31
1.1 1.容器包装使用合理化の実態把握及び分析 容器包装の使用合理化の実態を把握するため、小売業における取組やその効果、課題等を調査 するとともに、容器包装の製造時における取組や軽量化・薄肉化の状況等の調査を実施した。 1.1 小売業における容器包装の使用実態及び使用合理化にかかる取組に関する調査 (1)調査方法 小売業における容器包装使用合理化の実態を把握するために、使用実態及び取組事例に関する 調査を実施した。調査対象業種は、「指定容器包装利用事業者」として定められている 9 業種に、 ファストフード店を加えた 10 業種(表1.1-1参照)とし、文献や各社ホームページ、CSR レポート等を基に事例の収集・整理を行った。また、文献情報等では捕捉できない事業者の取組 の詳細を確認するために、売上げ上位企業や特徴的な取組を実施している企業に対して、電話に よるヒアリングを実施した。 表1.1-1 使用実態及び排出抑制にかかる取組事例に関する調査対象業種 1.各種商品小売業 2.飲食料品小売業 3.織物・衣服・身の回り品小売業 4.自動車部分品・付属品小売業 5.家具・じゅう器・機械器具小売業 6.医薬品・化粧品小売業 7.書籍・文房具小売業 8.スポーツ用品・がん具・娯楽用品・楽器小売業 9.たばこ・喫煙具専門小売業 10.ファストフード店

1.容器包装使用合理化の実態把握及び分析...1.1 1.容器包装使用合理化の実態把握及び分析 容器包装の使用合理化の実態を把握するため、小売業における取組やその効果、課題等を調査

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1.1

1.容器包装使用合理化の実態把握及び分析

容器包装の使用合理化の実態を把握するため、小売業における取組やその効果、課題等を調査

するとともに、容器包装の製造時における取組や軽量化・薄肉化の状況等の調査を実施した。

1.1 小売業における容器包装の使用実態及び使用合理化にかかる取組に関する調査

(1)調査方法

小売業における容器包装使用合理化の実態を把握するために、使用実態及び取組事例に関する

調査を実施した。調査対象業種は、「指定容器包装利用事業者」として定められている 9 業種に、

ファストフード店を加えた 10 業種(表1.1-1参照)とし、文献や各社ホームページ、CSR

レポート等を基に事例の収集・整理を行った。また、文献情報等では捕捉できない事業者の取組

の詳細を確認するために、売上げ上位企業や特徴的な取組を実施している企業に対して、電話に

よるヒアリングを実施した。

表1.1-1 使用実態及び排出抑制にかかる取組事例に関する調査対象業種

1.各種商品小売業

2.飲食料品小売業

3.織物・衣服・身の回り品小売業

4.自動車部分品・付属品小売業

5.家具・じゅう器・機械器具小売業

6.医薬品・化粧品小売業

7.書籍・文房具小売業

8.スポーツ用品・がん具・娯楽用品・楽器小売業

9.たばこ・喫煙具専門小売業

10.ファストフード店

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1.2

(2)取組の概要

電話ヒアリングを実施した 44 社に対して、容器包装の排出抑制の取組を実施した理由を聞いた

ところ、「改正容器包装リサイクル法の排出抑制促進措置への対応」を挙げた企業が 70%と最も

多く、次いで「自社の環境配慮や社会的責任の PR」が 59%であり、「資材費用低減のため」、「容

器包装の3R推進に係る自主行動計画の一環」がそれぞれ 43%であった。その他としては、「行

政の施策に対応するため」や「地域との協働作業の一環として」、「消費者のライフスタイル変更

のための情報提供」などが挙げられた(図1.1-1)。

43

0

34

18

59

70

43

18

0 20 40 60 80 100

資材費用低減のため

物流業者からの要請

消費者からの要請

同業他社との差別化

自社の環境配慮や社会的責任のPR

改正容器包装リサイクル法の排出抑制促進措置への対応

容器包装の3R推進に係る自主行動計画の一環

その他

(%)

