14
45 3−1 3−13

国 語 45...3- 2 楽なもんだ。」「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 国 語 45...3- 2 楽なもんだ。」「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

二〇二〇年度

二月二日午前入試(第三回)

国   語 (45分)

注意 

1 

開始の「チャイム」が鳴るまでは、中を見てはいけません。

   

2 

答えはすべて解答用紙の解答らんに、はっきり書きなさい。

   

3 

終わりの「チャイム」が鳴ったら、とちゅうでもやめなさい。

   

4 

問題のページは、  

から  

まであります。

3−1

3−13

Page 2: 国 語 45...3- 2 楽なもんだ。」「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

3− 1

一‌‌ 

次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。(字数制限のある場合は、句読点や記号

も字数に数えます。)

 

発明や仕事のために手を動かしている合間に、おじさんはよく千ち

春はる

に学校の様子をたずねる。

 

最初のうちは①、

いつも家でお母さんにそうするように、楽しかったできごとを主に報告していたけれど、

日が経た

つごとにそうでもなくなってきた。悲しかったことでも、腹が立ったことでも、そのとき聞いてほし

いことを聞いてもらう。

 

今となっては、胸にわだかまっているささいな不満やちょっとした気がかりを打ち明ける日のほうが、多

いかもしれない。体育のハンドボールでボールを落っことし、チームのみんなに迷めい

惑わく

をかけてしまったこと。

給食でイカの煮に

つけが出て、昼休みいっぱい教室に残されたあげくに、結局食べきれなかったこと。掃そう

除じ

番でいっしょだった男子がふざけていて、まじめにやっていた千春たち女子まで先生にしかられるはめに

なったこと。 

 

おじさんがことさらになぐさめてくれたり、すばらしい解決策を提案してくれたりするわけではない。最

後まで黙だま

って耳をかたむけ、

「そりゃ、災難だったな。おつかれさん。」

と、のんびり言う。

「まあでも、明日ははちみつの日かもしれないから。」

 

はじめて聞いたとき、千春には意味がわからなかった。

②「今日はたまねぎ、明日ははちみつ。」

 

おじさんは変なふしをつけて、歌うように言った。

 

これも海外赴ふ

任にん

中ちゅうに

覚えた、アラビア語のことわざらしい。生のたまねぎは、ぴりぴりと舌を刺し

激げき

するば

かりでおいしくない。反対に、はちみつはとろけるように甘あま

い。転じて、悪い日もあればいい日もある、と

いうような意味となるそうだ。

 

たまねぎを生では食べたことがないと千春が言うと、おじさんはわざわざヤエさんに頼たの

んで、切き

れ端はし

を分

けてもらった。かじってみたら、本当にまずかった。

「たまねぎも、別に悪者ってわけじゃないんだけどな。すごく栄養があるし。」

 

涙なみだ

目め

の千春に水のコップを渡わた

しながら、おじさんは苦く

笑しょうしていた。

「ん? 

そう考えたら、けっこう深いかもな。苦い経験も、実は人生の養分になってるってことか。」

 

もっともらしく、つぶやいてもいた。千春のほうは、口の中がぴりぴりしびれて、それどころではなかっ

た。

 

ともあれ、「今日はどうだった?」とおじさんから聞かれるたびに、「たまねぎ」か「はちみつ」と千春も

答えるようになった。つまらなかったとか、いやなことがあったとか、ぐずぐずと訴うったえ

るよりも、「たまねぎ」

とひとこと返すほうがいさぎよい。それに、なんだかかわいい。

 

たまねぎの日のできごとは、お母さんやお父さんにはなんとなく言いにくいのに③、

なぜかおじさんには話

してしまう。 

知りあったばかりだし、千春はもともと自分の話をするのが得意でもないのに。

「おれは聞き上手だからな。」

 

