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2014年11月20日 日本マーケティング・リサーチ協会主催:JMRAアニュアルカンファレンス2014にて講演 https://www.jmra-net.or.jp/conference/2014lp/
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千葉工業大学 デザイン科学科 Chiba Institute of Technology Department of Design 安藤 昌也
リサーチ起点のUXデザイン~ インサイトがわかっただけで大丈夫?
2014年11月20日
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千葉工業大学 工学部 デザイン科学科 准教授
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。NTTデータ通信(現、NTTデータ)を経て、1998年 アライド・ブレインズ株式会社の取締役シニアコンサルタント。早稲田大学、国立情報学研究所、産業技術大学院大学など経て、2011年より現職。博士(学術)。専門は、人間中心デザイン。UX(ユーザ体験)の研究者。人間工学ISOの国内委員、人間中心設計推進機構 (HCD-net)理事を務める。認定人間中心設計専門家 / 認定専門社会調査士
安藤 昌也 ANDO Masaya, Ph.D.
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“ユーザーを理解し翻訳する仕事”
Workの現場をを観る
ユーザの利用環境をを観る
消費者・ユーザの意識価値観を理解する
ユーザの利用状況を理解する
とにかく 現場のユーザを観よ!
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ユーザエクスペリエンスデザインとは
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“体験”こそ商品
モノだけでなくトータルな体験をデザインする
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UXデザインによるビジネス成功例の増加
n 国内においてもUXを考慮したアプリケーションが、これまでにないビジネス展開のコアとなる事例も出ている。
日本交通(株)「全国タクシー配車」(2011~)の例
ユーザーの体験価値の探索
価値を実現するアプリの制作
いわゆる通常の 体験価値を軸としたUXDの範囲
提携事業者の拡大努力
・120万ダウンロード ・アプリ経由売上40億円 ・アプリ経由配車100万台
UXDを軸としたビジネス展開
プロダクトのUXDだけで、利益を考えようとすると結局失敗するのは確実
2014/7時点
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UXデザインによるビジネス成功例の増加
n 乗客がボタンを押すとゆっくり走るタクシー「TURTLE TAXI」は、ユーザー調査に基づいたUXDである。
(出所:http://www.imjp.co.jp/portfolio/tartletaxi/index)
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TURTLE TAXIのリサーチ&デザインプロセス
l 利用者アンケート – 約76%の人が「ゆっくり丁寧に運転してほしいと思ったことが
ある」 – 特に子ども連れ、妊婦、泥酔客を含む体調の悪い人などから
l インタビュー調査 – 多くの人が「運転手に対して何らかの要望を伝えづらい」と感
じている
「ゆっくり丁寧に運転して欲しい」と望んでいるのに、 タクシー車内というでは運転手にそれを伝えることが できず利用を敬遠してるのでは
インサイト
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TURTLE TAXIのリサーチ&デザインプロセス
n インサイトから、ゆっくり走るタクシー「TURTLE TAXI(タートルタクシー)」を企画・提案。
サービス導入後3ヶ月間で
– 1,274回ボタンが押され – 4,316kmを“ゆっくり”運転
メディア露出により – 前年同時期比電話からの予約 113%
– 通常運転時より2%ほど燃費が改善
効 果
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(2013年11月29日)
UXを総合的に考慮した「UXデザイン」の能力が、いまや企業の収益を左右する。UXを中核資産として育てるために、企業はどうUX能力を構築すればよいのか。
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ユーザー体験(UX)とはそもそもどういうことか?
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“ユーザエクスペリエンス”
ワクワク 楽しい
ドキドキ!
ユーザーの反応
(1) UXは、製品やシステム、サービスの使用前から使用中、そして使用後という、利用体験の時間の流れの中で、ユーザーが感じる様々な反応や認識する価値である
(2) UXは、製品・システムやサービスの特性(ブランドイメージ、外観、機能、性能など)だけではなく、ユーザーの内的状態(態度、スキル、パーソナリティ)および利用の文脈によって影響される
(参考:ISO9241-210)
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時間の観点から捉える
n UXは、時間の観点捉えることが重要。ユーザーは、それぞれ、異なる評価基準で体験を評価する。
(出所:2011年2月:User Experience White Paper, HCD Value: “UX白書の翻訳と概要”資料)
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UXデザインのプロセスとリサーチの役割
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UXデザインをはじめるための“前提”
n UXデザインを行うためには以下の2つの前提を関係者が共有していなければならない。
1. ユーザー体験を設計対象と捉える
2. 製品・サービスは、ユーザー体験を実現する手段あるいはユーザー体験の一部としてとらえる
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UXデザインの実例 ~ (株)ノハナの例
n ノハナは2013年9月にミクシィ社から事業化。ユーザー数、約72万人、月間フォトブック発行数は約15万冊超。
(2014年4月時点)
UXデザイナーがコンセプト立案から開発までかかわった事例
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ノハナのUXデザインプロセス
n ユーザーに与える“価値”から始めた。
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UXをデザインするための諸手法l ユーザー行為の観察/エスノグラフィ l インタビュー/フォトエッセイ/日記法 l KA法/上位下位分析法/KJ法/メンタルモデル
ダイアグラム l ペルソナ/エンパシーマップ l 問題シナリオ/エクスペリエンス・フィードバック法
l 発想法/アイデアソン l バリューシナリオ/ストーリーテリング
l アクティングアウト(体験スケッチ)/ロールプレイ l アクティビティシナリオ/インタラクションシナリオ l ユーザージャーニーマップ/UXマップ l 9コマシナリオ/ストーリーボード/体験ムービー
l ユーザーストーリーマッピング l ペーパープロトタイピング/オズの魔法使い l サービスブループリント l ビジネスモデルキャンバス/CVCA l コンセプトテスト/ストーリーボーディング
ユーザー体験の把握と 体験価値の探索
ユーザー体験を実現する 製品・サービスの 評価と要件化
実現するユーザー体験と その効果の可視化
コンセプト・アイディアの発想
体験価値を探索するにはリサーチ技術が重要!
