通信ネットワーク入門 (通信網の基本知識)ishiilab.net/~ishii/network15.pdf2...

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1

JT 石井啓之

特別講義

通信ネットワーク入門

(通信網の基本知識)

2

通信ネットワーク入門とインターネット入門

2つの授業は密接に関連しています 通信ネットワーク入門は、より一般的にネッ

トワークの基礎技術やインターネット以外のネットワークについて学びます

インターネット入門は主に「インターネット」に関係する内容を学びます

いずれも、通信ネットワーク工学科の学生として必須の内容を含んでいます

必ず双方とも受講するようにして下さい

第2回

3

1.通信ネットワークって何だ?

第2回

4

ネットワークとは

ネットワーク(大辞林より)① テレビ・ラジオで、番組を送り出す局を中心に、中

継回線によって結ばれた、全国的な放送局の組織。放送網。ネット。

② ある計画を遂行するために必要なすべての作業の相互関係を図式化したもの。コンピューターによる工程管理に利用される。

③ コンピュータネットワークのこと(象徴的)

net:網 - work:-の構造

つながり,関係とかの意味でよく使う

通信業界では,電気通信網のこと.単に網(モウ)とも言う.

第2回

5

通信網の巨大さ

月太陽

全ケーブル長(光速で3秒)

全回線長(光速で16.5分)

第2回

6

ケーブルの実物第2回

7

通信ネットワークの大きさ(国内)

インターネット利用者(9600万)

固定電話利用者(3000万)

携帯電話利用者(1億4千万)

第2回

8

固定通信と移動通信の加入契約数の推移

平成26年度情報通信白書より

第2回

9

解説

IP電話

従来の固定電話網設備ではなくインターネットあるいはそれに準じるネットワーク、すなわちパケット型(あとで勉強します)の情報転送(VoIPと言います)を行う「電話」サービスのこと

LINEの通話やSKYPEの通話や、050電話や、現在では0AB-J 電話までさまざま存在する。

第2回

10

解説

0AB-J IP電話:見かけ上今までの固定電話と同じ

アクセス回線を直接収容し、そのための設備を自前で用意する

固定電話並みの通話品質と安定性を確保する

電話番号と発信場所を対応させる

確実な番号需要に基づいた事業計画を提出する

加入電話を置き換える場合は、緊急通報に対応する

第2回

11

解説

050 IP電話

0AB-J方式のような強い縛りは無いIP電話

場所も動いてよい

品質もそれなり

警察消防にはかからない

たとえば、スマフォのSIMを通話できないデータ専用にして(安くして)、050の番号をもらって電話アプリを動かせば、事実上電話として使える

電話番号がいらないならLINE電話で?でもスマフォ使ってればその電話番号と紐ついてるね

第2回

12

インターネットの利用者数及び人口普及率の推移

平成25年度情報通信白書より

第2回

13

通信の歴史(松前重義「電気通信概論」より)

松前重義とは

東海大学創立者

1901年10月24日 - 1991年8月25日

無装荷ケーブル通信方式の発明者

発明特許収入をもとに本学の礎を作った

東京FMの始まりは、松前が作った東海大学の東海FM

日本の原子力行政の始まりにも大きく関与

第2回

14

通信の歴史(松前重義「電気通信概論」より)

無装荷ケーブルについて

第2回

送信 受信

ケーブルがコンデンサとして働く

昔、長距離ではコンデンサの容量が損失を招き(だんだん信号が小さくなってしまう:減衰)送信側の信号が受信側で検出できなくなっていた

1900年代の初めに、ピューピンの発案で、コンデンサの容量を打ち消すコイルを一定間隔で挿入して釣り合わせる装荷ケーブルが使われていた

装荷ケーブルは、高い周波数が通らない、信号がひずむなどの欠点があり、大容量の通信に使えなかった

15

通信の歴史(松前重義「電気通信概論」より)

無装荷ケーブルについて(つづき)

第2回

送信 受信

逆にコイルをはずしてしまおう(無装荷)。その代わり、信号が減衰して小さくなったら、増幅して大きくすればよいので、一定間隔に増幅器を入れよう

こうすると高い周波数が通るので、1つのケーブルでたくさんの信号をまとめて送ることができる(多重化)ようになった

つまり、搬送電話方式(1つのケーブルに複数の電話信号を多重化して効率的に情報を送る方式)の実用化が世界で初めてできた

増幅器

16

通信の歴史(松前重義「電気通信概論」より)

原始的通信(電気以前)

郵便・電話への道筋(文字・言語)

絵,絵文字

人と人の通信以外に自然への畏敬として(火や祈りなど)→宗教へ

文字と記録媒体(パピルスや羊皮紙)携帯して届ける(郵便),人馬の速度で迅速性に難

電信への道筋(記号・信号)

音声通信(大声,地面を叩くなど)

光(松明の中継,トロイからギリシャへ)伝搬内容に制限,中継誤りによる正確性に難

第2回

17

通信の歴史(松前重義「電気通信概論」より)

原始的通信(電気以前)

第2回

アゼルバイジャン バクー近郊 拝火教寺院(JICのwebより)

松明のイメージ(http://gejideji.exblog.jp/14165979/)

18

100年以上の電気通信の伝統

1834

1868

1876

第2回

19

電気通信技術の変遷:電信

電信(デジタルの元祖)

1822 電磁石の発明(ステュルジャン)

18世紀末から19世紀初めにかけて,電流と磁力の関係(エルステッド,アンペア),オームの法則(オーム),電磁誘導(ファラデー)など続々と発明,発見.それをベースに

1834 電信機の発明(モールス)

1869年には日本でもサービス開始

1895 無線電信の発明(マルコーニ)

第2回

20

電気通信技術の変遷:電話

電話(アナログの元祖) 1876 電話発明(ベル)→日本商用は1980

元々は高周波電信の研究の失敗によるその後,より遠くへ届けようと,裸電線がより太くなり高コスト化.

距離が伸びると,分布定数回路のため減衰が激しくなった(キルヒホフ,ヘビサイドの研究)

1889 自動交換機特許(ストロージャ)

1900 装荷ケーブル(ピューピン)インダクタンス付加による減衰の防御

搬送(多重化)に向かない,音質悪い

1932 無装荷ケーブルの発明(松前重義)電子管増幅による長距離伝送,搬送を可能とした

その後,同軸ケーブルにより飛躍的に搬送電話が発達

第2回

21

ネットワークがつながるとは?

郵便の例住所と氏名の宛先まで情報を届ける情報ネットワーク

宛先を決めるのが「アドレス」(機械が読む郵便番号と人間が読む住所/氏名)

第2回

22

ネットワークがつながるとは?

電話の例通話要求者と電話番号の宛先との通話を実現する情報ネットワーク

宛先を決めるのが「電話番号」:これもアドレス

第2回

23

ネットワークがつながるとは?

