第10回 看護師のストレスと睡眠

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心理学

担当:佐藤勝義

katsuyo0907@gmail.com

第10回

看護師のストレス

頑張っている皆様に,共感してほしい内容看護師がより適応的に仕事ができる

ようにするための研究

看護の現状 日本心理学会松本,2014

離職率(日本看護協会,2011,2014)※授業や実習等を乗り越え,国家試験に合格しているにも関わらず!

看護の現場はいつも人手不足→人員を確保し定着させることが課題

看護の現状 日本心理学会松本,2014

厚生労働省(2011)

・看護師が現在の施設で働き続けたい理由

・退職理由

第1位「出産・育児のため」(22.1%)

第2位「結婚のため」(17.7%)

第3位「他施設への興味」(15.1%)

第4位「人間関係がよくないから」(12.8%)

第1位「通勤が便利だから」(51.9%)

第2位「人間関係がよいから」(39.2%)

看護の現状 日本心理学会松本,2014

水田・上坂・辻・中納・井上(2004)

・辞めたいと思った理由 「仕事の失敗」

3ヶ月:38.1% →6ヶ月:30.6%→1年:18.8%

下がらない!

「理不尽さを感じる時」

「先輩から注意・指摘を受けた時」

「職場の雰囲気・人間関係になじめない」

3ヶ月:31.7% →6ヶ月:28.6%→1年:27.1%

人間関係でのトラブルは時間がたっても下がらない

看護の現状 日本心理学会松本,2014

人間関係が複雑

看護師・・・患者,医師,他職種,看護師同士

・専門職

看護師・・・医師との関係は微妙(指示必要)

・感情労働

看護師・・・肉体労働でもあり,頭脳労働

看護の現状 日本心理学会松本,2014

仕事上での上司が高評価してくれるとストレスが低い

仕事以外での上司の高評価はストレスに・・・

看護師の対人ストレッサー

第1因子「医師との行き違い」

第2因子「スタッフの無理解(無協力)」

第3因子「自分の過失」

第4因子「医師による否定的行動」

第5因子「本音の抑制」

(機嫌を損ねないように,会話や態度に気をつかう)

看護師の対人ストレッサー

機械的にしか仕事できないバーンアウト

本音抑制イベント

第1因子「言い出せない」

・上司または先輩の間違いを指摘できない

・言いたいことがあっても言い出せない

・担当外の仕事を断れない

第2因子「理不尽」

・他人のミスで注意されても受け入れる

・自分がしたことではないのに誤る

・腹が立っても怒りを抑える

感情制御は,笑顔で接する,怒りを抑えるのみ。→よく生じるが,バリエーションが少ない

制御がうまくできない可能性

本音抑制(面接調査)

・上下関係がきっちりしていたので,1年目はすごく

自分を出せない感じで。いつもおどおどしているっていうか,私が新人とかそういう問題じゃなくって,何年たってもその傾向があります。おどおどしている。自分を出せない。そういう雰囲気分かります?

・○○科の時は,もう話しかけられないです。忙しい時に「すいません」って言いながら,こう,行くのが,けっこうしんどくて,でも,声かけないと・・・怒られるし,こっちの仕事も進まないので。

なぜ本音を抑制するのか

・個人レベルの要因:パーソナリティ等

・集団レベルの要因:部署

・組織レベルの要因:病院や会社

・職業レベルの要因:業種,職種

職業レベルの背景要因を検討すべき?

『長期間にわたり人に援助する過程で心的エネルギーが絶えず過度に要求された結果、極度の心身の疲労と感情の枯渇を主とする症候群であり、卑下、自己嫌悪、関心や思いやりの喪失を伴う状態』

⇒燃え尽きてしまった状態であり、それまで元気に働いていた人の働く意欲が急激に低下してしまうという状態

「情緒的消耗感」 「脱人格化」「個人的達成感の低下」 (など

バーンアウト

バーンアウトを起こす原因

個人差要因:

