食品のためのヒト試験業界 ~学位を取得して企業で働く~

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食品のためのヒト試験業界~学位を取得して企業で働く~

株式会社オルトメディコ 研究開発部河崎祐樹

平成24年度B人セミナー

本日のアウトライン

2

自己紹介

機能性食品業界・ヒト試験業界について

オルトメディコのご紹介~これまでの学会発表のご紹介~

(休憩)

学位取得後に企業で働いて

質疑応答

平成24年度B人セミナー

本日のアウトライン

3

自己紹介

機能性食品業界・ヒト試験業界について

オルトメディコのご紹介

(休憩)

学位取得後に企業で働いて

質疑応答

平成24年度B人セミナー

機能性食品とは…?

食品に見られる3つの機能

1次機能 身体に対する栄養素の働き

2次機能 味・香り・色などのおいしさ

3次機能 体調を整える病気予防や健康の維持増進

4

3次機能に注目した食品

→ 機能性食品

平成24年度B人セミナー

健康食品の位置づけ

広義の医薬品 食品

医薬品 医薬部外品

保健機能食品一般食品(いわゆる健康食品を含む)

特定保健用食品

栄養機能食品

定義している法律

薬事法 健康増進法・食品衛生法 食品衛生法

効果効能の表示

国の認可により表示可能定められた栄養機能のみ可能

不可(記述すると薬事法

違反)

販売の規制

薬局・薬店のみ(例外事項

あり)一般の小売店でも販売可能

5

平成24年度B人セミナー6

ヒト試験の必要性

消費者が健康食品やサプリメントに求めていることは有効性と安全性(機能性食品に関する消費者アンケート結果による)

安全性による問題

肝機能障害、アレルギー反応、呼吸機能障害、肺障害など

0

25

50

16年 17年 18年 19年

報告件数

肝機能障害

発疹等皮膚症状

消化器症状

厚生労働省HP

平成24年度B人セミナー7

ヒト試験の必要性

消費者が健康食品やサプリメントに求めていることは有効性と安全性(機能性食品に関する消費者アンケート結果による)

有効性による問題

謳われている有効性に科学的根拠があるかは不明

個人の体験談

「ガンが治る」「放射能に効果あり」などの医薬品的な効能

平成24年度B人セミナー

機能性食品の定義

法律で「機能性食品」という分類は存在しない

薬事法との関連

8

第66条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の名称、

製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

食品による効果・効能をうたうことはできない

平成24年度B人セミナー

国の動きとして

食品の機能性評価モデル事業

2011年6月に消費者庁で始まった公募事業

今後の健康食品に一定の機能性表示を認める仕組みの研究へとつながる?

機能性評価専門チームによる調査

1. 学術論文、研究機関等からのデータ収集

2. 品質管理方法及び有害事象の報告状況

3. 諸外国の制度における当該成分の機能性評価状況及びその評価に基づく食品への機能性表示実態

9

平成24年度B人セミナー

国の動きとして

10

成分 評価された有効性

セレン 前立腺癌・膀胱癌などの予防効果

N-3系脂肪酸 心血管疾患・血中中性脂肪・血圧改善など

ルテイン 加齢黄斑変性・白内障

コエンザイムQ10 心機能改善・高血圧症

ヒアルロン酸 膝関節痛・皮膚の保湿

ブルーベリーエキス 視機能改善・血流改善

グルコサミン 変形性膝関節症

分枝鎖アミノ酸(BCAA)

筋たんぱく質の合成促進・分解抑制運動により生じる筋損傷・筋肉痛の軽減など

イチョウ葉エキス 血流改善・認知機能改善

ノコギリヤシ 前立腺肥大に伴う頻尿・排尿障害の改善

ラクトフェリン 感染防御・免疫調節機能の向上・脂質代謝改善

平成24年度B人セミナー

国の動きとして

健康食品の“エビデンスがある素材が評価される時代”が到来する?