おじさんは誇ほこ

らしげに胸を張ってみせる。たしかに、それもあるのかもしれない。千春が途と

中ちゅうで

口ごもっ

たり考えこんだりしても、決して急せ

かさず、辛しん

抱ぼう

強づよ

く続きを待っている。

Page 3: 国 語 45...3- 2 楽なもんだ。」「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

3− 2

「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

楽なもんだ。」

 

冗じょう

談だん

ぽく言いながらも、千ち

春はる

がなにか質問すれば、おじさんはじっくり考えてから答えてくれる。

 

ただし、こっちも気は抜ぬ

けない。きみはどう思う、とおじさんは必ず問い返してくるからだ。

「わからないことは恥は

ずかしくない。」

 

おじさんはいつも言う。

「自分の頭で考えてみようとしないことが、恥ずかしい。」

 

五月の終わり、千春がお店へ入るなり、おじさんのほうから聞かれた。

「今日はたまねぎか?」

 

よっぽどゆううつそうな顔をしていたらしい。

 

発ほっ

端たん

は、週末に開かれた、サナエちゃんのお誕生日会だった。千春と紗さ

希き

もふくめ、クラスの女子の半分

以上が招待されていた。

 

サナエちゃんから日程を知らされるなり、紗希は悔くや

しそうに断った。

「ごめん。あたし、行けない。塾じゅくの全国テストなんだ。」

「そっか。じゃあ、しょうがないね。」

 

サナエちゃんも残念そうに答えた。怒おこ

っているふうには見えなかった。

④ 

でも、本音はそうじゃなかったらしい。 

お誕生日会の当日、集まったみんなの前で、サナエちゃんはおお

げさにため息をついてみせたのだ。

「ガリ勉ってやだよね。友だちより勉強のほうが大事って、どうなの?」

 

サナエちゃんちの広々としたリビングが、 

A 

静まり返った。

 

お誕生日会の主役だから、反論しづらいというだけではない。クラス委員をつとめ、先生からも頼たよ

りにさ

れているサナエちゃんは、しっかり者で気が強い。堂々と反対意見をぶつけられるのは、同じくらい気の強

い、当の紗希くらいなのだった。

 

それでも勇気を振ふ

りしぼって、千春は言い返した。

「だけど、紗希も来たがってたよ。」

 

本当のことだった。パーティーには参加できないかわりに、サナエちゃんのためにプレゼントを買って、

休み明けに学校で渡わた

すつもりだと聞いていた。

 

サナエちゃんがあわれむような目で千春を見た。

「前から思ってたけど、千春ちゃんも大変だよね? 

あの子、最近塾ばっかりで、学校なんかどうでもい

いって思ってるっぽくない?」

 

今度は、なにも言い返せなかった。それは千春も 

B 

感じていることだったから。

 

紗希が塾通いで忙いそがし

くなってから、いっしょに帰ったり、遊んだりする機会はめっきり減っている。最近

はたまに、宿題を写させてほしいと頼たの

まれるようにもなった。写させてあげること自体は、別にかまわない。

これまで千春も、何度となく紗希に勉強を教えてもらってきた。ただ、こんな宿題なんか意味あるのかな、

とこぼされても、なんとも答えられない。

 

紗希に悪気がないのは、千春にもわかっている。悪気なく、学校の授業はたいくつだとけなし、塾の先生

や友だちの話ばかりする。悪気がないとわかっていても⑤、

千春はなんだかすっきりしない。

Page 4: 国 語 45...3- 2 楽なもんだ。」「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

3− 3

 

お誕生日会の翌よく

日じつ

、紗さ

希き

になにをどう伝えるべきかと千ち

春はる

は悩なや

んだが、その必要はなかった。

 

サナエちゃんの文句は、すでに本人の耳にも入ってしまっていたのだ。お誕生日会に出席した誰だれ

かが、

こっそり告げ口したようだった。

「 

C 

悪口言うなんて最低。」

 

紗希は息巻いていた。

「あたし、別にガリ勉じゃないし。将来のために必要なことをしてるだけだよ。いい学校を出て、いい会社

に入って、いい人生を送りたいんだもん。」

 

