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ガソリンのサプライチェーン (1) 製品のサプライチェーンを構築すると、様々な輸送工程を経てエンドユーザーに届けられていることがわかります。製品の輸送は、常に変動する需要と供給を勘案した上で輸送費や製品の保管費などのコストが最小になる戦略を考えなければなりません。Crystal Ballに搭載されているOptQuestを活用することで、毎週変動する需要・供給に対する最適な製品の輸送戦略を求めることができます。

(サンプルモデルとしては、Crystal Ball上の[ヘルプ]→[リソース]→[サンプルガイド]にあるGasoline Supply Chainに対応しています。)

最適な輸送戦略を考える

サプライチェーンの簡単な例として、ガソリンのサプライチェーンを考えてみます。左の図は、製油所1ヶ所、補給所2ヵ所、小売店3ヵ所の場合のサプライチェーンを表したもの

です。このサプライチェーン上で、輸送コストと各地点(製油所、補給所、小売店)における在庫保管費用を含めた合計コストを最小化する輸送戦略を考えます。製油所における確率的な精製量と小売店における確率的な需要量が含まれており、問題が複雑になっていることが特徴です。

コストの最小化を実現するのであれば、図の矢印上の輸送量をできるだけ少なくすればよい、という戦略が考えられます。輸送量を減少させれば、確かに輸送コストと在庫余りによる保管コストを減少させることができます。ただし、在庫の余りを恐れるがゆえにストックが不足してしまい欠品を生じさせてしまっては、別のコストがかかってしまう可能性があります。

そこで、各小売店の在庫の欠品についても分析を行い、欠品を極力少なくしたコスト最小化戦略を考えます。つまり欠品を起こさないギリギリの輸送量を求めていくわけです。

左のスプレッドシートは、上図のサプライチェーンをExcel上にモデル化したものです。ガソリンの製油量は1週間あたり平均2,000ガロン、標準偏差450の対

数正規分布に従っており、小売店の需要も対数正規分布に従っています。

現在、各矢印のガソリンの輸送量はスプレッドシート上の数値に設定されています。この条件下における合計コストについて、Crystal Ballによるシミュレー

ションを実行すると、合計コストが平均約¥$40,130.77、欠品は53.87%の確率で生じることがわかりました。

このように、不確実性を考慮しない場合は欠品が起こらない輸送量でも、シミュレーションを行うと高確率で欠品が起こることがわかりました。ではどのような戦略を採用すれば良いでしょうか?

シミュレーション事例

製油所

補給所

小売店

ガソリンの流れ

輸送コスト 保管

コスト

製油量が 変動

需要が 変動

ガソリンのサプライチェーン(2) サプライチェーンのモデルをExcelワークシート上に作成し、Crystal Ballを使用して特定の輸送量を設定した場合のシミュレーションを実行したところ、欠品が高確率で発生することが分かりました。この状態を改善するには、製油所における精製量と各小売店の需要量の不確実性を考慮した上で、合計コストが小さくしつつ欠品をなるべく発生させないように各輸送量を適切な値に設定しなければなりません。しかし、無限に近い組合せの中から不確実性を考慮した適切な値を手動で発見するのは大変です。このような場合にOptQuestが役に立ちます。

OptQuestによる輸送量の最適化

〒164-0011 東京都中野区中央4 - 5 - 3 TEL : (03)-5342-1090 FAX : (03)-5342-1225 E-mail : cb@kke.co.jp

※このパンフレットの記載内容は2012年8月現在のものです。※本製品・サービスの内容の条件は、改善のために予告無く変更することがあります。 http://www.kke.co.jp

株式会社構造計画研究所 社会デザイン・マーケティング部

製品ホームページ: http://www.kke.co.jp/cb/

※構造計画研究所、構造計画研究所ロゴは、株式会社構造計画研究所の登録商標です。 ※記載されている会社名や製品名は、各社の商標または登録商標です。※本製品の開発元は、Oracle社です。

どのような方法で適切な輸送量を求めれば良いでしょうか?

時間が十分にあれば、勘と経験に基づいて輸送量を変更し、シミュレーションを実行して結果を確認する…という

作業を繰り返し行なって、合計コストの平均値と欠品が生じる確率が許容できる値の発見を行うのも可能です。

もしくは、多少の知識を持っていて、数式を恐れないのであれば、サプライチェーンマネジメントや数理最適化の書籍を購入し、自分の手で最小化問題の求解を試みる手法も考えられます。

ただし、ここではCrystal Ballの最適化ツールであるOptQuestを使用して適切な解を探索しましょう。輸送量の範囲と、目的関数(ここでは合計コストの平均値の最小化)を指定し、OptQuestはより良い輸送量を探索します。

OptQuestによる最適化計算を実行するために必要なこ

とは、簡単な条件式を設定することだけです。一般の最適化計算のように、ある決まった形式に合わせてモデルを設計したり、計算のためのアルゴリズムを理解する必要はありません。

Crystal Ballでは、ユーザが決定できる変数を意思決定

変数と呼びます。たとえば、ここでは発注点と発注量が意思決定変数に該当します。意思決定変数の数が多い場合、とりうる値の組合せは膨大な数になるため、その中から良い組合せを見つけ出すことは難しいですが、OptQuestは、これらの組合せの中からよりよい結果を、短い時間で見つけ出します。

このサプライチェーンモデルでは、2ヵ所の補給所で

「現在の在庫量+受け取り供給量(製油所からの輸送量)-必要供給量>= 0」

が常に成り立つように制約条件を設定しています。さらに必要条件として

「「最大欠品量」の95パーセンタイルが0以下になる解のみを実行可能解にする」を設定しています。つまり、欠品が5%の確率で起こる輸送量であれば実行可能な輸送量としてみなす、ということです。

この設定でOptQuestを実行すると、各ガソリン輸送量の最適な値を求めるこ

とができます。また、輸送量を最適にしたときの合計コストと最大欠品量の分析も同時に行うことができます。最適化の結果、合計コストの平均値が$36,163.68となり、約$4000の削減を実現できました。さらに欠品が発生する確率が53.87%から4.91%に減少し、大幅に頻度を抑えることができました。

意思決定変数の設定

結果分析

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