39
大阪大学理学研究科物理学専攻 博士前期過程2久野研究室 長尾大樹 μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラウンド事象アフタープロトンの評価

μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

大阪大学理学研究科物理学専攻

博士前期過程2年 久野研究室

長尾大樹

μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラウンド事象アフタープロトンの評価

Page 2: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

Outline•  μ-e 転換過程 •  DeeMe 実験概要 •  アフタープロトンについて •  アフタープロトン測定方法 •  データの解析 •  ビームロスモニターのアップグレード •  MR取り出しビームの測定と解析 •  まとめ

2

Page 3: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

μ-e 転換過程•  μ-e 転換過程

•  荷電レプトンフレーバー非保存過程(cLFV: charged Lepton Flavor Violation)

•  cLFVは標準模型では禁止されている(反応確率 ~10-54)

•  標準模型を超えた物理モデルでは現在の実験感度のすぐ下で発見できる可能性

•  µ + (A, Z) → e + (A, Z) •  µが原子核に捕まりミューオニック原子を形成してレプトンフレーバーを保存せず電子に変化する

•  原子核に依存した寿命をもつ

•  原子核に依存した単一エネルギー

の電子

•  上限値: 7 × 10-13 (Au)    4.3× 10-12 (Ti)

nucleus µ e

Muonic atom

3

Page 4: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

DeeMe 実験概要

•  陽子標的: C (→ SiC) •  ミューオニックアトムの寿命 ~2µs •  µ-e 転換電子のエネルギー = 105MeV

•  10-14 の感度を目指す

物質・生命科学 実験施設(MLF)

3GeV シンクロトロン(RCS)

J-PARC全体図

陽子標的内部で 1.π生成

陽子標的

protonπ

μ

e

1

2

3 4

4

MLF H-Line

2.μ生成 3. ミューオニック原子の生成 4. μ-e 転換

Page 5: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

DeeMe 実験概要•  バックグラウンド

•  Decay in Orbit (DIO) •  陽子ビームによる即発電子 •  アフタープロトン

•  µ-e 転換電子の選別 •  運動量スペクトル •  時間スペクトル

DIO BG信号領域

モンテカルロ計算で予想されるシグナルと バックグラウンドの運動量スペクトル

µ-e signal

nucleus µ e

Decay in Orbit

νe_

νμ

5

Page 6: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

DeeMe 実験概要•  バックグラウンド

•  Decay in Orbit (DIO) •  陽子ビームによる即発電子 •  アフタープロトン

•  µ-e 転換電子の選別 •  運動量スペクトル •  時間スペクトル

DIO BG

µ-e signal

信号領域

モンテカルロ計算で予想されるシグナルと バックグラウンドの運動量スペクトル

3 GeV パルス陽子ビーム

測定時間 2µs

スペクトロメータ部に到達する電子 1µs

600ns 40ms

//

//

陽子ビームと2次粒子の 時間構造

6

瞬間的に大量の電子が発生

スペクトロメータ不感時間

Page 7: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

DeeMe 実験概要•  バックグラウンド

•  Decay in Orbit (DIO) •  陽子ビームによる即発電子 •  アフタープロトン(AP)

•  µ-e 転換電子の選別 •  運動量スペクトル •  時間スペクトル

DIO BG

µ-e signal

After Proton

信号領域

モンテカルロ計算で予想されるシグナルと バックグラウンドの運動量スペクトル

測定時間 2µs

スペクトロメータ部に到達する電子 1µs

600ns アフタープロトン

//

//

陽子ビームと2次粒子の 時間構造

7

AP由来の即発電子

どちらの方法でも分けられない ⇒ AP数の評価が必要

3 GeV パルス陽子ビーム

Page 8: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

アフタープロトン

•  RCSからのビームの取り出しは「速い取り出し」

•  原理的にはビーム取り出し後リング内に陽子は周回しない

•  大エミッタンス陽子であればキッカー電磁石オフの状態で取り出される可能性

•  この大エミッタンス陽子はRCSを周回できない 8

RCSビーム取り出し部模式図

陽子ビーム

To MLF / MRセプタム電磁石

RCSリング

キッカー電磁石

OFF

ON

3GeV シンクロトロン(RCS)

