4
地域における複数人の生活行動解析のための センサデータ群検索・可視化システム Search and Visualization System of Distributed Sensor Databases for Activity Analysis of Multiple People in Local Community ( 大学) ( 大学) ( 大学) ( 大学) ( 大学) ( 大学) ( 大学) ( 大学) Masanori OGIHARA , Hiroshi NOGUCHI , Masamichi SHIMOSAKA , Mihoko OTAKE , Kota TSUBOUCHI , Hiroyuki YAMATO , Taketoshi MORI and Tomomasa SATO The University of Tokyo This paper describes development of search and visualization system that deals with heterogeneous time-series activity sensor data in distributed databases. We have collected different types of activity data from living enviroments of elderly people in south area of Kashiwa city: walking data by pedometers, indoor actions by pyroelectric sensors and transportation utility data by on-demand bus reservation. Different search methods are prepared for all databases and these methods extract activity history data in a unified form. This mechanism enables the search system to deal with the heterogeneous activity databases uniformly. In addition, the system provides the method for extracting person group by statistics of extracted activity history. The system facilitates activity analysis through searching action history data from diffrent data sources and visualizing these data comprehensibly. Two experiments showed that the system enables cross-sectional search from heterogeneous time-series activity databases: 1) Identification of the same person from different activity databases and 2) Extraction of person group from activity history data. Key Words : Activity Analysis, Daily Behavior, Heterogeneous Sensors, Multiple People Data, Search System 1 緒論 において, が大 キーワード っている.そ するために をしたり, すいオンデマ ンドバスを運 したり, ため ンサを して したりするこ 援し がらそ する って きた [1]い, から センサによ ,オンデマンド による う異 による3 データ するこ きた.しかし がら,こ ように されていて ,それらをま め, して扱う い.これ ,データベースが し,またそ あるこ ,データ サンプリング レートが異 るこ っているから ある.こ よう データを いて するに ,こういったデータ し, した データベースを一括するこ 一した 扱うこ ある. また,多 データが される において だけ く,あ る った ,す わち「 」に対する 握を じて, を対 するこ い, 握が る.システムが を対 した に対 していれ ,大 しているこ みを活かした 扱いが えられる. これら まえ, ,異 センサデータベー にまたがり, をす るこ 援する システム す. 2 異種多人数データベース群からの 行動履歴検索システム ,異 された多 するデータベース から, にするシステム す.こ よう システム たり, して, 1. データベース するこ 2. きるこ 2 げられる.それらに対し, 1. データから 2. に対する から みが いうアプローチ みた.ここ げた ある [2]これらを まえて システムを した(Fig. 1).シ ス テム ユ ー ザ, アプリケーションから して えられ, をそれ ぞれ して す.各 データに するセンサデータ がセンシング され ている する.これらに対し, に,各 データに対 する 意する. ,2 により,センサデー に変 する.センサデータベース にわたってセンサデータが されている. センサデータを てシステム むこ メモリ を圧 あるため,第1 して,デー 䢴䣃䢳䢯䣅䢲䢺 䢴䣃䢳䢯䣅䢲䢺䢪䢳䢫 䣐䣱䢰 ꉈ덈덈꽈띈ꉈ퉈ꉈꉈꉈ둈뉈덈덈ꉈ챈핈콈읈ꉈ안ꉈꉈ푈

Ææ rswh w ·ï±Ã »Ug~D¹=³µÂÜ - 東京工業大学...¬tSZ ó: w \Ææ r swh w ·ï±Ã »Ug~D¹=³µÂÜ Search and Visualization System of Dis tributed Sensor Databases

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: Ææ rswh w ·ï±Ã »Ug~D¹=³µÂÜ - 東京工業大学...¬tSZ ó: w \Ææ r swh w ·ï±Ã »Ug~D¹=³µÂÜ Search and Visualization System of Dis tributed Sensor Databases

地域における複数人の生活行動解析のためのセンサデータ群検索・可視化システム

Search and Visualization System of Distributed Sensor Databases for ActivityAnalysis of Multiple People in Local Community

○ 荻原 正紀 (東京大学)   野口 博史 (東京大学)

  下坂 正倫 (東京大学)   大武 美保子 (東京大学)

  坪内 孝太 (東京大学)   大和 裕幸 (東京大学)

正 森 武俊 (東京大学) 正 佐藤 知正 (東京大学)