n=44

複数回答

図 1.1-1 取組実施の理由

また、取組を継続・成功させるためのポイントとしては、以下の内容が挙げられた。

・ 行政、市民団体、事業者の三位一体となった取組

・ 消費者の環境に対する意識の向上

・ 消費者への継続的な告知・啓蒙活動の実施

・ 全従業員への周知徹底

・ 消費者の利便性を保ちつつ、必要なサイズや強度の提供

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1.3

(3)使用合理化の取組上の苦労・課題

取組に関して特に苦労していることや今後の課題としては、業種特有の問題、事業者の負担増

加、削減効果の把握などが挙げられた。詳細は以下のとおりである。

○業種特有の問題点

・ 店舗の出入り口が多い業種の場合、「マイバッグ1」等を導入することにより商品盗難のリ

スクがある

・ 商品に包装を行わずに引き渡すと、盗難品と誤認する恐れがある

・ 販売商品の形状等の特性上マイバッグ等の促進が難しく、導入効果は期待できない

・ 衝動買いの消費者が多い業種や定期的な顧客が少ない業種では、マイバッグ等の持参は

望みにくいため、マイバッグ等を持参しなければ買い物をし難い仕組みの採用は難しい

・ 高額な商品の場合、金額に見合う包装レベルを維持する必要があり、簡易包装は難しい

○事業者の負担増加

・ レジ袋辞退者に対して値引きやポイント付与等のインセンティブを与えることによる負

担増

・ 従業員の入れ替えが激しい現場においても、従業員に対する教育の周知徹底を継続的に

取組む必要がある

○削減効果の把握

・ 容器包装の削減効果が目に見えないため、わかりにくい

・ 店舗の拡大に伴う容器包装の使用量増加があるため、全社としての総重量、総利用枚数

の減量は難しい

・ 消費者の意識向上は見られるが、削減の取組効果が目に見えにくく、消費者の意識が向

きにくい

・ プラスチック等の資材の高騰の影響で、使用量の削減による金額ベースでのコスト低減

化に結びつかない

・ 取組期間が短いためか、効果が出ていない

○その他

・ 消費者に対して理解を求めることが難しい

・ 容器包装は商品の安全・衛生面を考慮し、最低限の包装を行なわないとサービスの低下

に繋がる

・ レジ袋の規格を改良していきたい

・ ギフトでの簡易包装化等が検討課題である

・ ポリ袋を紙袋に切替えることを検討している

1 買い物用に消費者が店舗に持参する、繰り返し使用できるバッグ。エコバッグとも呼ばれる。

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1.4

(4)取組事例の整理

上記で行った調査結果を元に、各社の使用合理化への取組事例を業種別に整理した。業種別の

取組事例件数は以下のとおりである。

表1.1-2 業種別取組事例件数

総合ス

ーパー百貨店

ホーム

センタ

ー・総

合小売

衣服・

身の回

り品

飲食料

品・コ

ンビニ

自動車

部品

家具什

器・機

械器具

医 薬

品・化

粧品

書籍スポー

ツ用品

ファス

トフー

ド・持

帰り料

理品

レジ袋の有料化 14 - - - - - - - - - 1

ポイント制度

の実施13 3 - - 1 - - 2 - - 1

マイバッグ等

の販売・配布11 6 - - 4 - - - - - -

薄肉化、軽量化され

た容器包装の利用8 2 3 1 5 2 2 - 1 - 2

ばら売り、量り売り

の実施8 - - - - - - - - - -

簡易包装、適正サイ

ズの使用3 7 2 3 - - - - - - 4

ポスター掲示、情報

提供、普及啓発6 5 1 - 5 2 - - - 1 4

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1.5

①レジ袋の有料化

レジ袋の有料化の取組事例は、表1.1-3に示すとおりである。

レジ袋の有料化を行なっている業種は、ほとんどが総合スーパーであり、その他の業種では

ファストフードの 1 事業者のみであった。また、レジ袋の代金としては、利用者から「5 円」

を徴収している例が多くみられる。

その他の主な取組みとしては、自治体との協定に基づいた他事業者との共同実施や、特定の

地域での実施が挙げられる。

取組みの効果としては、実施店舗での使用量の削減やレジ袋辞退率(マイバッグ・マイバス

ケット2持参率)等、一定の成果を挙げている事業者が多いものの、レジ袋有料化に伴い、売り

上げの減少がみられる店舗もあった。

使用削減量は、枚数ベースで年間最大 1 億枚、重量ベースで年間最大 600t の報告があり、レ

ジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)は 82.4~95%の報告があった。

表1.1-3 レジ袋有料化の取組事例

取組概要 取組効果

・1店舗で実施 ・レジ袋使用量約 80%削減

・1店舗で開始し現在 7 店舗で実施・レジ袋削減枚数は年間約 270 万枚・1 店舗当りレジ袋使用量は前年比-1.4t・CO2 換算のレジ袋削減量は約 165t

・1店舗で開始し現在109店舗(全店舗の49%)で実施・レジ袋削減枚数は年間約 1 億枚・レジ袋削減重量は年間約 600t・CO2 換算のレジ袋削減量は 1,880t/3.14kg/㎏

・市、市民団体、スーパー7 社共同で実施・レジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)82.4%

