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1 0.はじめに 0.はじめに 0.はじめに 0.はじめに 堺市内にある本園は、すぐ裏に幹線路が縦断しており 交通量が多く、自然が少ない場にある。自然を身近に感じ ながら心身共にのびのびと長してほしいと願い、園庭に 様々な樹木を植えている。昨年度は、モッコウバラのアーチ、 さらには小川や池も新しく完し、豊かな自然環境を心がけている。 1. 1. 1. 1. 『子どもの気づきからはじまる保育』 『子どもの気づきからはじまる保育』 『子どもの気づきからはじまる保育』 『子どもの気づきからはじまる保育』~子どもの育ちをストーリーとしてつなぐ~ ~子どもの育ちをストーリーとしてつなぐ~ ~子どもの育ちをストーリーとしてつなぐ~ ~子どもの育ちをストーリーとしてつなぐ~ 本園は「科学する心」の論文応募を始めて4年目になる。毎年、どのクラスにおいても「子どもの気 づきとは何か?」「科学する心とは何か?」を考えながら保育をしてきたが、それを意識するあまりに、 「子どもがどうしたら気づくのかな?」という保育をしていたような気がする。そのため、「子ども主体 の保育になっていたのだろうか?」と毎年本園の課題になっていた。 そこで今年は、子どもの目線に合わせ、「子どもがどんなことに興味があるのだろうか?」「どんなこ とに心を動かしているのだろうか?」と着目点を替え、もう一度原点にもどり、気づきをとらえること を中心とし、『子どもの気づきからはじまる保育』 『子どもの気づきからはじまる保育』 『子どもの気づきからはじまる保育』 『子どもの気づきからはじまる保育』に取り組むことにした。 <今年度の取り組み> 『気づくことを、楽しもう!』 『気づくことを、楽しもう!』 『気づくことを、楽しもう!』 『気づくことを、楽しもう!』をキーワードとして、「ん?」「あれ?」 「どうして?」「なんだろう?」と子どもが感じた瞬間をカメラでとらえた。 たくさん撮った気づきの瞬間を、毎月、講師をいて、科学する心について研修を行なっている。 研修の中で、プロジェクターで映しだし、様々な気づきの様子を、全保育者で共有してきた。「この表 情いいね。」「すごい!こんなことに気が付いたの?」と話が盛り上がり、その中から、子どもの気ちを さらに深く捉えることができた。「見て!聞いて!」と毎月の科学の研修が盛り上がった。毎月研修を重 ねていくことにより、「この気付きがあったから、こんなことに気がついたんだ!」と、それぞれの気づ きがつながり、ストーリーが生まれた。 .気づきの分類と気づきの育ち 気づきの分類と気づきの育ち 気づきの分類と気づきの育ち 気づきの分類と気づきの育ち 昨年まで、取り組んできた気づきの分類について、もう一度新たに、子どもたちの育ちをストーリー としてつなぐうえで確認した。 ◎素朴な気づき 素朴な気づき 素朴な気づき 素朴な気づき 「あっ!」「おもしろい!」「たのしそう!」などの素朴な気づき 素朴な気づき 素朴な気づき 素朴な気づき(偶然の気づき)から、子どもたちの 育ちのストーリーが始まる。この素朴な気づきに保育者が気づき、子どもの心を揺さぶる環境をつくる ことにより、新たな気づきへと広がり・深まっていく。 ◎関係づけの気づき 関係づけの気づき 関係づけの気づき 関係づけの気づき 素朴な気づきからはじまり、子どもたちの心をり動かす環境をつくることにより、「これ、前とおんな じ」「みたことある。」と繰り返してあそぶ中で、関係づけの気づき 関係づけの気づき 関係づけの気づき 関係づけの気づきが生まれてくる。繰り返して楽しみ、 「こうなったから、こうなった。」と確認することができる環境をつくりことが大切になる。 ◎探求・探索の気づき 探求・探索の気づき 探求・探索の気づき 探求・探索の気づき 関係づけの気づきの中から、新たに「どうしてだろう?」「なんだろう?」という気づきが生まれ、子ど も自身で考えやってみよう!とする姿が探求・探索の気づき 探求・探索の気づき 探求・探索の気づき 探求・探索の気づきになってくる。気づきが、さらに深まり、 広がることができるような環境をつくることが大切になってくる。

0.はじめに2 •偶然の気づきからはじまる ・個々の気づきを楽しむ 0歳 あっ!おもしろい!!•繰り返したり、真似したりしながら楽しむ

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Page 1: 0.はじめに2 •偶然の気づきからはじまる ・個々の気づきを楽しむ 0歳 あっ!おもしろい!!•繰り返したり、真似したりしながら楽しむ

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0.はじめに0.はじめに0.はじめに0.はじめに

堺市内にある本園は、すぐ裏手に幹線道路が縦断しており

交通量が多く、自然が少ない場所にある。自然を身近に感じ

ながら心身共にのびのびと成長してほしいと願い、園庭に

様々な樹木を植えている。昨年度は、モッコウバラのアーチ、

さらには小川や池も新しく完成し、豊かな自然環境を心がけている。

1.1.1.1.『子どもの気づきからはじまる保育』『子どもの気づきからはじまる保育』『子どもの気づきからはじまる保育』『子どもの気づきからはじまる保育』~子どもの育ちをストーリーとしてつなぐ~~子どもの育ちをストーリーとしてつなぐ~~子どもの育ちをストーリーとしてつなぐ~~子どもの育ちをストーリーとしてつなぐ~

本園は「科学する心」の論文応募を始めて4年目になる。毎年、どのクラスにおいても「子どもの気

づきとは何か?」「科学する心とは何か?」を考えながら保育をしてきたが、それを意識するあまりに、

「子どもがどうしたら気づくのかな?」という保育をしていたような気がする。そのため、「子ども主体

の保育になっていたのだろうか?」と毎年本園の課題になっていた。

そこで今年は、子どもの目線に合わせ、「子どもがどんなことに興味があるのだろうか?」「どんなこ

とに心を動かしているのだろうか?」と着目点を替え、もう一度原点にもどり、気づきをとらえること

を中心とし、『子どもの気づきからはじまる保育』『子どもの気づきからはじまる保育』『子どもの気づきからはじまる保育』『子どもの気づきからはじまる保育』に取り組むことにした。