インターネットの例送信者と受信者の間の通信を実現する情報ネットワーク

宛先を決めるのが「アドレス」

第2回

24

2.ネットワーク関連基本技術

第3回

25

通信網で扱う信号について

第3回

26

信号とは

信号とは情報を伝えるために用いられる量

離れた二者以上の者の間において、定められた符号によって互いに意思を通ずる方法。色・形・光や、音・電波などによる方法が用いられる。合図。シグナル。

音声・画像・データを送受信可能なように、電気的波形としたもの。電気信号。

第3回

27

信号とは

情報伝達に用いられる物理量の変化

通常は時間の関数

信号の分類

tf

信号の値

時刻連続量

連続

離散

離散量

第3回

28

(通信網で転送する)情報形式アナログとデジタル

音声,画像等

数字,記号コンピュータファクシミリ信号等

1

0

アナログ信号

デジタル信号(前ページの値を0と1の2値にするのが一般的)

時間的、値的に連続量

時間的、値的に離散的量

第3回

29

デジタル化のメリット

アナログ信号

雑音が付加

復元不可能

送信

伝送路

受信

雑音に強い

デジタル信号

復元可能

雑音が付加

識別レベル

識別時間

第3回

30

信号を表す単位(アナログ)

周波数(Hz:ヘルツ)

周波数 f:単位時間内に何回同じことを繰り返すか

地球の公転周期は約1年(同じ位置に戻る,円を一周する)

周期 T:同じことを繰り返す最小の時間幅

周波数の逆数 f=1/T

第3回

31

信号を表す単位(アナログ)

左のような信号は右のような複数の正弦波(sin関数)の集合体:一般に普通のアナログ信号は、いろいろな周波数を成分としてもっている

第3回

32

信号を表す単位(アナログ)

時間軸の信号を、どういった周波数の成分をもっているのかという考え方で表すことができる(時間軸の周波数軸への変換)

時間軸

周波数軸(Hz)

f 2f 3f 4f

どんな周波数(音の高さ)の成分がどれくらいの強さで存在するか。これを周波数スペクトルという

第3回

33

信号を表す単位(デジタル)

ビット(bit)

2つから1つを選んだ結果得られる情報量

デジタル信号の1や0のパルスの数

1Mb/s とは、1秒間に100万個のビットが運ばれる

アナログ信号をどのようにデジタル信号に変換するかは後で学ぶ

1 11 1 1 010000

1秒(6 bit/sec)

第3回

34

信号を表す単位(デジタル)

バイト(byte)

8ビットの2進数をセットで1バイトと呼ぶ

英語アルファベットは26文字(大文字と小文字で倍)、数字は10種類、+や-の記号などを全部で256種類表現すると28、すなわち8ビットの情報となる。

このことから、コンピュータは8ビット=1バイトをひとつの単位として扱うことが多い

8つのビットの集合を通信ではオクテットと言うこともある

第3回

35

その他の情報の表し方

103:k(キロ)

106:M(メガ)

109:G(ギガ)

1012:T(テラ)

10-3:m(ミリ)

10-6:μ(マイクロ)

10-9:n(ナノ)

10-12:p(ピコ)

第3回

36

2進数

10進数は、0から9の数字で表現する。

2進数は、0と1のみで表現する デジタル信号と親和性が高い

信号がある(1)と無い(0)

コンピュータで扱いやすい

電圧がある(1)と無い(0)

第3回

37

通信ネットワークの形態

第4回

38

ネットワークの構成要素

ノードとリンク

ノード(交換機やルータ)

リンク(伝送路)

第4回

39

基本となるネットワーク形態

総リンク数(n:ノード数)

特 徴

網の構成

:ノード

:リンク

スター網

n - 1

・中継機能を持つノードを介して通信

・リンク数最小・経路は一つ

n

・すべてのノードが中継機能を持つ

・リンク数少ない・経路は二つ

ループ(リング)網

n(n-1)/2

・すべてのノード間に直接つながるリンクがある

・リンク数最大・経路が多い

メッシュ網

第4回

40

大規模通信網

リンクノードとリンクから構成される通信網( , は各階層で中心となる局)

第3層

第2層

第1層

メッシュ

スター

第4回

41

演習

網形態を

書き入れよ

網形態の名前

総リンク数

特徴

スター網 ループ(リング)網メッシュ網

下図に、3つのネットワークの基本形態を記入し、以下に説明せよ

第4回

42

伝送方式

ノード(PCやルータや交換機など)からとなりのノードへ情報を送るとき、ノード同士を結ぶリンク(伝送路)上に情報を流し込む方法のこと

第4回

43

変調(modulation)

変調

目的:情報伝送するのに,そのままの形では伝送できない場合やそのままの周波数帯域(基底帯域周波数やベースバンドという)から高い周波数に移動させたい場合に用いる

なぜ必要か

平衡ケーブル:直流から数百kHz

同軸ケーブル:直流から1GHz

光ケーブル:光の周波数(数Mから数十G)

通らない,無駄

音声のベースバンドは電話網では4kHz

第4回

44

変調

アナログ変調:アナログ信号のアナログでの変調

AM(振幅変調), FM(周波数変調), PM(位相変調)

パルス変調:アナログ信号のパルスでの変調

PAM, PWM, PPMなどのアナログパルス変調(アナログの振幅値を振幅,パルス幅,パルス位置でアナログに表現)

PCMなどのデジタルパルス変調(振幅も量子化・ディジタル化し,さらに符号化)

デジタル変調:デジタル信号のアナログ変調

変調しない基底帯域ディジタル通信方式

ASKやPSK,ADSLも仲間(ディジタル基底帯域信号をアナログ信号で変調)

第4回

45

アナログ変調

アナログ変調:アナログ信号をアナログ搬送波によって変調する.

搬送波(キャリア Carrier):情報信号を載せる(情報信号に応じてあるパラメータを変化させる)基準信号

)sin( cccc tVtv cc f 2但し

第4回

46

アナログ変調の種類

振幅変調(AM: Amplitute Modulation)搬送波の振幅 を情報信号(基底帯域信号)に従い変化させる

周波数変調(FM: Frequency Modulation)搬送波の周波数 を変化させる

位相変調(PM: Phase Modulation)搬送波の位相 を変化させる

cV

c

cf

)sin( cccc tVtv cc f 2但し

第4回

47

例:振幅変調(AM)

正弦波の搬送波とすると tVtv ccc sin

振幅変調(AM: Amplitute Modulation)

搬送波の振幅Vcを情報信号s(t)(基底帯域信号)に従い変化させる

cc f 2

ttskVtf ccAM sin振幅変調信号

tskVtV cc

第4回

48

振幅変調(AM)

t

s(t)

t

tskVc

)( tskVc

包絡線:情報信号に相似

tfAM

第4回

49

パルス変調

アナログパルス変調

時間位置:離散,値:連続

デジタルパルス変調

時間も値も離散,さらに値を0と1の2値にするのをパルス符号変調

いずれもアナログ信号のデジタル化

第5回

50

アナログパルス変調

標本化された信号の値(アナログ値)をパルスの振幅,幅,位置に変換する パルス振幅変調(PAM:Pulse Amplitude Mod.)

パルス幅変調(PWM:Pulse Width Mod.)

パルス位置変調(PPM:Pulse Position Mod.)

1 6 4.5 2 4 8.2

1 6

1 6 4.5 2 4 8.2

4.5 2 4 8.2

1 6 4.5 2 4 8.2

第5回

51

デジタルパルス変調パルス符号変調(PCM)

アナログパルス変調は,歪みに弱い,パルスがなまって相互干渉する

値もディジタルにしよう(量子化)

さらに値を0と1だけにして符号として表そう(PCM:Pulse Code Modulation)

PCMは音声のデジタル通信網の中心技術となっている

第5回

52

PCMの流れ

標本化 量子化 符号化

復号 平滑化

伝送路

送信側

受信側

第5回

53

アナログ情報の標本化

s(t)

h(t)

s*(t)

原信号

標本化パルス列

標本化された信号(PAM)

標本化:元の信号を時間的に離散化すること

標本化パルスの周波数は原信号の最高周波数(帯域)の2倍:標本化定理

第5回

54

標本化定理

信号の最高周波数(帯域幅)がB[Hz]に制限されているとき,2B以上の標本化周波数(間隔Tsが1/2B以下)で標本化すると,元の信号を完全に再生できる

Tsの最大値=1/2B:ナイキスト間隔

第5回

55

標本化定理2

s*(t)=s(t)・h(t)

s(t)

h(t)

s*(t)

原信号

標本化パルス列

標本化された信号

h(t)=Σδ(t-nTs)

δ(t)=∞ t=0

0 t≠0

ω

S(ω)

2πB-2πB

ω

H(ω)

ωs

=2π/Ts

-ωs 2ωs

ω

S*(ω)

ωs

=2π/Ts

-ωs 2ωs

S*(ω)=1/TsΣS(ω-nωs)

ωs

ωs

フーリエ変換

B[Hz]以下

第5回

56

標本化定理3

S*(ω)