11

食品の機能性の表示例(機能性評価モデル事業報告書より)

平成24年度B人セミナー

今、はやりの機能性成分?

レスベラトロール

ワインに含まれるポリフェノールの一種

NHKの試してガッテンで取り上げられてブームに

サーチュイン遺伝子を活性化させることでアンチエイジング効果?

リコピン(トマト)

脂肪増加をおさせる成分 (2012 PLoS One) や疲労軽減効果(2012 農芸化学会) がプレスリリース

12

テレビ・マスメディアなどの影響を受けやすい

平成24年度B人セミナー

機能性を示すための研究

13

In vitro

培養細胞

マウス・ラット

ウサギなどヒト

食品分析センター

ヒト試験実施の前には• in vitro試験/培養細胞による実験

• 動物実験等により、安全性と有効性(作用機序)などを示す

In vitro試験

培養細胞試験

遺伝毒性試験

細菌を用いて、ある食品が遺伝子変異を引き起こす可能性がないことを示す。

染色体異常試験

ハムスターやヒトの培養細胞を用いて、染色体の構造異常や数的異常がおこる頻度を明らかにする。

In vitro試験/培養細胞試験

動物実験

マウス・ハムスター

ウサギ

など

急性毒性試験

ある食品を投与し、その後2週間にわたり動物の一般状態や体重の推移などを観察

28日間または90日間反復経口投与試験

28日または90日間連続で摂取させ、体調や体重、死亡率など経過観察する

動物実験

15

単回摂取試験

食品摂取後の血中濃度・血中濃度時間曲線面積(AUC)

消失半減期・排便などを確認する。

反復摂取試験

1~4週間程度で継続的に摂取させ、採血し、

異常が起こっていないかを示す。

過剰摂取試験

ある食品を3~5倍量摂取し、その後2週間にわたり一般状態や体重の推移などを観察

長期摂取試験

28日または90日間連続で摂取させ、体調や体重、血液検査などで安全性を示す

ヒト試験

16

平成24年度B人セミナー

ヒト試験とは?

他の要因による影響を極力取り除き

対象となる食品・サプリメント・化粧品が

◉ どのように効果があるものか

◉ 高い安全性があるか

ヒトを対象とし科学的に確かめること

17

In vitro・培養細胞

動物実験 ヒト試験

非臨床試験 臨床試験

平成24年度B人セミナー

エビデンスレベル

Level 内容

1a ランダム化比較試験のメタアナリシス/システマティクレビュー

1b ランダム化比較試験

2a非ランダム化比較試験(前向き研究、コホート研究など)

2bランダム割付を伴わないコントロールを伴うコホート研究(historical cohort studyなど)

3 ケース・コントロール研究(後ろ向き研究)

4 処置前後の比較などの前後比較、対照群を伴わない研究

5 症例報告・ケースシリーズ

6 専門家個人の意見

18

平成24年度B人セミナー

ランダム化比較試験

RCT: Randomized Controlled Trial

19

対象をランダムに選び、介入を行うグループ(実験群)と介入を行わない群(対照群)にわけ、評価を行う方法

機能性食品・サプリメントを摂取

有効成分が入っていないプラセボを摂取

平成24年度B人セミナー

ヒト試験の流れ

・モニター募集、同意書の取得・倫理委員会開催・試験スケジュール管理・検体サンプリング・結果データの集計・統計解析

モニター

クリニック

オルトメディコ

・独自の募集サイト「Go106」

・内科・皮膚科・眼科・婦人科・形成外科・歯科

企業

食品・健康食品などの安全性・有効性試験の依頼

試験のご提案試験報告学会発表論文発表

ヒト試験の流れ

試験計画期間 試験実施期間データ解析報告期間

試験計画書作成

被験者募

データ集計・分析

稿

21

平成24年度B人セミナー

ヒト試験を行う目的 (販促用・学会発表・論文投稿) によって試験デザイン(人数・検査項目・期間)などを決定します。

22

試験計画書の構成

⒈被験者選定基準・管理方法

研究の目的・研究の経緯被験者の選定基準、除外基準被験者の管理方法事前説明会時の被験者への説明方法

⒉研究方法

・試験デザイン(二重盲検試験・クロスオーバー比較試験等)・試験日程(倫理委員会・モニター募集・試験期間・報告書)・被験者数・試験食品(被験品・プラセボ等)・摂取期間と摂取量

