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材料データシート
EOS GmbH - Electro Optical Systems
EOS NickelAlloy IN718 TMS, WEIL / 10.2011 1 / 6
Robert-Stirling-Ring 1 D-82152 Krailling / München
電話: +49 (0)89 / 893 36-0
ファックス: +49 (0)89 / 893 36-285
Web サイト: www.eos.info
EOS NickelAlloy IN718
EOS NickelAlloy IN718 は、EOSINT Mシステムで処理できるように最適化された耐熱・耐食
ニッケル合金粉末である。
本書は、下記のシステム仕様により、EOS NickelAlloy IN718 粉末(EOS art.-no. 9011-0020)
で造形した部品の情報とデータを提供する。
- EOSINT M 270 Installation Mode Xtended
PSW 3.4 とデフォルトジョブ IN718_020_default.job
- EOSINT M 270 Dual Mode
PSW 3.5 と EOS 独自のパラメータセット IN718_Surface 1.0
- EOSINT M 280
PSW 3.5 と EOS 独自のパラメータセット IN718_Surface 1.0
説明
EOS NickelAlloy IN718 で造形した部品の化学組成は、UNS N07718、AMS 5662、AMS 5664、
W.Nr 2.4668、DIN NiCr19Fe19NbMo3 に適合している。この種の析出硬化ニッケルクロム合
金は、最大温度 700°C (1290°F)での良好な引っ張り強さ、疲労強度、クリープ強度、破断強
度を特徴とする。
この材料は、ガスタービンや計装、電力・装置産業の部品など、高温用途に最適である。低
温用途にも優れた能力を発揮する。
EOS NickelAlloy IN718 で造形した部品は、析出硬化熱処理によって後処理が簡単にできる。
造形時も時効硬化後も、必要に応じて機械加工、放電加工、溶接、マイクロショットピーニ
ング、研磨、コーティングを施すことができる。積層造形法に起因して、部品は一定の異方
性を有する(技術データの例を参照)。
材料データシート
EOS GmbH - Electro Optical Systems
EOS NickelAlloy IN718 TMS, WEIL / 10.2011 2 / 6
Robert-Stirling-Ring 1 D-82152 Krailling / München
技術データ
一般的なプロセスデータ
部品の実現可能な標準精度[1]
- 小型部品 approx. 40 - 60 μm
approx. 1.6~2.4 x 10-3
inch
- 大型部品 0.2 %
最小壁厚[2] approx. 0.3~0.4 mm
approx. 0.012~0.016 inch
表面粗さ[3]
- ショットピーニング後 Ra 4~6.5 μm, Rz 20~50 μm
Ra 0.16~0.25 x 10-3
inch,
Rz 0.78~1.97 x 10-3
inch
- 研磨後 Rz up to < 0.5 μm Rz up to < 0.02 x 10
-3 inch
(超精密研磨の場合)
造形体積[4] 2 mm³/s (7.2 cm³/h) 0.44 in³/h
[1] 標準的な形状の寸法精度の経験値による。例:パラメータが部品の種類に合わせて最適化できる場合は±40
μm (1.6 × 10-3
inch)、新しい形状を初めて造形する場合は±60 μm (2.4 × 10-3 inch)。部品精度は EOS の指導
を踏まえた適切なデータ準備と後処理に左右される。
[2] 機械的な安定性は形状(壁の高さなど)や用途に依存する。
[3] 積層造形に起因して、表面構造は面の向きに強く依存する。たとえば、傾斜面や曲面は階段状になる。この
値は測定方法にも依存する。ここに示したのは面が水平(上向き)または垂直の場合の予測値である。
[4] 造形体積はレーザー照射時の造形速度の計測値である。全体の造形速度は、平均造形体積と再コーティング
時間(層数による)のほか、DMLS-Start 設定値などの要素によって変わる。
