フラグメンテーション - YCU...

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フラグメンテーションフラグメンテーション

横浜市立大学・高山光男横浜市立大学・高山光男

1.1. 分子量関連イオンのフラグメンテーション分子量関連イオンのフラグメンテーション

2.2. フラグメンテーションとイオン化の関係フラグメンテーションとイオン化の関係

3.3. フラグメンテーションは電子イオンとフラグメンテーションは電子イオンと(EI) (EI) とと化学イオン化化学イオン化 (CI) (CI) が基本が基本

44.. 強制的に起こすフラグメンテーション強制的に起こすフラグメンテーション

MASSPECSMASSPECS(本内容の無断転載を禁じます)(本内容の無断転載を禁じます)

1.分子量関連イオンのフラグメンテーション1.分子量関連イオンのフラグメンテーション

検出器検出器

イオン源イオン源(ion source)(ion source)

質量分離部質量分離部((mm//zz analyzer)analyzer)

MM MM+.+.

mm++

MM+.+.

mm++

ISDISD PSDPSD

InIn--source decay (ISD)source decay (ISD)

PostPost--source decay (PSD)source decay (PSD)

イオンの寿命とフラグメンテーションイオンの寿命とフラグメンテーション

検出器検出器

イオン源イオン源(ion source)(ion source)

質量分離部質量分離部((mm//zz analyzer)analyzer)

・・ 寿命の短い(内部エネルギーの多い)イオン寿命の短い(内部エネルギーの多い)イオン (M(M+.+.)* )* ははイオン源で分解,イオン源で分解,

・・ 寿命の長い(内部エネルギーの少ない)イオン寿命の長い(内部エネルギーの少ない)イオン MM+.+. はは

検出器まで到達する.検出器まで到達する.・・ 中間的な寿命のイオンはイオン源を出て検出器に到達中間的な寿命のイオンはイオン源を出て検出器に到達するまでの間に分解する.するまでの間に分解する.

MASSPECSMASSPECS

ISD: ISD: イオン源の中で起こるフラグメンテーションイオン源の中で起こるフラグメンテーション

MM MM+.+.

mm11 mm22 mmii

mm1,11,1 mm1,21,2 mm1,i1,i

イオン化イオン化 分解は分解はμμss 以内に以内に

起こり,生成したフ起こり,生成したフラグメントイオンはラグメントイオンはマススペクトル中にマススペクトル中に観測される.観測される.

MASSPECSMASSPECS

分子量関連イオンとフラグメントイオン分子量関連イオンとフラグメントイオン

MASSPECSMASSPECS

フラグメントイオンも重要な質量分析情報フラグメントイオンも重要な質量分析情報

2.フラグメンテーションとイオン化の関係2.フラグメンテーションとイオン化の関係

イオン化法に依存する分子量関連イオンのイオン化法に依存する分子量関連イオンの生成とフラグメンテーション生成とフラグメンテーション

フラグメンテーションは分子量関連イオンのフラグメンテーションは分子量関連イオンのエネルギー量と構造に支配されるエネルギー量と構造に支配される

MASSPECSMASSPECS

フラグメンテーションの考察は,フラグメンテーションの考察は,分子量関連イオンの構造を考えるところから始まる分子量関連イオンの構造を考えるところから始まる

いろいろな分子量関連イオンいろいろな分子量関連イオン

MASSPECSMASSPECS

0

50

100

50 100 150 200 250 300 350 400 m/z

391

279

149

83

69

5543

29167

15

[M+H] +

Relative abundance (%)

(b) FAB

0

50

100

50 100 150 200 250 300 350 400 m/z

149

85

7157

43

31

167

Relative abundance (%)

(a) EIO

O

O

O

フタル酸ジオクチルエーテル (Mr 390)

MASSPECSMASSPECS

0

20

40

60

80

100

50 100 150 200 250 300 M/Z

237

177

131

121

81

23

Salicyl Phenyl/Na[TG+Na] +

[DTT+Na] +

[M+Na] +

Na + OH

O

O

(a)

0

20

40

60

80

100

50 100 150 200 250 300 M/Z

279

17713181

23 Salicyl Phenyl Ac/Na

[TG+Na] + [DTT+Na] +

[M+Na] +Na +

O

O

O

O CH 3

(b)

MASSPECSMASSPECS

0

20

40

60

80

100

800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500 M/Z

1380

1135

[M+H] +

[M+H+GGL] +

OO

O O O O

OO

OO

OO

OO

OH

OH

OH

OH

HO

HOOH

OH OHOHOH

OH

OH

HO

HO

HO

HO

OHHO HO HO

H 2NO

NHO

NHO

OH

b-CD

GGL

MASSPECSMASSPECS

0

20

40

60

80

100

700 750 800 850 900

M/Z

720

840

736

696

672

744768 792 816

856

C 60+.

