· Web view以下の他、QMS省令の用語に代えてISO 9000:2005 (JIS Q...

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国 内 で 最 終 製 品 の 保 管 の み を 行 う 製 造 所 ( 倉 庫 業 )

品 質 マ ニ ュ ア ル 作 成 事 例

本 品 質 マ ニ ュ ア ル 作 成 の 考 え 方

・ 「 医 薬 品 、 医 療 機 器 等 の 品 質 、 有 効 性 及 び 安 全

性 の 確 保 等 に 関 す る 法 律 」 ( 昭 和 35 年 法 律 第 145号 。 以 下 「 医 薬 品 医 療 機 器 等 法 」 と い う 。 ) に

お い て 、 医 療 機 器 及 び 体 外 診 断 用 医 薬 品 ( 以 下

「 医 療 機 器 等 」 と い う 。 ) の 製 造 所 は 登 録 制 と

さ れ 、 医 療 機 器 等 の 設 計 、 主 た る 組 立 て そ の 他

の 主 た る 製 造 工 程 ( 以 下 「 主 た る 組 立 て 」 と い

う 。 ) 、 反 応 系 に 関 与 す る 成 分 の 最 終 製 品 へ の

充 填 工 程 ( 以 下 「 充 填 」 と い う 。 ) 、 滅 菌 及 び

国 内 に お け る 最 終 製 品 の 保 管 ( 以 下 「 保 管 」 と

い う 。 ) の 各 工 程 を 行 う 製 造 所 は 、 そ れ ぞ れ 製

造 所 の 登 録 を 要 す る こ と と さ れ た 。

・ こ れ に 伴 う 「 医 療 機 器 及 び 体 外 診 断 用 医 薬 品 の

製 造 管 理 及 び 品 質 管 理 の 基 準 に 関 す る 省 令 」

( 平 成 16 年 厚 生 労 働 省 令 第 169号 。 以 下 「 QMS 省

令 」 と い う 。 ) の 改 正 に よ り 、 保 管 製 造 所 に つ

い て は 、 旧 QMS 省 令 第 3 章 で 要 求 さ れ た 手 順 書 等

に よ る 品 質 管 理 に 代 わ り 、 QMS 省 令 第 83 条 で 準 用

す る 第 2 章 か ら 第 5 章 ま で に 基 づ き 、 品 質 管 理

監 督 シ ス テ ム ( 以 下 「 QMS 」 と い う 。 ) に よ る 品

質 管 理 が 求 め ら れ る こ と と さ れ た 。 こ れ に よ り

保 管 製 造 所 に 係 る 製 造 業 者 は 、 新 た に QMS の 計 画

と な る 品 質 管 理 監 督 シ ス テ ム 基 準 書 ( 品 質 マ

ニ ュ ア ル ) を 作 成 す る こ と が 必 要 と な る た め 、

そ の 作 成 の 一 助 と し て 事 例 を 作 成 す る も の で あ

る 。

・ な お 、 QMS 省 令 第 83 条 第 1 項 に お い て 、 医 療 機 器

等 に つ い て 登 録 製 造 所 が 行 う 工 程 に 照 ら し QMS に

適 用 す る こ と が 適 当 で な い と 認 め ら れ る 規 定 に

つ い て は こ れ ら を 適 用 し な い こ と が で き る こ と

と さ れ て い る 。

・ 登 録 を 要 す る 製 造 所 に 係 る 工 程 に つ い て は 、 次

― 1 ― 

の 表 の と お り 、 そ の 業 務 の 内 容 、 製 品 品 質 へ の

影 響 等 に 差 異 が あ り 、 ま た 、 そ れ ら に 応 じ 承

認 ・ 認 証 等 に 係 る 手 続 き も 異 な る こ と と さ れ て

い る 。 保 管 工 程 ( 網 掛 け 部 分 ) は 、 製 品 品 質 に

直 接 的 な 影 響 を 及 ぼ す も の で は な く 、 そ の 工 程

に お い て 最 終 製 品 の 品 質 を 損 な わ な い こ と が 求

め ら れ る 。

登録製造所

(工程)製品品質への影響

製造所追加時の

承認・認証手続

製造所追加時の

適合性調査手続

設計

製品の品質、有効性

及び安全性に直接的

に影響を与える。

一部変更承認・認

証申請(有効な基

準適合証がある場

合を除く。)

一部変更承認・認証時

適合性調査

主 た る 組 立

充填

滅菌追加的調査(製造所追

加時)

保管製品の品質、有効性

及び安全性の維持軽微変更届

追加的調査

(追加時は不要)

・ ま た 、 保 管 製 造 所 の ビ ジ ネ ス 形 態 に つ い て は 、

次 に 例 示 す る と お り 様 々 な ケ ー ス が 考 え ら れ 、

そ れ ぞ れ の 業 態 に 応 じ た 品 質 管 理 が 行 わ れ て い

る と こ ろ で あ る 。 な お 、 外 部 委 託 工 程 と し て 保

管 工 程 の み を 行 う 保 管 製 造 所 に つ い て は 、 本 来

そ の 組 織 が 品 質 を 保 証 す べ き 事 項 は 、 製 品 の 保

管 と い う 工 程 ( サ ー ビ ス ) で あ り 、 そ の サ ー ビ

ス の 受 領 者 は 一 義 的 に は 製 造 販 売 業 者 で あ る こ

と に 留 意 が 必 要 で あ る 。 こ れ ら の サ ー ビ ス は 、

次 の 表 の と お り 医 療 機 器 等 以 外 の 製 品 に つ い て

は ISO 9001 や そ の 他 の 品 質 管 理 方 法 で 管 理 さ れ て い

る 場 合 も 多 い 。 そ の よ う な 場 合 、 製 造 販 売 業 者

は 、 医 療 機 器 等 の 保 管 工 程 を こ れ ら の 保 管 製 造

所 に 外 部 委 託 す る に 当 た り 、 自 ら の 製 品 の 品 質

を 保 証 す る 範 囲 に お い て QMS 省 令 第 83 条 の 規 定 の

遵 守 を 求 め る こ と 等 を 通 じ て 、 当 該 委 託 工 程 を

管 理 し 、 製 品 の 製 造 管 理 及 び 品 質 管 理 が 一 貫 し

て QMS 省 令 に 適 合 し た 状 態 で 管 理 さ れ て い る こ と

を 確 実 に す る こ と が 求 め ら れ る 。

― 2 ― 

保管製造所のビジネス形態の例 保管サービスの品質管理手法の一例

製造販売業者又は登録製造

所と

同一法人の倉庫

製造販売業者又は登録製造所への法的要求事

項としてのQMS省令( ISO 13485 )(製品の品質管理の一環)に適合している、製造販売

業者又は登録製造所と一体化したQMS不特定多数の製造販売業者

との

委受託に基づき医療機器等

を扱う

ことを主たる業務に含む倉

庫業者

自 社 サ ー ビ ス の 品 質 保 証 と し て の ISO 13485 (QMS省令)(医療機器等の保管サービスの品質管理)に適合している倉庫業者自

身のQMS

医療機器等以外を主に取り

扱う倉庫業者

ISO 9001、事業者との詳 細な契 約内容その他

による品質管理(保管サービスの品質管理)

以 上 、 保 管 工 程 は 医 療 機 器 等 の 品 質 の 向 上 を 目 的 と

す る 工 程 で は な い こ と 及 び 医 療 機 器 等 以 外 の 製 品 も

含 め た 保 管 サ ー ビ ス の 管 理 手 法 を 踏 ま え れ ば 、 医 療

機 器 等 以 外 の 製 品 の 保 管 を QMS 省 令 又 は ISO 13485 以 外

の 品 質 管 理 手 法 に よ り 管 理 し て い る 倉 庫 業 者 が 、 製

造 販 売 業 者 と の 委 受 託 契 約 等 に 基 づ き 医 療 機 器 等 の

保 管 を 行 う 場 合 に お い て は 、 製 造 販 売 業 者 が 当 該 保

管 工 程 を 適 切 に ア ウ ト ソ ー ス 管 理 す る こ と に よ り 、

当 該 倉 庫 業 者 は 医 療 機 器 等 に 固 有 の 品 質 方 針 を 定 め

る 必 要 ま で は な い な ど 、 QMS 省 令 第 83 条 第 1 項 の 規

定 に 基 づ い て QMS 省 令 の 一 部 の 条 項 を 「 適 用 し な

い 」 と す る こ と が で き る と 考 え ら れ る 。

本 品 質 マ ニ ュ ア ル の 適 用 に あ た っ て の 注 意 事 項

1 . 一 般 的 事 項

・ 品 質 シ ス テ ム は 画 一 的 な も の で は な く 、

組 織 、 法 人 等 の 取 扱 品 目 、 ビ ジ ネ ス 形 態 、 事

業 規 模 等 に 応 じ て 、 自 ら の 業 務 に プ ロ セ ス ・

ア プ ロ ー チ を 適 用 し 、 そ れ ぞ れ の 組 織 に 適 し

た 品 質 シ ス テ ム を 独 自 に 構 築 す る こ と が 重 要

で あ る 。 本 品 質 マ ニ ュ ア ル を 参 考 に し て 品 質

シ ス テ ム を 構 築 す る 場 合 は 、 各 社 の 実 態 に 応

じ て 必 要 な 追 記 、 改 変 を 加 え て し か る べ き も

の で あ り 、 本 事 例 を 「 雛 形 」 と し て そ の ま ま

使 用 す る よ う な こ と は 推 奨 さ れ な い 。

― 3 ― 

・ 本 事 例 中 に 示 さ れ た 名 称 等 は 、 架 空 の も

の で あ り 、 実 在 す る も の で は な く 、 ま た 実 在 す

る も の を 暗 示 す る も の で も な い 。

・ 既 に ISO9001 等 に 従 い 品 質 シ ス テ ム を 構 築 し

て い る 場 合 は 、 当 該 品 質 シ ス テ ム に QMS 省 令 第

83 条 の 要 求 事 項 を 満 た す た め に 必 要 な 差 分 を 追

加 要 求 事 項 と し て 規 定 す る こ と な ど に よ り 、 別

途 本 事 例 の よ う な 品 質 マ ニ ュ ア ル を 作 成 す る 必

要 は な い 。

2 . 作 成 条 件 :

本 品 質 マ ニ ュ ア ル 事 例 の 作 成 に 当 た っ て は 、 主

に 医 療 機 器 等 以 外 の 製 品 の 保 管 を QMS 省 令 、 ISO 13485 又 は ISO9001 以 外 の 品 質 管 理 手 法 に よ り 管 理

し て い る 倉 庫 業 者 が 、 製 造 販 売 業 者 と の 委 受 託

契 約 等 に 基 づ き 医 療 機 器 等 の 保 管 を 行 う 場 合 で

あ っ て 、 そ の 業 務 内 容 に つ い て 覚 書 等 に よ り 製

造 販 売 業 者 が 主 体 的 に 管 理 を 行 う ケ ー ス に お け

る 当 該 医 療 機 器 等 の 品 質 管 理 の た め の QMS を 整

備 す る 場 合 を 想 定 し て い る 。 本 品 質 マ ニ ュ ア ル

に お い て QMS 省 令 第 83 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づ き

「 適 用 し な い 」 と し た 条 項 等 に つ い て は 、 保 管

工 程 に お け る 製 品 品 質 へ の 影 響 の 程 度 を 踏 ま え 、

製 造 販 売 業 者 自 ら が QMS 又 は 覚 書 等 に お い て そ

の 管 理 方 法 に つ い て 適 切 に 規 定 し 、 実 施 し て い

る こ と を 前 提 と し て お り 、 そ れ が な さ れ な い 場

合 あ る い は 部 分 的 に 保 管 製 造 所 が 主 体 的 に 管 理

す る 項 目 が あ る 場 合 は 保 管 製 造 所 が 自 ら の QMSに お い て 実 施 す る 必 要 が あ る こ と に 留 意 す る こ

と 。

本 品 質 マ ニ ュ ア ル で は 、 医 療 機 器 等 の 品 質 管

理 の み に 着 目 し た マ ネ ジ メ ン ト レ ビ ュ ー に つ

い て は 「 適 用 し な い 」 と し て い る が 、 委 託 先

や 製 品 を 特 定 し な い 保 管 サ ー ビ ス 全 般 の 品 質

保 証 の た め の ISO13485又 は ISO9001 に 係 る QMS を 構 築

し て い る 場 合 は 、 QMS 及 び 保 管 サ ー ビ ス の 維 持

又 は 継 続 的 改 善 の た め の マ ネ ジ メ ン ト レ

ビ ュ ー を 行 う こ と が 必 要 で あ る 。

本 事 例 に お い て 保 管 を 行 う 製 品 は 、 生 物 由 来 医

療 機 器 等 や 放 射 性 体 外 診 断 用 医 薬 品 の よ う な 特

― 4 ― 

別 の 管 理 を 要 さ な い 医 療 機 器 と し 、 QMS 省 令 第

4 章 及 び 第 5 章 の 適 用 は 受 け な い も の と す る 。

保 管 製 造 所 は 、 製 造 販 売 業 者 か ら の 委 託 に 基 づ

き 、 最 終 製 品 の 保 管 及 び 出 荷 を 行 い 、 そ れ に 追

加 し て 市 場 へ の 出 荷 可 否 の 判 定 を 行 う も の と す

る 。 ( 包 装 、 表 示 等 の 製 造 工 程 を 含 む 製 品 に 主

体 的 に 影 響 を 及 ぼ す 工 程 を 実 施 し な い 。 )

