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国際大学グローバル・コミュニケーション・センター

(GLOCOM) 認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ(DFJI )

認知症の人がいきいきと暮らすことができる社会になるためには、どのような社会的インフラが必要なのか?

認知症を切り口としてどのような新しいビジネスが創出しうるのか?

これらは重要な問題ではありますが、これまで、医療や介護分野の専門家の間でのみ議論されることが大半でした。

2011年に、国際大学グローバルコミュニケーション・センター(GLOCOM)は、IT企業の富士通研究所及びNPO法人認知症フレンドシップクラ

ブと連携して、認知症の課題が今後の日本社会に与えるインパクトについて考え、多様な業種との協働を通じて、認知症の人も暮らしやすい社会について考える「認知症プロジェクト」を立ち上げました。

この『認知症プロジェクト』が発展して2013年

に発足したのが、認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ(DFJI)です。この民間プラットフォー

ムは、目的意識さえ共有できれば、誰でも自由に参加することができます。

DFJIは、民間企業や自治体、研究者、NPO、認知症の人やその家族などで構成されています。

例えば、民間企業の視点でとらえると、私たちは、次のような問いを持っています。

・高齢化が進み、「社会的弱者」が増える中、市場にどのようにアプローチすればよいのか?

・企業が、社会を構成する他のセクターともっとつながり、

連携していく企業文化・組織風土をつくるためには、何ができるのか?

・今は、つながりがないけれど、将来一緒に課題に向き合うであろう「未来のステークホルダー」と、

どのように出会い、どのように関係を強化していくのか?

このイニシアチブのもと、多様なメンバーがチームを作り、プロジェクトが進行しています。認知症の人にもやさしい商品・サービスを創出するためのプロジェクトや、多世代が支え合うためのコミュニティづくりなど、現在、9つのプロジェクトが進行中です。

http://www.dementia-friendly-japan.jp/ info@dementia-friendly-japan.jp

http://www.glocom.ac.jp/

認知症フレンドリージャパン・サミット

(DFJS2014)

2014年7月、認知症フレンドリーを主たる課題とした業種横断的な全国イベントが、日本で初めて開催されました。

企業や自治体職員、研究者、NPO、認知症の人や家族など、2日間でのべ200名が参加する中、対話型のシンポジウムと11の聴衆参加型セッションが実施されました。

参加者との対話によって、認知症フレンドリー社会を実現・促進するために9つのキーワードが生まれました。

認知症の人の声を聞く、届ける

[1] 意思を伝えられる信頼関係 [2] “出会い”の量産

[3] 認知症だけに特化しない場

取り組みを評価する・加速させる

[7] コミュニティーのQOL 人生に対する意味 [8] 個人・団体/まち/社会全体 それぞれの目標設定 [9] 取組みを促進する インセンティブづくり

社会の仕組みに反映させる

[4] 当事者概念の拡張 それぞれのジブンゴト [5] 国家レベルから自治会単位まで それぞれでの反映させる仕組み

[6] 企業の中の個が気づき、動き、 持続するビジネスへ

このサミットは、今後、毎年開催し、認知症フレンドリー社会の創造に向けて、共有したい原則を確認する場、実現に向けた取り組みを生み出し、加速する場へと発展させていく予定です。

RUN伴 タスキをつないで走る2500キロ

RUN伴(ランとも)は、認知症の人や家族、支援者、一般の人が少しずつリレーをしながらタスキをつなぎ、ゴールを目指すイベントです。 “RUN伴”は2011年に始まりました。はじめは171人が参加して函館から札幌までの300キロを走りました。そして、3年後の今年2014年には、4,500人が参加し、帯広から広島までの2,500キロを走り抜けました。 同じ地域に暮らす認知症の人もそうでない人も、みんなが仲間として同じビジョンのもとに繋がり合うことで、一人では成しえないことが可能となるのだと思います。 私たちがめざす「認知症になっても安心して暮らしていける町」をつくることは、地域に暮らす人達がお互いを知り、それぞれが考え、そして同じビジョンを描きながら繋がり合うことから始まるのだと考えています。 認知症の人も、そうでない人も、年配の方も若い人も、ひとつのタスキをつなぎながら、ゴールを目指す。RUN伴がめざす「ないまぜのイベント」は、認知症にやさしい街の象徴だと考えています。

