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佐賀県人権・同和教育研究協議会 教育内容の創造委員会発行 あなたもわかる わたしもわかる 人権・同和教育Q&A集 part

あなたもわかる わたしもわかる 人権・同和教育Q&A集 Ⅱsadoukyo.juno.weblife.me/_src/sc1209/q26a_part21.pdf佐賀県人権・同和教育研究協議会 教育内容の創造委員会発行

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  • 佐賀県人権・同和教育研究協議会 教育内容の創造委員会発行

    あなたもわかる

    わたしもわかる

    人権・同和教育Q&A集 partⅡ

  • もくじ

    Q1 「人権」とは? ・・・ 1

    Q2 なぜ部落史・部落問題学習に取り組むのですか? ・・・ 2

    Q3 水平社宣言に込められた想いとは? ・・・ 3

    Q4 「識字」「識字学級」って知っていますか? ・・・ 4

    Q5 「差別語」とは? ・・・ 5

    Q6 インターネット等で使われている「チョン」って

    どんな意味なの? ・・・ 6

    Q7 ステレオタイプとは? ・・・ 7

    Q8 ジェンダー(gender)とは、どんな意味ですか? ・・・ 8

    Q9 ノーマライゼーションとは? ・・・ 9

    Q10 ユニバーサルデザイン(UD)って何? ・・・10

  • 1

    私たちは日常生活の中で『人権』を意識するということは、自分の生活に支障を来たさない限りほとんどありません。それは、今の日本が憲法で国民の人権を基本

    的人権として保障しているからです。また、多くの国民は人権が保障されている社

    会を前提としているため、目に見えないながらも安心感を抱いて毎日の生活を送っ

    ています。このことは日本ではあたり前のことですが、世界に目を向けると、日常

    生活が脅かされたり、もしくは社会生活で様々な制約を強いられていたりする国も

    あります。日本の戦前も同じように人権が抑圧された国でした。

    私たちが当たり前のように享受している人権には、部落問題に対する差別解消を

    求める活動と闘いが源流として流れています。その闘いは今も同和問題という社会

    の大きな人権課題の一つとして引き継がれています。同和問題に限らず様々な人権

    課題への闘いは、国の政治体制や社会のあり方によって違いますが、個人や団体の

    『人権』を求める歴史的な闘いの中で継続され、現在も今日の問題として続いてい

    ます。今の日本の社会の中では人権が国家との関係の中において、あまり意識され

    なくなっていますが、個人や組織との関係の中では『人権』に対する課題はますま

    す多くなっています。

    私たちがよりよい社会をめざし、また個人が自己の生き方や価値観の多様性を求めていけば、様々な人権課題に遭遇していきます。しかしながら、アンサーにある

    ような個人の様々な生き方が容認される社会こそが、豊かな社会の指針でもあるの

    です。「他人事」、「自分には関わりのない事」という、無頓着・無関心な認識の

    中にこそ、残念ながら『人権』を軽視し、「人権感覚」が育たない社会が潜んでい

    るようです。人権感覚が育っていない社会では、決して「差別」は無くならないし、

    様々な人権課題の解消は望めません。大きな意味でも、身近な意味でも『人権』と

    は私たちの生活や多様な生き方を国が保障し、絶えず私たちが尊重し、求め続けて

    いかなければならない権利なのです。

    【参考文献】◇『人権ってなに Q&A』 解放出版 ◇『新世紀百科事典』 学習研究社

    Q1:『人権』とは?

    A: 人が人らしく、自分が自分らしく生きるために

    人間が生まれながらにしてもっている権利、

    基本的人権として憲法で保障されている権利の事です。

  • 2

    部落問題とは、被差別部落に生まれたという、本人の責任ではないことで、就職や結婚等、生活上の様々な場面で不利益をこうむり、差別を受け、時としてそのことで「自らの命を絶つ」までになるという社会問題です。これを解決

    するために行われるのが部落史・部落問題学習です。 これらの学習は、単に「差別の歴史」を学んだり「差別の実態」を知識として身につけたりするために行うのではありません。 部落史・部落問題学習の目的は、

    ・差別者にならないように自分自身を見つめていける子どもたちを育てていく ・差別解消を担う子どもたちを育てていく

    ことです。 私たち大人も子どもたちも、いつ差別意識に出会い、いつ差別者になるかもわかりません。これは大変不幸なことです。 ですから、

    ・自分の心の中にある差別意識を自覚し、反差別の精神と差別をはねのけてい

    く行動力を身につける ・差別と闘っている人々の生き方から、自分のつらさと向き合い、そのつらさを仲間とつながって乗り越えていく強さと温かさを身につける

    ために部落史・部落問題学習はとても大切です。 部落史・部落問題学習を通して・・・・ 「差別とは何か=差別の本質」をつかむことができます。差別の本質がわ かれば、差別を無くしていく方法が見えてきます。すべての子どもたちの ために部落問題を学んでいくという姿勢が何より大切です。

    Q2:なぜ部落史・部落問題学習に取り組むのですか?

