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「断片発話」の生成についての覚書 Anoteonfragmentaryutterances IDOShinji The present note discusses the possibility of developing a model for the production of fragmentaryutterances.It critically reviews existinganalyses offragmentary utterances, which typically identify fragments as sentencesinwhichellipsisoccurs(orassmallclauses),andpoints out thatsuch identificationis arbitrary. Thefirsthalf of thispaperaddresses the problem of arbitrariness by devising and testing out an exploratory model for utteranceproductionthat places strict constraints on what forms fragmentary utterances can take. The model adopts the view that fragmentary utterances are formed bottom-up (thereby keeping the involvement of syntax in utterance production to aminimal) andposits simple principlesthatmake certain predictions about what morphemes necessarily occur in a given (fragmentary) utterance. The latter half of this paper consists of analyses of fragmentary utterancesof severaldifferent types (corrections, question-answer pairs, etcj. Theanalyses demonstrate thatthe fragmentary

「断片発話」の生成についての覚書 (A note on fragmentary utterances)

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「断片発話」の生成についての覚書

A note on fragmentary utterances

井 土 愼 二IDO Shinji

The present note discusses the possibility of developing a model for the production of

fragmentary utterances. It critically reviews existing analyses of fragmentary utterances, which

typically identify fragments as sentences in which ellipsis occurs (or as small clauses), and points

out that such identification is arbitrary. The first half of this paper addresses the problem of

arbitrariness by devising and testing out an exploratory model for utterance production that

places strict constraints on what forms fragmentary utterances can take. The model adopts

the view that fragmentary utterances are formed bottom-up (thereby keeping the involvement

of syntax in utterance production to a minimal) and posits simple principles that make certain

predictions about what morphemes necessarily occur in a given (fragmentary) utterance. The

latter half of this paper consists of analyses of fragmentary utterances of several different

types (corrections, question-answer pairs, etcj. The analyses demonstrate that the fragmentary

愛知県立芸術大学紀要No.40 (2010)

(2) a. Did you hit him?

b. No. He me. (van Dijk 1981: 77)

(3) a. Harriet has been drinking.

b. Yeah scotch. (Culicover & Jackendoff 2005: 265)

このような文は、言語学で一般に「何かが欠けた」文、っまり、それに対応する「統語的に完全

な文」があると分析される文である。2それに対して本稿でその妥当性が検証される断片発話生成

モデル素案は、いわゆる省略文を含む様々な断片発話がニつの原則によって生成されるように考案

されている。このモデルの説明に移る前に、先ず次節で断片発話の先行研究を概観する。

2.先行研究

断片発話に対する言語学での恐らく最も一般的な認識は、「省略によって不完全な形になった

文」というものである。°その認識は、断片発話の生成過程における「統語的に完全な文」の措定

に基づぃている。このような「完全文」を措定する断片発話生成モデルを「省略モデル」と総称す

ることにする。省略モデルは省略文から一意に「再建」される完全文を必然的に措定する。しかし

Krifka (2001: 290)、Clapp (2005:120-121)、Barton (2006:19)、Culicover&Jackendoff (2005:

261)などでの記述が示唆するように、いわゆる省略文からの完全文の「再建」は恣意的にならざ

るを得なぃ。一例としてMerchant (2006: 75)による下の樹状図はWho did she see.pに対する返

答としてのJohnとぃう発話を示している。

(4) FP

¥

[DP John]2 F'

/

/

/

she saw t2

ここではJohnがTPの外に移動し、移動元のTPが省略された結果がJohnという発話であると

されている。っまりMerchantはここでJohnに対する完全文としてshe saw Johnとぃう文を措

定している。このJohnからのshe saw Johnの「再建」は恣意的である。「完全文」が、例えば

no one but John4やthe person who she saw was Johnであってはいけなぃ理由は特にないように

思える。Merchantの断片発話の分析において完全文「再建」にはその妥当性に関する制約は見

つからない。5 Progovac (2006)では以下のような種類の断片発話が取り扱われているが、これら

― 186

「断片発話」の生成についての覚書

は以下の樹状図に示されるように「完全文に変形されなぃ(無時制の)NPや小節である」°とされ

る。

(5) John tall?! / I'd never have described him that way.

l

l

(7) This a bargain?! (I don't think so)

(8) /へ

This /\

/

この分析もMerchantの分析と同様、恣意性を持っている。当該の発話が小節(small clause)

