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Prologue

脳の働きが一瞬で変わる! 

いちばん簡単な方法

 

仕事もプライベートも、今一歩うまくいっていない気がする。なんとかしたいとい

う方。また一方で、いまの自分に、基本的にはまあ満足している。でも、もうワンラ

ンク、ステップアップしたいという方。

 

どちらの場合でも、自分の現状からの脱却や、目標達成をより早く、よりラクに実

現できる方法はないだろうか。そう考えている方は多いと思います。

 

目標を達成したいという思いを実現し、悩みを解決に向かわせる、そのためにいち

ばん確実に効果があがる方法が“脳をだます”ことです。

“脳をだます”というと、頭の中にクエスチョンマークをいくつも浮かべる方もいら

っしゃるかもしれません。

 

しかし、“脳をだます”とは、難しいことではありません。脳の働き方や性質を

よく知って、脳を働きやすい状態にすること。また、より効率的に勉強や仕事の成

3 Prologue

果をあげられるようにしたり、悩みを解決していく方法のこと。

“脳をだます”ことができるようになると、努力が不要になります。

 「えっ? 

そんなことができるの?」と驚く人もいらっしゃるかもしれませんが、実

は誰でも、すでに“脳をだました”経験をしているはずです。

 

その代表例の一つが暗示です。

「どうも二日酔いぎみで、仕事に集中できない」と言う人に、「これ、ちょうど昨日

実家に帰ったときに、実家近くで汲く

んできた湧き水。二日酔いによく効くんだよ」と

言って、ペットボトルの水を差しだす。それを飲んだところ、「さすがだね。軽い酸

味とコクがあるんだね。なんとなく気分もすっきりしてきた」と言い、実際、本当に

気分がよくなってくる。

 

実は、コップの水はただの水。脳は「湧き水」という言葉によって暗示を受けて、

味が違うと感じ、実際に気分の悪さまで解消してしまう……。

 

これが“脳をだます”ことの一例、暗示です。

 

スポーツ選手などがよくおこなうゲンかつぎも、ゲンがよいと信じていることを実

� 4

行することによって、「これで勝利は間違いない」と脳に暗示をかけているわけです。

 

私がよくセミナーでおこなう実験に以下のものがあります。

 

参加者をAとBの2チームに分けます。Aグループには「私はじゃんけんが強い」

と言ってからじゃんけんをしてもらい、Bグループには「私はじゃんけんが弱い」と

言ってからじゃんけんをしてもらいます。

 

AチームとBチームでペアになって、ある程度じゃんけんを繰り返してから結果を

集計する。いままで何度となくこの実験をしていますが、例外なく「私はじゃんけん

が強い」と言ってからじゃんけんをしたAチームの勝利数が多くなります。自己暗

示は確実に結果に響くのです。

 

そう言われてみると、常に自己暗示を使っている人と、使っていない人の人生は、

大きく変わってくることに気づくでしょう。

 

いまのは暗示の例ですが、脳には他にもさまざまな特徴があります。

 

脳は長いこと、ブラックボックスといわれ、その働き方や仕組みはなかなか解明さ

れませんでした。

5 Prologue

 

しかし近年、脳の研究は加速度的に進み、最近では脳の働きの大きな部分は「潜在

意識」といわれる、意識や知識、理論ではとらえにくい領域の脳の働きに大きく依よ

ていることがわかってきました。

 

ふだん、意識している脳の働きのことを「顕在意識」といいます。そのさらに奥底

にふだんは無意識に使っている「潜在意識」が潜んでいます。

 

人は脳のトータルな力の3〜10%ぐらいしか活用していないといわれています。と

くに、潜在意識はその名称どおり、これまでは意図的に使われることはあまりなかっ

た、といって過言ではありません。

“脳をだます”ことは、潜在意識に働きかけ、その力を引き出して使うことにも

通じる脳の新しい活用法です。

 

気がつかないうちに、「いつもの、慣れた方法」をおこなっているという慣性の法

則や、「言葉の影響を受けやすい」なども、潜在意識の特徴です。

“脳をだます”には、こういった潜在意識の特長的な動き方を知っておき、その動き

方を生かして使いこなすとよいのです。

� 6

○脳(潜在意識)の7つの特徴

 

詳しくは本文の中でお伝えしますが、脳(潜在意識)には、先の性質に加えて、以

下のような特徴があります。

1 「快」を求め、「不快」を避ける

 

脳(潜在意識)は気持ちのいいこと、うれしいこと、ワクワクすることが大好きで

す。反対に、つらいこと、苦しいこと、重く、うっとうしいことは大嫌い。

 

この傾向を知って、たとえば、英語の教材に、英語がしゃべれるようになったら行

ってみたいと思っている外国の写真を貼っておく。すると、教材を手にしただけで

ワクワクする→勉強する気になる。脳は軽く“だまされ”、その気になってしまう

のです。

 

チョコレートが大好き。でも、ダイエットのために、しばらくチョコレートとは訣

別しよう。そんなときは、チョコレートの箱にぶよぶよの三段腹の写真を貼ってお

7 Prologue

く。この写真を見ると不快になる→チョコレートを手にしたいという気持ちがなくな

ってしまう。

 

こんなふうに“脳をだまして”目的を達成するわけです。

2 

時間の認識がない

 

潜在意識には過去・現在・未来の認識、時間の認識がありません。過去・現在・未

来のどこか一点が悪いという認識があると、他の2つの時間もすべて悪いと認識して

しまうのです。

 

トラウマはその典型です。過去に嫌な体験をすると、それが現在にも引きずられ、

現在も嫌だと思い、将来も嫌だという思いを抱き続ける……。また、将来展望を暗く

考えてしまうと、現在の状況にも希望を感じられなくなり、それもこれも、過去のあ

の体験が悪いのだというように、過去まで暗く考えてしまいます。

 

こうした場合には、現在の思いを変えるようにすると、将来はもちろん、過去

の体験まで書き換えることができます。

 

子どものころ、いじめにあったという経験があったとしましょう。その後、いじめを

� 8

克服し、現在は明るく強

きよう

靱じん

な気持ちを持てるようになって、仕事にも燃えている……。

 

こういう人にとっては、いじめは困難な状況をはねのけるバネになったり、弱者へ

の理解力となるなど、人生に大きなプラスになっている。過去も現在も肯定する気持

ちは当然、将来に向ける視線も肯定的にし、積極的な将来展望を描くようになりま

す。

 

反対に、現在、パッとしない状況でうつうつとした毎日を送っていると、過去も否

定され、「あのいじめから、どうもオレの人生の歯車は狂い出した」と考えるように

なってしまうのです。将来への希望も目標も持てません。

 

こうした状況を脱するには、現在を「肯定的に受け入れる」ように、脳を切り

替えてしまうことがいちばん。

「現在を肯定的に受け入れる方法」や、逆に「過去や未来の認識を変えることによっ

て、現在を変える方法」などは、本文でいろいろご紹介していきます。

3 

人称の認識がない

 

潜在意識には、自分と相手を区別する人称の認識がありません。他人を憎んだり、

9 Prologue

嫌ったり、悪口を言ったりすると、その気持ちはそのまま自分に向けられてしま

うのです。自分で自分を好きになれず、自分の欠点ばかり気になる、自己否定的な

感情のとりこになってしまいます。

 

反対に、他人をほめたり、好きになると、その気持ちが自分に向けられ、自分が好

きになれ、自信や誇りも持てるようになります。

4 

言葉に左右される

 

真実とは異なる言葉を使ったとしても、脳は、実際に耳に響いた言葉をそのまま受

け入れます。マイナスの出来事が起こっても、それをプラスに言い換えると、脳

はプラスの思いを持つようになるのです。

 

たとえば、真冬の北海道に出張することになったとします。こういうとき、「寒い

ところに行くのは嫌だなあ」と言う代わりに、「幻想的な雪景色が見られる。楽しみ

だなあ」と口に出してみるのです。

 

現実の解釈をちょっと変えて、「快」なものだと錯覚させる。すると、同じ目標を

楽しい目標だと解釈するようになり、脳はみるみる高揚してきます。

� 10

 

一方、マイナスの言葉にも左右されます。「いつも、お若いですね」とほめられた

のに、謙遜して「いいえ、とんでもない。もう年ですから、最近は鏡を見るのが怖い

くらい」と否定的な言葉を返すと、本心から出た言葉でなくても、脳はその否定的な

言葉を認識してしまい、本当に年齢が浮きでた印象になっていってしまうのです。

 「お若いですね」「いつも素敵ですね」などとほめられたら、「ありがとうございま

す」とほめ言葉を素直に受け入れるようにするほうが、ずっといいのです。

 

ちなみに、50歳以上で、見た目が若い方は、ほぼ例外なくこの習慣を持っていま

す。

5 

否定形を認識しない

「遅刻しない

0

0

0

0

0

ようにしなくっちゃ」とか「先のことはわからないもの。あれこれ、将

来について心配しない

0

0

0

0

0

でおこう」というように、否定形で脳に思いを伝えるのは間

違い。

 

潜在意識は否定形を認識しないので、こうした言葉を伝えられると、「遅刻してい

る自分」「将来のことを心配している自分」を思い浮かべてしまい、その自分を実現

11 Prologue

しようという方向に動き出してしまいます。

 

たとえば、いま、本書を読んでいるあなたに私がこう言ったとします。

 「いま、この本を読んでいるときに聞こえている音は気にしない

0

0

0

0

0

でください」

 

どうですか。さっきよりまわりの音が気になりませんか?

