39
「チーム九州経済界」として、 ピンチをチャンスとすべく、 一歩踏み込んで最先端を 牽引していく。 ゼロエミッションを先導する九州のエネルギー環境・産業の再構築 -九州からの未来提言と5つの戦略- (概要版) 九州の未来のエネルギーへの提言 今回抽出した戦略課題を起点に解決に向けたPDCAを回し、九州経済界におけるエネルギー諸問題への 継続的な意識喚起を図る。 継続的な取組へ PLAN DO ACTION CHECK 戦略課題の抽出・公表(今回) 課題の深掘り 政策要望 広報・啓発 九州の3E+Sポジション(エネ自給率、CO2排出量、発電コストなど) 新たな課題設定 自治体・企業アライアンス エネルギー 情勢 課題 解決 アプローチ パリ協定、第5次エネルギー基本計画 など、脱炭素化、新たなエネルギー ミックスに関する社会潮流の胎動 課題先進地の九州: ・人口減少、少子高齢化 ・太陽光普及に伴う出力抑制 ・自然災害の頻発化 現状認識 (これまでも九州一体となって対処) 筑後川水系開発、地熱資源開発、 造船不況対策、九州新幹線、 九州国立博物館、道州制 ・・・etc. 九経連 資源エネルギー ・環境委員会 世界が今世紀後半の早い段階でのカーボンニュートラル化を目指す中で、経済の根幹であるエネルギー 分野において、3E+Sを着実に実施しながら、ゼロエミッション化、イノベーションの牽引、地域活性化、世界 展開を九州が先導することで、日本の経済発展につなげるべき。 九州の 強み 再エネの 主力電源化 蓄エネの 社会実装 脱炭素化の 面的展開 原子力の 着実な運用 環境金融 の啓発 地勢的に優位な太陽光・地熱等の 拡大・有効活用 電池・水素等を活用したエネルギー・ マネジメントの実装 業種・エリア一体化、電化・メタネーションガス 利用等によるスマート社会の実現 原発の安定運転や人材確保を通じ 3E+Sの着実な達成 環境ブランド「Future Zero-emission Kyushu()」の構築とESG資金循環 の拡大 強みをテコに機会を最大化 エネルギー自給率* ➡全国比27%CO2排出量* ➡全国比11%電気料金** ➡全国比 8%*九州経済調査協会調べ、 **経産省電力・ガス基本政策小委員会 エネルギー分野の先行き 不透明感と投資停滞

九州の · 2020. 3. 4. · 「チーム九州経済界」として、 ピンチをチャンスとすべく、 一歩踏み込んで最先端を 牽引していく。 ゼロエミッションを先導する九州のエネルギー環境・産業の再構築

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「チーム九州経済界」として、ピンチをチャンスとすべく、一歩踏み込んで最先端を

牽引していく。

ゼロエミッションを先導する九州のエネルギー環境・産業の再構築-九州からの未来提言と5つの戦略- (概要版)

九州の未来のエネルギーへの提言

今回抽出した戦略課題を起点に解決に向けたPDCAを回し、九州経済界におけるエネルギー諸問題への継続的な意識喚起を図る。

継続的な取組へ

PLAN

DOACTION

CHECK

戦略課題の抽出・公表(今回)

課題の深掘り政策要望広報・啓発

九州の3E+Sポジション(エネ自給率、CO2排出量、発電コストなど)

新たな課題設定自治体・企業アライアンス

エネルギー情勢

課題

解決アプローチ

パリ協定、第5次エネルギー基本計画など、脱炭素化、新たなエネルギーミックスに関する社会潮流の胎動

課題先進地の九州:・人口減少、少子高齢化・太陽光普及に伴う出力抑制・自然災害の頻発化

現状認識

(これまでも九州一体となって対処)

筑後川水系開発、地熱資源開発、造船不況対策、九州新幹線、九州国立博物館、道州制・・・etc.

九経連資源エネルギー・環境委員会

世界が今世紀後半の早い段階でのカーボンニュートラル化を目指す中で、経済の根幹であるエネルギー分野において、3E+Sを着実に実施しながら、ゼロエミッション化、イノベーションの牽引、地域活性化、世界展開を九州が先導することで、日本の経済発展につなげるべき。

九州の強み

再エネの主力電源化

蓄エネの社会実装

脱炭素化の面的展開

原子力の着実な運用

環境金融の啓発

地勢的に優位な太陽光・地熱等の拡大・有効活用

電池・水素等を活用したエネルギー・マネジメントの実装

業種・エリア一体化、電化・メタネーションガス利用等によるスマート社会の実現

原発の安定運転や人材確保を通じた3E+Sの着実な達成

環境ブランド「Future Zero-emission Kyushu(案)」の構築とESG資金循環の拡大

強みをテコに機会を最大化

エネルギー自給率*➡全国比27%高CO2排出量* ➡全国比11%低電気料金** ➡全国比 8%低

*九州経済調査協会調べ、**経産省電力・ガス基本政策小委員会

東アジアでサステナビリティ

の中核的役割を果たす

エネルギー分野の先行き不透明感と投資停滞

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ゼロエミッションを先導する九州のエネルギー環境・産業の再構築-九州からの未来提言と5つの戦略-

