ハナヤマタ TVアニメ公式サイトE

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”自分じゃないから、

何でもできる“って

思っていた。

 容姿も頭も美術や体育、なん

だってフツウの14歳――『ハナ

ヤマタ』の主人公「関谷なる」

はそんなフツウの生活から連れ

出してくれる”出会い“を夢

見ていた。そしてなるを演じる

上田麗奈さんも、また”出会

い“により役者として、声優

としての道を歩みはじめめたと

いう――その出会いの原点とは

なんだったのだろうか?

「小さいころはとにかく活発で

物怖じしない子どもだったんで

す。着ているのも地味なTシャ

ツとジーンズという男の子のよ

うな格好をしていたんですけれ

ど、小学校6年生の時のクラス

メイトに、とってもかわいらし

い女の子がいたんです。みん

なから『○○ちゃん、かわい

い!』って言われながら生き生

きしていて、それがまた嫌み

じゃなくて。

 その子にあこがれて、私もフ

リフリでかわいらしいスカート

やワンピースを着てみたい!

って思いました。そこからです

ね、女の子っぽくなろう! と

決心したのは。でも、そもそも

思ったからってなれるものじゃ

ないですよね(笑)。

 そんな女の子っぽくなろうと

思ったころに、クラブ活動で演

劇部に入ったんです。入った理

由はお芝居をやってみたいとか

いう理由ではなくて、単にクラ

ブの先生が面白かったからなん

ですけれど。

 でも、その先生がすごい熱心

――いや、どちらかといえば熱

血かな(笑)――に教えてくれ

て、お芝居っておもしろいなあ

……って。結局、中学高校と6

年間を演劇部でがんばりました。

 特に高校時代は部員も予算も

少なかったですけど、演劇コン

クールでは県大会まで進んだり

して充実していました。その大

会の審査員の先生から『舞台

セットも衣装も脚本もチープだ

けど芝居は素晴らしかった』と

言っていただけたのは、芝居で

魅せてやる! と意気込んで参

加した大会だっただけに、うれ

しかったですね。

SEKIYA 

NARU

Page 3: ハナヤマタ TVアニメ公式サイトE

 そうやって6年間も演劇をつ

づけられたのは、やっぱり演じ

ることが楽しかったからだと思

います。きっかけが楽しくて、

続けてみたらもっと楽しかった。

 もともと自分から積極的に話

しかけたり発表したりするタイ

プではなかったんです。ここは

なるとちょっと似ているかな。

でも、今でもはっきり覚えてい

るんですが、はじめて全校生徒

の前に立って演じたとき、自分

が言葉を大声で発しているこ

とそのものが面白かったし楽

しかったんです。そのときは

”自分じゃないから何でもでき

る“って思っていました。違う

自分になれるというのが楽し

かったんですね」

声優という道の岐路

 演劇で違う自分になれる楽し

さを知ったと語る上田さん。で

は、女優ではなく声優としての

道を選択したのはなぜなのだ

ろう? 理由を聞くと彼女は、

ちょっと照れくさそうにこう

語ってくれた。

「演劇部を引退した高校3年の

夏に、進路について考える授業

でいろいろと調べていたら、偶

然81プロデュースのオーディ

ションを知ったんです。

 それまでは漠然と美術大学へ

進学しようかと考えていたんで

すが、私がとてもあこがれてい

た女の子が常々『私は女優じゃ

なくて声優になりたいんだ』と

言っていたのを思い出して。

 私、その子をものすごくリス

ペクトしていたので、声優こそ

目指す道だ! って。影響され

やすいんですよ、私、えへへ。

 それで応募しようとしたら、

オーディションの締切がなんと

2日後(!)だったので、あわ

てて音楽の先生に、「録音機材

と収録用の防音室を貸してくだ

さい!」ってお願いしに行きま

した。いま思えば、かなり無理

なお願いですよね。しかも、選

択科目で普段は音楽ではなく美

術をとっていたので、その音楽

の先生の授業を一度も受けたこ

とはなかったんです……ほぼ初

対面で。そんな私のわがままに

も笑顔でこたえてくださった本

当にやさしい先生に、とてもと

ても感謝しています。

 結果、最終オーディションに

進み、準グランプリをいただく

ことができたのですが、授賞式

の会場に来ていた母が泣いて

UEDA REINA = SEKIYA NARU

Page 4: ハナヤマタ TVアニメ公式サイトE

いたという話を父から聞いて、

