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言葉の歴史にみる「女性語」の魅力
女性の言葉力を磨く
女性語事典
vol.1
女性ならではの魅力を演出する言葉の選び方や使い方が「女性語」です
本講座における女性語とは、単に語尾を「〜よね」「〜かしら」と言い換えるとい
ったような言葉の決まりやルールということだけではありません。女性らしさがよ
り伝わる言葉の選び方や使い方から、女性ならではの人間関係やコミュニティで役
立つ会話のテクニックまでを含めて女性語と定義して、さまざまな視点から解説し
ています。そのため、古くから使われている女性の言葉や、時代とともに変遷して
きた女性の言葉の歴史・言語学的な内容にはじまり、女性としての魅力を高めるた
めの言葉の選び方やその使い方といった実践的な部分まで、「女性語」に関わる多
彩な内容を盛り込みました。
相手が心地良く感じられる、女性らしい言葉づかいや話し方を学びます
ひと言で「女性らしさ」といっても、その感じ方は年代や性別によっても異なりま
す。言葉というのは時代や流行とともに変化するため、女性らしさを感じる言葉や
表現というのもまた移り変わっていきます。ただ、いつの時代でも女性らしい心く
ばりとして「相手にとって心地良い言葉」を選んで使うことはできます。本講座で
は、女性だからこそ使ってみるとプラスになる言葉の演出といった視点から、言葉
づかい・話し方などを学んでいきます。日常的なケースでどう言えば良いか、なぜ
そう言う方が良いのかについても解説していますので、「女性語」の意味や大切さ
もあわせて理解を進めてください。
マニュアルではない、自分なりの表現を身につけていきます
自分の内側から湧いてきた言葉というのは、必ず相手の心に伝わります。そのため、
言葉はマニュアルやルールではなく、自分なりに使いこなせることが一番大切です。
本講座で女性語を学びながら、豊かな表現力を身につけたり、相手の気持ちを考え
て言葉を選ぶといった気くばりなど、内面の輝きも増していけるような講座の構成
を目指しました。1巻、2巻、ワークと進むうちに、マニュアルでは語れない、相
手や状況に応じた微妙なニュアンスもつかめるようになるはずです。
この講座の特徴
1
2
3
1巻では、女性らしい言葉づかいを歴史の中に探ります
日本語には昔から女性が好んで使う「女性語」というものが
あります。そもそも女性語とはなにか、日本の社会や文化の
中でどのように育まれてきたのか。1巻では女性語をより広
く深く知るために、歴史の中に見られる日本女性ならではの
言葉づかいと、現代につながる使い方を探ります。
2巻では、女性語の具体的かつ効果的な活用法を学びます
2巻では、日常生活の中で効果的に使っていきたい女性語
の単語やフレーズを例に挙げ、具体的なシーンやケースとと
もに、それぞれの使い方を見ていきます。どんな場面でも相
手の気持ちを心地良くさせる言葉づかいや話し方をすること
で、女性としての魅力をよりいっそう高めていきます。
ワークでは、女性らしい表現を知識から実践につなげます
ビジネスやプライベートなど現代のさまざまなコミュニケー
ションシーンに合わせて、女性らしさが際立つ表現を実践的
に学べるワークを用意しました。TPOに応じて女性語を美
しくスマートに使いこなせる「現代版やまとなでしこ」を目
指して、自分らしい言葉力を磨いていきましょう。
この講座の進め方
1
2
3
わたくしが…
お誘いありがとうございます
ふだんなにげなく使っているけれど、ふとしたときに「大切だなあ」「きちんと
使わなければ」と思うもの、それが「言葉」ではないでしょうか。
たとえば先輩の急な仕事をサポートしたら、「ありがとう。あなたのおかげで本
当に助かったわ」と言われて、とてもうれしく思えた。またあるときは、緊張しな