Masanori OGIHARA†, Hiroshi NOGUCHI†, Masamichi SHIMOSAKA†,Mihoko OTAKE†, Kota TSUBOUCHI†, Hiroyuki YAMATO†,

Taketoshi MORI† and Tomomasa SATO††The University of Tokyo

This paper describes development of search and visualization system that deals with heterogeneous time-series activity sensordata in distributed databases. We have collected different types of activity data from living enviroments of elderly people insouth area of Kashiwa city: walking data by pedometers, indoor actions by pyroelectric sensors and transportation utilitydata by on-demand bus reservation. Different search methods are prepared for all databases and these methods extractactivity history data in a unified form. This mechanism enables the search system to deal with the heterogeneous activitydatabases uniformly. In addition, the system provides the method for extracting person group by statistics of extractedactivity history. The system facilitates activity analysis through searching action history data from diffrent data sourcesand visualizing these data comprehensibly. Two experiments showed that the system enables cross-sectional search fromheterogeneous time-series activity databases: 1) Identification of the same person from different activity databases and 2)Extraction of person group from activity history data.

Key Words : Activity Analysis, Daily Behavior, Heterogeneous Sensors, Multiple People Data, Search System

1 緒論

近年の高齢化社会において,高齢者の社会進出の促進が大きなキーワードとなっている.その中で我々は,認知症を予防するために会合をしたり,高齢者が利用しやすいオンデマンドバスを運行したり,家庭内に生活見守りのための焦電センサを設置して外出行動の変化を観測したりすることで,外出促進を支援しながらその効果を測定する社会実験を行ってきた [1].

この実験に伴い,歩数計からの歩行行動,焦電センサによる室内行動,オンデマンド交通利用履歴による外出行動という異なる計測方法による3種類の複数人の行動情報のデータを取得することができた.しかしながら,このように様々な形で行動情報の履歴が残されていても,それらをまとめ,統合して扱うのは容易でない.これは,データベースが分散化し,またその形式も様々であること,データのサンプリングレートが異なることなどが障害となっているからである.このような多様な行動情報データを汎用的に用いて行動解析をするには,こういったデータ間の異種性を吸収し,分散したデータベースを一括することで,行動情報を統一した形式で扱うことが重要である.

また,多人数の行動情報データが取得される状況においては,特定個人の行動だけでなく,ある共通点を持った人物の集合,すなわち「人物群」に対する行動状況の把握を通じて,個人を対象とすることでは実現し得ない,複数人の行動傾向や,行動習慣の把握が重要となる.システムが複数人を対象とした行動検索に対応していれば,大人数の行動情報を保有していることの強みを活かした行動情報の統計的な扱いが可能になると考えられる.

これらのことを踏まえ,本研究では,異種センサデータベー

ス群にまたがり,複数人の行動情報検索,結果の可視化をすることで,生活行動解析を支援する検索システムの構築を目指す.

2 異種多人数データベース群からの行動履歴検索システム

本研究では,異なる方法で取得された多人数の行動情報を保有するデータベース群から,横断的な行動履歴検索を可能にするシステムの構築を目指す.このような検索システムの構築に当たり,考慮すべき点として,1. 行動情報データベース間の異種性を吸収すること2. 個人,複数人共に検索対象とできることの 2点が挙げられる.それらに対し,本研究では,1. 異種行動データからの行動履歴の統一的な形式での表現2. 複数人に対する行動履歴の取り出しと行動履歴からの人物群絞込みが相互に実行可能な機構

というアプローチで解決を試みた.ここで挙げた時区間とは,行動の開始時刻と終了時刻の組のことである [2].これらを踏まえて本システムを構築した(Fig. 1).シス

テムのユーザ,外部アプリケーションからは検索条件が入力として与えられ,行動履歴検索結果,人物群検索結果をそれぞれ出力として返す.各行動情報データには,人間の行動を示唆するセンサデータ情報がセンシング時刻と共に記録されているとする.これらに対し,行動履歴検索部の内部に,各データに対応する検索手法を用意する.この検索手法では,2段階の検索工程により,センサデー

タ情報を行動履歴の時区間に変換する.センサデータベースには通常,長期間にわたってセンサデータが蓄積されている.膨大なセンサデータを全てシステムで読み込むことはメモリを圧迫し不可能であるため,第1段階目の工程として,デー

