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硬質塩 ビ板 の各種規格 (JIS, ISO, ASTM) の試験片形状

によ る衝撃値 間の関係＊

植 村 幸 生＊＊ 山 城 貞 男＊＊＊ 小 林 政 治郎＊＊

Correlation between Impact Strengths Measured on the Basis of

Various Standards for Rigid PVC Plates

by

Yukio UEMURA, Sadao YAMASHIRO and Masajiro KOBAYASHI

(Government Industrial Research Institute, Osaka, Ikeda)

The Charpy method and the Izod method are usually applied to test of impact strength ofrigid PVC plate. There are some differences between various standards on shapes and dimension ofthe Charpy impact test specimens. Ten kinds of rigid PVC plates have been tested according tothe JIS, the ISO and the ASTM Charpy impact testing methods, and also to the ASTM Izod impacttesting method. The results obtained are summarized as follows:

(1) JIS Charpy impact strengths (JIS・akC) of the test plates take the values from 2.3 to 8.4 kg-

cm/cm2.

(2) ISO Charpy impact strengths (ISO・akC) of the test plates, except an extruded one, take

roughly a constant value i.e. 2.5kg-cm/cm2.

(3) ASTM Charily impact strengths and ASTM Izod impact strengths show similar characteris-

tics. Their characteristics are both divided into two groups, i.e. ductile group (JIS・akC>5kg-cm/cm2)

and brittle group (JIS・akC<5kg-cm/cm2). The characteristics of ductile and brittle groups are similar

to those of JIS・akC and ISO・akC respectively.

(4) The above mentioned phenomenon is caused mainly by the difference of notch depth.(5) There are approximately linear relationships between various impact strengths except a few

values. The regression lines shown in Table IV can be used for conversion of an impact strengthinto another one. (Received Apr. 28, 1966)

1 ま え が き

硬質塩 ビ板 の衝撃試験には, 薄板が主対象であ る落

球式衝撃試験 を別 に たて, シ ャル ピーおよびアイゾッ

トの二つの衝撃試験 が慣用 されてい る. たたが って こ

れ ら二つ の衝撃値間の関係 が問題 にな る. さらに同じ

シ ャル ピー衝撃試験 とい って も, 各規格に よって試験

片の形状 ・寸法, その採取方法および本数, 試験条件

などの細部は異 なってい る. そ こで シャル ピーお よび

アイゾ ット衝撃 値間の関係 を求め ること, な らびに規

格 の優劣 を検討す る際の資料 を得 ることの二つ の観点

か ら本研究 を行な った. す なわち強弱10種 類 の硬質塩

ビ板 を試料 と し, わが国で関係のあ る規格 とたてJIS,

ISOお よびASTMを 検討 の対象 に選びそれ ら規格

規定の形状 ・寸法 の試験片を作 り, そのシ ャル ピー衝

撃値お よび アイゾ ッ ト衝撃値間の関係 を求 める実験 を

行な った. その結果に対 たて硬質塩 ビ板に関す るノッ

チ形状の シャル ピー衝撃値に及 ぼす影響についてのわ1)

れわれの研 究結果 に基づ き若干の考察 を試みた.

2 実 験 方 法

2.1 使用 した硬質塩 ビ板 とその衝撃試験片

Table Iに 示す10種 類 の硬質塩 ビ板を使用 たた. 押

出 た成 形 板 である試料E1を 除 き, 他はすべ てカレン

ダーシー トか らのプレス成形板 である. それ らは引張

特性に よって二つ のグル ープに大別 され る. 第Iグ ル

ープは伸びが大 きく引張強度が相対 的に小 さい, 第II

グループはそれ と反対 に伸びが小 さいが引張強度が相*1

対 的に大 きい.

JIS, ISOお よびASTM各 規格の試験片に関す る

詳細をTable IIに, 試験片 の形状 をFig. 1に 示す.

試験片はその幅bを 板の原厚 のままとたたほか は, す

べて各規格規定 の形状 ・寸 法 どお りに製作 たた. 試験

＊1 詳細は現在 「硬質塩ビ板の引張特性について」として本誌に投

稿中

＊ 原稿受理 昭和41年4月28日

＊＊ 正 会 員 大阪工業技術試験所 池田市緑丘1丁 目

＊＊＊正会員 茨城大学工学部 日立市成沢 町

(28)「 材 料 」 第15巻 第156号

硬質塩 ビ板の各種規格 (JIS, ISO, ASTM) の試験片形状による衝撃値間の関係 603

片の採取方向はJISお よびASTMに 従 ってカレン

ダーの流 れ方向 (L方 向) およびそれに直 角方向 (C

方向) の2方 向とし, 各方 向 とも5本 ずつ試験 した.