    A:きびしい部落差別を解消し、一人ひとりの反差別への力量を高めるうえで、どうしても欠かせない大切な学習だからです。

  • 3

    1922年3月3日、京都岡崎公会堂は、全国から集まった人々で埋

    め尽くされ、熱気と感動に包まれました。駒井喜作(こまいきさく)によ

    って水平社宣言が朗読されます。駒井は涙で何度も絶句しながらこの宣

    言を読み終えました。水平社宣言は、西光万吉(さいこうまんきち)によっ

    て草案が起草され、平野小剣(ひらのしょうけん)がそれを添削するかたち

    で完成したといわれています。

    水平社宣言は、「差別に苦しんできた人々」自らが、全国の仲間に団

    結を呼びかけ立ち上がったという点において画期的でした。また、日本

    の歴史上、唯一の「人権宣言」といわれる水平社宣言にうたわれている

    ように、この運動が全人類の平等をめざして出発したところ、そして、

    民主主義の意味を具体的に提起しているところに大きな意義があります。

    Q3:水平社宣言に込められた想いとは?

    A:水平社宣言は「差別に苦しんできた人々」だけではなく、世の中全

    ての人々が自信を持ち、あたたかい気持ちで安心して生きることが

    できる、そんな世の中になることをめざして作られたものです。そ

    のためには、全ての人が自分のことを誇りに思うという自己肯定感

    が必要であり、その上で、お互いに尊重し合う仲間と繋がり、団結

    していくことが必要であるという想いが込められています。

  • 4

    Q4:「識字」「識字学級」って知っていますか?

    A:「識字」とは、日常生活に必要な文字や数字の読み書きが十分にできる能力の

    こと。その能力を持たないことを「非識字」といいます。

    識字【リテラシー】とは、文字や言葉の読み書きを学ぶことにとどまらず、現在で

    は社会生活を営むための基礎的な力や、進歩する社会に自ら参加する知識や技能、さ

    らには社会を批判的に認識し変革していく力をも意味しています。「非識字」である

    ことは、日常生活が不便なだけでなく、社会参加ができない、人間として尊厳を奪わ

    れ、自信を持って生きられないという、まさに基本的人権に関わる重大な問題です。

    だからこそ、文字の読み書きができるようになることは、人と人、人と社会をつなぐ

    大切なコミュニケーションの手段でもあり、喜びでもあります。 国際連合は、2003年から2012年までの10年間を 「国連識字の10年」と決めました。すべての人が読み書き の能力を取得することが、基礎教育を保障することであり、 貧困をなくし、男女平等社会を実現するための必須条件だと しています。

    A: 「識字学級」とは、差別により学校に行けず「文字を奪われた」人たちが、

    「文字を奪い返し、差別をなくしていくため」に学習している場です。

    いろんな理由から小学校にも行けず、教育を受けることができなかった人がいます。 部落差別や貧困で、また、いわゆる「障がい」を理由として教育の機会から疎外され て文字の読み書きに不自由している人々、日本に在住する朝鮮民族(コリアン)を中

    心とした在日外国人、中国残留日本人孤児等、識字教育を必要とする人々は多数存在 しています。理由は様々ですが、その結果として「文字を奪わ

    れた」人たちが日本には現実にいます。その人たちが「文字

    を取り戻す」ために学習しているのが「識字学級」なのです。

    現在、全国で約600もの学級があるといわれています。 【参考文献】 ◇県政だより奈良 ~文字から生きる力を ◇鮎喰識字解放学級 大阪府茨木市識字推進指針 他

  • 5

    Q5:「差別語」とは?

