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ホワイトペーパー

自動車のサスペンション解析

SolidWorks Corporation

目次 はじめに 1

サスペンションの 役割 2

モーション解析 2

COSMOSMotionを 使ったモーション解析 3

事例 4-5

COSMOSWorksへの 荷重エクスポート 6-7

COSMOSMotion API を使った解析の自動化 7

COSMOS ®

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自動車のサスペンション解析 no. �

COSMOSMotionはあらゆるメカニズム（機構）のモーション（動作）を解析するためのシミュレーション ソフトウェア パッケージです。モーション スタディとは、機械部品 アセンブリやメカニズムの動作をシミュレートし、解析することを指します。モーション スタディには、キネマティクス（機構）とその他のダイナミクス（動的）の 2つのタイプがあります。キネマティクスとは、モーションを引き起こした荷重に関係なく動作を解析することであり、ダイナミクスとは荷重から生じる一連の動作を解析します。キネマティック（機構）シミュレーションは、アセンブリに含まれる全ての部品の物理的位置を１つのサイクルに対し時間を追って表示します。ダイナミック（動的）シミュレーションでは、ジョイント反力や、慣性力などが示されます。

本書では、COSMOSMotionを使った自動車のサスペンション解析を中心に紹介し、自動車設計者が COSMOSMotionシミュレーション ソフトウェア パッケージを使ってサスペンション設計の最適化を行っていく過程について説明します。COSMOSMotionはあらゆる機構に対してダイナミックあるいはキネ マティック解析を行うのに最適なシミュレーション ツールです。メカニズムは剛体である部品の集合体として表現され、各部品には一定の自由度が与えられます。

また本書では、設計エンジニアが COSMOSMotionを自動車のサスペンシ ョンのようなリアルタイム機構に適用することで、満足のゆく結果を得 ると同時に貴重な時間と費用を節約する方法についても説明します。以 下に示す図 1は CSUN Formula SAE 2005-2006で使用されたレーシングカー の前部および後部サスペンションです。このモデルは CSUNの学生がCOSMOSMotionおよび COSMOSWorksを使ってダイナミック解析を行い、2006年 6月フォンタナで行われたFormula Westにおいて実際に他大学と競技 したものです。

図 1CSUN Formula SAE レーシングカーのサスペンション

はじめに

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サスペンションの役割サスペンションとは、車体を車輪に接続する様々なばね、ショックアブゾーバおよびリンケージで構成されるシステムです。サスペンション システムは 2つの目的を持っています。車両のハンドリングとブレーキングを支え、安全性と運転の楽しさを提供することと、自動車に乗っている人の快適性を保ち、道路のノイズや凸凹、振動が直接伝わらないようにすることです。サスペンション システムは車重を支え、道路からの衝撃を吸収すると共に、タイヤの良好な接触状態および、車輪とシャーシ間の関係を維持するための組立て部品です。車両が動くということは、ホイールが回転するだけではありません。車輪が回転している時、サスペンション システムは動的なバランスを保持する状態にあり、変化する運転状況に対応して常時補正と調整を行っているのです。

車両のタイヤと道路との接触にはいくつかの荷重が影響しています。これらの荷重、および動作中の車両への影響は、動的解析問題です。ロード アイソレーション (路面からの離脱 )とは、乗客への衝撃を吸収するか、または絶縁できるかという自動車の能力であり、また、これをどの程度実現できるかはサスペンション システムおよびその構成部品の状態に左右されるのです。適切に機能するサスペンション システムの場合は、粗い路面上を走行しても車体は比較的安定した状態を保つことができるでしょう。また、サスペンション設計は車両のハンドリングにも影響します。

このように、製造前に車両のサスペンション部品を解析することは非常に重要なことです。サスペンション部品を調査し、最悪の シナリオでそれらがどのように動作するかを知るにはダイナミック（動的）解析を実行する必要があります。

モーション解析従来は、あるメカニズムに対してダイナミック解析あるいはキネマティック解析を行う場合、まずデータを準備し、同時方程式の計算を含むアルゴリズムを処理し、結果を解析していました。図 2に示したサスペンションのような複雑なメカニズムの場合、モーションに対する動的方程式を「手作業で」解くには膨大な計算量が伴うと共に、スプレッドシートを使ったコンピュータによる計算でも、結果を出力しグラフをプロットするには数時間かかっていました。モーションの動的方程式を解くためのソフトウェア プログラムを開発する事も不可能ではありませんが、１つでも部品の寸法が変更されれば、プログラム全体を変更しなければなりません。COSMOSMotionシミュレーション ソフトウェアを使用することにより、モーション解析に関するこれらの問題を解決することができます。