J-PARC全体図

~840 ns

キッカーON

OFF

2バンチ

Page 9: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

アフタープロトン測定方法

•  ビームロスモニター(BLM)を設置 •  ダクトから漏れ出る陽子をモニター

•  モンテカルロ計算により以下を仮定

BLMのヒット数:アフタープロトン数= 1 : 40

•  RAPを定義

•  DeeMeではRAP < 10-18を要求

•  2013年にBLMを設置、データの取得を開始した 9

陽子ビーム

To MLF / MRセプタム電磁石

RCSリング

BLM

RAP = AP数

全陽子数

AP数= 40 × hitBLM

Page 10: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

•  ビームロスモニター(BLM)を設置 •  ダクトから漏れ出る陽子をモニター

•  モンテカルロ計算により以下を仮定

BLMのヒット数:アフタープロトン数= 1 : 40

•  RAPを定義

•  DeeMeではRAP < 10-18を要求

•  2013年にBLMを設置、データの取得を開始した

アフタープロトン測定方法

10

10cm

シンチ 鉄 シンチ

ビームダクト

セプタム電磁石

To MLF / MR

高さ20cm×幅15cm×厚さ1cm 高さ35cm×幅20cm

BLM概形

コインシデンス

RAP = AP数

全陽子数

AP数= 40 × hitBLM

Page 11: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

2013年データの解析①:ビーム取り出し前

•  メインパルス取り出し前に600ns間隔のピークが見られた

11

ビーム取り出しビームと同期したヒット

コインシデンスヒットの時間分布

600ns

アクシデンタルコインシデンスとは、相互に無関係な

ヒットが2つのPMTに同時に発生すること

これらのピークが本当に陽子によるヒットなのか、 アクシデンタルコインシデンスなのかを確認する

課題 1

Page 12: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

2013年データの解析①:ビーム取り出し前•  コインシデンスヒットに対するアクシデンタルコインシデンスの割合は4%以下で、コインシデンスヒットが支配的であることを計算により確認した

•  ビームに同期したコインシデンスヒットであることから、取り出し前のヒットはRCSを周回するバンチからこぼれた陽子

12

ビーム取り出し周回ビームからこぼれた陽子

コインシデンスヒットの時間分布

600ns

こぼれた陽子はAPと同じ特徴を持つため、この陽子を用いて

•  AP数とAPが生ずる即発電子数の比を決定できる

•  APバックグラウンドの運動量スペクトルを実験的に測定できる

Page 13: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

2013年データの解析②:ビーム取り出し後•  取り出し後2µsのヒット数から

•  RAP < 2.2 × 10-18

•  このときBGイベント数< 0.045 (ビームタイム2x107s中)

•  ビーム取り出し後のヒット数を指数関数+定数でフィッティング

•  指数関数の寿命はミューオンの寿命に近い値となった

•  静止ミューオン由来の陽電子 (Michel positron) がBLMをヒットしてる可能性

解析‐清水宏祐 (大阪市大)

コインシデンスヒットの 時間分布(取り出し後)

13

•  陽電子がBLMをヒットしていることを確かめ、 •  RAPを小さくしてAPバックグラウンドを無視できる量にするため 陽電子の検出率を2~3桁小さくする

課題 2

Page 14: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

ビームロスモニターのアップグレード•  G4beamline を用いたシミュレーションを行った •  以下の様なデザインにアップグレード

•  3GeV陽子は十分な運動エネルギーを持っているため鉛を貫通 •  陽電子は電磁シャワーを起こして鉛で止まるか、低エネルギーのガンマ線になってシンチレータでほとんどエネルギー損失しない