<今年度の取り組み>

『気づくことを、楽しもう!』『気づくことを、楽しもう!』『気づくことを、楽しもう!』『気づくことを、楽しもう!』をキーワードとして、「ん?」「あれ?」

「どうして?」「なんだろう?」と子どもが感じた瞬間をカメラでとらえた。

たくさん撮った気づきの瞬間を、毎月、講師を招いて、科学する心について研修を行なっている。

研修の中で、プロジェクターで映しだし、様々な気づきの様子を、全保育者で共有してきた。「この表

情いいね。」「すごい!こんなことに気が付いたの?」と話が盛り上がり、その中から、子どもの気持ちを

さらに深く捉えることができた。「見て!聞いて!」と毎月の科学の研修が盛り上がった。毎月研修を重

ねていくことにより、「この気付きがあったから、こんなことに気がついたんだ!」と、それぞれの気づ

きがつながり、ストーリーが生まれた。

2222....気づきの分類と気づきの育ち気づきの分類と気づきの育ち気づきの分類と気づきの育ち気づきの分類と気づきの育ち

昨年まで、取り組んできた気づきの分類について、もう一度新たに、子どもたちの育ちをストーリー

としてつなぐうえで確認した。

◎◎◎◎素朴な気づき素朴な気づき素朴な気づき素朴な気づき

「あっ!」「おもしろい!」「たのしそう!」などの素朴な気づき素朴な気づき素朴な気づき素朴な気づき(偶然の気づき)から、子どもたちの

育ちのストーリーが始まる。この素朴な気づきに保育者が気づき、子どもの心を揺さぶる環境をつくる

ことにより、新たな気づきへと広がり・深まっていく。

◎◎◎◎関係づけの気づき関係づけの気づき関係づけの気づき関係づけの気づき

素朴な気づきからはじまり、子どもたちの心を振り動かす環境をつくることにより、「これ、前とおんな

じ」「みたことある。」と繰り返してあそぶ中で、関係づけの気づき関係づけの気づき関係づけの気づき関係づけの気づきが生まれてくる。繰り返して楽しみ、

「こうなったから、こうなった。」と確認することができる環境をつくりことが大切になる。

◎◎◎◎探求・探索の気づき探求・探索の気づき探求・探索の気づき探求・探索の気づき

関係づけの気づきの中から、新たに「どうしてだろう?」「なんだろう?」という気づきが生まれ、子ど

も自身で考えやってみよう!とする姿が探求・探索の気づき探求・探索の気づき探求・探索の気づき探求・探索の気づきになってくる。気づきが、さらに深まり、

広がることができるような環境をつくることが大切になってくる。

Page 2: 0.はじめに2 •偶然の気づきからはじまる ・個々の気づきを楽しむ 0歳 あっ!おもしろい!!•繰り返したり、真似したりしながら楽しむ

2

•偶然の気づきからはじまる偶然の気づきからはじまる偶然の気づきからはじまる偶然の気づきからはじまる ・個々の気づきを楽しむ・個々の気づきを楽しむ・個々の気づきを楽しむ・個々の気づきを楽しむ

0歳 あっ!おもしろい!!

•繰り返したり、真似したりしながら楽しむ繰り返したり、真似したりしながら楽しむ繰り返したり、真似したりしながら楽しむ繰り返したり、真似したりしながら楽しむ ・保育者が楽しんでいることに興味を持つ・保育者が楽しんでいることに興味を持つ・保育者が楽しんでいることに興味を持つ・保育者が楽しんでいることに興味を持つ

1歳 あれ?なにかな?やってみよう!

•興味を持って、試してやってみよう!興味を持って、試してやってみよう!興味を持って、試してやってみよう!興味を持って、試してやってみよう! ・友だちが楽しんでいることに興味を持つ・友だちが楽しんでいることに興味を持つ・友だちが楽しんでいることに興味を持つ・友だちが楽しんでいることに興味を持つ

2歳 あれも!これも!おもしろい!!

•友だちと気づき共有する友だちと気づき共有する友だちと気づき共有する友だちと気づき共有する ・気づきの輪が広がる・気づきの輪が広がる・気づきの輪が広がる・気づきの輪が広がる

3歳 おもしろいね!たのしいね!

•友だちと試したことを確認し、自信につながる友だちと試したことを確認し、自信につながる友だちと試したことを確認し、自信につながる友だちと試したことを確認し、自信につながる ・保育者と共に気づきが深まる・保育者と共に気づきが深まる・保育者と共に気づきが深まる・保育者と共に気づきが深まる

4歳 こうしたら、こうなった!

•友だちと協力し、共有する友だちと協力し、共有する友だちと協力し、共有する友だちと協力し、共有する ・友だちと協力して気づきを深める・友だちと協力して気づきを深める・友だちと協力して気づきを深める・友だちと協力して気づきを深める

5歳 一緒にやってみよう!

3333....『子どもの気づきからはじまる保育』における保育者の役割『子どもの気づきからはじまる保育』における保育者の役割『子どもの気づきからはじまる保育』における保育者の役割『子どもの気づきからはじまる保育』における保育者の役割

子どもたちが「やってみたい!」「なんでだろう?」「おもしろい!」という気持ちを大切にし「こんな

環境をつくったら、どんな反応をするのかな?」と保育者自身わくわくしながら、決して誘導せず子ど

も自身が気づくまでじっと待っていた。ついつい「ほら!みて!」「なに?」と声をかけそうになるのを

ぐっとこらえて…。保育者が子どもの気づきに気がつき、新たな気づきにつなげていけるように環境を

つくっていくことを大切にすることにより、子どもたちの意欲が高まり、気づきが広がり・深まり、遊

びがつながってきた。保育者主体の保育では、遊びのつながりはすぐに途切れてしまう。子ども主体の

『子どもの気づきからはじまる保育』『子どもの気づきからはじまる保育』『子どもの気づきからはじまる保育』『子どもの気づきからはじまる保育』を行うにあたり保育者の役割を考えた。

保育者の役割

0歳 子どもの気づきを捉えて、心が動く環境を用意する

1歳 子どもの気づきを一緒に楽しむ。

2歳 気づきに共感し、繰り返し楽しめるようにする。

3歳 気づきを友だちと共感し、楽しむ姿を見守る。

4歳 気づきが確信できるように、もう一度試せる環境をつくる。

5歳 友だちとのかかわりを見守りながら、相談相手になり一緒に疑問を解決していく。

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3

4444....各クラスの実践報告各クラスの実践報告各クラスの実践報告各クラスの実践報告

� 0歳児0歳児0歳児0歳児 りすぐみりすぐみりすぐみりすぐみ 「すべらせるって、おもしろい!」「すべらせるって、おもしろい!」「すべらせるって、おもしろい!」「すべらせるって、おもしろい!」

~ひとりの男の子の気付きを追って~~ひとりの男の子の気付きを追って~~ひとりの男の子の気付きを追って~~ひとりの男の子の気付きを追って~

◎素朴な気付き

場面1場面1場面1場面1「すべった!」「すべった!」「すべった!」「すべった!」 (10ヶ月 5月中旬)

◎関係づけの気付き

場面場面場面場面2222「あれ?すべらない」「あれ?すべらない」「あれ?すべらない」「あれ?すべらない」 (11か月 6月中旬)

◎関係づけの気付き

場面場面場面場面3333「どうすれば「どうすれば「どうすれば「どうすれば すべるかな?」すべるかな?」すべるかな?」すべるかな?」 (11か月 6月中旬)

床に手をつこうとした時に偶然おもちゃの上に手が乗っておもちゃがすべったことがおもしろくて、色々な

物をすべらせて遊んでいる姿が見られた。透明のタッパー容器もすべらせて遊んでいる時、部屋の端で行き止

まりになり座り込んでしまった。‘どうしたのかな?’としばらく黙って見守っていると、左手から右手に持

ち変え、体の向きも変えて反対側へ、再び、すべらせて遊んでいた。

どうしよう…

カーペットの上でおもちゃを

すべらせていた。しかし、床(フ

ローリング)のようにはうまく

進まず、座り込んでしまったが、

思い出したかのようにカーペッ

トから離れて、床ですべらせて

遊び始めた。

こっちに いこう

なんか、ちがう!

カーペットの上から

移動して…

ここ!

ここ!

