大学における経済統計教育に関する教材の開発第vii 章 家計と消費 第7 章...

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大学における経済統計教育に関する教材の開発

美添泰人

青山学院大学経済学部

2015年 3月 5日統計数理研究所

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 1 / 32

講演の内容

1 経済統計学の講義内容

2 JINSE の設立と活動JINSE の活動統計学分野の参照基準JINSE の参照基準統計学分野の参照基準(経済学)

3 青山学院大学経済学部の「経済統計学」

4 日本統計学会と統計検定,特に RSS/JSS経済統計の教材開発:今後の課題

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 2 / 32

経済統計学の講義内容

伝統的な経済統計学の講義内容

1970年代までは,経済学部で教えられる統計学の名称を「経済統計学」,「経済統計論」,「経済統計」などとしていたが,その内容は初等統計学が中心であった.

比較的最近の例:東洋経済新報社 プログレッシブ経済学シリーズ勝浦正樹・刈屋武昭「プログレッシブ 統計学 (第 2版)」の目次

1章 経済の統計学とその役割 8章 離散的確率分布2章 データについての理解 9章 連続的確率分布と正規分布3章 度数分布とローレンツ曲線   10章 標本抽出と標本分布4章 データの代表値 11章 母集団のパラメータの推定5章 散らばりの特性値 12章 仮説検定6章 基準化変量と歪度,尖度 13章 回帰分析の基礎7章 確率と確率変数 14章 母集団回帰モデル

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経済統計学の講義内容

経済データを重視した講義内容

少し傾向が変わったのは 1970年代からである.溝口敏行『経済統計論』(東洋経済新報社).次は経済データの読み方と簡単な分析方法に特化した教科書で,当時としては新しい試みであった.

中村・新家・美添・豊田『経済統計入門』(東京大学出版会, 1983)の「まえがき」(抜粋:執筆は中村隆英先生)

大学において社会科学を専攻する学生諸君が,統計学の入門課程を終えたあと,これを経済分析のために活用していく際の手引きの書物である.

本書の著者たちは,それぞれの職場で,経済統計の講義や演習を担当し,そのための適当なテキストが少ないという共通の感想を抱いてきた.データや分析手法を,経済の現実にどう結びつけるかは,初心者にとっては面倒な課題である.それは教室の講義だけではだめで,試行錯誤の積み重ねを経てホンモノになるのだが,それにしても,そのための入門書にあたるものがあった方がよいであろう.

(溝口氏の著書の出版から 10年以上経っていた)

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経済統計学の講義内容

「経済統計入門」目次

初版 第 2版序章 経済統計を学ぶにあたって 序章 経済統計を学ぶにあたって第 I章 センサス・データ 第 1章 センサス・データ第 II章 時系列データ 第 2章 標本調査第 III章 標本調査 第 3章 時系列データ第 IV章 人口と労働力 第 4章 指数第 V章 物価と指数 第 5章 人口と労働力第 VI章 賃金と労働市場 第 6章 賃金と労働市場第 VII章 家計と消費 第 7章 家計―所得と貯蓄・消費第 VIII章 景気と投資 第 8章 景気変動第 IX章 地域統計 第 9章 金融と国際収支第 X章 国民経済統計 第 10章 地域統計第 XI章 産業連関分析 第 11章 国民経済統計第 XII章 マクロデータの分析 第 12章 産業連関分析第 XIII章 連立方程式モデル 第 13章 計量経済分析入門第 XIV章 国際比較 第 14章 現代における経済統計の課題第 XV章 現代における経済統計の課題

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JINSE の設立と活動

統計教育大学間連携ネットワーク (JINSE)

文部科学省の平成 24年度「大学間連携共同教育推進事業」に申請した「データに基づく課題解決型人材育成に資する統計教育質保証」という取組が採択され,2012年 9月から取組を開始した.この事業は 8大学が連携して取り組んでいる 期間は平成 24年度から平成 28年度までの 5年間.東京大学,大阪大学,総合研究大学院大学,青山学院大学(代表校),多摩大学,立教大学,早稲田大学,同志社大学