材料データシート
EOS GmbH - Electro Optical Systems
EOS NickelAlloy IN718 TMS, WEIL / 10.2011 3 / 6
Robert-Stirling-Ring 1 D-82152 Krailling / München
部品の物理特性と化学特性
材料組成 Ni (50~55 wt-%)
Cr (17.0~21.0 wt-%)
Nb (4.75~5.5 wt-%)
Mo (2.8~3.3 wt-%)
Ti (0.65~1.15 wt-%)
Al (0.20~0.80 wt-%)
Co (≦1.0 wt-%)
Cu (≦0.3 wt-%)
C (≦0.08 wt-%)
Si, Mn (どちらも≦0.35 wt-%)
P, S (どちらも≦0.015 wt-%)
B (≦0.006 wt-%)
Fe (balance)
比重 approx. 100 %
密度 min. 8.15 g/cm³ min. 0.294 lb/in³
材料データシート
EOS GmbH - Electro Optical Systems
EOS NickelAlloy IN718 TMS, WEIL / 10.2011 4 / 6
Robert-Stirling-Ring 1 D-82152 Krailling / München
20°C (68°F)での機械特性
造形時 熱処理後
AMS 5662 に準拠[5]
熱処理後
AMS 5664 に準拠[6]
引っ張り強さ[7]
- 水平方向(XY) typ. 1060 ± 50 MPa (154 ± 7 ksi)
- 垂直方向(Z) typ. 980 ± 50 MPa (142 ± 7 ksi)
min. 1241 MPa (180 ksi) typ. 1400 ± 100 MPa
(203 ± 15 ksi)
min. 1241 MPa (180 ksi) typ. 1380 ± 100 MPa
(200 ± 15 ksi)
降伏強度 (Rp 0.2%) [7]
- 水平方向(XY) typ. 780 ± 50 MPa (113 ± 7 ksi)
- 垂直方向(Z) typ. 634 ± 50 MPa (92 ± 7 ksi)
min. 1034 MPa (150 ksi) typ. 1150 ± 100 MPa
(167 ± 15 ksi)
min. 1034 MPa (150 ksi) typ. 1240 ± 100 MPa
(180 ± 15 ksi)
破断点伸び[7]
- 水平方向(XY) typ. (27 ± 5) %
- 垂直方向(Z) typ. (31 ± 5) % min. 12 % typ. (15 ± 3) %
min. 12 % typ. (18 ± 5) %
弾性率[7]
- 水平方向(XY) typ. 160 ± 20 GPa (23 ± 3 Msi)
- 垂直方向(Z) 170 ± 20 GPa 24.7 ± 3 Msi
170 ± 20 GPa 24.7 ± 3 Msi
硬さ[8] approx. 30 HRC approx. 287 HB
approx. 47 HRC approx. 446 HB
approx. 43 HRC approx. 400 HB
[5] AMS 5662 に準拠した熱処理手順:
1. 980°C (1800°F) 1時間の溶体化焼きなまし、空冷(またはアルゴン冷却)。
2. 時効処理、720°C (1330°F)で 8 時間保持、炉を 2 時間で 620°C (1150°F) に冷却、620°C (1150°F)で 8 時
間保持、空冷(またはアルゴン冷却)。
材料データシート
EOS GmbH - Electro Optical Systems
EOS NickelAlloy IN718 TMS, WEIL / 10.2011 5 / 6
Robert-Stirling-Ring 1 D-82152 Krailling / München
[6] AMS 5664 に準拠した熱処理手順:
1. 1065°C (1950°F) 1時間の溶体化焼きなまし、空冷(またはアルゴン冷却)。
2. 時効処理、760°C (1400°F) で 10 時間保持、炉を 2 時間で 650°C (1200°F)に冷却、650°C (1200°F)で 8
時間保持、空冷(またはアルゴン冷却)。