    A:差別語は、文字通り人を差別するためにつくられた言葉です。

    個人または集団、いずれの場合も、差別語は受け手に深刻な精神的ショッ

    クを与え、時には尊い命さえも奪ってしまいます。日本国憲法 14 条におけ

    る根源的な人間の自由・平等の精神に照らし、言葉による差別も当然許され

    ないと考えます。

    差別語は歴史的にみると、「穢多」「非人」などの封建制下の身分差別の言

    葉があり、今でもその言葉が残り、その言葉を使ってしまい指摘を受けると、

    〈ついうっかり〉〈軽い気持ちで〉〈差別の意図はなかった〉と弁解するのが

    通例になってしまっています。これは社会における差別実態が存在し、社会

    意識が低いものと思わざるをえません。

    現代でもマスメディアが『禁句集』『べからず集』を作って、例えば「人

    夫」→「労働者・作業員」に、「つんぼ桟敷」→「事情を知らされない・局

    外に置かれる」などと言い換えました。しかし、たとえ言葉を言い換えたと

    しても、人権問題への取り組みが伴わないなかでは本末転倒であるといわざ

    るを得ません。言論表現の自由は基本的人権の最たるものですが、差別する

    自由は認められません。

    学校教育においては、差別語のもつ厳しさや恐ろしさを伝え、言葉による

    差別に対しても、絶対に許さない子どもたちを育む教育(人権・同和教育)

    が必要です。

    そして、子どもたちに過去の様々な時代の中で差別を受けてきた人々の痛

    みに共感させ、差別の無意味さを感じ取らせることは、今日の社会生活にお

    いても差別の根本的な解消の為に欠かせない要素です。

    差別語は、歴史的に差別をするためにつくられた言葉であり、その差別語

    が今日でも根強く残り人々を苦しめ、時には死に追いやっている現実があり

    ます。

    人権・同和教育への積極的な取り組みをすることは、差別語の意味を正し

    く認識し、ののしりや嘲笑、排除や嫌悪を示す差別語を自主的に「使えない

    言葉」や「使いたくない言葉」へと変えていく子どもを育むことにつながり

    ます。

    【参考文献】

    ◇人権事典(差別語―部落問題)

    ◇曹洞宗宗務庁編『差別を考えるガイドブック』(解放出版社、1994)

  • 6

    Q6:インターネット等で使われている「チョン」って どんな意味なの?

    A:「チョン」は、韓国や北朝鮮、在日コリアン(注1)を侮蔑する言葉 としてインターネット等で使われています。

    「ちょん」と言う言葉は、江戸時代から江戸の庶民の間で、人を見下した表.......

    現の例え....

    として使われていたという説があります。1870 年代(明治 3 年頃)に書かれた『西洋道中膝栗毛』に「ばかだの、ちょんだの、野呂間だの」という

    表現が使われています。

    しかし、明治時代になると日本は欧米諸国と争うように植民地政策をおし進

    め、アジアの国々を侵略し始めます。中国人を「チャンコロ」、朝鮮民族に対

    しては「チョウセン」や「チョン」と呼び、国に対してだけでなく、そこに住

    む人々の人格を否定するかのような政策をとるようになっていきました。日本

    人のアジアの人々に対する異常ともいえる優越感は、明治・大正・昭和の時代

    における国策「神国日本」教育によりさらに増幅され、私たちの日本人の心に

    すり込まれてきたと考えられます。

    現在使われている「チョン」の語源については、国の名前に由来するとか、「朝

    鮮人」が省略されたという説、朝鮮で未婚の男性が結っていた髷まげ

    の「チョンガ

    ー(総角)」に由来するという説、「朝鮮高校生」の省略である「朝高」が「チ

    ョン公」に転化した言葉である等、もっともらしい説を述べる人もいますが、

    いずれにしても人を見下す考えがもとになり、朝鮮民族を著しく侮蔑するとき..............

    に用いられている........