(一社)九州経済連合会資源エネルギー・環境委員会

-1-

2020年3月3日

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目 的

• 日本のエネルギーは自給率が低い中、東日本大震災後の化石燃料比率の高まりや原子力の安全性追求、再エネ導入拡大に伴うFIT賦課金の負担増や系統連系など構造的な課題を抱えている。

• 一方、パリ協定や第5次エネルギー基本計画など、国内外エネルギー政策の方向性が示される中、イノベーションを伴う課題克服に向けたアクションが実行されなければ、今後の3E+S(安定供給・経済効率性・環境への適合+安全性)を確保できないリスクを内包することとなる。

• 本提言は、九州の経済界として、現状のローカルなエネルギー事情や地勢的強みも踏まえ、伸長すべき領域を明らかにして、効果的な振興方策につなげるものである。

-2-

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世界の潮流にも追従できない(3D/Society5.0/SDGs)

国民生活・事業活動への懸念

出所:日本を支える電力システムを再構築する(2019/4/8、経団連)より九経連作成 -3-

わが国においては、エネルギー情勢の先行きが不透明で、エネルギー投資が停滞している現状を打破しないと、3E+Sが損なわれるだけでなく、国民生活・事業活動への支障も懸念される状況にある。

現状打破の必要性

3E+Sの棄損

安定供給

経済効率性

環境性

安全性

⚫化石燃料依存度の高止まりは、国際社会からも批判

⚫脱炭素上期待される再エネが送電制約等で拡大できない

⚫原発の安全対策は強化されるも、再稼働は低調

⚫国際的に遜色のないエネルギー料金水準が確保できていない

先行き不透明感とエネルギー投資の停滞

⚫発電・小売の自由化⚫原発再稼働の遅れ⚫FIT太陽光の大量導入⚫エネルギー需要の減少懸念

⚫原発稼働伸びず⚫再エネ増やせず

⚫エネルギー料金上昇⚫エネルギー品質劣化

⚫老朽インフラ増⚫分散化の遅れ

CO2削減対策に支障

産業競争力が減退

レジリエンスや地方創生に逆行

現状打破の必要性

このまま放置しておけば・・・

【全体コンセプト①】

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課 題

-4-

その時々で苦難を乗り越えてきた九州経済界として、この難局にチャレンジする。

九州経済界による課題解決実績の踏襲

(九経連のあゆみ)⚫1965年:筑後川水系開発基本構想⚫1974年:九州における地熱資源開発(刊行)⚫1975年:造船不況対策特別委員会⚫1980年:東シナ海石油開発問題(研究開始)⚫1985年:国際化時代の九州農業のあり方(刊行)⚫1988年:九州新幹線建設推進研究会⚫1992年:九州国立博物館設置促進財団⚫1996年:九州海洋開発のあり方に関する調査⚫1997年:九州国際空港構想に関する提案書⚫2003年:九州地域戦略会議⚫2005年:九州観光推進機構、道州制検討委員会⚫2009年:経済対策に関する緊急要望(実施)

九州経済界の背景その時々の課題に九州一体となって

対処してきた実績・文化

エネルギーミックスに関する世界的な議論わが国としての方向性の明確化

課題先進地の九州として何ができるか?⚫ 人口減少、少子高齢化⚫ 太陽光の大量導入⚫ 自然災害の頻発化 ほか

「チーム九州経済界」としてピンチをチャンスとすべく

一歩踏み込んで最先端を牽引していく

エネルギー情勢

課題解決アプローチ

【全体コンセプト②】

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-5-

ビジョンの方向付け

【全体コンセプト③】

九州の強みをテコとした機会の最大化を通じて、ゼロエミ由来エネルギーの有効活用、延いては九州経済発展への寄与、東アジアにおける持続可能な中核エリア化を図る。

ゼロエミ由来エネルギーの有効活用

九州の強みをテコに機会を最大化

経済の根幹であるエネルギー分野で、九州経済発展に寄与

東アジアの一角でサステナビリティの

中核的な役割を果たす

太陽光

地熱 原子力再稼働の先行

強み

機会

再エネ系統連系

蓄エネ

まちづくり環境金融

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世界水準領域の開拓

研究開発から社会実装への遷移

産業・業務・運輸部門の連携

安全性向上・人材確保

地域環境金融エコシステムの構築

-6-

ビジョン・イメージ(九州のエネルギー環境を支える産業を展望する)