・3 店舗で実施・レジ袋削減重量は大型店舗 13-14t、小型店舗 5t・レジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)85~95%

・県が中心となり、2 店舗で実施 -

・県下全 55 店舗で実施・レジ袋は 1 枚 5 円で販売

・19 店舗でレジ袋辞退率(マイバッグ持参率)88.8%(取組店舗以外は 14.1%)

・市や区との協定で実施・レジ袋削減枚数は年間 500 万枚(店舗によっては売上減あり)・レジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)90%

・5 店舗で実施・レジ袋削減枚数は 10 か月で約 190 万枚・レジ袋削減重量は年間 19t・CO2 換算のレジ袋削減量は約 115,923t

・5 店舗で実施・レジ袋は 1 枚 5 円で販売

・1 店舗で実施・レジ袋は 1 枚 5 円で販売

・レジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)82.6%

・3 店舗で実施 ・レジ袋削減重量は年間 14t

総合スーパー

・一部店舗にてレジ精算方式と代金箱方式の有料化を採用

・レジ袋削減枚数は 2 億 9,000 万枚(942 店舗)

ファストフ

ード・持帰

り料理品

・商品の持ち帰り用レジ袋を 1枚 5 円で販売 -

2 買い物用に消費者が店舗に持参する、繰り返し使用できるかご。エコバスケットとも呼ばれる。

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1.6

②ポイント制度の実施

ポイント制度の取組事例は、表1.1-4に示すとおりである。

ポイント制度の取組を行なっている業種は、総合スーパー、百貨店が多く、また、事例は少

ないものの、医薬品・化粧品や、コンビニやファストフードでも取組を行っている事業者がみ

られる。

ポイントの付与方法は、レジ袋辞退者に対する顧客カード等へのポイント付与やポイントカ

ードへのスタンプ押印、値引き等が挙げられ、特に取組みの効果の大きいものとしては、使用

削減量は年間 408t、レジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)は 11.4~38.5%であ

った。

表1.1-4 ポイント制度の取組事例

取組概要 取組効果

・レジ袋辞退者にスタンプを押印、20 個で 100 円分の買物券を進呈

・レジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)12.1%~20%

・自社ポイントカード会員がレジ袋を辞退した場合、2ポイント付与。

・レジ袋辞退者にエコポイント 2 点付与・削減重量はレジ袋 375t、食品トレイ 322t・レジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)14.8%

・レジ袋辞退者にエコポイント 5 点加算し、500 ポイントで 500 円分のお買い物券を進呈・抽選でエコツアープレゼントを実施

・レジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)33.2%

・レジ袋辞退者にエコポイント 5 点(5 円)付与

・レジ袋削減枚数は約 6,402 万枚・レジ袋削減重量は 408t・CO2 換算の削減量は 1,909t・レジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)38.5%

・レジ袋辞退者にエコポイント付与・レジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)11.4%

・総合スーパー

・レジ袋辞退者にスタンプカードを発行し枚数に応じて品物を進呈

・食品レジ袋辞退にスタンプを押印、30 スタンプで粗品進呈

・レジ袋削減重量は前年比 16t削減

・レジ袋辞退者にスタンプを押印(500 円以上の買い物で 1 回のみ)、スタンプ 10 個で景品と交換

-百貨店

・レジ袋辞退者にスタンプを押印、20 個で 100 円相当のエコクーポン進呈

・レジ袋削減枚数は 41.4 万枚

飲食料品・

コンビニ

・環境省との協定により、自社ポイントカード会員がレジ袋を辞退した場合ポイントの付与の実験を実施

医薬品・

化粧品

・レジ袋辞退者にエコポイント(1ポイント)付与 ・レジ袋削減効果はあるものの目に見えてこない

ファストフード・

持帰り料理品

・量り売りのコーヒー豆を購入者がコーヒーバッグを持参者した場合、スタンプを押印

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1.7

③マイバッグ等の販売や配布

マイバッグ等の販売や配布の取組事例は、表1.1-5に示すとおりである。

マイバッグ等の販売や配布を行なっている業種は、総合スーパー、百貨店、飲食料品・コン

ビニに集中しており、レジ袋削減運動やマイバッグ持参運動を連動した活動としている事例が

多くみられる。

取組みの効果の大きいものとして、使用削減量については枚数ベースで年間1億7,372万枚、

使用量削減率でみると対前年比 4.4%、レジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)は

13.7~81.8%であった。

表1.1-5 マイバッグ等の販売や配布の取組み事例取組概要 取組効果

・マイバッグ持参運動の実施・マイバッグ等の販売

・レジ袋削減枚数は年間 1 億 7,372 万枚・CO2 換算の削減量は 7 万t(推定)