ωs=2π/Ts

ならば,すなわち

sTB

2

2

12

BTs

2

1 ならば,元の信号を取り出せる

2πB

正しく取り出せない例

第5回

57

量子化

s*(t)

標本化されたs*(t)は,PAM(パルス振幅変調)信号時間方向はデジタル信号振幅方向はアナログ信号

量子化:PAM波の振幅のアナログ値をデジタル化

量子

化ス

テッ

プ数

0

5

10

量子化誤差(量子化雑音)

できるだけ,標準化ステップ数を大きくとれば量子化誤差は小さくなるが,情報量が増えてしまう

電話では256ステップ(28)としている

cf:音楽CDでは65,536ステップ(216)

第5回

58

符号化

量子化された信号は,2進数で表現→0と1ですべての信号を表現できる

0:(電圧が)無い1:(電圧が)ある

符号化された信号は,時間方向にも振幅方向にもディジタル信号となる

量子

化ス

テッ

プ数

0

5

10

5=

0101

8=

1000

8=

1000

4=

0100

4=

0100

5=

0101

7=

0111

9=

1001

この例では4ビットコーディングとなっているが電話網では8ビットコーディングする

第5回

59

PCMの伝送容量

電話の場合

帯域:0.3~3.4kHz なので、最大帯域を4kHzと考え、標本化周波数=8kHzとし,量子化を256階段(28ステップ)とした

標本化周波数×量子化ステップ数の2進数桁数=8千(回/秒)×8=64千個/秒(kilo bits per second)=64kb/sec →通信網の基本単位となった

第5回

60

例題

音楽信号の帯域幅を22kHzとするとき,CD1分間に記録される音楽情報の大きさを求めよ.ただし,量子化ステップは216(16ビット符号化)とする

次のPAM波を8ステップ(3ビット符号化)で量子化して,おのおのの量子化された標本信号を2進数で表現せよ(PAM波の大きさを小数点以下切り捨てるとする)

0

7

第5回

61

デジタル変調

デジタル信号元々ディジタル:記号,文字(ASCII,JIS)等

元はアナログをディジタル化した情報:PCM

デジタル信号をどうやって通信路で送る

そのままパルスを通信路に送り出す

基底帯域通信(ベースバンド通信)

変調する

デジタル変調通信

第6回

62

ディジタル基底帯域通信

ディジタル信号の1,0をそのままパルスに対応させて送る(短距離のみ)

対応のさせ方

伝送路符号:伝送路上のパルス信号

伝送路符号の要求条件

① 直流成分が少ない

② 同期がとりやすい

③ 帯域幅が小さい

第6回

63

伝送符号

要求条件1(直流平衡)

送信 受信

線路がコンデンサとして働く

送信側の電圧差が受信側で検出できなくなる

平均すると+ーで平衡することが必要

送信 受信

発振器が独立。一致出来ない

000や111が続いても相手がどんな速度で送っているかが分かる必要がある

要求条件2(同期がとりやすい)

要求条件3(帯域は大きくしない:符号変化を少なく:2と矛盾)

第6回

64

直流平衡の問題

長い針金線路はそれ自身コンデンサとなる

どちらかの状態に長く留まると電荷がたまる

電荷がたまると波形が歪む

DCバランスをとると

受信側でレベル制御容易

受信増幅度の調整が容易

波形等価が容易

第6回

65

受信側で送信側のパルス送出速度を知る必要がある

1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0

これでは同期がとれない

同期のとりやすさ第6回

66

デジタル基底帯域通信

ディジタル信号の1,0を伝送路上でパルス(1か0)に対応させて送る

対応のさせ方

伝送路符号:伝送路上のパルス信号

1 11 1 1 010000

送りたいデジタル信号

1 11 1 1 010000

伝送路符号化

第6回

67

伝送路符号化

ユニポーラ(NRZ)

ユニポーラ(RZ)

ダイポーラ(NRZ)1:+,0:-

ダイポーラ(RZ) 1:+,0:-

AMI:1が+と-を繰り返す

NRZI:0が来ると正負変化

マンチェスタ0:+→-1:-→+

1 0 1 1 0 0 0 01

CMI0:-→+

1:--と++が交互

第6回

68

ディジタル変調

ディジタル波の0と1を搬送波の振幅,周波数,位相に対応させる変調方式

ASK(Amplitude Shift Keying)

FSK(Frequency SK)

PSK(Phase SK)

tfASK

 tA ccos 1に対応

0 0に対応

tfFSK

ctA 11cos  

ctA 22cos  

tfPSK tA ccos

)cos(  tA c 1に対応

0に対応

1に対応

0に対応

0 1 1 0 1

第6回

69

変調の使い方

ADSL

モデム

デジタル変調信号(アナログ)

ADSL

モデム

デジタル信号(光)

光終端

光ファイバー

ネットワーク

(

すべてデジタル信号)

デジタル信号(電気)

光終端

デジタル信号(電気)

電気-光変換

デジタルパルス変調

デジタル信号(電気)

デジタル復調電話加入者線

光-電気変換

音波

電話加入者線

アナログ信号

音波

マイク

アナログ信号

CODEC

デジタル信号

デジタル変復調

デジタル変調波

無線区間

携帯端末

基地局

電話交換機CODEC

デジタルパルス変調

ルータ

ルータ

デジタル信号(電気)

デジタル変調

第6回

70

多重化通信方式

多重化通信方式一つの伝送路を複数の信号が同時に利用して,伝送路を効率よく利用する技術

周波数分割多重(FDM: Frequency Division Multiplexing)アナログ変調を利用して,各信号の周波数帯域が重ならないようにずらして多重

時分割多重(TDM: Time D.M.)パルス変調のパルス送出時間をずらして多重

符号分割多重(Code D.M.)スペクトル拡散を利用した多重

FDM周波数

時間

TDM周波数

時間

第6回

71

周波数分割多重 FDM

信号si(t)(最大帯域B[Hz])のSSB搬送波fiを かつ

となるよう設定すると,同一周波数を有する原信号は,異なる周波数チャネルに振り分けられ,互いに干渉することなく伝送される

1 ii ff

ii ffB 1

第6回

72

時分割多重(TDM)

①①①①

時間幅T

時間幅T

②②②②

第6回

73

例題

伝送速度1.544Mb/s ,1フレームに193ビットを有するチャネルを4つ多重し,多重したフレームにフレームビットを17ビット付加する.このときの多重化伝送路の伝送速度(Mb/s)を求めよ

193bit/frame

ch1

ch2

ch3

ch4

ch1ch2ch3ch4 フレームビット

フレームは同じ時間幅T

T=193/(1.544×106)

=(193×4+17)/ (α×106)1.544Mb/s

αMb/s

第6回

74

第7回、第8回

7回:これまでの復習

8回:中間試験

75

交換方式

第9回

76

交換機の役割

(a) 交換機のないとき

(各加入者宅にスイッチが必要)

A 宅

B

C 宅

E

F 宅

D 宅

(b) 交換機を使用したとき

(交換局にスイッチを集約し,

シンプルな網構成となる)

A 宅

B

C 宅

E

F 宅

D 宅

交換局

第9回

77

交換方式の分類

回線交換 エンド・エンドに一定容量の通信路を確立し,通信中は情報の

有無に関わらず保持する

FDMやTDMの特定のスロットを通信前に予約し,通信終了まで保持する(回線という)

回線交換網では回線設定後はハードウェア処理で転送する

ストリーム型に適する(電話が代表)

第9回

78

電話網型(回線交換)通信

ひとつの通信に1本のパイプがあるので,誰にもじゃまされない

一旦つながれば,速度は一定値を保証(64kb/s) 電話には十分

第9回

79

昔の交換機

ステップバイステップ交換機

http://goo.gl/SYiosW

https://www.youtube.com/watch?v=mTbVQ9SXq40

クロスバー交換機

http://goo.gl/lv28Fx

http://goo.gl/N1iw01

http://goo.gl/UhRCzM

電話のつながる仕組み

http://goo.gl/ublZMh

第9回

80

交換方式の分類

パケット交換 情報はパケットと呼ばれるブロックに収納され,宛先ヘッダが

付加され,情報の発生するときにのみ通信路に送られる

パケット交換網ではノードでパケットを一旦蓄積し,宛先ヘッダをソフトウェアで解釈し,出方路を決定して転送する(一般にSF (Store and Forward)方式と呼ぶ)