【全体コンセプト④】

5つの戦略軸(再エネ・蓄エネ・脱炭素化・原子力・環境金融)で、東アジアからヒト・モノ・カネを誘引するとともに、エネルギー・環境技術を積極的に海外展開する。

九州の強みをテコに

①再エネの主力電源化

②蓄エネの社会実装

③脱炭素化の面的展開

④原子力の着実な運用

⑤環境金融の啓発

東アジアの中核地域として

ヒト・モノ・カネを誘引

エネルギー・環境技術を積極的に海外展開

:突破すべき要件

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27

11

8

0 20 40

8.8

0.54

22.4

11.2

0.483

20.7

0 10 20 30

-7-

九州は、わが国エネルギー政策の基本指標である3Eにおいて、一定の優位性を有している。

九州の3Eポジション

【強み(全体像)】

* 経産省電力・ガス基本政策小委資料(2017年10月24日)** 経産省2017年実績より九州経済調査協会試算

3Eデータ(Economical efficiency/Environment/Energy security)

(円/kWh)

(kg/kWh)

(%)

九州優位の全国比(%)

電気料金*

CO2排出量**

エネルギー自給率**

九州7県

全 国

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-8-

エネルギー自給率寄与度の内訳(全国/九州)

エネルギー自給率の高い九州にとって、先行する原子力再稼働のアドバンテージは大きく、原子力を除くゼロエミも全国と同水準で、その中でも「太陽光」と「地熱」は突出している。

原子力

再生可能・

未活用エネルギー

太陽光

水力

地熱

風力

その他*

原子力

再生可能・

未活用エネルギー

太陽光

水力

地熱

風力

その他*

その中でも、

太陽光と地熱が突出

原子力を除くゼロエミでも全国と同水準確保

出所: 九州経済調査協会提出資料(2019年5月22日)都市ガス、LNG、石炭、石油製品

全国(8.8%) 九州(11.2%)

3.3%

2.9%2.0%

1.4%

0.8%0.2% 0.6%

3.6%

0.8%

1.3%

2.1% 0.1%0.2%0.7%

一定のアドバンテージをいかに継続するかが

戦略課題

*

【強み(全体像)】

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-9-

再エネはエネルギー密度が比較的低く自然・土地条件などに依存する中、日本は世界第7位(シェア2.6%)の導入量。そのうち、太陽光が第2位(同15.5%)、水力が第8位(同2.0%)、地熱が第9位(同4.1%)。

再エネにおける日本のポジション

【強み(再エネ)】

出所: 全体(IEA Headline Energy Data)、太陽光・水力・風力(IEA Key world energy statistics2018)、地熱(Geothermal Power Database (International Geothermal Association))

国導入量

シェア

People's Rep. of China

1,540 25.9

United States

637 10.7

Brazil 465 7.8

Canada 434 7.3

India 239 4.0

Germany 188 3.2

Japan 155 2.6

Norway 145 2.4

Italy 108 1.8

others 2,028 34.1

(計) 5,939 100.0

国導入量

シェア

People's Rep. of China

75 22.9

Japan 51 15.5

United States

47 14.3

Germany 38 11.6

Italy 22 6.7

India 14 4.3

United Kingdom

10 3.0

France 8 2.4

Spain 8 2.4

others 55 16.8

(計) 328 100.0

国導入量

シェア

USA 3,450 27.3

Philippines 1,870 14.8

Indonesia 1,340 10.6

Mexico 1,017 8.0

New Zealand

1,005 8.0

Italy 916 7.2

Iceland 665 5.3

Kenya 594 4.7

Japantide 519 4.1

others 1,260 10.0

(計) 12,636 100.0

国導入量

シェア

People's Rep. of China

1,193 28.6

Canada 387 9.3

Brazil 381 9.1

United States

292 7.0

Russian Federation

187 4.5

Norway 144 3.5

India 138 3.3

Japan 85 2.0

Venezuela 68 1.6

others 1,295 31.1

(計) 4,170 100.0

国導入量

シェア

People's Rep. of China

237 24.7

United States

229 23.9

Germany 79 8.2

Spain 49 5.1

India 45 4.7

United Kingdom

37 3.9

Brazil 33 3.4

Canada 31 3.2

France 21 2.2

others 197 20.6

(計) 958 100.0

再エネ全体(2016年、TWh、%)

太陽光(2016年、TWh、%)

地熱(2015年、MW、%)

水力(2016年、TWh、%)

風力(2016年、TWh、%)

主な内訳

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-10-

九州(九州・沖縄・山口)の全国再エネシェアは12.0%であるが、特に地熱・太陽光・バイオマスでは20%を超えている。

再エネにおける九州のポジション(2018年度再エネ発電実績)

【強み(再エネ)】

出所: 電力調査統計表(2018年度都道府県別発電実績、経産省資源エネ庁)