[7] ISO 6892-1:2009 (B) Annex D に準拠した引っ張り試験、比例試験片は首部の直径が 5 mm (0.2 inch)、元の
ゲージ長は 25 mm (1 inch)。
[8] EN ISO 6508-1 に準拠した研磨面のロックウェル C (HRC)硬さ測定。なお、硬さ測定値は試験片の準備方法
によって大きく変わることがある。
高温(649°C、1200°F)での部品の機械特性
熱処理後
AMS 5662 に準拠[5]
熱処理後
AMS 5664 に準拠[6]
引っ張り強さ (Rm) [9]
- 垂直方向(Z) min. 965 MPa (140 ksi) typ. 1170 ± 50 MPa (170 ± 7 ksi)
typ. 1210 ± 50 MPa (175 ± 7 ksi)
降伏強度(Rp 0.2%) [9]
- 垂直方向(Z) min. 862 MPa (125 ksi) typ. 970 ± 50 MPa (141 ± 7 ksi)
typ. 1010 ± 50 MPa (146 ± 7 ksi)
破断点伸び[9]
- 垂直方向(Z) min. 6 % typ. (16 ± 3) %
typ. (20 ± 3) %
応力破断特性[10]
- 垂直方向(Z) min. 23 hours at stress level 689 MPa (100 ksi)
51 ± 5 hours (final applied stress to
rupture 792.5 MPa / 115 ksi)
81 ± 10 hours (final applied stress to
rupture 861.5 MPa / 125 ksi)
[9] 649°C (1200°F)での高温引っ張り試験、EN 10002-5 (92)に準拠。
[10] 649°C (1200°F)での試験、ASTM E139 (2006)に準拠、平滑試験片。試験方法は下記の AMS 5662 (3.5.1.2.3.3)
に準拠。「軸方向に初期応力 689MPa (100ksi)が加わるように負荷をかけ、23 時間以内に破断するかしない
か。23 時間後、8 時間以上の間隔を空けて、応力を 34.5MPa (5ksi)刻みで増やす」。
材料データシート
EOS GmbH - Electro Optical Systems
EOS NickelAlloy IN718 TMS, WEIL / 10.2011 6 / 6
Robert-Stirling-Ring 1 D-82152 Krailling / München
部品の温度特性
AMS 5662 に準拠した熱処理後[4]
熱膨張係数
- 25~200°C (36~390°F) approx. 12.5~13.0 x 10-6
m/m°C
approx. 6.9~7.2 x 10-6
in/in°F
- 25~750°C (36~930°F) approx. 16.6~17.2 x 10-6
m/m°C
approx. 9.2~9.6 x 10-6
in/in°F
負荷時の部品の最大実用温度 approx. 650 °C approx. 1200 °F
耐酸化温度の上限[11] approx. 980 °C approx. 1800 °F
[11] 化学組成が同じ従来の Ni 合金に関する文献による。
略記
typ. 設計値
min. 最小値
approx. 約
wt 重量
注意
上記のデータが有効性をもつのは、ページ 1 に記載された粉末材料、マシン、およびパラメータセットを、それ
ぞれの操作説明書(導入条件とメンテナンスを含む)とパラメータシートに従って使用した場合に限られる。部品特
性は所定の試験手順によって測定されている。EOSによる試験手順の詳細は、請求に応じて案内する。
本書のデータは、公開時点の弊社の知識と経験に基づいている。単独で部品設計の十分な裏付けになるものでは
ない。また、部品の特性や特定用途への適合性について、何らかの同意や保証をするものでもない。部品の特性
や特定用途への適合性を確認する責任は、部品の生産者や購入者にある。これはいかなる保護の権利に関しても
法規と同様に適用される。データは EOS の継続的な開発・改善プロセスの一環として予告なく変更することがあ
る。
EOS®、EOSINT
®、DMLS
®は、EOS GmbH の登録商標である。
© 2011 EOS GmbH - Electro Optical Systems. All rights reserved.