6 

体の動きに左右される

 

脳も体の一部。脳は一般的に考えられている以上に、体の影響を受けるのです。

 

たとえば、頭を下げた状態で「将来のことを考えてみよう」と言われても、脳は将

来に向かって動いていきにくいもの。頭を上げ、視線を遠くに向けると、中・長

期的な未来について、考えはどんどん広がっていきやすいのです。

 

ためしに、バンザイをしてにっこり笑ってみてください。その状態のまま、ちょっ

と気がかりな嫌なことを頭に浮かべてみましょう。

 

やってみるとおわかりいただけるように、笑顔でバンザイ状態では、落ち込むこと

がないのです。反対に、落ち込んでいるときには、バンザイをしてにっこり笑ってみ

� 12

ると落ち込んだ気持ちが消えてしまいます。

 

体を使って感情や発想をコントロールする方法を「フィジオロジー」といいます

が、これについても本文で詳しくお伝えしていきます。

7 

条件づけや知覚位置によって考えが変わる

 

頭の中で未来の自分を思い浮かべ、その気になって未来の自分から現在の自分を見

る感覚を持つ。すると、それだけで現状を俯ふ

瞰かん

的、長期的に見ることができるように

なり、それまでの考え方がすっかり変わってしまったり、現状の問題点がクリアに見

えてきたりします。山登りのルートを頂上から見て決めるようなものです。

 

具体的なやり方は本文でお伝えしますが、人間関係でもめてしまった場合などに

は、実際に向かい合う2つの椅子を座り換え、自分の立場、相手の立場にそれぞれな

りきった気分になる。すると、相手の気持ちが見えてきて、誤解していたことに

気がついたり、相手に対する配慮が足りなかったことに気づくことがあります。

 

その結果、人間関係のトラブルは解消され、ビジネスが一気に好転しはじめた、と

いうようなことも実際によく起こります。

13 Prologue

 

こうした脳の性質や特徴を使いこなし、“脳をだます”ことが自在にできるように

なると、仕事や人間関係など、悩みがどんどん解消され、さらに改善に向かうので

す。

 

しかも、がむしゃらにがんばるとか、ひたすら耐えるということはまったく必要な

し。まるで、自動操縦の車に乗っているのと同じで、労せずして将来の目標やビ

ジョン、理想の実現に向かっていき、成功を手にすることができるのです。

 

さらに、目標やビジョン達成のプロセスそのものも、楽しみながら歩んでいけるよ

うになります。

 

私は、アメリカを中心とした世界各地で“脳をだます方法”、正確に言えば、脳の

力の引き出し方、脳の力を活用するさまざまなテクノロジーを学びました。

 

その後、教育ビジネスの会社「シナジープラス」を起業し、受講生やクライアント

の方と歩む中で独自に研究した発想やノウハウを学んだことに加えて、私自身も実践

してきています。

 

その結果、たとえば、海外の大学院に留学する、会社を軌道に乗せる、本を出版し

� 14

ベストセラーにする、などのビジョンが無理なく実現し、さらにその展望もどんどん

広がってきています。

 

何より受講生の方が成果を出されているのが大きな喜びです。年収アップ、転職の

成功、起業、人間関係の改善、結婚などの吉報を絶えずいただいています。

“脳をだます”方法を身につけると、

描いた未来に向かう行動がラクにできるようになる

気持ちを自在にコントロールできるようになる

自分自身とのコミュニケーションがスムーズにできるようになる

●�

他者の思いを理解できるようになり、人間関係がラクに、うまくいくようになる

 

などの成果を得られます。

 

これまで、セミナーや講演などを通じて、数千人の方々と出会ってきましたが、こ

の本で紹介する方法によって、ほとんどの方々が願う成果を手に入れたり、目指す方

向に向かって、しっかり前進できるように、大きく変わっています。

15 Prologue

 

そのための34の具体的なノウハウやアドバイスを紹介していきます。それらを実行

して “脳をだます”方法を身につけ、脳を思う存分、使いこなしてください。

 

今日、この瞬間から、まだ使い切っていない脳の可能性をもっと引き出し、最高の

人生の実現に向かって進み出しましょう。

「本当に簡単にできるの? 

……」

 

安心してください。脳をだませば努力は不要。すべてがうまく回り出します。

プロローグ 

脳の働きが一瞬で変わる! 

いちばん簡単な方法

……

2

脳(潜在意識)の7つの特徴

脳を“だまし”て、やる気を出す

01笑顔になって、脳を“だます”

……

24

朝の掃除で、いい気分が一日中続く/短期間で驚くほど英語力がつく秘策

02

恐怖心や不安を受け入れて、脳を“だます”

……

31

すべての感情は、よい結果を導いてくれる

03

小さな成功の連鎖で、脳を“だます”

……

35

脳が「きっとできる」と思うようになる法/視線の角度を上げるだけで、行動力が変わる

04

慣れることで、脳を“だます”

……

42

どんなことでも続けられる3つのポイント

05

思い込みを書き換えて、脳を“だます”

……

48

心のブレーキをはずす7つのステップ

06

自分にラベルを貼って、脳を“だます”……

55

脳 を“ だます ”とす べ て が うまく回り出 す     目 次

Part

1

ラベルを替えるだけで積極的になれる/“私は〜です”につられて脳もやる気に!

07

ラベルどおりの選択をして、脳を“だます”

……

61

脳をベストな状態に保つ秘訣/自転車通勤でセロトニンの分泌が盛んに!

08目標を具体化して、脳を“だます”

……

68

目標設定のための6つの質問法

09

強制ではなく、納得目標で、脳を“だます”

……

74

「〜します」とひとまず言ってしまう

10

エゴとラブで、脳を“だます”

……

79

自分を大事にするエゴも“必要”

脳を“だまし”て、感情を自在に操る

11

自己暗示で、脳を“だます”……84

暗示で睡眠不足が解消する/気持ちが軽くなる暗示

12

目的意識を伝えて、脳を“だます”……90

なぜ朝と夜は潜在意識とつながりやすいのか

Part

2

13

前向きの態勢をとって、脳を“だます”

……

95

気持ちが煮詰まったときの対処法

14

リンクを変えて、脳を“だます”

……

100

気持ちよく勉強できる魔法のスライド/対人不安を吹き飛ばす方法

15アンカリングして、脳を“だます”

……

106

いつでもポジティブな感情を引き出せる!/望む感情を引き出す回路をつくる法

16

違う角度から見て、脳を“だます”

……

113

もう一つの考え方とうまく付き合う/幸せをつかむ人、つかみ損ねる人の差

17

苦手意識を“上書き”して、脳を“だます”

……

118

嫌いなことには“プラスの上書き”をする

18

過去や未来を行き来して、脳を“だます”

……

122

過去のトラウマから逃れる法/潜在意識が目標に向かって動き出す

脳を“だます”言葉のチカラ

19

プラシーボ効果のある言葉で、脳を“だます”

……

130

「〜しない」という言葉は禁止

Part

3

20

毎朝の音読で、脳を“だます”

……

135

「いい質問」で脳を元気にする

21

ほめ言葉で、脳を“だます”

……

140

会話の最初と最後に感謝の気持ちを伝える/ほめられたら素直に喜んでみる

22ひとり芝居で、脳を“だます”

……

146

頭の中に3つの意見を持つ/恥ずかしがらずになりきる

脳を“だます”と人間関係がラクになる

23

相手の存在を五感で感じて、脳を“だます”

……

154

人は孤独にはなり得ない/言葉ではキャッチできない情報をつかむ

24

相手の感覚タイプを知って、脳を“だます”

……

162

相手のタイプは3つに分けられる/目の動きだけで相手の気持ちがわかる

25

互いの存在感をすり合わせて、脳を“だます”

……

170

互いの「地図」に共通点をつくる

26

相手の動作を真似して、脳を“だます”……176

幸せはかならず自分に返ってくる

Part

4

27

知覚位置を換えて、脳を“だます”

……

181

心の壁を取り外す方法/これまでわからなかったことに気づく

28

「波紋の法則」で、脳を“だます”

……

191

どんな石を投げるかで関係は変わる

脳が“だまされる”小さな習慣

29

カラーバス効果で、脳を“だます”

……

196

脳の学習効率が驚くほどあがる

30

サムシング・ニューをして、脳を“だます”

……

200

小さな「初めて」で脳の働きが活性化する

31

朝の「先取りありがとう」で、脳を“だます”

……

205

脳を感謝と楽しい刺激で満たす

32

憧れの人になりきって、脳を“だます”

……

210

三日坊主だった禁煙が簡単に成功!/ライブが持つエネルギーを受け取る

Part

5

33

未来の自分からいまの自分を見て、脳を“だます”

……

217

未来の自分にインタビューする

34

成長を“見える化”して、脳を“だます”

……

221

手帳でモチベーションを操る

エピローグ 

感謝力・幸福力を強化していく

……

226

感謝は幸福につながる

コントリビュートという気持ちを大切に

成功よりハピネス

世界中があなたの味方である

Part1やる気を出す

脳を“だまし”て、

� 24

01笑顔になって、

脳を“だます”

 

いつも明るく、笑顔をたやさない人もいれば、どちらかといえば寂しく、沈んだ表

情をしている人もいます。客観的に見た2人の状況はあまり変わらないのに、です。

 