がら出かけた彼の家で、お母さまから「今日はようこそお越しくださいました。お
会いできるのを心から楽しみにしておりましたのよ」と、真心こもった丁寧な言葉
をいただてほっとした、等々。
ちょっとした素敵な言葉づかいや、言葉に込められた思いやりの心が、人を喜ば
せたり心地良くさせる。それは自分が人から快い言葉を受け取ったときなどに、あ
らためて気づくものでもあります。
「近頃の若い女性の言葉は荒っぽくて……」などと、年長者が若者の言葉づかい
を指摘するのは今に始まったことではありませんが、「すげー」「ばっかじゃない」
といった言葉を大人の女性が口にするのは、さすがに聞いている側も快い思いはし
ないものです。
現代の女性は仕事をし、結婚や子育てもして、親戚や友人、地域とのおつきあい
も大切にして……と、いろいろな場面で多彩な人々とのコミュニケーションが求
められるだけに、言葉づかいや話し方にもTPOに応じた工夫が必要となります。
そんな中で、女性らしく丁寧で気づかいの感じられる言葉づかい、明るく落ち着い
た話し方といったものは好感度が高く、どんなときやどんなシーンにも適している
と言えます。
そこで本書では「女性語」をテーマに、仕事のみならず日常でも使える言葉と活
用術を、お伝えしていきます。1巻では「女性らしい言葉とはどういうものか」「女
性の言葉はそもそもどのように生まれたのか」といったことを学びます。その中で
は、歴史の中で日本の女性たち〜やまとなでしこ〜が使っていた言葉やエピソード
にも触れつつ、女性語を活用する手がかりを探っていきます。言葉づかいや話し方
に100点満点のゴールはありません。あなたらしい言葉をより魅力的に使えるこ
とを目指し、一緒に学習していきましょう。
は じ め に
C O N T E N T S
女性語事典女性の言葉力を磨く
Vol.1言葉の歴史に見る
「女性語」の魅力
【 Lesson 1 】 言葉はあなたの「人となり」を映し出す ‥‥‥‥10
【 Lesson 2 】 ふだん、こんな言葉づかいしていませんか? ‥‥12
【 Lesson 3 】 現代の女性の言葉づかいはどう見られている? ‥14
【 Lesson 4 】「女性語」ってどんなもの?‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥16
【 Lesson 5 】 女性ならではの言葉が生まれる理由 ‥‥‥‥‥‥18
第 1章のエクササイズ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥20
第 1章のまとめ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥22
はじめに‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5
【 Lesson 1 】 いにしえの女性は実名を明かさなかった ‥‥‥‥24
【 Lesson 2 】 恋のやりとりや創作に使われた「ひらがな」‥‥‥26
【 Lesson 3 】「お」をつけて丁寧、上品な言葉に‥‥‥‥‥‥‥28
【 Lesson 4 】 女房ことばの特徴――短縮、繰り返し、言い換え‥30
【 Lesson 5 】「わたくし」の始まり‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥32
【 Lesson 6 】 現代につながる特徴的な女性の言葉 ‥‥‥‥‥‥34
第2章のエクササイズ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥38
第2章のまとめ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥40
第 1 章 魅力的な言葉ってどんなもの?