バースト性のあるトラヒックに適する(コンピュータ通信:インターネットもパケット通信の一種)

第9回

81

交換方式の分類

パケット交換

A

B

C100 Mb/sEthernet

1.5 Mb/s

D E

統計的多重

入力速度より出力速度が遅いときここで待ち合わせる

AとBから出てくるパケットの順番は決まっていない.発生する頻度と順番で統計的に多重される(TDMとは異なる)

第9回

82

インターネット型(パケット交換)通信

黙っているとき,回線はほかのパケットが使える(少ない回線ですむかもしれない)

すいていたら,ひとりで回線をめいっぱい使って通信できる(

第9回

83

回線交換とパケット交換の考え方

C 市行

A 市行

B 町行

行き先の要求

に応じて専用

の道路を用意

する

(a) 回線交換の例入口 出口

C 市

A 市

B 町B 町

C 市

C 市行

A 市行

B 町行

一つの道路を

共同で利用し

行き先に応じ

て出口で振り

分ける

(b) パケット交換の例 入口 出口

C 市

A 市

B 町

第9回

84

回線交換とパケット交換の比較

回線交換 パケット交換

遅延時間

遅延時間回線接続

データ転送 データ転送

第9回

85

例題

各リンクにはTDMやFDMのn回線が含まれる

ホストAとBの間のエンド・エンドの接続は各リンクの中のひとつの回線を用いる

1 2

第9回

以下の条件でホストAからBに640kbの情報を送るには何秒かかるか 全てのリンクは1.536 Mbps

各リンクには毎秒24スロットのTDMを用いる(24チャネル多重)

エンド・エンドの回線を接続するのに0.5秒かかる

86

例題の回答

速度がRb/sの回線でLビットの情報を送るには L/R 秒かかる

640×103/64×103+0.5=10.5秒

1 2 3

1つの回線は1.536Mb/sの24分の1、すなわち64kb/s

データ転送10秒

回線接続0.5秒

第9回

87

パケット交換:store-and-forward(蓄積と転送)

速度がRb/sのリンクにLビットのパケットを送り出すには L/R 秒かかる

store and forward: 次のリンクに送出できるにはパケットの全てのビットを受信し終わってからである

右図で全体の遅延は3L/R

L = 7.5 Mbits

R = 1.5 Mbps

全体の遅延

= (7.5/1.5)×3=15 sec

R R R

L

5秒

5秒

5秒

第10回

88

パケット交換:store-and-forward(蓄積と転送)

7.5Mbitsのデータを1.5Mbitのパケットに分割して送ると全体の遅延はどうなるか?

7.5÷1.5=5 →5つのパケットに分けられる

1つ送るのは

1.5/1.5 = 1sec

1つ受け取ってすぐに次に送れる

L = 1.5 Mbits

R = 1.5 Mbps

全体の遅延

= (1.5/1.5)×5個+2sec=7sec

R R R

L

5秒 2秒

第10回

5秒

1秒

5秒

89

遅延時間

データ転送

遅延時間

データ転送

再確認:回線交換とパケット交換の比較

回線交換(エンド・エンドに回線がつながってるからデータは中継ノードを素

通り)

パケット交換(中継ノードはパケット全体を一度受信してから次に送る:すべてのデータを一つのパケットにした場合)

遅延時間

回線接続

データ転送

第10回

パケット交換(中継ノードはパケット1つずつを一度受信してから次に送る:データを5つのパケットに分割した場合)

90

パケット交換と回線交換の比較(効率)

ユーザがどれくらいデータを送っているかに関係する

回線交換では、データを出す・出さないに関係なく、一定の伝送容量を確保する

パケット交換はデータを出すときだけ伝送路を使う

パケット交換は回線交換より多くのユーザを収容できるか?

第10回

回線交換

パケット交換

91

パケット交換と回線交換の比較(効率)

リンク速度1 Mb/s link とする

各ユーザは: データを発生しているときは100

kb/sを出力

時間率10%でしかデータを出さない

回線交換では: 1Mb/sの伝送リンクには、1ユーザが

100kb/sのデータを出すので

1M/100k=10 ユーザしか収容できない

パケット交換では: 計算は難しい

N ユーザ

1 Mbps

第10回

92

パケット交換と回線交換の比較(効率)

パケット交換では: あるユーザがデータを出すときは100kb/s、出さないときは0kb/s

ユーザが、任意の時点でデータを出す確率は、時間率10%でしかデータを出さないため、0.1。データを出していない確率は0.9。

Nユーザのうち、任意のi人のユーザがデータを送り、残りのN-i人のユーザは送らない確率は、0.1i×0.9N-i

Nユーザからiユーザを選ぶ場合の数(組み合わせは)NCiとなるので

このリンクがいっぱいになって塞がる確率は,11人以上が同時にデータを出そうとしたときになるので

これをゼロにすることはできないが、ごく小さな値(たとえば0.004)にすると、次の式を満たすユーザ数Nは35となる。回線交換の3.5倍!

004.09.01.011

iNiN

i

iCN

第10回

iNiN

i

iCN

9.01.011

93

パケット交換は回線交換より優れるか?

バースト性(粗密がはっきりしている性質)のあるデータにはパケット交換が優れる

リソースを共同利用できる

エンド・エンドの回線接続手順が不要

しかし混み合ってくると: パケットの遅延や損失が起こる

信頼度のある転送や混雑の制御のためのプロトコルが必要になる

回線のようなふるまいを提供するにはどうしたらよいのか?

音声やビデオには帯域の保証が必要になる

人間生活においても類似のことはありますね?たとえば予約(回線交換的)と予約無し(パケット交換的)・TDLのファストパスとスタンバイ・列車の予約席と自由席・レストランなど

第10回

94

パケットの損失と遅延はどのように起こるか

パケットはルータのバッファで処理を待つ

パケットの到着が出力リンクの容量を超えたとき、パケットは順番が来るまで並んで行列を作り待つ(遅延が発生)

待合室がいっぱいで入れないとパケットは捨てられる(損失が発生)

A

B

送信されようとするパケット(伝送遅延)

待っているパケット (待ち行列遅延)

もしバッファ(待合室)に空きがなかったら到着したパケットは廃棄される(損失)

第10回

95

パケットの遅延の4つの原因

1. ノードでの処理遅延: ビット誤りの検査

出力リンクの決定

A

B

伝搬遅延

伝送遅延

ノード処理遅延待ち行列遅延

2. 待ち行列遅延 出力リンクで伝送される

まで待つ

ルータの混み具合によって長さが異なる

第10回

96

待ち行列遅延

R=リンク帯域 (bps)

L=パケット長(bits)

a=平均パケット到着率(毎秒何個)

トラヒック強度= La/R

La/R ~ 0: 平均待ち行列遅延は小さい

La/R -> 1: だんだん大きくなり

La/R > 1: 処理できるより多めのトラヒックが到着している状況 平均待ち行列遅延は無限大

平均待ち行列遅延

第10回

97

パケットの遅延の4つの原因

3. 伝送遅延:

R=リンクの帯域(速度)(b/s)

L=パケット長(bits)

リンクにパケットを送り出す時間(伝送遅延) = L/R

4. 伝搬遅延:

d = リンクの長さ(m)

s = ビットがリンクを伝わる速度(~2x108 m/sec)