もちろん、性格の違いもあれば、体調の良し悪しもある。沈んだ表情の裏に、何か

事情が隠れていることがあるのかもしれません。でも、いちばんの違いは、感情の

コントロールの仕方を知っているか、いないか。私は、そう思っています。

 

明るく楽しい感情を抱くには、いいこと、好きなこと、ハッピーなことに囲まれて

いなければダメ。そうでなければいい感情にはならないと思っている人もいるかもし

れません。いいことがあるからいい感情になる。逆に、嫌なことがあるから暗い感情

になる。誰もがそう思いがちです。

 

たしかに出来事は感情を引き起こします。しかし、必ずしも、いつでもそうだとい

25 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

うわけではない。感情は自分でコントロールすることができるのです。

 

たとえば、鏡に向かって思いきりの笑顔をつくってみる。別におもしろいことなど

何もなくても笑顔はつくれます。はじめのうちは無理につくった笑顔でも、笑顔を続

けているうちに、だんだん気持ちが明るくなってくるのが感じられるでしょう。

 

実は、「いい気分になるのに理由はいらない」のです。

 

気分がいまひとつ盛り上がらない日があったら、無理にでも笑ってみる。満面の笑

みを浮かべてみるのです。それだけで気持ちは大きく変わり、やる気が出てくるも

の。生理学的にも、笑顔をつくると表情筋が動き、その結果、脳に盛んに血流がいく

ようになり、脳の働きが活性化されるのです。

 

つまり、何かいい気分になることをして、脳をいいモードにしてしまう。こう

して脳を“だまし”て、やる気のスイッチをオンにするわけです。

○朝の掃除で、いい気分が一日中続く

 

私の場合、朝起きたら、自分の顔を磨きます。“磨く”? 

具体的には、まず鏡を磨

� 26

く。それから鏡の自分に向かって最高のいい笑顔を送る。つまり、鏡の中の自分を最

高の笑顔にするわけです。

 

それから、玄関とトイレを掃除することを習慣にしています。といっても、ぞうき

んでたたきや床を拭く程度ですが、意外にほこりがあるもので、「あれ、一日で、け

っこう汚れていたんだ」と驚くくらい。本当にさっぱりします。

 

もともとこの習慣は、以前、ある女性経営者の方から、「玄関と水まわりをきれい

にしておくと厄落としになり、いいことが起こるといわれているのですよ」と聞いた

のをきっかけにはじめたこと。

 

だから、玄関とトイレを掃除すると、自然に、「今日もきっといいことが起こる。

いい一日になる」と思えてきて、実際、本当にいい気分になります。

 

朝を快適な気分でスタートすると、いい気分は一日中続きます。つまり、一日

中、明るく元気でいられ、前向きの考え方を保てるのです。

 

朝の掃除は結果的に、脳を“だまし”てやる気や元気を呼び覚まし、一日中、よい

エネルギーで自分を満たすきっかけづくりだといえるかもしれません。

27 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

○短期間で驚くほど英語力がつく秘策

 

いい気分にすることがなぜ大事なのかといえば、脳は「快」のモードのほうがずっ

とよく働くからです。好きなことを増やし、いい気分になることを身につけると、

脳の働きを強化・拡大化できるのです。

 

英語力をもっとつけたい。そう思い、厳しい予定を組んで、毎日、歯をくいしばっ

て勉強する。もちろん、これでもそれなりに英語力はついていきます。

 

でも、同時に忘れてならないのは、英語を話すネイティブの友だちや恋人をつくる

ことです。

 

友だちに会うと、脳は自然に「快」のモードに入り、その結果、活性化されます。

この状態で英語を聞いたりしゃべったりするのですから、どんどん吸収され、短期間

に驚くほど英語力がついていきます。

 

友だちと語り合うのは楽しいことだから、脳は「快」のモードに。勉強はいうまで

もなく、スポーツなどでも「快」になることは想像以上に大事なのです。

� 28

 

女子プロゴルファーの宮み

里ざと

藍あい

選手のメンタルコーチは、「ミスをしたら笑顔にな

ること」「リラックスが大切だ」ということを徹底的に言っているそうです。宮里

プロが世界ランク1位になった陰には、脳を「快」にする習慣が身についてきたとい

う事実があるのではないでしょうか。

 

TOEICなどのスコアアップを目指すというような場合には、体系的に勉強する

ことが不可欠です。でも、実用レベルの英語なら、ネイティブ・スピーカーの友だち

や恋人をつくることも効率のいい方法です。

 

勉強でも仕事でも、成果を確実にあげるには、できるだけ楽しみながらやる方法を

工夫してみるとよいでしょう。勉強する場所も窓辺に緑がそよいでいるような心地よ

い環境の図書館とか、お気に入りのカフェなど、快適な環境を選ぶことをおすすめし

ます。

 

何か楽しいことを思い浮かべて、「快」モードに切り替えてから、仕事や勉強

にとりかかることも有効です。

 

英会話のテキストにブロンド美女の写真のカバーをつけて、手に取るたびにニンマ

リしたり……。気分が落ち込んでしまったら、いちばん好きなこと、たとえば、サー

29 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

脳を「快」で満たすとやる気が湧いてくる!

脳は「快」のモードのほうが働く

朝起きたら、いい気分になることをする

仕事も勉強もはかどる

� 30

 

人にはどうしても好きになれない、苦手、怖い、不安などの「不快」な感情がある

もの。こういう不快感を持っていると、脳の働きはどうしても鈍くなってしまいます。

 

たとえば、ある人を苦手だとか、怖いと意識すると、その人から、自分の名前を呼

ばれただけでギクっとして、何を言われるのだろうと不安でいっぱい。向かい合って

も、相手の目をまともに見ることができず、おどおどギクシャク。思ったことの半分

も口に出せなかったりする……。そんな経験はないでしょうか。

 

その結果、コミュニケーションが不足する。意思の疎通が十分できていないから、

誤解を招きやすく、さらに食い違いが起こり、ますます苦手意識が増幅する。こうし

た悪循環におちいってしまうことも少なくないのです。

 

苦手意識や恐れ、不安は一見、ないほうがよい感情のように思われます。でも一概

フィンが好きなら、サーフィンをしている自分、ビッグウエイブをとらえてかっこよ

く波に乗り、楽しい気分にひたりきっているというイメージを思い浮かべて、その快

感で脳を満たすようにしましょう。

 

実際にはサーフィンをしているわけではないのですが、サーフィン中のノリノリの

気分、かっこいい自分にちょっと酔ってうっとりとしているいい気分……こうした感

覚を思い浮かべるだけで、脳はすっかりその気になり、「快」の状態に変わります。

その結果、やる気もどんどん湧いてきます。

 

これも、脳を“だます”方法の一つです。

31 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

02恐怖心や不安を受け入れて、

脳を“だます”

 

人にはどうしても好きになれない、苦手、怖い、不安などの「不快」な感情がある

もの。こういう不快感を持っていると、脳の働きはどうしても鈍くなってしまいます。

 

たとえば、ある人を苦手だとか、怖いと意識すると、その人から、自分の名前を呼

ばれただけでギクっとして、何を言われるのだろうと不安でいっぱい。向かい合って

も、相手の目をまともに見ることができず、おどおどギクシャク。思ったことの半分

も口に出せなかったりする……。そんな経験はないでしょうか。

 

その結果、コミュニケーションが不足する。意思の疎通が十分できていないから、

誤解を招きやすく、さらに食い違いが起こり、ますます苦手意識が増幅する。こうし

た悪循環におちいってしまうことも少なくないのです。

 

苦手意識や恐れ、不安は一見、ないほうがよい感情のように思われます。でも一概

� 32

に、ネガティブな感情はないほうがいいとはいえないのです。

「あらゆる感情は自分の味方」。すべての感情は自分を守るために起きている。す

べての感情には肯定的な意図があるのです。

 

たとえば、高所恐怖症で、高いところに登るなんて、考えただけで怖い。足がすく

んでしまう、という人がいます。でも、程度の違いはあっても、誰でも高いところは

怖いのです。

 

高いところに行けば足がすくみ、下を覗のぞ

き込むなんて、考えただけで体が震えてく

る。こんな恐怖心や不安は、ちょっと考えるとなくしたほうがよいと思えますが、実

は、けっしてそうではないのですから、人間は複雑にして、おもしろい生き物なのです。

○すべての感情は、よい結果を導いてくれる

 

よく考えると、このとき浮かぶ恐怖や恐れは、高いところは危険だということを教

えてくれているわけです。足がすくむのは、危険なところには近づかないほうがよい

と判断して脳がかけたブレーキ。恐怖や恐れは、自分を守るために自分自身が起こし

33 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

苦手意識を受け入れると脳のブレーキがはずれる!