保 管 製 造 所 の 行 う 業 務 の 範 囲 は 、 製 造 販 売 業 者

と の 覚 書 等 に よ り 規 定 さ れ て お り 、 ま た 、 そ れ

ら に お け る 製 品 の 品 質 に 影 響 を 与 え る 恐 れ の あ

る 変 更 等 に 当 た っ て は 保 管 製 造 所 の 判 断 の み で

は 行 わ ず 、 製 造 販 売 業 者 の 承 認 や 確 認 を 得 て 行

う こ と と し て い る 。

製 造 販 売 業 者 と の 覚 書 等 に 基 づ き 、 製 造 販 売 業

者 は 保 管 製 造 所 に 対 し て 定 期 的 に QMS の 確 認 等

を 行 い 、 保 管 製 造 所 は 当 該 製 品 の 品 質 等 に 関 す

る 情 報 を 得 た 場 合 に は 製 造 販 売 業 者 に 対 し て 速

や か な 連 絡 を 行 う こ と と し て い る 。

製 造 販 売 業 者 は 、 輸 入 の み ( 海 外 で 製 造 さ れ て

い る 製 品 を 仕 入 れ て 国 内 で 製 造 販 売 す る 。 ) を

行 う こ と を 想 定 し て い る 。 ( 図 「 本 事 例 に お け

る 製 造 販 売 業 者 と 登 録 製 造 所 の 関 係 」 の と お

り 。 )

設 計 開 発 及 び 主 な 組 立 て は 海 外 の 他 社 の 登 録 製

造 所 が 実 施 す る 。

保 管 製 造 所 へ の 製 品 の 搬 入 及 び 搬 出 は 、 製 造 販

売 業 者 が 管 理 す る 他 の 運 送 業 者 等 が 行 う も の と

し 、 保 管 製 造 所 は 倉 庫 内 に お け る 製 品 管 理 の み

を 実 施 す る 。

な お 、 本 品 質 マ ニ ュ ア ル に お い て は 、 上 述 の 前

提 条 件 に よ り 、 保 管 製 造 所 は エ ン ド ユ ー ザ や 販

売 業 者 な ど の 製 品 受 領 者 と の 直 接 の や り 取 り は

無 く 、 サ ー ビ ス の 受 領 者 を 顧 客 ( = 委 託 元 ) で

あ る 製 造 販 売 業 者 と し て 作 成 し て い る 。 製 品 受

領 者 か ら の 情 報 は 覚 書 等 に 従 っ て 製 造 販 売 業 者

を 通 じ て 交 換 す る た め 、 製 品 受 領 者 と の 直 接 の

情 報 交 換 は 行 わ れ な い も の と す る 。

本 品 質 マ ニ ュ ア ル に お い て は 、 保 管 製 造 所 が 製

造 販 売 業 者 と の 委 受 託 契 約 等 に 基 づ き 医 療 機 器

等 の 保 管 を 行 う 場 合 で あ っ て 、 業 務 内 容 に つ い

― 5 ― 

株式会社 オリジナルメーカ

梱包

製造プロセス

組立

設計

設計プロセス

製品保管プロセス

出荷

顧客 販売

顧客関連プロセス

アウトソース

保管及び出荷判定

(株)国内倉庫

株式会社厚科研(製造販売業者)

国内品質業務運営責任者 アウトソース

て 必 要 事 項 を 覚 書 等 に 基 づ い て 製 造 販 売 業 者 か

ら 管 理 を 受 け る ケ ー ス を 想 定 し て い る 。   こ の

場 合 の 覚 書 等 は 、 以 下 二 つ を 想 定 し て い る 。

取 り 決 め 書 : QMS 省 令 第 72 条 の 2 に よ り 、 製

造 販 売 業 者 と 登 録 製 造 所 に お い て 取 り 決 め

を 文 書 化 す る こ と を 求 め ら れ た 事 項 。

覚 書 : QMS 省 令 第 72 条 の 2 以 外 に お い て 、 直

接 的 又 は 間 接 的 に 製 造 販 売 業 者 と 登 録 製 造

所 の 間 で 委 受 託 す る 業 務 内 容 、 責 任 範 囲 等

に つ い て 記 載 し た 文 書 。

品 質 マ ニ ュ ア ル に お い て 上 記 の 名 称 を 用 い て

い る が 、 名 称 は こ れ で な け れ ば な ら な い と い

う も の で は な く 、 各 社 で 名 称 を 付 け て よ い 。

ま た 本 事 例 で は 二 つ の 文 書 を 作 成 し て い る が

必 ず し も 取 り 決 め る 事 項 を 二 つ に 分 け て 作 成

す る 必 要 は な く 、 一 つ の 文 書 に ま と め て も よ

い 。

・ 本 事 例 に お い て 、 上 記 の よ う に 覚 書 等 を 想 定

し て い る が 、 製 造 販 売 業 者 と 登 録 製 造 所 の 契 約

形 態 等 に 応 じ て 、 QMS 省 令 第 72 条 の 2 に 求 め ら れ

る 取 り 決 め 書 以 外 に 、 取 引 に 付 随 す る 契 約 書 あ

る い は 、 そ の 下 位 の 文 書 、 手 順 書 等 を 含 む 場 合

も あ る 。

― 6 ― 

図 「 本 事 例 に お け る 製 造 販 売 業 者 と 登 録 製

造 所 の 関 係 」

― 7 ― 

品 質 マ ニ ュ ア ル

株 式 会 社   国 内 倉 庫

文 書 番 号 :   QMKS001 / 03制 定   2014 年 11 月 25 日

改 訂   2016 年   2 月 4 日

― 1/27 ― 

【管理文書】

作 成 者     物 流 管 理 部 長   ○ ○ ○ ○   印

                              2016 年 〇 〇 月 〇 〇

承 認 者     社 長           △ △ △ △   印

                              2016 年 〇 〇 月 〇 〇

改 訂 履 歴

00 版   (2014/11/25)    初 版 制 定

01 版   第 1 回 改 訂   ( 2015/05/30)  ○ ○   項 改 訂 し て 、 XXXXを 行 う 手 順 を 追 記 し た 。

02 版   第 2 回 改 訂     ( 2015/09/02)QMS 省 令 の 適 用 範 囲 を 見 直 し 、 追 記 し た 。

  03 版   第 3 回 改 訂     ( 2016/02/04)    ○ ○   項 改 訂 し て 、 XXXXを 行 う 手 順 を 追 記 し た 。

― 2/27 ― 

目     次

1. 目 的 ........................................................................................................... 42. 適 用 範 囲 ............................................................................................... 4

2.1 適 用 範 囲 ........................................................................................ 42.2 適 用 し な い 要 求 事 項 等 .................................................... 5

3. 定 義 ........................................................................................................... 74. 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム .............................................. 7

4.1 一 般 ( 第 5 条 ) ...................................................................... 74.2 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 文 書 化 ( 第 6 条 )

94.3 品 質 マ ニ ュ ア ル ( 第 7 条 ) ..................................... 104.4 文 書 管 理 ( 第 8 条 、 第 67 条 ) ............................... 114.5 記 録 の 管 理 ( 第 9 条 、 第 68 条 ) ......................... 13

5. 社 長 の 責 任 ..................................................................................... 155.1 社 長 の コ ミ ッ ト メ ン ト ( 第 10 条 ) ................ 155.2 製 造 販 売 業 者 の 重 視 ( 第 11 条 ) ...................... 155.3 QMS の 計 画 ( 第 14 条 ) .................................................... 165.4 責 任 、 権 限 及 び コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ............. 165.4.1 責任及び権限(第 15条).........................................................................165.4.2 責任技術者..............................................................................................165.4.3 管理責任者(第 16条)............................................................................165.5 内 部 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ( 第 17 条 ) .......... 17

6. 資 源 の 監 督 管 理 ......................................................................... 176.1 資 源 の 確 保 ( 第 21 条 ) .............................................. 176.2 人 的 資 源 ..................................................................................... 176.2.1 品質業務従事者の能力(第 22条)............................................................176.2.2 能力、認識及び教育訓練(第 23条).........................................................176.3 業 務 運 営 基 盤 ( 第 24 条 ) ........................................ 186.4 作 業 環 境 ( 第 25 条 ) .................................................... 18

7. 製 造 及 び サ ー ビ ス 提 供 の 管 理 ..................................... 197.1 製 造 及 び サ ー ビ ス 提 供 の 管 理 ( 第 40 条 ) 197.2 識 別 ( 第 47 条 ) ................................................................ 197.3 追 跡 可 能 性 の 確 保 ( 第 48 条 ) ............................ 207.4 製 品 の 状 態 の 識 別 ( 第 50 条 ) ............................ 207.5 製 造 販 売 業 者 の 物 品 ( 第 51 条 ) ...................... 207.6 製 品 の 保 持 ( 第 52 条 ) .............................................. 217.7 設 備 及 び 器 具 の 管 理 ( 第 53 条 ) ...................... 21

8. 測 定 及 び 改 善 ............................................................................... 228.1 一 般 ( 第 54 条 ) ................................................................ 228.2 監 視 及 び 測 定 ......................................................................... 22

― 3/27 ― 

8.2.1 製造販売業者の意見(第 55条)...............................................................228.2.2 内部監査(第 56条)...............................................................................238.2.3 プロセスの監視(第 57条).....................................................................238.2.4 製品の監視測定(第 58条)......................................................................248.2.5 市場への出荷判定(第 72条第 3項及び第 4項).........................................248.3 不 適 合 製 品 の 管 理 ( 第 60 条 ) ............................... 258.4 改 善 .................................................................................................. 268.4.1一般(第 62条)........................................................................................268.4.2 是正措置(第 63条)..................................................................................27

1. 目 的  

本 品 質 マ ニ ュ ア ル は 、 製 造 販 売 業 者 で あ る 株 式 会

社 厚 科 研 か ら の 委 託 に 基 づ き 、 当 社 が 実 施 す る 医 療

機 器 の 保 管 、 市 場 へ の 出 荷 判 定 及 び 出 荷 に 関 し て 、

平 成 16 年 厚 生 労 働 省 令 第 169号 ( 一 部 改 正 : 平 成 26 年厚 生 労 働 省 令 第 87 号 ) 「 医 療 機 器 及 び 体 外 診 断 用 医

薬 品 の 製 造 管 理 及 び 品 質 管 理 の 基 準 に 関 す る 省 令 」

( 以 下 「 QMS 省 令 」 と い う 。 ) お よ び 製 造 販 売 業 者

の 要 求 に 従 っ て 、 効 果 的 な 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ

ム ( 以 下 「 QMS 」 と い う 。 ) を 確 立 、 運 用 、 維 持 す

る こ と を 通 じ 、 製 造 販 売 業 者 の QMS に お け る 外 部 委

託 プ ロ セ ス と し て 医 療 機 器 の 品 質 を 確 保 す る こ と を

目 的 と し 、 そ の 運 用 手 順 を 定 め る も の で あ る 。

な お 、 製 造 販 売 業 者 か ら 委 託 さ れ た 業 務 及 び 当 該

業 務 の 対 象 と な る 製 品 の 範 囲 は 、 製 造 販 売 業 者 と の

取 り 決 め 書 及 び 覚 書 ( 以 下 「 覚 書 等 」 と い う 。 ) に

基 づ く も の と す る 。

参 照 文 書 :   株 式 会 社 厚 科 研 と の 取 り 決 め 書

株 式 会 社 厚 科 研 と の 覚 書

============================================

【解 説】

・ 本事例には、QMS省令のみを適用法規としているが、必要により、適用法規・規格等の項を設けて、適用する法令要求事項、規格を記載するとよい。

・ 別途、保管サービスの品質管理について ISO 9001の認証等を取得している場合は、その QMSと本品質マニュアルとの関係についても記載しておくことが望ましい。

・ 今回の事例のように、特定の製造販売業者の製品にのみ適用する場合は、本文中にその製造販売業者の名称を記載することでも差し支えない。また、複数の製造販売業者から業務を受託している場合等は、下記のように参照文書として各々の製造販売業者の覚書等の名称を参照文書として記載し

― 4/27 ― 

てもよい。

   例1: 参照文書: 株式会社厚科研との取り決め書及び覚書             製販機器株式会社との覚書等

   例2: 参照文書: 製造販売業者との覚書等一覧

 本事例では、覚書等は、以下二つを想定している。

取り決め書:QMS省令第 72条の 2により、製造販売業者と登録製造所において取り決めを文書化することを求められた事項。

覚書:QMS省令第 72条の 2以外において、直接的又は間接的に製造販売業者と登録の間で委受託する業務内容、責任範囲等について記載した文書。

本事例では上記の名称を用いているが、名称はこれでなければならないというものではなく、各社で名称を付けてよい。また本事例では二つの文書を作成しているが、必ずしも取り決める事項を二つに分けて作成する必要はなく、一つの文書にまとめてもよい。