伝搬遅延= d/s

Note: 3と4 は一般に非常に大きさが異なる 3<<4

A

B

伝搬遅延

伝送遅延

ノード処理遅延待ち行列遅延

第10回

98

パケットの遅延:伝送遅延と伝搬遅延

伝送遅延:・高速道路の料金所で車が1台通り抜けるのに10秒かかる(料金所は1秒間に1/10台の処理能力を持つ・車が10台で1つのグループを作るとすると・10台のグループが料金所を抜けるのにかかる時間は10台×10秒=100秒かかる→

・1ビットを通すのにある伝送路は10m秒かかる・あるパケットは10ビットでできているとすると・このパケットを流すのには10×10m秒=100m秒かかる

伝搬遅延・高速道路を車は毎時100kmの速度で走る・次の料金所まで100kmあるとすると・1台の車が料金所間を走る時間は100[km]/100[km/時]=1時間かかる→

・各ビットは毎秒 s[m]の速度で伝送路の上を流れるとする・伝送路の距離が d[m]あるとすると・ビットが伝送路の端から端まで行くのに、d[m]/s[m/秒]=d/s 秒かかる

第10回

99

パケットの遅延:伝送遅延と伝搬遅延第10回

・車の速度は100km/hとしよう(伝送路の伝搬速度)

・高速道路の料金所で車が1台通り抜けるのに12秒かかる(伝送速度)・車(=ビット)が10台(=パケット)で1つのグループ・10台のグループが次の料金所に並ぶまでに時間はどれくらいかかるか?

伝送遅延:料金所を抜けるのにかかる時間は10台×12秒=120秒=2分

伝搬遅延:最後の車が料金所間を走る時間は100km/(100km/時)=1時間=60分

全体の遅延は 62分かかる

10台

2分

60分

100

パケットの遅延:伝送遅延と伝搬遅延第10回

・車の速度は超速くて 1,000km/hとしよう(伝送路の伝搬速度)・高速道路の料金所で車が1台通り抜けるのに1分かかるとしよう(伝送速度)・車(=ビット)が10台(=パケット)で1つのグループ・10台のグループが次の料金所に並ぶまでに時間はどれくらいかかるか?伝送遅延:料金所を抜けるのにかかる時間は10台×1分=10分

伝搬遅延:最後の車が料金所間を走る時間は100km/(1000km/時)=0.1時間=6分全体の遅延は 16分かかる

・料金所を10台の車が通り抜ける前に最初の車は次

の料金所に着いてしまう(パケットの先頭ビットはパケット全体の伝送終了前に次のルータに届いてしまう)

10台

10分

6分

101

ノード遅延

dproc = ノード処理遅延 10μ秒以下(非常に小さい)

dqueue = 待ち行列遅延 混み具合で異なる

dtrans = 伝送遅延 = L/R, (低速回線では無視できない)

dprop = 伝搬遅延 数μ秒から数百m秒まで(衛星回線では非常に大きい)

proptransqueueprocnodal ddddd

第10回

102

実際のインターネットの遅延

WindowsのコマンドプロンプトでtracertしてみるC:¥Users¥ishii>tracert gaia.cs.umass.edu

gaia.cs.umass.edu [128.119.245.12] へのルートをトレースしています

経由するホップ数は最大 30 です:

1 <1 ms <1 ms <1 ms 150.7.136.254

2 <1 ms <1 ms <1 ms 150.7.143.1

3 1 ms 1 ms 1 ms 150.7.140.200

4 8 ms 8 ms 8 ms sinet-gw.net.cc.u-tokai.ac.jp [150.7.12.254]

5 22 ms 25 ms 24 ms tokyo1-dc-rm-ge-5-2-0-110.sinet.ad.jp [150.99.189.237]

6 213 ms 202 ms 219 ms nyc-gate1-rm-p-7-0-0-11.sinet.ad.jp [150.99.203.58]

7 213 ms 207 ms 204 ms Abilene-NY.gw2.sinet.ad.jp [150.99.200.194]

8 209 ms 209 ms 209 ms nox300gw1-Vl-110-NoX-INTERNET2.nox.org [192.5.89.221]

9 243 ms 398 ms 235 ms nox300gw1-PEER-NoX-UMASS-192-5-89-102.nox.org [192.5.89.102]

10 210 ms 211 ms 211 ms lgrc-rt-106-8-gi1-6.gw.umass.edu [128.119.2.193]

11 224 ms 222 ms 224 ms 128.119.3.153

12 213 ms 212 ms 217 ms nscs1bbs1.cs.umass.edu [128.119.240.253]

13 211 ms 213 ms 212 ms gaia.cs.umass.edu [128.119.245.12]

トレースを完了しました。

マサチューセッツ大学までの経路とその遅延

太平洋を渡っている

第10回

103

課題

自分のPCで、Windowsのコマンドプロンプトの画面でtracertしてみる(前ページ参照)

yahoo.com(アメリカ西海岸)

www,royal.gov.uk(イギリス王室公式ページ)

ishii164.net(石井自宅)

など試してみる

Smartphoneアプリもいろいろ出ているので試してみる

iPhone (mocha ping liteなど)

Android (PingToolsなど)

結果をメモするなり写メするなりして紙に印刷して次回提出せよ

第10回

104

前回の小テスト関連で

ホストAからBに4Mbのデータを送る

①1つのパケットで4Mbを送るとき、R1=R2=2Mb/sとすると、エンド・エン

ドの伝送遅延は?(その他の遅延=0)

②1つのパケットを1Mbの大きさにして、①と同じ条件にするとエンド・エンド伝送遅延は?

R1 R2ホストA ホストB

105

前回の小テスト関連で

R1=2Mb/s R2=2Mb/sホストA ホストB

2秒

1Mbパケット

5秒

0.5秒

4秒

4Mbのデータ 4Mbの

パケット

4Mbのパケット

2秒

2秒 2.5秒2秒

106

前回の小テスト関連で

ホストAからBに4Mbのデータを送る

①1つのパケットで4Mbを送るとき、R1=2Mb/s, R2=4Mb/sとすると、エンド・エンドの伝送遅延は?(その他の遅延=0)

②1つのパケットを1Mbの大きさにして、①と同じ条件にするとエンド・エンド伝送遅延は?

R1 R2ホストA ホストB

107

前回の小テスト関連で

R1=2Mb/s R2=4Mb/sホストA ホストB

2秒

1Mbパケット 0.5秒

3秒

4Mbのデータ 4Mbの

パケット

4Mbパケット1秒

2秒0.25秒

0.25秒

2.25秒

108

前回の小テスト関連で

ホストAからBに4Mbのデータを送る

①1つのパケットで4Mbを送るとき、R1=4Mb/s, R2=2Mb/sとすると、エンド・エンドの伝送遅延は?(その他の遅延=0)

②1つのパケットを1Mbの大きさにして、①と同じ条件にするとエンド・エンド伝送遅延は?

R1 R2ホストA ホストB

109

1Mbパケット

前回の小テスト関連で

R1=4Mb/s R2=2Mb/sホストA ホストB

1秒

3秒

4Mbのデータ

4Mbのパケット

4Mbパケット

2秒

0.25秒

2.25秒1秒 0.5秒

110

パケット損失

バッファの待ち行列は有限長

バッファに空きがなければ(並ぶ場所が無い状態)パケットは廃棄される

損失パケットは再送されるかもしれないし,そのままかもしれない

A

B

送信中のパケット

バッファがいっぱいのときに来たパケットは廃棄

バッファ(待合室)

第11回

111

スループット(throughput)

スループット: 送信側から受信側に届いた単位時間あたりのビット数(転送速度)

瞬時スループット: ある時点での速度

平均スループット:一定時間測定した平均の速度

link capacityRs bits/sec

Rs (bits/sec)でパイプがビットの流れを運ぶ

Rc(bits/sec)でパイプがビットの流れを運ぶ

送信側がビットをパイプに流し込む

第11回

112

スループット

Rs < Rc 平均エンド・エンドスループットは?

Rs bits/sec Rc bits/sec

Rs > Rc 平均エンド・エンドスループットは?