⒊実施・運営機関 試験内容によって試験実施機関(提携医療機関)を決定

⒋検査項目身体測定・理学検査・内科的検査・尿検査・末梢血液検査・アンケート調査・検査日誌など

⒌統計解析方法 各試験デザインに合わせ、統計解析方法を決定します。

試験計画書(プロトコール)の作成

平成24年度B人セミナー

倫理委員会の必要性我が国においては、ヘルシンキ宣言に基づき臨床研究に関する倫理指針が

策定されているため、自ら倫理審査を実施することが求められています

研究の対象となる被験者の尊厳・人権・利益並びにプラ

イバシーの保護

研究によって生じる被験者の危険性予測のため

ヒト試験実施の可否について、医師、看護師、弁護士にチェックしてもらう。

◆Point 用語◆【ヘルシンキ宣言】正式名称は「ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則」

ヘルシンキ宣言の中で重要な基本原則

1.患者・被験者福利の尊重2.本陣の自発的・自由意思による参加3.インフォームド・コンセント取得の必要4.倫理委員会の存在5.常識的な医学研究であること

23

倫理委員会

平成24年度B人セミナー

徹底した被験者管理をすることで、高精度の試験を実現します

被験者募集と管理において大切なこと

1. 試験計画書の条件に合致する被験者を集めること

性別・年齢・体重など

免疫力・血糖・腸内細菌など

2. 被験者の管理を徹底すること

飲み忘れがないか

不規則な生活をしていないか

試験に参加している意識を持っていただく

被験者募集と管理

被験者募集

事前説明会

試験実施

24

平成24年度B人セミナー

2 被験者選定 3 群分け

1 2 3 4

5 6 7 8

1 3 5 7

2 4 6 8

被験食群

対照群

母集団

1,3,5…

2,4,6…

(200名)

コレステロールが高い100名を選定

100名を順位によって群分け(偶数・奇数)

(LDL-cho上位:100名)

(50名)

(50名)

1 スクリーニング検査

(LDL-cho下位:100名)

除外

エントリー

25

スクリーニング例

平成24年度B人セミナー

検査実施場所内科、眼科、皮膚科、歯科等試験デザインに合わせて医療機関を選定

検査は試験責任医師の監督のもと実施。

26

検査の実施

平成24年度B人セミナー

試験結果を統計解析し、結果の検証を行い、考察を加えた最終報告書を作成します。

統計解析は摂取前後の比較だけでなく、その後の層別解析、多変量解析等にも対応可能です。試験結果を多方向から見ることで、新しい方向性が見えてきます。

p = 0.004**

0

1

2

3

4

5

6

7

8

pre intake

排便回数(

回/週)

active placebo

p = 0.000***例)1 免疫スコアを使用した結果 例)2

統計解析とは?

データマネジメントによりまとめられている症例データに対して製品(サプリメントや食品)の有効性や安全性を統計学的に評価します

27

結果の解析・最終報告書の作成

平成24年度B人セミナー

本日のアウトライン

28

自己紹介

機能性食品業界・ヒト試験業界について

オルトメディコのご紹介~これまでの学会発表のご紹介~

(休憩)

学位取得後に企業で働いて

質疑応答

“肝パワーEプラス”摂取による肝機能改善効果検証試験

株式会社オルトメディコ :河崎祐樹, 鈴木直子,山本和雄

株式会社ステラ佐々木 :佐々木拓道

有限会社健康栄養評価センター :柿野賢一

医療法人社団盛心会タカラクリニック :髙良毅

29

第66回日本栄養・食糧学会大会(2012年5月18日-20日、東北大学)

肝パワーEプラスとは

伝統的な健康素材(ニンニク・梅・牡蠣)を主原料とする食品

消費者からの評判は非常に良い

肝機能強化?アルコール代謝?