============================================

― 5/27 ― 

2. 適 用 範 囲  

2.1 適 用 範 囲

本 品 質 マ ニ ュ ア ル は 、 以 下 の 組 織 ・ 範 囲 に 適 用

す る 。 そ の 組 織 図 を 附 属 書 1 に 示 す 。

【 適 用 組 織 】

株 式 会 社   国 内 倉 庫

( 本 社 及 び 倉 庫 ) 県   市   町  ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯- -◯ ◯

【 適 用 範 囲 】   当社では、製造販売業者の QMSに係る外部委託プロセスとして、製造販売業者との覚書等に基づき、製品の出荷に関わる保管及び出荷判定のみを行う。

業務プロセスを 4.1項の「図 4.1 当社のプロセス図」に示す。

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

【解 説】

・ 本事例では、QMS省令以外の品質管理手法により保管製造所の提供する保管サービスが行われている中で、製造販売業者の外部委託工程として必要な範囲において当該保管サービスを通じて医療機器等の品質が確保されることを確実にするための QMSの構築を目的としている。(保管サービスとは、保管製造所の外部組織から委託を受けて保管過程にて実施する作業などの業務の提供のことをいう。今回の事例では、製品の出荷に関わる保管及び出荷判定のみとしている。)

・ 例えば、保管サービスを ISO 9001の QMSにより管理している場合、本品質マニュアルは ISO 9001のQMSにおいては医療機器等である一部の製品に対する特別要求事項として取り扱われることや、医療機器等の製品を ISO9001のQMSの範囲から「適用しない」として取り扱うことなどが考えられる。

・ 本品質マニュアルによる QMSは、製造販売業者の要求事項である保管サービスを満たすための部分的なものであり、製品の品質に直接影響を与える活動は受託していない。この前提であれば、製造販売業者が保管製造所に適用を求めない一部条項について適用しないこととして差し支えないが、その場合は、QMS省令第 83条第1項の規定に基づき品質マニュアルにその条項及び理由を記載するとともに、製造販売業者がそれを求めないことを明確にするため、取り決め書又は覚書(以下、覚書等という。)にもその条項を記載しておくことが必要である。

・ 保管製造所が行う業務によっては、購買管理や、保管管理に必要な設備及び器具の管理などのQMS省令上の要求事項や製造販売業者からの追加要求事項をQMSに適用することが必要である。

例:購買管理:設備や物品の購買、校正業務の外部委託

設備及び器具の管理:温度計などの監視測定装置の校正

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

― 6/27 ― 

2.2 適 用 し な い 要 求 事 項 等  

当 社 で は 、 製 造 販 売 業 者 と の 覚 書 等 に 基 づ く 医 療

機 器 の 品 質 管 理 に つ い て 、 当 社 が 実 施 す る プ ロ セ

ス を 踏 ま え 、 次 の QMS 省 令 の 各 条 項 に つ い て は 、 適

用 し な い 。

QMS 省

( 第 83条 で 準

用する)

ISO 13485

項 目

( (   ) 内 は

ISO 13485 の 項

目 )

適 用 し な い 根

拠 と な る 条 項

及 び そ の 理 由

第 6 条 4.2.1 品 質 管 理 監 督

シ ス テ ム の 文

書 化 【 一 部 適

用 し な い 】

QMS 省 令 第 83 条

第 1 項

当 社 は 、 製 造

販 売 業 者 が 医

療 機 器 の 品 質

を 維 持 す る た

め に 要 求 す る

保 管 サ ー ビ ス

を 提 供 す る も

の で あ り 、 こ

れ ら の 条 項 に

つ い て は 製 造

販 売 業 者 と 合

意 し た 要 求 事

項 た る 覚 書 等

を 遵 守 す る た

め 。 ま た 、 保

管 製 造 所 で 実

施 す る プ ロ セ

ス に 係 る 情 報

は 、 覚 書 等 に

基 づ き 製 造 販

売 業 者 に 報 告

し 、 そ の 指 示

を 踏 ま え て プ

ロ セ ス 管 理 を

行 う た め 。

第 10 条 5.1 管 理 監 督 者 の

関 与

【 一 部 適 用 し

な い 】

第 12 条 5.3 品 質 方 針

第 13 条 5.4.1 品 質 目 標

第 18 条

~ 第 20条

5.6 管 理 監 督 者 照

査   他

( マ ネ ジ メ ン

ト レ ビ ュ ー )

第 23 条 6.2.2 能 力 、 認 識 及

び 教 育 訓 練

【 一 部 適 用 し

な い 】

第 60 条第 8 項

~ 第 10項

8.3 不 適 合 製 品 の

管 理

第 61 条 8.4 デ ー タ の 分 析

第 62 条 8.5.1 改 善

【 一 部 適 用 し

な い 】

第 64 条 8.5.3 予 防 措 置

第 26 条 7.1 製 品 実 現 計 画 QMS 省 令 第 83 条

第 1 項第 27 条 7.2 製 品 要 求 事 項

― 7/27 ― 

~ 第 29条

の 明 確 化   他

( 顧 客 関 連 プ

ロ セ ス )

こ れ ら の 条 項

に 関 す る 業 務

は 当 社 で は 行

わ な い た め 。

ま た 、 バ リ

デ ー シ ョ ン が

必 要 な 製 造 及

び サ ー ビ ス の

提 供 に 係 る プ

ロ セ ス を 有 し

な い た め 。

第 30 条~ 第 36条

7.3 設 計 開 発 の 計

画   他

( 設 計 開 発 プ

ロ セ ス )

第 37 条~ 第 39条

7.4 購 買 工 程   他

( 購 買 )

第 40 条 7.5.1.1

製 造 及 び サ ー

ビ ス 提 供 の 管

【 一 部 適 用 し

な い 】

第 45 条~ 第 46条

7.5.2 製 造 工 程 等 の

バ リ デ ー シ ョ

ン   他 ( 製 造

及 び サ ー ビ ス

提 供 の プ ロ セ

ス バ リ デ ー

シ ョ ン )

第 53 条 7.6 監 視 機 器 及 び

測 定 機 器 の 管

理 【 一 部 適 用

し な い 】

第 55 条 8.2.1 製 品 受 領 者 の

意 見 【 一 部 適

用 し な い 】

第 65 条 - 登 録 製 造 所 の

品 質 管 理 監 督

シ ス テ ム

第 59 条第 4 章第 5 章

8.2.4.2-

特 定 医 療 機 器

固 有 の 要 求 事

生 物 由 来 医 療

機 器 等

放 射 性 体 外 診

断 用 医 薬 品

QMS 省 令 第 83 条

第 1 項

該 当 す る 製 品

を 取 り 扱 わ な

い た め 。

― 8/27 ― 

第 41 条~ 第 43条

7.5.1.2

製 品 の 清 浄 管

理   他

( 製 品 及 び

サ ー ビ ス 提 供

の 管 理 - 固 有

要 求 事 項 )

QMS 省 令 第 4 条

第 2 項

当 社 で は 、 清

浄 管 理 、 滅 菌

製 品 等 の 特 別

の 管 理 を 要 す

る 医 療 機 器 を

取 り 扱 わ な い

た め 。

ま た 、 バ リ

デ ー シ ョ ン が

必 要 な 製 造 及

び サ ー ビ ス の

提 供 に 係 る プ

ロ セ ス を 有 し

な い た め 。

第 44 条 7.5.1.3

滅 菌 製 品 の 製

造 管 理 に 係 る

特 別 要 求 事 項

第 49 条 7.5.3.2.2

埋 込 み 医 療 機

器 に 係 る 固 有

の 要 求 事 項

第 52 条 7.5.5 製 品 の 保 持

【 一 部 適 用 し

な い 】

==============================================

【解 説】

・ QMS省令には、QMSに適用しないことに係る根拠条項が次の3種類規定されている。ただし、このうち、設計管理を要しない医療機器に係る第 4条第 1項の適用除外の規定は、保管製造所においては、その行う業務にそもそも関係しないので、考慮する必要はない。QMSに条項を適用しないこととする場合には、その他 2 種類の「適用しない」の規定のいずれに該当するかを判断し、その判断理由についても適切に品質マニュアルに記載することが必要である。

● 第 4条第 1項: 設計管理を要しない医療機器等については、第 30条から第 36条までの設計開発プロセスに係る条項が適用されない。(適用除外)

● 第 4条第 1項: 医療機器等の特性により第5節 製品実現(第 26条から第 53条まで)の規定を適用することができない場合は適用しないことができる。(適用しない)

● 第 83条第 1項: 登録製造所が行う工程に照らし、その QMSに適用することが適当でない条項は適用しないことができる。(適用しない)

・ 本事例においては、製造販売業者が製品の品質の維持を目的として外部委託工程として管理する保管工程であることを考慮し、製造販売業者が主体的に当該保管工程を管理することを前提として、旧QMS省令の第3章で要求されていた範囲を参考に適用しない条項を選定している。製造販売業者がこれらの適用しない条項の適用を保管製造所に求める場合は、保管製造所はその条項を QMSに適用し、自ら実施する必要がある。また製造販売業者が QMS省令以外に要求する事項についても、品質管理上必要なものはQMSに取り込んで実施する必要がある。

・ 製造販売業者からの委託工程に製品の品質へ直接影響する作業(例:製品への法定表示、本体の機能検査など)が含まれている場合は、保管製造所は製品の品質目標の設定などを QMSに規定することが必要と考える。

・ 製造販売業者との覚書等に製造販売業者の品質目標達成のために保管製造所のプロセスが関与するなどの理由で品質目標の設定が求められている場合は、保管製造所は QMSに品質目標の設定を規

― 9/27 ― 

定することが必要である。

==============================================

3. 定 義

以 下 の 他 、 QMS 省 令 の 用 語 に 代 え て ISO 9000:2005 ( JIS Q 9000:2006) 、 ISO 13485:2003 ( JIS Q 13485:2005 ) の 定 義 に よ

る 用 語 を 用 い る 。

3.1 品 質 マ ニ ュ ア ル :   QMS 省 令 に お け る 品 質 管 理

監 督 シ ス テ ム 基 準 書 を い う 。

3.2 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム :   QMS 省 令 に お け

る 品 質 管 理 監 督 シ ス テ ム を い う 。

3.3 マ ネ ジ メ ン ト レ ビ ュ ー :   QMS 省 令 に お け る 管

理 監 督 者 照 査 を い う 。

3.4 組 織 :   QMS 省 令 に お け る 品 質 管 理 監 督 シ ス テ

ム に 含 ま れ る 製 品 実 現 に 係 る 施 設

( 製 造 所 を 含 む 。 ) を い う 。

3.5 プ ロ セ ス :   QMS 省 令 に お け る 工 程 を い う 。

==============================================

【解 説】

・ 用語については ISO 13485:2003(JIS Q 13485:2005)、 ISO 9000:2005(JIS Q 9000:2006)等のQMS省令以外の他の QMS規格で使用されているものを使用する場合は、QMS省令第 2条で規定されている用語との差分に留意する必要がある。

・ 上記の他、必要に応じて自社で使っている用語を本項で規定してもよい。

・ QMS省令第 51条では製品受領者との情報交換を求めている。本事例では、保管製造所は製品の保管および出荷の業務を受託しているのであり、製品の運送業務は受託していない。このため、保管製造所はエンドユーザや販売業者などの製造販売業者以降の製品受領者と直接やり取りすることは無い。従って保管製造所における製品受領者は製造販売業者のみとなる。

==============================================

4. 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム

4.1 一 般 ( 第 5 条 )

当 社 は 、 製 造 販 売 業 者 と の 覚 書 等 に 基 づ き 、 QMS省 令 の 要 求 事 項 に 従 っ て 、 次 の 事 項 を 実 施 す る こ

と を 通 じ 、 製 造 販 売 業 者 の QMS の 外 部 委 託 プ ロ セ ス

と し て の 保 管 及 び 出 荷 並 び に そ れ に 関 連 す る プ ロ

セ ス に 関 す る QMS を 確 立 し 、 実 施 す る と と も に 、 そ

― 10/27 ― 

の 実 効 性 を 維 持 す る 。

a) QMS に 必 要 な プ ロ セ ス 及 び そ れ ら の 適 用 を 本 品

質 マ ニ ュ ア ル 及 び 組 織 図 / 業 務 分 掌 書 ( 附 属

書 1 ) に お い て 明 確 に す る 。

b) プ ロ セ ス の 順 序 及 び 相 互 の 関 係 を 明 確 に す る

( 図 4.1   プ ロ セ ス 図 )

c) プ ロ セ ス の 実 施 及 び 管 理 の 実 効 性 の 確 保 に 必

要 な 判 定 基 準 及 び 方 法 を 本 品 質 マ ニ ュ ア ル 、

手 順 書 等 に お い て 明 確 に し 、 そ れ に 必 要 な 資

源 及 び 情 報 が 利 用 で き る こ と を 確 実 に す る と

と も に 、 そ れ ら に よ り プ ロ セ ス を 監 視 す る 。

d) プ ロ セ ス に つ い て 、 QMS の 実 効 性 を 維 持 す る た

め に 、 必 要 な 処 置 を 行 う 。

当 社 は 、 製 造 販 売 業 者 か ら 委 託 さ れ た プ ロ セ ス の

再 委 託 は 行 わ な い 。

     