あらゆる感情は自分の味方

あがり症だからうまくいかない

あがり症だから本番までにきちんと準備ができる

� 34

ている感情なのだと気づくでしょう。

 

自分が抱くすべての感情は、自分にとってよい結果を導こうとしているもの。すべ

ての感情には肯定的な意図があるのです。

 

そうした感情の仕組みを理解したうえで、恐怖を受け入れ、ラクな気持ちになれ

るようになると、脳のブレーキがはずれ、やる気のスイッチをオンにできます。

 

何らかの苦手意識や恐怖や不安にとらわれてしまった場合は、視点を切り替えて、

苦手意識や恐怖、不安が持つ肯定的な意図に目を向けてみましょう。

 

すると、恐怖は恐怖でなくなり、不安感もなくなります。いや、恐怖や不安に対し

て、むしろ、感謝さえ湧いてくる。

 

ここまでくれば、気持ちは肯定的な方向にはっきりと向き変わり、恐怖や不安をな

くすためのさまざまな行動を考えられるようになっていくもの。

 

こうしたプロセスを「ダンス・ウイズ・フィア」(恐怖心とダンスしようぜ)と

いったりします。恐怖心をポジティブなエネルギーに変えて、一緒に踊り出す。ネガ

ティブな感情を逆転させ、未来に向かって躍進していく姿を象徴する、なんだかワク

ワクしてくるし、勇気が湧いてくる言葉です。

 

現状にけっして満足しているわけではない。それどころか、このままではいけない

という気づきもある。それでも、現状を大きく変える勇気が持てなくて足踏みしてい

る……という人も少なくないかもしれません。

 

こうした気持ちは、健全である証だということもできるのです。突然、現状から

遠くに飛び出そうとするのは危険。ハードルを越える場合も、いきなり現在の5倍

の高さを飛び越えようとすると、いくら助走をつけたとしても、おそらく、壁に激突

して惨敗! 

という結果に終わるだけです。

 

はじめは1・1倍の高さに挑戦。次は1・5倍の高さに。こうして2倍、3倍と高

さを積み上げていけば、いずれは5倍、いえ、それ以上のハードルをクリアできるよ

うになっていかれるでしょう。

35 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

03小さな成功の連鎖で、

脳を“だます”

 

現状にけっして満足しているわけではない。それどころか、このままではいけない

という気づきもある。それでも、現状を大きく変える勇気が持てなくて足踏みしてい

る……という人も少なくないかもしれません。

 

こうした気持ちは、健全である証だということもできるのです。突然、現状から

遠くに飛び出そうとするのは危険。ハードルを越える場合も、いきなり現在の5倍

の高さを飛び越えようとすると、いくら助走をつけたとしても、おそらく、壁に激突

して惨敗! 

という結果に終わるだけです。

 

はじめは1・1倍の高さに挑戦。次は1・5倍の高さに。こうして2倍、3倍と高

さを積み上げていけば、いずれは5倍、いえ、それ以上のハードルをクリアできるよ

うになっていかれるでしょう。

� 36

 

最初の一歩は小さく踏み出す。このほうがうまくいく可能性はぐんと高いのです。

 

自分を変えてみたいと思ったら、最初は、すでにしっかり習慣になっていること、

マンネリ化していることに、小さな変化をつけることからはじめてみましょう。

・いつもより、15分早く出社してみる

・髪形を人目にわかるくらい、変えてみる

・これまで着たことのない色の服やネクタイをつけてみる

・駅で買う新聞の種類を変えてみる

・駅から会社まで、ふだんとは違う道を歩いてみる

 

こうした小さな変化でも、脳にとっては新鮮な刺激となります。それまで慣れきっ

ていた日常習慣に新鮮な風が吹き込まれ、やる気を送ってくれる。脳に元気が伝わっ

ていくのが感じられるはずです。

 

脳内には神経回路が網の目状に広がっています。いつも体験している刺激だと、い

つもの決まった回路を通って、決まった行動を起こすだけ。

 

ふだんと違ったことをしてみる。その結果、脳にふだんとは違った刺激が伝えら

37 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

小さな自信を積み重ねるとさらに大きなやる気が起きる!

小さな挑戦と成功で自信を積み重ねる

毎朝 4 時に起

きて、英語と

中国語を勉強

して、仕事の

準備をして…

15分早く出社する

� 38

れると、脳は新鮮な刺激にふさわしい行動を導き出そうとし、いつもとは違う回

路を探し出そうと張り切るのです。

 

いつもより早く出社したら、誰もいない社内がとても新鮮でいい気分を味わえた。

口紅の色を変えたら、「いい色ね」とほめられた。こうしたいい気分やちょっとした

自信が、自分を後押ししてくれて、より大きな変化へチャレンジする力をもらえるこ

とにもつながります。

 

変化のサイクルはこうしたきっかけから回り出すことが多いのです。

○脳が「きっとできる」と思うようになる法

 

求める結果に向かって、いきなり全力投球しようとすると、アクションを起こすた

めの負荷が大きくなりすぎてしまい、結果的にかえって行動に移しにくい、というこ

ともよくあります。

 

全力投球に移る前に軽くウォーミングアップをするように、むしろ小さなアクショ

ンからはじめたほうがいい場合が多いもの。やる気の導火線の端に火をつければ、シ

39 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

ュルシュルと燃えていき、やがて、自分の中のエネルギーが炸さ

裂れつ

します。

 

実際のアクションも同じです。やる気の導火線に火がついたと感じたら、まず、

何かアクションをしてみましょう。変化をつけてみましょう。どんなことでもい

いのです。すると、わずかだけれど、達成感に似た感情が湧いてくるはず。

 

この段階の達成感はまだ小さいけれど、確実に自信を生みます。小さな自信でも、

自信を持てたという実感から、さらに大きなことへの意欲がかきたてられる。その結

果、きっとできるという自信も湧いてくるはずです。

「小さな変化への挑戦→成功→自信→より大きな変化への挑戦→成功→自信→もっと

大きな変化への挑戦……」

 

これが、大きな変化を成功させる図式です。次々と、より大きなやる気や行動を引

き出していく連鎖反応も、脳の特性の一つなのです。

○視線の角度を上げるだけで、行動力が変わる

 

やる気を出す。これは意識の問題のように見えますが、それだけではありません。

� 40

 

意識には、自分で意識できる領域と、自分では意識できない無意識の領域がありま

す。自分でコントロールできるのは手、足を動かすことなど。自分ではコントロール

できないものが、内臓の働きや知覚、感情の動き。さらには、朝、起きたらトイレに

いくなど、ごく自然にやっている行動もコントロールしている行動とは別範はん

疇ちゆうで

す。

 

やる気も自分の意志だけではコントロールできにくい、無意識の領域に入ります。

 

無意識の領域を動かしたり、働きかけたりするのは難しいと考えている人もあるか

もしれません。ところが意外に簡単な方法があるのです。

 

いちばん簡単な方法は体を動かすこと。体を動かすことは、無意識の領域を直接

的に刺激します。たとえば、階段を使うなど、朝の通勤経路での運動量を少し増や

すだけで、オフィスに着いたときのモチベーションはかなり変わります。

 

こんなことで、と思うような小さなアクションで確実にやる気にスイッチが入り、

オンにできます。一例として、視線を上げるだけでも、気持ちは大きく変わります。

 

人は、視線を30度上げると、気持ちが前向きに動き出すといわれています。

「ふたりの囚人が鉄格子から外を見ている。ひとりは泥を。ひとりは星を」

 

アイルランドの作家フレデリック・ラングブリッジの有名な詩です。たとえ囚われ

41 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

の身になっても、視線の角度を変えれば、見える光景・世界観は文字どおり、天と地

ほど変わること、変えることができることを謳うた

ったものです。

 

まず、視線を上げる。椅子から勢いよく立ち上がる。手を固く握って、空に突き出

す……などの小さなアクションを起こす。そして、気持ちが変わったら、変わった実

感を脳にしっかり伝えることが大事です。

 

脳は変化することで気分が一新し、「快」状態になります。その結果、もっと大

きな「快」を求めて動き出します。

 

こうして、脳を操縦していく感じをつかんでください。小さな変化からはじまり、

やがて、大きなチャレンジもできるようになるという自信を感じながら。

� 42

04慣れることで、

脳を“だます”

「継続は力なり」という言葉があります。どんなことも一度や二度、実行したくらい

では、結果らしい結果にはつながりません。

 

こつこつ努力を続けていく。そうした人の上には、必ず、成功が訪れます。

「自分には続ける才能がない」

 

そんなふうに開き直っている人もいるかもしれません。

 

今年こそ、英語をマスターするぞと張り切って購入した英語勉強のCDセット。気

がつくと、封を切ったのは「レッスン1」だけ。勉強だけではなく、ついこの間ま

で、あんなにはまっていたゲームにもう飽きてしまった。こうして、いつの間にかや

る気を見失っていく……。

 

こういう人にもっともいい方法もちゃんとあります。それは、「慣性の法則」を利

43 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

用すること。

「脳は慣れやすい」という特性を活かして、英語の勉強を毎日の習慣にしてみる。習

慣にしてしまえば、あとはラクに続けていくことができるからです。長く続けるため

にはこの方法がいちばんです。

○どんなことでも続けられる3つのポイント

「でもその習慣化ができないんです……」となりそうですが、習慣化には3つのポイ

ントがあります。

 

第1のポイントは、はじめの21日間はなんとかふんばること。

 

たとえば、健康とダイエットのために、朝、30分〜1時間ぐらい、ウォーキングを

することに決めたとします。

 

決めた以上、はじめのうちは毎朝、眠くても、ちゃんと家を出て歩く。どうしても

時間がないという日は、家を出ることだけでも必ず実行する、これが大事です。

 

習慣化の形成には、普通、21日間ほどかかるといわれています。つまり、最初の

� 44

3週間はちょっと自分に負荷をかける。すると、その後はそれほど力まなくても、

自然に目指す方向に向かって、行動できるようになっていきます。

 

第2のポイントは、ハードルを下げても続けること。

 

