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Tradition 綿28 12 33 輿11 18

の り 無形文化遺産 け か 誇 は の 継 ら り 山 がれて …...Tradition 川越 ま つ り 江 戸 の 昔 か ら 3 7 0 年 に わ た り 連綿 と 受 け 継

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Tradition

川越まつり

江戸の昔から370年にわたり

連綿と受け継がれてきた

川越氷川祭の山だ

車し

行事(川越まつり)。

ユネスコ無形文化遺産に登録された

川越まつりは、未来へつなぐ、

川越市民の誇り高き遺産です。

█ 

未来に残す無形文化遺産

 平成28年12月1日(日本時間)、「川

越氷川祭の山車行事」を含む全国33件の

「山・鉾ほ

・屋台行事」がユネスコ無形文化

遺産に登録されました。ユネスコ無形文

化遺産とは、世界遺産と同様にユネスコ

によって認定されているもので、芸術や

祭り、社会的慣習、伝統工芸技術などが

対象となっています。ユネスコは、これ

らを保護し、重要だという意識を高め、

多様な文化を尊重することを目的に、「人

類の無形文化遺産の代表的な一覧表」を

作成しています。

 川越氷川祭は、慶安元年(1648)

に川越藩主松ま

つだいらのぶつな

平信綱が神み

輿こし

・獅子頭等

を総鎮守である氷川神社へ奉納し、神幸

祭を奨励したことがきっかけとなりまし

た。その後、元禄11年(1698)に踊

り屋台が出始め、江戸時代中期から華や

かな行列を仕立てた、見せる祭りへと変

化していったものと考えられます。やが

て、江戸天下祭の影響を強く受け、絢け

爛らん

豪華な山車が曳ひ

き廻されるようになり、

さまざまな変遷を重ね、370年にわ

たって受け継がれてきました。

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Kawagoe Festival The Kawagoe Hikawa Festival (Kawagoe Festival) was added to UNESCO’s list of intangible cultural heritage in December 2016. During the hikkawase, the climax of the festival, numerous floats come together at various locations including intersections, and hold musical performances on rotating stages. Various aspects of the festival, including the procession of ornate floats and performance of musicians playing distinctive rhythms, are intoxicating to both participants and spectators.

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美しく、機能的

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川越の山車は絢爛豪華

 川越まつりの主役である山車は、二重の鉾を組み、上層に出

る部分と人形は、それぞれ迫りあげ式のエレベーター構造に

なっているのが特長です。また、鉾の前に囃は

子し

台と呼ばれる舞

台があり、多くの山車は台座の上で360度水平回転する回

り舞台となっています。川越まつりの一番の見どころである

「曳ひ

っかわせ」では、交差点などで複数台の山車が集まり、舞台

を回転させて囃子の競演を行います。絢爛豪華な山車の曳き廻

し、独特のリズムを刻む囃子の競演など、川越まつりの魅力は

尽きません。

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Tradition小江戸の四季を彩るたくさんの行事。

大切に守られ、伝えられてきた地域の伝統は、

未来へと手渡すべき川越のたからものです。

まつり·

伝統行事

1月

3月

老袋の万作

手踊りや、踊りに演劇の要素

を加えた段物、芝居、茶番狂

言が伝承されています。

(第2日曜日)

石いし

原わら

のささら獅子舞

慶長12年(1607)に始めら

れたと伝わる川越地方を代表す

る獅子舞。

(第3土・日曜日)

老おいぶくろ袋

の弓取式

選ばれたユミトリッコに代わ

り地区総代が的に矢を射て、

その年の天候を占い、豊年を

祈願する神事。(2月11日)

2月

4月

喜多院のだるま市

福を願う新年の行事。縁起物

「だるま」を求めて多くの人々

が訪れます。(1月3日)

南みなみおおつか

大塚の餅つき踊り(成人の日前日)筒がゆの神事(15日)

石いし

田だ

の獅子舞(第2日曜日)南みなみたじま

田島の足踊り(14日)中なかふく

福の神楽(19日)

芳ほう

地じ

戸ど

のふせぎ(春分の日)

川越歳時記

南大塚の餅つき踊り別名「ヒキズリモチ」ともいわれています。歌に合わせて踊りながら餅をつくのが特徴です。

小江戸川越春まつり

かつて盛んだった新河岸川舟運

にちなみ、満開の桜を和舟に乗っ

て楽しむ「舟遊」が人気です。

(下旬〜5月上旬)

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Other Festivals & Traditional Events Dubbed Koedo for its resemblance to Edo, Kawagoe has a variety of seasonal events throughout the year. The local traditions that have been cherished and passed down through the generations are priceless treasures that we should bequeath to our descendants.

