨が降りそうです。 ◎黒っぽい雲だと雨が来そうです。
○
STEP2
【課題】積乱雲を特徴を知る。 【発問】こんな雲を見たことがあるかな? どんな形をしてますか?
【教材】(視覚教材) ・積乱雲の写真
・大きな雲だね。 ・もくもくしてるね。 ◎カリフラワーみたいな形だね。
○
STEP3
【課題】積乱雲ができると急な大雨や雷、竜巻などが起こることを知る。
【発問】この雲が出てくるとどんなことが起こるか考えてみよう。
【教材】(視覚教材) 大雨、雷、竜巻の写真
・雨が降る。 ◎大雨がふります。 ◎雷が起きます。 ◎竜巻も起きる。
○
STEP4
【課題】今日学習したことを整理する。 【発問】積乱雲の特徴と、積乱雲が出たときにどんな災害がおこるかワークシートに記入しよう。
【教材】ワークシート
◎積乱雲はとても大きい。 ◎積乱雲が出ると大雨が降る。 ◎積乱雲が出ると雷が起きる。 ◎積乱雲が出ると竜巻が起きる。
○
82
授業の様子
児童の記述
児童の感想
●いろいろなくもがあるんだということがわかった。
●夏に見られるもくもくの雲の名前が積乱雲ということがわかった。
●積乱雲がおきたら、気をつけなければいけない。
●これからは、外に出たら、空の変化や雲の形を注意して見てみる。
授業の考察
授業普段何気なく、生活していると空には色々な形の様々な雲がある。その一つ一つに名前があって、特
徴がある。雲の種類に興味をもち、雲はどうしてできるのか、季節によって見える雲が違うこと。上層、中
層、下層に出現する雲があり、現れる高さが違うことを学習した。導入では、雲に興味をもたせるために、
複数の先生がその雲になりきって登場し、身体全体で雲を表現し、子供たちも大喜びで先生雲の登場を楽し
んでいた。最後は雲カルタを作成して雲の名前を言いながら絵カード(雲写真)を取り、遊びを通じて、楽
しく学んだ。
10 種類ある雲のその中でも特に積乱雲には注意が執拗で、積乱雲が現れたら、大雨がふること、雷や竜巻
が起きることを学級全体で学び、その時に自分はどうやって身を守ればいいのかを高学年は考えた。そして、
低学年に分かりやすく、身の守り方、その時自分たちはどう行動すればいいのかを伝え、低学年はそれを聞
き頷いていた。この授業を通して、子供たちは「あれは○○雲だよね。」「あの雲は、黒っぽいから、積乱雲に
似ている。」という声が聴かれ、よく空を見上げるようになった。
84
特別支援学級
大雨がふったら
自然現象(気象)
大雨
達成目標
雨の様子を見て、雨の強さの判断ができる。大雨のときの行動を考える。
実践力 (態度)
大雨が降ったときの災害に巻き込まれないように行動する。(2:自分の命を大切にする)
知識 (内容)
①大雨とは何か知る。(イ:基礎知識)
②大雨が降ったときの行動を知る。(ハ:防災知識)
能力 ①情報を収集する能力(1:情報を収集して問題を発見する)
②学んだことから危険を予測する。(3:根拠をもって判断する)
学習活動 災害被害をシミュレーションし、自分で考えた対応を発表して学級全体で共有する。
条件(既習・経験事項)
●言葉として「大雨」「小雨」を知っている。
●大雨の時にどう行動するか、昨年度学習済みである。
●雨の強さについては実感できていない。
目 安 時 間
45 分
【ワークシート】
いきぬく科
大雨がふったら
85
授業の展開
指導の流れ 学習活動と指導のポイント (課題・発問・教材)
予想される児童の反応 (◎:ゴール)
知識 能力
STEP1
【課題】気象庁のホームページで調べ、雨の強さを知る。
【発問】 「キーワードはなんだろう?」 「一時間に○ミリってどういうことだろう?」
【教材】気象庁ホームページ その日一時間ウッドデッキにおいておいたビーカー
◎「一時間に ミリの雨」が大雨だって。 ◎さっき 1時間ウッドデッキにおいていたビーカーの水は8ミリくらい。今降っているのは 「普通の雨」だね。
① ②
STEP2
【課題】大雨が降るとどうなるのかを場所ごとに予想する。
【発問】 「校庭はどうなる?」 「川はどうなる?」 「山はどうなる?」 【教材】 プレゼンテーションソフト イラスト
◎水浸しになっちゃう。 ◎浅川の水が溢れる。 ◎土砂崩れが起きる。
②
STEP3
【課題】大雨が降ったとき、どう行動するか、ワークシートに答えを書く。書いたものを発表する。
【発問】「大雨が降ったら、どうしますか?」
【教材】 大雨の映像 ワークシート
・川の様子を見に行く ・雨の様子を見に行く ・雨宿りする ・外に出る ◎家の中で過ごす ◎川には近づかない ◎天気予報を見る
② ①
86
授業の様子
87
児童の記述
児童の感想
●大雨は危ないとわかった。(1年生)
●大雨が降ると洪水や土砂崩れが起きるとわかった。(3年生)
●家にいるとき大雨が降ったら2階に避難してラジオなどで情報を得ようと思う。(5年生)
●いつ大雨が来てもいいように、どうすればいいか考えておく。(6年生
授業の考察
大雨の学習の導入。大雨とはどんな雨だろう?「強い雨」「激しい雨」など、高学年を中心に発言していた。
そこで外を見てみる。じゃあ、今降っている雨はどんな雨?と聞いてみると「小雨」「まあまあ強い雨」「普
通の雨」子供たちによって受け取り方にばらつきが見られた。大雨とは災害が起きる恐れのある強さの雨の
ことである。しかしこれはわかりづらいので、雨の強さと降り方の表を見せ、大雨は危ないものだというこ
とを伝えた。また、事前に設置しておいた計量カップを回収し、今降っている雨がどれくらいの雨かをみん
なで確認した。
学んだことをもとに、家にいるときや、川の近くにいるとき、山のそばにいるときなどの場面を想定して、
「何が起きるか」「どうすればいいか」をグループごとに考えた。考えたことを発表し、そういう方法もある
のかとほかのグループの発表を真剣に聞き、自分たちの考えをさらに深めることができた。
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