お酒の飲んだ次の日が爽快である

お酒を飲んだ次の日にもすっきり起きることができるようになった

30

素材単位で調べてみると……

牡蠣

肝臓中の脂質を低減することが報告されている(動物実験)牡蠣の加水分解物は、肝臓中の中性脂肪を低減する

(Biosci, Biotechnol, Biochem 2006; 462-470)

脱脂した牡蠣は、肝臓中のコレステロールや中性脂肪を低減する(J Nutr Sci Vitaminol 2003; 100-106)

ニンニク

肝臓中の脂質を低減することが報告されている(動物実験)モデルラットにおいては、ニンニクの経口摂取により肝臓および腎臓が保護される

(Pharmacol Rep. 2008; 199-208)

非アルコール性脂肪肝のモデルラットでは、ニンニク由来のS-

allylmercaptocysteineにより脂肪肝の症状が低減される(Eur J Nutr, in press)

31

仮説と目的

動物実験においては、牡蠣、ニンニクの双方において、肝臓中の脂質を低減する可能性

アルコール性肝機能低下の第一段階は脂肪肝

→ 肝パワーEプラスは、牡蠣およびニンニクを主原料とすることから、肝機能を改善する可能性

目的

肝パワーEプラスが、肝機能を改善するかどうかを検証する

32

方法

試験デザイン

ランダム化二重盲検比較試験(RCT)

※ 肝パワー群 vs プラセボ群

試験スケジュール

倫理的配慮

ヘルシンキ宣言(1964採択, ’08追加, 04修正)に準拠した

倫理委員会:医療法人社団盛心会 タカラクリニック(院長:髙良毅)

6週間摂取前 摂取後

33

被験者

選定基準

20歳以上の男性

日常的に飲酒をしている者

BMIが25以上の者

分析対象者

計20名(42.1 ± 10.5歳)肝パワー群 :10名

プラセボ群 :10名

34

試験食品

肝パワー群

肝パワーEプラス1日1回3錠 夕食後に水またはぬるま湯で摂取

プラセボ群

プラセボ1日1回3錠 夕食後に水又はぬるま湯で摂取

35

指標

肝機能に関する血中マーカーAST, ALT, γ-GT, ALP, LD, LAP, ZTT

VAS

肉体的疲労

精神的疲労

朝の目覚めの良さ

お酒の回りの早さ・酔いやすさ

翌日へのお酒の残り方※滋養強壮とお酒に関する自覚症状

安全性血液生化学、血算

尿検査

36

結果1:AST・ALT・γ-GT

p value : paired t-test

p = 0.078+

p =

0.065+

0

20

40

60

80

肝パワー プラセボ

0

50

100

150

肝パワー プラセボ

0

50

100

150

肝パワー プラセボ

検査値(IU

/

37℃)

AST ALT γ-GT

37

結果2:AST・ALT・γ-GT(変化量)

p = 0.057+

-30

-20

-10

0

10

20

30

AST ALT γ-GT

肝パワー

プラセボ摂取前後での変化量(IU

/

37℃)

38

結果3:ALP・LD・LAP・ZTT

0

100

200

300

肝パワー プラセボ

0

100

200

300

肝パワー プラセボ

0

50

100

肝パワー プラセボ

0

5

10

肝パワー プラセボ

ALP LD

LAP ZTT

p = 0.044*

p = 0.035*

検査値(IU

/

37℃

、ZTT

U)