・買い物かごサービス(預かり金 300 円)を実施 -・リユースレジ袋持参者やマイバッグ等持参者に対して商品代金合計から 2 円の値引きを実施・20 円で販売したリユースレジ袋は、汚れたり、破損したりした場合は無償で交換

・レジ袋削減枚数は 44.7%削減

・自転車かご対応タイプや折り畳みタイプなど 4 タイプのマイバッグ等を販売

・レジ袋辞退で20ポイントたまるとマイバッグプレゼント -・マイバッグ販売(販売数:類型 11,476 個)、マイバスケット販売・不要になったマイバスケット返品時は 315 円の返金。

・マイバッグ約 10 万個を無料配布・マイバッグ等の販売

・レジ袋辞退者(マイバッグ・マイバスケット持参者)延べ3,697 万人

・マイバッグ等の販売・レジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)30.6%

・マイバッグ持参運動・グループ企業やパートアルバイトを含む全従業員にマイバッグを配布

・レジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)81.8%

総合スーパー

・マイバッグ販売(販売数:15,851 個)、マイバスケット販売

・レジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)13.7%・レジ袋削減枚数は 2,059 万枚

・マイバッグを販売し、売り上げの一部により、環境基金を設立

・マイバッグ販売(販売数:累計 60 万枚以上) -

・マイバッグ販売(販売数:約 6,000 枚) ・レジ袋削減枚数は 4.4%削減

・マイバッグ、保冷バッグ販売 -

百貨店

・カーボンオフセット付きマイバッグ販売(販売数:累計約 5,000 枚)

・2007年3月よりマイバッグを作成し、2009年2月時点で 200 万 9,000 枚配布

・レジ袋削減重量は対前年比 2.8%削減

・布製マチ付きマイバッグの販売及び新規店舗での配布

・マイバッグ提供によるレジ袋の削減運動を実施・3 か月の平均レジ袋の使用量は 30%削減・レジ袋の仕入れコスト 3 割減

飲食料品・コンビニ

・エコバッグ販売 -

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1.8

④薄肉化、軽量化された容器包装の利用

薄肉化、軽量化された容器包装の利用の取組事例は、表1.1-5に示すとおりである。

薄肉化、軽量化された容器包装の利用は、今回調査したすべての業種でみられた。容器包装

の種類としては、薄肉化されたレジ袋の利用が最も多く、約 10%~30%の薄肉化となっている。

取組みの効果として大きいものとして、レジ袋使用削減量については、重量ベースで年間 55

t、削減率でみると対前年比 31%であった。また、その他の素材、品目としては、発泡トレイ

やラップ、フィルム、キャリーバッグ、包装紙における薄肉化、軽量化の報告があった。

表1.1-5 薄肉化、軽量化された容器包装の利用の取組事例取組概要 取組効果

・取引先と共同でレジ袋の薄肉化を実施 ・レジ袋 28%薄肉化

・食品・日用品関連レジ袋のサイズ見直し ・ポリ包装・消耗資材削減重量は 5 万 3,893kg・レジ袋の軽量化・フタ付きプラスチック製からフタなし発泡スチロール製への切り替えなどによるトレイの軽量化

・レジ袋削減重量は年間 75.6t(レジ袋持参運動などとあわせた効果)・トレイ対前年比 1.7%削減

・トレイの軽量化 ・フタ付トレイ(20g→10g)、発泡トレイ(10g→8g)に削減・トレイの軽量化 ・トレイ 34 種類平均 23%軽量化

・レジ袋の薄肉化・レジ袋 12.6%薄肉化・レジ袋削減重量は年間 40t

・レジ袋の薄肉化、サイズ変更・レジ袋 20%削減・レジ袋削減量は石油換算で 735kl

総合スーパー

・鮮魚精肉部門でのトレイの軽量化 ・トレイ 1 枚当たり 0.9g(17%)軽量化百貨店

・レジ袋の素材変更による軽量化・紙製キャリーバッグの高さを縮小・クラフト包装紙薄肉化

・レジ袋1枚当たり重量 29%(大)、20%(小)削減・キャリーバッグ重量約 5%削減・クラフト包装紙重量 20%削減

・メーカーと共同開発によるレジ袋薄肉化 -

・使用頻度の高い二種類のレジ袋薄肉化・各々のレジ袋について約 10%、約 30%薄肉化・レジ袋削減枚数は前年比 31%削減・レジ袋削減重量は前年比 21%削減

ホームセンター・総合

小売

・レジ袋のサイズを 4 種類から 3 種類に縮小(2008 年度は中と小を統合)。レジ袋の強度を増し、薄肉化を図った

・レジ袋削減重量は前年比 55t 削減・CO2 換算の削減量は 39t 削減

衣服・身

の回り

品 ・レジ袋の丈を 5cm 短縮 ・使用重量減少

・レジ袋の薄肉化を推進 ・レジ袋使用重量 1 店舗当り 27~28%の削減・レジ袋の軽量化・弁当や総菜、サンドイッチ等の包装材の軽量化・ラップ、フィルムの不使用や薄肉化