だとぃう決定は恣意的であるように見える。7これらの恣意性は省略モデルにとって恐らく問題点

である。

一方、Culicover&Jackendoff (2005)による断片発話の分析では、断片発話内の句に(先行す

る文から)統語素性と意味的役割を割り当てるindirect licensingというものが想定される。例え

ば以下の図(ibid: 264)では断片発話であるUIL内のNPORPHが先行する文SANTの中のNPTARGETから

統語素性と意味的役割を割り当てられるとされる。これにより、断片発話は完全文になることなく

完全文の意味を持っとされる。

― 187ー

o..

c:

z -曙

愛知県立芸術大学紀要No.40 (2010)

(9) (

'[ (NPTARGET)

drinking

(10) UIL/丶

Interjla.;io, SCl:CO;PH

ここで先行研究の概観を要約するとMerchantやProgovacの断片発話生成モデルには発話生成

に関する制約が無い。一方、Culicover&Jackendoffのモデルには発話生成に関する制約が想定さ

れているように見える。それは、先行文によって統語素性と意味的役割が割り当てられ得るような

句が断片発話として生成され得るというものである。

本稿では実験的に断片発話生成に関する制約をさらに増やす。具体的には断片発話の生成モデル

(の素案)を考案し、それが実際の断片発話の生成を説明するかを見るという形をとる。本稿で考

案 さ れ る こ の モ デ ル を 以 降 は 「 構 成 モ デ ル 」 と 称 し 、 次 節 で 説 明 す る 。

3.構成モデル

断片発話生成の構成モデルは次のニつの原則に拠る。

(11)意味のある発話においては次の形態素の出現のみが義務的である8

a)焦点(focus)である形態素の

b) 焦 点 が 文 法 的 に 共 起 を 要 求 す る 形 態 素 ( 所 )

この原則に以下の補足的な注解を付す。

注解1:ここで桝のノとの共起は(断片)発話者によって意図される発話の意味と矛盾しない

範囲で行われることとする。また、発話者によって意図される発話の意味と矛盾しなぃ

範囲であれば、この原則はノと桝以外の形態素の出現を妨げなぃこととする。

ー 188―

「断片発話」の生成についての覚書

注解2: (llb)での「文法的」における「文法」とは当該の発話が生成される言語変種(地理

的方言、社会的方言、言語使用域毎の変種含む)の文法である。っまりここでの文法は

社会的変種や地域的変種、また言語使用域などによって異なる。日本語で書き言葉の文

法が-(a)na-kereba nar-ana-iを要求するところで口語文法が-(a)nakyaを、文語文法が

-(a)zu-ba nar-azuを要求するような場合を想起されたい。

注解3: (lla)で焦点は旬や節ではなく形態素である。9構成モデルでは、発話の意味を、構造

を 持ち要素 に分析 可能な 構成物 と見なす。ある発話の意味を構成する要素の集合4と

別 の発話の 意味を 構成す る要素 の集合 Bの差集 合B-Aの要 素、即ちlxlxGA八xef B[に

対応する形態素を焦点と呼ぶ。

構成モデルは断片発話に対して「統語的に完全な文」を措定しない。よって断片発話からの完全

文の恣意的な「再建」も行わない。

4節 で断片 発話生成の構成モデルによる説明を発話例とともに見ていく。例はCulicover&

Jackendoffで挙げられている種類のものなどを見ていく。10また、構成モデルが、前節で概観した

先行研究では扱えなぃ種類の断片発話(拘束形態素のみから成る発話)を扱いうるかどうかも4.3

節で調べる。

4.構成モデルの検証

4.1.Wh疑問文への返答

まずは以下の例で(12b)の生成が構成モデルで説明されうるかを見る。

(12)a,何食べた?

b, ピ ラ フ 。

質問の意味を「返答の意味に適用すると命題を産出する関数」とする(Krifka 2001: 288)と、

(12a)の意味は概略以下のように表わせる。‖

(13) a. Ax[2e(Eating(e) & Agent(e,b) & Theme(e,x))]

一方(13a)を理解し、返答するっもりである話者Bが発話によって表わしたぃ意味は以下のよ

うに表わせる。12

(13) b. pilaf

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愛知県立芸術大学紀要No.40 (2010)