いったん、慣性が身についても、ある日、ふっと、「今日は面倒だなぁ」とか「今

日はやめておこうか。また、明日から続ければいいのだから」というような気持ちが

浮かんでしまうこともあるでしょう。

 

これは、慣性の法則が乱れたり、崩れたりする最初の兆きざ

しです。この兆しを感じた

ときは、実行項目のハードルを下げてでも、なんとか継続する。すると、やる気は先

へと続いていきます。

 

朝型の生活に切り替えようと決意して、毎朝5時に起床する、と決意したとしまし

ょう。

 

最初の数日は5時にしゃきっと起きた。ところがある日、目覚まし時計の音で一応

目は覚ましたものの、「眠い。もう5分だけベッドの中にいたい」という思いが断ち

切れない。この5分が10分になり、10分のはずが30分になり……。結局、早起きをは

45 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

じめる前と同じ7時に起きてしまった。

 

こうなると元の木阿弥。翌日も、その翌日も7時起きになってしまい、ウォーキン

グを続けるという目標は達成できなくなってしまいます。

 

こんなときは、目覚ましで目を覚ましたら、ウォーキングはできないまでも外

に出ることだけはするのです。つまり、ハードルを下げても継続はする。

 

ふだんは1時間歩くところを、そんな日は10分ぐらい歩いてやめるのでもOKで

す。その結果、ウォーキングを続けることができ、ウォーキング習慣を身につけよう

という決意を見失わずにすむのです。

 

いや、起きるだけでも上出来! 

です。起きたついでに、一歩外に出てみる。これ

だけでもいい、と考える日があってもいいでしょう。

 

第3のポイントは、週に1回は積極的にサボること。

 

最初からあまりにも厳密でガチガチのルールにしてしまわないことも大事です。た

とえば、飲み会の翌日はパスを認める、というように例外を設定しておきます。た

だし、甘えにならないように例外は事前に設定しておくこと。

� 46

 

また、週1日はノータスクデーを設けてあえてサボるのも有効。毎週日曜だけはタ

スクを設けずに自由に過ごすなど、サボる日を決めるのです。

「やりたい」という気持ちとやる気をあえてとっておく。すると翌日からまたテンシ

ョンを上げることができ、1日休んだことによりリラックスした脳が新鮮な気持ち

でタスクからの学びを吸収できるのです。

 

ただし、積極的にサボるのは週1回に。曜日も決めておくべきです。体調が悪いと

きは別ですが、「2日続けてサボるのはなし」などと歯止めを用意しておくこと。

 

脳には慣性の法則が働いているのです。修正が遅れると、今度はサボることが習慣

化されてしまうこともあり得る、というわけですね。

47 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

無理なく習慣化

最初の 21日間はハードルを下げてでも続けること!

これで続けられる! 習慣化のポイント

早起き

21日間続けると…

週 1日はサボる日をつくるとやる気が続く!

語学の勉強 ダイエット

� 48

05思い込みを書き換えて、

脳を“だます”

 

最悪の自分と最高の自分。両方向のイメージを使いこなして、どちらからでも、や

る気を発火できるようにしておく方法もあります。

 

脳へのアプローチを変えて、まず、ネガティブな意識をきれいに払しょくする。そ

の後、今度はそれを払しょくすると、どんないい結果になるか、最高の状態の自分を

思い浮かべる。

 

このプロセスを段階的に踏んでいき、苦手意識や恐怖心を書き換え、最高の未来に

向かっていく大きな力を得るのです。

 

この書き換えは、以下に紹介する7つの段階を踏むと、スムーズに進められます。

たとえば、「人前で話すことが苦手だ」という意識の書き換えは、次のように進めて

いきます。

49 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

○心のブレーキをはずす7つのステップ

1 

過去の後悔をかみしめる

 

これまで、「人前で話すことが苦手」だったために失敗したこと、失ったことなど

を思い出してください。自信を失った。チャンスを失った……。さまざまな思いが脳

を去来することでしょう。その思いをありありと感じてください。

 

2、3分かけてその後悔をかみしめ、脳のすみずみまで行きわたらせていくイメー

ジを持つようにします。

2 

最悪の未来をイメージする

 

このまま「人前で話すことが苦手」であり続けたら、どんな結果になるかを想像し

ます。

 

せっかくのよいアイデアも人前でうまく発表できなければ取り上げてもらえない。

だから、いつまでも力を発揮するチャンスを得られず、評価も得られない。くすぶり

� 50

続けているうちに存在感がなくなり、発表する機会さえ与えられなくなっていく自

分。自信はますますなくなり、その結果、どうなってしまうか。どんどんイメージを

進めて、最悪の状況におちいった自分をありありと思い描いていくようにします。

 

目標を見失い、将来ビジョンも描けない。そんな自分に向けられる周囲の目。何よ

り、打ちひしがれ、幸福感を感じられない日々を送る自分……。そのうちに、イメー

ジを進めることが恐ろしくなってくるでしょう。その恐怖をとことん、極限に達する

まで突き詰めていきます。あえてネガティブな側面のみを見ていきます。

 

最悪の自分。思わず目をそむけたくなるような恐怖感。この段階では、その恐怖を

可能なかぎり深く受け止め、全身で感じることが大事です。「もうこんな自分は嫌

だ!」と叫びたくなるくらいまで続けます。

3 

最悪の自分像を打ち壊す

 

次におこなうのは、この最悪の自分を打ち壊すこと。それも思いきり荒々しく。

 

脳のスクリーンに映し出されている最悪な状態の自分の映像を、電源を引っこ抜く

イメージで突然、消してしまう。その映像を録画したDVDを足で踏みつけて

51 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

粉々に砕く。これらは、頭の中に実際の光景をありありと思い浮かべながら、おこ

なってください。実際に足で踏みつける動作もしてみましょう。

 

こうしたことで、脳は“だまさ”れ、苦手意識から抜け出せることが多いのです。

 

もっと有効なのが、実際に苦手意識を破り捨てること。紙に「私は人前で話すこと

が苦手だ」と断ち切りたい意識や不安を書き出し、その紙をビリビリと破って捨てる

のです。

 

苦手意識がそうとう根深い場合は、最悪のイメージの破壊を何回か繰り返しておこ

なってみてください。

4 

最高の未来をイメージする

 

いま捨て去った思い込みや後悔に代わる新たな信念と決意を固めます。

「私は人前でスピーチするのが得意だ」「プレゼンの名人になる」などと決意する。

さらには、社内会議で説得力に満ちたトークを展開している姿、自信に裏付けられ、

いきいき輝いている表情……など、その先に訪れるであろう自分の最高の未来像

もしっかりと描き出し、脳に焼き付けます。

� 52

 

これは先ほど壊したDVDの代わりに、新しいDVDをデッキに挿入して、映像を

確認するイメージを持つといいでしょう。

5 

感情だけでなく、論理でも納得する

 「人前で話すことが苦手だ」というマイナス感情がなくなると、どんなに素晴らしい

ことが起こるかを、具体的に思い浮かべていきます。

 

企画が採用されることが増える。人間関係がうまくいくようになる。キャリアが上

がる。年収がアップするなど、思い浮かべるメリットは論理的、実利的なものも

含め、その利点を頭でしっかり理解するようにします。

 

今度は感情ではなく論理で考えるので、紙に書き出していくほうがいいです。

6 

しっかり決意し、決意文を作成する

「私は人前で話すのが得意だ」という信念を持ち、さらに、「人前で話す機会を積極

的に増やす」「家で、人前で話す練習をする」……など、実際に、苦手克服のために

どんな行動をとるのか、決意文を書きます。

53 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

苦手意識を克服して得られるポジティブな成果をイメージすることも忘れずに!

心のブレーキをはずす方法

鏡の前で練習するなど具体的なアクションを実行する

苦手意識を克服するためのアクションを決意文にする

苦手意識を克服した自分の姿をイメージする

人前で話すのは苦手

過去の失敗や最悪の未来をイメージする

最悪な未来の映像を粉々に壊す動作をイメージする

1

2

34

5

6

� 54

7 

決意を行動に移す

「決意文」を見ながら、自分で決めた行動をしっかり行動に移していきます。決意文

を手帳などにはさんでおくといいです。心に迷いが生じたときは、その決意文を音

読すると、不思議と迷いが消えていきます。

 

こうして7つの段階を踏んでいくと、脳がスムーズな回路を経て“だまさ”れてい

き、苦手意識がみごとに逆転。苦手や恐れを、モチベーションをキックオフする

力に変えられます。しだいに、ワクワクと弾むような期待感も加わって、いっそう

大きな力になっていきます。

 

仕事の達成を目指すときばかりでなく、ダイエットを成功させたい、タバコをやめ

たいというときなども、この7段階で脳を“だまし”、思い込みを書き換える方法は

おすすめです。

 

私の会社のセミナーでもおこなっているワークです。これまで失敗を繰り返してき

た、そんな人の中から、すでにたくさんの人が、この方法で、最高の自分の未来像に

向かって、確実に前に進み出しています。

 

自分の人生や生き方を考えるとき、何をいちばん大事だと思うか。それを決定する

のは、自己をどういう存在だととらえているか、どんな自己認識を持っているか、自

分の価値をどう意識しているか、ということです。

 

自分は会社員であるとか、学生である、医師であるというような自己認識。自分は

自立している。自分は意志が弱い。自分はモテる・モテない……など、人は自己をさ

まざまな角度からとらえています。この自分意識をアイデンティティといいます。

 