円柱の箱積木をすべらせようと横向きに置いて手をつくと手がすべりうまくすべらせる事ができなかった。

立ててすべらせるとうまくすべったので大満足の笑顔。箱積み木を転がしたりひっくり返したり色々試して

いるうちにすべりやすい置き方を見つけたようだ。積んで遊ぶものだと決めつけている箱積み木も、何通り

ものあそび方を工夫することのできる子どものすごさに感動した。

あれ?

すべらない

やったー!! こうしてみよう

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4

◎関係づけの気づき

場面4場面4場面4場面4「これも「これも「これも「これも すべるかな?」すべるかな?」すべるかな?」すべるかな?」 (1歳0ヶ月 7月初旬)

◎素朴な気付き

場面5場面5場面5場面5「あれ?よくすべる」「あれ?よくすべる」「あれ?よくすべる」「あれ?よくすべる」 (1歳0ヶ月 7月初旬)

◎関係づけの気付き

場面6場面6場面6場面6「プップー!車を走らせよう」「プップー!車を走らせよう」「プップー!車を走らせよう」「プップー!車を走らせよう」 (1歳0ヶ月 7月中旬)

木製の型はめおもちゃの取っ手をつかんで床にすべら

せて遊んでいた。おもちゃの形にも関心を持っているよ

うで、手のひら全体でおもちゃを押さえて動かしたり、

出っ張りのあるおもちゃは出っ張っている部分を指で

つまんで動かしたりしてあそんでいる。形によって持ち

やすい方法で、安定するような持ち方が見られる。

タイヤのついたおもちゃをすべらせて遊

ぶ姿が見られるようになる。タイヤのつ

いているおもちゃはよくすべることがわ

かり、すべらせるときの押さえ方や力加

減も工夫しているように見える。

しだいにタイヤのついている車を好んで遊ぶことが多く

なった。ちょっと押せばよくすべる、よく動く、という

ことが理解でき、自由自在に動かせることに興味を示し

たようだ。 すべるスピードに体が追いついていかない

ときもあり、片方の手を床についてしっかりと体のバラ

ンスを取りながら、部屋の広範囲まで動かしていた。

≪考察≫≪考察≫≪考察≫≪考察≫

おもちゃの上に偶然手がついておもちゃがすべった事から「すべる」という事に興味を示し、「これは

すべるかな?」「これはどうかな?」と試しているかのように、色々な物をすべらせて遊ぶ姿が見られた。

繰り返し遊んでいるうちに「このおもちゃはすべった」というように「すべる」という事を確信して試

しているように見える。また、カーペットの上ではうまくすべらないという経験をしたことで、その後、

遊んでいたのは床(フローリング)の上ばかりであった。遊びをとおして「ここは、すべる」「ここは、

すべらない」ことがわかって遊んでいるように見られた。タイヤのついているおもちゃはよくすべる、他

のおもちゃとは違うこともわかってきたのか、手のつき方や力の入れ方、持ち方もおもちゃにあわせて加

減することを学んでいるように思う。

おもしろい、楽しいと感じたことは、何度も繰り返し試して遊んでいる。このような子どもの姿や表情、

言葉から子どもの心を読み取って、環境を整えていくことが大切だと改めて感じた。

よく、すべる

よくすべったよ!

ここを

もってみよう

よく、うごくよ

プップ

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� 0000・1歳児・1歳児・1歳児・1歳児 ひよこぐみひよこぐみひよこぐみひよこぐみ 「これ!なあに?不思議だな?!」「これ!なあに?不思議だな?!」「これ!なあに?不思議だな?!」「これ!なあに?不思議だな?!」~~~~ 光と影との出会い光と影との出会い光と影との出会い光と影との出会い ~~~~

◎素朴な気付き

場面1場面1場面1場面1「なにか映っているよ!」「なにか映っているよ!」「なにか映っているよ!」「なにか映っているよ!」 (0.1 歳 5 月下旬)

◎素朴な気付き

場面2場面2場面2場面2「色がついているよ!」「色がついているよ!」「色がついているよ!」「色がついているよ!」 (0.1 歳 6 月中旬)

部屋での様子部屋での様子部屋での様子部屋での様子

園庭での様子園庭での様子園庭での様子園庭での様子

◎関係づけの気付き

場面3場面3場面3場面3 「不思議だな!?」「不思議だな!?」「不思議だな!?」「不思議だな!?」 (0.1 歳 6 月下旬)

なに? なんか、

ついているよ!

とれない!!

ん?! あれ?

きえたよ!

太陽の光が差し込み、網戸を通して影が手

や顔に映った。影をつまんだり引っ張った

り、つかまえようとする。こんな子どもの姿

にカラーの影をつくると、どんな反応を示す

のか興味がある。

カラーセロファンを子ども達に手渡すと、

初めて見るカラーセロファンに興味津々。透

かして見たり、覗き込んだり、窓に貼りつけ

て外を見たり。園庭に持っていくと、年中児

が太陽の光に当ててカラーの影を作って見せ

てくれた。

子ども達が園庭で遊んでいる間に、保育室

の窓にも貼っておくと。

おもしろいな!

外を

見てみよう!

あっ!

おもしろい!

みて!こうしたら、おもしろいよ!

窓に貼っているカラーセロファンの影に、

初めはなかなか気づかなかった。

“あっ”とKちゃんが床にカラーの影が映

っている事に気づき、不思議そうな顔をし

て触ってみたり床を叩いていた。また、友

だちの顔にも影が映っていることに気がつ

いて取ってあげようとしていた。

あっ!

なんか、

ついてる!

なんだ?

遊んだ後、窓に貼っておくと…

影を持って

行こうとして…

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◎関係づけの気付き

場面4場面4場面4場面4 「まぶしいね!」「まぶしいね!」「まぶしいね!」「まぶしいね!」 (0.1 歳 7 月上旬)

◎素朴な気付き

場面4場面4場面4場面4「見たことある!」「見たことある!」「見たことある!」「見たことある!」 (0.1 歳 7 月中旬)

◎関係づけの気付き⇒探索・探究の気付き

場面場面場面場面 5555 「やってみよう!」「やってみよう!」「やってみよう!」「やってみよう!」 (0.1 歳 7 月下旬)

部屋やフロアに差しこむ太陽の光に気づくようになり「どこ?」と、きらきらまぶしいところを探し

たり、どこから光が差してくるのか探す姿が見られるようになった。

懐中電灯の光を子ども達に見せると・・・。

あれ?

きらきら

している!

どこ?

きらきらしている!

どこ?

子どもたちの目の前で懐中電灯を点けたり消したりする

と「なに?」と不思議そうに見ていた。また、光を壁や

天井に移動させると目で追いかけて光を探し、見つける

と「あった!」と指していた。

なに? あっ!

懐中電灯を子どもたちに渡すと興味津々、触ったりレンズをの

ぞいたり。そのうちスイッチをつけたり消したりしているうち

に、懐中電灯の光が天井や壁・床に映っていることに気づき、

懐中電灯と影を交互に見て確かめていた。

これは、なんだ?

あれ?

なんだ!

