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Confidential Copyright © DICO Co., Ltd. All rights Reserved. 2014.2 開発&運営事業部 基礎知識&海外進出のためのヒント アプリの海外展開、どうしていますか?

SIG-Glocalization #13「アプリの海外展開、どうしていますか?」講演スライド

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2014年11月15日(土)に開催されたIGDA日本SIG-Glocalization#13「アプリの海外展開、どうしていますか?」の第一部で使用された講演スライドです。

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2014.2

開発&運営事業部

基礎知識&海外進出のためのヒント

アプリの海外展開、どうしていますか?

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自己紹介

COO

エミリオ・ガジェゴ

【主な講演実績】 ・2009年9月 CEDEC 2009 日本から海外へ!-今日から役立つローカライズ技法-

http://cedec.cesa.or.jp/2009/contents/prg/pg_1047.html ・2010年9月 CEDEC2010 英語だけじゃない! 外国人が語る欧州言語向けローカライズの現状と課題

http://cedec.cesa.or.jp/2010/program/BM/C10_P0202.html ・2011年8月 CEDEC 2011 社内外でさまざまに存在するローカライズの壁を越えよう

http://cedec.cesa.or.jp/2011/program/BM/C11_P0047.html ・2012年9月 CEDEC 2012 今後はさらなる“UX”向上と海外ローカライズが鍵

http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120822_554628.html

【その他】 ■IGDA Japan – SIG-Glocalization 世話人 ■ゲームクリエイターが知るべき97のこと/小野 憲史編(オライリー・ジャパン社) 題名:なぜローカライズだけではいけないのか

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【ローカライズ代表作】 ・2006年11月 ゼルダの伝説トワイライトプリンセス (任天堂) ・2007年11月 スーパーマリオギャラクシー (任天堂) ・2009年~2011年 ナルトシリーズ多数(タカラトミ)

【開発代表作】 ・2010年6月(全体統括) インテラクティブブックシリーズ (DICO) ・2014年6月(開発) 新糸通し(スパイシーソフト) ・2014年(開発) 未公開タイトル(Gloops)

任天堂ヨーロッパを経て、業界企業内でローカライズ事業部を立ち上げ、安定経営に導いた。その後、グリー(株)に入社して、プロダクトグロバライズ統括役を経て、開発&運営ユニットを仕切ることに。その後DICOの創設者になり、魅力的な開発環境とチーム作りに励み、日々ゲーム作りを人生の主軸にしています。

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池田 英一

2004年カナダのEnzyme Testing Labsに入社。

ローカライズとQA、アジア太平洋地区のBDを担当。

2008年に株式会社Enzyme代表取締役に就任し現在に至ります。

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目次

1.基礎知識 2.ローカライズにかかわる人 3.開発が用意するもの 4.プロセス 5.デバッグの重要性 6.料金・生産性について 7.海外進出に必要なもの

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1. 基礎知識

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1. 基礎知識②:もう一回、整理しましょう

翻訳はローカライズの一部

ローカライズ(L10N)はターゲット市場に合うように、複数のレベルでのプロダクト調整 (言語・グラフィック・サイクルなど) カルチャライズはローカライズの一部

インターナショナライゼーション(I10N)は円滑なローカライズの上での 必須条件。

(システム構築)

グローバライゼーションの中には「ローカライズ」と「インターナショナライゼーション」がありますが、それには限られていない。

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2.ローカライズにかかわる人材①

ローカライズするにあたって、かかわる人材について一言はっきりしたい。

翻訳家

テスター

外国人 海外生まれ・育ちの人。特に18歳までの大部分の人生は海外に過ごした人。

原文の言語と文化が読めて、分かる人。 原文のアイディアを母国語で表現できる人。 母国語で高いライティングスキルを持った人。

間違い探しにたけている人。 言語の専門家だとは限りません。

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2.ローカライズにかかわる人材②

ゲーム制作側

プロデューサー ディレクター

ローカライズディレクター プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャー (カルチャライズ担当?)