連携学会および連携団体(ステークホルダー)6学会:応用統計学会,日本計算機統計学会,日本計量生物学会,日本行動計量学会,日本統計学会,日本分類学会8団体:大学入試センター,日本アクチュアリー会,日本科学技術連盟,日本銀行,日本経済団体連合会,日本製薬工業協会,日本統計協会,日本マーケティング・リサーチ協会

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JINSE の設立と活動 JINSE の活動

JINSE の活動

「統計教育大学間連携ネットワーク」を新たに組織して,課題解決型人材育成のための標準的なカリキュラムコンテンツと教授法を整備するという,申請書に記載した計画に沿って活動を開始した.

ネットワークの略称として Japanese Inter-university Network forStatistical Education (JINSE)を採用した.

取組の目的と取組

大学間連携ネットワークを通じて各大学の統計教育資源を有効に活用し,データに基づく科学的な思考力を増進させ,我が国の今後のイノベーションを担う課題解決型人材を育成する.マルチメディア教材の開発,実例に基づく効果的な教材の開発,学習段階に対応した達成度評価と社会の需要に対応した統計家の資格認定を計画するなど,いくつかの具体的な目標を設定して活動を行う.統計教育の質保証制度を確立する.

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JINSE の設立と活動 統計学分野の参照基準

統計学分野の参照基準—統計関連学会連合版

日本の大学には統計学部・統計学科という組織が存在していないため,日本学術会議に設置されている 30の分野別委員会の中にも学部等に対応する「統計学」という分野はない.

学術会議の各分野別委員会に所属する統計を専門とする研究者が集結して,統計学分野の参照基準を作成した.

統計関連学会連合は,そのための組織として適当であった.統計関連学会連合の 6学会:応用統計学会,日本計算機統計学会,日本計量生物学会,日本行動計量学会,日本統計学会,日本分類学会

「統計学分野の教育課程編成上の参照基準」は,統計関連学会連合統計教育推進委員会の各委員が分担して執筆し,教育体制の質を測るとともに学生の学習達成度を評価する指針として,田栗正章委員長(当時,大学入試センター参与)がとりまとめた.

JINSE の質保証員会によって,その改訂版が 2014年 9月に公開された.

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 8 / 32

JINSE の設立と活動 統計学分野の参照基準

統計学分野の参照基準:基本的な考え方

初等教育から高等教育に至るまでの統計教育を一貫して考え,そのために必要な教育システムを整備する.

各大学の教育課程編成に当たって,学生に求める価値観・倫理観や基本的な素養(知識・能力・スキル)を具体的に検討する際に参照されるべき基準

社会における各種の教育プログラムのデザインや,その実施・評価に関わる人々の役に立ててもらうため,統計学分野に関連する職業生活において必要とされる専門知識や倫理等の観点も視野に入れた.

統計学は分野横断的な性質を持ち,どの学術分野においても必須の知識となることから,統計学の専門課程だけでなく,統計学に関わりをもつ分野における参照基準を策定する.

統計調査や実験により収集された情報の保護についての倫理規定について,適切に教育される必要がある.

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JINSE の設立と活動 統計学分野の参照基準

統計学分野の参照基準:統計関連学会連合版目次

1. 統計学分野の教育課程編成上の参照基準策定に際しての基本的考え方

2. 統計学の様々な分野における参照基準の基礎となる統計学の考え方・ポイント

3. 統計学の各分野における教育課程編成上の参照基準について3.1 大学基礎科目としての統計教育の参照基準3.2 心理学・教育学分野における統計教育の参照基準3.3 経済学分野における統計教育の参照基準3.4 社会学分野における統計教育の参照基準3.5 経営学分野における統計教育の参照基準3.6 数理科学分野における統計教育の参照基準3.7 工学分野における統計教育の参照基準3.8 医学・薬学分野における統計教育の参照基準