Rs bits/sec Rc bits/sec

エンド・エンドスループットを制限するリンクのこと

ボトルネックリンク

ボトルネック

ボトルネック

第11回

113

スループット:インターネットでは

全部で10本のコネクションがあると想定し,それぞれが公平に中継回線の帯域R bits/secを分割使用すると考える

Rs

Rs

Rs

Rc

Rc

Rc

R

コネクションあたりのエンド・エンドスループットは

min(Rc,Rs,R/10)

実際に,Rc (ユーザ回線の速度)や Rs (サーバ回線速度)がボトルネックになることが多い

第11回

114

3.通信網(インターネット以外)

第11回

115

通信網全般

第11回

116

固定通信と移動通信の加入契約数の推移

平成25年度情報通信白書より

第11回

117

公衆ネットワークの構成

ポケベル 基地局 無線中継局

マイクロ波

基地局移動電話

公衆電話

海底ケーブル

光ファイバ

市内市外市内 市外

第11回

118

youtubeから

http://goo.gl/IQ7RUD

http://goo.gl/qFa2PA

昔のビデオ

回線交換のしくみ

http://goo.gl/g0oY56パケット交換のしくみ

第11回

119

線路設備と土木設備

電話局

線路設備の回線種別による分類

線路設備の敷設形態による分類

切替え接続盤

土木設備

マンホール

管路

とう道

管路

マンホール

管路

配線

ケーブル

架空線路

き線ケーブル

地下線路 地下線路

中継線路加入者線路

第11回

120

線路設備と土木設備第11回

配線ケーブルの接続点(端子函)メタルと光

モジュラージャック(電話機を接続)

保安器(落雷から宅内を守る)

121

電話網

第11回

122

電話網の信号方式と番号方式

信号方式

電話をつなげたり切ったりするため,電話機と交換機の間、交換機と交換機の間でやりとりされる制御のための手順を言う

番号方式

電話端末の識別番号であり,これを元にネットワーク内の経路が決定される(ルーティング)

第11回

123

電話網の構造第11回

124

電話網信号方式

加入者線信号方式

電話機と交換機の間の信号方式

局間信号方式

交換機相互間の信号方式

加入者線 中継線 加入者線交換機

発信側端末交換機

受信側端末

加入者線信号方式

局間信号方式

加入者線信号方式

第11回

125

加入者線信号方式

ベル

フックスイッチ

交換機

ICT

OGT

発信レジスタトランク

ビジートーントランク

加入者回路

・直流のオン・オフで監視オン:発呼・応答、オフ:切断・終話、極性反転:応答

・選択信号:直流の断続/PB

電話機

第12回

126

局間信号方式

現在の電話網では,通話回線と分離した局間信号のみを送受する専用のデータ通信網を利用するこれを共通線信号網と呼び,そこで採用される信号方式の体系を共通線信号方式と呼んでいる.

ITU-T国際標準で決められたNo.7共通線信号方式が採用されている

No.7はパケット交換方式を用いている

第12回

127

共通線信号方式のメリット

通話中に制御信号を同時に送ることができる

通話にじょう乱を与えることなく制御信号を送れる

第12回

128

電話信号方式のシーケンス

起動信号

「もしもし…」「はい○○です」

『ツー』 発信音

ダイヤルする 選択番号

選択番号

起動完了信号

『ルールー,ブッ』『リン,リン』

呼出音 呼出信号

受話器を上げる応答信号

「さようなら」 「バイバイ」

受話器を下ろす終話信号

復旧完了信号

(接続完了)応答信号

受話器を下ろす 切断信号

受話器を上げる 発呼信号

加入者線

信号方式

局間

信号方式

加入者線

信号方式

制御信号ユーザ情報

~~

~~

~~

~~

加入者線 中継線 加入者線交換機

発信側端末交換機

受信側端末

第12回

129

番号方式

固定電話の番号

業者指定番号(マイラインでは省略)

上記の番号の前に事業者識別番号を付与する

市内 NTT東 0036 KDDI 0077

県外 NTTコム 0033 KDDI 0077

国際 NTTコム 0033 KDDI 001

第12回

130

番号方式

その他のネットワークの番号

IP電話の電話番号(050)

携帯電話の電話番号(080/090)

PHS電話番号(070)

「0△△0」型

0120や0800の着信課金

0990(情報料回収代行:「ダイヤルQ2」

0180(呼数集計:「テレゴング」)

第12回

131

番号方式

1XY型104:電話番号の案内

110:警察への通報

113:故障受付

115:電報受付

117:時報

118:海上保安機関への通報

119:消防への通報

171:災害用伝言ダイヤル

177:天気予報

184:通常通知を選択した際、発信電話番号の通知を行わない

186:通常非通知を選択した際、発信電話番号の通知を行う

第12回

132

番号方式

A

B

C

D

A

B

C

D閉鎖番号区域

閉鎖番号区域

(a)閉鎖番号方式 (b)開放番号方式

(1)A→Bの番号市外局番+市内局番+加入者番号(2)A→Cの番号市外局番+市内局番+加入者番号

(1)A→Bの番号市内局番+加入者番号

(2)A→Cの番号

市外識別番号+市外番号+市内局番+加入者番号

(1) (1)

(2) (2)

第12回

133

地域網と中継網の構成

群区域 1 群区域 2

2 4

3

中継局 特定中継局

中継局 中継局

中継区域 1

中継網特定中継区域

群局

群局単位区域 1 単位区域

地域網

群局

2

第12回

134

全国中継網

中継区域 (ZA: Zone center Area) 群区域外へのトラヒックを集束中継する中継交換機の扱う単位

複数の群区域から構成

中継局 (ZC: Zone Center) 中継交換機を設置する交換局

ほぼ都道府県単位に設置

函館,旭川,釧路,北見,立川,北九州,沼津を加え 54 局

特定中継区域 (SZA: Special Zone center Area) 特定中継局に設置した中継交換機がトラヒックの集束を行う区域

特定中継局 (SZC: Special Zone Center) 中継局の機能に加え,他の中継局間のトラヒックの集束中継機能

札幌,仙台,東京,名古屋,大阪,広島,福岡の 7 局

信頼度確保のため二重化分散配置

第12回

135

基幹回線と斜め回線

基幹回線

斜め回線

中継局

群 局

単位局

中継局

群 局

第12回

136

伝達経路の選択 -ルーティング-

発信者

着信者

選択できる経路は

A

A

A

A

C

D

C

D

B

B

D

C

B

B

局A

局C

局D

局B

第12回

137

経路選択の方法-ルーティング経路方式-

固定ルーティング方式・経路を予め 1 通りに決めておく.

迂回ルーティング方式・複数の経路から空き経路を探して選ぶ.

(固定迂回ルーティング方式)予め決めた順序で空き経路を選択する.

(ダイナミックルーティング方式)利用状況に応じて選択経路を変える.

第12回

138

遠近回転法

2

発信者 着信者

基幹回線

斜め回線

加入者線

選択順序は,1 → 2 → 3

基幹回線に空きがないときは呼損

群 局 群 局

中継局 中継局

3 1

第12回

139

ダイナミックルーティング

ルーティング順序

設定時間帯

午前

午後

夜間

週末

ルーティングの順序

5 → 4 → 1

1 → 2 → 3

1 → 3

1 → 4 → 2

ルーティング経路

経路 1

A局

局F E

D局

C局

B局

経路4経

路 5

路2

路3

第12回

140

電話サービスの高機能化

(インテリジェント・ネットワーク)

第13回

141

現在のインテリジェントネットワーク

サービス管理局

SCP SCP

LS TS LSTS

高機能レイヤ

伝達レイヤ

パケット交換網(×.25)

共通線信号網(No.7)

第13回

142

フリーダイヤルサービス

全国どこからでも、契約者番号(0120-)をダイヤルすることにより接続され、通話料を着信側(契約者)が負担するサービス

広告するフリーダイヤル番号

0120-123456

SCP

発信者0120-123456

契約者

発信者0120-123456

発信者0120-123456

発信者0120-123456

第13回

143

フリーダイヤルサービスのしくみ

SCP

番号データベース

問い合わせ「 ×××××××」

応答「 XYZ-ABCD」

0120-×××××××

XYZ-ABCD

第13回

144

サービス制御の流れ

サービス管理

サービス制御

交換機

(1)サービス定義(曜日、時間、着信先など)