再エネ計

太陽光

風力

バイオマス

水力

地熱 53.5%

22.6%

12.3%

8.2%

20.8%

12.0%1,220億kWh

21億kWh

108億kWh

144億kWh

59億kWh

850億kWh

電力量 全国シェア

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167

-11-

九州・山口域内でも、再エネ種別により強みは偏在している。

九州・山口地域の再エネ導入ポテンシャル

【強み(再エネ)】

4,525

192

6,080

千kW

:平均以上:都道府県平均

出所:再生可能エネルギーの導入ポテンシャルの地域別集計表(2016年12月、環境省)

1,786

1,855

2,574

2,701

3,024

3,247

3,670

3,884

7,843

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000

佐賀県

沖縄県

大分県

宮崎県

長崎県

山口県

熊本県

鹿児島県

福岡県

太陽光

464

550

1,478

2,293

2,562

2,665

2,756

4,389

6,427

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000

福岡県

佐賀県

大分県

長崎県

宮崎県

山口県

熊本県

沖縄県

鹿児島県

陸上風力

2

15

16

23

74

99

147

169

515

0 100 200 300 400 500 600

沖縄県

長崎県

福岡県

山口県

大分県

鹿児島県

佐賀県

宮崎県

熊本県

中小水力

0

0

0

0

81

154

218

436

746

0 100 200 300 400 500 600 700 800

福岡県

佐賀県

沖縄県

山口県

長崎県

熊本県

宮崎県

鹿児島県

大分県

地熱

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-12-

九州の強みを活かして導入拡大余地を埋め、兆円オーダーの経済波及効果を狙っていくべき。

各再エネの2030年度導入見通しと経済波及効果

【強み(再エネ)】

出所:固定価格買取制度情報公開用ウェブサイト/調達価格等算定委員会資料/再エネ等関連産業に関する調査(資源エネ庁)、再生可能エネルギーの現状と将来(2018年、みずほ情報総研)より九経連作成

900

1,126

5,500

665

148

1,000

0 2,000 4,000 6,000

太陽光(10kW未満)

中小水力

太陽光(10kW以上)

バイオマス

地熱

風力

0

4,577

26,049

18,704

2,753

3,316

0 10,000 20,000 30,000

105

87

54

47

35

34

0 50 100 150

2030年度導入見通し【9,339万kW】

(万kW)

2030年度経済波及効果【計55兆円】

(10億円)

現状の導入達成率【 2016年度/2030年度】(%)

ターゲット領域ホワイトスペース

(上記10kW以上に含まれる)

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-13-

九州の地政学的優位性として、再エネ需要の伸びが大きいとされるアジア諸国(インド、ベトナム、台湾等)への展開も有望。

アジア再エネビジネスの今後の有望市場

【強み(再エネ)】

出所:再エネ産業の海外展開に関する調査報告書(2018年3月、資源エネ庁、デロイトトーマツコンサルティング)

主要8か国 開発目標・ポテンシャル 振興策・外資規制 日本企業の積極度 評 価

インド◎ 2022年に風力60GW、太陽光

100GW△ 入札だが、税制優

遇等あり○ ソフトバンク、オリッ

クス等積極的に進出◎ 売電価格低いが成長大き

く、日本企業も積極的

ベトナム◎ 2030年に風力6GW、太陽光

12GW、バイオマス3GW○ 太陽光FITが2016年

創設○ FIT新設により再エネ

市場に注目が集まる◎ FIT創設で今後の成長期

台湾○ 2025年に風力4.2GW(洋上が

3GW)、太陽光20GW△ FITあり ◎ 洋上風力に注目、日

立が積極的に進出◎ 洋上風力の事業機会に世

界中が注目

タイ○ 2036年に2015年比で風力13倍、

太陽光4倍、バイオマス2.4倍○ 風力・太陽光の一

部でFIT制度あり△ 風力、小型バイオマ

スに商機○ 風力、小型バイオマス市

場の伸びに期待

マレーシア○ 2030年までに太陽光を4GW △ FITあり。設備の外

資規制あり○ パナソニックが積極

的に進出○ 太陽光で日本企業が積極

インドネシア◎ 太陽光発電の巨大ポテンシャ

ル(現在は地熱・水力がメイン)△ 外資規制はないが、

入札△ 地熱、バーム由来の

バイオマスに注目○ 中長期を見据え、政府と

の関係性強化の価値あり

中国◎ 2020年に風力210GW、太陽光

110GWと成長が見込まれる○ FITはあるも、価格

は近年下落傾向× 大型案件は既決、

メーカーも地場強い△ 大規模市場なるも、日本

企業の優位性構築は困難

フィリピン△ 再エネ導入目標低い △ FITはあるも、現在

余剰枠がない模様△ 現在FIT枠が埋まっ

ており小康状態× 再エネ目標は低く、FIT停

止中

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-14-

各国の自然変動再エネ割合と電力システム統合段階(2016年)