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JINSE の設立と活動 JINSE の参照基準

統計学分野の参照基準—JINSE 改訂版目次

1 大学基礎科目としての統計教育の参照基準2 人文科学分野における統計教育の参照基準3 政治学分野における統計教育の参照基準4 社会学分野における統計教育の参照基準5 経済学分野における統計教育の参照基準6 経営学分野における統計教育の参照基準7 数理科学分野における統計教育の参照基準8 情報科学分野における統計教育の参照基準9 総合理工学分野における統計教育の参照基準10 品質管理分野における統計教育の参照基準11 生物科学分野における統計教育の参照基準12 医歯薬学分野における統計教育の参照基準

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 11 / 32

JINSE の設立と活動 JINSE の参照基準

講演の流れ

1 経済統計学の講義内容

2 JINSE の設立と活動JINSE の活動統計学分野の参照基準JINSE の参照基準統計学分野の参照基準(経済学)

3 青山学院大学経済学部の「経済統計学」

4 日本統計学会と統計検定,特に RSS/JSS経済統計の教材開発:今後の課題

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 12 / 32

JINSE の設立と活動 統計学分野の参照基準(経済学)

参照基準(経済学分野):分野の理念

経済学分野においては、刻々変化する経済の状況に関する情報を整理して、ミクロ・マクロの両面から経済社会を学ぶ必要がある。

そのため、経済学分野において、統計学は、経済理論と併せて主要な科目として位置づけられている。

なかでも、経済分析への応用を強調した統計的手法は「計量経済学」よばれる。そこには、過去と現在のデータから未来を予測しようとする経済時系列の統計分析もふくまれる。

ファイナンスにおいては、金融時系列データを用いて資産を選択し、リスクを評価・管理する必要から、計量ファイナンスが重要視される。

このように、経済学では、経済統計やその他のデータを基に、説明・予測のため統計学を用いた帰納法推論が重要である。実証分析を行うための演習や、分析のための統計学の数学的理論の学習も求められる。

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 13 / 32

JINSE の設立と活動 統計学分野の参照基準(経済学)

参照基準(経済学分野):到達目標(身に付けるべき知識・能力・スキル)

経済学分野においては、マクロ経済指標・金融時系列等における確率的変動を考慮したうえで、政策・景気判断・投資・経営に関連する意思決定、金融・保険におけるリスク管理・評価、などを適切に実行できる人材の育成が求められている。このような目標到達のためには、次のような能力が必要である。

経済データの活用と表現に関する能力

事象の確率的な構造を理解する能力

仮説を検証する能力

統計ソフトウェアを活用した大規模データを計量経済学的に分析する能力

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 14 / 32

JINSE の設立と活動 統計学分野の参照基準(経済学)

参照基準(経済学分野):各項目の内容

(1) 経済データの活用と表現に関する能力さまざまな経済データに関する知識を習得し、内容を理解した上で加工すれば、時空間的に複合的な視点から経済の現状を要約できる。公表されている統計の所在とその作成方法、利用方法に関する知識は、的確な経済分析の前提である。昨今では、公的統計の二次的な利用が拡大しつつある。さらには、データの活用能力とともに、情報倫理の徹底も必要不可欠な重要事項である。

(2) 事象の確率的な構造を理解する能力標本には確率的な変動がともなう。標本で観察されるデータから有意味な情報を抽出するには、推測統計の基本を理解しなければならない。さらに、経済データをもちいて経済理論に基づく仮説を検証し、経済を予測するためには、経済理論によって経済現象を統計モデルとして抽象化できる能力が必要となる。

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 15 / 32

JINSE の設立と活動 統計学分野の参照基準(経済学)

参照基準(経済学分野):各項目の内容

(3) 仮説を検証する能力統計的推測の基本理念に則って各種の仮説を検定できることが必要である。加えて、データの背後にある経済理論と統計モデルとの関係の理解、データに含まれる測定誤差が統計的推測に及ぼす影響の評価、統計データによる検証を通して新たに仮説を構想する能力、などが必要とされる。

(4) 統計ソフトウェアを活用した大規模データを計量経済学的に分析する能力ICTを活用して収集した大規模な経済データの計量経済学的分析は、統計ソフトウェアの利用が前提である。高度な分析には複雑な計算が必要である。ミクロデータなどを通した実習を重ねることによって、ソフトウェアの使い方に習熟する必要がある。各種商用ソフトウェアの利用はもとより、よりフレキシブルな分析を可能とするための、Rなどのフリーソフトによるプログラミング技術も必要となるであろう。