≪考察≫≪考察≫≪考察≫≪考察≫

太陽の光が網戸を通して影になって映っていることに気づき、影のあるほうを指さしして保育者に伝

えようとしている。影を握ろうとしたりつかまえようとあそびが始まった。あそびを深めるためにカラ

ーセロファンを窓に貼っておくと、床に映る影が今までとは違う色になっている事に気づいて、不思議

そうな顔をしながら影を触ろうとしていた。偶然の気づき(素朴な気づき)から、また新たな気づき(関

係づけの気づき)につなげていくための環境を設定することにより、「これ、前と一緒!」「見たこと

ある!」と何度も繰り返し遊んでいくうちに、気づきが広がり・深まりが見られた。

今回、今まで撮り続けてきた写真を掘り起して、その時の子どもの興味や関心を確認しあいストーリ

ーとしてつないでいくことで新たな子どもの気づきに保育者が気づくことができた。「そういえば、太

陽の光が当たる時間に、窓際に行ってなかった?」「午前と午後からの時間差で光が移動すると、光に

あわせて子ども達も動いていなかった?」と子どもの気づきを改めて実感できた。子どもの気づきに着

目し、心を揺さぶるような環境や援助があれば、子どもは主体的にあそびに挑戦していく意欲が育って

いくことと思う。

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� 1歳児1歳児1歳児1歳児 うさぎぐみうさぎぐみうさぎぐみうさぎぐみ 「いろんなところでスタンピング」「いろんなところでスタンピング」「いろんなところでスタンピング」「いろんなところでスタンピング」

◎素朴な気づき

場面1場面1場面1場面1 「お水でツンツン!」「お水でツンツン!」「お水でツンツン!」「お水でツンツン!」 (1歳 5月下旬)

◎素朴な気づき

場面2場面2場面2場面2 「テラスでぺったんこ!」「テラスでぺったんこ!」「テラスでぺったんこ!」「テラスでぺったんこ!」 (1歳 6月中旬)

なにかな・・

さわってみよう!

ん? つん!

つん!

かきかき~

ぺったんこ! お水がなくなっ

たから…

てんてん…

なにかな・・ ぺったんこ!

ぺったんこ!

くっつくかな・・

テラスにも水たまりがいっぱい。どの子が歩いてつけたの

か、かわいい足跡がてんてん。てんてんを見ようと屈んだ

途端に、偶然両手がついてちっちゃな手形ができた。

なにしてるの!

あれ?

てがついた!

花壇のレンガの上に水の入った皿が残っていた。その

水に指をつけてツンツン・・その横で見ていた2歳児の

男児も指に水をつけてするする~と絵を描き始めた。

同じように真似をして、手でぺたぺた。

雨上がりの園庭にあちらこちらにできている水たま

りでどのような遊びの展開が見られるのか楽しみだ。

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◎関連付けの気づき

場面3場面3場面3場面3 「どろんこスタンピング…自分で試してみたよ!」「どろんこスタンピング…自分で試してみたよ!」「どろんこスタンピング…自分で試してみたよ!」「どろんこスタンピング…自分で試してみたよ!」 (1歳 7月初旬)

◎探求・探索の気づき

場面4場面4場面4場面4 「これでも、やってみよう!」「これでも、やってみよう!」「これでも、やってみよう!」「これでも、やってみよう!」

カップを持って、水たまりに

てが、

くっついた!

ぺったんこ!

ぺったんこ!

ぼくのては、

これかな…

もういっかい!

ぺたんこ!

これで、ぺったん

こしてみよう!

ほらみて!

くっついたよ

おもちゃのカップを持って水たまりに

やってきた。水たまりにカップをつけ

ては画用紙にぺったん ぺったん。

雨上がりの園庭にできる水たまりは子ども達の

宝物。水たまりに行って手や足で思い切りスタ

ンピング。端っこの方の泥どろの場所を見つけ

て両手でびしゃびしゃとあちこちに手形の模様

作り。画用紙をテラスに置いておくと、ぺった

んこ。おもしろくて何度も画用紙にぺったんこ

して、お友だちの模様と比べて楽しんでいた。

《考察》《考察》《考察》《考察》

1 歳児の気づきも偶然発生したことから始まった。その偶然を保育士が一緒に「うわぁ!すごい

ね。」「なんでかな…」と共感することで、「もういっかい!」と遊びが続いた。正直なところ、泥

んこスタンピングは、子どもたちの発想の展開に驚かされた。画用紙を用意するだけで「ぺったん!

ぺったん!」といいながら、色々な手形を写しては人と比べて見たり、配置にも工夫が見られた。楽

しむ姿は保育士も「やった!!」と遊びがつながった嬉しい瞬間だった。しかし、一人の子がカップ

を持ってきて、泥の中でびちゃびちゃしているのを「やっぱり、こういう遊びも楽しいよね。」と見

ていると、カップを使ってスタンピングを始めた時は「そんな遊びもできるんだ!!」と感心した。

前にやって楽しかった経験を、「あ!このまえこんなことした!」と思いだし、やってみる。その積

み重ねで少しずつ遊びが発展したり、関係づけの気づきに繋がっていく。今後も小さな子どもの気づ

きを発見し一緒に共感しながら、それを保育士間で伝えあうことで沢山の見守りから、色々な方向に

遊びが広がっていくような環境を用意していきたい。

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� 2歳児2歳児2歳児2歳児 あひる・ぺんぎんぐみあひる・ぺんぎんぐみあひる・ぺんぎんぐみあひる・ぺんぎんぐみ 「大好きな水遊び!!」「大好きな水遊び!!」「大好きな水遊び!!」「大好きな水遊び!!」~色々試してみて発見したよ~~色々試してみて発見したよ~~色々試してみて発見したよ~~色々試してみて発見したよ~

◎素朴な気付き

場面1場面1場面1場面1「いっぱい流そう!「いっぱい流そう!「いっぱい流そう!「いっぱい流そう!」」」」 (2歳 5月旬)

◎素朴な気付き

場面2場面2場面2場面2「なんで?とまったの?」「なんで?とまったの?」「なんで?とまったの?」「なんで?とまったの?」 (2歳 5月中旬)

◎関係づけの気付き

場面3場面3場面3場面3「お水が、いっぱい!」「お水が、いっぱい!」「お水が、いっぱい!」「お水が、いっぱい!」 (2歳 5月中旬)

とまっちゃった。

なんでかなぁ?

てで、どけてみよう!

あれ!

うごかない

スポンジをもったら、

みずがポタポタおちた…

たまったみずのなかに

てをいれてみよう

このみず

あつめよう

ギュ~ウ

にぎったら、

みずがでた。

みず なくなった

まって~

園庭の川に手を入れ、流れる水

の感触を楽しんでいる。側に流れ

やすい素材(発砲スチロール製の

魚・トレイ・スポンジなど)も用

意しておく。それぞれ気に入った

おもちゃを持ってきては川に流し

ていると止まってしまった。重な

りあっているおもちゃを抜いた

り、手を左右に動かして流れやす

いようにさばいたりしていると、

ようやくスムーズに流れだした。

途中で止まってしまったスポンジを手で押して

みたけどやはり動かなくて、持ちあげたらポタ

ポタと水が落ちた。ぎゅっと握ると水がいっぱ

い出てきたので、もう一度スポンジを川に流し、

止まった時にスポンジを持ち上げて、バケツに

絞っては水をためて遊びだした。

水が一杯になったバケツの中にみんなで手を入れたら一気に

水があふれた。手を抜くと、水がなくなっていたので、「あれ?」

と不思議そう・・・。

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10

◎素朴な気付き

場面4場面4場面4場面4「あっ!水がでてきたよ!「あっ!水がでてきたよ!「あっ!水がでてきたよ!「あっ!水がでてきたよ!」 (2歳 6月上旬)

場面5場面5場面5場面5「コロコロ…ポチャン「コロコロ…ポチャン「コロコロ…ポチャン「コロコロ…ポチャン!!!!あれ?あれ?あれ?あれ?」」」」 (2歳 7月中旬)

◎関係づけの気付き

場面6場面6場面6場面6「響く音を発見したよ」「響く音を発見したよ」「響く音を発見したよ」「響く音を発見したよ」 (2歳 7月中旬)

ここに

おいてみよう

ドン

バーン!