以来、紗希とサナエちゃんはひとことも口をきいていない。

 

紗希の味方につく女子もいて、教室の中には冷たい風が吹ふ

き荒あ

れている。どういうわけか、担任の先生と

男子たちは、まったく気づいているそぶりがないけれども。

⑥ 

千春の話を聞き終えたおじさんは、低くうなった。

「ややこしいことになっちまってるなあ。」

 

そのとおりだ。ものすごく、ややこしいことになっている。

「いわゆる価値観の相そう

違い

ってやつだ。小五でもあるんだなあ。そりゃ、あるか。」

「カチカンノソーイ?」

 

またしても、千春にとってははじめて聞く言葉だった。

「生きてくうえで大事にしたいものが、ちがうってこと。」

 

おじさんが補った。それなら、千春にもなんとなくわかる。

「有名な学校や大きな会社に入るのが、すごく重要だって考えるひともいる。そうじゃないひともいる。」

⑦ 

正直なところ、紗希の主張を、千春も完全に理解できているわけではない。 

もちろん、「悪い学校」より

も「いい学校」で学び、「悪い会社」よりも「いい会社」で働くに越こ

したことはないだろう。でも、「いい人

生」と言われても、それが具体的にどんなものなのか、どうもぴんとこない。

⑧「価値観の相違っていうのは、おとなの世界でもよくあるんだ。 

それが原因でいろんな争いが起きてる。今

も昔も、世界中でね。」

 

おじさんは、うんざりした顔でため息をついている。

「友だちどうしのけんかだけじゃない。夫ふうふ婦が離り

婚こん

したり、国どうしが戦争をおっぱじめたり。」

「せ、戦争?」

「うん。極きょく

端たん

な例だけどな。」

 

千春にも、ため息が伝でん

染せん

した。そんなにむずかしい話だったのか。

「じゃあ、どうすれば仲直りできるの?」

「きみはどう思う?」

 

聞き返されて、頭を整理してみる。紗希とサナエちゃんの価値観とやらが食いちがってしまっているのが、

問題らしい。ということは、

「どっちかに考えを合わせればいいの?」

「それは無理だろうな。」

 

おじさんが首を振ふ

った。

「え? 

でもさっき、価値観がちがうのが問題だって……。」

Page 5: 国 語 45...3- 2 楽なもんだ。」「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

3− 4

「原因だって言ったんだ。問題じゃない。問題は、そのちがいを受け入れられない人間がいるってこと。」

 

きっぱりと言う。

「別に、同じにしなくたっていい。いや、すべきじゃない。みんな同じじゃ、つまらんからな。ほら、カレー

だってそうだろ?」

「へ? 

カレー?」

「いろんな種類のスパイスを入れるから、味に深みが出ておいしくなる。カレー、作ったことないか?」

「あるけど。」

 

去年、調理実習で作った。いろんな種類のスパイスなんか使わなかった。板チョコみたいなかたちのルウ

を砕くだ

いて、鍋なべ

に放りこんだだけだ⑨。

おじさんのたとえ話は、たまにわかりにくい。

 

だけど今は、カレーの作りかたはどうでもいい。とにかく一番知りたいことを、千ち

春はる

はたずねた。

「だったら、仲直りはできないの?」

⑩「いいや、そうとは限らない。 

たとえばさっきの話だけど、きみはいい学校やいい会社に入りたい?」

 

急に話が飛んで戸と

惑まど

いつつ、千春は正直に答えた。

「よくわかんない。」

「ほら。きみの価値観と、その友だちの価値観も、ぴったり同じってわけじゃない。」

「あ。」

「だからって、その子も受験なんかやめちまえとは思わないよな?」

 

千春はこくりとうなずいて、でも、とつけ足した。

「ちょっとさびしい。」

「そうか、そうだよな。」

 

おじさんがつぶやいた。

「じゃあ、その子の受験がうまくいかなきゃいいと思う?」

「まさか。」

 

そんなことは、思わない。クラスが上がったと報告してきた紗さ

希き

のうれしそうな顔が、千春の頭に浮う

かん

だ。

「そういうことなんだよ。価値観がちがったって、友だちでいられる。」

 

おじさんが千春の顔をのぞきこんだ。

「認めればいい。自分とはちがう考え方も存在するってことを。そのふたりも、おたがいを認められれば、

仲直りできる。」

「うん。」

 

でも、どうやって?