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 16 / 32

JINSE の設立と活動 統計学分野の参照基準(経済学)

参照基準(経済学分野):目標を達成するための教育内容・評価方法の例

(1) (a) 表現方法(必須):以下の記述統計学の方法をふくむ。度数分布(度数分布表、ヒストグラム、累積度数分布、分位点);中心の位置の尺度(算術平均、中央値、最頻値);バラツキの尺度(四分位範囲、分散・標準偏差);不均等度(Lorenz曲線、Gini係数);相関分析(散布図、共分散、相関係数);回帰分析(回帰直線、最小二乗法、偏相関係数、重回帰分析);時系列データの見方(時系列プロット、変化率、TCSIへの分解)

(b) 経済データの活用(選択可能):以下から選択する。SNAはなるべく含める。人口統計(国勢調査など);就業統計(労働力調査など);家計統計(家計調査など);余暇に関する統計(社会生活基本調査など);産業統計(経済センサスなど);企業活動に関する統計(企業活動基本調査など);賃金統計(賃金構造基本調査など);財政・金融(資金循環統計など);SNA統計;指数(消費者物価指数など)

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 17 / 32

JINSE の設立と活動 統計学分野の参照基準(経済学)

参照基準(経済学分野):目標を達成するための教育内容・評価方法の例

(2) 事象の確率的な構造を理解するための方法(必須):以下の推測統計学の方法をふくむ。

確率論の基礎(標本空間と事象、確率、条件付き確率、Bayesの定理);

確率変数と確率分布(確率密度関数、分布関数、期待値、分散、モーメント);

代表的な確率分布(二項分布、ポアソン分布、一様分布、正規分布、カイ二乗分布、t分布、F分布);

標本抽出(母集団と標本、母数と統計量、無作為抽出、統計量の標本分布、大数の法則、中心極限定理);

推定(点推定、不偏性、一致性、尤度関数、最尤法、区間推定、信頼区間、信頼係数);

検定(帰無仮説と対立仮説、2種類の過誤、有意水準、片側検定と両側検定、P値、二標本問題、適合度検定、分割表における独立性検定);

回帰モデル(回帰モデル、最小二乗法、回帰係数に関する検定、重回帰分析)

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 18 / 32

JINSE の設立と活動 統計学分野の参照基準(経済学)

参照基準(経済学分野):目標を達成するための教育内容・評価方法の例

(3) 仮説を検証する方法(選択可能)

(a) 計量経済学の基礎(学部レベル)単回帰モデル(回帰モデル、最小二乗法、回帰係数に関する検定);重回帰モデル(決定係数、多重共線性、ダミー変数、回帰係数の1次制約の検定);回帰モデルの発展(誤差項の系列相関、誤差項の不均一分散、一般化最小二乗法)

(b) 計量経済学の発展(大学院レベル)二項・多項回帰(ロジットモデル、プロビットモデル);時系列データのためのモデル(ARIMAモデル、単位根検定、共和分、Granger因果性);同時方程式モデル(構造方程式、誘導形、識別性、2段階最小二乗法);パネルデータのためのモデル(固定効果モデル、変量効果モデル、Hausman検定);切断のあるデータのためのモデル(Tobit モデル);ファイナンスのための統計モデル(GARCHモデルなど)

(4) 統計ソフトウェアを活用した大規模データの計量経済学

教育用ミクロデータを利用して、大規模なミクロデータの分析を経験する。ここでは、フリーソフトの Rや各種商用ソフトウェアの使用が不可欠となるため、それらの操作の方法ならびに結果の解釈法を学ぶ

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 19 / 32

JINSE の設立と活動 統計学分野の参照基準(経済学)

参照基準(経済学分野):[評価方法]