    のはまちがいありません。

    ポイント

    注1 在日コリアン・・・・ 日清、日露戦争以降、日本の植民地政策により、強制徴用され

    日本に連れてこられた人や、住みなれた土地を奪われたため、仕

    事を求め日本にやってきたアジアの人たちが、第2次世界大戦後

    も様々な理由で日本に暮らしています。中でも朝鮮半島出身の人

    々は特に多く、戦後日本に帰化しなかった人たちは国籍上在日韓

    国人や在日朝鮮人として生活しています。しかし、北や南ではな

    く朝鮮民族は一つであるという考えから、今日では在日コリアン

    として表現するのが一般的になってきました。

    1980年代まで、私たちはこの言葉の持つ差別性や悲しさに気づくこと

    なくインスタントカメラを「バカチョンカメラ」と呼び、当たり前のように

    使っていました。しかし、「同和」教育の広がりとともにこれらのおかしさ

    に気づき、声を上げる仲間が増えてきました。日本に住むすべての人が、地

    球市民として、ひとりの人間として互いに尊重しあえる社会をめざし前進し

    ています。

  • 7

    日常生活において、次のようなことはないでしょうか。

    私たちは、このように割り込み運転や違法駐車などをした当事者が

    問題であるというよりも、「大阪人全体がガラが悪い」という決めつけ

    をしてしまうことがあります。

    上記のように、わずかな情報からすべてを決めつけるようなわたし

    たちの心の中のメカニズムのことをステレオタイプと呼んでいます。

    他に、「アメリカ人は・・・」「在日韓国・朝鮮人は・・・」「被差別

    部落の人は・・・」など、思いこみで物事を見たり判断したりしがち

    なのです。

    ステレオタイプで物事を見たり判断したりすることが日常化してく

    ると、わたしたちの心の中に大きな差別を生みだしていきます。おた

    がいに、地球の仲間である“人間”を、一面からだけみて評価するの

    ではなく、もっとさまざまな角度からみていけるような柔らかい発想

    を持ちたいものです。

    【参考文献】◇『偏見と差別のメカニズム』 中川喜代子著 明石書店

    Q7:ステレオタイプとは?

    A:あるグループの人びとに対して、同じ型にはまったような、あ

    まり好意的ではないイメージのこと。

    役 所 の 人 は 、 頭 が

    堅 く て 融 通 が き か

    な い の よ ね ・・・。

    女 性 は い つ も 長

    電 話 す る な あ 。

    大 阪 人 は 面 白 い し ざ っ く ば ら ん だ け ど 、

    ガ ラ が 悪 い な あ 。 割 り 込 み 運 転 は す る

    し 、 違 法 駐 車 を 平 気 で や る し ・ ・ ・ 。

    大阪人のAさんは割り込み運転をよくやる 事実

    大阪人は割り込み運転をよくやる ステレオタイプ

    大阪人は割り込み運転をよくやるからきらいだ 偏見

    大阪人は割り込み運転をよくやるからきらいだ

    だから、大阪人の運転する車に乗らない 差別

  • 8

    Q8:ジェンダー(gender)とは,どんな意味ですか?

    A:性の違いに起因する、文化的・社会的につくりあげられた差別のこと

    です。

    本来は性区別を意味する用語です。性差別分業が男女に二分化されると、

    経済活動は男に集中し、女は男の補助者で、その性ゆえに無償労働領域:産

    む、育てる等の役割と位置づけられました。しかし、1960 年代後半から世界

    的に広がりを見せたフェミニズム(女性解放思想)のなかで「男は仕事、女

    は家事・育児」という固定的な性別役割分業が性差別を形成すると指摘され

    ました。以来、差別を解消するさまざまな営みの中で、性の違いによる差別

    の現実が次々と明らかにされてきました。これらの現実を一人ひとりの課題

    とし、性の違いによる差別をなくしていこうとする取り組みが進められてい

    ます。

    男の子

    は黒!

    子どもたちが、自分自身を正しく理解し、性別にかかわらず自分のよさ

    を伸ばしていこうとする態度を育むとともに、子どもたち一人ひとりの個性

    やよさを認め、一人ひとりが自信を持って行動できるような働きかけを発達

    段階に応じて行っていくことが必要です。 例えば、学校においては、次のようなことが挙げられます。

    ・ 性別によって人を差別しない男女平等意識の徹底

    ・ 家庭科の男女必修化などに表される、一人ひとりの生活の自立に向けた

    学習

    ・ 男女対等な関係の中で、自分の身体を大切にできる性教育の実施

    ・ 性別役割分担意識の影響を受けずに自らの意思で進路を決めることがで

    きるような進路指導

    このように性差別撤廃のためには、ジェンダー・フリー教育が必要だとさ

    れています。そのためにも、まず教師や保護者自身が自分自身をみつめ直し、

    ジェンダー・フリーの考えをもつ必要があります。

    【参考文献】

    ◇井上輝子「日本のフェミニズム」全 8 巻(岩波書店、1994~95)

    ◇j.マネー他「性の署名」(朝山新一他訳、人文書院、1979)

    ◇熊本県男女協同参画ホームページ等

    き い ろ い ラ ン ド

    セ ル が ほ し い よ

    ~!