看護職者それぞれが持つ性格特性や価値観

・仕事熱心で完璧主義的な態度傾向の強い人が陥りやすい

・若い看護職者は概して、現状把握や自己の力量についての把握が不十分であるために理想主義的であり、現実の壁にぶつかったときにバーンアウトを起こしやすい

状況要因:仕事の内容や管理体制など・人を相手にして仕事をしていくという看護職そのものの特性

・多くの業務内容が医師の指示を受けなければ決定することができず,自由な裁量が制限されていること

・患者の生活全体をサポートするために多くの仕事を背負い込んでしまうが,時間に追われて,成果が見えにくいこと

・自分を抑えてもチームの規範や基準に従わなければならないという仕事形態

バーンアウトを起こす原因

• 患者に対する守備範囲を広くする

• 仕事の自律性を高める

• 看護研究や学会などで発表する

• サポートを受けられる人間関係

など・・・

バーンアウトを防ぐには

2

3

4

5

情緒的消耗感 脱人格化 個人的達成感

実習時

3カ月時

6カ月時

12カ月時***

*

***

***

**

バーンアウト

バーンアウトの脱人格化のピークも6ヶ月

リアリティショック

実習時

***

****

0.0

0.5

1.0

1.5

過剰労働感

看護実践困難

人間関係の困難

就職後の満足感

患者からの感謝

3カ月時

6カ月時

12カ月時

職場の人間関係

リアリティショック

看護実践困難リアリティショックは,

看護実践以外は低下せず,過剰労働,人間関係,満足感,患者からの感謝。

***

***

***

***

スキル 自尊心

実習時

3カ月時

6カ月時

12カ月時

2

3

4

5

リアリティショック:個人要因

スキルや自尊心は平均して下がる

*

ストレス反応

2

3

4

5

情動反応 自律神経反応

***

***

充実感

***

リアリティショック:ストレス反応

情動的ストレス反応のピークは6ヶ月

睡眠

関越道4時頃 高速バス激突事故

夜勤の眠気

(体温の低下)とともに(深夜眠気)が高まる

長時間の夜勤勤務が全体の17%

夜勤勤務が増加しており,離職原因へ

睡眠の管理:仮眠の効果

仕事上,睡眠が不規則になる可能性のある皆様に,仮眠による眠気の管理を!

仮眠時間の影響

・長い仮眠(30分以上)・・・深い睡眠に達する

→起床直後の(睡眠慣性)(眠気・だるさ)

が強くなる

→夜間睡眠中に悪影響を及ぼす

・短い仮眠(15~20分)・・・浅い睡眠だけ

→仮眠の効果が大きい

不規則の睡眠に効果あるのは?仮眠!

20分仮眠が眠気・疲労によい!

睡眠慣性の対策(Hayashi,2003)

仮眠と高照度光・カフェイン(糖分×)がよい!

睡眠慣性の対策(Hayashi,2003)

仮眠とカフェインが反応にはよい!※洗顔×

睡眠慣性の対策(Hayashi,2004)

仮眠と好きな音楽が眠気によい!

睡眠慣性の対策(Kaida,2003)

自己覚醒(自分で起きる!)

だと,睡眠慣性が生じにくい!

睡眠慣性の対策(Kaida,2003)

自己覚醒(自分で起きる!)だと,

自律神経が起きる準備態勢に!

睡眠衛星とさわやかな目覚め

早起きが大事!

睡眠導入のための準備 夜

・光を遮断して間接照明(寝る1時間前),リラックス

パソコン,携帯× 夜のコンビニは最悪

・寝る前の激しい運動×

・熱い風呂に長時間× ※ぬるめ,短時間OK

・飲酒は入眠促進作用には相当量必要→増大×

・喫煙直後はリラックスするが,覚醒作用→×

・就床3時間以降のカフェイン摂取×

・眠くなったら寝る→イライラへ。意気込みすぎない

睡眠導入のための準備 朝・日中

・朝はだいたい決まった時刻に起きる

・休日起きる時間は平日とあまり変えない

・規則正しい食事

・朝は光を浴びる(太陽光)

・日中はできるだけ高覚醒を維持(夜眠くなる)

・午後夕方以降の仮眠は×

・夕方の運動が最適

・午後に20分の仮眠をとる

夜勤のための睡眠準備

・午後にあたる時間帯に20分の仮眠をとる

・できるだけ夜勤中に高照度の場所で,

覚醒度を高める ※ただあまりすると夜型へ

・できるなら早朝4時(体温が一番低いとき)

に仮眠(30分)をとる

金縛り

・睡眠リズムの乱れ,

→筋肉が弛緩しているのに,

脳が中途覚醒

体に害はない,少しの疲れかも

・明け方は脳機能が活発

→入眠直後に脳機能が活発だと生じる※思春期に初めて経験するのは,

成長期における睡眠リズムの乱れ

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