39

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

結果4:ALP・LD・LAP・ZTT(変化量)

p value : t-test

p = 0.046*

ALP LD LAP ZTT

肝パワー

プラセボ摂取前後での変化量(IU

/

37℃

、ZTT

はU))

40

結果5:VAS

p = 0.045* p = 0.054+ p = 0.020*p = 0.025*

0

2

4

6

8

10

肉体的疲労 精神的疲労 朝の目覚めの良さ

お酒の周りの早さ酔いやすさ

翌日へのお酒の残り方

VA

S (

cm

)

摂取前 摂取6週後

0

2

4

6

8

10摂取前 摂取6週後

VA

S (

cm

)

肉体的疲労 精神的疲労 朝の目覚めの良さ

お酒の周りの早さ酔いやすさ

翌日へのお酒の残り方

肝パワー群

プラセボ群

41

結果6:VAS(変化量)

p value : t-test

p = 0.098+

-2

0

2

4

肉体的疲労 精神的疲労 朝の目覚めの良さ

お酒の周りの早さ酔いやすさ

翌日へのお酒の残り方

肝パワー群 プラセボ群

VA

S (

cm

)

42

安全性

血算・生化学・血糖など33項目を検査

→ 概ね、検査基準値内の変動

尿10項目を検査

→ 摂取前後での変化はほとんどなし

43

まとめと考察

肝パワー群は、プラセボ群と比較して肝機能マーカーが改善する傾向にあり。

お酒の回り方や残り方、疲労感などの改善を体感していた。

肝パワーEプラスを摂取することで、肝機能を改善する可能性

44

グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸塩含有サプリメントの膝関節痛への効果

〇山下慎一郎1)、後閑直美2)、山本和雄1)、鈴木直子1)、

椎塚詰仁1)、高良毅3)

1) 株式会社オルトメディコ(東京医科歯科大学オープンラボ)2) オリヒロプランデュ株式会社3) 医療法人社団盛心会 タカラクリニック

第101回日本食品衛生学会学術講演会(2011年5月16日‐17日、船堀)

45

中高年の膝関節痛

変形性膝関節症

膝の関節軟骨がすり減ることによって関節痛および運動障害を生じる疾患 (立花2005)

膝を動かしたときに痛みがおこる

膝の曲げ伸ばしがつらくなる

膝に水が溜まる ・・・などの症状

加齢とともに、患者数が増加→ 40歳以上の有病率は男性42.6%、

女性62.4% (吉村 2009)

高齢者介護の要因の4番目 (厚生労働省)

車いすの使用、長期の加療→ 高齢者のQOLの低下

社会福祉法人南東北福祉事業団HP

吉村 (2009)超高齢社会である日本で重要な課題の一つ46

膝関節痛を緩和するサプリメント

サメの軟骨などから合成されるムコ多糖類

コンドロイチン硫酸塩(Chondroitin Sulfate)

エビ・カニ由来のアミノ糖

グルコサミン(glucosamine)

グルコサミン・コンドロイチン硫酸塩は軟骨の成分生体内で合成される⇔加齢とともに、合成能力の低下膝関節痛に効果があるという報告も、

効果がないという報告もある

47

目的

グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸塩含有

サプリメントが膝関節痛に及ぼす影響を明らかにする

グルコサミン+

コンドロイチン硫酸塩摂取群

グルコサミンのみ摂取群

プラセボ群

主観的膝痛の評価

48

試験デザイン

検査対象者

膝関節の痛みを自覚している男女27名 (50.7 ± 6.99歳)

1日2回の摂取

G+C群とG群のグルコサミン摂取量は1.5 g/日

摂取期間は6週間

摂取方法

G+C群:グルコサミンとコンドロイチン硫酸塩を併用摂取(グルコサミン粒:オリヒロプランデュ

株式会社製)

G群 :グルコサミンのみを摂取(市販のグルコサミンサプリメント)