8月

上寺山の獅子舞

川越藩主秋元公の姫君の眼病平癒祈願で

奉納した獅子舞。葵の御紋の麻幕は、その

功績により下賜されたと伝わっています。

(第3土曜日)

鯨くじらい井

の万作

大きな獅子頭が若者たちに担

がれて八坂神社を出発し、家々

の庭先などで万作踊りが演じ

られます。(15日に近い日曜日)

川越百万灯夏まつり

城主・松平斉典をしのんで始まり

ました。市街地に提灯が飾り付け

られ、市民参加型の多彩なイベン

トが催されます。(下旬)

7月

10月

9月

上かみ

寺てら

山やま

のまんぐり(第2日曜日)下しも

小お

坂さか

の獅子舞(15日前後の日曜日)福ふく

田だ

の獅子舞(24日前後の土・日曜日)

ほろ祭(敬老の日の前日)

川越まつり(第3日曜日と前日の土曜日。10月14日・15日が土曜日・日曜日のときは、その日)

小江戸川越花火大会

安比奈親水公園と伊佐沼公園で1年

ごとに会場を変え、約6000発の

花火が夏の夜空を彩ります。

(下旬)

ほろ祭薄桃色の紙花の付いた竹ひごを束ねて差し込んだかごを、男児が背負って鈴を鳴らしながら練り歩きます。21

川越職人たちの心意気

Tradition

伝統の美

Elegant Traditional Crafts Kawagoe is home to countless artisans who maintain traditional skills passed down by their forefathers.Helping to preserve the beauty of Japan’s past, their exquisite workmanship can be seen in the lanterns, decorative oshie-hagoita paddles, magemono containers made from bamboo or wood , and the mountings of hanging scrolls and folding screens. The fabric known as Kawagoe tozan was once a local specialty. Kimonos made from tozan fabric are said to complement Kawagoe’s traditional townscape perfectly.

川越唐桟絹の風合いを持つ木綿の着物地。縦縞の模様が特徴です。

表具日本建築を彩る掛け軸や屏風等は表具師の手で仕立てられます。

提灯伝統的な技法で作られる手作り提灯は川越まつりにも欠かせません。

押絵羽子板江戸時代から女の赤ちゃんの無病息災を願う縁起物。

木製曲物蒸籠や飯びつなどの木製品を伝統の曲げ技で美しく仕上げます。

█ 

日本古来の工芸美を追求

 歴史と伝統を誇る川越には、伝統の技を継

承している職人が数多く存在しています。そ

のような技能・工芸・文化等の継承と興隆に

貢献された人々に、市では「初は

雁かり

賞」を授与し

て顕彰しています。

 例えば、江戸時代の技術を伝える提ち

ょうちん灯

師。

今も祭りや慶弔などに欠かせない提灯を作っ

ています。ほかにも、子どもの成長と幸せを

願う羽子板を製作する押絵羽子板師や、竹や

木を編んで蒸せ

籠ろ

などを作る曲物師、掛軸や

屏びょうぶ風

などを仕立てる表具師。職人たちが受け

継いできた緻密で精巧な技が、日本古来の伝

統美を守り続けています。

 川越ならではの伝統工芸品といえば、木綿

でありながら絹のような風合いの川越唐と

桟ざん

その一つ。かつては川越の特産品の織物でし

たが、やがて生産されなくなりました。現在

は、関係者の努力で復活し、市内の呉服店で

扱っています。唐桟織りの着物は蔵のまちに

よく似合うと評判です。

匠たちの伝統の技と日本の心―。

昔ながらの工芸品や、特徴的な建築様式に、

川越ならではの伝統美が光ります。

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川越建築の様式美

Beautiful Historic Architecture Much of Kawagoe’s historic architecture combines elegance with practicality.The Osawa Residence, an important cultural property built in 1792, is highly fire-resistant, thanks to the ingenious features incorporated into its design.As Kawagoe reached the peak of its prosperity when it was an important trade hub, it was home to many wealthy merchants, so the city has an array of luxurious traditional restaurants where visitors can enjoy Japanese culture in its purest form.

建築家・保岡勝也設計の和洋折衷住宅「旧山崎家別邸」

旧山崎家別邸の洋風客室

重要文化財「大沢家住宅」

床の間の天井から下がっている「吊り漆喰」

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現代に生きる

█ 

昔人の知恵と粋

 江戸文化を色濃く残す川越の建築物は、細

部にまで意匠を凝らし、様式美と実用性を兼

ね備えたものが多くあります。

 重要文化財の大沢家住宅は、寛政4年

(1792)に呉服太物を商っていた西に

村むら

半はん

右え

ん衛門が建てたもの。シンプルな町家形式な

がら随所に工夫があり、耐火性能にも優れて

います。明治26年の大火の際も焼け残り、裕

福な川越商人が蔵造りを建てるきっかけと

なった建物のひとつです。

 また、かつて江戸への物資の供給地として

繁栄を極めた川越には豪商が多く、明治以降、

花柳界の興隆とともに料亭や割烹の店も多く

生まれました。今も明治の粋を伝える老舗の

名店では、数寄屋造りの建物や日本庭園、選

び抜かれた調度品など、正統派の日本文化を

堪能できます。

 市内には、ほかにも優れた歴史的建造物が

数多く保存され、今も大切に使われています。

幕末の豪商横田家の別邸を譲り受け、貴賓館の名残をとどめる老舗料亭「山屋」。

箱階段と耐震構造にすぐれた内壁

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