「きみが手助けしてあげれば?」

 

千春の疑問を読みとったかのように、おじさんがにっこり笑った。

 

翌日、千春はさっそく紗希に持ちかけてみた。

「サナエちゃんと仲直りしたら?」

「なにそれ、あたしからあやまるってこと?」

 

紗希はあからさまに顔をこわばらせた。もともと大きな目をさらに見開いて、千春をきっとにらみつける。

Page 6: 国 語 45...3- 2 楽なもんだ。」「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

3− 5

 

すんなり賛成してはくれないだろうと、千ち

春はる

も覚かく

悟ご

はしていた。紗さ

希き

はがんこなのだ。一度こうと決めた

ら、かんたんにはゆずらない。

「あやまるっていうか、とりあえず話をしてみるとか……。」

「絶対いや。」

 

紗希がぶるんと激しく首を振ふ

った。

「だって、あたしは悪くないもん。」

「わたしもそう思うよ。」

 

紗希は悪くない。そしてサナエちゃんも。ただ、ちがうだけなのだ。

 

おじさんに言わせれば、「価値観の相そう

違い

」をめぐるもめごとは、たいていそうらしい。

片方がよくてもう片方が悪い、あるいは片方が正しくてもう片方がまちがっている、ということは、ほとん

どない。

 

大だいじょうぶ

丈夫、本人たちも仲直りしたいと思ってるはずだから、とおじさんは自信たっぷり⑪に

請う

けあってもい

た。 

ふたりとも意地張って、きっかけをつかみそこねてるだけだ。誰だれ

かが背中を押お

してあげれば、きっとま

るくおさまる。

「でも、早く仲直りしたほうがいいよ。」

 

千春は思いきって続けた。紗希が不服そうに口をとがらせ、けわしい声でまくしたてる。

「なんでそんなふうに言うの? 

千春もサナエちゃんの味方なわけ? 

がんばって勉強するのが、どうして

いけないの?」

 

千春は紗希から目をそらさずに、ただ聞いていた。いつもおじさんが千春の話を聞いてくれているときに、

そうするように。

「がんばらなきゃ、ついてけないんだもん。」

 

ほんの少しずつ、紗希の声が小さくなった。

「あたしだって、千春やみんなと遊びたいんだよ……でも、どうしても時間が足りなくて……クラスもまた

落ちちゃったし……。」

 

口をつぐみ、目をふせる。

「わたしも紗希と遊べなくて、さびしいよ。」

 

千春は注意深く口をはさんだ。

「サナエちゃんも、みんなもそうだと思う。」

 

紗希がはじかれたように顔を上げた。怒おこ

ったかな、と千春は反射的に身がまえた。

 

あらためて紗希とむきあって、はっとする。紗希の目はうっすらと潤うる

んでいた。ほっぺたと鼻の頭は、真っ

赤に染まっている。

 

おじさんの問いかけを、千春は唐とう

突とつ

に思い出した。その子の受験がうまくいかなきゃいいと思う?