・レジ袋前年比 7.6%削減・サンドイッチの包装材年間 40t 削減予定

・レジ袋の薄肉化 ・削減重量は 12.1~30%削減

飲食料品・コンビニ

・ナノテクノロジーによるレジ袋の薄肉化・店舗で使用している容器を 0・68g 軽量化。

・レジ袋の重量は 10~30%削減・店舗で使用している容器は年間 13t の CO2 が削減される見込み

自動

車部品 ・レジ袋の薄肉化を実施 -

・レジ袋の薄肉化・紙製容器包装の削減目標設定

・レジ袋削減重量は 29t(20%削減)家具什

器・機械

器具

・レジ袋の強度を落とさないで薄肉化を図る ・前年比で使用重量が減少書籍・レジで使用するポリ袋の薄肉化 -

ファストフ

ード・持帰

り料理品

・レジ袋、容器類の薄肉化・軽量化 ・プラスチック 124t、紙 359t 削減

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1.9

⑤ばら売り、量り売りの実施

ばら売り、量り売りの実施の取組事例は、表1.1-6に示すとおりである。

ばら売り、量り売りの実施を行なっている業種は、総合スーパーがほとんどであり、生鮮食

品売り場にて行われている。

取組みの効果としては、ばら売り、量り売りの推進による食品トレイの削減や、レジ袋削減

などである。

表1.1-6 ばら売り、量り売りの実施の取組事例取組概要 取組効果

・生鮮食料品を中心に実施 ・トレイ使用量年間 5tの削減

・トレイアイテムの絞り込みによる使用量削減・ばら売り・量り売りの推奨

・レジ袋 2%、トレイ 10%強の削減

・ばら売りの推奨 ・トレイ使用量の削減量は 22t

総合スーパー

・生鮮、総菜売場で対面販売の実施 -

⑥簡易包装、適正サイズの使用

簡易包装、適正サイズの使用の取組事例は、表1.1-7に示すとおりである。

簡易包装、適正サイズの使用を行なっている業種は、百貨店を中心に、総合スーパー、ホー

ムセンター、衣服・身の回り品、ファストフードにみられる。

百貨店、総合スーパー、衣服・身の回り品の各業種では、簡易包装は主に中元、歳暮などの

ギフト用が対象となっているが、百貨店では日本百貨店協会が主体となって「スマートラッピ

ング」を推奨しており、贈答品以外の商品でも事例が多くみられる。

ホームセンターや衣服身の回り品では、小物や少量買いに対しては、レジ袋を使用せず、購

入済みを示すシールの貼付等での対応を行なっている。またファストフードでは、主に持ち帰

り容器の簡易包装やリユース容器での取組がみられる。

取組みの効果としては、包装材の削減や簡易包装率が挙げられており、削減量の効果が大き

かったものとしては包装紙で年間 724t(重量ベース)であった。また、レジ袋の削減率につ

いては、対前年比 11.1%(枚数ベース)の報告があった。

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1.10

表1.1-7 簡易包装、適正サイズの使用の取組事例取組概要 取組効果

・贈答品 90%以上、商品券のほぼ全量について簡易包装

・中元歳暮などギフト用品の簡易包装の推進 ・簡易包装率約 8 割

総合スーパー・簡易包装対応マニュアルに基づいて応対

・包装紙削減量は約 18t・簡易包装率 79%

・2店舗で簡易包装の導入実験の実施・中元歳暮の配達品の簡易包装・エコ包装基準を設定し、自宅持帰り用の商品を簡易包装にした場合、グリーンのテープ(エコテープ)を貼り、購入済み商品であることを明確にする