【機会(再エネ)】

九州は日本で唯一、電力システム統合の第三段階に位置づけられ、より柔軟な電力運用が求められている。

出所:九州電力提出資料、再生可能エネルギーのシステム統合(IEA、2018年)

九州

日本

⚫電力需給バランスの大幅な変動

⚫各地域の気象条件により、送電網全体で潮流パターンが大幅に変化

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-15-

需要の最大8割以上の再エネ出力を系統に受け入れるため、火力等の調整力を確保した上での揚水動力や関門連系線の活用、制御容量・制御時間を最小化するためのオンライン需給制御等が図られている。

出所:系統WG資料(第18回、第21回)

オンライン/オフライン需給制御(イメージ)九州の電力需給イメージ(2018年10月21日の例)

再エネ導入促進のための送配電運用

【機会(再エネ)】

九州の電力需給バランス(2019年5月21日12時の例)

原子力:297万kW 火力:283万kW水力

地熱バイオ

102万kW

太陽光・風力:752万kW

揚水動力239万kW

関門連系線236万kW

九州エリア需要:959万kW

有効活用

0.4万kW

出力抑制需要

供給

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-16-

日本のエネルギー効率は、1970年代から80年代の大幅改善で世界最高水準にあったが、1990年代以降は鈍化中。

一次エネルギー消費の対GDP比率

【機会(省エネ)】

出所:エネルギー・経済統計要覧(日本エネルギー経済研究所)

日本

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-17-

省エネ対策の切り口としては、「事業者の枠越え」と「触媒役としてのサードパーティー」。

省エネ対策の全体像

【機会(省エネ)】

出所:省エネルギー小委員会中間取りまとめ(2017年1月31日、総合資源エネルギー調査会)より九経連作成

各部門に各々1千数百万kl相当の省エネ目標

(2013年→2030年):期待されるサードパーティー

②促進の触媒役として期待される

サードパーティー

①事業者の枠を越えた省エネの促進

=我々にとっての「機会」

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業界横断的な展開はできないか。

事業者の枠を越えた省エネ策

【機会(省エネ)】

出所:省エネルギー小委員会中間取りまとめ(2017年1月31日、総合資源エネルギー調査会)

パターン1:工程の一部集約 パターン2:エネルギー管理の一体化

D子会社

E子会社

F関連会社

A社

B社

上工程 下工程 製品

上工程 下工程 製品

統合集約

×廃止

半製品の供給

全体で省エネ

C社(中核企業)

全体で省エネ

一体的にエネルギー管理グループ横断の省エネ

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需要サイドの脱炭素化の必要性

CO2排出8割減相当の脱炭素化を実現するためには、再エネ・省エネに併せ、電化、コジェネへのメタネーションガス利用など需要サイドの脱炭素化も求められる。

出所:九州電力提出資料、日立東大ラボ(提言Society5.0を支える電力システムの実現に向けて第2版)、経産省エネ庁HP(2.1.1 エネルギー需給の概要)を元に九経連作成

我が国のエネルギーバランス・フロー概要(2011年度、単位10-15)

供給サイドの脱炭素化

を図るとともに・・・

需要サイドの脱炭素化

が求められる

[日立東大ラボ解析結果]人口・産業・エネルギー供給の地方分散、CO2排出80%減を国

内のみで達成時のシナリオ(2013年⇒2050年)

・電化率:26%⇒45%・再エネ率:14%⇒77%・省エネ:▲10%(再エネ比率が最も高いケース)

【機会(脱炭素化)】

⚫熱源機器の効率化

⚫電動車⚫燃料電池車

など

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金融市場も環境重視に動いている。

売上高当りCO2排出量とリターン指数の推移

【機会(環境金融)】

出所:環境報告書プラザ(環境省)、東北経済新報社、東京証券取引所、大和総研から九経連作成

金融市場も環境重視に動いている

(対象:日本の上場企業、2011年末=100)

(272社)(272社)

時価総額加重平均リターン

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【機会(環境金融)】

エネルギー分野の脱炭素化のための投資を活性化させるためには、環境金融が果たす役割も重要。

出所:日本政策投資銀行提出資料

⚫ 環境負荷を低減させる事業に資金が直接使われる投融資

⇒具体的な取組みとしては、各種の環境プロジェクトに対する投融資、環境設備投資への融資、環境ベンチャー企業への投融資、環境ビジネスに関連するリスクへの保険サービスの提供などが挙げられる。

⚫ 企業行動に環境への配慮を組み込もうとする経済主体を評価・支援することで、そのような取組みを促す投融資

⇒具体的な取組みとしては、投融資先の企業の活動を環境面から評価し、その結果を投融資活動に反映することで、環境配慮行動へのインセンティブを付与する、環境格付融資や責任投資(RI:Responsible Investment)などが挙げられる。

金融=経済活動の血流

あらゆる経済活動・環境対策には、金融が必要

環境保全への取組みに対する

円滑なファイナンス

投融資先の環境保全の取組みを評価・考慮

「金融」による積極的な取組

対策加速化!