アイデンティティが、自分で確立したものなのか、他者の認識を映しとったものな

のか、ここが肝心です。自分で確立したものだと思っていても、実は、社会通念

や一般的なイメージをそのまま自己認識にしてしまっていることも少なくないか

らです。

55 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

06自分にラベルを貼って、

脳を“だます”

 

自分の人生や生き方を考えるとき、何をいちばん大事だと思うか。それを決定する

のは、自己をどういう存在だととらえているか、どんな自己認識を持っているか、自

分の価値をどう意識しているか、ということです。

 

自分は会社員であるとか、学生である、医師であるというような自己認識。自分は

自立している。自分は意志が弱い。自分はモテる・モテない……など、人は自己をさ

まざまな角度からとらえています。この自分意識をアイデンティティといいます。

 

アイデンティティが、自分で確立したものなのか、他者の認識を映しとったものな

のか、ここが肝心です。自分で確立したものだと思っていても、実は、社会通念

や一般的なイメージをそのまま自己認識にしてしまっていることも少なくないか

らです。

� 56

 

初対面の席で名刺を交換する。このとき、名刺を見た瞬間に、相手の人間性や志向

性などを勝手にイメージしている。そんな自分の脳の動きに気づいたことはないでし

ょうか。

 「ABC化学会社 

営業部 

首都圏地区エリアマネージャー 

○山△介」

 

という名刺から、化学系の会社で働いているのだから、論理的に思考する理数系人

間ではないか。でも、営業のプロだから、コミュニケーション力にすぐれた、社交的

な人に違いない……などと。

 

営業マン=人付き合いがうまくて、トークの達人。一方、クリエイティブな発想は

どちらかというと得意ではなさそう。このように人にラベルを貼って、パターン化し

てとらえる傾向のことを「ラベリング」といいます。

 

血液型性格分析などもその一つです。A型の人はまじめで、責任感が強い。でも、

自己表現が下手で、人間関係がやや堅苦しい。B型の人は明るく、行動的でリーダー

に向いている。反面、マイペースでお天気屋という面もある……。

 

人は一人ひとり、それぞれ個別の存在で、性格も行動傾向も違うことはよくわかっ

ている。それでも、A型、B型などと、ひとまとめにしてラベルを貼ってしまう。よ

57 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

くやっていることです。

 

実は、人は、自分に対してもラベリングをおこなっています。「実は、私、○○が

苦手でして……」などと自己紹介する人がありますが、こうした思い込みは自分への

ラベリング。その思い込みにシバラれてしまっていることも多いのです。

 

では、そのラベリングを替えてみたら……。

 

そうなのです。ラベルを貼り替えるだけで、脳を“だまし”、自己意識、アイデン

ティティを書き換えることができます。前向きのラベルに貼り替えれば、ポジティ

ブなエネルギーを充満させることができるのです。ラベリングを活用して、脳をエ

ネルギッシュに働かせるように変えてしまうわけです。

○ラベルを替えるだけで積極的になれる

 

ひとりのパン屋さんがいたとします。この人が、「自分はパン屋だ」というラベル

を貼っている間は、扱う商品はパンだと限定的に考えるだけ。パン以外に発想をふく

らませていこうという思いそのものを持たないでしょう。

� 58

 

明けても暮れても、粉まみれになってパンをつくり、店で売ることの繰り返し。い

つまでも暮らしや自分自身に対する認識はさほど変わらないかもしれません。

 

このパン屋さんがラベリングを替えるとどうなるでしょう?

 

たとえば、「私は手作りの食べ物の提供を通じて心と体の健康を促進するヘル

スクリエーターだ」という自己認識に変えてみる……。

 

こうした自己意識を持つと、扱う商品も「手作りのやさしさが伝わる食べ物」へと

広がっていきます。同時に「顧客の心身の健康を促進する」という使命感も感じるよ

うになっていくはず。

 

その結果、ヘルスクリエーターとしての能力が開花し、視野も広がるので、さまざ

まなビジネスシーンが目に飛び込んでくるようになっていきます。心の豊かさについ

て、本当の健康とはどのように手に入れるか、ということについてなど、さまざまな

方向から積極的に学びはじめるようになるでしょう。

 

その結果、扱うアイテムの個性が深まり、種類も広がり、顧客数も格段に増え、売

り上げも大きく伸長。顧客との信頼関係は強く結ばれ、何よりも顧客の心身の健康の

ために貢献しているという思いに満たされて、やり甲斐、生き甲斐を実感する毎日を

59 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

送るようになっている。そんな未来が開けてくるかもしれません。

 

驚く人も多いでしょうが、パン屋だという自己認識と、ヘルスクリエーターだとい

う自己認識。ラベルの貼り替えは、ここまで大きな影響をもたらします。

 

いうまでもなく、他の仕事についても同じです。

 

たとえば、コピー機器の販売員をしている人がいます。販売のかたわら、メンテナ

ンスもおこなっており、オフィスのすみに置かれたコピー機と手を真っ黒にして格闘

することもしばしば。

 

もちろん社会的に役に立っている素晴らしい仕事です。ただ、自分はコピー機器の

販売員、メンテナンス要員だというラベルを貼っているかぎり、次のステップにいく

ことは難しいかもしれません。

 

でも、この人が、「私は、オフィス用品を通じて、よりよいオフィス環境を実現す

る。さらには、オフィスの人間関係を含めたすべてのコミュニケーションを円滑にす

るためのツールや技術を提供するという使命を果たしているのだ」というラベルに貼

り替えれば、将来が大きく開けていく可能性は格段に広がっていくはずです。

� 60

○“私は〜です”につられて脳もやる気に!

 

アイデンティティを変え、ラベルを貼り替えるときには、自分が社会に対して果た

すべき使命、ミッションを意識すると、いっそうの推進力が得られます。

 

さらに、自分はどのように社会に貢献していくのかを言葉に出して言ってみましょ

う。たとえば、衣料品の販売員ならば、「私は洋服の販売を通して、人の心に喜びと

満足感を与える人です」。編集者ならば、「私は書籍を通じて、人に目標に向かって踏

み出す勇気を与え、背中を押す人です」というように。

 

ラベルを貼り替えるときには、「〜です」と必ず現在形を使うことが重要です。

現在形を使うことによって、自分はすでに、貼り替えたラベルの人になっている、と

いう実現感を味わい、脳はいっそう“だまされ”やすくなるのです。

 

貼り替えた新しいラベルは手帳に書き留めるなどして、繰り返し読んだり、口に出

していると、自分にしっかり定着し、やる気もいっそう加速されます。

 

判断や決断をくだすときには、このラベルを意識して決めるようにすると、そのラ

ベルはさらに自分にしっかり定着していきます。

 

AかBか、判断に迷ったときには、Aのメリット・デメリット、Bのメリット・デ

メリットを分析して、よりメリットが多いほうを選ぶのが一般的な選択方法です。

 

しかし、自分のラベルを重ねて考えてみると、「Bは、メリットは少ないかもしれ

ない。でも、今回はBを選ぶべきだ。なぜならそのほうが自分らしい生き方だから」

と、自分が心底、納得できる選択ができるように変われるのです。

 

たとえば、転職の話が舞い込んだとしましょう。

 

転職先は、現在の会社よりも規模が小さく、まだ発展途上の企業。でも、新分野に

進出する計画を進めており、若い人材にもどんどん海外赴任の機会を与えてくれると

61 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

07ラベルどおりの選択をして、

脳を“だます”

 

判断や決断をくだすときには、このラベルを意識して決めるようにすると、そのラ

ベルはさらに自分にしっかり定着していきます。

 

AかBか、判断に迷ったときには、Aのメリット・デメリット、Bのメリット・デ

メリットを分析して、よりメリットが多いほうを選ぶのが一般的な選択方法です。

 

しかし、自分のラベルを重ねて考えてみると、「Bは、メリットは少ないかもしれ

ない。でも、今回はBを選ぶべきだ。なぜならそのほうが自分らしい生き方だから」

と、自分が心底、納得できる選択ができるように変われるのです。

 

たとえば、転職の話が舞い込んだとしましょう。

 

転職先は、現在の会社よりも規模が小さく、まだ発展途上の企業。でも、新分野に

進出する計画を進めており、若い人材にもどんどん海外赴任の機会を与えてくれると

� 62

言います。ただし、給与面など待遇は現在よ

りかなりダウンしてしまう。それでも、海外

で思いきり仕事をしてみたいと転職を決意す

る。

 

これからは、海外で仕事をするという経験

が求められる時代になるだろうと予想される

から。いや、それ以上に、海外で仕事をする

という新たな可能性に挑戦する自分の姿をい

いと思える。そんな自分のほうがずっと好き

だ。

 

給料がダウンすること以上の価値を見出せ

るようになっている自分に納得でき、結果的

に自信が持て、自分をリスペクトさえできる

……。そうした選択ができるようになれるの

です。

「ラベルの自分」に照らし合わせて決断や行動を選択しよう

迷ったときは、「どうする自分を好きになれるか?」を考える

給料が上がる仕事

やりがいのある仕事

63 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

 

どんな小さなことでも、選択するときには、必ず自分に貼ったラベルをしっか

り意識すること。生活のあらゆる面でこの意識を忘れないことが大事です。

 