[EOS NickelAlloy IN718 IN718_2.0.0] 株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ 1/6頁
安全データシート 作成 :2015年9月16日
改訂:2017年7月 5日
1.化学品及び会社情報 化学品の名称 :EOS NickelAlloy IN718
会 社 名 :株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ
住 所 :〒144-8601 東京都大田区西蒲田7-37-10
担当部門 :AMビジネスユニット 担当者;芦澤 悟
電話番号;03-5711-5350 FAX番号;03-5703-5091
緊急連絡電話番号 :03-5711-5350(AMビジネスユニット)
整理番号 :IN718_2.0.0
推奨用途及び使用上の制限 :EOS社のレーザー焼結型積層造形装置用材料
2.危険有害性の要約 【GHS分類】
物理化学的危険性 :可燃性固体 ;区分外
健康有害性 :急性毒性 経口 ;区分4
経皮 ;分類できない
吸入 ;分類できない
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 ;分類できない
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性;区分2B
呼吸器感作性 ;区分1
皮膚感作性 ;区分1
生殖細胞変異原性 ;区分2
発がん性 ;区分2
生殖毒性 ;分類できない
特定標的臓器毒性(単回ばく露) ;区分1(呼吸器、腎臓)
区分2(全身毒性)
区分3(気道刺激性)
特定標的臓器毒性(反復ばく露) ;区分1(呼吸器)
吸引性呼吸器有害性 ;分類できない
環境有害性 :水生環境有害性(急性) ;分類できない
水生環境有害性(長期間) ;区分4
(追記)混合物の約47%は水生
環境有害性が不明の
成分である。
オゾン層への有害性 ;分類できない
【GHSラベル要素】
絵表示又はシンボル:
注意喚起語 : 危険
危険有害性情報 :・飲み込むと有害
・眼刺激
・吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ
・アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
・遺伝性疾患のおそれの疑い
・発がんのおそれの疑い
・臓器(呼吸器、腎臓)の障害
・臓器(全身毒性)の障害のおそれ
・呼吸器への刺激のおそれ
・長期にわたる、又は反復ばく露による臓器(呼吸器)の障害
・長期継続的影響によって水生生物に有害のおそれ
作成:2015年9月16日
[EOS NickelAlloy IN718 IN718_2.0.0] 株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ 2/6頁
2.危険有害性の要約(続き)
注意書き:
[安全対策] ・取扱い後はよく手を洗うこと。
・この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
・粉塵/ヒュームの吸入を避けること。
・【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。
・汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
・保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
・使用前に取扱い説明書を入手すること。
・全ての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
・粉塵/ヒュームを吸入しないこと。
・屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
・環境への放出を避けること。
[応急措置] ・飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
・口をすすぐこと。
・眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズ
を着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けるこ
と。
・眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
・吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させる
こと。
・呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
・皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
・皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
・汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯すること。
・ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
・ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
・気分が悪いときは医師に連絡すること。
・気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
[保 管] ・施錠して保管すること。
・換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
[廃 棄] ・内容物/容器を国際/国/都道府県/市町村の規則に従って廃棄すること。
3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別:混合物
化学名または一般名:金属粉末
成 分 濃度範囲(%) 化 学 式 官報公示整理番号 CAS No.