第 2 章 女性の言葉をめぐる歴史とエピソード
【 Lesson 1 】 話し方は「小声でゆっくり」が昔から好まれた ‥42
【 Lesson 2 】 品が良く聞こえる効果的な「〜よ」「〜ね」 ‥‥‥46
【 Lesson 3 】 テレビドラマに見る女性の言葉 ‥‥‥‥‥‥‥‥48
【 Lesson 4 】 女性ファッション誌に見る現代の女性語 ‥‥‥‥50
第3章のエクササイズ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥52
第3章のまとめ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥54
【 Lesson 1 】 女性の言葉は「丁寧」が基本 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥56
【 Lesson 2 】 相手が心地良く感じる言葉を選んで使う ‥‥‥‥58
【 Lesson 3 】 響きの良い声や豊かな表情も大切なポイントに ‥60
【 Lesson 4 】 あなたの話しぶりを総点検 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥62
【 Lesson 5 】 会話のドッヂボールにご用心 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥64
【 Lesson 6 】 相手を知るための「観察力」と「情報収集力」‥‥66
【 Lesson 7 】 言葉のセンスに磨きをかける ‥‥‥‥‥‥‥‥‥68
第4章のエクササイズ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥70
第4章のまとめ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥72
巻末 さっと使える女性語事典Ⅰ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥73
第 3 章 女性らしさが光る話し方と表現
第 4 章 女性語を使いこなすためのテクニック
学 習 の 進 め 方
学習スケジュールを立てましょう
テキストの学習をはじめる前に、講座全体の学習スケジュールと、各課の学習予定
日を決めましょう。各課の扉ページに、項目ごとに学習予定日を記入する欄があり
ますので、ここに記入しておきます。
各単元の学習を進めましょう
あらかじめ立てた学習スケジュールに沿って、無理のないペースで学習を行いまし
ょう。テキストは全4章で構成されています。それぞれの章に学習項目とエクササ
イズ、まとめを用意しています。各章で学んだことの理解度を深めるために、まと
めで内容を復習しましょう。
添削課題を提出しましょう
テキスト学習が終了したら、添削課題に取り組みます。すべての設問に解答し終わ
ったら、期日までに提出してください。
昨今、女性が使っている言葉は男女による違いが薄れて中性化していると言われます。また、年齢による使い分けもなくなりつつあるのではないでしょうか。しかし、こんな変化があるからこそ、ふとしたときに女性らしい言葉や表現を使えると、周囲の雰囲気を和ませたり、あなた自身の魅力を高めることにつながります。この章ではまず「女性語とはなにか?」ということをテーマに、言葉についての理解を深めていきます。
Lesson1
Lesson2
Lesson3
Lesson4
Lesson5
Lesson1 言葉はあなたの「人となり」を映し出す
Lesson2 ふだん、こんな言葉づかいしていませんか?
Lesson3 現代の女性の言葉づかいはどう見られている?
Lesson4 「女性語」ってどんなもの?
Lesson5 女性ならではの言葉が生まれる理由
言葉はあなたの「人となり」を映し出す
言葉づかいを変えると、印象も変わる
たとえばふだん後輩に用事を頼むとき、あなたはどんな言葉を使っていますか?
「これ、やっておいて!」「これ、やっておいてくれる?」
「これをお願いします」「これをお願いできますか?」
どんな言葉を用いるかは、自分と相手との関係性やその時々の状況にもよりますが、気
さくな感じで話しかけるのと、丁寧な言葉を用いて語りかけるのとでは、同じお願いする
場面でも、ずいぶん印象が違ってきます。
このように言葉はTPO(時、場所、状況)のみならず、その人のコミュニケーション
に対する考え方や暮らしてきた環境、人生観、知識、教養、経験などにも影響される点で、
人となりや心模様を映し出す鏡とも言えます。
女性向けのマナーの本などを見ると、「笑顔で明るく話しましょう」「プラスの言葉や美
しい言葉を使いましょう」「ゆったりとした口調で話しましょう」といったアドバイスが
よく書かれています。それはなぜなのでしょうか。その理由は、明るい雰囲気や美しい言
葉、ゆったりとした口調で話すことが、その言葉を受け取る人々を心地良くしたり、あな
た自身の印象を良くする効果があるからなのです。
丁寧な言葉を使える女性は、礼儀正しく配慮の行き届いた印象に映ります。また、言葉
づかいに思いやりがにじみ出ている人は、きっと相手の気持ちを考えられる人なのだろう
と感じられます。逆に、とげのある言葉や意地悪な言葉をぞんざいに使っている人は、周
囲から見てもったいない感じに映るだけではなく、心が荒れているイメージを与えかねま
せん。雑な言葉を使うことでせっかくの優しい気持ちも薄らぎ、行動や振る舞いも雑なの
だろうという印象すら持たれるかもしれません。
ですから、ふだんの言葉づかいを振り返る機会を持ち、より良い言葉を取り入れてみる
ことが大切です。とは言っても、厳しいマナーやプロコトルを身につけるということでは
ありません。日頃、無意識に使っている言葉に対して、今よりほんの少し意識的になって、
自分や相手にとって心地良い言葉を選ぶようにしてみる。それだけでも印象がずいぶん変
わってくるはずです。
「言葉」は日常生活に不可欠なツールであり、ふだんの会話では何気なく無意識に使っていることが多いものです。しかしあなたの思いや考えを適切に伝えるには、意識して使ったり言葉を選んでいくことが大切です。ここでは、まず「言葉」について考えてみましょう。
学習実施日 / /
【第1章】魅力的な言葉ってどんなもの?