事業者等の環境保全の取組みを促進

持続可能な社会の形成

環境金融が拡大しESG金融へ

環境金融の役割

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地域金融のほか、認知度向上や地域内連携プラットフォームなどの機会がありそう。

SDGsに取り組む際の課題

【機会(環境金融)】

出所:中小企業のSDGs認知度・実態等調査結果(2018年12月、関東経済産業局・日本立地センター)より大和総研作成

認知度向上

地域内連携プラットフォーム

地域金融

考えられる地域課題

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エネルギー戦略の基本軸にある3E+Sにおける九州の強み領域をテコにして、九州地域単位で機会を最大化していく事を基本線とする。

戦略の基本線

【戦略立案シナリオ】

戦 略

経済効率性

安定供給

原子力

再エネ

再エネ種別

太陽光(福岡他)

地熱(大分他)

風力(鹿児島他)

バイオマス

送配電網問題

関門連系可能量の拡大

コネクト&マネージ

プッシュ型系統形成

蓄エネ技術の開発・普及

環境適合性事業者横断型脱炭素化対策

工程集約

エネルギー管理一体化*

需要側対策

環境金融

九州の強み領域 強みをテコにして・・・

機会を最大化する

Energy

Environment

* 企業グループ内の省エネ対策を越えた、カーボンリサイクル、カーボンクレジット等を含む

3E+S軸

Safety

Economicalefficiency

security

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5つの戦略グループに分けて、アプローチする。

戦略のグルーピング

【戦略立案シナリオ】

戦 略

経済効率性

安定供給

原子力

再エネ

再エネ種別

太陽光(福岡他)

地熱(大分他)

風力(鹿児島他)

バイオマス

送配電網問題

関門連系可能量の拡大

コネクト&マネージ

プッシュ型系統形成

蓄エネ技術の開発・普及

環境適合性事業者横断型脱炭素化対策

工程集約

エネルギー管理一体化

需要側対策

環境金融

①再エネの主力電源化

②蓄エネの社会実装

④原子力の着実な運用

⑤環境金融の啓蒙・促進

③脱炭素化の面的展開

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戦略の実効性

戦略実行アプローチ

ステップ1

ステップ2

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先進的な自治体・金融機関・企業と連携しつつ、各戦略グループのボトルネック解消を図っていく。

戦略5グループの攻め方

【戦略実行アプローチ】

①再エネの主力電源化

②蓄エネの社会実装

④原子力の着実な運用

⑤環境金融の啓発

③脱炭素化の面的展開

ボトルネック

地勢的優位性の維持・強化

卓越した環境都市機能の具現化

組織的な省エネ水準の追求

3E+S達成の必要条件

ムーブメントの拡大

世界市場競争への適応(太陽光・地熱・風力・バイオマス/水素・蓄電池・モビリティ)

政府目標達成に向けた適応(低炭素化:2030年26%、2050年80%)

企業意識改革の啓発リードタイム

世界水準領域の開拓

研究開発から社会実装への遷移

産業・業務・運輸部門の連携

安全性向上・人材育成

企業開示体制の構築

重要性

緊急性

自治体・企業を巻き込んだ戦略プロジェクトの立上げ/政策要望/広報・啓発 など

先進自治体・企業との連携

⚫太陽光:市場取引方法⚫地熱:国際競争力強化⚫風力:地域・事業者選定

⚫バイオマス:地域レジリエンス

⚫系統コネクト&マネージ環境整備 等

⚫社会実装領域の選定等

⚫産業・業務・運輸各部門における中核パートナーとの連携

⚫需要側対策(熱源機器効率化、電動車、燃料電池車等) 等

⚫安全性向上と地域理解

⚫安定運転の継続 等

⚫既設設備の有効活用⚫次世代技術⚫人材育成 等

地域金融と連携

⚫地域サステナビリティのための直接・間接金融スキーム

⚫企業の環境情報開示等

⚫SDGs/ESG関連コミュニティづくり

⚫域外IR 等

⚫世界水準実現体制の構築

⚫先進的な系統容量活用環境の整備 等

⚫規制緩和要件明確化⚫補助金の活用 等

⚫地域・業界内の管理一体化

⚫環境技術の輸出パッケージ化 等

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①再エネの主力電源化(太陽光)

【戦略実行アプローチ例】

太陽光の最大限活用のため、家庭における自家消費と電気料金低減、大規模な蓄電池群制御を通じた、需給調整市場や電力系統安定化への展開を目指している。

出所:九州電力提出資料

九州電力・三井物産によるエネルギーマネジメントサービスの実証事業

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①再エネの主力電源化(地熱)