いれよう

みずにつけてみよう

ボワ~ンっていってる

ポチャン

ダン 台に立てかけてある戸井に興味を示し、水風船

やボール、カップの容器等を転がして遊びだし

た。途中で止まった時には戸井を持ち上げて転

がしていた。水の中に転がり落ちた時に音が違

う事に気づき、転がしながらどんな音がするの

か試していた。

保育者が筒の中を覗きこむしぐさをしてみる。

すると真似をして覗き、筒の中に水風船がたま

っていたことを発見! そこに水風船をいれる

と響く音が聞こえてくることにも気づいた。

年長児が遊んでいたホースを見つけて、ジョウロやスコップ

で水をホースに入れていると反対側から水がちょろちょろ流

れだしたので、「あっ!なくなる!」と叫びながらホースを持

ち上げていた。

《考察》《考察》《考察》《考察》

色々な素材を川に流していると、早いスピードで流れていくものとゆっくり流れるものがあり、何

度も試しているうちにどれが早く流れるかがわかり、速さ比べをして遊んでいる。

一度にたくさん流して途中で引っかかって詰まってしまった時は、流れやすいように向きを変えたり

重なり合っているのをさばいたりすると流れることも理解できるようになった。スポンジは水を含む

と重くなって止まってしまった。スポンジを持ち上げた時にポタポタと水が落ちたのがおもしろくて、

絞ってバケツに水をため、軽くなったスポンジを川に流すと再び流れた。また重くなって止まった時

にスポンジを取って絞っては川に流す、この動作を何度も繰り返しているうちに、スポンジは重いと

流れないことに気がついたようだ。また水がたまっているバケツに一度にいっぱい手を入れたために

水がなくなったという気づきも見られた。戸井に水風船やボールなどを転がす遊びを繰り返している

うちに、水の中に落ちた時に音がする事に気づき、転がす前にどんな音がするのかを試し合っていた。

「おもしろそう!」と素朴な気づきが生まれ、興味を持って遊び始めたことでも、保育者の気づきや

環境設定がなければ繰り返し遊び続け、関係づけの気づきにつながっていくことはなかったと思う。

子どもの思いにそった環境を準備し、遊びが継続していくように共感していきたい。

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� 3歳児3歳児3歳児3歳児 ぱんだぐみぱんだぐみぱんだぐみぱんだぐみ 「みて、みて、ダンゴムシ見つけたよ!!」「みて、みて、ダンゴムシ見つけたよ!!」「みて、みて、ダンゴムシ見つけたよ!!」「みて、みて、ダンゴムシ見つけたよ!!」

◎素朴な気付き

場面1場面1場面1場面1 ダンゴムシとの出会いダンゴムシとの出会いダンゴムシとの出会いダンゴムシとの出会い (3歳4月上旬)

◎関係付けの気づき

場面2場面2場面2場面2 ダンゴムシはおもしろいねダンゴムシはおもしろいねダンゴムシはおもしろいねダンゴムシはおもしろいね (3歳4月下旬)

場面3場面3場面3場面3 ダンゴムシを飼ってみようダンゴムシを飼ってみようダンゴムシを飼ってみようダンゴムシを飼ってみよう (3歳5月中旬)

◎探究・探索の気づき

園庭の花壇やプランターの下にはダンゴムシがい

るのを子ども達はよく知っている。毎年年長児から年

少児へとダンゴムシの居場所を伝えられているから

である。春になると決まってバケツやカップを持って

花壇周辺にくぎ付けになる子ども達。今年の春もモゾ

モゾと動くダンゴムシを発見した。

最初は個々で探していたが、友だちとダンゴムシ

の話しが共通の話題になり一緒に探しだした。

中には見つけたダンゴムシを手の平にのせて、ダ

ンゴムシが動く様子に興味津々の子どももいて、真

剣な表情で上から横からとじっくり観察していた。

ダンゴムシに慣れてくると、段々触れる子どもも増

えてきて、手の平にのせては見せ合いっこしたり、

大きさ比べをすることもできるようになった。

ダンゴムシに興味を持ち始めると、ダンゴムシ

の写真や絵本、図鑑、ポスターなどを子どもの手

の届くところや見やすい場所に用意しておいた。

早速図鑑を見て、足がたくさんあることや赤ち

ゃんが生まれるということにも興味を持つことが

できた。図鑑と見比べしながら、本物のダンゴム

シをひっくり返してお腹を調べたり、足がたくさ

んあるのを確認していた。

ダンゴムシに興味を持ち始めると、飼育ケースを用意しておくと、その中に入れはじめた。

みんなでダンゴムシを育てよう、ということになり、「ダンゴムシはどんな所にいるのかな?」 「土

がいるなぁ」「ダンゴムシって葉っぱ食べるねんて」「隠れるための石もいるねんて」と調べあった内容

を友だちと話し合いながら必要な物を手分けして集めた。隠れるための石探しでは、園庭の隅から小石を

見つけてきては、ダンゴムシの大きさと比べたり何度も石探しをしていた。飼育ケースでダンゴムシの住

みやすい環境を作り始めると、今までカップにダンゴムシを入れていた子どもも、カップの中に同じよう

に落ち葉や砂を入れたり、子どもなりに住みやすい環境を工夫するようになってきた。

何?

虫がい

るよ!

いるかな?

いたよ!

くすぐった

い!

足がいっぱい

あるんだね

赤ちゃん

いないね

土がい

るよ! 石もいれ

ないとね

どの石がい

いかな?

おいしい葉

っぱだよ

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場面4場面4場面4場面4 やまもも食べたよ!!やまもも食べたよ!!やまもも食べたよ!!やまもも食べたよ!! (3歳6月下旬)

次の日

◎探索・探究の気づき

場面5場面5場面5場面5 ツルツルして歩けないなぁツルツルして歩けないなぁツルツルして歩けないなぁツルツルして歩けないなぁ ((((3歳7月上旬3歳7月上旬3歳7月上旬3歳7月上旬))))