ニッケル粉末 50 ~ 55 Ni 対象外 7440-02-0
コバルト <1 Co 対象外 7440-48-4
クロム 17 ~ 21 Cr 対象外 7440-47-3
鉄 23 ~ 33 Fe 対象外 7439-89-6
4.応急措置
吸入した場合 :直ちに空気の新鮮な場所に移動させる。呼吸困難に陥った場合は、衣類を緩め気道
を確保した上で、酸素吸入あるいは人工呼吸を施し、直ちに医療措置を受ける。
皮膚に付着した場合:付着した部分は流水で流した後、石鹸を用いてよく洗い落とす。痛み、痒み等、
皮膚に異常が生じた場合は医師の診察を受ける。
目に入った場合:清浄な水で15分以上洗眼する。洗眼の際、まぶたを指でよく開いてすみずみまで
水がよく行き渡るように眼を上下左右に動かす。異常が残る場合は専門医の診察
を受ける。
飲み込んだ場合:水で口の中をすすぎ、直ちに医療措置を受ける。意識がない場合は口から何も与え
てはいけない。
作成:2015年9月16日
[EOS NickelAlloy IN718 IN718_2.0.0] 株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ 3/6頁
5.火災時の措置
消 火 剤:可燃性金属用粉末消火剤
使ってはならない消火剤:水、二酸化炭素、ABC粉末消火剤、泡
特定の消火方法:
・周辺火災の場合は、周辺の設備などに散水して冷却し、移動可能な容器はすみやかに安全
な場所に移動する。
・消火水や希釈水の流出により環境汚染を引き起こさないように注意する。
消火を行う者の保護:
有毒物質(酸化ニッケルヒューム等)が発生する可能性があるので、消火作業は必ず自給
式呼吸器等の保護具を着用し、風上から行う。
6.漏出時の措置
人体に対する注意事項:
・漏出場所の周辺にロープを張るなどして関係者以外の立ち入りを禁止する。
・回収作業の際には必ず保護具を着用し、眼及び皮膚への付着及び粉塵/破片の吸入を
避ける。
・漏洩場所は滑り易いため、注意を払うこと。
・漏洩場所を十分に換気すること。
環境に対する注意事項:
・粉塵/破片の空気中への飛散、土壌への浸入、下水、河川、排水溝等への流出を防ぐ。
封じ込め及び浄化の方法・機材:
・付近の着火源となるものを取り除き、火災発生の防止に努める。
・発塵させないこと。
・多量の場合、粉塵を発生させないように防爆型の掃除機で集め、空容器に回収する。
・少量の場合、ホウキ等で掃き集めるか、湿らせた後、空容器に回収する。
・回収物は「廃棄上の注意」の項の記載に準じて処分する。
7.取扱い及び保管上の注意
取扱い:・粉塵を発生させないこと。
・密閉された装置/機器類を使用するか、局所排気装置を使用して取扱う。
・粉塵の吸入及び眼、皮膚との接触は避ける。ばく露の恐れがある場合には、状況に応じて
適切な保護具を着用する。
・作業後はうがい、手洗い、洗顔を励行する。
・取扱い場所での飲食又は喫煙をしないこと。
・取扱い場所は火気厳禁とする。
・コバルトは労働基準局長通達により「感作性物質」に指定されており指針 1)に定められた
措置を講じて取扱う必要がある。
保 管:・プラスチック容器に保管すること。
・容器は確実に密閉し、乾燥した換気の良い冷暗所に保管する。
・保管場所は火気厳禁とする。
・漏出を防ぐため、容器は直立にして保管すること。
・容器を移し替えないこと。
・発塵すると、空気と混合により粉塵爆発を起こす恐れがあるため、静電気に対する予防措
置を講ずること。
・無機酸、強酸から離して保管する。
8.ばく露防止及び保護措置
設備対策:取扱い場所近くに、洗眼及び身体洗浄のための設備を設ける。
管理濃度:作業環境評価基準;0.02mg(Co)/m3(コバルト及びその無機化合物)
3.0mg/m3(粉塵)
(計算式) E=3.0/(1.19Q+1) 注) E=粉塵管理濃度(mg/m3),Q=遊離ケイ酸濃度
作成:2015年9月16日
[EOS NickelAlloy IN718 IN718_2.0.0] 株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ 4/6頁
8.ばく露防止及び保護措置(続き) 許容濃度:日本産業衛生学会(2015年) 2);1mg/m3(ニッケル)
0.05mg(Co)/m3(コバルト及びコバルト化合物)