サスペンションの役割／モーション解析のメッシュ

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COSMOSMotionを使ったモーション解析COSMOSMotionはメカニズムのモーション解析を実施し、最適化するためのシミュレーション ソフトウェア パッケージであり、SolidWorksインターフェイスに統合されています。これにより、3次元機械構造を「仮想プロトタイプ」としてモデル化し、これに対して加速度、ジョイント反力、慣性力等に関してキネマティックおよびダイナミックな解析を行うことが可能になります。

COSMOSMotionは、製品開発に必要とされる物理プロトタイプの数を削減するのにも役立ちます。また、エンジニアは製品の効率性を高め、製造プロセスの後工程で設計変更が発生することによるコストの削減にも役立ちます。COSMOSMotionは、コストのかかる設計変更の繰り返しを削減することにより開発プロセスを加速します。エンジニアはアセンブリの動きを設計しシミュレートすることにより、物理プロトタイプの作成前に問題を発見、修正することができます。さらに、構造解析用の荷重ケース定義に使用する荷重値も計算されます。

COSMOSMotionを使用することにより、荷重、加速度、角速度、ジョイントやジオメトリ上の点の正確な位置情報等のモーション データを抽出することができます。モーションによって生じる荷重は特に重要です。なぜなら、これらの情報は COSMOSWorks環境で個別の構成要素に対して FEAを行う際に荷重として利用できるからです。通常、メカニズムに含まれる重要な個別部品の有限要素解析 (FEA)を行う場合、線形静解析にはサイクル内で最も高い荷重が使用されます。SolidWorks（ソリッドモデリング）、COSMOSMotion（モーションシミュレーション）ならびに COSMOSWorks (FEA)ソフトウェアの統合により、このプロセスはスムースに統合されています。このことは、多数の解析を行わねばならない設計代替案の検討においては特に重要です。

図 2CSUN FSAEレーシングカーのサスペンション モデル

C O S M O S M O t i O nを使ったモーション解析

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事例CSUN FSAE 2005-2006レーシングカー毎年、CSUNの学生は独自のスタイルでフォーミュラ レース用の自動車を作成します。FSAEレーシングカーの設計および製作は 9ヶ月をかけて行われ、このプロジェクトは将来エンジニアリング産業で活躍が期待される若くアイデア豊富なエンジニアにとってトレーニングの舞台となります。このプロジェクトは設計プロセスから製造プロセスまで、エンジニアリング畑に必要とされるスキルの数々が要求されるだけでなく、各ステップではコスト、製造しやすさ、スケジュール、安全性を考慮しなければなりません。設計は、SolidWorks、COSMOSおよびその他の CADツールを使って行われます。自動車部品のモデル化は SolidWorksを使って行われ、それらの解析は COSMOSを使 って行われました。CSUN FSAE 2005-2006レーシングカーのサスペンションは、 COSMOSMotionを使って解析、最適化されました。

SolidWorks、COSMOSMotion、COSMOSWorksを使って CSUN Formula SAE 2006 レーシングカーのサスペンションに対する徹底した荷重解析が実行されました。まず、Excelマクロを使って (1)加速 (2)ブレーキ、(3)隆起物上をコーナリングしながらブレーキ (4)隆起物上をコーナリングしながら加速、等の条件の中から最悪のケース シナリオにおける路面荷重条件を計算しました。次に、サスペンションの部品を SolidWorksを使って組み立て、COSMOSMotionシミュレーション ソフトウェアを使用してメカニズムをシミュレーションできるよう、ジョイント情報を定義しました。さらに、Aアーム ブラケット、アップライト、ピットマンアーム、ショックマウント、プッシュロッド等のサスペンション部品間の反力を解析するため、路面からの荷重をサスペンション アセンブリに適用しました。

