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~数理モデル解説~
Sat. 12. 21. 2013 NTT Communications
Innovative Architecture Center Motoyuki Ohki
大ヒットの方程式勉強会
2013.12.21 大ヒットの方程式勉強会 発表資料
01. 自己紹介
・名前:大木基至(社会人 1 年目の 25 歳)・所属:亀井さんの下で修行中…・マイブーム:人狼、ボドゲ、ジム、バー巡り・スキル:マイニング・機械学習・ 2 年前くらいからマーケティングへのマイニン
グの応用を勝手にやってます。• 2012 年度 VMStudio & TMStudio 学生研究“優秀賞”:ア
ンケート調査と Twitter の解析に基づく就職活動支援策の提案
• 2012 年度 S-PLUS 学生研究“佳作賞”:数量化理論第Ⅱ類とアソシエーションルール解析による自動車バナーデザインの分析(詳細)
• 2011 年度 VMStudio & TMStudio 学生研究“佳作賞”:多変量解析を用いた大学生のためのニュースサイトの構築
・今年も 1 件出して、現在1件取り組み中・研究とか博士課程に興味あり
シリコンバレーGoogle 本社にて
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2013.12.21 大ヒットの方程式勉強会 発表資料
「アバター」のヒットは封切り3日後にわかっていた!ってほんと?
そんな分析モデルの構築方法の解説をします。
分析事例は著者の slideshare で。http://www.slideshare.net/ishii-akira/2013-11-28183918
02. 今日の内容について
吉田 就彦 ( 著 ), 石井 晃 ( 著 ), 新垣 久史 ( 著 )
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2013.12.21 大ヒットの方程式勉強会 発表資料
03. 数理モデル前提として、一度買ったらもう買わない製品を考える(映画で言うと、一度観に行くと、同じ映画をもう一度観に行く人
はあんまりいないですよね。)
:潜在的な顧客の総数:時刻 t までに購入した人の数:時刻 t の時点で買っていない人の数:買っていない人たちの単位時間あたりの 購入率
ってことで、 N(t) を表現する微分方程式は、
微小時間 t 経った時の、 N(t) の変化率を表している
………①
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03. 数理モデル
① 式の微分方程式を解くと(詳細が必要な場合は板書で)
t=0 のとき、 と仮定すると、 となるので
………②
② を①に代入すると、
………③
時刻 t 経つにつれて、指数関数的に購入数は減少する
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03. 数理モデル
いくつかの映画の観客動員数の減衰図(Y 軸は対数を取った興行収入、 X 軸は公開日数 )
ちゃんと減衰してますね?(当然と言えば当然のような…)
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03. 数理モデル次に、購入者の総数 N(t) から、1人1人の購入意欲の積分値 Ji(t) に分割して考えてみる。
(注 )” 購入意欲がある”=”購入する”とみなしたモデル
① に代入して、 1 人 1 人の購入意欲の積分値で変換
……④
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03. 数理モデル
1人の購入意欲の積分値は、
この方程式を解くと、(詳細が必要な場合は板書で)
t=0 のとき、 と仮定すると、
……② と同じ形になりましたね
……⑤
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03. 数理モデル
購入意欲の積分値 Ji(t) の微分値を 1 日辺りの購入意欲Ii(t)
と表現しておく。
これを⑤に代入して、 t で微分すると、
時刻 t 経つにつれて、購入意欲も指数関数的に減少する
:(展開していくと…)
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03. 数理モデル
•これまでの説明で購入意欲は指数関数的に減衰すると分かったので、いよいよ本番。•ヒットを説明する数理モデルにはこれに加えて、 3 つの要因があると著者らは考えている。
①宣伝広告の影響 ②友人からの薦め ③街中での噂話
直接コミュニケーション
間接コミュニケーション
宣伝が与える影響力
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03. 数理モデル
もう一度、変数を確認 :映画タイトルの潜在的な観客の総数 :時刻 t の時点でその映画を観た観客の総数
映画公開日を t=0 とし、 N(t) を購入意欲 Ii(t) から定義する。
ある日 τ の購入意欲総数
(注 ) 購入意欲そのものは事前に関心が高まるものなので、時間が負のときでも
値を持つが、観客数には公開日以後の購入意欲しか積分範囲に入らない
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03. 数理モデル
3 つの要因があるという仮定に基づき、購入意欲の微分方程式を以下と定める
第1項:消費者が次々と映画を観たことによる観客数の減少を表す項第2項:広告宣伝により、影響された消費者が映画を観る項第3項:友人からの薦めで映画を観る項(直接コミュ)第4項:映画についての噂話やブログに影響され映画を観る項(間接コミュ)
第 1項 第 2項 第 3項
第 4項
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03. 数理モデル
準備•直接コミュの係数 D と間接コミュの P について映画を観たかどうかで区別する表記を使用する• y : 映画を観た人、 n : 映画を観ていない人•例
:すでに観た j からまだ観ていない i への 直接コミュを表す。