0.5mg(Cr)/m3(クロム及びクロム化合物(金属クロム))
第3種粉塵として 2 mg/m3(吸入性粉塵),8 mg/m3(総粉塵)(その他の無機粉塵)
ACGIH-TLV(2015年) 3);(TWA)1.5mg/m3(I) (ニッケル)
(TWA)0.02mg(Co)/m3 (コバルト及びコバルト無機化合物)
(TWA)0.5mg(Cr)/m3
(クロム及び無機クロム化合物(金属及び三価クロム化合物))
(TWA) 3 mg/m3 (吸入性粉塵), 10 mg/m3 (総粉塵)
(不溶性または難溶性粒子として)
注) (TWA):時間荷重平均値(8時間),(I):Inhalable fraction
保 護 具:呼吸器の保護具: 防塵マスク(RS1,RS2,RS3,DS1,DS2,DS3)、送気マスク、
空気呼吸器等
手の保護具: 保護手袋
目の保護具: 保護眼鏡又は防災面
皮膚及び身体の保護具:長靴、前掛け、保護衣
9.物理的及び化学的性質
外 観 :灰色粉末
臭 い :無臭
引 火 点 :該当しない
発 火 点 :データなし
pH :データなし
密 度 :3.5~4.5g/cm3
溶 解 性 :データなし
(参考データ)4)
沸 点: 2730℃(ニッケル), 2870℃(コバルト), 2642℃(クロム)
融 点: 1455℃(ニッケル), 1493℃(コバルト), 1900℃(クロム)
密 度:8.9g/cm3(ニッケル), 8.9g/cm3(コバルト), 7.15g/cm3(クロム)
水溶解性:不溶(ニッケル, コバルト, クロム)
10.安定性及び反応性
安 定 性:通常の取扱い条件においては安定
特殊条件下で生じる危険な反応:
・無機酸、強酸との接触により水素を発生し、空気との爆発性混合物を生成する恐れがある。
・発塵すると、空気と混合により粉塵爆発を起こす恐れがある。
・燃焼により有毒ガス(酸化ニッケルヒューム等)が発生することがある。
11.有害性情報
急性毒性:ばく露により、健康障害を引き起こす恐れがある。
経口毒性;ラット LD50 >9000 mg/kg (ニッケル) 5)
ラット LD50 6171 mg/kg (コバルト) 5)
ラット LD50 750 mg/kg (鉄) 6) 注)LD50:50%致死用量
皮膚腐食性及び皮膚刺激性:データなし
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性:クロムは眼を刺激する。5)
呼吸器感作性又は皮膚感作性:ニッケル、コバルト及びクロムは、呼吸器及び皮膚感作性を有する。5)
産衛;気道感作性物質 第1群(人間に対して明らかに感作性がある物質)(コバルト)2)
気道感作性物質 第2群(人間に対しておそらく感作性がある物質)(ニッケル、クロム)2)
産衛;皮膚感作性物質 第1群(人間に対して明らかに感作性がある物質)(ニッケル、コバルト、クロム)2)
生殖細胞変異原性:
クロムはin vivoの体細胞変異原性(ラットの末梢血リンパ球の染色体異常)試験において陽性を
示した。5)
作成:2015年9月16日
[EOS NickelAlloy IN718 IN718_2.0.0] 株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ 5/6頁
11.有害性情報(続き) 発がん性:IARC ; グループ2B(作用因子はヒト発がん性の可能性がある)(ニッケル、コバルト及びコバルト化合物)3)
グループ3(作用因子はヒト発がん性については分類することができない)(クロム)3)
産衛 ;2B(人間に対しておそらく発がん性があると判断できる物質で証拠が比較的十分でない)
(コバルト及びコバルト化合物) 3)
ACGIH ;A3(確認された動物発がん性因子であるが、ヒトとの関連は不明)
(コバルト及び無機コバルト化合物) 3)
A4(ヒト発がん性因子として分類できない)(クロム)3)
A5(ヒト発がん性因子として疑えない)(ニッケル) 3)
NTP ; K(ヒト発がん性が知られている)(ニッケル) 3)
CLP ;カテゴリー2(発がんのおそれの疑い)(ニッケル) 7)
・米国カリフォルニア州法(Prop.65);発癌性物質(ニッケル(金属)、粉末コバルト金属)