•  陽子の検出効率90%以上、陽電子の検出率~10-4を達成可能

14

プラスチックシンチレータ 2013年BLMの検出効率particle efficiency

3 GeV proton 0.98Michel positron 0.04

electron

2桁向上 2015年に設置完了

Page 15: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

MR取り出しビームの測定と解析•  2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

•  MR取り出しビームを用いて新しいBLMの動作確認および性能評価を行った

•  MR行きビーム •  5.52sに一度、4サイクル分取り出し •  ビーム強度:100kW (2013年 MLF: 300kW) •  ビームのエミッタンスがMLF行きと異なる

•  MLF行きと比べハロー陽子数大

15

コインシデンスを取った 時間スペクトル (MRビーム)

Page 16: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

•  取り出し後のヒットは陽電子が支配的であると仮定

•  ビーム強度の違いも考慮してRAPで2013年データと比較

•  新BLMで計算したRAPは~10-20程度と

なることが期待される

コインシデンスを取った時間スペクトル

1µs

16

RAP = 40 × hitBLM

全陽子数

MR

•  今ある測定データでは統計量が不足していた(全陽子数~10-18)が、はRAP<10-18までは言える

•  取り出し後1µsのヒット数でRAPを計算 •  RAP = 3.3 × 10-14

•  2013年データで計算された結果より4桁大きい

MR

MR取り出しビームの測定と解析

MR

MR

Page 17: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

MR取り出しビームの測定と解析

MLF行きビーム測定では見られなかった取り出し後に見られるピークが原因と考えられる •  解析の結果これらはアクシデンタルコインシデンスと分かった

⇒ MR取り出しビームの特性に由来するものでMLF取り出しビームでは存在しないものと仮定、アクシデンタルコインシデンスの影響を取り除く方法を考えた

コインシデンスを取った時間スペクトル

1µs

17

Page 18: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

PMT1

PMT2

t

20ns

20ns

t1 – 30ns

t1 – 10ns

アクシデンタルコインシデンス量の見積り

t1

18

互いに無関係な ランダムヒット

t1 + 10ns

Page 19: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

MR取り出しビームの測定と解析

コインシデンス時間スペクトルから アクシデンタルコインシデンス時間スペクトルを差し引く

•  RAP < 2.0 × 10-15 (90% C.L.)

•  2013年の結果と無矛盾

19

コインシデンス– アクシデンタルコインシデンス

3695 – 3595 = 100 ± 85 (count)

MR

Page 20: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

まとめ

•  μ-e 転換過程は標準模型を超えた物理では探索可能

•  μ-e 転換過程探索実験DeeMeがJ-PARC MLFで計画されている

•  アフタープロトンがバックグラウンド源となり得る

•  BLMでモニターする

•  ビーム取り出し前に陽子がBLMをヒットしていることを確認

•  電磁シャワーを生かして電子不感なBLMへアップグレード

•  シミュレーションにより電子の検出効率を~10-4と見積もった

•  MR取り出しビームを用いた測定の結果2013年の解析と無矛盾なRAPを得た

•  MR行きとMLF行きではビームの特性が大きく異なる可能性がある

•  MLF取り出しビームでデータを取得し理解を深める

20

Page 21: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

backup

21

Page 22: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

22

通常の 周回ビーム

1000π mm mrad

2500π mm mrad

アフタープロトンとなり得る陽子のエミッタンス

Page 23: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

23

アフタープロトンとなり得る陽子のエミッタンス

キッカー電磁石オフの状態で取り出されるビームの例

Page 24: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

24

AP数とBLMヒット数の相関関係をG4beamlineシミュレーションで調べた 入射陽子のエミッタンスは1500π mm mrad ~5000π mm mrad に一様に分布すると仮定

Page 25: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

25

ベースライン計算

Page 26: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

26計算されたベースライン

Page 27: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

27

波形解析概要

Page 28: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

28

Page 29: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

2013年データの解析①•  メインパルス取り出し前に600ns間隔のピークが見られた •  ビーム取り出し前に取り出される陽子が存在する場合

•  AP数とAPが生ずる即発電子数の比を決定 •  APバックグラウンドの運動量スペクトルを実験的に見積り に利用できる

•  改造前の2013年時点でのデータを用いてリアルなコインシデンス数に対するアクシデンタルコインシデンス数の割合を比較

ビーム取り出し“アフタープロトン”