ノッチ加 工はセイパーによ るバイ ト仕上であ る. なお

全試験片 の形状 ・寸法を ミク ロテスタ, 万能投影機お

よび工具顕微鏡で測定 し, Vノ ッチの先端半径が規定

よ りやや小 さく0.24mm前 後 であったほかは, 各試験

片 と も充 分それ ぞれ の規格の許容誤差内にあ ることを

確認 した. Fig. 2に その ノッチ形状 を示す.

2.2 試 験機 と試験条件2)

実態調査結果に基 づ き新 しく製 作 したひよ う量10

kg-cmの シ ャル ピーお よびア イゾ ッ ト各専用衝撃試

験機を用いた. なお シャル ピー試験機 の衝撃速度は

2.9m/sec, ア イゾ ッ ト試験機のそれは3.3m/secで あ

る. Table IIの よ うに各規格 で衝撃速度は若干異 な

るが, 予備実験に よればシ ャル ピー 衝撃試験 の場 合

2.0～4.0m/secの 範囲では有意差 を認め られなか った.

試験片 を温度20±1℃, 湿度65±3%の 恒温恒湿室

中に72時 間以上連続放置後, 同室で試験 した.

Table I. Regid PVC plates used.

*Classification by JIS K 6745-1963 rigid polyvinyl chlo-ride films, sheets and plates

**P.F.P.: Press formed plate from calender sheets

E.P.: Extruded plate***Group I: Ductile group (Lower tensile strength, larger

elongation and higher impact strength)Group II: Brittle group (Higher tensile strength, smaller

elongation and lower impact strength)

Table II. Comparison of impact test specified by various standards.

†ISO R 179 is based on DIN 53 453

††ISO R 180 is based on ASTM D 256.

*Shape of ISO notch is square (see Fig. 2.)

**Distance from top surface of vise to striking point of specimen

***v is not specified by JIS K 6745. Value in () is specified by JIS K 6911 testing methods for thermosetting plastics

****Value in〔 〕is not specified by each standard, and it is calculated by authors for reference

Fig. 1. Impact test specimens of various standards.

Fig. 2. Profiles of notch shapes of Charpy im-

pact specimens specified by various stand-ards.

昭 和41年9月 (29)

604 植村幸生, 山城貞男, 小林政治郎

2.3 アイゾ ッ ト衝撃試 験におけ る試験片締付 け圧

の影響

アイゾッ ト衝撃試験片は支持 台で締 め付け られて試

験 され る. プ ラスチック材料 では金属材料 と違 って,

その締付 け圧 が衝撃値に相当な影響 を及ぼす ことがあ3)4)5)

る. 硬質塩 ビ板 の場合で も, 締付 け圧が大 きい とFig.

3(a)の ように破断が支持台上面 の水平面 よ り上方 に生

じ, 吸収 エネルギが大 きくな る. また, 反対に試験片

がか ろうじて落 ちない程度の小 さい締付 け圧では, 破

断時の衝撃でFig. 3(c)の よ うに試験片が下方へ沈み,

これ また吸収エ ネルギが大 き くな る. そ こでFig. 3(b)

の ように破断 し, かつ破断時の衝撃で試験片が沈 まな

い ような, 吸収エ ネルギが最小にな る締付 け圧 で試験

す ることに した. 予備試験 の結果, 今回の5mm厚 の

硬質塩 ビ板 では トル クレンチの目盛で約10kg-cmの

締付 け圧 (計算に よれば 締付 け 時の 面圧は約40～50

kg/cm2) が それに相当 した. それで毎回 トルク レン

チを使用 し一定 の締付け圧で試験片 を取 り付 けた.

2.4 衝撃値 の算 出およびその記号

プラスチ ック材料 の衝撃試験 の場合 は金属材料 の場

合 と違い, 試験 時の試験機の摩擦損失が重大な影響を6)

もってい る. そ こで5～10本 破断す るご とに試験機の

摩 擦損失 を測定 し, 得 られ た吸収エネルギに対 し摩擦

損失 の補正を行な った. なお トス ・ロスの補正 は実用1)7)

的 に非常にむずか しい問題 であるので行 なわなか った.