生殖毒性:コバルトは精巣の組織学的変化や次世代の生存率の減少を示した。5)
特定標的臓器毒性(単回ばく露):
ニッケル ;呼吸器及び腎臓への障害がある。5)
コバルト ;呼吸器を刺激する恐れがある。5)
クロム ;全身毒性の恐れがある。5)
呼吸器を刺激する恐れがある。5)
特定標的臓器毒性(反復ばく露):
ニッケル ;呼吸器への障害がある。5)
コバルト ;呼吸器への障害がある。5)
吸引性呼吸器有害性:データなし
その他の情報:
EU CLP規則 付属書Ⅵ 7)
・ニッケル :皮膚感作性;区分1, 発がん性;区分2,
特定標的臓器毒性(反復ばく露);区分1
・コバルト :呼吸器感作性;区分1, 皮膚感作性;区分1,
水生環境有害性(長期間);区分4
12.環境影響情報 分 解 性:データなし
生態蓄積性:データなし
生態毒性:ニッケル及びコバルトは水生生物に対し長期の悪影響を及ぼす恐れがある。5)
オゾン層への有害性:データなし
13.廃棄上の注意 ・下水、河川、排水溝等の環境中へ廃棄しないこと。
・認可を受けた専門業者に委託する。
・廃棄の際は、付着物を完全に除去した後に処分する。
・関係法令を遵守し、自治体の指示に従う。
14.輸送上の注意
・国連分類:非該当 国連番号:非該当 応急措置指針番号:なし
海洋汚染物質:非該当
・容器の破損等の無いことを確かめ、衝撃、転倒、落下、破損のないように積み込み、荷崩れ防止を確実
に行う。
・その他輸送関係法規を厳守する。
作成:2015年9月16日
[EOS NickelAlloy IN718 IN718_2.0.0] 株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ 6/6頁
15.適用法令
労働安全衛生法:名称等を表示すべき危険物及び有害物(コバルト及びその無機化合物)
(ニッケル及びその化合物、クロム及びその化合物 ※平成26年6月1日から施行。)
名称等を通知すべき危険物及び有害物
(ニッケル及びその化合物、コバルト及びその化合物、クロム及びその化合物)
粉じん障害防止規則
労働基準法(基発第182号の2 平成8年3月29日):感作性物質(コバルト化合物)
(労働基準局長通達(基発第182号の2 平成8年3月29日))
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法):第1種指定化学物質(令別表1 No.308 ニッケル,
No.132 コバルト及びその化合物,
No. 87 クロム及び三価クロム化合物
*本製品中にニッケルを約52.5%、クロムを約19%含有する。
コバルトは1%未満のため該当しない。
水質汚濁防止法:指定物質(ニッケル及びその化合物、クロム及びその化合物、鉄及びその化合物)
じん肺法 :健康管理の対象となる粉じん作業(施行規則2条)
以下の法律には規制されない。 消防法、化審法(優先評価化学物質、特定化学物質)、毒劇物取締法、労働安全衛生法(危険物、鉛則、有機則、変異 原性が認められた化学物質)、船舶安全法、港則法、航空法
16.その他の情報
引用文献:
1)「労働基準法施行規則の規定に基づき労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物に係る
労働衛生対策について」(労働省労働基準局長通達 基発第182号の2 平成8年3月29日)
2) 「許容濃度等の勧告(2015年度)」;産衛誌 57巻,146(2015年)
3)Guide to Occupational Exposure Values (ACGIH 2015)
4)国際化学物質安全性カード(ICSC)日本語版(国立医薬品食品衛生研究所(NIHS))
5)GHS分類結果データベース(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)
6)Registry of Toxic Effects of Chemical Substances.(CCOHS)
7) EU CLP規則 付属書Ⅵ (JETOC 2010年)
記載内容の問合せ先:AMビジネスユニット 芦澤 悟
電話番号; 03-5711-5350
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