コインシデンスヒットの時間分布

600ns

29

Page 30: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

•  PMT1, 2に対して、 •  シングルヒットレートをRs1, Rs2 •  ヒット数をN1, N2 と定義

•  コインシデンスヒットレートをRc、ヒット数をNcと定義

•  NT回測定したとすると以下の式が成り立つ

•  N1 = NT (Rs1 + Rc)

•  N2 = NT (Rs2 + Rc)•  Nc = NT (Rc + Rs1・Rs2)

PMT2 鉄

PMT1

ビームダクト

Rc

Rs1 Rs2

2013年データの解析①

30

Page 31: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

•  ここで、ある1つのピークに着目 •  9844786イベントを解析したので

NT = 9844786 N1 = 1.67 × 105

N2 = 1.26 × 105 Nc =3.77 × 104

シングルヒット

コインシデンスヒット

2013年データの解析①

31

Page 32: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

2013年データの解析①

•  Rs1 = (1.322 ± 0.006) × 10-2

•  Rs2 = (9.07 ± 0.05) × 10-3

•  Rc = (3.71 ± 0.04) × 10-3

•  アクシデンタルコインシデンス率

•  Rs1 × Rs2 = (1.199 ± 0.009) × 10-4

•  リアルなコインシデンスに対するアクシデンタルコインシデンスの割合 •  (Rs1 × Rs2 ) / Rc = (0.0323 ± 0.0004)

•  コインシデンスヒットに対するアクシデンタルコインシデンスの割合は4%以下なので、リアルなコインシデンスが支配的であると言える

32

Page 33: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

ビームロスモニターのアップグレード •  陽子の検出効率は保ったまま、電子に対する検出率を2桁下げたい

•  G4beamline を用いたシミュレーションを行った •  鉛-シンチ積層カロリーメータ

•  鉛:厚さ 20mm

•  シンチ:厚さ 10mm

エネルギー損失スペクトル

3GeV陽子

Michel positron

閾値

閾値に対する検出効率と削減率

陽子の検出効率

電子の削減率

2013年BLMの 電子の削減率

カロリーメータ方式では2013年BLMの性能を超えることは難しい33

Page 34: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

ビームロスモニターのアップグレード

•  イベントディスプレイを見て電子と陽子の振る舞いの違いを確認

photonMichel positron Proton (3GeV)

Event Display鉛 シンチ

34

Page 35: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

ビームロスモニターのアップグレード

•  アップグレードしたBLMで、設定した閾値に対する検出率は下の図のようになる •  陽子の検出効率90%以上、電子の検出率~10-4が可能

35

Page 36: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

PMT1

PMT2

tt1

20ns

t1 – 10ns

コインシデンスヒットの模式図オンタイム範囲

36

t1 + 10ns

リアルな コインシデンス

アクシデンタルコインシデンス量の見積り

Page 37: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

PMT1

PMT2

t

アクシデンタルコインシデンスの模式図

アクシデンタル コインシデンス

37

互いに無関係な ランダムヒット

t1

t1 – 10ns t1 + 10ns

オンタイム範囲

Page 38: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

オフタイム範囲

オンタイム範囲

PMT1

PMT2

t

20ns

20ns

t1 – 30ns

t1 – 10ns

アクシデンタルコインシデンス量の見積り

t1

38

互いに無関係な ランダムヒット

t1 + 10ns

Page 39: μ-e 転換過程探索実験 DeeMe における バックグラ …...2015年に設置完了 MR取り出しビームの測定と解析 • 2015年4月30日〜と11月19日〜MLF行きビーム運転が停止

オンタイム範囲

PMT1

PMT2

t

20ns

20ns

t1 – 30ns

t1 – 10ns

アクシデンタルコインシデンス量の見積り

t1

39

リアルな コインシデンス

オフタイム範囲

t1 + 10ns