一見して明らかなように、話者Aが表わす意味である(13a)と話者Bが表わしたい意味である

(13b)は異なる。(13a)と(13b)をそれぞれ構造的な意味を構成する要素の集合AとBとみな

すと、(11)から明らかなようにB-Aの要素はpilafとなる。13 (14)で示すように、要素pilafに

対応する形態素は日本語ではどラフであり、3節での注解3に拠り、と゜ラフがノ、っまり焦点であ

る形態素である。よってと°ラフの出現は義務的である。自由形態素ピラフは特に他の形態素の共起

を要求しなぃ。っまりこのノには絖との共起が要求されなぃ。そのため(12a)への返答にはピ

ラフの出現が義務的であり、またピラフの出現のみが義務的である。構成モデルではこのようにし

て(12b)が生成される。

ここで構成モデルは省略モデルとは異なり、(12b)の生成において統語を要求せず、省略モデ

ルが必然的に措定するところの(12b)に対応する「完全文」をも措定しない。また、構成モデル

は通言語性を持つ。(13)は自然言語ではなく、構成モデルによる発話生成は理論的には言語を選

ばなぃ。意味構成要素pilafに対応する形態素、即ちノは例えばウズベク語ではpalovになり、こ

れが発話されなければならない。

4. 2.「重複語句剥奪」

次にCulicover&Jackendoff (2005)がmatchingと呼ぶ例の生成の構成モデルによる説明を試

みる。

(15)a.Harriet has been drinking.

b.Yeah scotch.

(15a)が表わす意味と、それに対して(15b)の話者が表わしたい意味を概略以下のように表せる。

(16) a.ヨe(Eating(e) & Agent(e,b) & Theme(e,x))

b.ヨe(Eating(e) & Agent(e,b) & Theme(e,scotch))

― 190-

「断片発話」の生成についての覚書

(16a)と(16b)14をそれぞれ意味的な基本要素の集合AとBとみなすと、B-Aは要素

Theme(e,scotch)となる。そしてこれに対応する形態素は英語ではscotchであり15、これは特に他

の形態素の共起を要求しない。そこで(15a)への反応/返答には形態素scotchの出現が義務的で

あり、また、この形態素の出現のみが義務的である。

また、(15b)内のyeahはノでも所もなく、その出現は必須ではない。16

4. 3.拘束形態素のみから成る発話

次に拘束形態素のみから成る発話の生成を構成モデルで説明してみる。

(18)a.人生やり直せますかね

b.ません

(18a)が表わす意味と、それに対して話者Bが表わしたい意味を、概略以下のように表せる。

(19) a. Af[f(2e(Restarting(e) & Agent(e,a) & Theme(e,life)))J

b. Ap[-p]

B-Aは要素スp[-p]となる。これに対応する形態素は丁寧体の日本語では否定の形態素-enであ

り、(18)のようなくだけた口語の文法であっても-enは少なくとも-mas-を要求する。17っまり

-enはノで-mas-は桝である。構成モデルはこのように-mas-en即ち発話妄ゼんを生成する。こ

の例では構成モデルが拘束形態素のみから成る発話の生成も扱えるようであることが分かる。

4. 4.複数の焦点を持つ発話

最後に、van Dijk (1981: 77)から採られた以下の例文の生成が構成モデルによって説明できる

かを調べる。

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愛知県立芸術大学紀要No.40 (2010)

(20)a.Did you hit him.p

b1.Aり.

b2.ロをme.

(20a)が表わす意味、そしてそれに対して話者Bが(20b‾)と(20b2)で表わしたい意味を、そ

れぞれ概略以下のように表せる。

lf[f(3e(Hitting(e) & Agent(e,b) & Theme(e,c)))]

Ap[-p]

Ze(Hitting(e) & Agent(e,c) & Theme(e,bD

構 成 モ デ ル に よれ ば noの 発話 と he meの 発 話 は以 下 の よ う に生 成 さ れ る 。 まず 、 (21a)を 理

解し、返答するっもりの話者Bはスp[11p1を発話で表わそうとする。そのため以下のようにスp[・1p]

に対応する髭Dの出現が義務的になり、これが(20bりとなる。

そしてnoの出現によって(21b1)に(21a)が適用され、以下の命題が産出される。

(23) Af[f(3e(Hitting(e) & Agent(e,b) & Theme(e,c)))]( Ap[-p])

=・ 1ヨ e(Hitting(e) & Agent(e,b) & Theme(e,c))