「さびしいよ。さびしいけど、紗希を応おう

援えん

したいと思ってる。」

 

伝われ、伝われ、と念じながら、つけ加えた⑫。

紗希がぱちぱちとまばたきをして、千春の顔をじっと見つ

めた。

 

紗希がサナエちゃんにプレゼントを渡したのは、その次の日のことだった。

「遅おそ

くなったけど、おめでとう。」

 

よく通る声で言って、リボンのかかった包みをサナエちゃんに差し出した。紗希はがんこだけれど、いっ

Page 7: 国 語 45...3- 2 楽なもんだ。」「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

3− 6

たん納なっ

得とく

したら行動は早いのだ。

「お誕生日会、行けなくてごめん。」

 

朝の会がはじまる直前で、教室にいるほぼ全員がふたりに注目していた。

「……ほんとは、行きたかった。」

 

ためらうような間を置いて、紗さ

希き

は言いそえた。サナエちゃんは探さぐ

るような目で紗希をしばらく眺なが

めてか

ら、ぷいと目をそらした。

「ありがとう。」

 

そっぽをむいたまま、小声で答えた。紗希が本気で言っていると、ちゃんとわかったようだった。

 

放課後、千ち

春はる

はもちろんおじさんの店に寄った。引き戸を開けると、おじさんがにやりと笑った。

「はちみつ?」

⑬「はちみつ!」

 

千春は叫さ

び返して、お店の中へと駆か

けこんだ。

(瀧たき

羽わ

麻あさ

子こ

『たまねぎとはちみつ』より)

問一   

線①「いつも家でお母さんにそうするように」とありますが、「そうする」とはどのようにする

のですか。次のア~エの中から最も適当なものを一つ選び、その記号を答えなさい。

ア 

千春に学校の様子をたずねる。

イ 

楽しかったできごとを主に報告する。

ウ 

そのとき聞いてほしいことを聞いてもらう。

エ 

ささいな不満やちょっとした気がかりを打ち明ける。

問二   

線②「『今日はたまねぎ、明日ははちみつ。』おじさんは変なふしをつけて、歌うように言った。

これも海外赴ふ

任にん

中ちゅうに覚えた、アラビア語のことわざらしい。」について、次の1・2の問いに答えなさい。

1 「今日はたまねぎ、明日ははちみつ。」に用いられている表現技法としてあてはまるものを次のア

~オの中からすべて選び、その記号を答えなさい。

 

ア 

比ゆ  

イ 

擬ぎ

人じん

法ほう  

ウ 

反復  

エ 

倒とう

置ち

法  

オ 

体言止め

2 「アラビア語のことわざらしい。」とありますが、「今日はたまねぎ、明日ははちみつ」とは、「ア

ラビア語のことわざ」では、どのような意味を表すのですか。文中から十三字でぬき出して答えな

さい。

Page 8: 国 語 45...3- 2 楽なもんだ。」「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