      参 照 文 書 :   株 式 会 社 厚 科 研 と の 覚 書 等

QMKS002   附 属 書 1 「 ( 株 ) 国 内 倉 庫 組 織

図 / 業 務 分 掌 書 」

― 11/27 ― 

図 4.1  当 社 の プ ロ セ ス 図

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【解 説】

・ 本事例において、QMS省令の管理監督者の関与に関して(第 10条~第 20条)は、製造販売業のQMSの外部委託工程である保管サービスに係るQMSであることを踏まえ、製品の品質確保に係る製造販売業者の要求事項を遵守することが求められる範囲を適用しないとしている。

・ 例えば、保管製造所における保管サービスの在り方全般について管理監督者が品質方針を定めることはあって然るべきである。しかし、製造販売業者の委託及びその管理のもと、定められた人員及び設備の範囲で当該製造販売業者の製品たる医療機器等の保管のみを行う場合においては、「当該医療機器等に係る個別の品質方針」を保管製造所の管理監督者が特別に定める意義はなく、製造販売業者の要求に適合していることを確実にすることで足ると考えられる。

・ 製造販売業者は保管製造所で「適用しない」とされた項目を製造販売業者のQMSで管理していることを確実にするため、QMS省令第5条第4項等に従い管理する必要があることに留意すること。

・ QMS省令第 7条第 1項の規定により、品質マニュアルに各プロセスの相互関係を記載する必要がある。図 4.1は、本事例における品質マネジメントシステムのプロセスを示している。さらに図には委託元である製造販売業者との関わりも併せて示している。なお、本事例は仮想のものであるので、各社の実態に沿ったものとすること。

・ 製造販売業者との関わりを示す場合であっても、保管製造所で行われる各プロセスの相互関係を明確にすること。本事例では品質マニュアルに示しているが、覚書等に示すことでもよい。

============================================

― 12/27 ― 

==

4.2 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 文 書 化 ( 第 6 条 )

品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 文 書 化 に は 、 次 の 事

項 を 含 め る 。

a) 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 基 準 ( 「 4.3 品 質

マ ニ ュ ア ル ( 第 7 条 ) 」 参 照 )

b) 保 管 工 程 に つ い て 、 実 効 性 の あ る 計 画 的 な 実

施 及 び 管 理 が な さ れ る よ う に す る た め に 必 要

な 事 項

c) QMS 省 令 が 規 定 す る 手 順 及 び 記 録

d) そ の 他 薬 事 に 関 す る 法 令 の 規 定 に よ り 文 書 化

す る こ と が 求 め ら れ る 事 項

当 社 は 、 製 品 ご と に 、 当 社 の 市 場 へ の 出 荷 管 理 及

び 保 管 業 務 に か か わ る 製 品 の 仕 様 及 び 品 質 マ ネ ジ

メ ン ト シ ス テ ム に 係 る 要 求 事 項 を 明 確 に し た 製 品

標 準 書 を 作 成 し 、 保 管 す る 。 製 品 標 準 書 に 含 め る

項 目 は 委 託 の 範 囲 と し 、 保 管 、 出 荷 判 定 、 出 荷 業

務 に 関 す る 項 目 を 含 む 。

使 用 記 録 帳 票 :   xxxxxxx   製 品 標 準 書

==============================================

【解 説】

・ 製品標準書については、最低限下記の8つが含まれること(これらが記載された文書の所在・文書番号等を明確化することでも差し支えない。)が望ましい。委託を受けた範囲で逐条解説に記載されている項目を追加して製品標準書を作成すること。(各項目のカタカナは、逐条解説(平成 26年薬食監麻発 0827第4号)第6条関係と対応。)

ア.当該製品に係る医療機器等の製品群区分、一般的名称及び販売名(型式のあるものについては型式を含む。)

イ.当該製品に係る医療機器等の製造販売承認(認証)年月日及び製造販売承認(認証)番号(製造販売承認及び製造販売認証が不要な品目に係る製品の場合においては、製造販売の届出年月日)

カ.製造方法及び製造手順(製造に用いる設備、器具及び装置並びに作業環境に関する事項を含む)

ス.製品、製造用物質及び構成部品等の保管方法、保管条件並びに有効期間又は使用期限

※保管条件が無い場合はその旨を記載するのが良い。

セ.施設からの出荷の可否の判定及び市場への出荷の可否の判定手順

ソ.製品の輸送の方法及び手順

テ.製造販売業者と保管製造所間の覚書等

― 13/27 ― 

①        品質マニュアル

②        規定、手順書(製造販売業者から提示された手順を含む)

③        様式、記録

ト.製造販売業者と保管製造所間のQMSの相互関係(本事例では品質マニュアルに記載)

・ 製造販売業者から製品標準書の原案等の提供を受けることが多いと考えられるが、その場合は必要に応じて自社で規定する事項も記載しておくこと。製造販売業者から提供された文書などを外部文書として管理すること。

・ イ項について、製造販売届出品目の場合、梱包箱などに表示されていることも想定して届出年月日に加えて届出番号を記載しておいた方がよい。

・ 旧QMS省令においても要求されているため、本事例では製品標準書の例示はしない。

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4.3 品 質 マ ニ ュ ア ル ( 第 7 条 )

当 社 は 、 次 の 事 項 を 記 載 し た 本 品 質 マ ニ ュ ア ル を

作 成 し 、 維 持 す る 。

a) 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 範 囲 。 適 用

を 除 外 す る 事 項 又 は 適 用 し な い 事 項 が あ る 場

合 は 、 そ の 詳 細 及 び そ れ を 正 当 と す る 理 由 。

b) 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム に つ い て の 確

立 さ れ た 文 書 化 し た 手 順 、 又 は そ の 文 書 番 号

等 参 照 の た め の 情 報 。

c) 各 プ ロ セ ス の 相 互 の 関 係 。

品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 文 書 の 体 系 を 下 図

に 示 す 。

                             

                               

         

         

                            

         

注 :   品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 運 用 に 必 要 な

製 品 標 準 書 や 委 託 元 ( 製 造 販 売 業 者 ) か ら 配

付 さ れ た 図 面 等 は 、 「 規 定 、 手 順 書 」 に 含 む 。

==============================================

― 14/27 ― 

【解 説】

・ 品質マニュアルにはQMS省令第 7条第 2項の規定に基づき、品質マネジメントシステムに係る文書の体系を記載する必要がある。

・ 一般に文書の体系は、②の「規定、手順書」の階層を「規定」と「手順書」の 2つの階層に分け合計 4階層とする場合も多い。また、「手順書」に階層をもうけて、「第○階層手順書」としてもよい。管理すべき文書の量、組織体制等に応じて管理しやすいように、実態に応じ整理すること。

・ 具体的な作業手順等、より詳細な手順書が必要な場合は、別途作成すること。なお、小規模な企業等において、本品質マニュアル中にそれらの具体的な手順まで記載することで文書管理上支障がなければ、それでも差し支えない。

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4.4 文 書 管 理 ( 第 8 条 、 第 67 条 )

当 社 は 、 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム で 必 要 と す る

文 書 を 管 理 文 書 と し て 管 理 す る 。

次 に 掲 げ る 文 書 の 管 理 業 務 に 関 す る 手 順 書 を 確 立

し 、 実 施 す る 。

a) 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 文 書 を 発 行 前 に 、

そ の 文 書 の 妥 当 性 を レ ビ ュ ー し 、 発 行 を 承 認

す る 。

b) 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 文 書 を レ ビ ュ ー し

必 要 に 応 じ て 更 新 し 、 更 新 を 承 認 す る 。

c) 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 文 書 の 変 更 内 容 及

び 最 新 の 改 訂 版 の 識 別 を 確 実 に す る 。

d) 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 文 書 の 有 効 な 版 が

必 要 な と き に 、 必 要 な と こ ろ で 利 用 で き る よ

う に す る 。

e) 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 文 書 が 読 み や す く

容 易 に 内 容 を 把 握 す る こ と が で き る 状 態 で あ

る こ と を 確 実 に す る 。

f) 外 部 で 作 成 さ れ た 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム

文 書 を 識 別 し 、 そ の 配 付 を 管 理 す る 。

g) 廃 止 し た 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 文 書 が 意

図 に 反 し て 使 用 さ れ る こ と を 防 止 す る 。 廃 止

し た 文 書 を 保 持 す る 場 合 、 廃 止 さ れ た も の で

あ る こ と が 適 切 に 識 別 で き る よ う に す る 。

品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 文 書 の 変 更 に 当 た っ て

は 、 当 該 決 定 の 根 拠 と な る 情 報 を 入 手 で き る 立 場

に あ る 、 当 該 文 書 を 最 初 に 承 認 し た 部 門 又 は そ の

他 の あ ら か じ め 指 定 し た 部 門 が そ の 変 更 を レ

― 15/27 ― 

ビ ュ ー し 、 そ の 部 門 の 承 認 を 得 る 。

廃 止 し た 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 文 書 は 、 そ の

原 本 又 は 写 し の 少 な く と も 1 部 を 、 廃 止 の 日 か ら 以

下 の 期 間 保 管 す る 。 た だ し 、 製 品 の 試 験 検 査 に 用

い た 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 文 書 に つ い て は 、

以 下 に 規 定 す る 期 間 、 当 該 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス

テ ム 文 書 が 利 用 で き る よ う に 保 管 す る 。

・ 特 定 保 守 管 理 医 療 機 器 に 係 る も の 15 年 間

・ 上 記 以 外 の 医 療 機 器 に 係 る も の 5 年間

・ 教 育 訓 練 に 係 る も の 5年 間

      参 照 文 書 : SSOP401  文 書 管 理 規 定

==============================================

【解 説】

・教育訓練以外に係る文書に求められている保管期間は、医療機器の分類により、以下の通り異なっている。

分類 保管期間

特定保守管理医療機器品質管理監督文書の廃止の日から、15年もしくは『「有効期間又は使用の期限」+1年』のどちらか長い方の期間

特定保守管理医療機器以外品質管理監督文書の廃止の日から 5年もしくは『「有効期間又は使用の期限」+1年』のどちらか長い方の期間

・本事例では医療機器の分類および文書の種類ごとに保管期間を規定しているが、複数の品目を取り扱う場合、品目毎に保管期間が異なることがある。その場合、個々に保管期間を規定してもよいし、管理が煩雑になることも想定して最長の保管期間に統一して単一の期間を設定してもよい。

・本事例では文書の保管期間を品質マニュアルに規定しているが、下位の手順書に規定してもよい。

・QMS省令において手順の文書化が求められているものは以下の表のとおり。これら要求事項に対して、この事例においての要否を右欄に示す。本事例に係る保管製造所における適用事項を◎で示す。

条項 項目本品質マニュアルの事例での要否

第8条第2項 ア.品質管理監督文書の管理 ◎第9条第2項 イ.記録の管理 ◎第25条第3項 ウ.作業環境 ◎第30条第1項 エ.製品の設計開発 適用しない第37条第1項 オ.購買工程 適用しない第40条第1項 カ.製造及びサービス提供の管理 ◎ 第43条第1項 キ.附帯サービス業務 適用しない第45条第4項 ク.ソフトウェアの適用のバリデーション 適用しない第46条第1項 ケ.滅菌工程のバリデーション 適用しない

― 16/27 ― 

第47条第2項 コ.製品の識別 ◎第47条第3項 サ.返却製品の識別 ◎第48条第1項 シ.追跡可能性の確保 ◎第52条第1項 ス.製品の保持 ◎第52条第2項 セ.使用の期限が限定された製品等の管理 適用しない第53条第2項 ソ.監視及び測定 ◎第55条第3項 タ.製品受領者の意見収集等 適用しない第56条第6項 チ.内部監査実施計画の策定及び実施等 ◎第60条第2項 ツ.不適合製品の処理に係る管理等 ◎第61条第1項 テ.データの分析等 適用しない第62条第2項 ト.通知書の発行及び実施 適用しない

第62条第6項 ナ.不具合等の厚生労働大臣への報告◎

(第 83条第 2項で読み替え)

第63条第2項 ニ.是正措置 ◎第64条第2項 ヌ.予防措置 適用しない

《用例》 ◎:必要

・上記の内、「ナ.不具合等の厚生労働大臣への報告」は、第83条第2項により第62条第6項中の「同項の規定に基づき厚生労働大臣に報告する」を「当該事項を製造販売業者に通知する」に読み替えるものとされているため、必ず適用しなければならない要求事項である。

・手順の文書化が求められている要求事項について、品質マニュアルに具体的な手順を記載している場合には、別途手順書を作成する必要はない。

・2.1項の【解説】でも述べているが、保管製造所が行うプロセスおよび業務によっては、上記の表中で「適用しない」とした事項も適用とすべきケースが考えられる。その場合には、該当する手順を作成し、文書化することが必要である。

例:「購買管理」が適用の場合、「オ.購買工程(第37条第1項)」

・QMS省令において、文書化が求められている項目は以下のとおり。これらの要求項目に対して、この事例においての要否を右欄に示す。

QMS省令の項番

文書化が必要な事項本品質マニュアルの事例での要否

第6条第1項第1号 ア.品質方針の表明 適用しない第6条第1項第1号 イ.品質目標の表明 適用しない第6条第1項 ウ.品質管理監督システム基準書 ◎第6条第1項第4号 エ.手順を規定する文書(上記の表を参照) ◎第6条第1項第5号