この命題は話者Bがhimで表わされるところの男性Cをぶたなかったことを意味するが、男性

CがBをぶったことは意味しない。そこで話者Bはさらに以下の意味を表わす発話をを行うことを

欲する。

(21b2) Ze(Hitting(e) & Agent(e,c) & Theme(e,bD

これにより以下の図のような写像が行われ、形態素heとmeがノとなる。その結果、heとme

192-

1 1エー っら一

alolD

丶J

1っ白

23

の出現は義務的になる。18以下の図でAはほ鋤

成する要素の集合である。

「断片発話」の生成についての覚書

21ビを構成する要素の集合であり、Bはeお)を構

形態素heとmeを並べるためには統語(もしくは認知言語学の観点からは構文)が必要となる

が、必要なのは(23)との齟齬が無いようにこれらニつの形態素を並べるために必要な分だけの

統語もしくは構文である。構成モデルは「統語的に完全な文」を生成しない。このようにして髭ロ

は(21a)と(21b1)から、hピ meは(21a)が(21b1)に適用され産出された(23)と(21b2)に

拠って生成されうる。

5.結論

前節までで幾つかの種類の断片発話の生成を構成モデルが適切にこなした。3節に示された発話

生成の構成モデルのニつの原則は本稿で見た全ての例に貫徹しており、構成モデルには断片発話の

生成モデルとして一定の妥当性があると言える。19

1 (1)の出典は漫画である。

2本稿で提案される生成モデルでは断片発話、いわゆる省略文、そしていわゆる統語的に完全な文は生成のされ方の観点から

は区別されないため、この生成モデルでは他の発話と区別されるものとして断片発話の定義をすることができない。そのた

め、このような直感的な定義をっけておく。

3例えばMatthews (2007: 364,119)でのsentence fragmentの定義を参照のこと。

4これに対し、再建される完全文はcongruent answer (Krifka 2001: 287-288を参照)とするという制約をつけることは可能

であろう。しかし、それでもthe person who she saw was J轟釘が甜轟Dd甜s轟¢Pに対してS轟甜Sロ甜ル轟館よりCロ’曙n‘8露すでな

` ゝと1ゝ うことは難し、ゝように思える。

5また、この解釈では発話者にかなり面倒そうな統語操作が要求されるようにみえる。ル励のような一語発話の際に複雑な

統語操作を行っていることはおそらく多くの話者の直感に反する。

6 NSUSaremaSe・generated)NPSandSmmldauSeS(WithouttenSe)thatarenottranSformedintofullSentenCeS,(ProgOVaC

2006:39)また発話に時制が必須でなぃ例としてロシア語A珊打ガ¢夘邦‘Ivan(is)faithfurのようなコピュラ無しの発話が挙げ

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愛知県立芸術大学紀要No.40 (2010)

られている(ibid: 44)。これはこの論文がその枠内で書かれているところの、時制を文の主要部とする統語理論自体と相いれ

な1ゝ ようにも見える。

7また、彼女が小節として解釈しやすい断片発話を恣意的に選択しているという感も否めなぃ。Craenenbroeck (2008: 265)

も参照。

8これは以下の定義である:「発話に意味があるiffその発話にノと(もし文法が要求すれば)桝がある」。っまり1)意味のあ

る発話はノと絖を含む限りさまぎまな形があり得る、そして2)この生成モデルに拠れば断片発話と文発話を生成の観点か

ら区別する積極的な理由はなぃ。

9以下のKrifka (2007: 19)による焦点の定義は本稿でのそれと矛盾しない。

A propertyF of an expressionaisa Focus property iffF signalS

(a)thatalternatiVeSOf(partSOOtheeXpreSSionロOr

(b)alternanVeSOfthedenotationof(partSOOd

arereIeVantfortheinterpretationofd.

このうち(a)は表現上の選択肢に関するもので、例えば(ibid:20)

A: TheyuveinBERlin.

B: TheyliveinBerLIN!

におけるBerLINのようなもので、言い直し、言い換え、修正などに現れるものである。本稿では(b)を論じている。ただし、

Krifkaは句単位での焦点のみを論じている。

10本稿では断片発話がよく現れる訂正や質問に対する応答などの談話関係(discoursereladons)に議論を限定している。こ

れは談話を開始する断片発話の議論からの除外に帰結する。しかし、発話されないAが談話参加者に共有されているとすれ

ば、談話始めの断片発話の生成もここでの分析と相いれなぃものではないと考える。

11(動詞の)意味を要素に分析可能な構成物としてみる語彙概念構造で、概略以下のように表わせる。この表示ではDorr

(1993)で語彙概念構造に追加されたWH・THINGとぃう意味の基本要素を借用している。語彙概念構造で意味を表示しても、

原貝U(11)は同様に有効である。なんとなればB4の要素はPILAFとなり、よってノは日本語ではやはり形態素ビラァと

なるからである。

a.【EventCAUSE([川n。B]“,[EvenよGO(【川nヨWH.THING],【PathTO([P王ac。IN([mc。MOUTH・OF【dl])])])])]

b.【EvcnLCAUSE([TJngBr,【EVenヤGO([Th恤PILAF],【PathTObHaceIN([H…MOUTH,0F[d]])])】)1)】

12(13b)に(13a)を適用して以下が産出される。

スx【ヨe(Ea廿ngte)&Agent(e,b)&Theme(e.x))](pilaD

〓ヨe伍ating(e)&Agent(e,b)&Theme(e,pilaD)]