ASTMで は衝撃値は ノッチの単位長 さあた りの吸

収 エネルギ (ft-lb/in単位) で表わすが, JIS, ISO等

と比較 のため, 本報告では衝撃値 はすべてJISの 表

現 すなわち吸収エ ネルギをノ ッチ底の原断面積 で割 っ

た値 (kg-cm/cm2単 位) とした.

また本報告 中で使用す る各種規格の試験片 による衝

撃値を表示す る記号 をそれぞれ次 のよ うに決め る.

JIS・akC JIS形 試験片に よるシャル ピー衝撃値

ISO・akC ISO形 (DIN形) 試験片に よるシャル ピ

ー衝撃値

ASTM・akC ASTM形 試験片に よるシ ャル ピー衝撃

値

ASTM・akI ASTM形 試験片に よるアイゾッ ト衝 撃

値

3 実 験 結 果

Table IIIに 衝撃試験結果 を平均値xな らびにば

らつ きの範囲Rで 示す. 各種衝撃値間の関係を図示

したのがFig. 4～6で あ る.

3.1 各種 衝撃値の特徴

ISO・akCは 押 出 し成形板の試料E1を 除 きほ とんど

同じ値 といえ るくらい試料間の差が少な く, 5本 の試

験結果のば らつ きRも 非常に小 さい. それに比べJIS・

akCは 連続的に分布 し, ば らつ きRも 大 きい. ASTM

・akCは第Iグ ループの試料 (JIS・akC>5kg-cm/cm2)

がJIS・akCと, 第IIグ ル ープの試料 (JIS・akC<5kg-

cm/cm2) がISO・akCと ほぼ 同 じ状態 とい う二つに分

かれてい る. ASTM・akIは 前記ASTM・akCと ほぼ

同じ傾向にあ るが, その絶対値 は第Iグ ループがAS

TM・akCの 約半 分に もかかわ らず, 第IIグ ルー プがAS

TM・akCよ り若干大 きく逆転 してい る. これ らの こと

を 定 量 的 に表 わすため, 各種衝撃値 ごとに試料間で

衝撃値 の変動係数を計算 した. その結果をTable III

の下方 に示す. なお ここではLお よびC方 向をそれぞ

れ別 試料 とみな した. 押 出 し成形板のE1を 除 き, 全

プレス成形板 間での変動係数 はJIS・akCお よびAST

M・akCの 場合が大 きく, ASTM・akIの 場合はASTM

akCの 場合の約1/2, またISO・akCの 場合 はJIS・akC

やASTM・akCの 場合の約10%で ある. 第Iグ ループ

の試料間での変動係数の傾 向は全試料間でのそれ とほ

ぼ同様であ る. しか し第IIグ ループの試料間での変動

係数 はJIS・akCの 場合だ けがずばぬけて大 き く, 他 は

その10% (ISO・akCお よびASTM・akIの 場合) ない

し20% (ASTM・akCの 場合) 程度 である.

次 に5本 の試験 結果 のば らつ き程度 を検討す るため,

5本 の衝撃値の変 動係数 を計算 した. 異常 に大 きい も*2

の二, 三 を除いて各種衝撃値 ごとに変動係数 の平均値

を求め ると, ISO・akC, ASTM・akC, ASTM・akIお よ

びJIS・akCが それぞれ1.2,2.5,2.3お よび4.8%で,

それ らの比 はほぼ1:2:2:4で あ る. 5本 のば ら

つ きRな らば, ISO・akCの 場合はJIS・akCの 場合の

10%程 度 しか な くば らつ きが非常 に小 さい.

3.2 各種 衝撃値間の関係

各種試料 の衝撃値が連続的に分布 してい るJIS・akC

と, 試料E1以 外 はほとん ど同 じ値にな るISO・akC間

以外は, 衝撃値 間の関係は第Iお よび第IIグ ルー プで

それ ぞれ異な っている.

各種衝撃値問の数量的関係 を求め るため, JIS・akC

とISO・akC間 の場 合は全試料間で, 他 の場合は二つ

のそれ ぞれの グループ内で相関分析を行 なった. 得 ら

れた相関係数が有意 の場合 は両者間の回帰直線 を求め

Fig. 3. Influence of clamping pressure on Izod

impact testing for rigid PVC plate. Situa-

tions of fixed half of broken test specimen.