2 08

2 08(

N . Pr d n f th 20 J nf r n n R b t nd h tr n , , J p n, 26 28, 20

Page 2: Ææ rswh w ·ï±Ã »Ug~D¹=³µÂÜ - 東京工業大学...¬tSZ ó: w \Ææ r swh w ·ï±Ã »Ug~D¹=³µÂÜ Search and Visualization System of Dis tributed Sensor Databases

検索結果統合部

DB検索手法

時区間群

行動履歴検索部

人物群検索部

DB検索手法

行動履歴統計量

1001,1002,

人物群

検索条件

時区間群

アプリケーションユーザ

検索条件

人物群 ・性別・性別

・年齢・年齢

・家族人数・家族人数・・・

プロフィールデータベース群

利用者情報

行動履歴データベース群

バス 歩数

焦電 生活時刻人物群 時区間群

Fig. 1: Construction of the Search System

タが蓄積されたデータベースから,必要な情報が記録された部分を検索し抜き出す工程が必要になる.第2段階目の工程としては,データベース中の全データから必要な分だけ取り出した行動情報データに対し,指定された条件に従って,システム内でその行動時間の開始,終了時刻で示した時区間群に変換する工程である.これらの処理はデータの形式に依存する.データベースから検索され,統一した形式に変換された行

動検索の結果である行動履歴は,検索結果統合部において,どのデータベースからの検索結果であるかに関わりなく,結果同士の積集合,和集合,差集合を求めることが可能である.この仕組みにより,異種データベースにまたがる検索が可能になっている.人物群検索部では,プロフィールデータベース群の種類に

合わせた検索手法を用意する.この検索手法では,性別,年齢などの条件を指定して,条件に該当する人物群を取り出すことができる.さらに,これら2つの検索部は相互に時区間群,人物群を

やり取りすることが可能な構造になっている.行動履歴検索部においては,人物群検索部で絞り込んだ人物群を対象に行動履歴検索を行い,複数人に対しての行動履歴を取り出すことを可能にしている.人物群検索部においては,行動履歴検索部で得た時区間群を受け取り,それを利用した人物群の抽出が可能な構造になっている.さらに,時区間群から統計量を算出し,その統計量に従って人物群を解析することが可能である.

3 行動情報データベース群及び検索手法行動履歴データベースとしてはバス利用履歴データベース,

歩数履歴データベース,家庭内焦電センサデータベースを用意し,また,焦電センサデータから生成した生活行動生起時刻データベースを用意した.さらに,それぞれのデータに対応した形の検索手法を用意した.• バス利用履歴データベース千葉県柏市における社会実験 [1]の中で,柏市において試験

的に運用されたオンデマンドバスサービス [3]の予約データを,バス利用履歴のデータソースとして利用する.対象人数は 102人,データ取得期間は 2010年 8月から同年 10月までである.このバス利用履歴データベースには顧客番号,乗車バス停,乗車時刻,降車バス停,降車時刻が記録されている.バス利用履歴データベースに対応する検索手法の第1段階,

すなわちデータベースから必要なレコードを取得する段階では,期間,顧客番号,乗車/降車バス停の名称の一部またはカテゴリを指定して該当するレコードのみを取得する.第 2

段階,すなわち取得レコードから行動時区間を抽出する段階

では,「乗車何分前から何分後まで」のような形式で,乗車/

降車時刻近傍の時区間,あるいは,乗車中時間として,乗車時刻から降車時刻までの時区間を取得することができる.乗降時刻データに対応して取得できる時区間を示した模式図をFig. 2に示す.

乗車 降車

乗降車前後時区間

乗車中時区間

Fig. 2: Time Segment Group from Bus Utility Data

• 歩数履歴データベース同様に,千葉県柏市における社会実験 [1]の中で,共想法に

よる認知症予防支援の会合参加者に配布された市販の歩数計の計測データを,歩数履歴のデータソースとして利用する.対象人数は 15人,データ取得期間は 2010年 9月から同年 10

月までである.この歩数履歴データは,被験者に歩数計を装着してもらいながら,普段どおりの生活を送る中で歩数の計測ならびに記録を行うことによって取得されたものである.歩数のデータは,1時間ごとの歩数が記録される.歩数履歴データベースに対応する検索手法の第1段階では,

期間,被験者番号を指定し,該当するレコードのみを取得する.第 2段階では,閾値と閾値以上/以下かを指定して,1時間あたりの歩数合計が閾値以上,以下であった時区間を取得可能である.1日分の歩数履歴データから 1時間あたりの歩数が 500歩以上である時区間を抽出している様子を示した図を Fig. 3に示す.