必須項目である 1.(a) は統計検定 3級に、1. (b) は統計検定 2級に対応する。

これらの標準的な学習内容の理解の確認には、統計検定を参考にした客観的なテストが適している。

計量経済学的な学習の評価には、ミクロデータ等を活用した、実際のデータにもとづく実証分析を評価の対象とすることが理想的である。それを可能とするためには、学部レベルの標準的な分析例を多数提示して、それを模倣する段階から始め、徐々に独自の分析へと進むように動機付ける工夫が必要となる。

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 20 / 32

JINSE の設立と活動 統計学分野の参照基準(経済学)

講演の流れ

1 経済統計学の講義内容

2 JINSE の設立と活動JINSE の活動統計学分野の参照基準JINSE の参照基準統計学分野の参照基準(経済学)

3 青山学院大学経済学部の「経済統計学」

4 日本統計学会と統計検定,特に RSS/JSS経済統計の教材開発:今後の課題

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 21 / 32

青山学院大学経済学部の「経済統計学」

経済学部の統計関連科目 (2014年度)

1 年次以上:

経済数学入門(半期 2単位),統計学概論 (1,2)(前期 2単位,後期 2単位)

2 年次以上:

経済数学 (1,2)(前期 2単位,後期 2単位)経済統計 (1,2)(前期 2単位,後期 2単位)計量経済学 (1,2)(前期 2単位,後期 2単位)

1 年次:

情報スキル I(2単位・必修)

2 年次以上:

情報処理 A(1,2)(前期 2単位,後期 2単位)情報処理 B(1,2)(前期 2単位,後期 2単位)

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 22 / 32

青山学院大学経済学部の「経済統計学」

2013年度講義計画(前期)

2013年度 経済統計 (I) 講義予定

月日  話  題 課題など4/ 8 序章,第 1章「センサス・データ」:経済の構造と統計,法人企業の例15 第 1章:(世帯と個人)国勢調査,産業と職業,住宅と土地,就業構造22 第 1章:(事業所と企業)事業所・企業,工業,商業,サービス業29 統計学の復習:確率,第 2章「標本調査」:基本的な方法 課題 (1)

5/13 第 2章「標本調査」:単純無作為抽出,その他の抽出方法,調査の設計20 第 2章:標本調査の実際,設問の設計,統計学の復習:相関と回帰27 第 3章「時系列データ」:基本的な見方 課題 (2)

6/ 3 統計 Quiz (I-1) (1, 2章の内容と統計学)6/10 第 3章:トレンドの計算方法,対数変換

17 第 4章「指数」:基本的な意味,価格指数と数量指数 課題 (3)24 第 4章:経済学と指数,指数の実際例

7/ 1 第 4章:その他の指数,CPI批判など,「日銀短観について」(石田先生)8 特別講義 「日本銀行の作成する統計について」

15 指数と経済成長,生産性の測定 課題 (4)22 統計 Quiz (I-2)

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 23 / 32

青山学院大学経済学部の「経済統計学」

2013年度講義計画(後期)

2013年度 経済統計 (II) 講義予定

月日  話  題 課題など9/30 第 5章「人口と労働力」:人口統計,静態と動態,死亡率,生命表など10/ 7 第 5章:経済活動と労働関連の人口概念,失業率,労働力率

14 第 6章「賃金と労働市場」:賃金の水準と構造21 統計 Quiz (II-1) (経済統計 (I)の水準と 5, 6章)28 第 7章「家計—所得と貯蓄・消費」:家計調査など 課題 (5,6)

11/11 第 7章「家計—所得と貯蓄・消費」:資産と所得18 第 8章「景気変動」:景気循環,内閣府の景気動向指数 (DI と CI) 課題 (7)25 第 8章:サーベイデータ,日銀短観などの景気予測調査

12/ 2 統計 Quiz (II-2) (5~8章)9 第 11章「国民経済計算」:SNAの構造 課題 (8)

16 第 11章「国民経済計算」:実質概念,第 12章「産業連関分析」:基礎と応用例23 日本銀行特別講義:経済統計を用いた景気判断

1/ 6 第 13章「計量経済分析入門」:消費関数・経済モデル20 統計 Quiz (II-3)(主に 11~13章)27 講義の総括, 経済統計の現代的課題 課題 (11–13)