13この例ではAとBが互いに素であるため、B4とぃう演算が不要に見えるかもしれないが、次以降の例でこの演算が構成

モデルに必須であることがわかる。

14(12)の場合と同様、以下のような語彙概念構造で意味を表示しても、原則(11)は同様に有効である。なんとなればぢ4

の要素はSCOTCHとなり、よってノは英語ではやはり形態素scDむ轟となるからである。

a.[Ev…CAUSEuThinよH]“,[EvenよG0([側nよ],[Pヨ血TO(しlaceIN([Plac。MOUTH・OF【d1])])】)])]

b.[EvロェCAUSE([ThngH],【EVentGO([Th恤SCOTCH],【PnhTO([mc。IN([HaceMOUTH・OF【ロ]])])])])】

15日本語ではヌコッチをになろう。

16原 則 ( 11a) と ( 11b) は 「scDfc轟 だ け の 発話 で も 意 味 の あ る発 話 で あ る 」 と の 正し い 予 測 を す る 。

17書き言葉としての日本語であればこれらに加えて少なくとも動詞語幹朋rf館ロDs・と可能の接辞廿を桝として要求するとこ

194 -

「断片発話」の生成についての覚書

ろである。また、あらたまっていなぃ使用域での口語文法では,ap[np]要素のFでの写像はまったく異なることに注意された

い。他の使用域ではノは-(a)naや、さらに-(a)ne:になることさえあり得る。

18日本語であれぱ鍍がと霤をのようなノとなっただろう。格表示も注解1により適当に産出されることに注意されたぃ。

19構成モデルによる断片発話生成の特長を以下に挙げる。1)統語処理の要求が少なく、生成の為の言語処理面でおそらく経

済的である。(特に多総合(polysynthetic)語では統語もしくは構文なしで産出されうる発話が多いかもしれなぃ。)2)「統

語的に完全な文」を恣意的に作らない。3)拘束形態素のみからなる発話の生成が可能である。4)生成される発話の形につ

いて一定の予測を行い、その反証可能性が高い。

参照文献

Barton. E. (2006) Toward a nonsentential analysis in generative grammar. In L. Progovac, K. Paesani, E. Casielles and E.

Barton (edsJ The syntax of nonsententials, 11-31. Amsterdam: John Benjamins.

Clapp, 1. (2005) On the interpretation and performance of non-sentential assertions. In R. Ellugardo & R. J. Stainton (edsJ

Etlipsis and nonsentential speech, 109-129. DordrechL Springer.

van Craenenbroeck, J. {2008) Review of The syntax of nonsententials. Journal of Linguistics 44. 261-266.

Culicover, Peter & Ray Jackendoff. (2005) Simpler syntax. Oxford University Press.

van Dijk, Teun (1981) Studies in the pragmatics of discourse. The Hague: Mouton.

Dorr, Bonnie J. (1993) The use of lexical semantics in interlingual machine translation. Machine Translation, 7. 135-193.

Krifka, Manfred (2001) For a structured meaning account of questions and answers. IN Fery C. & Sternefeld, W. (edsJ

Audiatur vox sapientiae: A Festschrift for Armin von Stechow, 287-319. Berlin: Akademie Verlag.

Krifka, Manfred (2007) Basic notions of information structure. Interdisciplinary studies on information structure, 6. 13-55.

Matthews, Peter (2007) The concise Oxford dictionary of linguistics 2nd edition. Oxford: Oxford University Press.

Merchant, Jason {2006) "Small structures": A sententialist perspective. In Progovac, Ljiljana et al. (edsJ The syntax of

nonsententials. 73-89. Amsterdam: John Benjamins.

Progovac, Ljiljana (2006) The syntax of nonsententials: Small clauses and phrases at the root In Progovac. Ljiljana et al. (edsJ

The syntax of nonsentenlials, 33-71. Amsterdam: John Benjamins.

― 195 -

正誤表

193頁 1行目

(22)を構成する要素の集合であり、Bは(23)を構

(23)を構成する要素の集合であり、Bは(21b2)を構