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「経験価値」をどのようにリサーチし導出するか?
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UXデザインによる商品企画のプロセス例
調査の実施 分 析 結果読込み
価値分析(KA法) エスノグラフィ調査 グルーピング 潜在ニーズ分類
機会探索
シーズ/ビジネス構造分析 機会の検討 受容性評価
技術棚卸
■ ドライバーのエスノグラフィ調査ーオポチュニティマップ Ver.2.0 (機会の番号はVer.0.55と同じ) 2011/07/03
I:とりあえずでも最低限のことはできる価値
I2:情報の意味がわからないが気にしないですます価値
I1:とりあえずでも最低限の目的を達成できる価値
G2:間違った操作をしても大丈夫と思える価値
G3:提示される情報を信用して頼れる価値
G1:感覚的に車の状態を知れる価値
G4:運転中にラクに操作できる価値
G:基本的な操作性(ユーザビリティ)が良い価値
車が必要な行動を教えてくれる価値
K1:車の方から必要な行動を教えてくれる価値
カ
ライフ・バリ
人生観
車
ドライビング・バリ
車
運転
対
インタラクシ
ン・バリ
車内機器操作
対
いつも通りの環境を維持できる価値
K2:いつも通りの環境を維持できる価値
H:使いたいと思える価値
H1:“使ってみよう”という意欲がわく価値
H2:使い方を理解し覚える努力をする価値
車を使いこなして運転を楽しむ価値
L1:新しく知った方法で運転を楽しむ価値
J2:車の機能を使いこなせる価値
J:車の情報・仕組みを理解できる価値
J1:車の情報・仕組みを理解できる価値
A1:快適な室内環境で移動する価値
A1:快適な環境で車に乗れる価値
B1:車内で子供を安全に遊ばせる価値
B2:同乗者に運転を邪魔されない価値
B3:チャイルドシ トーでも一家で一緒に移動できる価値
B4:親の体の負担なく子供を乗り降りさせられる価値
B:同乗者(家族)と安全に乗れる価値
同乗者(家族)を喜ばせる価値
C1:同乗者と同じ空間で楽しめる価値
D1:車によって家族を喜ばせる価値
E:安全にうまく運転できる価値
E1:安全にうまく運転できる価値
(エンタメ系の価値)F:運転中の時間を有効活用できる価値
F1:運転中の時間を有効に使える価値
L2:自分の欲しい情報を車で入手できる価値
機会①同乗者の安全を運転者がコントロールしつつ一緒に楽しめる機能の方向性
機会②「使ってみたい・理解してみたい」と思うような基本操作性(表現)のインパネデザインの方向性
機会③車がユーザに安全や環境やマナーなどの運転や行動を促すような情報を提示する機能の方向性
機会④運転中の時間を有効に使えるような情報を安全に入手できる機能の方向性
ビジネス構造分析
方向性の検討
機会仮説の検討
アイディア開発・整理
製品アイディア アンケート調査
コンセプトの立案 開発の方向性の検討
調
査
コンセプトの検討 コンセプトの可視化
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ユーザモデリングの3階層 (安藤, 2010)
n どのようなユーザ調査も、デザインを生み出すには、以下の3つの階層で、ユーザをモデリングする必要がある。
新しい行為 =デザイン
着目する価値 =本質的ニーズ
コンテキスト
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リサーチ手法とデザイン手法との関係
ユーザモデリグの三階層
エスノグラフィ
コンテキストインタビュー
フォトエッセイ
デプスインタビュー
アンケート
ユーザ調査の代表的な手法
■価値観・インサイトの理解
■行為や文脈の理解
■属性・セグメンテーション
行動観察
主なデザイン手法
ペルソナ インタビュー/グルイン
問題シナリオ
ワークモデル分析
上位下位関係分析
KA法
CJM (as-is)
ファクトイド/KJ法
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企画段階でリサーチとUXDをつなぐアウトプット
n 適切なリサーチによって得られたデータを、再利用な形にモデル化する。最低でも現状のUX3点セットは作る。
ユーザー 調査
エクスペリエンスフィードバック
行動観察
インタビュー
フォトエッセイ
フォトダイアリー シャドーイング
ペルソナ
ジャーニーマップ
価値マップ
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調べただけでおわらせない!
UXデザインのニーズは
リサーチ業界に新しい
リサーチサービスを求めている
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UXDの品質に影響する3要素と2つの設計対象
価値発見
価値実現
価値伝達
× ×
タッチポイント全体の設計
製品・サービスの設計
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重要なポイント ー 基本発想の転換
製 品サービス
従来型の発想
UXの発想
ユーザー
機能の 提供
=技術の発想・上から目線
=体験価値の発想・横(下)から目線
企 業
製 品サービス ユーザー企 業 関係
ユーザの世界観 新しい価値
製品・サービスと ユーザの関係を作る
提供企業の世界観
・課題解決 ・機能実現 ・~ができるようになった
・信頼感が増した ・やる気が高まった ・使い方を工夫するようになった