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toshihito-kobayashi
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ゲーム業界で思う 3つの大事なこと
2016-06-28 @ dots. ゲーム部 LT
株式会社Aiming 最高技術責任者 小林俊仁
About : 小林 俊仁• 株式会社 Aiming 最高技術責任者
• オンラインゲームを作って早 15 年とか
• Community Engine → 中国で起業 → ONE-UP → Aiming
• CEDEC 等公演: slideshare.net/toshi_k
• 寄稿した本:
1. 売れてるゲームを遊ぶ
売れてるゲームを遊ぶ意義• ディレクター / プロデューサー / プランナー にとって:
• director の原義 : 「この方向に行こう (direct)」と言う人
• なぜそれを作るのか? 開発チームやお金を出す人の納得感が違う。 「自分の好み」から、相対化された「他者に遊んでもらえるか」視点へ
• プログラマー / アーティスト にとって:
• 「仕様がちゃんとしてない」とプランナーを断罪するのは簡単。だが ゲームは動きや要素の存在意義といった全てを仕様で書くのは非常に困難。 クオリティ感とか説明するのめっちゃむずい。
• 「あのゲームのあれみたいなかんじ」が伝わるチームは、コミュニケーションコストが低い。 何より共感して開発ができる。
売れてるゲームを遊ぶ意義• 経営者にとって :
• 「そのコストをかけるに値するリターンが得られるのか?」という多くの経営判断にゲーム理解が必要。
• ex: 「後2ヶ月と4000万あればギルド機能を追加できるんです」「このゲームに出資してください」
• ゲームがわからないと、 ROI の I (コスト) の部分しか見えない → 経営的に見えやすい数字指標(納期/コスト)に依存 → 「腐ってやがる。早すぎたんだ」
• 予算見てる人とゲーム分かってる人の合議制で投資判断? → うまくいかない
• プランナーもプログラマもアーティストも経営者も皆、ゲームをやろう
2. 組織の壁・個人の壁を壊す
組織の壁・個人の壁• 仕様書通りに作っただけのゲームはクソゲー → 試行錯誤して改良していくプロセスにこそ価値がある
• 他人の仕事を無にしてしまうような会話を積極的にする必要がある このUIがクソなのでこうするわ → プログラマ・アーティスト「えー」
• こねくり回せない組織はクソゲーしか作れない
• 本質的な会話を阻むもの = 組織の壁・個人の壁
• 自分は関係ない症候群 : 失敗の原因を求めやすいあちら側。「~のせいだ」
• 自分は正しい症候群 : キレて相手を制御しようとしたり。 「それみたことか」
• 控える/静観症候群 : 「他職種から口を出されるとイヤなので自分も他職種に口出ししない」「あいつには言いにくいから黙っとこう」「自分でやった方が早い」 or 盲従
壁を壊す• セクショナリズム / 無関心化との戦い
• 人を知る
• 挨拶、1on1、新人の自己紹介 LT / PechaKucha / 社内報、机の名札
• とにかくかき混ぜる
• プロジェクトベースで頻繁な席替え、チームランチ/飲み会、シャッフルランチ、メンターランチ、部活
• 他者の仕事を理解する
• server/client 両方書く、勉強会、社内ゲームジャム、ゲーム開発コンテスト
• てか、腹割って話す
3. ゲーム業界の 大きなサイクルを理解する
ゲーム業界のサイクル
• 家庭用 → 携帯やブラウザ → スマフォ で市況の流れは酷似。
ゲーム業界のサイクル• 1. 黎明期 : 投資規模数百万~数千万前半。 主にミニゲームやカジュアルゲーム。 小規模ベンチャーの多産多死。 顧客はアーリーアダプターが多数。 大企業は既存の収益モデルがあるのと市場規模が小さいので横目で見つつ伺っている。
• 2. 成長期 : 投資規模は数千万後半~億へ。 ゲームの質の向上に伴ってコストも上昇していくが、それ以上にハードや P/F の普及速度が速いため収益性が向上。 資金調達も加熱。 広告も加熱。 IPO する会社とか出やすい。
• 3. 成熟期 : 投資規模は数億~数十億へ。チーム規模数十~100人超。多くの良質なゲームがひしめき合う戦場に。 市場規模の飽和に比して開発費や広告宣伝費が上昇。 資金力, IP, 技術力等何らかの強みに欠ける小規模プレイヤーの生き残りが厳しくなり M&A が活発化。
経営的な視点• どの時期にゲーム業界に参入するのか?
• ゲームは非常にボラティリティが高く、ポートフォリオを作らないと経営が安定しない。
• 同じ10億円があっても、市場がサイクルのどの時期にあるかで打席に立てる回数が違う。
• 携帯は? スマフォは? VR は?ハイプサイクルも横目で見つつ。
個人の視点• どの時期に、どんな規模のゲーム会社に入るのか?
• 1. 黎明期の小規模組織→ クソみたいな経験もたくさんするけど、それを楽しめるのであれば成長感も学べることも大きい。
• 2. 成長期の中規模組織→ 成長指向の組織であれば、事業の拡大に合わせて必然的にストレッチワークに。
• 3. 成熟期の大規模組織→ ある程度の安定感を得つつ、会社の方針によっては1.2.の経験も積めるかもしれない。
enjoy!