SDGs時代の教育開発 - JICA · 2017. 4. 24. · •Hardin, G. (1985) Filters against folly:...

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SDGs時代の教育開発 発展途上国における国際協力の経験から

グローバル エデュケーション モニタリング レポート シンポジウム 2016 ー共生と学び合いー

基調講演 II

聖心女子大学 永田佳之 2017.3.22

於: JICA市ヶ谷ビル国際会議場

ひとつの問いかけから・・・

なぜ教育が普及すればするほど、地球環境は悪化するのか?

もし、そうだとすれば、

そんな教育とはどういう意味があるのでしょう?

ディビッド・オー教授

教育と社会

• 教育の機能① 社会を維持するための教育

→ 伝達志向の教育

• 教育の機能② 社会を変えるための教育

→ 変容志向の教育

教育の新たな方向づけ

不確実性の時代

機能① < 教育②

変容志向の教育 Transformative Education

→ ESD, etc.

→ ユース(若者)

教育とは何ですか?

• 教育とは、社会で人々が自己実現するための手段である。 (中略) 参加と民主主義なくして

持続可能な世界は生まれ得ないし、おそらく不可能でさえあるのだ。 (Wals & Jickling, 2002)

→ 変化を起す主体としての学習者

→ アクターとしての学習者

途上国におけるESD ①

ラオスでの試み

グローバル化と教育

Quality EDUCATION

GOOD GOVERNANCE

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Eco

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Cu

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Nat

ure

He

ad

He

art

Contentment

& Liveability

Balanced Dev. Model

Holistic Development

Sombath Somphone. 2008

Sch

oo

l

Parents

Group

Group

Group

Government and Corporations

Bust: collapse to adjust

Sombath Somphone. 2008

シェンクワン県での試み (Xiang Khouang Province)

プロジェクト概要

1. シェンクワン州6ヵ村での調査

2. 地域の持続可能性と持続不可能性を明らかにする。

3. 積極的な参加を通した若者のエンパワメント

4. 傾聴と対話を通した参加型学習(コンパス)

5. カタリスト(変化を起す主体)としての若者 (25人の高校生)

SDGs時代の調査手法

N

E

S

W

SYSTAINABILITY ASIA / ATKISSON GROUP

東西南北でないコンパス

• N = Nature

• E = Economy

• S = Society

• W = Well-being

若者を対象にしたワークショップ

若者による村人へのインタビュー

若者による分析

〈つながり〉

への気づき

若者による発表会 変化の担い手へ

分析結果

◯:ウェルビーイング

□:貧困

△:外部からの影響

緑:自然

青:経済

紫:文化

赤:ウェルビーイング

途上国におけるESD ② スリランカでの試み

SDGsを意識した取り組み

ウダ・ペラデニヤ学校

タウンスクール と ビレッジスクール

タウンスクール と ビレッジスクール

SDGs時代の教育開発

ゴミ問題

健康

ライフ スタイル

自然との共生

気候 変動

環境絵日記 • テーマ「理想の村」

• 横浜市資源リサイクル

事業協同組合のワーク

シートを活用

絵日記 発表会

村でのゴミ拾い

ゴミの分別

ゴミ分別ゲーム

ゴミ箱作り

オーガニック・ペーパー・プラスチック

ダイオキシン問題

環境問題への意識

ゴミ問題について考える

Q1:どの種類のゴミが一番多い?

A1:プラスチック!

Q2:なぜプラスチックが多いの?

A2:便利だからかな・・・

Q3:プラスチックをどう処理するの?

A3:燃やす、埋める・・・

Q4:どうしたらゴミを減らすことが

できるかな?

A4:使わない、再利用する・・・

Q5:ガラスとか分類できないゴミをどう

する?

A5:埋める!