準グランプリをいただけたこ

とよりそちらのほうが驚きま

した……というのも、私の母

は人前では決して涙を見せな

い人なんですね。そんな母が

人前で泣いてくれたと知って、

私は本当に頑張らなきゃいけ

ないな、と。その母の話を聞

いて、初めて受賞の重みと自

覚を持てた気がします」

今、とても

ワクワクしています

 偶然のきっかけを必然に変え

る力――上田麗奈という役者の

源泉は、もしかしたらそこにあ

るのかもしれない。それは、『ハ

ナヤマタ』のオーディションを

受けた時のエピソードからも垣

間見える。

「最初のオーディションではな

ると真智を演じたのですが、そ

の後に行われた再オーディショ

ンでは監督から『なるでお願い

します』と言われました。最初

のオーディションでは真智のほ

うがしっくりしてるかも? な

んて感じていたんですが、資料

をいただいて改めて練習をして

いくと、なるの心の動きや想

いに共感というか、”あ、わ

かる!“っていう瞬間が多く

なってきたんです。

 ですからオーディションの

時は、なるを演じるというより

も自然に、普通に話していた

ような気がします。素に近い

ところで演じられたのは、きっ

となると私が似ている部分が

多かったからなのかもしれま

せんね、ふふふ。

 なるは自分自身を前面に出す

のはあまり得意ではありません

が、実は私も得意ではないんで

すよね(苦笑)。それではいけ

ないとは思いながらアフレコに

臨むのですが、やはり毎回悩み

ます。自分自身をさらけ出すに

しても、相手が違えば出し方が

変わりますし、そのタイミング、

抱えている想いでも変わってき

ますから。

 だから、なるが相手の心の揺

らぎをどうとらえているのか、

そしてなる自身がどう想ってい

るのかを、回を重ねてもっと深

く知りたい。

実際にマイクの前に立って会話

をしていくと、当初の自分の想

像とは違ったものになることの

ほうが多いんですね。でも、そ

のときの会話のほうがなるっぽ

いし、しっくりくる……いつも

発見ばかりです。

関谷なる(CV. 上田麗奈)

容姿も頭も、何だってフツウの中学2年生。物語に出てくるようなヒロインに憧れながらも普通の毎日を抜け出す勇気を持てないでいたが、月夜に踊る異国の少女ハナとの出会いをきっかけに、「自分も輝きたい」とよさこいの世界へと踏み出す。

PROFILE上田 麗奈(うえだ れいな)

1 月 17 日生まれ。81プロデュース所属。主な出演作は

『てさぐれ ! 部活もの』(園田萌舞子)『アルモニ』(真境名樹里)ほか。

UEDA REINA = SEKIYA NARU

Page 5: ハナヤマタ TVアニメ公式サイトE

 はじめは「楽しい」からスター

トした上田さんの芝居は、いま

新たなキャラクターや一緒に演

じる仲間や先輩との出会いによ

り、楽しいだけではない何かに

変化しているようだ。なるがハ

ナと出会い、物語が動きはじめ

たように、上田麗奈という声優

の物語は、今まさに大きく動き

だそうとしている。その物語の

主人公である上田さんは、どう

いう物語を描こうとしているの

だろうか。

「自分がこの先、10年20年たっ

ても、いろいろな人の話をちゃ

んと聞いて経験をして、そして

それらを表現できる力を持ちた

いんです。感受性が豊か……な

んて言ったらちょっと月並みで

すけれど。

 収録現場でご一緒させていた

だく先輩方は、皆さん自分は役

者だと自信をもって言える方々

ばかりなので、私もはやく心の

底から『自分は役者です』って

言えるようになりたいです。

 お芝居で”違った自分“に

なれる喜びを知りましたが、そ

の”違った自分“もやっぱり

自分なんですよね。自分が知っ

ていること、経験したことしか

できない……だから、自分は役

者だと胸を張って言えるように

なるためにも、もっとたくさん

の人たちと出会って話を聞いて

いきたいし、経験を積みたい。

 なると出会い彼女を演じるこ

とで、自分は何かを得るでしょ

うし変わるんじゃないかと感じ

ています。それがどういうこと

なのかは、まだわかりませんけ

れど……。でも、今とてもワク

ワクしていています、私」

Photo / Masaaki MatsumotoText / Yohei OgawaEditor / Koji TeradaDesign / Over Drive

© 浜弓場 双・芳文社/ハナヤマタ製作委員会

TVアニメ「ハナヤマタ」7月よりテレビ東京ほかにて放送開始