22
使Souilh л e, J. et A. Jagu, л Epict ω ete Entretiens, texte л etabli et traduit, 4 vols , Col- lection des universit л es de France, Paris, 1943 65.Boter, G. J , Encheiridion Epictetus, Bibliotheca Scriptorum Graecorum et Ro- manorum Teubneriana, Berlin, 2007.Wolf, H , Arriani Commentariorum de Epicteti Disputationibus Libri IV, Basel, 3 凡  例

『文庫 エピクテトス 人生談義(上)』 · 2020. 12. 1. · Epictetus: The Discourses as Reported by Arrian, the Manual, and Fragments,2vols , Loeb Classical Library,

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  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_han.ps : 0001 : 2020/11/17(13:49:30)

    凡  例

    一、本書は、歴史家アリアノスが哲学の師エピクテトスの言葉を書き記した『語録』

    『要録』および関連の断片、アリアノスの書簡一通を、『人生談義』の書名のもと収録

    したものである。上巻は『語録』

    全四巻)

    の第二巻までを収める。

    一、翻訳にあたって使用した底本、その他の校訂本は以下の通りである。

     (

    底本)

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    ilhлe,

    J.et

    A.Jagu

    ,лEpict ωete

    En

    tretiens,

    texteлetabli

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    Fran

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    aris,1943

    ㉕65.(

    『語録』)

    Boter,

    G.J

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    Epictetu

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    ibliotheca

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    o-

    man

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    Teu

    bnerian

    a,B

    erlin,

    2007.(『要録』)

     (

    その他の校訂本)

    Wolf,

    H

    ,A

    rriani

    Com

    men

    tariorum

    de

    Epicteti

    Dispu

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    3 凡  例

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_han.ps : 0002 : 2020/11/17(13:49:30)

    1560

    ㉕63.

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    ,1711.

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    2vols

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    1739

    ㉕41.

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    eipzig,1799

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    tentiae,

    Bon

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    1892.

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    issertationes

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    rriano

    Digestae,

    editiom

    aior,L

    eipzig,

    1894.

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    pictetus:

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    Fragm

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    2vols

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    ,1925

    ㉕28.

    Sou

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    J.et

    A.Jagu

    ,лEpict ωete,

    En

    tretiens,

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    Les

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    aris,1950.

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    chw

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    の研究に裨益されることが最も多かった。

    凡  例 4

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_han.ps : 0003 : 2020/11/17(13:49:30)

    一、新プラトン主義哲学者シンプリキオス(

    紀元後六世紀)

    による『要録』のギリシア語

    注解が現存する。D

    ψubner

    版のほかH

    adot

    による新しい校訂本がある。

    Dψubn

    er,F

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    aris,1877.

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    ,S

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    eiden,

    1996.

    Hadot,

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    tiondes

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    iversit лesde

    Fran

    ce,P

    aris,2001.

    一、同時代の資料としては、次の二点が重要である。

    Arn

    im,

    H.

    von,

    Stoicoru

    mV

    eterum

    Fragm

    enta,

    I

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    tuttgart,

    1903

    ㉕05.

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    Vitae

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    ilosophoru

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    2vols

    ,O

    xfordC

    lassical

    Texts,

    Oxford,

    1964.

     これらについては、以下の翻訳がある。

    ゼノン・クリュシッポス他『初期ストア派断片集』全五冊、中川純男、水落健治、

    山口義久訳(

    京都大学学術出版会、西洋古典叢書、二棚棚棚⊆棚六年)

    5 凡  例

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_han.ps : 0004 : 2020/11/17(13:49:30)

    ディオゲネス・ラエルティオス『ギリシア哲学者列伝』全三冊、加来彰俊訳(

    岩波

    文庫、一九八四⊆九四年)

    一、ギリシア語のカナ表記にあたっては、⒰、㏔、㎗をそれぞれ㎅、㎘、┇と区別しない。

    一、母音の長短は普通名詞において区別し、固有名詞においては原則として区別しない。

    一、節番号は、本文下にアラビア数字で付した。

    一、訳注は、本文に注番号を付し、巻末にまとめた。

    凡  例 6

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_mkj.ps : 0001 : 2020/11/20(09:10:25)

    目  次

    凡  例

    『語  録』

    15

    冒頭の挨拶状…………………………………………………………………………………………………17

    第一巻

    第一章 われわれの力の及ぶものとわれわれの力の及ばないもの…………20

    第二章 どのようにして人はあらゆる場合に人格にかなったこと

    を保持することができるのか…………………………………………………………28

    第三章 神が人間の父であるということから、どのようなことが

    結果するのか……………………………………………………………………………………36

    第四章 進歩について……………………………………………………………………………………38

    7 目  次

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_mkj.ps : 0002 : 2020/11/20(09:10:25)