01002003004005006007008009001000

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

時刻

1時間あたりの歩数

歩数1時間あたり500歩以上の時区間

Fig. 3: Time Segment Group from Pedometer Data

• 家庭内焦電センサデータベース同様に,千葉県柏市における社会実験 [1]の中で,高齢者家庭見守りサービスとして一般家庭に設置した焦電人感センサの計測データを,家庭内焦電センサデータベースのデータソースとして利用する.対象世帯数は 5世帯,データ取得期間は2010年 7月から 2011年 1月までである.利用するシステムでは,焦電センサから動きを検出し,大まかな行動を把握することが可能である [4].3秒おきに感知を行い,その感知の反応の有無を 1分ごとに最大 15回までの範囲で集計し,記録する.この焦電センサが各家庭内の特定の生活行動を示しやすい「居間」「玄関」「寝室」「台所」「廊下」などに,世帯あたり 4-5箇所ずつ設置されている.家庭内焦電センサデータベースの検索手法の第1段階では,

期間と世帯番号を指定して,該当レコードを取得する.第 2

段階では,部屋名または家屋全体を指定して,その部屋での反応の有無に対応した時区間を抽出する.これにより,特定の部屋,あるいは家のどこかにいた時区間を取得することが可能になる.家庭内焦電センサのデータを,時区間情報に変更して取得した例を Fig. 4に示す.

2 08(2

N . Pr d n f th 20 J nf r n n R b t nd h tr n , , J p n, 26 28, 20

Page 3: Ææ rswh w ·ï±Ã »Ug~D¹=³µÂÜ - 東京工業大学...¬tSZ ó: w \Ææ r swh w ·ï±Ã »Ug~D¹=³µÂÜ Search and Visualization System of Dis tributed Sensor Databases

• 生活行動生起時刻データベース先に紹介した家庭内焦電センサデータから,毎日の起床・就寝,また外出があればその出発・帰宅といった生活行動の生起時刻を,独自のアルゴリズムによって計算する(Fig. 6).アルゴリズム自体は単純だが,予備実験によりそれぞれの行動がうまく検出できていることを確認している.このアルゴリズムでの計算結果を 1日毎のレコードに直し,改めてデータソースとして利用する.対象世帯数,データ取得期間は家庭内焦電センサデータベースと同様である.生活行動生起時刻データベースに対応する検索手法の第 1

段階では,期間と世帯番号を指定して,該当するレコードを取得する.第 2段階では,「起床後何分間」のような形式で,任意の生活行動生起時刻近傍の時区間,あるいは,「出発から帰宅まで」のような形式で任意の2つの生活行動の時区間を取得することが可能である.生活行動生起時刻データに対応して取得できる時区間を示した図を Fig. 5に示す.

反応数(回 /分)

時刻

部屋に居た時区間

Fig. 4: Time Segment Group

from Pyrosensor Data

外出 帰宅

行動イベント間時区間

起床 就寝

行動イベント前後時区間

Fig. 5: Time Segment Group

from Activity Schedule Data

生活行動生起時刻生成アルゴリズム� �起床時刻

午前 4時以降,設置されたいずれかのセンサの 1分あたりの反応回数が 5回を超えた時刻

外出時刻起床後,家庭内の全センサが 60分以上反応を示さず,かつ途切れる時刻の直前における玄関センサの総反応回数が,5分あたり 4回を超えた時刻

帰宅時刻外出後,いずれかのセンサに反応があった時刻

就寝時刻午後 9時以降,検知対象の時刻から過去 120分間の全センサの総反応回数が 40回を下回った時刻� �

Fig. 6: Explanation of Activity Detection Algorithm

• プロフィールデータベース行動履歴データベースの利用者情報が載っているプロフィールデータベースとしては,オンデマンドバス利用者の生年月日,性別の情報を含むバス利用者情報データベースと,家庭内焦電センサ設置家庭の利用者の性別,世帯番号,世帯人数の情報を含む家庭内焦電センサ利用者情報データベースを利

用する.これらそれぞれのプロフィールデータベース毎に,フィールドの情報を利用した検索手法を用意し,検索対象の絞込みが行えるようにした.