【戦略実行アプローチ例】

九州は、全国の地熱発電の約5割の発電実績。九州電力では、地熱開発等に取組み、再エネ全体でアジアを含め500万kWまで拡大していく計画。

菅原バイナリー発電所 5,000kW

八丁原発電所 110,000kW八丁原バイナリ― 2,000kW

滝上発電所27,500kW

大霧発電所 30,000kW

山川発電所 30,000kW

霧島烏帽子岳

山川バイナリー発電所 4,990kW

指 宿

南阿蘇村

※地熱資源調査中 (2015年度~)

※指宿市による地熱資源調査中

(2015年度~)

※地熱資源調査中(2005年度~)

※設備老朽化(50年経過)に伴う発電所

更新工事(2020年度運開予定)

※自治体との共同事業(2015年6月運転開始)

(2018年2月運転開始)

大岳発電所 12,500kW

※地熱資源調査中(2017年度~)

山下池南部

※地熱資源調査中(2017年度~)

涌蓋山東部

(更新計画)

:グループ会社による開発

【凡例】

:九電既存発電所

:九電による新規開発地点

九州電力の地熱開発計画

:他社発電所(500kW以上)

メディポリス指宿発電所 1,410kW

杉乃井地熱発電所 1,900kW

わいた地熱発電所 1,995kW

九重地熱発電所 990kW

コスモテック別府バイナリ―発電所 500kW

出所:九州電力提出資料より九経連作成

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①再エネの主力電源化(風力)

【戦略実行アプローチ例】

市場の拡大が期待される洋上風力に関し、北九州市により風車設置専用船の基地港湾の整備が計画されており、九州のみならず西日本圏全域を見据えた拠点化を目指している。

出所:九州電力・日本製鉄提出資料、北九州市港湾空港局エネルギー産業拠点化推進室

グリーンエネルギーポートひびき(北九州市)

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①再エネの主力電源化(バイオマス)

【戦略実行アプローチ例】

竹は林地残材・切捨間伐材の13.9倍、米麦作残滓は18.4倍、家畜糞尿は5.9倍(福岡県のみ)の有効利用量がある。無から有を生み出す地域資源。

出所:九州経済調査協会提出資料、福岡県八女市バイオマス活用推進計画(平成25年3月)

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再エネ導入促進のため、あらゆる送配電運用を図る。

出所:第17回系統WG資料(経産省)、第2回再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会資料(経産省)、第30回基本政策分科会資料(経産省)を元に九経連作成

送電線容量の確保

•再エネの電源制限を行うシステム・保護装置等の整備(実施済)•周波数制御等の拡大

送配電網の運用効率化

•蓄電池、水素貯蔵技術の社会実装

関門連系線の送電可能量の更なる拡大

•発電所の想定出力をフル稼働から実態水準に見直し、送電線の想定潮流を合理化

•事故時に遮断する装置を設置することにより、系統増強を行わず、新規接続を許容•混雑時の出力制御前提の新規接続を許容

日本版コネクト&マネージ

•電源からの要請に都度対応する「プル型」の系統形成から、電源のポテンシャルを考慮し、計画的に対応する「プッシュ型」の系統形成に転換

プッシュ型の計画的系統形成

蓄エネ技術の開発・普及

①再エネの主力電源化(系統コネクト&マネージ)

【戦略実行アプローチ例】

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②蓄エネの社会実装

【戦略実行アプローチ例】

再エネ先進地・九州として、炭素価値・BCP価値等をパッケージにして、既存エネルギーインフラ(電気・ガス・熱)をうまく活用して社会コストを抑制しながら、社会実装を図る。

出所:K.Sasaki編著(Hydrogen Energy Engneering:A Japanese Perspective, Springer, 2016)

脱炭素エネルギー社会(創エネ+蓄エネ+水素、九大・佐々木副学長)

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③脱炭素化の面的展開(業種・エリア一体化)

【戦略実行アプローチ例】

まちづくり等の機会での、地域内分散型エネルギーリソース(再エネ・コジェネ等)の需給一体的な活用による脱炭素化を通じて、地域内のエネルギー・経済循環やレジリエンス強化を図る。

出所:西部ガス提出資料、第16回再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会資料(2019年7月5日)

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【戦略実行アプローチ例】

最終エネルギーの大宗を占める熱と電力双方の脱炭素化が肝要。

動力や低温熱需要のための電化に加え、高温熱需要など電化が困難な分野に対しては、再エネ由来の水素と火力発電等由来の二酸化炭素を用いたメタンの製造・活用(メタネーション)が重要となる。

出所:日本ガス協会ホームページ

③脱炭素化の面的展開(メタネーション)