(2)サービス実行情報

(3)発呼0120-123456

(4)ダイヤル数字転送 (5)接続先通知

(6)接続

(No.7共通線信号)

(×.25)

ユーザ カスタマ

Office-BDay time

Office-ANightAM 10:07

SMS

第13回

145

移動通信

第13回

146

移動通信ネットワーク

無線基地局(最大で数百チャネル収容,全国で35,000局(ドコモの場合))

セル

セル(半径数百m(都心),十数km(郊外))

セル

位置登録エリア

無線ネットワーク制御装置

交換機

基幹網

(回線交換)

関門交換機

ホームメモリー(ユーザID,電話番号などユーザ情報管理DB全国版)

基幹網

(パケット交換)

交換機

パケット交換機

ゲートウェイ

インターネット

固定電話網他社携帯電話網

無線アクセスネットワーク コアネットワーク

ノードビル

第13回

147

移動通信ネットワーク技術

移動通信ネットワークに必要な技術位置登録

移動通信網がすべての端末が日本のどこにいるかを知っていられるしかけ(全国数十の位置登録エリア単位で)

発着信誰からの発信かをみきわめてつなぎ,どこにいるかをみつけ出してそこに着信するしかけ

周波数効率利用限りある周波数の使い回しと帯域の効率利用

ハンドオーバ通話が切れないよう接続を瞬時に切り替える機能

データ通信音声通信とデータ通信を同時に提供

第13回

148

位置登録

端末は位置登録エリア単位で居場所を管理される

第13回

149

位置登録

携帯電話の現在位置は携帯電話事業者のホームメモリーに登録

登録は、位置登録エリア単位で行う(都道府県単位より少し小さい)

位置登録エリアには複数のセルを含む

位置登録は電源を入れたとき、他の位置登録エリアに移ったとき端末から行う

無線基地局から届く報知情報(どこの位置登録エリアにいるのか)で端末が判断

位置登録情報はホームメモリーに伝わり登録

第13回

150

大まかな電話の発着信の流れ第13回

151

大まかな電話の発着信の流れ

発信者①最寄りの無線基地局

②無線ネットワーク制御装置

③加入者交換機

④ホームメモリー⑤中継交換機 ⑥中継交換機

相手が属する位置登録エリア

⑦加入者交換機

⑧無線ネットワーク制御装置

⑨無線基地局

通信相手

一斉呼び出し

第13回

152

位置登録

位置登録エリア:セルの集合セル半径(500m~6km)

位置登録エリア

第13回

153

位置登録

位置登録エリア

位置登録エリア

ホームメモリー

位置登録確認位置登録確認

第13回

154

セル技術による周波数の効率的利用

周波数は有限の資源であり,有効に利用するために,小さな周波数利用域(セル)を設定し,隣接しないセルで同じ周波数を繰り返し利用する

第13回

155

ハンドオーバ第13回

156

データ通信

他の携帯電話網固定電話網

音声通信用コアネットワーク(回線交換)

データ通信用コアネットワーク(パケット交換)

音声通信用無線アクセスネットワーク

データ通信用無線アクセスネットワーク

第13回

157

PHS(Personal Handyphone System)

ISDNの加入者系を利用(独自設備はアンテナ)

消費電力は,最大で80mW,平均では10mWと携帯電話の10分の1以下

基地局から通信できる距離は100m~600m程度(携帯電話では数キロ).周波数の有効利用可能.

音声コーディングはADPCM(32kbps).携帯は9.6kbps

第13回

携帯電話の歴史 (ビデオ参照)

携帯電話は技術の進歩によって4つの世代に分類される(1G~4G)

年代

1980年代

1990年代

2000年代

2010年代

世代

第1世代(1G)

第2世代(2G, 2.5G)

第3世代(3G)

第3.5世代(3.5G)

第3.9世代(3.9G)

第4世代(4G)

アナログ

音声,低速データ(9600bps~64kbps)

音声,高速データ(144kbps~2.4Mbps)

(100Mbps越え)

(30Mbps~150Mbps)

(7.2Mbpsなど)

携帯電話の歴史(1G,2G)

1G (第1世代移動通信システム) :アナログ時代

契約するには 約20万円の保証金 と 加入料約8万円,の時代

当初,ショルダーフォン

2G(第2世代移動通信システム) :ディジタル時代

アナログ方式からディジタル方式への移行が検討された

音質がよい,盗聴されにくい,データ通信を行うことができる

音声回線を使用した通信:9600bps,パケット通信:28.8kbps

800MHz周波数帯域をディジタル方式の携帯電話に

割り当てた(当時郵政省),のち1.5GHz帯も割り当てた

日本国内の2G方式 :PDC方式 (Personal Digital Cellular)

欧米の2G方式 :GSM方式(Global System for Mobile Communication)

→GSMが事実上世界標準になった(日本と韓国がGSM以外を採用し,孤立)

携帯電話の歴史(PHS,2.5G)

PHS(Personal Handyphone System)

1995年に登場した

PIAFS(Personal Handyphone System Internet Access Forum Standard)では,

64kbpsでのデータ通信が可能になった(当時としては高速)

2.5G

携帯電話でインターネットが利用できるようになり,携帯電話の利用用途が変貌

(iモード,Ezweb,Yahoo!ケータイの機能によるインターネット接続)

電子メールに画像を添付するなどが可能となった

データ通信料金は通信時間ではなく,データ量(パケット量)での課金を採用

注)2.5Gは公式な用語ではない

携帯電話の歴史(3G)

3G (第3世代移動通信システム)

データ通信の高速化(より大容量のデータを高速に送受信できるように)

世界標準規格への移行

NTTドコモは2001年に世界初の3Gサービス「FOMA」をスタート

(2GHz帯を使用,パケット通信速度:下り384kbps,上り64kbps)

国際規格 IMT-2000 に準拠(いくつかの多重化通信方式がある)

NTTドコモ :W-CDMA(Wideband CDMA)方式を採用

au(KDDI) :cdma2000方式を採用

各社の3Gサービスの名称

NTTドコモ :FOMA

au(KDDI) :CDMA 1X, CDMA 1X WIN

ソフトバンクモバイル:Softbank 3G

パケット通信料金が高額となるユーザが相次ぐ(パケ死,パケ破産)

定額料金プラン,ダブル定額プランが各社で用意される

携帯電話の歴史(3.5G)

3.5G (第3.5世代移動通信システム) 注)3.5Gは公式な用語ではない

第4世代を目指すが,急速な移行は困難 3Gのサービスを拡張した 3.5G と呼ばれる規格が検討された

3.5Gは基地局や設備など,従来の設備を使用したり,設備の改良によって高速通信を実現することができる

携帯電話の歴史(3.9G)

3.9G (第3.9世代移動通信システム)

技術や設備が大きく異なる4Gまでのつなぎ

(LTEを含めて4Gと呼ばれることがある)

下り50Mbps以上,上り25Mbps以上の通信速度が基本要件

データ通信,制御用の信号(共通線信号),音声信号,すべてIP網で伝送する

方向である(オールIP)

3.9Gの規格

LTE(Long Term Evolution)

NTTドコモ : xi(クロッシィ)

ソフトバンクモバイル : Softbank 4G LTE

KDDI(au) : 4G LTE

イー・アクセス(イー・モバイル): EMOBILE LTE

モバイルWiMAX (IEEE802.16e)

UQコミュニケーションズ(KDDIのグループ)

サービスの名称

携帯電話の歴史(4G)

4G (第4世代移動通信システム)

ITUが定めるIMT-Advanced規格に準拠する無線通信システム

1Gbps程度の超高速大容量通信を目指す

4Gとして基準を満たす規格

LTE-advanced (3GPPが規定)