翻訳現場

エディター(編集担当) リードトランスレーター

翻訳家 プルーフリーダー

言語デバッグ現場

テスティングコーディネーター リードテスター

テスター

外注した場合

翻訳家が関わるか否か

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3.開発側で用意するもの

※EXCELはマストではないのですが、業界で一番広く使われているフォーマットです。各社でサーバーを介したネット上のシステムなど様々なものもあります。

◆企画書やゲームの趣旨が理解できる資料 ◆EXCEL上のテキストファイル(エクセルファイル参照!) ◆グラフィックテキストとプレインテキストは別のファイルで用意すること ◆文字制限、行数制限 ◆文章のカテゴリー(セリフ・ナレーション・説明など) ◆グラフィックテキストの場合、画像をエクセル内に入れる ◆デバッグモードの実装と説明文章

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4.プロセス①

さて、どんなプロセスなのか

•作業に入る前にゲームの世界観を把握 2.1 ファミリアライズ

•プロダクトと海外市場の相性を分析し、変更点を認識。開発チームと相

談して、改善できる点について協議。 2.2 問題点認識⇒カルチャライズ

•翻訳開始。デザイナーの作業が入るため、グラ

フィックテキストは先に納品。

2.3 翻訳(グラフィックテキスト・

プレインテキスト)

•全翻訳(また一部)完成時、ファイル上でのプルー

フリーディング

2.4 プルーフリーディング・

クロスチェック・エディティング

•テキストをゲームに組み込む作業 2.5 実装

•翻訳テキストの画面上のチェック 2.6 言語デバッグ

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4.プロセス②:問題点認識 ⇒ カルチャライズ/ローカライズ

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4.プロセス③:問題点認識 ⇒ カルチャライズ/ローカライズ

Facebook英語(US)のログインページ

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4.プロセス④:問題点認識 ⇒ カルチャライズ/ローカライズ

Facebook英語(UK)のログインページ

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4.プロセス⑤:問題点認識 ⇒ カルチャライズ/ローカライズ

Facebookアラブ語のログインページ

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4.プロセス⑥:問題点認識 ⇒ カルチャライズ/ローカライズ

Facebookヘブライ語(イスラエル)のログインページ

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4.プロセス⑦:問題点認識 ⇒ カルチャライズ/ローカライズ

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4.プロセス⑧:問題点認識 ⇒ カルチャライズ/ローカライズ

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4.プロセス⑨:問題点認識 ⇒ カルチャライズ/ローカライズ

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4.プロセス⑩:問題点認識 ⇒ カルチャライズ/ローカライズ

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※カルチャライズ・ローカライズについてのちょっとした結論

ここでお見せしたローカライズ事例は全部やらないと成功は不可能というわけでは

全くありません。

各プロダクトに割り振られた予算があったり、期待値があったり、ポテンシャルなど様々な要素がありますので、それに合わせて最適なカルチャライズ作業量を設定すればベスト。

ただし、一つは忘れてはなりません

目的は。。。 (次ページ参照)

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※②カルチャライズ・ローカライズについてのちょっとした結論

ユーザーにゲームが自分の国で作られたかのように ストレスなく遊んでもらうこと

どんなにお金を使っても、労力をかけても、目的国のユーザが満足しないと意味はない。

成功例

この世界的に有名なブランドを見ると、

「うちはむりだわ」

と思っている方はいらっしゃると思いますが、資金よりは考え方の問題かと思います。

「とりあえず日本」

では、きついケースは多いので、システム設計だけでもコードインターナショナライゼーションはお勧め。あとはタイミングがきたら、翻訳テキストを流し込むぐらい

で、低コストで海外版はリリース可能!

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4. 実装

◆フォントは買ってある?英語のみ?ヨーロッパ言語も入っている? オーバーフローは?

改行の問題? 思ったより作業時間がかかる!

文法の問題?誤植? けど、社内で判断でけへーん

簡単には見えてくるけど、思いがけない問題は様々。。。

と、その時!

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2.6 言語デバッグ

• 言語デバッグとは?

→ 翻訳テキスト実装後の実機上でのチェック

• 何をチェックするの?

→ テキストのはみ出し、重複表示、文字化け、翻訳抜け、誤訳、文法の誤り、言葉や用語の統一など

• ネイティブの人に翻訳してもらえば、必要ないんじゃないの?