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 24 / 32

青山学院大学経済学部の「経済統計学」

2014年度講義計画(前期)

2014年度 経済統計 (I) 講義予定月日  話  題 課題提出4/ 7 イントロダクション14 経済統計の基礎知識21 統計学の復習(1),構造統計(1)国勢調査28 構造統計(2)経済センサス

5/12 統計学の復習(2) 課題 (1)19 統計学の復習(3)26 標本調査による経済統計

6/ 2 小テスト (第 1回)9 統計学の復習(4),統計調査結果の活用

16 時系列データの分析(1) 課題 (2)23 時系列データの分析(2)

6/30 経済指数の理論(1) 課題 (3)7/ 7 経済指数の理論(2)14 指数バイアスの問題21 小テスト (第 2回) 課題 (4)28 定期試験は実施しない

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 25 / 32

青山学院大学経済学部の「経済統計学」

2014年度講義計画(後期)

2014年度 経済統計 (II) 講義予定

月日  話  題 課題など9/22 イントロダクション,人口と労働に関する統計(1) (第 5章)

29 人口と労働に関する統計(2) (第 5章)10/ 6 家計・消費に関する統計(1) (第 6章)

13 家計・消費に関する統計(2) (第 6章)20 企業に関する統計 課題 (1)提出27 景気変動と経済統計 (第 8章)

11/10 小テスト (1)17 金融統計 課題 (2)提出

12/ 1 地域経済分析と経済統計8 国民経済計算(1) (第 11章)

15 国民経済計算(2) 課題 (3)提出22 経済統計を用いた景気判断・予測の実際 (第 8章)

1/ 5 計量経済分析入門 (第 13章)19 日本銀行特別講義:国際収支統計 課題 (4)提出26 小テスト (2)

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 26 / 32

青山学院大学経済学部の「経済統計学」

経済統計講義スライド (2014年度)

余裕があれば,いくつかスライドを紹介する.

2014年度には,講義資料と動画を組み合わせた教材を作成した.

動画は,現時点では青山学院大学内だけで試験的に提供している.学習達成度評価には,統計検定の受検を強く勧めている.

3年生は,ほぼ全員が 3級に合格している.統計調査士は,理科系の学生の合格率は高くないが,経済統計履修者は,ほぼ確実に合格している.成績評価には,若干加点する形で反映した.2級の合格者も次第に増えている.成績評価には単位認定以上の加点を与えた.経済統計を履修した学部学生の中から,専門統計調査士の合格者も出ている.

RSS試験の経済統計の出題のような教材を作ることが目標である.

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 27 / 32

日本統計学会と統計検定,特に RSS/JSS

講演の流れ

1 経済統計学の講義内容

2 JINSE の設立と活動JINSE の活動統計学分野の参照基準JINSE の参照基準統計学分野の参照基準(経済学)

3 青山学院大学経済学部の「経済統計学」

4 日本統計学会と統計検定,特に RSS/JSS経済統計の教材開発:今後の課題

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 28 / 32

日本統計学会と統計検定,特に RSS/JSS

国際資格試験: RSS/JSS Exam (Higher Certificate)

2015年の Higher Certificate は 2014年 5月 24日(土),5月 25日(日)の 2日間,Graduate Diploma は 5月 23日(金)~ 5月 25日(日)の 3日間をかけて実施された.

Higher Certificate 日程 (M1 などはモジュール番号)2014年 5月 24日(土)

(M1) : データの収集と解釈(M2) : 確率モデル(M5) : 確率と統計的推測の発展的内容(M7) : 時系列と指数

2014年 5月 25日(日)(M3) : 基礎的な統計的方法(M4) : 線形モデル(M6) : 統計学の発展的応用(M8) : 調査のための抽出と推定

RSS/JSS 試験(2012/2014年 5月)の結果Module (M1) (M2) (M3) (M4) (M5) (M6) (M7) (M8)申込者 45/36 42/36 42/43 36/34 29/36 23/29 15/12 17/15合格者 31/23 29/18 13/14 14/ 7 13/10 12/ 4 0/ 1 7/ 1

合格率 (%) 86/79 78/60 39/44 50/35 48/40 63/21 0/13 50/10

2014年の申込者数および必要なモジュールに合格して Certificateを授与された受験者は,Higher Certificateが 237名中 5名,Graduate Diploma が 37名中 1名であった.