事例

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COSMOSMotionを使用してサスペンションの解析を行うためには、エンジニアは以下を知っていなければなりません： 1. メカニズムに含まれる各ジョイントは、自由度が何個あるか 2. ショックアブゾーバのばね剛性と減衰力 3. どの部品が可動できて、どの部品が固定されているのか 4. 垂直荷重、水平荷重、長軸方向などの入力荷重

COSMOSMotionを使ったサスペンション解析の最初のステップは、サスペンション アセンブリに含まれる全ての部品をそれぞれ、可動部品あるいはグランド部品として定義することです。そうすることで、ジョイントと基本ジョイントは SolidWorksアセンブリ合致条件から自動生成されます。例えば、球ジョイントは SolidWorksアセンブリ合致の点－点の一致ジョイントから自動的に変換生成されます。

次のステップでは、設計要件に従ってねじりあるいは並進のばねを追加し、ばね剛性を定義します。また、ショック シリンダにダンパを追加し、減衰 力を定義します。そして計算された最悪の路面荷重 (1) バンプの上をコーナリングしながらブレーキ (2) バンプの上をコーナリングしながら加速、を適用し ます。

ソフトウェアを切り替える事なくアセンブリモデル内の干渉を認識し、修正することができるということは、COSMOSMotionと SolidWorksが統合されていることの大きな利点の一つです。特定のジョイントまたは部品上の点の動作は、その軌跡を線としてプロットすることができます。シミュレーション実行後には、次の図に示すような各ジョイントの 3方向の反力等、様々な結果もプロット可能です。

図 3フロント サスペンション モデル

事例

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COSMOSWorksへの荷重エクスポートCOSMOSMotionで得られた荷重は、個別部品の構造解析用の荷重として利用できます。COSMOSMotionでは、反力の結果を各種有限要素解析 (FEA)アプリケーションへのインポートに適したフォーマットでエクスポートできます。これにより、部品応力、変位を予測し、安全率をチェックすることが可能です。COSMOSWorksは FEAツールであり、この製品も SolidWorksに組み込まれています。COSMOSMotionで得られたサスペンション部品の反力結果を COSMOSWorksにエクスポートすることにより、FEA解析を行うことができます。

すべての COSMOSMotionエンティティのプロパティ ダイアログには、FEAとラベル付けされたタブがあります。これらの各タブでは、エンティティのアタッチされる部品の面やエッジを選択できます。これらの面および／またはエッジは、COSMOSMotionで計算される力のベアリング サーフェスとなります。FEAアプリケーションに荷重データが転送されると、選択された面やエッジに力やモーメントが分配されます。また、エンティティを作成する際、または FEAアプリケーションに結果をエクスポートする際にベアリング サーフェスを定義するかどうかを選択できます。一度ベアリング サーフェスが定義されると、それ以降の FEAアプリケーションへの転送の際にも利用されます。

エンジニアは COSMOSMotionにより得られた荷重をエクスポートすることで各サスペンション部品に対する FEA解析を行うことができます。次の図は、レーシングカーのサスペンションのアップライト部品に対して、COSMOSMotionから得られた荷重をエクスポートしたものを使って FEA解析を行ったものです。この部品は重量を減らすことで最適化が行われました。

図 4COSMOSMotionを使った リアサスペンションの解析結果

C O S M O S W O r k Sへの荷重エクスポート

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シミュレーション実行後、サスペンション アセンブリのアップライト部品に対して得られた反力を下の図に示します。荷重が COSMOSMotionからCOSMOSWorksにエクスポートされると、荷重とその方向は図に示すようにCOSMOSWorks内で自動的に定義されます。その後、部品にメッシュを生成し、デザイン シナリオを実行します。FEAの結果は、以下の図のように表示することができます。

COSMOSMotion APIを使った解析の自動化API (Application Programming Interface) を使ってサスペンション解析を自動化 することも可能です。SolidWorksおよび COSMOSMotionでは、APIをサポートしています。また、COSMOSMotionを使ったマクロの開発によりモーション シミュレーションを自動化できます。マクロを実行することで、シミュレーションの実行、ジョイントの追加等、手動で行えることすべてを自動化できます。また、APIを使用し COSMOSMotionとスプレッドシートを接続することで、スプレッドシートに全ての荷重を入力、プログラムを実行、さらにスプレッドシート上に結果を表示させる、といった一連の自動化も可能になります。

C O S M O S W O r k Sへの荷重エクスポート

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