3− 7

問三   

線③「なぜかおじさんには話してしまう。」とありますが、千ち

春はる

が「おじさんには話してしまう」

のはなぜだと考えられますか。次のア~エの中から最も適当なものを一つ選び、その記号を答えなさい。

ア 

千春が話をするのが得意でなくても、言葉にできない気持ちを代弁してくれるから。

イ 

千春が上う

ま手く話せなくても、急せ

かさず最後まで黙だま

って耳をかたむけてくれるから。

ウ 

千春には解決できない問題であっても、みごとな解決策を提案してくれるから。

エ 

誰だれ

にもわかってもらえない千春の気持ちをくみ取り、なぐさめてくれるから。

問四   

線④「でも、本音はそうじゃなかったらしい。」とありますが、サナエちゃんの「本音」として

最も適当だと考えられるものを次のア~エの中から一つ選び、その記号を答えなさい。

ア 

紗さ

希き

が塾じゅくの全国テストのために誕生日会に行けないと言ったことに対し、うそをついてでも別の

理由で断ってほしかったと思っている。

イ 

紗希が誕生日会よりも塾の全国テストを優先したことに対し、友だちよりも勉強を大切にするの

は納なっ

得とく

がいかないと思っている。

ウ 

紗希が誕生日会の招待を断ったことに対し、塾の全国テストのためというのは言い訳で、本当は

自分の誕生日会に来たくなかったのではないかと思っている。

エ 

紗希が誕生日会の招待を断ったことに対し、以前から気の強い者同士で気まずい関係だったた

め、断られて良かったと思っている。

問五 

文中の  

A~Cにあてはまる言葉として適当なものを次のア~カの中からそれぞれ一つずつ選

び、その記号を答えなさい。

ア 

ぷいと   

イ 

どっと   

ウ 

しんと

エ 

どろどろ  

オ 

うすうす  

カ 

こそこそ

問六   

線⑤「千春はなんだかすっきりしない。」とありますが、「千春」は紗希に対してどのような気持

ちでいると考えられますか。次のア~エの中から最も適当なものを一つ選び、その記号を答えなさい。

ア 

紗希が塾通いで忙いそがし

く、自分から離はな

れていってしまうのではないかと不安でいっぱいの気持ち。

イ 

塾に通う紗希が、自分を見下すような態度をとってくることにいたたまれない気持ち。

ウ 

宿題など紗希の都合のいいときにだけ頼たよ

りにされ、ふり回されて不ふ

愉ゆ

快かい

な気持ち。

エ 

塾にばかり価値を置く紗希の言動に違い

和わ

感かん

を覚え、もやもやとして割りきれない気持ち。

問七   

線⑥「千春の話」とありますが、「話」の内容が書かれている部分はどこからどこまでですか。

初めと終わりの五字をぬき出して答えなさい。

Page 9: 国 語 45...3- 2 楽なもんだ。」「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

3− 8

問八   

線⑦「正直なところ、紗さ

希き

の主張を、千ち

春はる

も完全に理解できているわけではない。」とありますが、

なぜ「千春」は「紗希の主張」を「完全に理解できているわけではない」と思っているのですか。次の

ア~エの中から最も適当なものを一つ選び、その記号を答えなさい。

ア 「いい学校」を出て「いい会社」に入ることと、「いい人生」を送ることとは全く無関係であり、

結びつけて考えるのに反対だったから。

イ 「いい学校」を出て「いい会社」に入れば「いい人生」を送れるが、そのために勉強ばかりする

ことには疑問を感じたから。

ウ 「いい学校」を出て「いい会社」に入ることで、どんな「いい人生」になるのかということが、

具体的にイメージできなかったから。

エ 「いい学校」を出て「いい会社」に入ったとしても、「いい人生」を送るためにはその後の努力が

欠かせないと考えたから。

問九   

線⑧「価値観の相そう

違い

っていうのは、おとなの世界でもよくあるんだ。」について、次の1・2の問

いに答えなさい。

1 「価値観の相違」とはどういうことですか。わかりやすく言いかえている会話文を文中からぬき

出し、その初めの五字を答えなさい。

2 「価値観の相違」が原因で起きたと考えられる問題の具体例としてあてはまるものを次のア~エ

の中から二つ選び、その記号を答えなさい。

 

ア�� 

友人との待ち合わせの際、いつも早めの到とう

着ちゃくを心がけていたが、相手が時間ぎりぎりに来るの

をとがめると、「せかせかしすぎている。」と逆に責められてしまった。

 

イ�� 

休みの日にはゆっくり読書をしようと考えていたが、旅行をするのもいいなと思いはじめ、ど

ちらにしようか悩なや

んでいる。

 

ウ�� 

部屋に置く家具を購こう

入にゅうするのに、父はデザインの美しさを重視しているが、母は機能性を重視

するべきだと言ってけんかしている。 

 

エ�� 

コーチが「毎日練習すれば技術も向上する」と言ったので、その言葉を信じて毎日練習に励はげ

だが、結局レギュラーに選ばれるまでには至らなかった。

Page 10: 国 語 45...3- 2 楽なもんだ。」「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