言葉づかいは一夜漬けでは身につかない
日頃から言葉に気をつけている人でも、「つい」「うっかり」ということがあるようです。
たとえば、会社では日々きちんとした言葉を使うように気をつけていたのに、周囲に誰も
いないと思って「ヤバ! 違っちゃった。シカトでいっか」と、ひとり言を呟いたら後ろ
に課長がいた…、といったケースです。
時代によってたくさんの流行語が生まれているため、友達や仲間うちでは気さくに流行
りの言葉を使うこともあるでしょう。特に「ヤバ」「シカト」などは、男女を問わず日常
化した言葉なので、女性でも一度も使ったことのない人を探すほうが難しいかもしれませ
ん。しかし、これらの言葉を公式の場や、言葉に厳格な方や上の世代の方の前で口にした
らどうでしょうか。残念ながら、品性や教養に欠ける女性と思われても致し方ないと言え
ます。
そもそも、「ヤバ」は「具合が悪い」という意味で使われた盗人たちの世界の隠語、「シ
カト」は花札で十点札の鹿がソッポを向いていることから、「鹿しか
十とお
」で「無視する」こと
を意味したと言われています。いずれも語源をたどると、ごく一部の世界で使われていた
符ふちょう
牒(ある一定の仲間内だけで使う言葉)や隠語で、一般的な言葉ではなかったのです。
すべての言葉の本来の意味を知って使うことは不可能ですが、一般的に使うと好ましい
とされない言葉ほど、うっかり口からこぼれ出たらマイナスの印象を与えることが多いの
で、気をつけたいものです。口にしたり耳にしたときに荒い印象に感じる言葉は、最低限
使わないようにする。それが女性として品格ある言葉づかいを身につける第一歩です。
言葉づかいはダイエットや英会話などと同様、にわかじこみで効果が得られるものでは
なく、日頃の積み重ねが肝心です。より素敵で魅力的な女性にステップアップしていくた
めにも、ふだんから好感度の高い言葉を選んで使うようにしましょう。
日々の自分の言葉づかいを、意識することから始める。
口にしたとき荒かったり乱暴に感じる言葉は、最低限、あなたの言葉事典から削
除すること。
当たり前に使っている若者言葉には注意
毎年冬に発表される「新語・流行語大賞」は、その年の世相を象徴する言葉を選ぶ恒例
のイベントです。「いいね!」(2012 年)、「こだまでしょうか」(2011 年)、「いい質問です
ねぇ」(2010 年)などなど、その年の賞を獲得する言葉は、一時的であろうと全国の幅広
い年齢層に浸透した言葉と言えます。
流行語の中にはもちろん、若者たちがふだん仲間うちで使っている「若者ことば」も含
まれます。たとえば、一時期流行した「あげぽよ」「リア充」「ガチで」「盛る」などの言
葉は 10 代の中高校生たちが最初に使い始め、マスコミで取り上げられるなどして若者た
ちの間に急速に広まり、やがて世間に知られるというプロセスをたどりました。40、50
代のおじさまたちが知る頃には、使い始めた若者たちの間では死語化しているという場合
も多いのですが、そうした言葉の中にはほかの世代へも広く浸透して、結果的に長く使わ
れていく言葉もあります。ここではそうした言葉の一部から、女性語を意識するうえで控
えておきたいNG言葉を少し取り上げてみましょう。
「キモい」「きしょい」
「キモい」は「気持ちが悪い」を若干やわらかめにしたニュアンスで、「きしょい」は「気