P群 :プラセボ

グループ分け

オリヒロプランデュ株式会社

二重盲検三群並行群間比較試験

49

膝痛の評価方法:JKOM

日本版変形性膝関節症患者機能評価表

国際的な膝関節症の評価尺度であるWOMACを、日本人の生活様式に適応するように改変したもの (評価作成委員会 2005)

0~4の5段階評価を25問100点満点得点が高いほど、重度の膝関節症

JKOMは以下の4タイプの質問から構成

JKOMII :膝の状態 8問

JKOMIII :日常生活の状態 10問

JKOMIV :普段の活動 5問

JKOMV :健康状態 2問

摂取前と摂取後にJKOMを用いて、主観的膝痛を測定

この数日間、朝起きて動き出す時に膝がこわばりますか?

この数日間、しゃがみ込みや立ち上がりはどの程度困難ですか?

この1ヶ月間、膝の痛みのために近所への外出をあきらめたことがありますか?

50

解析方法

摂取前後でJKOM値が変化したか?対応のあるT-test

(paired t-test)

摂取前G+C群G群P群

摂取後G+C群G群P群

G+C群およびG群の変化量がP群と異なるか?

1元配置の分散分析後にLSD法による多重比較

得点を算出 (/100点満点)

正規分布していなかったため対数変換

正規分布に近似

10 20 30 40 50 60

0

2

4

6

8

10

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5

0

2

4

6

8

10

対数変換

人数

人数

51

JKOM25問

t-test ***: P< 0.001, **: P< 0.01

摂取前後のJKOMの変化

摂取前

摂取後

PG+C G0

1

2

3

4

*** *** **症状が悪い

良い

N = 9 × 3

JK

OM(対数変換)

すべての群で、JKOMの有意な値の低下が見られた

G+C群:- 40.3%

G群 :- 34.4%

P群 :- 23.4%

JKOM変化率は

G+C > G> P

52

摂取前後のJKOMの変化

JKOMII、JKOMIIIともに、すべての実験群で

有意に値が低下した or 低下する傾向があった

⇔改善量は G+CやG> P

JKOMIII日常生活の状態 10問

JKOMII膝の状態 8問

G+C G P

** ** +

t-test ***: P< 0.001, **: P< 0.01, *: P< 0.05, +: P< 0.1

JK

OM(対数変換)

G+C G P

*** *** **

状態が悪い

良い

N = 9 × 3 摂取前

摂取後

53

プラセボもJKOMが改善→ プラセボ効果が見られた

JKOMの変化量は

• G+C群では改善傾向あり

• G群では有意差はないが、プラセボより改善?

摂取前後のJKOMの変化量の比較

摂取前-摂取後

G+C G P0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

P = 0.16 (N.S.)

P = 0.053 (+)

JK

OMの変化量

(対数変換

)

(LSD法)

改善

効果なし

54

考察|過去の症例報告との比較

問題点

グルコサミン投与に関する研究例

著者投与量

(mg/日)症例数(人)

期間 効果

Lopes(1984)

1500 40 56日疼痛スコアが有意に改善

Braham et al.(2003)

2000 46 84日8週後以降に、質問票スコアが有意に改善

Rindone et al.(2000)

1500 98 60日疼痛強度に有意差なし

55

考察|過去の症例報告との比較

問題点

本研究は過去の研究例と比較して症例数が少なく、期間が比較的短いにもかかわらず、膝関節痛の改善傾向が見られた

グルコサミン投与に関する研究例

著者投与量

(mg/日)症例数(人)

期間 効果

Lopes(1984)

1500 40 56日疼痛スコアが有意に改善

Braham et al.(2003)

2000 46 84日8週後以降に、質問票スコアが有意に改善

Rindone et al.(2000)

1500 98 60日疼痛強度に有意差なし

56

考察|過去の症例報告との比較

問題点

本研究は過去の研究例と比較して症例数が少なく、期間が比較的短いにもかかわらず、膝関節痛の改善傾向が見られた

グルコサミン+コンドロイチン硫酸塩の併用による効果かもしれない (e.g., 山口ら 2006)