3− 9

問十   

線⑨「おじさんのたとえ話」について説明したものとして最も適当なものを次のア~エの中から

一つ選び、その記号を答えなさい。

ア 

カレーはいろんな種類のスパイスを入れることで味に深みが出ておいしくなるが、人間は違ちが

った

価値観が混ざり合うと争いが起きてしまうので、それぞれの価値観には関心を持たず、たがいに交

わらない方が良い。

イ 

カレーはいろんな種類のスパイスを入れることで味に深みが出ておいしくなるが、人間は価値観

の違いを受け入れられない場合の方が多いので、価値観が対立したときにはどちらかの考えに合わ

せて統一する必要がある。

ウ 

カレーはいろんな種類のスパイスを入れることで味に深みが出ておいしくなるのと同じように、

人間もそれぞれ違った価値観を持っているからこそ面おも

白しろ

いし、それらが混ざり合って考え方にも深

みが出る。

エ 

カレーはいろんな種類のスパイスを入れることで味に深みが出ておいしくなるのと同じように、

人間もそれぞれ違った価値観が混ざり合うと次し

第だい

に統一された価値観へと変化していき、争いを避さ

けることができる。

問十一   

線⑩「いいや、そうとは限らない。」とありますが、おじさんは仲直りをするためにはどうする

ことが必要だと考えていますか。解答らんの「こと。」につながるように、文中の言葉を使って二十字

以上二十五字以内で答えなさい。

問十二   

線⑪「請う

けあってもいた。」とありますが、「請けあう」の意味として最も適当なものを次のア~

エの中から一つ選び、その記号を答えなさい。

ア 

なぐさめて励はげ

ます。   

イ 

確かであると保証する。

ウ 

反対を強く押お

しきる。  

エ 

よくできたとほめる。

Page 11: 国 語 45...3- 2 楽なもんだ。」「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

3− 10

問十三   

線⑫「紗さ

希き

がぱちぱちとまばたきをして、千ち

春はる

の顔をじっと見つめた。」とありますが、この時

「紗希」はどのような気持ちであったと考えられますか。次のア~エの中から最も適当なものを一つ選

び、その記号を答えなさい。

ア 

千春にまで自分の価値観を否定されたようで納なっ

得とく

がいかなかったが、一いっ

緒しょ

に遊べなくてさびしい

という気持ちはみんな同じだったのかもしれないと気づき、自分を心から応おう

援えん

してくれる友達の存

在をありがたく思っている。

イ 

千春までサナエちゃんの味方になってしまったのではないかと不満に感じていたが、千春が自分

と同じ価値観に合わせてくれたことが分かり、受験の成功を応援してくれる純じゅん

粋すい

な気持ちをうれし

く思っている。

ウ 

千春にサナエちゃんとの仲直りを持ちかけられて腹立たしかったが、みんなが自分の価値観を受

け入れてくれたことがわかり、意地を張ってサナエちゃんにプレゼントを渡せなかったことを申し

訳なく思っている。

エ 

千春に自分は悪くないと言ってもらってうれしかったが、一緒に遊べなくてさびしいと一方的に

責められ、受験は応援してくれても自分の価値観は結局みんなに認めてもらえないのだと悲しく

思っている。

問十四   

線⑬「『はちみつ!』千春は叫さけ

び返して、お店の中へと駆か

けこんだ。」とありますが、「千春」は

どのような気持ちであったと考えられますか。次のア~エの中からあてはまらないものを一つ選び、そ

の記号を答えなさい。

ア 

紗希がサナエちゃんにきちんと気持ちを伝え、その気持ちがサナエちゃんにも伝わったことが感

じられてほっとした気持ち。

イ 

紗希はサナエちゃんに本気で気持ちを伝えたが、サナエちゃんはまだ意地を張っている様子だっ

たため、早くおじさんに相談しなければと焦あせ

る気持ち。

ウ 

自分が紗希にサナエちゃんとの仲直りを持ちかけ、その手助けが良い結果をもたらすことにつな

がってうれしい気持ち。

エ 

紗希とサナエちゃんが仲直りできるように一緒に考えてくれたおじさんに、早く結果を報告した

いという気持ち。

Page 12: 国 語 45...3- 2 楽なもんだ。」「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