一見、ネガティブに見える答えが示されたとしても、「ラベルの自分」がその答え

を選ぶならば、勇気を持ってそちらを選択することです。

「どうする自分を好きになれるか?」を考えてみるのもやりやすい方法です。

○脳をベストな状態に保つ秘訣

 

私は、数年前から肉を食べることをやめています。脳をいきいき、最高の状態で働

かせるには、何よりも体を健康に保つことが大切だと気づいたからです。

 

脳をベストな状態にしたいなら、体をベストな状態にすることが大事。もちろ

ん両方大事なのですが、体を大事にするほうがわかりやすく、具体的な行動を起こし

やすいのです。

 

食事を見直す。睡眠をしっかりとるようにする。とくに、深夜の1〜3時はし

っかり眠ることを大事に守るようにしています。この時間帯は免疫力が下がるため、

� 64

できるだけ眠っていたほうがよいのです。

 

それから、よく歩く、エスカレーターやエレベーターを使わない、自転車に乗

るなど、体をよく動かすようにする。すると、頭がすっきりしてきて、働きもよく

なることが実感でわかります。

 

動物性のタンパク質や脂っこいものを食べると胃など消化器官に負担がかかりま

す。血液も酸化し、すぐに眠くなってしまいます。重めのランチをとったため、午

後、大事な会議中に睡魔に襲われ悪戦苦闘した、という経験を持つ人も多いのではな

いでしょうか。

 

そういった、自分にマイナスなことはなくしていこう。これが、私が肉食をやめた

理由ですが、自分だけのためにやめたわけではありません。

 

私が自分に貼っているラベルに、「I am

the Web-m

aker shining the spiritual web

in the whole universe

」(私はこの世のすべてのつながりに光を与える人です)とい

うものがあります。具体的には、さまざまな人やモノとのつながり、出会いをより輝

いたものにしていきたいと願っているのです。

 

すべての決断や行動をこのラベリングに照らし合わせておこないたい。そう思う

65 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

と、この世にマイナスを与える行動は減らしていきたいと思えるようになってくる。

これも、肉食をやめた大きな理由です。

 

WHO(世界保健機関)の発表によれば、現在、約8億人以上が飢餓に直面してい

る。これが世界の現状です。

 

肉の供給には膨大な飼料が必要で、ハンバーガー1個分の牛肉を得るには、4、5

キロの穀物が使われています。1キロの牛肉を生産するために、150キロのジャガ

イモを生産するに足る農地が必要だというデータもあります。飼料確保のために、森

林破壊も進んでいます。

 

肉食をやめる人が増えれば、飢餓から救われる人も増えてきます。肉を食べない

ことは、世界の飢餓や環境の改善に貢献することにもなる。これが私のラベルに

合った考え方です。

 

東洋で古くから伝えられている食の知恵に「身しん

土ど

不ふ

二じ

」という考え方があります。

四里四方、十里四方の、旬のものを食べることが健康の秘訣だという意味。

 

もちろん、現在では「身土不二」をそのままおこなうのは難しいでしょうが、その

思いをくみ取って、できるだけ地元で採れる旬のものを食べるようにすれば、栄養価

� 66

も高く、何よりおいしい。そのうえ、輸送エネルギーも削減できます。

 

もちろん、食を変えたことは、自分自身にも多大なメリットがありました。私は、

食生活や睡眠、呼吸法に気を配るようになってから、10キロ以上減量でき、尿酸値な

ど、以前は身体に灯っていた赤信号をすべてクリアしてしまいました。

○自転車通勤でセロトニンの分泌が盛んに!

 

受講生の中に、健康のために自転車通勤に切り替えた方がいらっしゃいます。自転

車で朝陽をいっぱいに浴びながら出社する。ちょっと日焼けした顔に白い歯を輝かせ

ながら、「自転車通勤に切り替えてから、体調はもちろん、それ以上に、モチベーシ

ョンが以前とは比べものにならないくらい高まってきた」と言っています。

 

朝陽を浴びるとセロトニンの分ぶん

泌ぴつ

が盛んになります。セロトニンはうつに関わりが

深い脳内物質。セロトニンを分泌する神経を鍛える3つの条件は、朝陽を浴びる

こと、リズム運動をすること、腹式呼吸をすることです。

 

自転車通勤ならば毎朝、好きなコースを選ぶことも簡単です。通勤経路を自由に変

67 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

えられることも大きなメリット。桜の季節には桜並木のあるコースを走り、紅葉の季

節には、いちょうの大木のあるコースをたどる……と自由自在。

 

季節ごとに気持ちのよいコースを探して自転車を走らせる。朝いちばんで脳を「快

適」モードにすることができるという効果も大きいでしょう。

 

彼が自分に貼っているラベルは「私は、自他の心と体を愛する太陽です」というも

の。体を大切にするという思いが他者への心配りに思いを馳は

せていくことになる。実

際、私自身、自分を大切にするという思いが自然と他者への愛情に向かっていくこと

を実感することがよくあります。

 

あなたは、自分にどんなラベルを貼りたいですか?

� 68

08目標を具体化して、

脳を“だます”

 

どちらに向かって進んでいくか。目標、ターゲット意識を明確に持つと、目標達成

へのエネルギーがふつふつとたぎってきて、自然に行動が引き起こされるようになっ

ていきます。

 

目標については、具体的に、明解なイメージを持つことが大事です。たとえば、

国際舞台で活躍したいというような漠然とした形ではなく、いまの会社で1年半後に

海外事業部に移っているとか、青年海外協力隊に参加してアフリカで飢えや不衛生か

ら発生した伝染病の治療にあたっている……というように。

 

さらに、その目標に向かって、具体的にいつ、何をするか。それが明確になれば、

毎日やるべきことが明確になり、いっそう効果的に行動していかれるようになりま

す。

69 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

○目標設定のための6つの質問法

 

目標に到達する道筋、現在の自分自身の状況などをできるだけ具体的に把握し、理

解するために、次のような質問を自分に問いかけ、答えをきちんと書き出していく。

その結果、ゴールまでの道がはっきり見えてきて、そこに至るまでにするべきこと

や、現在は何を、どうすべきかがより明確に見えてきます。

 

以下は、NLP(神経言語プログラミング)という心理学の「8フレームアウト

カム」というワークを基にしたものです。

 

たとえば、「世界のナチュラルテイストファッションを探し、買い付けてくるプロ

のバイヤーになりたい」という目標を例に、このワークの手順を紹介していきましょ

う。

1 

あなたが具体的にほしい成果は何ですか?

 

ほしい成果、何を得たいかを具体的に書きます。たとえば、「プロのバイヤーにな

� 70

って、顧客に喜ばれる新しい発想の商品を見出し、提供し、顧客から満足と信頼を得

られるようになる」など。

 

さらに、目標を達成して得られる成果は何か。いつ、どこで、誰と達成するのか。

達成したことはどのようなことでわかるか、などを具体的に書き出します。

 「〜しないようになる」などの否定形表現はNG。肯定形、かつ、「〜できてワクワ

クする。感情が盛り上がってドキドキする」のように、感情がのってくるような表現

のほうが効果は絶大、です。

2 

その成果を達成すると、どうなりますか?

 

現在と比べて、明確な「変化」を確認します。現状よりよくなることを目指して

「目標」をたてるわけですが、この場合も、その改善点や改良すべきポイントを具体

的にとらえることが重要です。

 

たとえば、職場の変化にしても、「人間関係がよくなる」とか「コミュニケーショ

ンをよくする」というような抽象的な記述ではなく、「チーム内の会話量が増え、メ

ンバーの経験を共有化できるようになる。その結果、チームの総力が上がり、新商品

71 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

のヒット確率が高くなる」など、現状と何がどう変わるのかを具体的に、明確に書き

出すとよいのです。

 

現状との変化、違いを明確にするとその変化を達成するルートが見えてきます。

3 

あなたがすでに持っているリソース(資源)は何ですか?

 

続けて、「人々の行動ウォッチングすることが好きだ。これまでのヒット実績。フ

ットワークのよいスタッフを持っている。多角的なアングルから商品の魅力を発見で

きる」など、現在、目標達成のために持っている自分の能力・知識などを書き出し、

きちんと認識します。

 

書き出すことで、脳は自分のリソースを再確認し、目標に向かうには「これとこれ

を使えばよいのだ」という意識が明確になります。

4 

成果をとりにいくうえで、あなたが恐れているもの、自分自身を抑えている

ものは何ですか? 

その恐れにどう対処しますか?

 

自分自身を制限しているものを明らかにすることで、それを取り除くという意識が

� 72

生まれます。たとえば、「バイヤーになると忙しくなって、家族や友人と過ごす時間

が減ってしまう」などと書き出すことにより、「そのかわり、休暇をまとめてとり、

旅行などの機会を増やすようにしよう」などと、自分を抑えているものを取り除くた

めの具体策を考えるようになります。

5 

�成果を手にすることは、あなたとあなたのまわりの人々にとってどんな意味

がありますか?

 

改めて、目標達成のための意欲を醸成します。たとえば、「圧倒的な自信と感動を

得ることができる。この業界でヒットメーカーとして認識される」。さらに、「会社の

売り上げが上がる」「家族が喜ぶ」など、他者の幸せを思うことも忘れずに。自分の

ためだけでなく、他者のことも思うと発揮できるエネルギーが高まります。

6 

では、最初の一歩は何ですか?