・簡易包装の実施について、中元歳暮カタログに告知 ・包装紙削減量は 213t

・贈答品以外は簡易包装を実施 ・包装紙削減量は前年比 40t削減

・日本百貨店協会推奨の「スマートラッピング」キャンペーンの実施

・包装紙削減量は前年比 3%削減

・スマートラッピングマニュアルを策定・自宅用商品の場合、簡易包装専用シール(自社製作)で対応・社員に対する定期的な教育の実施

百貨店

・包装資材の削減目標を掲げた上で取組みを実施・容器包装使用重量は前年比 4.5%削減・レジ袋削減枚数は前年比 11.1%

ホームセンタ

ー・総合小売

・少量の買い物品に対しては購入の印としてシールの貼付で対応

・ギフト用ラッピングに簡易包装を採用 -

・薄肉化した素材の容器包装を使用・適正サイズの袋を使用

衣服・身の

回り品

・小さな商品は購入の印としてシールの貼付で対応 -

・持ち帰り商品の簡易包装を実施(2 袋までは手提げ袋に入れずに引渡、ドリンク 1 点の場合は包装なしの引渡)

・リユース食器の採用 ・紙製使用の場合に比べ、年間724t の紙の使用量削減

ファストフード・持帰り料理

・持ち帰りの際に使用するトレイをシンプルな作りに変更・ホットドリンクの提供方法を、コップ 2 枚重ねから、手に触れる部分だけを手厚くカバーするもの(スリープ)をつける形に変更

⑦ポスター掲示、情報提供、普及啓発等

ポスター掲示、情報提供、普及啓発等の取組事例は、表1.1-8に示すとおりである。

ポスター掲示、情報提供、普及啓発等で特徴的な取組みを行なっている業種は、総合スーパ

ー、百貨店、飲食料品・コンビニ、ファストフードである。

総合スーパーや百貨店では、子供向けにレジ袋削減や簡易包装等に関する学習イベントの開

催を積極に行っている。飲食料品・コンビニでは、レジ袋が必要かどうかの「声かけ」を実施

している事例がみられる。また、ファストフードでは、レジ袋・紙ナプキン削減キャンペーン

や店内でのリユース容器の導入が行われている。

取り組みの効果としては、レジ袋辞退率(マイバッグ・マイバスケット持参率)の上昇や簡

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1.11

易包装の普及に伴う包装資材の削減、イベントへの参加者増加による普及啓発活動の広がりな

どが挙げられた。

表1.1-8 ポスター掲示、情報提供、普及啓発等の取組事例取組概要 取組効果

・自社 HP 上に店舗で回収した資源物のリサイクルに関する情報を掲載するとともに、校外学習等で来店した子供に冊子で配布。・ノーレジ袋キャンペーンを展開・小学生向けに「体験型環境学習」の実施・消費者へレジ袋削減結果告知ポスターの掲示・店舗での掲示物や館内放送の実施

-総合スーパー

・風呂敷の包み方ミニ講座を開催(延べ 510 名が参加)

百貨店

・風呂敷相談員を大型店に配置し、使用方法に関する情報の提供・日本百貨店協会が推進する「スマートラッピング」に併せ普及啓発活動の実施・環境月間のほか年間を通してPOP、チラシ、声かけを実施・市との協定に基づき容器包装類の削減に向けたキャンペーンの実施・社員啓蒙として従業員にマイバッグの配布子供向けHPを開設し、簡易包装等に関する情報の提供

ホームセン

ター・総合

小売

・社内報や社内会議等で削減の必要性や具体的行為について、年数回の説明会を実施

飲食料品・コンビニ

・レジ袋使用枚数の削減に向け、加盟店オーナーへの啓発活動・ポスターの掲示、店内放送での呼びかけやレジでの声かけの取組・「一声運動」としての声かけを通じたレジ袋の使用削減等の活動・レジ画面での PR

・レジ袋削減量は 1 店舗当り前年比 11.2%~20.4%

自動車

部品

レジ袋削減ポスターの掲示や POP、店内放送での呼びかけ

スポーツ

用品・POP 添付やレジ袋削減の「声かけ」実施

・レジ袋削減枚数は前年比 4,600 枚削減・CO2 換算の削減量は前年比 308kg

・「レジ袋・紙ナプキン削減キャンペーン」の結果を踏まえ、レジ袋等の使用抑制を促すシールやアタッチを製作し全店で掲示・POS システムを使い店内リユース容器の実績を把握し、マグカップを使用したレシートに「マグ」を表示し、消費者や従業員への可視効果を図る