オ.薬事に関する法令の規定により文書化することが求められる事項

◎第6条第2項 カ.製品標準書 ◎第15条第1項

キ.業務に従事する部門及び構成員の責任及び権限

◎第24条第2項 ク.業務運営基盤の保守に係る要求事項 ◎第25条第2項

ケ.構成員の健康状態、清浄の程度等に係る要求事項

◎第25条第3項 コ.作業環境の条件に係る要求事項 ◎第25条第5項 サ.汚染された製品等の管理に関する実施要領 適用しない第26条第5項 シ.製品のリスクマネジメントに係る要求事項 適用しない第28条第2項 ス.製品要求事項に係る文書 適用しない第30条第5項 セ.設計開発計画に係る文書 適用しない第38条第3項 ソ.購買情報が記載された文書 適用しない第40条第1項 タ.製造及びサービス提供に係る要求事項 ◎第40条第1項 チ.製造及びサービス提供に係る作業指図書 ◎

― 17/27 ― 

第41条 ツ.製品の清浄に係る要求事項 適用しない第42条第1項 テ.設置業務に係る要求事項 適用しない

第43条第1項ト.附帯サービス業務の実施等に係る作業指図に

係る体系適用しない

第52条第1項 ナ.製品の保持に係る作業指図に係る体系 ◎第52条第2項

ニ.使用の期限が限定された製品等の管理に係る作業指図に係る体系

適用しない

第60条第9項 ヌ.製造し直しに係る手順 適用しない第60条第10項 ネ.製造し直しに係る悪影響 適用しない第62条第2項 ノ.通知書 適用しない

《用例》 ◎:必要

・文書化が求められている要求事項に対しても、品質マニュアルに具体的な事項を記載している場合には、別途文書を作成する必要はない。

・第 52条第 2項に関して、手順「セ.使用の期限が限定された製品等の管理」か、文書「ニ.使用の期限が限定された製品等の管理に係る作業指図に係る体系」のどちらか一方の作成が求められているため、自社の用いている方法に合わせて「適用」とするものを規定してもよい。

・2.1項の【解説】でも述べているが、保管製造所が行うプロセスおよび業務によっては、上記の表中で「適用しない」とした事項を適用し、その事項の文書化を行うことが必要である。

例: 「購買管理」が適用の場合、「ソ.購買情報が記載された文書(第38条第3項) 」

==============================================

4.5 記 録 の 管 理 ( 第 9 条 、 第 68 条 )

当 社 は 、 QMS 省 令 へ の 適 合 及 び 品 質 マ ネ ジ メ ン ト

シ ス テ ム の 実 効 性 の あ る 実 施 を 実 証 す る た め 、 読

み や す く 容 易 に 内 容 を 把 握 す る こ と が で き 、 か つ

検 索 が で き る よ う に 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム に

係 る 記 録 ( 以 下 「 品 質 記 録 」 と い う 。 ) を 作 成 し 、

保 管 す る 。

当 社 は 、 品 質 記 録 の 識 別 、 保 管 、 保 護 、 検 索 、 保

管 期 間 及 び 廃 棄 に つ い て の 必 要 な 管 理 を 規 定 す る

た め に 、 文 書 化 し た 手 順 を 確 立 す る 。

      品 質 記 録 は 、 作 成 の 日 か ら 以 下 の 期 間 保 管 す

る 。

・ 医 療 機 器 に 係 る も の 15 年 間

・ 教 育 訓 練 に 係 る も の 5年 間

      参 照 文 書 : SSOP402  品 質 記 録 管 理 規 定

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

【解 説】

― 18/27 ― 

・教育訓練以外に係る記録に求められている保管期間は、医療機器の分類により以下の通り異なっている。

分類 保管期間

特定保守管理医療機器

記録の作成日から、15年もしくは『「有効期間又は使用の期限」+1年』のどちらか長い方の期間

特定保守管理医療機器以外

記録の作成日から 5年もしくは『「有効期間又は使用の期限」+1年』のどちらか長い方の期間

・本事例では、医療機器に係る記録に対して単一の保管期間を設定しているが、複数の品目を扱う場合には有効期間がもっとも長い品目にあわせて期間を設定してもよいし、個々に設定してもよい。また教育に係る記録も、医療機器に係る記録と同じ保管期間を設定することも可能である。保管期間を品質マニュアルに規定しているが、下位の文書管理手順に規定してもよい。

・QMS省令において、記録の作成が求められている事項は以下のとおり。これら要求項目に対して、本事例においての要否を右欄に示す。

QMS省令の項番

品質記録の作成が必要な事項本品質マニュアルにおける適用

第18条第2項 ア.管理監督者照査の結果 適用しない第23条第5号 イ.構成員の教育訓練、技能及び経験 ◎第24条第3項 ウ.業務運営基盤の保守業務 ◎第26条第6項 エ.リスクマネジメント 適用しない

第28条第3項オ.製品要求事項の照査の結果及びこれに基づ

き採った措置適用しない

第31条第1項 カ.設計開発に係る工程入力情報 適用しない第32条第4項 キ.設計開発に係る工程出力情報 適用しない第33条第3項 ク.設計開発照査の結果等 適用しない

第34条第2項ケ.設計開発の検証の結果及びこれに基づき

採った措置適用しない

第35条第3項 コ.設計開発バリデーションの結果等 適用しない第36条第1項 サ.設計開発の変更 適用しない第36条第4項 シ.設計開発の変更の照査の結果等 適用しない第37条第5項 ス.購買物品の供給者の評価の結果等 適用しない第38条第3項 セ.購買情報 適用しない第39条第3項 ソ.購買物品の検証 適用しない第40条第2項 タ.製品の各ロットについての記録 ◎第42条第3項 チ.医療機器の設置及び検証 適用しない第43条第2項 ツ.実施した附帯サービス業務 適用しない第44条第1項 テ.各滅菌ロットについての工程指標値 適用しない第45条第6項 ト.製造工程等のバリデーション 適用しない第46条第3項 ナ.滅菌工程のバリデーションの結果 適用しない第48条第3項 ニ.追跡可能性の確保のための識別 ◎第49条第4項

ヌ.特定医療機器に係る製品の荷受人の氏名及び住所

適用しない

第51条第2項 ネ.製品受領者の物品等の紛失、損傷等の内容 ◎第52条第3項 ノ.特別な保管条件 適用しない第53条第3項第1号

ハ.計量の標準が存在しない場合の校正又は検証

適用しない

第53条第4項 ヒ.従前の監視及び測定結果の妥当性の評価 適用しない

第53条第6項フ.監視及び測定のための設備及び器具の校正

及び検証の結果適用しない

第56条第6項 ヘ.内部監査結果 ◎

― 19/27 ― 

第58条第3項 ホ.製品の監視及び測定結果 ◎ 第58条第4項 マ.出荷可否決定等を行った者 ◎第59条

ミ.特定医療機器に係る製品の試験検査業務を行った構成員

適用しない

第60条第5項 ム.不適合製品の特別採用を許可した構成員 ◎第60条第6項 メ.不適合の内容等 ◎第61条第3項 モ.データの分析の結果 適用しない第62条第3項 ヤ.製品受領者の苦情についての調査 ◎第62条第5項 ユ.是正措置又は予防措置を行わない理由 ◎第63条第5号 ヨ.是正措置に関する調査結果等 ◎第64条第2項 ワ.予防措置に関する調査結果等 適用しない

第72条第2項第3号

ヲ. 国内に流通させる製品について、市場への出荷の決定をロットごとに行った結果及び出荷先等市場への出荷の記録

《用例》 ◎:必要

上記の内、第 53条第 3項第 1号、第 53条第 4項、および第 53条第 6項に関して、本事例においては外観検査以外の検査は実施しておらず特別な管理が必要な監視測定のための設備、器具を保有していないことから、「適用しない」としている。実際には、製造販売業者の要求事項、自社の使用する設備や器具の特性、管理項目などに応じて適用の要否の判断をすること。

・2.1項の【解説】でも述べているが、保管製造所が行うプロセスおよび業務によっては、上記の表中で「適用しない」とした事項の記録作成を行うことが必要である。

例:「購買管理」が適用の場合、セ.購買情報(第 38条第 3項)が記載された記録」

・実際に出荷判定のための保管のみを行う保管製造所へ QMS省令を適用するにあたっての適用の考え方は各条項及び【解説】を参照すること。

・出荷の判定に係る記録の作成は、QMS省令第 72条第 2項第 4項の規定により製造販売業者がその責任において出荷判定を行う者に作成させる必要がある。記録すべき事項、当該記録を製造販売業者の国内品質業務運営責任者に報告する頻度等について、覚書等に規定し、これを実施すること。

・出荷判定にかかる記録について電磁記録により保管する場合、電磁記録を作成、保管するソフトウェアの適用の妥当性確認が必要となる。

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

5. 社 長 の 責 任

5.1 社 長 の コ ミ ッ ト メ ン ト ( 第 10 条 )

社 長 は 、 本 QMS の 構 築 及 び 実 施 並 び に そ の 有 効 性

の 維 持 の た め 、 次 の 事 項 を 実 施 す る 。

a) 医 薬 品 、 医 療 機 器 等 の 品 質 、 有 効 性 及 び 安 全

性 の 確 保 等 に 関 す る 法 律 ( 昭 和 35 年 法 律 第 145号 ) ( 以 下 、 「 医 薬 品 医 療 機 器 等 法 」 と い

う 。 ) 及 び QMS 省 令 並 び に 製 造 販 売 業 者 と の

覚 書 等 を 遵 守 す る こ と の 重 要 性 を 医 療 機 器 の

保 管 に 関 わ る 部 門 に 周 知 す る 。

b) 製 造 販 売 業 者 の 要 求 す る 医 療 機 器 の 保 管 に 係

る 資 源 が 利 用 で き る こ と を 確 実 に す る 。

― 20/27 ― 

参 照 文 書 :   株 式 会 社 厚 科 研 と の 覚 書

5.2 製 造 販 売 業 者 の 重 視 ( 第 11 条 )

社 長 は 、 QMS の 運 用 及 び 製 造 販 売 業 者 と の 情 報 交

換 を 通 じ 、 製 造 販 売 業 者 と の 覚 書 等 に 基 づ き 医 療

機 器 の 保 管 業 務 が 製 造 販 売 業 者 の 要 求 事 項 に 適 合

し て い る よ う に す る こ と を 確 実 に す る 。

参 照 文 書 :   株 式 会 社 厚 科 研 と の 覚 書

5.3 QMS の 計 画 ( 第 14 条 )

社 長 は 、 製 造 販 売 業 者 及 び 4.1 項 の 要 求 事 項 を 満

た す た め 、 QMS の 計 画 た る 品 質 マ ニ ュ ア ル 及 び 品

質 管 理 文 書 が 策 定 さ れ 、 そ の 変 更 を 行 う 場 合 に は

QMS が 不 備 の な い 状 態 で あ る こ と を 維 持 す る 。

5.4 責 任 、 権 限 及 び コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン

5.4.1   責 任 及 び 権 限 ( 第 15 条 )

社 長 は 、 医 療 機 器 の 保 管 に 関 す る 業 務 を 行 う 構

成 員 に 必 要 な 責 任 及 び 権 限 並 び に そ の 相 互 関 係 を

本 品 質 マ ニ ュ ア ル 及 び 組 織 図 に 定 め 、 こ れ を 社 内

に 周 知 す る 。

参 照 文 書 :   QMKS002   附 属 書 1 「 ( 株 ) 国 内 倉 庫

組 織 図 / 業 務 分 掌 書 」

5.4.2   責 任 技 術 者

社 長 は 、 医 薬 品 医 療 機 器 等 法 施 行 規 則 第 114条 の 53第 1 項 の い ず れ か を 満 た す 者 を 物 流 管 理 部 長 と し 、

同 項 に 規 定 す る 責 任 技 術 者 に 任 命 す る 。

責 任 技 術 者 は 、 保 健 衛 生 上 支 障 を 生 ず る お そ れ

が な い よ う に 、 登 録 製 造 所 と し て の 業 務 を 行 う 部

門 の 要 員 を 監 督 し 、 製 造 所 と し て の 構 造 設 備 及 び

製 造 販 売 業 者 か ら 受 託 し た 製 品 や 必 要 な ら ば 他 の

物 品 を 管 理 し 、 そ の 他 の 業 務 に つ き 、 必 要 な 注 意

を し な け れ ば な ら な い 。

責 任 技 術 者 は 、 保 健 衛 生 上 支 障 を 生 ず る お そ れ

― 21/27 ― 

が な い よ う に 、 登 録 製 造 所 と し て の 業 務 に つ い て

社 長 に 対 し 必 要 な 意 見 を 述 べ な け れ ば な ら な い

==============================================

【解 説】

・本事例では、高度管理医療機器又は管理医療機器を取り扱う保管製造所を想定している。一般医療機器のみを取り扱う場合、責任技術者は医薬品医療機器法施行規則第 114条の 53条第 2項のいずれかを満たす者を責任技術者とすることができる。

==============================================

5.4.3   管 理 責 任 者 ( 第 16 条 )