•平均場近似: N 人の消費者が独立して、それぞれ全く同じ 動きをすると仮定して近似すること
→ みんな同じ行動を取るという風に仮定し、簡易化して扱う
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03. 数理モデル
•平均場近似を用いるということは、求めたい は に置き換わることを意味する
•上記より、 を求める問題に変わりました。
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03. 数理モデル
•元々求めたかったモデル式
•新たなモデル式
(注 ) 書籍ではこの説明がなく、 <> を省略してたりします。
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03. 数理モデル
•直接コミュの項は以下の等式変形ができる
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03. 数理モデル
•間接コミュの項は以下の等式変形ができる
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03. 数理モデル
•観ていない人同士 (i,j) の直接コミュは以下になる
•観た人 (j) から観てない人 (i) への直接コミュは以下になる
直接コミュニケーションの数式展開
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03. 数理モデル
•観ていない人同士 (i,j) の間接コミュは以下になる
•観た人 (j) から観てない人 (k) の間接コミュは以下になる
•観た人 (j) と観た人 (k) の間接コミュは以下になる
間接コミュニケーションの数式展開
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03. 数理モデル
•以上をまとめると、数理モデル完成!
(注 ) いずれの項も、観ていない人の数がかかっています。 第 3, 5 項は公開後減少していく。第 4,6,7項は公開前 0だが、公開後増加していく。
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04. Bass モデルとの関係
•口コミを扱う古典的なモデルとされてきた Bass モデルと本モデルとの関係を述べる
*m: 全体の人数
Bass モデル
・ F. M. Bass によって提案された新製品 , 特に耐久消費財の拡散過程を模擬するモデル・他人にまどわされない購入意欲 (innovation効果 )a と 購入者数の増加による乗り遅れまいとする気持ち (imitation効果 )b との和で表現される・(なんとなく、間接コミュが無い式っぽいと感じますね…。)
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04. Bass モデルとの関係
•本モデルを以下とする
•平均の購入意欲はこれまで同様に、平均場近似を使う
•製品の購入量 N(t) を購入意欲と全体の人数から表現
•宣伝効果は購入していない人にだけ伝わるとすると、
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04. Bass モデルとの関係
•本モデルで直接コミュの項 は係数 が買っていない人と買った人のときのみ、 0 でなく 他の場合は 0 になると考える。つまり、
いつもの変形買ってない人の数
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2013.12.21 大ヒットの方程式勉強会 発表資料
04. Bass モデルとの関係
•したがって、本モデルを i について和をとると、
→Pijk = 0 と間接コミュを無視すれば、以前から知られている Bass モデルと同様の式になる!
→つまり、間接コミュニケーションの定式化が新しい点
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05. Twitter の数理モデル
•最後に Twitter でも本モデルを応用した数理モデルの構築方法を簡単に紹介• Twitter での話題の広まりを数理モデルとして考えることが可能になる
:ある時刻 t で Twitter への投稿数(ツイート全てではなく、注目してある 話題に関する i さんの投稿数)
:単位時間あたりの投稿の割合
•つまり、
(だいぶ慣れてきましたよね?)
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05. Twitter の数理モデル
•人によって影響される割合が異なるなら、
•リツイートによって投稿数の割合が変化することから、
: j さんの投稿に対する i さんのリツイート確率
•さらに、自分のフォロワーがリツイートしてきたのに反応して投稿することもあるので、繰り返すと、
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05. Twitter の数理モデル
•さらに、リリツイートの項・話題が旬に無くなるにつれてリツイートの確率が減少するなどを取り入れられる•現在、著者らは開発中の段階…•なんかのサービスリリース前後での、 Twitter 内での盛り上がり方から、このサービスが流行するかを予測できるようになるなどの応用がありそう
ついっぷるトレンドの例
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06. まとめ
全体的な感想•モデルのフィッティング性能は見た感じ良さそうでした• Twitter のデータは一応トレンドだが、映画よりもバラエティが多すぎて予測精度が心配(つぶやき数だけでいけるのか)•予測するなら、販売前のデータから十分な予測ができないと使いづらいのでは(販売後のデータから予測してもどうかと)•会社でもこういう数理モデルの勉強会を開催していきたい(個人的な、 IAC としての理想の姿)
ありがとうございました!連絡先: m.ooki[at]ntt.com
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