    第五章 アカデメイア派に対して…………………………………………………………………44

    第六章 摂理について……………………………………………………………………………………47

    第七章 転換論法、仮定論法、および同類のものの使用について…………55

    第八章 能力は教育のない者には安全でないこと……………………………………62

    第九章 われわれが神と同族であることから、人はどのような結

    論に到達するのか……………………………………………………………………………65

    第一〇章 ローマで立身出世のために忙しかった人びとへ……………………72

    第一一章 愛情について…………………………………………………………………………………75

    第一二章 心の満足について…………………………………………………………………………86

    第一三章 どうすれば神々に気に入られるようにそれぞれの行動

    ができるのか…………………………………………………………………………………93

    第一四章 神々はすべての人間を見守っていること…………………………………95

    第一五章 哲学は何を約束するのか……………………………………………………………99

    目  次 8

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_mkj.ps : 0003 : 2020/11/20(09:10:25)

    第一六章 摂理について…………………………………………………………………………………

    101

    第一七章 論理学が必要なものであること…………………………………………………

    105

    第一八章 間違っている人に腹を立てるべきでないこと…………………………

    111

    第一九章 僭主に対してはいかなる態度をとるべきか……………………………

    116

    第二〇章 理性はいかにして自分自身を考察するのかについて……………

    123

    第二一章 驚嘆されることを好む人たちに対して……………………………………

    127

    第二二章 先取観念について…………………………………………………………………………

    128

    第二三章 エピクロスに対して……………………………………………………………………

    133

    第二四章 困難な状況に対してどのように挑むべきか……………………………

    135

    第二五章 同じ問題について…………………………………………………………………………

    140

    第二六章 生きるための法則は何か……………………………………………………………

    148

    第二七章 どれだけの種類の心像が生じ、これに対してさしあた

    ってどんな救助法をとるべきか…………………………………………………

    152

    9 目  次

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_mkj.ps : 0004 : 2020/11/20(09:10:25)

    第二八章 人びとに対して怒るべきではないこと、そして、人び

    との間では何が小事で何が大事か……………………………………………

    157

    第二九章 不屈の精神について……………………………………………………………………

    165

    第三〇章 困難な状況にいかに対処すべきか……………………………………………

    179

    第二巻

    第一章 大胆であることと用心することは矛盾しないこと……………………

    182

    第二章 心の平静について……………………………………………………………………………

    192

    第三章 哲学者を推薦する人びとに対して…………………………………………………

    197

    第四章 かつて姦かん通つう罪で捕まったことのある人に対して…………………………

    199

    第五章 いかにして高邁な心と細心さは両立するか…………………………………

    202

    第六章 善悪と無関係なこと…………………………………………………………………………

    209

    第七章 どのように占うべきか……………………………………………………………………

    215

    目  次 10

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_mkj.ps : 0005 : 2020/11/20(09:10:25)

    第八章 善の本質について……………………………………………………………………………

    218

    第九章 われわれは人間の務つとめをはたすことができないのに、哲

    学者の務めを引き受けていること…………………………………………………

    225

    第一〇章 いかにしていろいろな呼称から義務を見出すことがで

    きるか……………………………………………………………………………………………

    230

    第一一章 哲学の始めは何であるか……………………………………………………………

    236

    第一二章 問答することについて…………………………………………………………………

    242

    第一三章 不安を抱くことについて……………………………………………………………

    248

    第一四章 ナソに対して…………………………………………………………………………………

    256

    第一五章 決めたことを頑固に守り通そうとする人びとに対して…………

    263

    第一六章 われわれは善悪に関する教説を実行する練習をしてい

    ないこと…………………………………………………………………………………………

    268

    第一七章 どのように先取観念を個々の場合に適合させるべきか…………

    279

    11 目  次

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_mkj.ps : 0006 : 2020/11/20(09:10:25)

    第一八章 いかにして心像と戦うべきか……………………………………………………

    288

    第一九章 哲学者たちの教説をただ言葉だけで取り上げる人びと

    に対して…………………………………………………………………………………………

    294

    第二〇章 エピクロス派とアカデメイア派に対して…………………………………

    303

    第二一章 首尾一貫しないことについて……………………………………………………

    313

    第二二章 友愛について…………………………………………………………………………………

    319

    第二三章 語る能力について…………………………………………………………………………

    329

    第二四章 エピクテトスに評価してもらえなかった人に対して……………

    339

    第二五章 論理学はどうして必要か……………………………………………………………

    348

    第二六章 過失に固有なことは何か……………………………………………………………

    349

    訳  注

    351

    解説エピクテトスの生涯と著作

    415

    目  次 12

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_mkj.ps : 0007 : 2020/11/20(09:10:25)