ファストフード・持帰り

料理品

・レジ袋が不要な消費者への店頭 POP による呼びかけ

消費者の反応は薄い

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1.12

1.2 容器包装の製造時における排出抑制の取組

ここでは、小売段階において付される容器包装を中心に、生産量の多い主要な製造事業者を抽

出し、ヒアリング調査を実施した結果をとりまとめた。容器包装廃棄物の排出抑制促進措置は、

現在、スーパー、コンビニ等の小売業者を対象としたものであるが、小売業者が付す容器包装の

軽量化や薄肉化は、容器製造事業者の開発、実用化によって可能となる。

容器の種類ごとに、表1.2-1に示す事業者に対してヒアリング調査を実施した。

表 1.2-1 ヒアリングを実施した容器製造事業者

容器 NO ヒアリング先 所在地

1 ㈱エフピコ 東京都新宿区① 食品トレイ

2 中央化学㈱ 埼玉県鴻巣市

3 福助工業㈱ 愛媛県四国中央市② レジ袋

4 イーベーシック㈱ 東京都新宿区

5 王子製袋㈱ 東京都千代田区③ 紙袋

6 ザ・パック㈱ 大阪府大阪市東成区

7 東洋製罐㈱ 東京都千代田区

8 ㈱大塚製薬 東京都千代田区⑤ PETボトル

9 青木固研究所 長野県埴科郡坂城町

各社へのヒアリングでは、製造事業者の取組実態を把握するとともに、排出抑制促進措置の導

入が、軽量化・薄肉化を促進しているか否かなど、法施行の影響などについて確認した。次頁以

降に、各社へのヒアリング調査結果を示す。なお、各企業のデータは平成 21 年3月時点のもので

ある。

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1.13

(1)㈱エフピコ(食品トレー)

①会社概要

・ 資本金:131 億5千万円 従業員数:636 名

・ 1962 年(昭和 37 年)創業であり、本社は広島県福山市にある。

・ 事業内容は、プラスチック製簡易食品容器の製造販売である。

・ 製造工場は、全国に12箇所あり、リサイクル工場は、全国に6箇所(北海道、宮城県、

茨城県、岐阜県、広島県、佐賀県)である。

②プラスチック製簡易食品容器の製造販売

・ 製品の製造販売においては、出荷から消費者が購入し、家庭で開封するまでの安全・安心

の確保が最優先事項である。

・ ユーザーの商品選択の基準は、価格と機能(見栄え、強度等)があり、その二つを満足し

た上で、機能一枚当り重量を含めた環境配慮が比較対象となる。

・ 製品の出荷先は、3割が小売業者、7割が卸売業者である。最終的なユーザーは小売業と

弁当製造などの食品加工メーカーである。

・ 製品の傾向として、ふた付容器の販売量が増えてきている。理由として、小売店でトレイ

にラップをするよりも手間が省け、低コストになることと、家庭での保管がしやすいこと

が挙げられる。

・ 製品生産量は 2007 年度、13 万tであり、うちエコトレー3は1万tである。

・ 生産量のうち、PS製容器の割合が7割、PET製容器の割合が 2 割である。PS製容器

には、発泡品と非発泡品があり、発泡品の約半分が白色トレイである。

③トレイの軽量化

・ 安全・安心を不可欠とした上で、容器の軽量

化に取組んでいる。軽量化は、容器包装リサ

イクル法の本格施行以前より取組んでおり、

今後も継続して取組む必要があると考えて

いる。

・ トレイの軽量化の方法としては、非発泡品か

ら発泡品への転換、発泡率の上昇、リブ加工

(右図参照)などがある。リブ加工は、軽量

化によって低下する強度維持効果がある。

・ 平成 20 年一年間の実績によると、販売数量

は前年比 103%であったが、販売重量は 98%

に低下している。また、直近の半期では、販

売数量が前年比 103%に対し、販売重量は

3 エコトレーは、回収された PSP(ポリスチレンペーパー)製トレイを原料であるペレットに加工し、再び元の姿に戻したエフピコの商品で、簡易食品容器としては初めて(財)日本環境協会より「エコマーク」商品として認定されている。

図 1.2-1 トレイのリブ加工例

(出所)株式会社エフピコ『CSR レポート 2008』

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1.14

89%である。

・ 白色トレイの一枚当たりの重量は、90 年代初頭と比較して 20%程度低下している。

・ 白色トレイの一製品を例にすると、92 年には5g/枚であったものが、2000 年 4.5g/枚、

2009 年 3.41g/枚に軽量化している。

・ 軽量化の取組みは、シートメーカーである積水化成品工業(株)と共同で取組んでいる。

④環境負荷削減の取組み

・ トレイを積み重ねた際の高さを低く抑える取組

みとして、ロースタック化(右図参照)を進め

ている。

・ ロースタック化によって、約 40%の減容化が可

能であり、一枚当たりの輸送コストの低下や、

輸送に伴うCO2排出量の低下につながってい

る。

⑤回収・リサイクルの取組み

・ PSPトレイの回収は、年々増加しており、2007 年度は 6,337tであった。

・ スーパー等で回収したPSPトレイは、ペレット4にされ、トレイの原料に利用している。

このリサイクル原料を利用したエコトレーは、バージン原料を利用したトレイに比べ、製

品1kg 当たり約2kg のCO2削減効果がある。

・ 2008 年より、全ての透明容器のリサイクルも開始し、全国的に本格展開中である。スーパ

ー等で回収された透明容器の素材別の選別は、赤外線による自動選別装置によって行って

いる。

4 ペレットとは、プラスチックを一度溶融し、粒状に加工したもので、様々なプラスチック製品の原料として使われる。

図 1.2-2 ロースタック化の効果

(出所)株式会社エフピコ『CSR レポート 2008』

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1.15

(2)中央化学㈱(食品トレイ)