(a) Higher (b) Medium (c) LowerClamping pressure

＊2 変動係数10%以 上のものを異常に大きいものとした

(30)「 材 料」 第15巻 第156号

硬質塩 ビ板 の各種規格 (JIS,ISO,ASTM) の試験片形状 による衝撃値間 の関係 605

た. この場合Lお よびC方 向で別試料 と考 え, また試

料E1は 他 と違い唯一の押 出 し成形板なので除外 し,*3

結 局相関分析は17種 類のプ レス成形板で行な った. そ

の結果 をTable IVに 示す. それ らの回帰直線をFig.

4～6に 記入す るとEq.(1)～(6)の 直線 とな る. 図中の

√Vy・xは 残差 の不偏分散の根であ る. 一,二 の例外

を除けば二つ の衝撃値間の関係はほぼ直線関係 とみな

せ, そのば らつ きの程度か ら今 回の実験に よって得 ら

れた回帰直線 は二つ の衝撃 値間の換算 のめやす として

実用で きる. なお相関分析の際除外 した試料E1も

ISO・akCを 別 にす れ ばASTM・akC, ASTM・akIお よ

びJIS・akC相 互 間 で はFig. 4,6か らプ レス成 形 板 と

同 じ換 算 関 係 に あ る とみ なせ る.

ま た, もっ と簡 単 な二 つ の 衝 撃 値 間 の関 係 はFig. 4

～6か ら次 の よ うに得 られ る.

第Iグ ル ー プ の材 料 (JIS・akC>5kg-cm/cm2) の 場 合

ASTM・akCはJIS・akCの 約0.9倍

ASTM・akIはJIS・akCの 約0.5倍

ASTM・akIはASTM・akCの 約0.6倍

第IIグ ル ー プの材 料 (JIS・akC<5kg-cm/cm2) の場 合

ASTM・akCはISO・akCの 約0.9～1.0倍

ASTM・akIはISO・akCと ほぼ 同 じ

Table III. Impact strength tested by various standards for rigid PVC plates.

Note 1) Sample: L and C is lengthwise and crosswise direction respectively2) x: Average of five specimens

R: Range (max.-min.)

t0: Significance test of difference between L and C direction**……t0>t(8, 0.01)=3.355

*……t0>t(8, 0.05)=2.306

(*)……t0>t(8, 0.10)=1.860

3) nL=3, nC=5

4) nL=5, nC=4

5) C.V.: Coefficient of variation

All……All samples

(All)……All samples except EI

I……Group I samples (JIS・akC>5kg-cm/cm2) except EI

II……Group II samples (JIS・akC<5kg-cm/cm2)

＊3 試料A2は 素材の大 きさの都合か らL方 向のJIS・akCお よび

ISO・akCを 求 め られなか ったのでA2Lは すべて除外 した

昭 和41年9月 (31)

606 植村幸生, 山城貞男, 小林政治郎

ASTM・akIはASTM・akCの 約1.0～1.1倍

3.3 衝撃値と破 断面 の関連性1)8)

破断面の状態 と衝撃値 間には密接な関係が ある. 破

断面 の一例 をFig. 7に 示す. 衝撃値の大 きい ものは一

般 に破断面のあれが大 きく, 逆に衝撃値 の小 さい もの

は一般 に破断面がなめ らか である. また5本 の衝撃値

のば らつ きRの 大 きい ものは破断面のあれの程度 も相

当大 きく変化 してい る.

ISO形 試験片について試験 の前後にそのノ ッチ部を

投影機 で観察 した結果, 破断 は全試験片 ともノ ッチ底

の片方のすみにある, ややか どば り気味の部分 (Fig.

2の 矢印の部分) よ り起 こっていることがわかった.

したが ってISOの 角 ノッチの工作には細心 の注意が

必要であ る.

4 実験結果に対する若干の考察

(1) 衝撃 強度 の方向性の検討 のため, 各試料 の各種

衝撃値 ごとにLお よびC方 向間で行 なった有意差検定

の結果 をTable IIIに 示す. 有意差のあ る場合 は一,

二の例外を除 きC方 向 よ りL方 向のほ うが衝撃値が大

きい. 方 向性が あるのは試料C1, B2お よびC2の3

種類, やや方向性 があるのは試料A1, D1, D2お よ

びE2の4種 類, 方向性を認 め られ ないのは試料B1

お よびE1の2種 類 である. 試料A2の 方 向性 は判*2

断で きない. また衝撃強度 の方 向性の検出 能力 の点で

は, ISO・akCを 除 けばJIS・akC, ASTM・akCお よび

ASTM・akI間 にあま り優 劣はない.