    下巻目次

    『語  録』

      第三巻

      第四巻

    断  片

    『要  録』

     訳  注

     解説エピクテトスの思想

    索引(

    人名/事項)

    13 目  次

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_mkj.ps : 0008 : 2020/11/20(09:10:25)

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_ast.ps : 0001 : 2020/11/17(14:12:08)

    『語  録』

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_ast.ps : 0002 : 2020/11/17(14:12:08)

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_ast.ps : 0003 : 2020/11/17(14:12:08)

    冒頭の挨拶状

    アリアノスからルキウス・ゲリウスへ、ご機嫌よろしく

     私はエピクテトスの講話を、人がこの種のものを著すようなしかたで著しはしません

    でしたし、みずから公にするようなこともしませんでした。とにかく、そもそも私は著

    すことをしなかったと主張するからです。むしろ、彼が語るのを直接聞いたことを、で

    きるだけ彼の言葉そのままに、書きとめたのです。後日のために彼の思想や率直な話し

    ぶりの覚え書きを残しておこうと思ったわけです。ですから、当然ながら、これは人が

    相手にその場で話すようなものでありまして、後日人びとに読ませるために書かれたも

    のではありません。こういう性質のものでありますのに、どういうわけか、そのつもり

    がないのに、私の知らないうちに世間に出るようなことになってしまいました。けれど

    も、著作をするだけの十分な力がないと思われましても、私には大した問題ではありま

    せんし、またエピクテトスの講話を軽蔑する人があっても、彼自身にとってはなんでも

    �����

    17 冒頭の挨拶状

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_ast.ps : 0004 : 2020/11/17(14:12:08)

    ないのです。なぜなら、明らかに、エピクテトスが話しているときは、ただひたすら聴

    衆の心が最善のものに向かうことだけを意図していたからです。もしこの講話がそのよ

    うな成果をあげたとすれば、それは哲学者たちの言葉が当然もっているはずのものをも

    っているからだろう、と私は思います。またたとえもっていないとしても、エピクテト

    スがこの講話をしているときに、受講していた人びとはエピクテトスがそういう気持ち

    になってほしいと望んでいた気持ちにならざるをえなかったということを、読者は知る

    べきです。だが、もしこの講話がそれだけでこのような成果をあげないとしたら、おそ

    らくその責任は私にあるでしょうし、またそうならざるをえないということでありまし

    ょう。お元気で。

    ��

    『語  録』 18

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_01_01_10.ps : 0001 : 2020/11/17(14:15:17)

    第一巻

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_01_01_10.ps : 0002 : 2020/11/17(14:15:17)

    第一章 われわれの力の及ぶものとわれわれの力の

    及ばないもの

     他の能力

    1)

    のうちどれひとつとして、その能力自体を考察するものではなく、それゆえ

    それ自体を是認したり否認したりするものではないことが分かるだろう。読み書きの能

    力には、どの程度まで考察する力があるのか。書かれた文字を識別するところまでであ

    る。音楽の能力はどうか。旋律を識別するところまでである。それではこれらの能力の

    うち自分自身を考察するものはあるのか。けっしてないのだ。もし君たちが仲間に手紙

    を書こうとして、書くべき言葉に困るような場合には、読み書きの能力が教えてくれる

    だろう。しかし、その仲間に書くべきか書くべきでないかについては、読み書きの能力

    は教えてくれない。同様に、旋律について音楽の能力は教えてくれるが、いま歌うべき

    か、竪琴を弾くべきか、それとも歌うべきでないか、竪琴を弾くべきでないかについて

    ���

    『語  録』 20

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_01_01_10.ps : 0003 : 2020/11/17(14:15:17)

    は、教えてくれない。では、どんな能力が教えてくれるのか。それ自体もほかのあらゆ

    ることも考察する能力である。しかし、それはどんな能力なのか。理性的な能力

    2)

    である。

    なぜなら、この能力だけが、それ自体が何であり、何をすることができ、どれだけの価

    値を有するものであるか、そしてほかのすべての能力についても同様に考量するものと

    して備わっているからである。黄金が美しいと言うものはほかに何があるだろうか。黄

    金自体はなにも言わない。明らかに黄金が美しいと言うのはさまざまな心像

    3)