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 29 / 32

日本統計学会と統計検定,特に RSS/JSS

RSS/JSS 試験問題:モジュール 1「データの収集と解釈」問 2.

ある業者の遠隔教育のコースのうちの 1つは,開講してから 5年経過している.そのコースの生徒は,50箇所ある地域のうちのいずれか 1つにそれぞれ割り当てられる.そのうち 25箇所の地域にはそれぞれ 3人の教師が在籍していて,その地域の生徒は,3人のうちの 1人の教師に割り当てられる.17箇所の地域にはそれぞれ 2人の教師が在籍していて,生徒は2人のうちの 1人の教師に割り当てられる.残る 8箇所の地域にはそれぞれ 1人の教師がいて,生徒はその教師につく.各教師は 12人から 18人の生徒を受け持つ.この業者は,このコースに関して生徒がどのような意見を持っているか調査することを計画している.(a) (i) 層化抽出法と集落抽出法の相対的な長所・短所を述べなさい.これらの手法を用いて地域の標本を抽出する方法をそれぞれ提案しなさい.(ii) 抽出された地域から単純無作為抽出で生徒の標本が選ばれるものとする.乱数表を使ってこの標本を選ぶ方法を詳しく説明しなさい.(iii) 業者は,教師に,自分の受け持ちの中から生徒の標本を選び,選ばれた生徒に対して質問票を配布するよう依頼する.その方法として次の 2つが検討されている.1つは,コースの受講者名簿に登録された自分の生徒の中から単純無作為抽出で生徒を選び,それらの生徒に対して質問票を郵送する方法である.もう 1つは最終面接授業に出席した生徒の中から割当抽出によって生徒を選び,それらの生徒に対して質問票を渡す方法である.これら 2つの方法の相対的な長所・短所を述べなさい.(b) は省略する.

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 30 / 32

日本統計学会と統計検定,特に RSS/JSS

RSS/JSS 2012 年試験問題の紹介:モジュール 7「時系列と指数」問 4

数量指数の問題であり,次のような具体的な内容を尋ねている.

昨夜午前 0時に平和裏に独立を果たしたある国を考える.今日が国家統計局の業務第1日目である.統計局は今までのところ,データの収集も統計の公表も一切行っていない.あなたの任務は,この国の製造業部門によって生産された財の価格上昇を測定する新しい価格指数を構成することである.

指数は月次のラスパイレス価格指数で,年次の連鎖方式接続(chain-linking)を行うものでなければならない.財の 10大分類(国際的に定義されたもの)のそれぞれについての指数とともに,すべての製造品をカバーする総合指数が計算されなければならない.各基準時点は丸 1年とする.あなたはこの国のすべての企業が記載された基本商業登記簿を利用できる.各企業の項目を見れば,その企業の連絡先の詳細,従業員数,および産業分類が分かるが,その企業によって,どの具体的な財が生産されているかという情報は得られない.あなたはまた,国際産業分類と国際生産物分類も利用できる.

これを出発点として,限られた資源を用いて,あなたはどのように指数を構成し,作成するか述べなさい.

このモジュールでは,日本の受験者には合格者が出なかった.

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 31 / 32

日本統計学会と統計検定,特に RSS/JSS 経済統計の教材開発:今後の課題

経済統計の教材開発:今後の課題

JINSEの活動の一環として,経済統計教材の開発を継続する.

マルチメディア教材の開発実例に基づく効果的な教材の開発学習段階に対応した達成度評価の仕組みの構築客観的な達成度評価の枠組として,統計検定(3級,2級,統計調査士,専門統計調査士)を利用する.

JINSE の URL: http://www.jinse.jp/

Yasuto Yoshizoe (AGU Econ) 5 March 2015, Tokyo 32 / 32

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