色が悪い」という意味を半ば親しみをこめて表現した言葉です。いずれも世の中に定着し
た感があり、女性が使う頻度も多くなっているようです。あまり親密でない上司が自分た
ちの話題に急に入ってきて、「きしょい」と感じる感性もわからなくはないのですが、相
手への敬意が必要な場面での「キモい」「きしょい」の使用はNGです。
「ばっかじゃない」「あほじゃん」
「ばっかじゃない」「あほじゃん」ともに、ちょっとした人の失敗に間髪入れず飛び出る
言葉ですが、他者に対する「ばか」「あほ」は、本来、相手をおとしめる意図があると受
け取られる言葉であるため、けんかになることも覚悟しなければなりません。これらの言
葉を軽い気持ちで使わないように習慣づけましょう。「ばっかじゃない」「あほじゃん」に
テレビのバラエティ番組や一般向けの広告などでは多少許されても、ビジネスではもちろん、プライベートでも大人の女性が使うにはふさわしくない言葉があります。みんなも使うからと軽い気持ちで使っている言葉や、流行語のように感覚的にフィットする言葉こそ要注意です。
ふだん、こんな言葉づかいしていませんか?
学習実施日 / /
【第1章】魅力的な言葉ってどんなもの?
変わる言葉のひとつは「大丈夫ですか?」です。ただし、年上の人が年下の人に対して「ば
っかだなあ」などと言うのは、親しみや応援の思いが込められていることもあるので、こ
こに挙げたケースとはややニュアンスが異なります。
「うざい」「うぜー」
言葉づかいが悪いという範囲を越えて、品性を欠いて性格が悪く見えてしまい、使うと
損をしてしまう言葉です。胸のうちで「うざい」と感じてしまったときは、そう感じた自
分の感情を静かに振り返り、せめて「めんどう」「うっとうしい」「うんざり」といった別
の言葉に置き換えてみましょう。「うざい」というひと言で自分の気持ちを決めつけるより、
より適切な言葉にして表したほうが対処する方法も浮かびやすくなるはずです。
「しょーじき」「しょーじき言って」
とくに昨今、社会で使用頻度が増えている言葉です。「しょーじき」は別段、正直とい
うわけでもなく、たいてい話の内容はただの報告だったり、口癖で付け加えている場合が
多いようです。それだけに会話の中でも乱発してしまうと相手の気にさわり、不快な印象
を与えてしまうこともあります。
ただし、「◯◯の件、大変でしたね」などと相手から言われて「ありがとうございます。
正直言って何日か徹夜もしたのですが、スタッフと力を合わせて解決しました」と返すの
は、「正直言って」を上手に活用できている良い例です。「正直言って」の真意は「あなた
だから私の本音を申しますが」ということです。意識して、適切な場面で効果的に使いま
しょう。
ふだん使っている言葉に、相手に不快な思いをさせたり失礼な印象がないか、気
をつける。
一般的になった流行語も、別の好感度の高い言葉に言い換えてみる。
他にもあります!みんなが気になっている言葉全然いい っていうか 〜じゃないですか ですよね〜 間違ってるっぽい マジビミョー さくっと はい? わけわかんない わかってますけど お言葉ですけど〜的には 〜みたいな 超〇〇なんですけど ぶっちゃけ などなど……
現代の女性の言葉づかいはどう見られている?