→ どんなに優れた翻訳者の仕事でも、実装してみると必ず不具合は見つかる

• 更に倫理チェック、宗教関連のチェック、レーティングのチェックも必要な場合があり、海外展開では非常に重要且つ有効

• 他にも端末依存の不具合や通信周りの不具合を発見する為の、機能的なチェックもある程度は必要

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2.6 言語デバッグ

例1:オーバーフロー

例2:改行ミス

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2.6 言語デバッグ

例3:誤訳

信念 → クレジット

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2.6 言語デバッグ

例4:翻訳抜け

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2.6 言語デバッグ

言語デバッグに必要なもの

• チェック対象となるアプリ

• アプリに対応した端末

• テキストファイル、用語集

• デバッグコマンド等のチート機能

→ 全テキストを画面上に表示してチェックする為

• あればGDDなどの仕様書やゲームのフローチャートなどの資料

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2.6 言語デバッグ

言語デバッグの手順

ロム作成

言語デバッグ

•修正確認

バグ報告

バグ修正

言語デバッグのフローついて

言語デバッグは基本的に右記のサ

イクルを1ラウンド(1週)として

実施されます。

1ラウンドで一通りのテキストを

チェックした形になります。

これに修正確認を加え、何週か回

していくことで、ゲーム内テキスト

の精度を上げていきます。

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ローカライズの単価と生産性について

翻訳家の生産性 作業の単価

日多言語 ⇒1日あたり5,000~8,000文字

(10,000文字も可能)

英多言語 ⇒1日当たり3,000ワード

日英⇒1文字あたり2.5円~20円 日中韓⇒2.5円~15円 日仏伊独西⇒8円~20円

プロジェクトマネージメント:

全体の10%~20%

何が妥当でしょうか?

例: 制作期間:100,000文字のプロジェクトは最短で20営業日(1人の場合)

料金:250,000円~2,000,000円

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料金の妥当性

20円の単価で提供してもらえるサービス ◆シニアレベルの翻訳家 ◆プルーフリーディングあり ◆バグは少ない ◆ファミリアライズは料金内に行う

その間の料金は?

クオリティやスピードはまちまちですが、1文字10円以下の料金はお勧め できません。あとはスピード・スタイル・プロジェクトマネージメントスキル・

プロダクト意識・翻訳担当且つ翻訳会社との時差などの諸事情で、 各社の優先しているところで決定すればよい。

2.5円の単価で提供してもらえるサービス ◆日本語をかじっている学生のレベル ◆プルーフリーディングなし ◆バグは多い ◆直訳

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デバッグの単価と生産性について

• 1時間辺り2000円~6000円

• 言語デバッグでは、1時間に500~800ワード(不具合の量やデバッグコマンド等の実装の有無による)

• 例えば50000ワードであれば、一通りチェックするのに、

1名のテスターで8日~13日程度

• 修正実装後、修正確認が必要

• チェック漏れを防ぐために、上記を2週以上回す

• プロジェクト管理費は10~30%

• 料金は¥150,000~¥2,000,000

何が妥当でしょうか?

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7.海外進出に必要なもの①

・HPローカライズ ・多言語のランディングページ(スクリーンショットを含む) ・多言語のプレスリリース ・各言語にカスタマイズ(流行) ・マーケティング資料 ・スクリーンショット ・動画 ・各種SNSアカウントとコミュニティマネージメント(FB&Twitter) ・海外へのメディア配布作業

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7.海外進出に必要なもの②⇒スクリーンショット

フランス語

ドイツ語

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7.海外進出に必要なもの③⇒スクリーンショット

韓国語

スペイン語

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ユーザーにスルーされないために、一般的にどのような言語が必要とされるか? 日・英・仏・伊・独・西・葡・露・中・韓 ・SNSチャンネル解説 ⇒ コミュニティマネージメント ・運営体制を決める ⇒ 運営&CS ・メディア配布 ・安定した運営のためのローカライズ ・KPIトラッキング ⇒ メインの指数は?100%⇒30%⇒7%

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結論

結論 結論

結論 結論 結論

おわり