    しかし、未だに性別による固定的な役割分担意識 があり、学校や家庭においても、知らず知らずのう

    ちに子どもたちに対して、性別によって指導や援助

    の仕方に差をつけたり、関わり方を区別したりして

    しまうことがあるのではないでしょうか。 現在でも教師や保護者が時として、男性や女性の

    あるべき姿を無意識に固定化してしまい、子どもた

    ちに誤った認識を刷り込んでいます。

  • 9

    ノーマルは「正常な、普通の」という意味の英語で、ノーマライゼーションとは、

    「正常にする、普通にする」という意味の言葉です。

    ノーマライゼーションとバリアフリー

    日本でも1981年の「国際障害者年」をさかいにノーマライゼーションの考え

    方が広まり、その理念を実現する大きな要素として注目されているのが、バリアフ

    リーです。「障がい」者を不自由さの大きい人ととらえ、誰もが家庭や地域の中で

    人間らしく生活する、そして社会参加したい時に自由に参加することができるよう

    な社会にするために、壁(バリア)を取り除いていくことが、バリアフリーなので

    す。

    ノーマライゼーションの現状

    バリアフリーの根底にあるノーマライゼーションですが、段差の解消、スロープ、

    点字ブロックの整備など物理的、制度的な課題もたくさんあります。しかし、ある

    意味で、もっとも高い壁になっているのは、差別や偏見、誤解といった「心のバリ

    ア」かもしれません。

    【参考文献】 ◇『ノーマライゼーションのすすめ』首相官邸キッズルーム☆ウェッブ・マガジン

    Q9:ノーマライゼーションとは?

    A:世の中には、さまざまな人がいます。高齢者や子ども、女性や男性、力の強い

    人がいれば、弱い人もいます。人間は、違いがあって当然です。そんな違いを

    認めあって、社会をすべての人々が普通に暮らしていけるようにすることが

    「ノーマライゼーション」なのです。

  • 10

    Q10:ユニバーサルデザイン(UD)って何?

    A:ユニバーサルデザインとは、ユニバーサル(Universal)=普遍的な・全体の、

    という言葉が示しているように「全ての人のためのデザイン」を意味し、文化や

    言語、能力や年齢、「障がい」の有無などにかかわらず、最初から、できるだけ

    多くの人が利用可能であるように施設や製品、情報をデザインする事をいいます。

    1985 年に、ノースカロライナ州立大学(米)のロナルド・メイス氏によって正式に提唱されたこの言葉は、7つの原則が提案されています。

    具体的には、以下のようなデザイン例があります。

    ポイント

    ▽絵文字(ピクトグラム)の一例 ▽多目的トイレ ▽手すり付きスロープ

    【参考文献】:◇wikipedia 三重県ユニバーサルデザインのまちづくり KOKUYOホームページ ◇日本介護食品協議会 ぬくもり 佐賀県庁ホームページ いわたUDフォント 他

    ① 誰でも公平に使えること

    ② 使う上で自由度が高いこと

    ③ 使い方が簡単で、すぐに分かること

    ④ 必要な情報がすぐに分かること

    ⑤ うっかりミスが危険につながらないこと

    ⑥ 身体への負担が少ないこと(弱い力でも使えること)

    ⑦ 動きやすいスペースと大きさがあること

    ・「安全」に配慮された自動ドア、エレベーター、ホームドアなど

    ・温水洗浄便座

    ・文字の代わりに絵文字(ピクトグラム)を使っての各種の表示

    ・パソコンの操作を、キーボードやマウスだけでなく、ほかの入力手段に対応させる

    こと

    ・リンスの容器と区別するために刻まれたシャンプー容器のギザギザ

    ・缶に打ち出されたアルコール類を知らせる点字 等々

    !? バリアフリーとユニバーサルデザインの違いは…

    バリアフリーとは「障がい」者や高齢者など、特定の人に対して、特別な設備や表

    示方法で、生活していくうえでのバリア(「障がい」・不便)を取り除いていこうとす

    る考え方です。バリアフリーは、問題を発見しその解決を図るものであり、ユニバー

    サルデザインは、はじめから「障がい」者や高齢者を含めてできる限り多くの人に使

    いやすいよう考えてつくるものです。

  • 編集後記 この人権・同和教育Q&A集は、日常生活や教育現場の先生方の疑問の声に対

    応しようと、昨年に引き続き、教育内容の創造委員会で作成しました。多くの

    方々に、研修等で活用していただければ幸いです。この冊子がわたしたち一人

    ひとりの人権意識を高め、差別をなくす社会をつくるきっかけとなることを願

    っています。

    発行者

    2009年度 佐賀県人権・同和教育研究協議会 教育内容の創造委員会

    編集委員

    井崎 秀樹 (鳥栖商業高校) 城島 美鈴 (牛津小学校)

    伊東 弘至 (鹿島西部中学校) 遠矢 和江 (佐志小学校)

    今田 ゆかり(塩田小学校) 外尾 俊成 (鹿島小学校)

    岡 真由美 (多久東部小学校) 吉武 雄三 (城東中学校)

    紀伊 和子 (日新小学校)

    (五十音順)