3− 11

問十五 

この文章について説明したものとしてあてはまるものを次のア~オの中からすべて選び、その記号を

答えなさい。

ア 

千ち

春はる

、紗さ

希き

、サナエちゃんの友人関係を中心にして、お互たが

いを信じ続けることで数々の障害を乗

りこえていく少女達のたくましさと友情のすばらしさが描えが

かれている。

イ 

信しん

頼らい

するおじさんとのやりとりを通して、千春が自分の頭で考えることの大切さを学び、問題解

決に向けて一歩前進していく姿がみずみずしく描かれている。

ウ 

おじさん、千春、紗希、サナエちゃんと複数の登場人物のものの見方を通して、「価値観の相そう

違い

にまつわる問題がわかりやすく身近なものとして描かれている。

エ 

千春とおじさんとの信頼関係を軸じく

に、人と上う

手ま

く付き合っていくためには価値観を相手に合わせ

ていく思いやりが必要であることが具体例とともに描かれている。

オ 

何事にも消極的だった千春が、おじさん、紗希、サナエちゃんと関かか

わっていく中で、積極的に自

分を表現していく喜びに気づき、弱点を克こく

服ふく

していく姿が描かれている。

Page 13: 国 語 45...3- 2 楽なもんだ。」「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

3− 12

二 

次の漢字と言葉に関する問いに答えなさい。

問一 

次の①~⑤の  

線部のカタカナを、それぞれ漢字に直しなさい。

① 

日本国ケンポウを学ぶ。

② 

かれはコウケツな人物である。

③ 

兄が会社にシュウショクした。

④ 

私の意見がシジされた。

⑤ 

仏さまをオガむ。

問二 

次の①~⑤の  

線部の漢字の読みを、それぞれひらがなで答えなさい。

① 

オリンピックの開会宣言を行う。

② 

水面に顔が映る。

③ 

そんなことは百も承知だ。

④ 

作業の誤りを改める。

⑤ 

文学作品の批評を行う。

問三 

次の文を読んで、後の1・2の問いに答えなさい。

Aでは、いつも雪が降る。

Bでは、時々雪が降る。

Cでは、しばしば雪が降る。

Dでは、ほとんど雪が降らない。

Eでは、あまり雪が降らない。

1 

A~Eの中で、いちばん雪が降らないのはどこですか。その記号を答えなさい。

2 

A~Eの中で、二番目に多く雪が降るのはどこですか。その記号を答えなさい。

問四 

次の①~④の各組のア~エの中から種類の異なる言葉をそれぞれ一つずつ選び、その記号を答えなさ

い。① 

ア 

白い   

イ 

うれしい  

ウ 

おさらい  

エ 

寒い

② 

ア 

いる   

イ 

従う    

ウ 

見学    

エ 

聞く

③ 

ア 

春    

イ 

東京    

ウ 

原因    

エ 

全然

④ 

ア 

食べる  

イ 

歩く    

ウ 

読む    

エ 

早い

Page 14: 国 語 45...3- 2 楽なもんだ。」「お母さんや先生は、ちゃんとしたことを言わなきゃまずいだろうけど、おれはそういう責任もないし。気

3− 13

問五 

次の①~④の熟語の組み立ての説明として最も適当なものを後のア~オの中からそれぞれ一つずつ選

び、その記号を答えなさい。

① 

作文  

② 

強風  

③ 

無限  

④ 

願望

 

ア 

同じような意味の漢字を組み合わせたもの(岩石)

 

イ 

反対の意味の漢字を組み合わせたもの(上下)

 

ウ 

上の漢字が下の漢字を修しゅう

飾しょくしているもの(美人)

 

エ 

下の漢字が上の漢字の目的語になっているもの(読書)

 

オ 

上の字が下の字の意味を打ち消しているもの(不足)