人の印象は自分が思うのと他人の見方との間にギャップがあるものですが、言葉も同様に、言葉の受け取り方や気になるポイントがそれぞれ違うものです。ここでは20代の男女が現代の女性の言葉づかいをどうとらえているか、ちょっと面白いデータを見てみましょう。
男性は女性の言葉を「長くてくどい」と見ている
ある大学の先生が 20 代の男女を対象に、面白い研究をした結果があります。「男性語、
女性語の存在をどう思うか」ということを男女それぞれに尋ねたところ、「それぞれ特徴
があって良い」と答えた人が、男女ともに約 6割を占めました。逆に「区別がなくても良
い」と答えた人は男女ともに1割弱で、多くの人が男性と女性の言葉になんらかの違いが
あり、それを好意的にとらえているということがわかりました(図1、2)。
さらに男性に対して「女性の言葉づかいや話し方の特徴は、どんなものだと思います
か?」と尋ねたところ、「話が長い」「回りくどい」「自分だけが一方的にしゃべる」「驚きや
笑いが入る」といった回答が上位を占めました。「話が長い」という項目には「話し出すと
きりがない」「休むことなく話し続ける」「話題に関連性がなく長く続く」「とりとめのない
ことを長々と話している」など、女性がドキッとする意見も多く出たようです。男性は女性
が思っている以上に、女性の話し方や言葉の使い方のマイナス面のほうを気にしているの
かもしれません。(図3)
美しい言葉を使いたいけれど現実は…
一方、女性には「女性の言葉はどうあるのが望ましいでしょうか?」と質問したところ、
「丁寧」「やさしい」「上品」「美しい」という意見が上位を占めました(図4)。また別の
質問で「自分たちの言葉について反省するところがありますか?」と投げかけたところ、「略
語が多い」「きたない」「敬語が使えない」「がさつ、下品、乱暴である」などの答えがあ
りました(図5)。
このふたつの調査から「きれいな言葉づかいをしたいという理想はあるけれど、実際に
はそうでないラフな言葉づかいをしている」と、女性たちが感じていることがうかがえま
す。調査の回答はほんの一例ではあるものの、女性の自然な感情として、きれいな言葉づ
かいをしたいと考えている、と言えるのではないでしょうか。
また、これほどいろいろな意見が出てくる、という点も注目できます。それだけ言葉を
学習実施日 / /
【第1章】魅力的な言葉ってどんなもの?
男性も女性も、言葉づかいに男女それぞれの特徴があって良いと感じている。
女性にとってきれいな言葉づかいは、心のどこかで理想的としているもののひとつ。
受け取る側の感性はさまざまだということです。自分の感覚やとらえ方だけで言葉を発す
るのではなく、どんな人にもプラスに感じてもらえるような言葉づかいを心がけていきた
いものです。
(図4)女性の言葉はどうあるのが
望ましいでしょうか?
(図3)女性の言葉の特徴はどんなものだと
思いますか?
(図1)男性語、女性語の存在をどう思うか(男性)
(図2)男性語、女性語の存在をどう思うか(女性)
(図5)自分たちの言葉について反省するところがありますか?
丁寧であり、乱暴な言葉はだめ 20.6%
話が長い44.3%
略語が多い20.7%
きたない16.8%
そのほか(ひそひそ話が多い、語尾を上げる、男と変わりなくなっている) 34.4%
それぞれ特徴があって良い、個性があって良いなど60%
それぞれ特徴があって良い、個性があって良いなど60%
どちらでも良い、気にならない15% どちらでも良い、
気にならない 10%
区別がなくても良い8%
その他22%
区別がなくても良い4%
その他12%
反省するところはない6.5%
そのほか(若者語を使う、表現が貧しい、正しい使い方ができないなど) 28.8%
敬語が使えない14.2%
がさつ、下品、乱暴である 13.0%
やさしい14.7%
上品11.8%
回りくどい8.2%
きれい、美しい10.3%
あるべきかたちはなくていい、どんなことばを使ってもいいなど 19.1%
そのほか(かわいらしい、他人に配慮、聞き苦しくないなど)18.4%
不快感を与えない 5.9%自分だけが一方
的にしゃべる 6.6%
驚きや笑いが入る6.6%
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