社 長 は 、 物 流 管 理 部 長 を 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス

テ ム の 実 施 及 び 維 持 の 責 任 者 と し て 、 次 の 責 任 及

び 権 限 を も つ 管 理 責 任 者 に 任 命 す る 。

a) プ ロ セ ス が 確 立 さ れ 、 実 施 さ れ る と と も に 、

そ の 実 効 性 が 維 持 さ れ て い る よ う に す る 。

b) 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 実 施 状 況 及 び

そ の 改 善 の 必 要 性 に つ い て 社 長 に 報 告 す る 。

c) 医 療 機 器 の 保 管 に 係 る 業 務 を 行 う 部 門 内 に

お い て 、 医 薬 品 医 療 機 器 等 法 及 び 製 造 販 売 業

者 と の 覚 書 等 に 対 す る 認 識 を 高 め る こ と を 確

実 に す る 。

      参 照 文 書 :   株 式 会 社 厚 科 研 と の 覚 書 等

==============================================

【解 説】

・管理責任者は、保管製造所の役員、管理職の地位にある者その他これに相当する者が任命されることが求められている。

・管理監督者の代理として第 16条に規定する業務を適切に遂行できる能力を有すると管理監督者が判断した場合には、管理責任者は保管製造所の、例えば管理層などから選定し、任命することも可能である。ただしその場合、管理監督者は管理責任者に、管理責任者としての業務に係る責任及び権限を適切に付与し、その業務が遺漏なく全うされるようにしておくこと。

==============================================

5.5 内 部 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ( 第 17 条 )

社 長 は 、 品 質 マ ニ ュ ア ル 、 各 手 順 書 に お け る 規

定 等 に 基 づ き 医 療 機 器 の 保 管 に 係 る 業 務 を 行 う 部

― 22/27 ― 

門 内 に お い て QMS の 有 効 性 に 関 す る コ ミ ュ ニ ケ ー

シ ョ ン が 行 わ れ る こ と を 確 実 に す る 。

==============================================

【解 説】

・ 本事例は、保管サービスの顧客たる製造販売業者の委託に係る要求事項に基づき特定の医療機器の保管を行うことを目的としており、保管製造所のみの判断による「QMS若しくは製品の改善」又は「資源の必要性」をアウトプットとする定期的なマネジメントレビューは、製造販売業者との覚書等で求められていないものとして、「適用しない」としている。ただし、重大な QMSの改善等が必要な場合は、医薬品医療機器等法施行規則第 114条の 51に規定する責任技術者の製造業者への意見又は上記 5.4.3b)の社長への報告として、随時管理監督者たる社長に報告され、社長及び製造販売業者双方の指示等に従って速やかに改善等を行うことが必要であることは、当然である。

・なお、委託先や製品を特定しない保管サービス全般の品質保証のための ISO 13485又は ISO 9001に係るQMSを構築している場合は、QMS及び保管サービスの維持又は継続的改善のためのマネジメントレビューを行うことが必要である。

==============================================

6. 資 源 の 監 督 管 理

6.1 資 源 の 確 保 ( 第 21 条 )

当 社 は 、 次 の 業 務 に 必 要 な 資 源 を 6.2 か ら 6.4 ま で の

規 定 、 組 織 図 / 業 務 分 掌 書 ( 附 属 書 1 ) そ の 他 の 品

質 管 理 文 書 に よ り 明 確 に し 、 確 保 す る 。

a) 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム を 実 施 す る と と も

に 、 そ の 実 効 性 を 維 持 す る 。

b) 法 令 の 規 定 等 及 び 製 造 販 売 業 者 の 要 求 事 項 に

適 合 す る 。

参 照 文 書 :   QMKS002   附 属 書 1 「 ( 株 ) 国 内 倉 庫

組 織 図 / 業 務 分 掌 書 」

6.2 人 的 資 源

6.2.1   品 質 業 務 従 事 者 の 能 力 ( 第 22 条 )

当 社 は 、 製 品 の 品 質 に 影 響 を 及 ぼ す 業 務 お よ び 受

託 し た プ ロ セ ス に 従 事 す る 全 て の 者 に つ い て 、 関

連 す る 教 育 訓 練 、 技 能 及 び 経 験 に 基 づ き 業 務 に 必

要 な 能 力 を 有 す る こ と を 次 項 の 業 務 に よ り 担 保 す

る 。

6.2.2   能 力 、 認 識 及 び 教 育 訓 練 ( 第 23 条 )

当 社 は 、 次 の 業 務 を 行 う 。

― 23/27 ― 

a) 製 品 の 品 質 に 影 響 を 及 ぼ す 業 務 に 従 事 す

る 者 に ど の よ う な 能 力 が 必 要 か を 明 確 に す る 。

b) 必 要 な 能 力 を 取 得 さ せ る た め に 教 育 訓 練

の 実 施 そ の 他 の 措 置 を 取 る 。

c) 取 っ た 措 置 の 実 効 性 を 評 価 す る 。

d) 全 て の 構 成 員 に 、 自 ら の 活 動 の 持 つ 意 味

及 び 重 要 性 を 認 識 さ せ る 。

e) 構 成 員 の 教 育 訓 練 、 技 能 及 び 経 験 に つ い

て 適 切 な 記 録 を 作 成 し 、 保 管 す る 。

使 用 記 録 帳 票 :   FMQM602-01  ス キ ル マ ッ プ

FMQM602-02  技 能 ・ 教 育 記 録 ( 個 人 別 )

6.3 業 務 運 営 基 盤 ( 第 24 条 )

当 社 は 、 製 造 販 売 業 者 か ら 委 託 さ れ た 製 品 の 保 管

を 確 実 に 実 施 す る た め の 業 務 運 営 基 盤 を 建 物 と す

る 。 風 雨 及 び 直 射 日 光 の 遮 断 状 況 、 建 物 の 劣 化 状

況 を 定 期 的 に 点 検 し 記 録 す る 。

使 用 記 録 帳 票 :   FMQM603-01「 建 物 点 検 リ ス ト 」

FMQM603-02「 建 物 点 検 チ ェ ッ ク シ ー ト 」

==============================================

【解 説】

・本事例においては、業務に必要なインフラストラクチャーとして建物のみを規定しているが、使用している設備や建物が、保守・点検を怠ると製品の品質及び品質を維持するための衛生環境や保管環境に影響を与える恐れがある場合は、保守・点検が必要かどうかを整理して運用を確立し、文書化すること。これについては、一覧表を作成して示してもよいし、固定資産管理台帳、作業票に示してもよい。

・例えば、医療機器等を取り扱うエリアを一般製品と区別している場合には、その概要について平面図等を用いて示しておくと良い。

・それらのインフラストラクチャーについて、保守や点検の内容、方法およびその実施頻度を別途文書で定めてもよい。

・上記において“保守・点検”が必要な場合とは、QMS省令の“業務運営基盤の保守業務又はその欠如が製品の品質に影響を及ぼすおそれがある場合”を指す。

例: 空調設備、冷蔵設備、電動リフト、フォークリフト、給電設備

・第 24条第 2項に従い、必要な項目を明確にして、それらを管理すること。

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― 24/27 ― 

6.4 作 業 環 境 ( 第 25 条 )

当 社 は 製 品 標 準 書 に 規 定 さ れ た 保 管 条 件 な ど に 基

づ き 、 必 要 な 作 業 環 境 を 明 確 に し 、 管 理 す る 。 製

造 販 売 業 者 か ら 受 託 し た 製 品 は 輸 送 の た め の 梱 包

を 実 施 し た 状 態 で の み 管 理 す る た め に 作 業 環 境 に

関 し て 特 別 に 管 理 す る 必 要 は 無 く 、 日 常 管 理 を 行

う 。 日 常 管 理 の 項 目 は 、 整 理 整 頓 、 定 期 的 な 清 掃

( 1 回 / 日 ) 、 作 業 エ リ ア 内 で の 飲 食 ・ 喫 煙 の 禁 止

と す る 。

 

物 流 部 は 返 却 さ れ た 製 品 を 出 荷 判 定 前 の 製 品 置 場

か ら 隔 離 し て 「 返 却 品 」 エ リ ア に 保 管 、 管 理 す る 。

==============================================

【解 説】

・本事例では返却品は構成員や他の製品に悪影響を与えないような医療機器を想定し、QMS省令第25条第 5項で要求される「汚染された製品等の管理に関する実施要領」については作成しない例として記述している。構成員や他の製品に悪影響を与えるような製品(例:血液等により汚染された医療機器)が返却される可能性がある場合は、隔離、防護具、洗浄、不活化処理、その他作業者保護等を手順書として規定する必要がある。

・作業環境の条件の監視・管理するための手順または作業指図に係る体系の確立については、旧QMS省令の要求事項に基づき作成された衛生管理に関する基準書等により実施することで良い。

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7. 製 造 及 び サ ー ビ ス 提 供 の 管 理

7.1 製 造 及 び サ ー ビ ス 提 供 の 管 理 ( 第 40 条 )

当 社 は 、 製 造 販 売 業 者 か ら 受 託 し た 製 品 の 保 管 に

つ い て 、 下 記 の 内 容 を 製 品 標 準 書 に 明 確 化 し 実 施

す る 。

a) 製 品 の 特 性 を 記 述 し た 情 報 が 利 用 で き る

こ と 。

b) 手 順 書 、 要 求 事 項 を 記 載 し た 文 書 、 作 業

指 図 書 が 利 用 で き る こ と 。 ま た 、 必 要 に 応 じ

て 、 参 照 す る 試 料 を 利 用 で き 、 か つ 参 照 す る

測 定 法 を 確 認 で き る こ と 。

c) 当 該 製 造 に 見 合 う 設 備 及 び 器 具 を 使 用 し

て い る こ と 。

d) 8.2.3 及 び 8.2.4 の 規 定 に 基 づ き 監 視 及 び 測 定

を 実 施 し て い る こ と 。

― 25/27 ― 

e) QMS 省 令 の 規 定 に 基 づ き 、 工 程 の 次 の 段 階

に 進 む こ と の 許 可 、 市 場 へ の 出 荷 の 可 否 の 決

定 、 製 造 販 売 業 者 へ の 製 品 の 送 達 を 行 っ て い

る こ と 。

ま た 、 製 品 の 各 ロ ッ ト に つ い て 、 7.3 の 規 定 に よ り

入 荷 及 び 出 荷 の 記 録 の 追 跡 を 可 能 と す る よ う 記 録

を 保 管 す る 。 か つ 、 製 造 数 量 、 出 荷 決 定 数 量 等 を

識 別 で き る よ う に 入 荷 及 び 出 荷 の 記 録 を 作 成 し 、

保 管 す る 。

参 照 文 書 : 製 造 及 び 試 験 検 査 手 順 、 製 品 標 準 書 、

使 用 記 録 帳 票 : xxxxx   製 造 ・ 試 験 検 査 及 び 出 荷 判

定 記 録

==============================================

【解 説】

・b)及び e)については、旧 QMS省令の要求事項に基づき作成された製造管理及び品質管理手順書等により実施することで良い。よって本事例では手順書および記録帳票の例示はしない。

==============================================

7.2 識 別 ( 第 47 条 )

当 社 は 、 製 品 に 付 与 さ れ た 識 別 ( 品 名 、 ロ ッ ト 番

号 ) を 維 持 し 管 理 す る 。 当 社 の 担 当 者 は 、 製 造 販

売 業 者 に 返 却 さ れ た 製 品 を 当 社 倉 庫 で 保 管 す る 場

合 は 、 返 却 製 品 専 用 の 保 管 区 域 で 管 理 し 他 の 製 品

か ら 明 確 に 識 別 す る 。

==============================================

【解 説】

・最終製品では、バッチ/ロット/シリアル番号で識別するが、これらに下記のような項目を組み合わせて識別することもできる。

-製品名

-モデル名/番号

・従来から使用している手順書があれば、参照文書として記載することができる。

==============================================

― 26/27 ― 

7.3 追 跡 可 能 性 の 確 保 ( 第 48 条 )

当社は 、製品の 追跡可能性の 確保の た め 、入荷及び 出荷の 記録を 作成し

維持す る 。

使 用 記 録 帳 票 :   xxxxxxx   入 庫 出 庫 表

                     

==============================================

【解 説】

・入庫出庫表については、旧 QMS省令からの要求事項にも含まれているため、本事例では例示はしない。

==============================================

7.4 製 品 の 状 態 の 識 別 ( 第 50 条 )

当社は 、監視及び 測定に 係る 要求事項に 照ら し て 製品の 状態を 識別す

る 。

当社は 、市場へ の 出荷判定に 合格し た 製品の み が 出荷さ れ る よ

う に す る た め に 、製品の 状態を 識別で き る よ う 、出荷判定後の

製品を 出荷待ち 製品専用の 保管区域で 管理す る こ と に よ り 識別す る 。

参 照 文 書 :   xxxxxxx   製 造 及 び 試 験 検 査 手 順 書

xxxxxxx   出 荷 判 定 手 順 書

==============================================

【解 説】

・識別表示の方法は、製品そのものへの識別表示のほか、棚や場所あるいは表示板など自社に適した方法を記載する。

・旧QMS省令の要求事項に基づき作成された製造管理及び品質管理手順書等により実施することで良い。このため本事例では例示はしない。

==============================================

7.5 製 造 販 売 業 者 の 物 品 ( 第 51 条 )