    を用いる能

    力である。音楽の能力、読み書きの能力、残りのさまざまな能力を判定し、そうした能

    力の用途を見極め、それらを用いる好機を示すものとして、ほかに何があるだろうか。

    ほかにはなにもないのだ。

     ところで、もともと当然のことであるのだが、神々はあらゆることのうちで最も優れ

    た最も大切なこととして、心像の正しい使用だけをわれわれの力の及ぶところに置いた

    が、残りのことはわれわれの力の及ぶところには置かなかった。はたしてそれは神々が

    そのことを望まなかったからであろうか。もし神々にそれができたのであれば、残り

    のこともわれわれに委ねたことであろうと私は思うが、神々には全然できなかったの

    だ。というのは、われわれが地上にあり、このような肉体に、このような仲間に縛られ

    ����

    21 第 1巻 第 1章

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_01_01_10.ps : 0004 : 2020/11/17(14:15:17)

    ているかぎり、このようなことに関して外的なもの

    4)

    によって妨げられないでいられただ

    ろうか。

     しかし、ゼウスは何と言うだろうか。

     「エピクテトスよ、もし可能であったなら、お前のちっぽけな体もわずかな持ち物も

    自由で、なにものにも邪魔されないものにしたであろう。しかし、実際は、忘れてはい

    けないぞ、これはお前の体ではないのだ。むしろ、上手に捏こねられた土くれなのだ。私

    はそれができなかったからこそ、われら神々の一部であるこの衝動と反発の能力、欲求

    と忌避の能力、要するに心像を用いる能力をお前にあたえたのだ。この能力に留意し、

    お前のものをこの能力に託すならば、けっして邪魔されることはなく、けっして妨害さ

    れることもなく、嘆いたり、咎とがめたり、だれにもへつらったりすることはないであろう。

    どうかね。これらのことをお前はつまらないことだと思うのではないだろうね」

     「思いたくありません」

     「それではそれらのもので満足なのかね」

     「はい、神々に感謝いたします」

     しかし、現にわれわれはひとつのことに心を配り、ひとつのものに専念することがで

    ����������

    『語  録』 22

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_01_01_10.ps : 0005 : 2020/11/17(14:15:17)

    きるのに、多くのことに心を配り、身体、財産、兄弟、友人、子供、奴隷といったたく

    さんのものに縛りつけられることを好んでいる。このようにして、たくさんのことに縛

    りつけられているために、それらによって重苦しい気持ちになったり引きずられたりす

    るのだ。それだから、航海できない時などは、いらいらしながら座ってたえず様子をう

    かがっている。

     「どんな風が吹いているのか」

     北風だ。それがわれわれに何の関わりがあるのかね。

     「いつになったら西風が吹くのだろうか」

     ねえ君、それは西風の、あるいはアイオロス

    5)

    の気が向くときだよ。だって、神さまが

    風を司る者にしたのは君ではなくアイオロスなのだからね。

     「とすると、どうすればいいのか」

     われわれの力の及ぶものは、最も善いように処理しなければならないが、力の及ばな

    いものは自然のままに扱うようにしなければならないということだ。

     「自然のままにとはどういうことだ」

     神が望むままにということだ。

    ������

    23 第 1巻 第 1章

  • 文庫 エピクテトス 人生談義(上)aa01487_h_01_01_10.ps : 0006 : 2020/11/17(14:15:17)

     「それでは、私だけが首を切られねばならないのか」

     何だって。君は自分の慰めになるように、みんなの首が切られることを望むのか。

     ローマでラテラヌス

    6)

    という男が、皇帝ネロによって斬首を命じられたときにやったよ

    うに、首を差し出すことを君は望まないのか。この男は自分の首を差し出したとき、打

    撃が弱かったために少し首を引っ込めたんだが、再びまた差し出したのだ。さらにそれ

    以前にも、ネロの解放奴隷であるエパプロディトス

    7)

    がやって来て、主人に対する陰謀に

    ついて詰問したときにも、「もし答える気があれば、お前の主人に言うだろう」と答え

    ている。

     それでは、このような場合に何が自分の手元にあるのだろうか。何が私のものであり、

    何が私のものではないのか、何が私には許されており、何が私には許されていないのか

    を知ること、これ以外に何があるだろうか。

     私は死ななければならない。しかしだからといって、嘆きながらそうせねばならない

    というのではないだろう。縛られねばならない。しかし、悲しみながらというのではな

    いだろう。追放されねばならない。だからといって、笑って機嫌よく心にゆとりをもっ

    てそうされるのを妨げる人がいるというのではないだろう。

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    『語  録』 24

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