(2) 同一の試料 で も JIS・akC, ISO・akCあ るいは

ASTM・akCが 違 う原因は次 のよ うに ノッチ 深 さと判1)9)

断 され る. Fig. 8は 硬質塩 ビ板 の衝撃値に及 ぼすV/1)

ッチ深 さの影響 についての実験結果の再録であ るが,

JIS・akCの 場合は ノッチ深 さ1mmで その影響 を受 け

やすい(C)付近 での衝撃 値に相 当 し, かつその値 も相対

的に大 きい. またISO・akCの 場合は角 ノッチ とVノ

ッチの違いはあるが, ノッチ深 さ5mmで その影響 を

受 けに くい(A)または(A)'付近 での衝撃値に相 当 し, 値そ

れ 自身 も小 さい. JIS・akCお よびISO・akCの 場合 は

それ ぞれ ノッチ深 さが相当浅いか あるいは充分深 いか

のため, 上記 のよ うに ノッチ深 さの影響が どの試料に

対 して もI, IIグ ループともほぼ同様な傾向で影響す

るが, ASTM・akCの 場合は ノッチ深 さが ちょうどそ

の影響が顕著にな りか けるいわば不安定な深 さである

(B)付近であ ることと, 支点間距離がかな り大 きいので

その距離 の 影響 も重 な りあい, 第Iお よび第IIグ ル

Fig. 4. Correlation of JIS Charpy impact strengthand ISO Charpy, ASTM Charpy, ASTM Izodimpact strength for rigid PVC plates.

●ASTM Charpy

○ASTM Izod

●ISO Charpy

○Sample El

Fig. 5. Correlation of ISO Charpy impact strength

and ASTM Charpy, ASTM Izod impact

strength for rigid PVC plates.

Fig. 6. Correlation of ASTM Charpy impact

strength and ASTM Izod impact strength for

rigid PVC plates.

(32)「 材 料」 第15巻 第156号

硬質塩 ビ板 の各種規 格 (JIS, ISO, ASTM) の試験片形状による衝撃値間の関係 607

ー プの材料 とではその影響が違 っている. すなわ ち衝

撃強度の小 さい第IIグ ル ープの材料 ではノッチ深 さの

影響の現 われは じめる深 さ ((B)点の位置) が相対的に浅

く, かつ支点 間距離が少 々長 くなって も支点間距離 が

衝撃値に及 ぼす効果 も少ないため, 2.54mmの ノッチ

深 さで充 分その影響の き く範囲外 とな り (すなわ ち(B)

点が相対的に ノッチ深 さの浅いほ うに移 り2.54mmで

も(A)の部分にな り) ISO・akCと ほとん ど同 じ値 になる.

衝撃強度 の大 きい第Iグ ループの材料 では上述の もろ

い材料の場 合 と反対に, ノッチ深 さの影響の現 われは

じめる深 さ ((B)点の位置) が相対的に深 い うえに支点

間距離の長いこ とが それに重な りあって, ノッチ深 さ

が衝撃値に影響す る範囲を広め る (すなわ ち(B)点が左

へ移動 し2.54mmで も(B)～(C)に相 当す る) ため, JIS・

akCと ほぼ似 たよ うな衝撃値になる.

(3) 硬質塩 ビ板のJIS K 6745-1963は Table V

Table IV. Correlation and regression analysis between various impact strengths (kg -cm/ems).

Note 1) Coefficient of correlation γ and result of its significance test

**……Very significant (α=0.01)

*……Significant (α=0.05)

α=Level of signincance

2) Except extruded plate E1

Fig. 7. Fractured surface of Charpy impact speci-

mens of various standards.

Fig. 8. Relation between Charpy impact strength

and notch depth (from authors' previous re-

port1)).

昭 和41年9月 (33)

608 植村幸生, 山城貞男, 小林政治郎

に示す ようにその機械的性質に よる品質区分をほ とん

ど衝撃強度 のみで行な ってい る. 衝撃試験で この よう

な材質区分 を行 な うとすれば, 少 な くと も硬質塩 ビ板

の場合は, ISO規 定の シャル ピー衝撃 試験片形状 は

適当でない. しか しこの ことはISO・akCの 無価値 を

意 味 しない. なぜな らISO・akCは 深い ノッチの衝撃

特 性を, またJIS・akCは 浅 いノッチのそれを表 わ して

お り, 両者 とも硬質塩 ビ板 の耐衝撃性の一断面 をそれ

ぞれ示 してい る. 言い替 えれ ば硬質塩 ビ板は切欠 きが

深 い と, どんな板で もす なわ ちJIS 1種1号 で も1

種3号 で もほとん ど同 じ衝撃強度 である. しか し切 欠

きが ごく浅 いときは, 耐衝撃性 の非常に よい板 もあれ

ば, 衝撃強度が深い切欠 きの ときと同 じ くらいの もろ

い板 もあ るとい うよ うに, 板 それぞれの特徴がでて く

る.