当社は 、保管の た め に 提供さ れ た 製造販売業者の 製品を 管理し て

い る 間は 、十分な 注意を 払っ て 当該品を 取り 扱う 。

当社は 、製造販売業者の 製品を 紛失、若し く は 損傷し た 場合、又は そ

れ ら が 使用に 適さ な い こ と が 判明し た 場合に お い て は 、製

― 27/27 ― 

造販売業者に そ の 内容を 報告す る と と も に 、記録を 作成し 、こ れ

を 保管す る 。

使 用 記 録 帳 票 :   xxxxxxx   品 質 情 報 な ど に 関 す る

記 録

==============================================

【解 説】

・保管製造所が、製造販売業者等からその他の物品を受け取り管理している場合には、その物品を管理する旨及びその管理手順を本項に記載する。

・・本事例では製造販売業者の所有物を保管製造所が預かっているという前提条件であるため、製造販売業者の指示である覚書等のもとに管理することから詳細な自社の手順を設けていない。旧QMS省令においても要求されているため、本事例では例示はしない。

==============================================

7.6 製 品 の 保 持 ( 第 52 条 )

当社は 、本品質マ ニ ュ ア ル に 基づ き 、納入さ れ た 製品の 識別及

び 包装の 状態を 損傷の な い よ う に 製品の 保管を 行う 。

製品の 識別及び 包装状態等の 製品の 保管の 管理状況は 、記録す る 。

使用記録帳票: FMQM706-01  製品保管管理表

==============================================

【解 説】

・製品の計画から市場出荷に至るまでの間、製品が一貫して適切に保持されていることを確実にすることは、一義的には製造販売業者の責務である。保管製造所は、製造販売業者が定めた製品の保持に係る要求事項を満たした方法により製品の保管等を行うことが必要である。

・使用の期限が限定された製品又は特別な保管条件を要する製品がある場合には、その製品の管理について、製造販売業者からの指示に従い管理すること。また、本項にその手順を記載するか、別途手順書を作成し、本項に紐づけること。

==============================================

7.7 設 備 及 び 器 具 の 管 理 ( 第 53 条 )

当社は 梱包箱の 外観検査以外の 検査は 実施し て お ら ず 、製品は 輸送の

た め の 梱包が 実施さ れ た 状態の み で 管理す る 。そ の た め 、特

別な 管理が 必要な 監視測定の た め の 設備、器具を 保有し て い な い

こ と か ら 、QMS 省令第53 条第3 項か ら 第6 項を 適用し な い 。

― 28/27 ― 

当社は 、製品要求事項の 監視及び 測定に お い て ソ フ ト ウ ェ ア を

使用し て い な い た め QMS 省令第53 条第7 項を 適用し な い 。

参 照 文 書 :   xxxxxxx 製 品 標 準 書

===============================================

【解 説】

・製造販売業者から特定の設備又は器具を指定された場合は、適切に管理の方法を規定すること。

・当該事例においては、梱包箱の外観検査以外の検査は実施しておらず、特別な管理が必要な監視測定のための設備、器具を保有していないことから、「計量の標準が存在しない場合の校正又は検証」、「従前の監視及び測定結果の妥当性の評価」、「監視及び測定のための設備及び器具の校正及び検証の結果」に係る記録を作成するようにしていない。

・例えば、製品の保管条件を温湿度計により管理している場合などは、QMS省令第 56条第 3項から第 6項に規定する要求事項を満たすよう管理すること。

・ 製品要求事項の監視及び測定においてソフトウェアを使用する場合は、QMS省令第 53条第 7項を適用すること。

==============================================

8. 測 定 及 び 改 善

8.1 一 般 ( 第 54 条 )

当 社 は 、 8.2 か ら 8.4 ま で の 規 定 及 び 関 係 す る 手 順 に

基 づ き 、 以 下 の 事 項 の た め に 必 要 と な る 監 視 及 び

改 善 の プ ロ セ ス を 計 画 し 、 実 施 す る 。

a) 製 品 の 適 合 性 を 実 証 す る 。

b) QMS の QMS 省 令 及 び 製 造 販 売 業 者 の 要 求 事 項 へ

の 適 合 性 を 確 実 に す る 。

c) QMS の 有 効 性 を 維 持 す る 。

当 社 は 、 上 記 の 計 画 に 適 用 可 能 な 方 法 ( 必 要 な 場

合 は 統 計 的 手 法 を 含 む ) 及 び そ の 使 用 の 程 度 を 含

め る 。

8.2 監 視 及 び 測 定

8.2.1   製 造 販 売 業 者 の 意 見 ( 第 55 条 )

当 社 に と っ て は 製 造 販 売 業 者 が 製 品 受 領 者 に 当

た り 、 QMS の 実 施 状 況 の 測 定 の 一 環 と し て 、 製 造

販 売 業 者 と の 覚 書 等 に 基 づ く 定 期 的 な 確 認 及 び 品

質 情 報 等 の 情 報 交 換 並 び に そ れ ら に 基 づ く 製 造 販

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売 業 者 の 国 内 品 質 業 務 運 営 責 任 者 か ら の 指 示 事 項

等 を 通 じ 、 当 社 が 製 造 販 売 業 者 の 要 求 事 項 を 満 た

し て い る こ と に つ い て の 情 報 を 監 視 す る 。 物 流 管

理 部 長 は 製 造 販 売 業 者 と 上 記 の 品 質 情 報 等 や そ の

他 の 情 報 に 関 し て 情 報 交 換 を 行 う 。

ま た 、 上 記 製 造 販 売 業 者 か ら の 意 見 が あ っ た 場

合 に は 、 必 要 な 場 合 、 是 正 措 置 を 行 う 。

      参 照 文 書 :   株 式 会 社 厚 科 研 と の 覚 書

                  製 造 販 売 業 か ら の 品 質 情 報 等 の

連 絡 ( 製 造 販 売 業 者 の 様 式 に よ る )

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【解 説】

・QMS省令第 55条では製品受領者との情報交換を求めているが、本事例では、保管製造所は製品の出荷業務を受託しているが製品の運送業務は受託していない。このため、保管製造所はエンドユーザや販売業者などの製造販売業者以降の製品受領者と直接やり取りすることは無い。そのため、製造販売業者との覚書等に基づき、製品受領者である製造販売業者の情報を監視することになる。製造販売業者は、必要な場合にはエンドユーザや販売業者などの意見を含めて保管製造所との情報交換を行うこと。

・上記のことより、保管製造所は製造販売業者の要求事項を満たしていることが必要であるため、彼らからの情報や指示に基づき、必要な措置を取る仕組みを構築する必要がある。

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8.2.2   内 部 監 査 ( 第 56 条 )

当 社 は 、 QMS が 次 の 要 件 に 適 合 し て い る か ど う か

を 明 確 に す る た め に 、 あ ら か じ め 定 め た 間 隔 で 内

部 監 査 を 実 施 す る 。

a) 品 質 マ ニ ュ ア ル の 規 定 及 び 製 造 販 売 業 者 の 要

求 事 項 に 適 合 し て い る 。

b) 効 果 的 に 実 施 さ れ 、 か つ 維 持 さ れ て い る 。

当 社 は 、 内 部 監 査 の 対 象 と な る プ ロ セ ス 及 び 領 域

の 状 態 及 び 重 要 性 並 び に 従 前 の 監 査 の 結 果 を 考 慮

し て 、 内 部 監 査 実 施 計 画 を 策 定 し 、 内 部 監 査 の 判

定 基 準 、 範 囲 、 頻 度 及 び 方 法 を 定 め る 。

当 社 は 、 内 部 監 査 員 の 選 定 及 び 内 部 監 査 の 実 施 に

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お い て 、 客 観 性 及 び 公 平 性 を 確 保 す る 。

当 社 は 、 内 部 監 査 員 に 自 ら の 業 務 を 内 部 監 査 さ せ

な い 。

当 社 は 、 内 部 監 査 実 施 計 画 の 策 定 及 び 実 施 並 び に

内 部 監 査 結 果 の 報 告 及 び 記 録 の 保 管 に つ い て 、 そ

の 責 任 及 び 要 求 事 項 を 定 め た 手 順 を 確 立 し 、 文 書

化 す る 。

当 社 は 、 内 部 監 査 さ れ た 領 域 に 責 任 を 有 す る 責 任

者 に 、 発 見 さ れ た 不 適 合 及 び そ の 不 適 合 の 原 因 を

除 去 す る た め の 措 置 を 取 ら せ る と と も に 、 そ の 措

置 の 検 証 を 行 わ せ 、 そ の 結 果 を 管 理 責 任 者 に 報 告

さ せ る 。

参 照 文 書 :   SSOP801  内 部 監 査 規 定

8.2.3   プ ロ セ ス の 監 視 ( 第 57 条 )

当 社 は 、 QMS に 係 る そ れ ぞ れ の プ ロ セ ス を 適 切 な

方 法 で 監 視 す る 。

上 記 監 視 方 法 に つ い て 、 プ ロ セ ス が 5.3 項 の 計 画 に

定 め た 結 果 を 得 る こ と が 出 来 る こ と を 実 証 で き る

も の と す る 。 当 該 計 画 に 定 め た 結 果 を 得 る こ と が

出 来 な い 場 合 に お い て は 、 製 品 の 適 合 性 を 確 保 す

る た め 、 修 正 及 び 是 正 措 置 を 適 切 に 採 る も の と す

る 。

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【解 説】

・本事例の場合、保管製造所の工程である製品の受入検査、保管、出荷判定の他、内部監査、サービスの受領者である製造販売業者からのフィードバック等を対象とし、監視することを想定している。例えば、構成員が起因の不適合の把握、顧客である製造販売業者からのフィードバック等があった場合は、当該情報を監視することにより、修正及び是正措置を採ることを想定している。

・本事例では測定するプロセスは無いものとしているため、本品質マニュアルにプロセスの測定に関して規定していない。自社の QMSに測定する必要のあるプロセスがある場合には、適切に測定することを規定すること。

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8.2.4   製 品 の 監 視 測 定 ( 第 58 条 )

当 社 は 、 製 品 が 製 品 要 求 事 項 に 適 合 し て い る こ と

を 検 証 す る た め に 製 品 の 特 性 を 監 視 、 測 定 す る 。

物 流 管 理 部 は 輸 入 さ れ た 製 品 の 梱 包 状 態 を 検 査 し 、

そ の 記 録 を 作 成 し 、 保 管 す る 。

試 験 ・ 検 査 に お け る 不 適 合 品 は 識 別 し 、 製 造 販 売

業 者 か ら の 指 示 に 従 い 適 切 な 処 理 を 施 す 。 必 要 な

検 証 活 動 や 試 験 ・ 検 査 が 完 了 す る ま で 、 製 品 を 出

荷 し な い 。

製 品 の 製 造 方 法 及 び 製 品 の 監 視 測 定 に 関 し 品 質 に

影 響 を 与 え る 恐 れ の あ る 変 更 に つ い て は 、 変 更 を

実 施 す る 前 に 管 理 責 任 者 が 製 造 販 売 業 者 の 国 内 品

質 業 務 運 営 責 任 者 に 報 告 す る 。 ( 第 72 条 第 2 項 第 4

号 )

参 照 文 書 : 株 式 会 社 厚 科 研 と の 覚 書

使 用 記 録 帳 票 :   xxxxxxx   出 荷 判 定 記 録

8.2.5   市 場 へ の 出 荷 判 定 ( 第 72 条 第 3 項 及 び 第 4項 )

a)   市 場 へ の 出 荷 の 可 否 の 判 定

当 社 は 、 製 造 販 売 業 と の 覚 書 に 基 づ き 、 出 荷

の 可 否 の 判 定 を 行 う 。

国 内 に 流 通 さ せ る 製 品 の 出 荷 の 可 否 の 判 定 は

製 造 販 売 業 者 の 国 内 品 質 業 務 運 営 責 任 者 が あ ら

か じ め 指 定 し た 者 と し て 物 流 管 理 部 長 が 行 う 。

b)   市 場 へ の 出 荷 の 決 定 お よ び 出 荷 記 録

当 社 は 、 製 造 販 売 業 者 と の 覚 書 等 に 基 づ き 、

国 内 に 流 通 さ せ る 製 品 に つ い て 、 市 場 へ の 出 荷

の 決 定 を ロ ッ ト ご と ( ロ ッ ト を 構 成 し な い 医 療

機 器 等 に あ っ て は 、 製 造 番 号 又 は 製 造 記 号 ご

と ) に 行 い 、 そ の 結 果 及 び 出 荷 の 可 否 判 定 者 、

出 荷 先 等 の 市 場 へ の 出 荷 の 記 録 を 作 成 し 、 製 造

販 売 業 者 の 国 内 品 質 業 務 運 営 責 任 者 に 対 し て 物

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流 管 理 部 長 が 文 書 に よ り 、 毎 月 初 め に 前 月 分 を