4 検索結果可視化アプリケーションシステムの利用例として,Fig. 7に示す異種データの同時

表示が可能な生活行動可視化アプリケーションを作成した.検索を利用した行動解析の支援を目指したものである.システムの機能は,検索の条件指定,実行,結果表示,セ

ンサデータの表示である.左上の検索条件指定部で,検索条件を指定し,実行する.右下の一覧表示部では,異種センサデータがまとめて時系列順に表示でき,また,検索結果の時区間群も同一箇所に表示できる.時区間群の回数,平均長,平均開始時刻などの統計量など行動履歴検索結果に関する情報は左下の結果詳細部に表示できる.右下の一覧表示部で特定の日をクリックすると,その日の行動情報の実センサデータは右上の詳細表示部に,バス利用履歴ならば乗降地名称の表,歩数履歴ならば時系列の棒グラフなど,センサデータの種類ごとに用意された方法で表示できる.一覧表示部では,各データベースからの行動情報が,Fig. 8

に示されるように,1行に 1日分がまとめて表示されている.左から右に向かって 0時から 24時に向かうようになっており,行動があった時刻の位置にそれぞれの行動のインジケータが表示される.家庭内焦電センサデータについては,センサを家屋全体で集約した合計の数値がヒストグラムで示されている.生活行動生起時刻データについては,緑・青・黄・赤の円がそれぞれ起床・外出・帰宅・就寝の生活行動生起時刻に対応した位置につけられている.歩数履歴データについては,1時間ずつの歩数が色つきの網掛けで青<緑<黄<赤の順に歩数が多くなるように示されている.バス利用履歴データについては,マゼンタ,灰の円がそれぞれバス乗車,降車の時刻に対応した位置に示されている.

検索条件検索条件指定指定

条件内容条件内容&&

結果情報結果情報

各種各種センサデータセンサデータ同時表示同時表示&&

時区間群時区間群

センサデータセンサデータ詳細詳細

表示条件表示条件指定指定

Fig. 7: Overview of Visualize Application

歩数計データ表示

生活時間・焦電センサデータ表示=

バス乗降データ表示 +

6時 12時 18時0時 24時

Fig. 8: Line View For Each Data of 1 Day

2 08(

N . Pr d n f th 20 J nf r n n R b t nd h tr n , , J p n, 26 28, 20

Page 4: Ææ rswh w ·ï±Ã »Ug~D¹=³µÂÜ - 東京工業大学...¬tSZ ó: w \Ææ r swh w ·ï±Ã »Ug~D¹=³µÂÜ Search and Visualization System of Dis tributed Sensor Databases

5 システムを利用した横断的な検索

構築した検索システムを利用して,異種データベースにまたがった横断的な検索を行った.

5.1 同一人物発見検索

今回構築したシステムの用途の一つとして,異種データベースにまたがる行動検索,結果統合をすることが挙げられる.また,本論文で使用している行動情報データの取得人数内訳は,Fig. 9に示す通りであり,この図から,複数の異種センサによって行動履歴を取得されている人が居ることがわかる.そこで,システムを利用した応用例として,同時に生起しそうな行動の履歴データを異なるデータベース上から取り出すことで,異種データベースから同一人物の組合せを発見することを試みた.このような検索は,類似した行動の人を集約する際に有効な行動履歴の特徴やルールを発見するのに将来的に役立つと考えられる.

バス利用履歴データ 歩数履歴

データ

焦電センサデータ

121

693

7

1

B

A

Fig. 9: Breakdown to Each Database

1. 外出時刻と歩数の相関を利用した人物同定【設定 1】外出中ならば歩数が増える という仮定に基づき,生活行動生起時刻データベースにおける「外出」イベントから「帰宅」イベントまでの時区間と,歩数履歴データベースにおける歩数が「500歩/時以上」である時区間の重なりを,歩数履歴データベース上にもデータを持つ生活行動生起時刻データベース上の 2人に対し,歩数履歴データベース上の 15人全員との組合せを取って調べる.【結果 1】実際の同一人物の組合せは,重なりが大きい方から上位 1位,2位に位置していた.【設定 2】睡眠中ならば歩数は増えない という仮定に基づき,生活行動生起時刻データベースにおいて全体と「起床」イベントから「睡眠」イベントまでの時区間との差演算によって取得した「睡眠中」の時区間と,歩数履歴データベースにおける歩数が「9歩/時未満」である時区間の重なりを,歩数履歴データベース上にもデータを持つ生活行動生起時刻データベース上の 2人に対し,歩数履歴データベース上の 15人全員との組合せを取って調べる.【結果 2】実際の同一人物の組合せは,重なりが大きい方から上位 2位,3位に位置していた.