C 70+.

C 60 O+.

C 70 O+.

(a)

0

20

40

60

80

100

700 750 800 850 900

M/Z

C 60-

C 70-

720

840

736856

C 70 O-C 60 O

-

(b)

MASSPECSMASSPECS

O

O

O O O O

O

O

OO

OO

OO

O H

O H

O H

O H

H O

H OO H

O H O H

O HO H

O H

O H

H O

H O

H O

H O

O H

H O H OH O

N +

H 3C

H 3C

C H 3

O

O

C H 3

b-CD

AC +

0

20

40

60

80

100

800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500 M/Z

12801157

1135

965

B-CD + AC+

[M+H] +

[M+AC] +(b)

MASSPECSMASSPECS

0

50

100

100 200 300 400

385

369

353255213173

145119

105

9581

65

5543

29 [M - H] +

コレステロール

MASSPECSMASSPECS

0

50

100

50 100 150 200 250 300 350

299

57

反応イオン t-C 4H 9+

[M+H] +

化学イオン化法

m/z

Relative abundance %

イオン分子反応によるプロトン化分子

のみ与え、フラグメントイオンは生じ

ない

0

50

100

50 100 150 200 250 300 350

m/z

298

267213

199

143

12997

87

74

5543

255

241185157115

Relative abundance %

電子イオン化法M +.

フラグメントイオンが多く、

ハードイオン化の特徴をもつ

0

50

100

50 100 150 200 250 300 350

299

267109

8369

5543

29

m/z

[M+H] +

Relative abundance % 高速原子衝撃法

イオン分子反応によるプロトン化分子

を与えるが、原子衝撃によるフラグメ

ントイオンも生じ、ソフトとハードの

両イオン化特性を示す

MASSPECSMASSPECS

0

20

40

60

80

100

50 100 150 m/z

135

93

7766

43

39

H N CH 3

O

C 8H 9NOM +.

0

20

40

60

80

100

50 100 150 m/z

135

9320 eV/EI

MASSPECSMASSPECS

電子エネルギーを変えて分子イオン電子エネルギーを変えて分子イオン内部エネルギー量を変えるとフラグメ内部エネルギー量を変えるとフラグメンテーションの進み具合も変わるンテーションの進み具合も変わる

70 70 eVeV

20 20 eVeV

3.フラグメンテーションは電子イオン化3.フラグメンテーションは電子イオン化(EI) (EI) と化学イオン化と化学イオン化 (CI) (CI) が基本が基本

・・ EI EI に多いに多い不対電子誘導型不対電子誘導型のフラグメンテーションのフラグメンテーション

キーポイントは不対電子位置の仮定の妥当性キーポイントは不対電子位置の仮定の妥当性

・・ CI CI に多いに多い電荷誘導型電荷誘導型のフラグメンテーションのフラグメンテーション

キーポイントは電荷位置の妥当性キーポイントは電荷位置の妥当性

MASSPECSMASSPECS

不対電子誘導型のフラグメンテーション不対電子誘導型のフラグメンテーション

安息香酸メチルエステルの安息香酸メチルエステルのEIEIマススペクトルマススペクトル

51

77

105

136M+.

0

50

100

O

OCH3

O

OCH3

M+.

m/z 136 m/z 105

- OCH3

←←不対電不対電

MASSPECSMASSPECS

不対電子誘導型のフラグメンテーションでは不対電子誘導型のフラグメンテーションでは不対電子の位置が大事不対電子の位置が大事

電子を放出し易い位置から推定電子を放出し易い位置から推定

N

CH3O

H

lone pair electron

Pi electron

Sigma electron

N

CH3O

H

N

CH3O

H

N

CH3O

H

e-

M+.

CH3O

NH2

> >>不対電子不対電子 →→

↑↑不対電子不対電子

不対電子不対電子 →→

MM+.+.