報 告 す る 。

出 荷 記 録 に 含 ま れ る 項 目 は 下 記 の 通 り 。

i) 医 療 機 器 等 の 出 納 記 録 ( 販 売 名 ・ ロ ッ ト

番 号 ・ 出 納 数 量 ・ 出 荷 先 )

ii) 品 質 管 理 の 結 果 の 評 価 に 係 る 記 録 ( 輸 入

先 で の 出 荷 検 査 の 記 録 、 当 社 で の 包 装 状 態

検 査 記 録 )

iii) 製 造 販 売 業 者 に よ り 提 供 さ れ た 市 場 へ の

出 荷 の 可 否 の 決 定 に 影 響 の あ る 品 質 、 有 効

性 及 び 安 全 性 に 関 す る 情 報 の 評 価 に 係 る 記

iv) 市 場 へ の 出 荷 の 可 否 の 決 定 に 関 す る 記 録

( 販 売 名 ・ ロ ッ ト 番 号 ・ 決 定 者 ・ 決 定 日

等 )

市 場 出 荷 判 定 に 関 わ る 品 質 情 報 な ど が あ る 場

合 、 物 流 管 理 部 長 は 覚 書 等 に 基 づ い て 製 造 販 売

業 者 の 国 内 品 質 運 営 責 任 者 に 報 告 す る 。

参 照 文 書 : SSOP402  品 質 記 録 管 理 規 定

株 式 会 社 厚 科 研 と の 覚 書 等

              使 用 記 録 帳 票 : xxxxxxx   出 荷 判 定 記

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【解 説】

・文書化が求められている要求事項に対しても、品質マニュアルに具体的な事項を記載している場合には、別途文書を作成する必要はない。

・ 使用の期限が限定された製品を扱う場合には、第 52条第 2項に関して、手順「セ.使用の期限が限定された製品等の管理」か、文書「ニ.使用の期限が限定された製品等の管理に係る作業指図に係る体系」のどちらか一方の作成が求められているため、自社の用いている方法に合わせて「適用」とするものを規定してもよい。

・市場への出荷の決定を行う、あらかじめ指定された者は、受託の内容、検査の内容や出荷可否判定の内容に応じた適切な力量を持つことが求められる。

・多くは、製造販売業者の国内品質業務運営責任者への報告の手順が製造販売業者から指定される。指定されていない場合は、報告の手順を本品質マニュアルに規定してもよいし、別途規定しても良い。

・市場への出荷の可否の決定にあたり必要となる 市場への出荷の可否の決定に影響のある品質、有「効性及び安全性に関する情報 の入手及び評価方法については、製造販売業者との覚書等に記載す」

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るか、別途製造販売業者と手順を整理、文書化し、本項に紐づけておくこと。

・出荷判定の責任者の不在時に出荷する場合には、製造販売業者と合意の上、代行に関する規定などを設けておく方がよい。同様に製造販売業者と合意の上で必要に応じて複数名の責任者を指名することも可能である。

・改正QMS省令は責任技術者が市場出荷判定を行わなければならないとの要求を規定していない。

・手順書および記録帳票に関して、旧QMS省令からの要求事項にも含まれているため、本事例では例示はしない。

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8.3 不 適 合 製 品 の 管 理 ( 第 60 条 )

当 社 は 、 不 適 合 製 品 ( 製 品 要 求 事 項 に 適 合 し な い

製 品 ) に つ い て 、 意 図 に 反 し た 使 用 若 し く は 操 作

又 は 出 荷 を 防 ぐ こ と を 確 実 に す る た め 、 識 別 し 、

管 理 す る 。

当 社 は 、 不 適 合 製 品 の 処 理 に 係 る 管 理 及 び そ れ に

関 す る 責 任 及 び 権 限 に つ い て 以 下 に 定 め て 実 施 す

る 。

物 流 管 理 部 長 は 取 り 決 め 書 に 基 づ い て 製 造 販 売 業

者 の 国 内 品 質 業 務 運 営 責 任 者 に 文 書 で 報 告 ( 第 72条 の 2 第 1 項 ) し 、 製 造 販 売 業 者 に よ り 指 定 さ れ た

次 の 方 法 の い ず れ か に よ り 、 不 適 合 製 品 を 処 理 す

る 。

a) 発 見 さ れ た 不 適 合 を 除 去 す る た め の 措 置 を 採

る 。

b) 特 別 採 用 の 下 で 、 出 荷 の 決 定 を 行 う 。

c)本 来 の 意 図 さ れ た 使 用 若 し く は 操 作 又 は 適 用 が

で き な い よ う に す る た め の 措 置 を 採 る 。

物 流 管 理 部 は 、 製 造 販 売 業 者 が 不 適 合 製 品 の 特 別

採 用 を 行 っ た 場 合 に お い て 、 そ れ を 踏 ま え て 出 荷

の 決 定 を 行 う と き は 、 そ の 特 別 採 用 を 許 可 し た 製

造 販 売 業 者 の 構 成 員 を 特 定 す る 記 録 を 作 成 し 、 保

管 す る 。

物 流 管 理 部 は 、 不 適 合 の 内 容 の 記 録 及 び そ の 不 適

合 に 対 し て 採 ら れ た 措 置 ( 特 別 採 用 を 含 む 。 ) を

「 不 適 合 品 処 置 票 」 に 記 録 し 、 保 管 す る 。

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当 社 は 、 不 適 合 製 品 に 修 正 を 行 っ た 場 合 に お い て

は 、 修 正 後 の 製 品 の 製 品 要 求 事 項 へ の 適 合 性 を 実

証 す る た め の 再 検 証 を 行 う 。

当 社 は 市 場 か ら の 返 却 品 を 製 造 販 売 業 者 の 指 示 に

従 い 処 理 す る 。  

当 社 は 、 回 収 し た 医 療 機 器 を 扱 う 場 合 、 回 収 し た

医 療 機 器 等 を 区 分 し て 一 定 期 間 保 管 し た 後 、 製 造

販 売 業 者 の 指 示 に 従 い 処 理 す る 。 回 収 の 内 容 を 記

載 し た 記 録 を 作 成 し 、 管 理 責 任 者 は 、 製 造 販 売 業

者 の 国 内 品 質 業 務 運 営 責 任 者 に 対 し て 文 書 に よ り

報 告 す る 。 ( 第 72 条 第 2 項 第 6 号 )

参 照 文 書 :   株 式 会 社 厚 科 研 と の 覚 書 等

使 用 記 録 帳 票 :   FMQM803 - 01   不 適 合 品 処 置 票

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【 解   説 】

・多くは、製造販売業者の国内品質業務運営責任者への報告の手順が製造販売業者から指定される。指定されていない場合は、報告の手順を本品質マニュアルに規定してもよいし、別途規定しても良い。

・不適合製品が製造販売承認・認証・届出事項に適合しているか否かの判断、決定は製造販売業者でなければ行うことができない。したがって、保管製造所は、不適合製品の特別採用の決定を行うことはできない。

・ここでいう修正の範囲は、製品の外箱のつぶれ・破損等に伴う外箱の再梱包を想定している。再梱包の是非の判断は製造販売業が行い、保管製造所は製造販売業者の指示に基づき作業を行っていることに留意すること。

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8.4 改 善

8.4.1 一 般 ( 第 62 条 )

当 社 は 、 内 部 監 査 及 び 製 造 販 売 業 者 に よ る 定 期

的 確 認 並 び に 是 正 措 置 を 通 じ て 、 QMS の 継 続 的 な

適 切 性 及 び 有 効 性 を 確 実 に し 、 維 持 す る た め に 必

要 な 全 て の 変 更 を 明 確 に し 、 実 施 す る 。

当 社 は 、 医 療 機 器 に 係 る 苦 情 を 医 療 機 関 や 販 売

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業 者 等 か ら 直 接 受 け る こ と は 無 い が 、 当 社 の 受 託

業 務 に 起 因 し た 医 療 機 器 に 係 る 苦 情 や 受 託 業 務 に

関 す る 製 造 販 売 業 者 か ら の 苦 情 に 対 し て 実 施 し た

全 て の 調 査 に つ い て 、 そ の 記 録 を 作 成 し 、 保 管 す

る 。 製 造 販 売 業 者 の 苦 情 に つ い て 、 そ れ に 基 づ く

是 正 措 置 を 行 わ な い こ と と す る と き は 、 そ の 理 由

に つ い て 承 認 し 、 記 録 す る 。

当 社 が 製 品 に 関 し て 不 具 合 等 報 告 が 必 要 な 事 項

( 医 薬 品 医 療 機 器 等 法 施 行 規 則 第 228条 の 20 第 2 項各 号 の 事 項 ) を 知 っ た 場 合 に は 、 取 り 決 め 書 に 基

づ き 管 理 責 任 者 は 、 製 造 販 売 業 者 の 国 内 品 質 業 務

運 営 責 任 者 に 報 告 す る 。 ( 第 72 項 の 2 第 1 項 )

当 社 が 製 品 に 関 す る 品 質 等 に 関 す る 情 報 を 知 り

え た 場 合 に は 、 管 理 責 任 者 は 、 製 造 販 売 業 者 の 国

内 品 質 業 務 運 営 責 任 者 に 報 告 す る 。 ( 第 72 項 の 2第 1 項 )

   参照文書: 株式会社厚科研と の 取り 決め 書

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【解 説】

・体外診断用医薬品を保管する場合には、「不具合等報告が必要な事項」とは、医薬品医療機器等法施行規則第 228条の 20第 1項各号に該当する事項であることに留意する。

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8.4.2 是 正 措 置 ( 第 63 条 )

当 社 は 、 製 品 及 び プ ロ セ ス の 不 適 合 に 対 す る 是

正 措 置 を 次 の 通 り 実 施 す る 。 な お 、 是 正 措 置 は 、

発 見 さ れ た 不 適 合 の も つ 影 響 に 見 合 う も の で あ る

こ と 。

a) 不 適 合 の 内 容 確 認

製 品 や プ ロ セ ス で 発 生 し た 不 適 合 の 内 容 を 確

認 す る 。

b) 不 適 合 の 原 因 の 特 定

不 適 合 と な っ た 原 因 を 調 査 す る 。

c) 不 適 合 が 再 発 し な い こ と を 確 保 す る た め の 措

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置 の 必 要 性 の 評 価

問 題 や 重 要 度 に 応 じ て 、 不 適 合 と な っ た 原 因

を 取 り 除 き 再 発 を 防 止 す る た め の 措 置 が 必 要

か を 評 価 す る 。

d) 所 要 の 是 正 措 置 ( 文 書 の 更 新 を 含 む 。 ) の 決

定 及 び 実 施

是 正 措 置 が 必 要 と 判 断 し た 場 合 は 、 ど の よ う

な 是 正 措 置 を 取 る の か を 検 討 し 、 決 定 す る 。

決 定 し た 措 置 を 実 施 す る 。

e) 是 正 措 置 に 関 し 調 査 を 行 っ た 場 合 に お い て は

そ の 結 果 及 び 当 該 結 果 に 基 づ き 取 っ た 是 正 措

置 の 結 果 の 記 録

是 正 措 置 に 関 す る 記 録 を 「 是 正 措 置 記 録 書

( 様 式 FMSSOP802-01) 」 に 記 録 す る 。

f) 取 っ た 是 正 措 置 及 び 実 効 性 に つ い て の 照 査

取 っ た 是 正 措 置 の レ ビ ュ ー を 実 施 し 、 問 題 に

対 し て 妥 当 で あ る か を 確 認 す る 。

ま た 、 実 施 し た 是 正 措 置 の 結 果 に つ い て 照 査

を 実 施 し 、 有 効 で あ っ た こ と を 確 認 す る 。

        参 照 文 書 :   SSOP802  是 正 措 置 規 定

                    使 用 記 録 帳 票 :   FMSSOP802-01 是 正 措 置 記 録 書

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【管理文書】

社長

管理責任者(物流管理部長)

総務部 物流管理部

責任技術者(物流管理部長)

附 属 書 1

(株 ) 国 内 倉 庫   組 織 図 / 業 務 分 掌 書

QMKS002/021.  組 織 図

2.  業 務 分 掌

総 務 部 : 総 務 、 受 注 、 人 事 に 関 す る 事 項

物 流 管 理 部 : 顧 客 ( 製 造 販 売 業 者 ) と の 契 約

に よ る 具 体 的 物 流 管 理 業 務 に 関 す る 事 項

                    ( 受 入 、 保 管 、 出 荷 判 定 、

出 荷 等 )

3.  法 的 責 任 者

管 理 監 督 者 : 社 長

責 任 技 術 者 :           物 流 管 理 部 長

管 理 責 任 者 (QMS) :     物 流 管 理 部 長

市 場 へ の 出 荷 判 定 者 ( 製 造 販 売 業 者 の 国 内 品 質 業

務 運 営 責 任 者 か ら 指 定 さ れ た 者 ) :   物 流 管 理 部

 

決 定 者 :   社 長   △ △ △ △

            2016 年 2 月 4 日

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【解 説】

 こ れ は あ く ま で 例で あ り 、各社の 実情に あ わ せ て 記載す る 。

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【管理文書】

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― 2/1 ― 

(株 ) 国 内 倉 庫   組 織 図 / 業 務 分 掌 書

QMKS002/02

改 訂 履 歴                                      

  00 版   初 版 制 定     (2014/11/25)   

01 版   第 1 回 改 訂   ( 2015/09/02) :   業 務 分 掌 の 変 更

02 版   第 2 回 改 訂   ( 2016/02/4 ) :   業 務 分 掌 の 変 更

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