何で

歩かれへん

のやろう…

《考察》《考察》《考察》《考察》

1人でダンゴムシ探しをしていたが次第に、“ダンゴムシ探し”という共通の話題から友だちと一緒に

探すようになった。興味をさらに深めるために絵本やポスター、図鑑などを用意しておくと早速読み始め

る子どもが増え、ダンゴムシについての知識を広めはじめていた。どんなものを食べるのか、足が何本あ

るのか、赤ちゃんが生まれるということなど、調べたことを友だちに教えたり気づきを共有し合う姿も見

られた。おもちゃのカップに見つけたダンゴムシを入れて持って歩いていたが、飼育ケースを用意すると

「広い方がいい。」と言って飼育ケースに入れ始める子どもが増えてきた。飼育ケースの中には「ダンゴ

ムシの住みやすいものを入れよう!」ということになりみんなで調べ、土や葉っぱ・小石がいることに気

づき、小石もダンゴムシが隠れる位の大きさを用意しなければいけないことがわかった。毎日世話や観察

をすることで葉っぱ以外の甘い食べ物も食べることや、小枝は歩けるが、鉄棒のようなツルツルした所は

歩けないことがわかった。子どもにとってまだまだ素朴な気づきや疑問が多く知りたいことがたくさんあ

る。保育者が答えを言い過ぎないように気をつけながら気づきを深め、興味が継続していくような環境設

定をし、子どもが自ら探索・探求の気づきを深め答えを見出していけるように心がけていきたい。

こうしたらこうなるなど、今まで経験した関係づけの気づきを言葉で伝えたり、何でだろうと疑問に思

うことに対して探索・探求の気づきを試してみる姿を大切にしていきたい。

園庭に落ちているやまももの実を見つけて「ダンゴムシやまもも食べるの

かなぁ」と疑問に思い「やまもも置いてみたい」ということになった。

次の日飼育ケースをのぞいてみるとやまももにダンゴムシが集まり、食べ

た跡があるのを見つけた。「うわぁ~!!ダンゴムシやまもも食べたぁ~!」

とみんなで喜び合い「じゃあ、ほかの物は食べるんかな?」と、オリーブの

実や花びらなど園庭にある落ち葉以外の物を集めた。

飼育ケースに小枝を入れて見ているとダンゴムシが小枝に登ってきた。小枝

の横や下を歩くダンゴムシを興味津々の表情でじっくり見ていた。小枝の端ま

でくると「落ちちゃう」とハラハラして見ていたが、落ちずに上手にくるりと

向きを変えてまた歩き出した。園庭でも小枝にダンゴムシをのせて観察した。

「鉄棒にのせたら歩くのかな?」と疑問に思い、小枝から鉄棒へと這わせて歩

かせようとしたが、ツルツルと滑ってすぐに落ちてしまった。「あれ?何でや

ろう?」と何度も試していた。落ちていくダンゴムシを見て「このダンゴムシ

は大きいから重いのかな」次には小さめのダンゴムシを探して再びチャレンジ。

それでも滑って歩けないダンゴムシを見て不思議そうにしていた。

やまももたべる?

食べてる

落ちないね

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まだまだかなぁ…

� 4444 歳児歳児歳児歳児 きりんぐみきりんぐみきりんぐみきりんぐみ 「自分たちでいろんな色をつくってみよう!」「自分たちでいろんな色をつくってみよう!」「自分たちでいろんな色をつくってみよう!」「自分たちでいろんな色をつくってみよう!」

◎素朴な気づき・関係付けの気づき

場面1場面1場面1場面1 「自然物を使って色水あそび」「自然物を使って色水あそび」「自然物を使って色水あそび」「自然物を使って色水あそび」 (6月初旬)

◎素朴な気づき・関係付けの気づき

場面2場面2場面2場面2 「緑色になったよ」「緑色になったよ」「緑色になったよ」「緑色になったよ」 (6月初旬)

◎関係づけの気づき

場面3場面3場面3場面3 「どんな色になるかな?」「どんな色になるかな?」「どんな色になるかな?」「どんな色になるかな?」 (6月中旬)

置いて

おくと

何色と何色を混ぜると、こんな色ができた遊びから、色鉛筆やクレパスでも色作り遊びを楽しんだ。で

きた色を切り取って貼ってみると、同色でも濃淡の違いで幾通りも色ができることに気づいた。

自分の色を作ることにも挑戦。作った色を並べて色カードを作成した。色々な色作りを試してみると、

黒色を他の色と混ぜると汚くなることに気づき、色作りでは黒は使わないほうがきれいな色ができるこ

とが理解できたようだ。

ヤマモモの実を見つけすり鉢ですり始めたが、

まだまだ青く固くて色水はできなかった。「も

う少しすればおいしそうな色に変わるよ。」と

声をかけると、その日から毎日様子を見にいっ

ていた。

みてみてー!

緑色になった!

メロンソーダや!

お茶みたいな色になってる!

むらさきになって

きた!

絵の具では、どのような色水を作るのか試してみた。最初は絵の具で好きな色水をつくる事がうれしくて、

色々な色を混ぜてはカップに注いで自由に遊んでいた。

偶然、混ぜ合わせたものが緑色に変わった。「何色と何色を混ぜたの?」と尋ねると、もう一度作り直し

て確認してから、自信を持って「青と黄色!」と応えた。周囲の子どもたちもつられるように緑色作りに

挑戦し始めた。おいしそうな色ができると、ジュースやさんごっこが始まった。

濃い色になった

抹茶みたい

園庭のハーブやヤマモモを使って、すり鉢やすりこぎですって色水を作って遊んだ経験から

何度も色々な方法で試しているうちに、ハーブをすりつ

ぶしてトントン叩くと薄い色、グリグリつぶすと濃い色

になるという気づきが。それぞれの色水をペットボトル

に入れて数日涼しい場所に置いておいた。

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◎探索・探究の気づき

場面4場面4場面4場面4 「ジュースをつくろう」「ジュースをつくろう」「ジュースをつくろう」「ジュースをつくろう」 (7月上旬)

◎探索・探究の気づき

場面5場面5場面5場面5 「あわあわジュース!」「あわあわジュース!」「あわあわジュース!」「あわあわジュース!」 (7月上旬)

混色あそびからごっこあそびに発展。ぶどうジュースを飲みたい時には、自分たちで作った色表を見な

がら作っていった。自分の作った色と近い色を作った友だちと混ぜあって、新たな色も作り出すことが

できた。

なかなか紫にな

らないな・・・

○○ちゃんのと混

ぜたらチョコレー

ト色ができた!

オレンジジュー

スできてきた

ジュースには、炭酸入りもあるという子ども達の声から、ボディソープや食器用洗剤を用意した。スト

ローで吹いたり泡だて器を使ったりして泡作りに夢中になっていた。できた泡を友だちと見せ合ってい

ると、透明に見えたり光って虹色、白っぽく見えるなど、色の違いに気づいていた。ペットボトルに入

れて振り、分離していく様子を楽しんで眺める姿も見られた。

透明のと、白っぽい

のがある

上だけ白くなって

る。ビールみたい!

クリームみたいな

泡になった!

みて!こんなに膨らん

だ。かき氷みたいや。

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同じヤマモモ

やのに・・・

◎探索・探究の気づき

場面6場面6場面6場面6「「「「 ヤマモモ赤くなったよヤマモモ赤くなったよヤマモモ赤くなったよヤマモモ赤くなったよ 」」」」 (7月上旬)

毎日、いつヤマモモが赤くなるかと見ていた子ども達。やっと色づきはじめたのに気づくと、うれしそ

うに「赤くなってるー!」と知らせにきてくれた。ヤマモモやゴーヤ、ハーブなどを使って再度色水あ

そびに挑戦。すり鉢ですりつぶしたり、ギュッと手で絞ったりして作った色水をペットボトルに集め

た。同じヤマモモを使っているのに、どうして色の濃さが違うのか、不思議そうに見ている様子が見ら

れた。黄色く熟れたゴーヤを見つけてヤマモモとすり合わせると、ゴーヤの黄色が濃くてオレンジ色に

変化したので、興味関心がいっぱいだった。

赤くなってるー!