5 結 論

10種類 の硬質塩 ビ板についてJIS・akC, ISO・akC, AS

TM・akCお よびASTM・akIの4種 類 の衝撃値 を求め

た. そ して各種衝撃値間の関係 を求 め, 若干の考案 を

行な った. そのお もな点は次の ようである.

(1) JIS・akCは2.3～8.4kg-cm/cm2の 間に連続的

に分布 し, その5本 の衝撃値のば らつ きも大 きい. 押

出 し成形板 を除 き, ISO・akCは すべて2.5kg-cm/cm2

前後で試料 間の差が少な くほ とん ど同じ値で, その5

本の衝撃値のば らつ きも非常に小 さい. ASTM・akCお

よびASTM・akIは 互いに似た挙動 を示 し, いずれの

場合 も違 った特性 を もつ二つのグループに分かれてい

る. すなわ ち衝撃強度の相対的に大 きい試料 (JIS・

akC>5kg-cm/cm2) はJIS・akCと, また衝撃強度の比

較的弱い試料 (JIS・akC<5kg-cm/cm2) はISO・akCと

似た特性を示す.

(2) 上 述の現象は主 として各種試験片の ノッチ深 さ

の差か ら生 じている と判断で きる. ISO・akCは 切欠 き

の深い ときの衝撃特性を, JIS・akCは 切欠 きの浅い と

きのそれ をそれぞれ表 わ してい る. しか し, 硬質塩 ビ

板の材質区分 としての衝撃試験 ならばISO形 シ ャル

ピー衝 撃試験片は適当でない.

(3) 一, 二の例外 を除 き, 各種衝撃値間にはほぼ直

線 関係があ り, Table IVに 示す ようなそれ らの回帰

直線は二種類の衝撃値間の換算のめやす として実用で

きる.

(4) 硬質塩 ビ板は流れ方 向 とその直角方 向 との間で

衝撃 強度 に方向性のあ るものが多い. その場合流れ方

向のほ うが直角方向 よりも若干強い.

(5) 破 断面の状態 と衝撃値 間には密接な関係が ある.

衝撃 値が大 きい ほど一般に破断面があれてい る. また

5本 の衝撃値のば らつ きの大 きい ものはその破断面の

状態の変化 も大 きい.

本研究のため硬質塩 ビ板を快 くご提供 くだ さった住

友ベーク ライ ト(株), 積水化学工業(株), タキ ロン化学(株),

筒中 プラスチ ック工業(株)および三菱樹脂(株)ならびに研

究推進上 ご援助賜わ った プラスチック標準試験方法研

究会の関係各位 に厚 くお礼 申 し上げ ます.

(昭和39年5月14日 日本材料学会第13期通常総会講演会にて講演)

Table V. Qualities (mechanical properties) specifiedby JIS K 6745 rigid PVC plates.

参 考 文 献

1) 小 林 政 治郎, 山城 貞 男, 植 村 幸生, 材 料, 13, 110

(1964).

2) 小 林 政 治郎, 山城 貞 男, 植 村 幸 生, 材 料, 13, 243

(1964).

3) ASTM Designation D256-56, Note 3.

4) Adams, C.H., ASTM Bull., No. 173, 48 (1951).

5) Stephenson, C.E., Brit. Plastics, 30, 99 (1957).

6) 小 林 政 治郎, 山城 貞 男, 植 村 幸生, 第9回 材 料 試

験 連 合講 演 会 前 刷, 第II・III部, p. 41 (1965).

7) 植 村 恒 義, 第11回 応 用 力 学 連合 講 演 会 論 文 抄 録 集,

第1部, p. 85 (1961).

8) 中川 有 三, 奥 田聡, 材 料 試 験, 7, 272 (1958).

9) Reid, D.R., and R.A. Horsley, Brit. Plastics,

32, 156 (1959).

(34)「 材 料 」 第15巻 第156号