その他の活動

• 手洗い劇

• 手洗いダンス

• 素材を意識した料理作り

• 伝統料理によるお別れ会

ESDの目指す3つの変容

価値観

ライフ

スタイル 行動

学生達の変容(エンパワメント)

大学生の感想

• 「今回のツアーは私を解放させました。ワークショップ初日はま

だ東京でたくさんの鎖で縛られたままの自分で、(・・・)反省点ばかり生み出してしまった自分に落胆していました。しかし、自分の笑顔に毎日会いたいと言ってくれる院生や子供達の純粋な笑顔、言葉が通じないのに必死に何かを伝えようとしてくれる心(・・・)が動かされ、自分に巻きつけられていた鎖が少しずつ外れ、体が徐々に楽になっていくのを感じ「なんか生きやすい」と思いました。この感覚を忘れず、殻から飛び出してチャンスを自ら掴みに行動を起こしていきたい思います。」(大学2年生)

学生達の変容(エンパワメント)

• 大学生の感想

「私はこれまで“自分がこの世に生きている”という感覚がほとんどないまま日々を過ごしていましたが、このスタディツアーを通して自分が生きていることを強く実感し、同時にこの世に生を受けたことに深く感謝しました。そして、日本に帰ってきた今、私は以前よりも日常生活をとても充実しながら過ごしています。日々を大切に、少しの事にも感謝の気持ちを忘れずに過ごすことが自分の人生をより豊かにしてくれることに改めて気づきました。」(大学2年生)

コラボレーション 誰もがエンパワーされる教育開発へ

44

ホールスクールの理論 サスティナブル・スクールの ナショナル・カリキュラム(英国)

8つの扉(ドアウェイ)

持続可能な学校モデル

The Alternative Technology Centre’s SUSchool Project

横浜市立永田台小学校

ホール スクール

ビジョン

飲食(給食) エネル

ギー

インクルージョン

ゴミ・ リサイクル

運動会・文化祭

遠足 (修学 旅行)

朝会 校舎・ 校庭

教室での学び

地域 活動

生徒会

意思決定の在り方

職員 会議

永田台小のホール スクール

ケア

CARE

学校 デザイン

サスティナブル・マップ シャッ

ター街活性化

エネルギー 見える化

認知症キッズサポーター

命の授業

授業デザイン 業務改

善多忙感解消

エコプロダクツ展

ゴミゼロ大作戦

給食残渣減少

朝会 工夫

学校行事でのエコ活

職員室カフェ

夏期閉庁週間

学校コミュニティを捉え直す視座

Nature

Society

Culture Economy

経済的な平等

社会的な公正さ

環境のケア

文化の尊重

SYSTAINABILITY ASIA / ATKISSON GROUP

サスティナブル・スクールの証

教室での学び

学校のあり方

「国連ESDの10年」の残した成果

• 持続可能性についての教室での学びを教室内「外」で実践する (ホールスクール)

• 変容の好循環をつくること

(大人から変わる、子どもが変わる、保護者が

変わる、家庭が変わる、地域が変わる)

• 「変化の担い手」として子どもを捉えること

(意思決定への子どもの参画)

参考文献等 • ホールスクール手法 永田佳之・曽我幸代 『新しい時代のESD: 世界のホールスクール・アプローチから学ぶ』 • ラオスにおけるESD(ホール コミュニティ) https://www.u-sacred-heart.ac.jp/graduate/report/1304.html

https://www.u-sacred-heart.ac.jp/graduate/report/1104.html

• スリランカにおけるESD(ホール スクール)

永田佳之「変貌するスリランカの教育」『教育と文化』教育と文化総合研究所、2017年4月号 http://nagata8.blog81.fc2.com/blog-entry-74.html http://nagata8.blog81.fc2.com/blog-entry-75.html

参考文献

• Hardin, G. (1985) Filters against folly: How to survive despite economists, ecologists and the merely eloquent. Toronto, ON: Penguin Books.

• Wals, A. E. J. & Jickling, B. (2002) “Sustainability” in higher education: From doublethink and newspeak to critical thinking and meaningful learning. Higher Education Policy, 15(2), 121-131.