色がちがう!

混ぜたらオレンジにな

ったで!

《考察》《考察》《考察》《考察》

絵の具やハーブ、野菜、草花などを使っての遊びを存分に楽しんだ。色を混ぜているうちに偶然

できた緑色の発見により、色づくりへと興味が広がり素朴な気づきや関係づけの気づきが生まれた。ど

んな色ができるのかという期待感やこの色を作りたいという気持ちが次第に色に対して敏感になり、同

じ色でも混ぜる時の量によって色が違って見えることに気づいた。

時間にゆとりを持って繰り返し経験することで、自分なりに試して結果(探索・探求の気づき)を出

して、「こうすればこうなる!」と、自信にもつながっていた。また、個々の気づきをまわりの子にも知

らせることでさらに気づきが広がっていった。保育者が意図しなくても子どもたちは友だちと気づきを

共有し、協力し、知恵を出し合う姿が見られた。子ども達のあそびには、日々素朴な気づきが生まれる。

気づきは個々によって異なるがそれらを見逃さないよう取り組んでいき、4 歳児ならではの友だちとのつ

ながりや関わり方も同時に見守っていきたい。

つぶしたら色がつい

た!

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� 5555 歳児歳児歳児歳児 らいおん組らいおん組らいおん組らいおん組 「自然(栽培)の不思議「自然(栽培)の不思議「自然(栽培)の不思議「自然(栽培)の不思議」」」」~間引いたエダマメ大きくなぁれ!~」~間引いたエダマメ大きくなぁれ!~」~間引いたエダマメ大きくなぁれ!~」~間引いたエダマメ大きくなぁれ!~」

◎素朴な気づき

場面1場面1場面1場面1 「間引きって何やろ?」「間引きって何やろ?」「間引きって何やろ?」「間引きって何やろ?」 (4 月上旬頃)

◎関係づけの気づき

場面2場面2場面2場面2 「間引いたエダマメ、もう一回植えてみよう!」「間引いたエダマメ、もう一回植えてみよう!」「間引いたエダマメ、もう一回植えてみよう!」「間引いたエダマメ、もう一回植えてみよう!」 5 月上旬頃

年長児になり以前からの憧れの一つであった野菜の栽培に取り組み、コマツナやホウレンソウは種から、

ジャガイモは種イモから栽培を始めた。しかし、それぞれの野菜が生長するにしたがって徐々に「間引く」

という事が気になり始めた。子ども達は昨年までの年長児の栽培の様子を観察して「草抜きをしている」と

思っていたようだ。しかし実際に間引く時に、「元気なのになんで抜くんやろ」と疑問に感じたようで、「も

ったいないな」「なんでやろ」といった声がきかれた。

栽培をしているエダマメを間引いた際に子ども達と「これとこれを抜こうか」と話をしていると、「もしかし

たら元気のないやつを抜いてるんちゃうか」という気づきがでてきた。その後エダマメを間引いた話を朝の集

会の時にしていると、「元気がないやつでも抜くのはもったいない」、「もう一回植えてみたらどうやろ」と

いう意見が出た、間引いたエダマメを再度植えてみることになった。そして「元気が無いやつと元気なやつで

はどっちがいっぱい豆が取れるかな」という疑問が出て実際に試してみる事にした。

しかし、植え替えをした後、水を充分にあげていなっかたらすぐにしおれてきてしまった。慌てて水をたくさ

んあげたが、子ども達からは「やっぱり間引いたやつはダメなのかな」という声が聞かれた。

これは抜い

ていいかな

元気に育ってね。 元気が無いやつを抜いたよ

もったいないな

生長したので間引く事に

枯れてるやん!

しばらくすると…

これは草?

ホウレンソウ?

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◎探究探索の気付き

場面3場面3場面3場面3 「どっちがいっぱい取れたかな」「どっちがいっぱい取れたかな」「どっちがいっぱい取れたかな」「どっちがいっぱい取れたかな」 (6 月下旬~7 月上旬頃)

◎探索探究の気づき

場面4場面4場面4場面4 「どっちのエダマメがおいしいかな」「どっちのエダマメがおいしいかな」「どっちのエダマメがおいしいかな」「どっちのエダマメがおいしいかな」 (7 月上旬頃)

水やりや園庭で遊んでいる時も栽培に観察を重ねていた。「どっちもけっこうできてるで」という報告を受

けていたが子ども達の予想は「間引いた物のほうが取れない」だった。理由を聞くと「茎があんまり大きく

(背が高く)なってないから」というものだった。

実際に収穫してみると、豆のサイズが違うという声が上がった。見比べると以外にも間引いた物から取れ

た豆の方がどれも全体的に大ぶりでどの房にも豆がしっかり入っていた。子ども達は少し驚き、信じられな

いといった表情を見せていた。

そして株ごとに収穫した数を数えると元気な物から取れた数よりも間引いた物の方がたくさん取れている

物もあった。この予想外の結果に子ども達は「なんでやろ」、「不思議やな」、「みんなが心配して毎日お

世話したからや!」という声が聞かれた

収穫したエダマメの大きさの違いや数の違いを体験し「どっちがおいしいか食べ比べてみたい」という

意見が出た。実際にゆがいた物をそれぞれ食べてみると間引いた物のほうが「にがい」、元気なほうは「甘

くておいしい」という声が多く聞かれた。保育者も食べ比べしてみたが、はっきりとは分からなかったも

のの確かに味の違いは感じる事が出来た。

こっちの方が大きい! 何個あるんやろ?

こっちの方が

おいしい!

収穫をする

ことにした

けっこうできてる

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◎探索探究の気づき

場面5場面5場面5場面5 「野菜って不思議だな」「野菜って不思議だな」「野菜って不思議だな」「野菜って不思議だな」 (7 月下旬~8 月下旬頃)