LTEと後方互換性を保ちつつ効率的にトラフィックを収容する

商用化は2015年移行になる見込み

WiMAX2 (IEEEが規定)

モバイルネットワークの課題

スマートフォンに起因する大規模通信障害

国内の携帯電話事業者のネットワークで大規模な通信障害が頻発

= スマートフォンの増加

これまでのインフラ運用の常識が通用しなくなってきた

従来の携帯電話(フィーチャーフォン)

端末,サービス,スペックは 携帯電話事業者 が主導

スマートフォン

端末・OSの開発は 国際的な端末メーカ や Google

=ネットワークとのバランスはほとんど考えられずに作られる状況

ユーザが自分の端末にアプリケーションを自由に追加できる

開発されているアプリケーションはネットワークの容量,特性を考慮し

ていない

スマートフォンに起因する大規模通信障害

問題①:トラフィック特性(バーストトラフィックが発生しやすい)

従来の携帯電話

パケット網への通信は 都度接続 の形態だった

例)iモードでは,「iボタン」を押さなければ通信は始まらなかった

スマートフォン

パケット網への端末の 常時接続 が当たり前になっている

小さなトラブルでも圏内にいるスマートフォンが一斉にネットワーク

への接続を要求一度つながらないと再接続が繰り返され,雪

崩のように膨れ上がる

問題②:制御信号とトラフィックの増大

スマートフォンは従来型の携帯電話に比べ,

制御信号の量が2~7倍,トラフィック量は10倍にもなる

携帯電話事業者のネットワークに主にとしてのしかかっている

スマートフォンに起因する大規模通信障害

制御信号とは?

通信を開始・終了する

端末の現在位置を通知する

端末が基地局間を移動したことを通知する

スマートフォンはアプリがバックグラウンドで頻繁に通信する

高い通信頻度は制御信号の増大を引き起こす

制御信号を処理できなければネットワークの帯域に余裕があったとしても通信できない

ドコモが2012年1月25日起こした大規模通信障害は,予想以上に

膨れ上がった制御信号をパケット交換機が処理できなくなった ことが

原因

根幹を担う

スマートフォンに起因する大規模通信障害

モバイルトラフィックの爆発的増加

スマートフォンの普及,モバイルブロードバンドへの移行 モバイルトラフィックの急増世界中のモバイル通信業者の悩み

2015年までトラフィックは 年率2倍 のペースで増加すると言われている

これに対応した設備投資は困難

引用:携帯電話ネットワーク新常識(日経BP社)

携帯電話事業者が進める対策

① LTEへの移行 ←通信容量3倍(各通信事業者の共通見解)

変調方式: 64QAM

多元接続方式: OFDMA

トラフィックの大半は,一部のヘビーユーザが生み出している ヘビーユーザは最新のスマートフォンを好む傾向が強い

スマートフォンのハイエンド機種をLTE搭載にして,ヘビーユーザの自然な乗り換えを促す= 3GからLTEへ移行できる

②周波数幅の拡大 ←通信容量2倍

2012年に 900MHz帯(30MHz幅)700MHz帯(20MHz幅×3社) を割り当て

2012年に 1.7GHz帯(10MHz幅)2.5GHz帯(30MHz幅)

2015年までに 3.4G~2.6GHz帯(200MHz幅) を実用化

携帯電話事業者が進める対策

③セルの小型化 ←通信容量2~10倍

従来一つの基地局でカバーしていた範囲を複数に分割する

トラフィックの多い駅や幹線道路にカバー範囲の狭い基地局を多数設置

ユーザの自宅やオフィスビルに屋上用の小型基地局を設置

④帯域制御

ある一定期間のパケット通信量が多く発生した場合に,通信速度を制限する

といった方法 (=時間軸上でのトラフィック量の平準化)

⑤料金施策

無制限定額の撤廃

例)5GBを超えると,従量課金になるなど

携帯電話事業者が進める対策

⑥無線LANオフロード ←通信容量???倍

駅や空港,飲食店などトラフィック集中エリアに公衆無線LANサービスを設置

ユーザ宅の無線ルータ経由で固定網にトラフィックを流す

他のアクセスポイント(AP)と干渉する可能性

各事業者が別々にアクセス回線を敷設するので引き込みが大変(店舗等の立場)

175

通信網設計技術

第14回

176

最短経路探索

第14回

177

ダイクストラアルゴリズムによる最短路計算

ダイクストラ(Dijkstra)アルゴリズム動作概要

1

2

1

34

出発点

出発点から点A,B,Cへの最短路を求める

2

11

2

1

34

出発点

出発点から点Aへの仮のコストは1,点Bは2となる.

スタート 1段目

2

11

2

1

34

出発点A

出発点から点Aを経由して点Bへのコストは5であり,仮のコスト2より大きいため,仮のコスト1を持つ経路が最短となる.点Bも同様..

2段目

5

6 2

1

3

1

2

1

34

出発点A

点Cへのコストは3と4があり,コストの小さい3の経路が最短となる.

3段目

4

3

第14回

178

ダイクストラアルゴリズム

最短経路問題── 出発地点から目的地までの最短経路を求める 「駅すぱあと」などの乗り換えルート検索ソフトなどでも採用(ある駅と駅の間の最短時間でのルートや最安ルートの検索)

カーナビなどで最短ルートを求める場合

例題:出発地点(地点1)から,目的地(地点6)までの最短経路(あるいは最低料金経路)を求める

○印 ── 「交差点」,「駅」などの「地点」○印を結ぶ線 ── 「道路」や「線路」線についている数字 ── 2地点間の距離やその区間の運賃等

以下,上智大学

石塚陽先生HP(http://www.lab.me.sophia.ac.

jp/~ishizuka/OC/index.html)

より引用

第14回

179

ダイクストラアルゴリズム

地点1からの最短距離確定地点:黒丸●地点1からの最短距離確定地点(黒丸)までの確定最短距離:(赤色数字)

最短距離確定地点に直接つながっている地点:オレンジ丸●●までの距離(黒丸の確定距離にもとづく) 仮の最短距離:<青色数字>

出発地点1から地点1への距離は0で,確定

( )

第14回

180

ダイクストラアルゴリズム

今最短距離が確定した地点1から直接行ける地点(2, 4, 5) に仮の最短距離 (確定した地点1からの距離)をつける(青字)

( ) < >

< >< >

第14回

181

ダイクストラアルゴリズム

仮の最短距離が一番小さい地点=地点1から直接行ける地点の中での最小値→その地点の仮の最短距離は,地点1からの最短距離として確定

地点2が確定(距離1)

( )

< >< >

( )

第14回

182

ダイクストラアルゴリズム

あらたに確定した地点(地点2)から直接行ける地点の仮の最短距離の更新地点5の仮の最短距離は 3 (地点1からの直通経路)だった→確定した地点2を経由→5までの最短距離=(地点2までの最短距離= 1) +( 2と5の間の距離= 1) = 2に更新→地点 3の仮の最短距離も 5 に更新

( )

< >

( )

< >

< >

第14回

183

ダイクストラアルゴリズム

仮の最短距離が最小の地点は地点4と地点5の2個所→例えば地点4を選択.→仮の最短距離の2は確定

( )

< >

( ) < >

( )

第14回

184

ダイクストラアルゴリズム

最小の仮の最短距離を持っている地点は地点5となり,確定

( )( ) < >

( ) ( )

第14回

185

ダイクストラアルゴリズム

地点5につながっている地点の仮の最短距離を更新(地点3と6)

11

( ) ( ) < >

( ) ( ) < >

第14回

186

ダイクストラアルゴリズム

次に地点3が確定し

( )( )

( ) ( ) < >

( )

第14回

187

ダイクストラアルゴリズム

最終的に

( ) ( )

( ) ( )

( )

( )

第14回

188

例題

2

6

5

4

3

3

12

6

4

6

3

2

6

5

4

3

3

12

6

4

6

3

6

4

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7

8

0

第14回

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