グルコサミン投与に関する研究例

著者投与量

(mg/日)症例数(人)

期間 効果

Lopes(1984)

1500 40 56日疼痛スコアが有意に改善

Braham et al.(2003)

2000 46 84日8週後以降に、質問票スコアが有意に改善

Rindone et al.(2000)

1500 98 60日疼痛強度に有意差なし

57

まとめ

本研究は、「効果がある」というポジティブな結果を示した

グルコサミンやコンドロイチン硫酸塩の膝関節痛に対する緩和効果は、いまだに議論中

今後の課題

被験者数の増加・試験期間の延長を行うことにより、グルコサミンやコンドロイチン硫酸塩の効果を、より明らかにすることができるかもしれない

レントゲン撮影などによる症状の改善を確認する

58

平成24年度B人セミナー

本日のアウトライン

59

自己紹介

機能性食品業界・ヒト試験業界について

オルトメディコのご紹介~これまでの学会発表のご紹介~

(休憩)

学位取得後に企業で働いて

質疑応答

平成24年度B人セミナー

本日のアウトライン

60

自己紹介

機能性食品業界・ヒト試験業界について

オルトメディコのご紹介~これまでの学会発表のご紹介~

(休憩)

学位取得後に企業で働いて

質疑応答

長期インターンシップ報告会

株式会社オルトメディコ

河崎祐樹

平成24年度B人セミナー

大学の研究と企業で働くこと

2011年4月~8月→ビジネス人材育成センター長期インターンシップ制度

62

大学の研究

企業で働く

2つの違いは?

似ているところは?

63

オルトメディコの業務分担

研究開発部

検査・運営グループ

調査・分析グループ

営業グループ

おもに、クライアントの対応

おもに、データ解析・文献調査

おもに、モニターの対応

クライアント企業との

打合せ

見積書

作成

文献検索提案書

作成

学会発表

要旨作成

展示会

参加

主な業務内容ー営業グループ

64

オルトメディコの事業紹介

どんなことを示したいのか?

試験の目的・予算

→ 販売促進?

トクホ?

基礎研究?

学会・論文発表?

見積書を提出後は詳細を詰める

営業訪問数(

件/月)

営業業務のすべての基本

クライアント企業との打ち合わせ

65

参加した主な展示会

食品原料・素材・OEM展

IFIA(国際食品素材・添加物展)

健康博

食品開発展

統合医療展

展示会・セミナーに参加する目的

名刺交換

業界の流行を知る

他社のヒト試験の系を調査

新規の検査項目・検査機器の調査

展示会・セミナー参加

66

関連する学会

栄養食糧学会

→ 2013年は名古屋大学

予防医学会

健康科学学会

統合医療学会 など

研究結果の公表手段の一つ

→ 研究成果の格付け

薬事法に抵触しないアピールの方法

自前の研究機関・研究者を持たない企業の発表代行

学会参加

試験系の構築 (見積書・提案書の作成)

類似食品・素材を用いた過去の臨床試験

同一症状に着目した試験

学会発表

要旨作成

スライド/ポスター作成

倫理委員会

食品/素材の安全性の担保

文献検索

研究の計画から実験、論

文発表まで一人で行う

分担してひとつの試験を進め

あるテーマにそって、複数

の側面からアプローチ

複数のテーマを同時に進行し

ていく。

テーマや実験手法は自分

で決められる

テーマや手法はクライアントと

相談しながら決める

困難は自分で克服 困難はみんなで克服

大学院 オルトメディコ

大学での研究との比較

平成24年度B人セミナー

本日のアウトライン

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自己紹介

機能性食品業界・ヒト試験業界について

オルトメディコのご紹介~これまでの学会発表のご紹介~

(休憩)

学位取得後に企業で働いて

質疑応答

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