エダマメの栽培を通して様々な自然の不思議さを体験したことで、今まで以上に自分たちで気になった

事、試してみたい事を保育者に相談してくるようになった。

収穫したネギの根を乾燥させて再度植えるとまた大きくなってくるという話を聞くと子ども達は、興味

津々で実際に挑戦してみた。実際に収穫することができたが、「もう一回できるか試してみたい」という

声にもう一度植える事にした。三度目の収穫も出来たが、「何回できるか試してみよう」と現在も栽培を

続けている。

また、図鑑を見てナスの栽培では、実が大きくなる前にアルミフォイルを巻くと白いナスができるとい

う内容を発見。「アルミフォイルを巻いて白いナスを作ろう」と挑戦することになった。最初はナス全体

を包むようにアルミフォイルを巻いて様子を観察していると、2~3日後にはナスが生長して銀紙がビリ

ビリに破れてしまった。どうすればいいかをみんなで相談したところ「スカートみたいに下を開けておく

といいかも」という声が出て再度挑戦してみると、真っ白とはならなかったが、全体的に白っぽいナスを

作ることができた。

≪考察≫≪考察≫≪考察≫≪考察≫

コマツナやホウレンソウの栽培の際に「間引く」という行為の意味が分からず最初は「草抜きをしている」

という考えだった。そこからエダマメの栽培を通して、元気な物をより大きくする為にやると気付き、再

度植えてみたらどうなるだろうという疑問を抱いた。再度植えた後も献身的にお世話をしていた子ども達

だったが、もしかしたら枯れてしまうかもしれない、豆もあまり出来ないのではないか、といった不安な

気持ちを抱えたまま収穫の時期を迎えた。結果は様々な意味で予想を裏切る結果となった。大きさを比べ

て驚き、収穫数を比べてまた驚き、味を比べてまたまた驚くという、自然(栽培)の不思議さにあらため

て気づく結果となった。また、その後の栽培における活動においても子ども達同士で話し合い、工夫し、

協力して様々な疑問に取り組んでいる姿が見られた。

今回、保育者は活動の中で相談役というスタンスを取り、この年齢ならではの育ちである「共同的な学

び」という物を重視した。今回の栽培を通した活動は、子ども達が集団生活の中で共通の目的を持ち、話

し合い、工夫し、協力して活動を行うという経験(探索・探求の気づき)をしていく中で、子ども達を大

きく成長させてくれた。今後も様々な場面で共同的な学びという視点を大事にして保育に取り組んでいき

たい。

下は開けるんやで

白っぽくなってる

1 週間後完成!

しばらくすると…

ナスビの栽培

ネギの栽培

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5.5.5.5.考察とまとめ考察とまとめ考察とまとめ考察とまとめ

(1)(1)(1)(1) 子どもたちの気づきを写真で撮ることにより子どもたちの気づきを写真で撮ることにより子どもたちの気づきを写真で撮ることにより子どもたちの気づきを写真で撮ることにより

本園では、これまでも保育中に子どもの写真を撮ることが奨励され、それぞれの子どもの育ちの場面

を捉えるようにしてきた。しかしながら、実際に保育中に写真を撮ることの難しさも感じてきた。そこ

で、今年度は、「子どもの気づきの瞬間」「気づきから遊びが広がっている様子」を中心に写真を撮ると

いうように視点を定めることにした。

それらの写真を毎月の園内研修(科学する心の研修)で、全保育者がプロジェクターで映し出し、そ

の写真を出発点として語る形で研修を進めてきた。もちろん研修には新人保育士も参加し、園での保育

の取り組みや大事にしていることを伝えるだけでなく、自分のクラスの子どもの気づきの写真を、新人

保育士にも語ってもらうことも行った。

子どもたちの気づきを写真で撮ることにより、子どもの目線で気づきをとらえることができ、さらに

研修で写真をみて語ることによって、「こんなことに、気がついているんだ。」と気づきを振り返ること

ができた。また、写真を通して子どもの姿を語ることによって、「じゃあ、こんなことも楽しめるかな?」

と次への保育へとつなぐ環境づくりのヒントになった。

そして、各クラス内で情報共有するだけでなく、子どもたちの楽しく遊んでいる様子やそこに現れて

いる子どもの気づきの姿や思いを写真で発信することにより、さらにわかりやすく、全保育者で共有す

ることができ、子どもたちの育ちを園全体で見守ることができた。

(2)新人保育士が思う!『子どもの気づきからはじまる保育』~体験記~(2)新人保育士が思う!『子どもの気づきからはじまる保育』~体験記~(2)新人保育士が思う!『子どもの気づきからはじまる保育』~体験記~(2)新人保育士が思う!『子どもの気づきからはじまる保育』~体験記~

「気づきって、何?」と“気づき”がどのようなものか分からず、先輩に写真を撮ってと言われても

「何を撮ればいいの?」「どこを撮ればいいの?」とまったくわからなかった。

しかし、毎月の勉強会に参加して、気づきの場面・気づきの瞬間を先輩に確認し、アドバイスをもら

うことで子どもが夢中になっている時や楽しいと感じている時の表情や姿など、子どもを見る視線が大

切ということが少しずつ理解できるようになってきた。

子どもの気づきの場面が分かっても、写真を撮るタイミングが難し

かった。「あっ!今のもしかしたら気づきやったのに!」と思っても

その一瞬を逃してしまうことも多く、悔しい思いもした。

しかし、子どもの気持ちに寄り添いながらそっと見守ることで、

夢中になって楽しんでいることは、何度も繰り返している姿が

見られ一度逃したシャッターチャンスも、何度もトライすることが

できた。

今回の取り組みから、気づきは子どもたちが繰り返し、夢中になって遊んでいる姿にあるということ

が分かってきた。

子どもが興味をもって夢中になっている時の真剣な表情をカメラに収めることが楽しくなり、「こんな

表情をしている時、次はどんな遊びの展開が見られるのか」と想像するだけで子どもを見る視線が変わ

り保育することが楽しくなってきた。

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(3)実践の考察(3)実践の考察(3)実践の考察(3)実践の考察

今回「気づくことを、楽しもう!」をキーワードに、もう一度原点にもどり、子どもの気づきに着目

し、沢山の気づきをカメラで捉えてきた。子どもの気づきがどう広がっていくのか?保育者も子どもと

一緒に、心を動かせワクワクしながら、保育を楽しんできた。昨年までは、保育者の思いが強すぎて、

子どもに気づかせよう!どうすれば、気づくのかな?と保育者主導の保育になっていたような気がする。

しかし今回、子どもの目線に合わせ「子どもの気づきからはじまる保育」を行なう事により、子どもた

ちは、保育者が思いもしない発見や気づき・体験ができた。子どもたちが本当に興味のある事や、やり

たいことに目を輝かせながら楽しんでいた。

また、子どもの気づきを写真に撮り、話だけでなく映像として見ることにより、分かりやすく全職員

間で共有することができた。自分のクラスだけでなく、他のクラスの様子に興味をもつ事ができ、子ど

もの育ちが写真を通して分かりやすく見ることができた。

今後の方向性・計画今後の方向性・計画今後の方向性・計画今後の方向性・計画

子どもたちは、保育者が考える以上に気づきを深め・広げる力を持っている。何も特別な環境を作ら

なくても、普段生活している場から、気づきを見つけ、自ら働きかけて活動している。

子どもの気づきに目を向け、その遊びが繰り返し楽しめる環境が大切である。保育者の子どもを見る

目をもっと磨いていくために、話し合い・共有・勉強会を行い、一人ひとりの保育者の力量をステップ

アップしていきたい。今後も子どもと共に「気づくことを楽しむ」を継続し、子どもと共に保育者も成

長に繋げていきたい。

また、保護者に向けて保育園では「こんな活動をしています。」と情報発信・アピールをしていく事を

大切にしていきたい。そうすることにより、保護者の理解が得られ、協力がもっと得られるようになっ

てくる。そのためには、写真を通して日々の活動内容を分かりやすく伝えていく工夫を考えていきたい。

来年度は、さらに保護者と共に“科学する心を育てる”保育に取り組んでいきたい。

研究代表者 溝端 文子 有島 多江子

その他の気づきその他の気づきその他の気づきその他の気づき

●土団子づくり●土団子づくり●土団子づくり●土団子づくり ~「どうすればできるのかな?」~~「どうすればできるのかな?」~~「どうすればできるのかな?」~~「どうすればできるのかな?」~(3 歳児 4.5.6 月ごろ)

みて! どうしたら、

どうするのかな? こうすれば、 こうかな?