MASSPECSMASSPECS

電荷誘導型のフラグメンテーション電荷誘導型のフラグメンテーション

[M+H][M+H]++ ではプロトン付加の位置が大事ではプロトン付加の位置が大事

[M+H]+

H3N

NH2

O

O

CH3H2C

NH2

O

O

CH3

NH3

- NH3

84 144

161[M+H]+

129112101

Lysine methyl ester

Methane/CI

プロトン化プロトン化

↓↓

MASSPECSMASSPECS

電荷誘導型のフラグメンテーション電荷誘導型のフラグメンテーション

フラグメントイオンでも電荷の位置が大事フラグメントイオンでも電荷の位置が大事

O

OCH3

51

77

105

136M+.

O

OCH3

- OCH3

M+.

0

50

100

m/z 136 m/z 105

CO

m/z 77

- CO

←← 電荷位置電荷位置

MASSPECSMASSPECS

演習. 下図は環境ホルモンの疑いのあるビスフェノールAの化学構造と電子イオン化マススペクトルである.ビスフェノールAのフラグメンテーションの特徴であるメチル基の脱離を,分子イオンM+.

の構造から説明せよ.

MASSPECSMASSPECS

解答. ベンゼン環のπ電子またはフェノール水酸基の酸素原子の孤立電子対からの電子放出を考える.

MASSPECSMASSPECS

44.. 強制的に起こすフラグメンテーション強制的に起こすフラグメンテーション

イオン源イオン源(ion source)(ion source)

質量分離部質量分離部((mm//zz analyzer)analyzer)

衝突誘起分解衝突誘起分解(collision(collision--induced induced dissociation, CID)dissociation, CID)

MM+.+.

mm++

検出器検出器

MASSPECSMASSPECS

0100 200 300 400 500 600 700

346391

566645

701

CID OF MK OF IKARI B

[M+K] +

OHO

OH O

OH

O

OHO

HOO

OOH

OH OH

+ K+

m/z 391

- H + K+

m/z 346

- H + K+

m/z 566

- H + K+

m/z 645

100 200 300 400 500 600 700

331

376

685

CID OF MNA OF IKARI B

[M+Na] +

OHO

OH O

OH

O

OHO

HOO

OOH

OH OH

+ Na +

m/z 376

- H + Na+

m/z 331

100 200 300 400 500 600 700

CID OF MH OF IKARI B

355

501

66

3

[M+H] +

OHO

OH O

OH

O

OHO

HOO

OOH

OH OH

+ 2H m/z 355

+ 2H m/z501

MASSPECSMASSPECS

フラボノイド配糖体のフラボノイド配糖体のCIDCIDスペクトルスペクトル

←← 糖鎖情報糖鎖情報

←← アグリコン情報アグリコン情報

MASSPECSMASSPECS

フラグメンテーションの解析は慎重にフラグメンテーションの解析は慎重に

メチルステアレートのメチルステアレートのEIEIマススペクトルはお馴染み,マススペクトルはお馴染み,フラグメンテーションも単純に見えるがフラグメンテーションも単純に見えるが !!

MASSPECSMASSPECS

重水素ラベルによって証明された転移水素の位置重水素ラベルによって証明された転移水素の位置

by Fred R. by Fred R. McLaffertyMcLafferty (1959)(1959)

MASSPECSMASSPECS

他のフラグメントイオンの説明他のフラグメントイオンの説明

単なる数値あわせ単なる数値あわせ

MASSPECSMASSPECS

メチルステアレートのメチルステアレートのEIMSEIMSの新しい説明の新しい説明

数値あわせの部分を再検討した結果、数値あわせの部分を再検討した結果、m/zm/z 101101 がキーフラグメントがキーフラグメント

MASSPECSMASSPECS

フラグメンテーションの説明には,フラグメンテーションの説明には,

・高分解測定・高分解測定・同位体ラベル法・同位体ラベル法・・CIDCID法法

の使用が欠かせないの使用が欠かせない

メチルステアレートのメチルステアレートの分子イオン分子イオン MM+.+. ((mm//zz 298)298)およびフラグメントイオンのおよびフラグメントイオンの

CIDCIDスペクトルスペクトル

フラグメンテーションの研究は,フラグメンテーションの研究は,イオン化イオン化のの研究以上に困難が多い研究以上に困難が多い

分子量関連イオンのエネルギー量分子量関連イオンのエネルギー量

分子量関連イオンの構造分子量関連イオンの構造

MASSPECSMASSPECS

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