Start

Goal

http://runtomo.jimdo.com/

香りプロジェクト

•お香を具体的に活用した事例

2011年1月に発足した香研究会IRIでは、東京都世田谷区の高齢者施設を中心に全国各地で、お香のワーク

ショップを実施しており、好評を博しています。伝統的な香道で使う伽羅・沈香の価格高騰の影響で、昨今は練香や匂い袋を手作りするワークショップが中心になりつつあります。

•新しいプロジェクト【四季折々の花や樹木の香りに触れるお散歩 xアート表現】の開催

香研究会IRIでは、2015年春から「四季折々の花や樹木の香りに触れるお散歩xアート表現」のプロジェクトを

立ち上げます。日本各地(埼玉県行田市の古代蓮の里の「蓮の花」や青森県の「ヒバ」の香りなど)で、認知症の人もそうでない人も区別せず、高齢者と子供たちが一緒に、地元の自然の香りに触れながらお散歩を楽しみ、その印象を思い思いに自由なかたちでアート表現するという内容のワークショップです。花や樹木の香りから連想するイメージは人それぞれで、つい最近の身近なで出来事を描く人もいれば、遠い記憶から導きだされる昔の思い出を表現する人もいます。香りの与える影響の深遠さには驚かされることがたびたびあります。

将来的にはこの活動を各都道府県に広げて、毎年、香りからインスピレーションを得て創作したアート作品のコンテストを全国各地の美術館で開催できればと考えています。

•認知症の人を含む高齢者のQOL ((生活の質))を向上する「香り」

記憶や感情に働きかけ、気分を高揚させるといわれる「香り」を活用して、認知症の人を含む高齢者の暮らしを豊かにするためのさまざまなプロジェクトを行っています。

•お香の歴史

お香の歴史は、人類が火を使い始めた頃に始まったといっても過言ではありません。すべての古代文明においてお香を焚く習慣があったこともわかっています。香水は英語ではperfume((フランス語でparfum)といいますが、元来”煙を通して”という意味になりますので、お香は香水をはじめとする香り文化の源流といえます。

お香は世界共通の文化ともなっており、古来、シルクロードを通じて、ユーラシア大陸の西から東へ伝えられ、6世紀(飛鳥時代)に仏教とともに日本に伝えられました。15 世紀(室町時代)に茶道や華道とともに上流階級の芸道として確立した香道は、日本の伝統文化として現在まで伝えられています。

•ファシリテーター養成講座の実施 香研究会IRIでは、新しいプロジェクトの開催と同時に、「香りXアート表現」のワークショップを運営する人を養成する「ファシリテーター養成講座」を行います。 地域の人々が 認知症に対する理解を深め、良い香りのする

花や樹木の香りに触れ、自由にアート表現することで、世代を超えたつながりが生まれること、さらに、自発的に活動を継続していくことを目指して、ファシリテーターを養成します。

富士宮プロジェクト Bridging Communities: Sharing Our Memories

本展示では、その中から、「写真を使って対話する」ことを目的に、富士宮市の高校生が企画した地元商店街でのイベントを、動画とともにご紹介します。 「高校生が企画するイベント」は、同時に「高校生をサポートする」理由づけにもなり、従来の枠を越えた地域のつながりを生むきっかけにもなりました。

「富士宮プロジェクト」は、写真を媒介として、認知症の高齢者の方を含む多世代で多様な人々が相互に交流するきっかけを生み出すことを目的とした取り組みです。 認知症施策のトップランナーのひとつとして知られる静岡県富士宮市をフィールドに、総務省の「ICT超高齢社会づくり推進事業」の案件形成調査プロジェクト「認知症の高齢者を含む多世代の多様な人々が参画する地域コミュニティ醸成モデル形成事業」として、2013年度に実施しました。

http://vimeo.com/89067319 http://www.glocom.ac.jp/2014/04/post_200.html

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