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【戦略実行アプローチ例】

デジタル革新により、家庭での省エネや、環境への負荷が小さい多様なエネルギーの活用を進めるとともに、的確な電力需要予測のもと、エネルギーの地産地消や地域間での融通を進める。

出所:経済産業省ホームページ

③脱炭素化の面的展開(デジタルトランスフォーメーション)

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④原子力の着実な運用

九州電力を中心とした安定的な原発運用を、広報・政策要望面等からサポートし、着実な3E+S達成を図る。

安定運転の継続

■東日本大震災以降の新規制基準に基づく安全性向上

■重大事故等対応要員の確保と訓練

万が一、重大事故が発生した場合の対応要員として、勤務時間外や休日・夜間を含め1年を通じ速やかに対応できるよう、一班52名の対応体制を常時整備(班毎に訓練を繰り返し実施し、技能や経験を蓄積)

■科学的見地からの運転期間の検討米国事例、エネルギー基本計画等を参照

■原子力メーカー等の原子力従事者数が減少する中、運転・保全のほか廃炉等を含む長期間にわたる人材確保

3E+S達成のため、

原発再稼働の先行アドバンテージをいかに継続するか

九州電力を中心とした活動に、必要に応じて広報・政策要望面等でサポート(九州経済界の立場)

出所:九州電力提出資料より九経連作成基準で要求されている特定重大事故等対処施設については、本体施設等の工事計画認可日から5年後までに整備

【戦略実行アプローチ例】

技術・人材の維持

耐震・耐津波性能その他の設備の性能電源の信頼性

火災に対する考慮自然現象に対する考慮(火山・竜巻・森林火災を新設)

内部溢水に対する考慮炉心損傷防止対策

格納容器破損防止対策放射性物質の拡散抑制

意図的な航空機衝突への対応*

重大事故の防止

(共通要因による安全機能の一斉喪失の防止)

万が一、重大事故が発生しても対処できる設備・手順の整備

(新規制基準の概要) 新設 強化

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⑤環境金融の啓発

【戦略実行アプローチ例】

九州上場企業のESG開示を促すとともに、地域金融機関によるESG金融を進展させ、グローバル金融市場においてESG/SDGs先端地域「Future Zero-emission Kyushu(案)」ブランドを確立。

上場企業

中堅企業

グローバルESG金融市場

地域金融機関

統合報告株価上昇・直接市場からの資金調達

株価上昇ESG金融

ESG/SDGs先端地域[Kyushu]ブランドの確立

長期的に目指す姿

上場企業のESG開示地域金融のESG金融

中期的に目指す姿

統合報告書公表:数社相次ぐ地域金融機関のSDGs宣言

現状

(例)Kyushu SDGs Index(例)全上場企業の統合報告公表

出所:日本政策投資銀行提出資料、九州経済調査協会提出資料

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九州の未来のエネルギーへの提言

世界が今世紀後半の早い段階でのカーボンニュートラル化を目指す

中で、経済の根幹であるエネルギー分野において、3E+Sを着実に実

施しながら、ゼロエミッション化、イノベーションの牽引、地域活性化、

世界展開を九州が先導することで、日本の経済発展につなげるべき。

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【5つの戦略】

地勢的に優位な太陽光・地熱等の拡大・有効活用

電池・水素等を活用したエネルギーマネジメントの実装

業種・エリア一体化、電化・メタネーションガス利用等によるスマート社会の実現

原発の安定運転や人材確保を通じた3E+Sの着実な達成

環境ブランド「Future Zero-emission Kyushu(案)」の構築とESG資金循環の拡大

脱炭素化の面的展開

再エネの主力電源化

蓄エネの社会実装

原子力の着実な運用

環境金融の啓発

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⚫戦略課題の抽出・公表

①再エネの主力電源化、②蓄エネの社会実装、③脱炭素化の面的展開、④原子力の着実な運用、⑤環境金融の啓発

⚫ 「ゼロエミッションを先導する九州のエネルギー環境・産業の再構築」として公表

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エネルギーに関する課題解決のPDCAが回る仕組みづくり

【参考】本提言に基づく継続的な取組に向けて今回抽出した戦略課題を起点に、今後課題解決に向けたPDCAを回し、九州経済界におけるエネルギー諸問題への継続的な意識喚起を図る。

⚫次期活動計画への反映•新たな課題の抽出

•自治体・企業を巻き込んだプロジェクト組成•新たな政策要望

PLAN

DO

CHECK

ACTION⚫課題の深堀り•専門家を招いた勉強会

⚫政策要望•再エネ・原子力・環境金融

⚫広報・啓発•講演会・シンポジウム•環境金融啓発

⚫情報収集•業界、行政、海外プレーヤー

⚫ KPIのモニタリング•九州の3E+Sポジション(エネ自給率、CO2排出量、発電コストなど)

現在地

九経連資源エネルギー・環境委員会