2. バス利用と焦電センサの相関を利用した人物同定【設定】バス利用中ならば留守である という仮定に基づき,バス利用履歴データベースにおける「バス乗車中」である時区間と,家庭内焦電センサデータベースにおける「家のどこにも居ない」時区間の重なりを,家庭内焦電センサデータベース上にデータを持つバス利用履歴データベース上の4人に対し,家庭内焦電センサの該当3世帯との組合せを取って調べる.【結果】実際の同一人物の組合せは,重なりが大きい方から上位 1位,1位,2位,3位に位置していた.

3. バス利用と歩数の相関を利用した人物同定【設定】バス乗車前,降車後ならば歩いている という仮定に基づき,バス利用履歴データベースにおける「バス乗車前 30分」と「バス降車後 30分」の和集合の時区間と,歩数履歴データベースにおける歩数が「1時間あたり 100

歩以上」である時区間の重なりを,歩数履歴データベース上にデータを持つバス利用履歴上の 6人に対し,歩数履歴データベース上の該当する 6人との組合せを取って調べる.【結果】実際の同一人物の組合せは,重なりが大きい方から上位 1位,2位,3位,4位,6位に位置していた.残り 1人については,バス利用データが歩数履歴計測取得期間の範囲外であり,重なりは全員に対して 0であった.他の 2つの実験に対して成功率が低くなっているが,これは歩行量の個人差,歩数履歴の時間方向の分解能がバス利用履歴の時間方向の分解能に対して悪いことが理由として挙げられる.

今回設定した条件下でも同一人物の発見がある程度可能であった.同様にシステムを利用して,類似行動の検出に役立つルールが発見できると思われる.

5.2 検索結果からの人物群絞込み

【設定】行動履歴検索の結果を利用した簡単な人物群の分類を行った.ここでは,外出促進を目指し,行動解析をするための対象群を絞り込むことを念頭に置き,「バス利用は少ないが歩数合計が多い」という条件に合致する人物群の抽出を試みた.データ取得期間中のバス利用回数が 10回,歩数合計が10万歩である部分を境界と設定し,抽出実験を行った.【結果】設定条件下では,バス利用履歴データベースと歩数履歴データベースに共通してデータを持つ 6人のうち,4人を抽出することができた.

通常,このような異種複数データベース間にまたがる検索には,各データベースに対するデータ取得,同一形式への変換処理,処理結果同士の計算など,幾重にも渡る煩雑な処理が必要である.しかし,本システムを利用することで,GUI

アプリケーション上での検索条件指定,結果表示など簡易な手順での検索結果の習得が可能になり,異種データベース群からの行動解析の支援に役立つことが確認された.

6 結論多人数情報を持つ異種行動情報データベース群に対して,

1)時間情報を利用した共通の形式の行動履歴表現を取り出す仕組みを各データベースに準備することで,共通な手順での行動履歴検索,ならびに統一した形式での結果取得を可能にし,2)行動履歴と人物情報を分離させ相互に利用する構造を取ることで,複数人の行動情報の統計的利用を可能にする行動履歴検索システムを構築した.また,システムの応用例として可視化アプリケーションを作成し,構築したシステムの機能を,柏市南部で取得した複数人の異種センサ行動情報データベースにまたがる横断的な検索を行い確認した.

文 献[1] 大武美保子ら, 移動と会話の支援による生活行動と認知活動変

化の解析 -柏実証実験の設計と実施-, 第 28 回 日本ロボット学会学術講演概要集, 2H1–6, 2010.

[2] 山本祐輝ら, 住居内の動線及びセンサデータからの人間行動情報付加のための時区間検索システム, 第 72 回 情報処理学会全国大会講演論文集, 1ZB–6, 2010.

[3] 坪内孝太ら, オンデマンドバスの導入設計シミュレータの開発と評価, 人工知能学会論文誌, Vol. 25, No. 3, pp. 400–403, 2010.

[4] 森武俊ら, 長期蓄積データの分類に基づく高齢者生活異変検知,第 24 回 人工知能学会全国大会論文集, 1H2–NFC3b–4, 2010.

2 08(4

N . Pr d n f th 20 J nf r n n R b t nd h tr n , , J p n, 26 28, 20