 

こうして、目標が明確になり、意欲が湧いてきたところで、いよいよ、起こすべき

アクション、踏み出すべき最初の一歩を明確にします。

73 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

 

たとえば、「自分も生活者のひとりであることを再認識し、“こんなものがあるとい

いなぁ”と気づいたことをすぐにメモする」、「毎週のミーティングで、スタッフ全員

が、こうした“気づき”を発表する」などもよいでしょう。

 

目標設定は「SMART」に、が原則です。「SMART」とは、

 

Specific……具体的に

 

Measurable

……計測可能に

 

Agreed upon

……納得して

 

Realistic

……現実的に

 

Tim

ely

……期限をはっきりと

 

この質問法をおこなうと、SMARTな目標設定につながる思考回路を体得できる

のです。

 

何か新しい目標が浮かんだときや、毎年、新スタッフを迎える時期、誕生日、入社

記念日など、節目の時期などに、このワークをおこなう習慣をつけるとよいでしょ

う。

� 74

09強制ではなく、納得目標で、

脳を“だます”

 

まじめで、努力家の人の中には、意識しないままに、自分にシバリをかけている人

が少なくないようです。たとえば、「〜するべきだ」とか「〜しなければならない」

といった強制的な認識を強いる言葉を使っていませんか。こうしたほうが自分を追い

込み、確実な効果をあげられるような気がする、と思う人もいるかもしれません。

 

この方法は一見、逃げ道がなく、有効に思えますが、実はそうではありません。

「〜するべきだ」「〜しなければならない」は、目標設定する場合にはむしろ避け

たほうがよい表現なのです。

 

強制されると脳はかえって無気力になってしまう。逆効果になる傾向が強いことを

知っておきましょう。強制された目標は、納得目標の4分の1〜3分の1のエネルギ

ーしか出ないといわれています。

75 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

 

たとえば、毎日の通勤。「会社に行かなけ

ればならない」「仕事をしなければならない」

と考えると、朝、家を出るときから、足どり

は重くなってしまいます。

 

では、どうすればいいか。強制目標を納得

目標に書き換えてしまうのです。

 

目標を達成するために、「〜するべきだ」

と考える場合も、「〜するべきだ。なぜな

ら〜したいから」と自分が納得できる言葉

をつけ加える。これだけのことで、ずいぶ

ん変わってきます。

「会社に行かなければならない」「仕事をし

なければならない」ではなく、なぜ、会社に

行くのか。本当の目的は「給料をもらいたい

から」とか「経験を積んで、スキルを磨きた

目標は願望表現で設定すること!

脳は納得しないと働かない

スキルを磨きたいから勉強したい

これからは会計を勉強しなければ

� 76

いから」。あるいは、「仕事を通じて、社会に貢献したいから」と自分が本心から納得

できる目的意識に置き換えるのです。

 

目標は「〜すべき」ではなく、「〜したい」という願望の表現で表すようにします。

 

理由がわかれば脳は納得し、現金なもので、ちゃんと、「そうしたい」と思うよう

になってきます。すると、自発的に目標に向かうようになり、ワクワクと感じはじ

め、このワクワク感がやる気を高めていきます。

 

強制目標が出たら、「本当に会社に行かなくてはならないのか」と疑ってみる姿勢

も必要です。なんでも「はい、そのとおり」ではなく、疑いを持って、ちょっと考え

てみる。そして答えを見出せば、納得目標に変わります。疑うことも大事なのです。

○「〜します」とひとまず言ってしまう

 

ときには、強制力を働かせることが有効な場合もあります。ただし、強制力を使う

場合は、使い方を工夫して、明るい負荷に感じられるシバリにすることが大事。

 

たとえば、朝型人間に変わろうと決意したとします。でも、決意しただけではなか

77 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

なか実行に移せない。ただ、「自分で決めたのだから、起きなくては」と考えて実行

できるのは意志の強い人のみ。

 

だったら、逆に、そうするほかはない状況に自分を追い込んでしまうのです。

他者や社会的な価値観ではなく、自分で自分をシバるとやる気が動き出すこともある

のです。人は複雑な生き物なのですね。その複雑さを逆手にとれば、いろんな方法論

が見つかるというわけです。

「明日から、朝5時に起きると決めたんだ。朝5時におはようメールをパソコンに送

るからね。まずは明日から1週間。1日でも守れない日があったら、今度のデートの

費用は全部、僕がもつよ」

 

こう宣言し、守れない場合のペナルティもつけておく。こうすれば、早起きしなけ

ればならない状況に追い込まれて、自然にやる気に火がつきます(デートに誘う理由

づくりに寝坊するのはもちろんなしです)。

 

仕事の場でも同じです。どうも最近、気がゆるんでいる。そんな自分に喝を入れた

いと思ったら、自分で自分にノルマを課して、それを誰かに宣言してみましょう。

「来月頭の企画会議には新企画を5本、提案します」。さらに、「もし、できなかった

� 78

ら、グループ全員で飲みにいく費用を自腹で出します!」と、宣言してしまうのです。

 

早起きも、企画を5本提出することも、もともとは、自分がやりたいと思って決意

したこと。それなのに、いざとなるとなんだか気が重くなる。人には、こうした矛盾

したところがあります。でも、宣言したり、約束してしまえば、もう、やる以外にど

うしようもありません。

 

こんなふうに自分で自分の背中を押して、やる気の方向に気持ちをぐいと動かして

しまうのです。

 

ペナルティは痛いけれど、けっこう楽しいとも感じられるものにすることも肝

心です。その楽しさが、やる気の火種に力を吹き込み、炎をさらに大きく燃え上がら

せるからです。

 

ちなみに、知り合いの編集者で実際に上司に「3か月間早起きメール宣言」をし

て、早起きができるようになった人がいます。習慣化するまでに、それなりに痛い額

の罰金を払ったようですが……。

 

強制力と納得目標。要はどちらも使いようです。臨機応変に2つを使い分けると脳

もそのときどきで“だまされ”、目標行動を起こしやすくなるというわけです。

 

将来はこんな自分になっていたい。こんな仕事を、こういうポジションでしていた

い。その将来像が、たとえば、「転職に成功して、年収2000万円になる」という

目標だったとします。そして、それが実現された……。

 

ところが、望んでいた年収を手に入れられただけでは、人は満たされないはず。目

標を達成したのに、むしろ空疎な感じ。「目指していたものはこれだったのか」と奇

妙な違和感を覚えることもあったりします。

 

人生は自分だけでは完結しない。周囲の人、家族や同僚、その先に広がるさらに

多くの人々。もっと言うと、社会全体。さらに地球、大自然、宇宙……が満たされて

いないと、少なくともそうした方向に向かっていかないと、目標達成の喜びにひたる

ことはできないのです。

79 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

10エゴとラブで、

脳を“だます”

 

将来はこんな自分になっていたい。こんな仕事を、こういうポジションでしていた

い。その将来像が、たとえば、「転職に成功して、年収2000万円になる」という

目標だったとします。そして、それが実現された……。

 

ところが、望んでいた年収を手に入れられただけでは、人は満たされないはず。目

標を達成したのに、むしろ空疎な感じ。「目指していたものはこれだったのか」と奇

妙な違和感を覚えることもあったりします。

 

人生は自分だけでは完結しない。周囲の人、家族や同僚、その先に広がるさらに

多くの人々。もっと言うと、社会全体。さらに地球、大自然、宇宙……が満たされて

いないと、少なくともそうした方向に向かっていかないと、目標達成の喜びにひたる

ことはできないのです。

� 80

 

個人レベルの意識を満たすことに止まらず、世界の全体構造をとらえ、自分もその

一部であるという感覚を研ぎすましていく。すると、目指すゴールは個人の領域を超

えた、全存在にかかわる、もっと高いレベルの領域にあることが感じられるようにな

っていくでしょう。

○自分を大事にするエゴも“必要”

 

私は、生きている意義、仕事をしていくことの基本的な意味は「人のために何がで

きるか。どれだけのことができるか」だと思っています。ビジネスはエゴでは成り立

たない。何らかの形、何らかの意味で、社会の求めに応えるものでなければ受け入れ

られず、受け入れられなければ、ビジネスにはなり得ないと。

 

小さなことでも社会に貢献できるという思いは、やる気を大きく突き動かしま

す。それでも、何らかの行動を起こす原点は自分自身。その自分自身がよい状態で

なければ、スムーズな行動は起きないでしょう。それでは、他者に貢献することもで

きないのです。

81 Part1 脳を“だまし”て、やる気を出す

 

エゴとラブ。自分を大事にする思いはすべての出発点。同時に、自分を超えたもの

を思う気持ちも大事にする。まず、自分に対して愛情を持つことが大事だと考えてい

ます。

 

自分が満たされると、自然に、より大きな次元に対する関心や愛情が湧いてき

ます。その愛情は、小さな形でもいい。しっかり守り、育てていく姿勢も大事にし

たいと思います。

 

自分が満たされ、相手やまわりも満たされる。自分を大事にすると、まわりも大事

だという感覚が深くなる。

 

エゴとラブの両輪を意識し、その2つを満たすという方向性を意識すると、本当に

大事にすべきことは何かがはっきりとわかってくるはずです。その結果、迷いやため

らうことなく行動できる自分になれ、目標に向かうエネルギーがしだいに強くなって

いることが実感できるのです。

 

生きていく力、人間力とでもいうべき力が加速度的に大きくなっていくことが感じ

取れる……。これ以上の「快」はないとさえ思えるほどです。

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