①本社概要

・ 資本金:57 億 1,275 万円 従業員数:3,131 名(連結)

・ 1961 年設立(1957 年創業)であり、本社は埼玉県鴻巣市にある。

・ 事業内容は、プラスチック製の食品容器包装の製造・販売等である。

・ 製造工場は、全国に8箇所ある。また、研究開発にも取り組んでおり、環境負荷低減素材・

製品の実用化や、リサイクル等にも積極的に取り組んでいる。

②容器包装用原材料の調達量

・ 製造量は、2004 年 137,000t、2005 年 130,443t、2006 年 117,408t、2007 年 119,758t と

推移しており、製造量が増加していないのは、売上げの減少の他に、軽量化の影響もある

と考えられる。

③容器包装の軽量化・薄肉化等の状況と技術について

・ 2004 年から 2007 年の食品トレイ

の軽量化実績は右図のとおりであ

り、この 4 年間でトレイを 9.4%

軽量化している。

・ 中央化学の軽量化・薄肉化等に関

する技術については、環境負荷低

減素材として5つの環境素材「タ

ルコン5、N-CTF6、CFA7、超軽量

PSP8、Biocs9」を掲げ、これらを

中心に、軽量化・薄肉化を進めて

いる。

・ PSPの軽量化をはじめ、耐熱・耐油

性を有するPPフィラー10製品でも、

軽量素材としてN-CTFを開発し

た。発泡層を含む3層構造化と、添加するフィラーのタルク11配合比率を 20%低減したこ

とにより、従来のPPフィラーに比べて約 20%軽量化している。シート厚みや製品の容積

は従来品と同等である。その他にも透明容器・OPS12等でも、形状を工夫するなどによる

薄肉化を実現した。

5 無機物資源のタルクを 55%使用し、プラスチックから陶器への転化を図った全く新しい食品包装容器。天然の未利用資源タルクを利用することで、石油資源の消費を抑制することが可能である。(中央化学 HP)6 従来素材CTの中間層を発泡させることで、軽量化を実現した新素材。(中央化学 HP)7 ポリスチレンとポリプロピレンのポリマーアロイ、軽量で耐油性に優れている。(中央化学 HP)8 特殊発泡による軽量化素材で、省資源性も兼ね備えた軽量タイプの素材。(中央化学 HP)9 ポリ乳酸を原料としたバイオプラスチック素材。限りある資源を大切に守る。脱石油化製品。(中央化学 HP)10PP(ポリプロビレン)にフィラー(無機充填材)を配合したもの。(中央化学)11粘土鉱物の1つで細粉としてセラミックス原料等に用いられる。(厚生労働省 HP)12二軸延伸ポリスチレンシート(中央化学 HP)

図 1.2-3 軽量化の推移

(出所)中央化学株式会社 2008 年度版 CSR 環境レポ

ートより

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1.16

④軽量化・薄肉化の可能性、課題について

・ 軽量化・薄肉化は限界に近いと考えられる。PSP製品を作る際、まずシートを製造し、

そのシートを熱成型するが、PSP製品を軽量化するには、製品のデザイン等のほか、シ

ートの構造を改良するなどの方法がある。

・ 軽量化と薄肉化は、いわゆるリデュースのための取り組みだが、発泡すると厚みが増すた

め、軽量化は必ずしも薄肉化ではない。例えば、CTFは、3層構造で芯層を発泡し、軽

量化されているが、薄肉化ではない。また強度で、薄肉がマイナスになる事もある。

⑤プラスチック食品容器包装のリサイクルシステムについて

・ 1990 年頃からからリサイクルを始めたが、同業他社が、「回収」をシェア拡大のための営業

戦略に組み込み、その影響で急速に全国的に広がったという経緯があり、リサイクルの拡

大に拍車を掛けた。同社の回収・リサイクルシステムは、独自のリサイクル三原則に基づ

く長期展望に立って、全国的なネットワークを構築し、今日に至っている。

・ 食品トレイは、工場から地域ごとの代理店へ搬送され、代理店からスーパーや食品加工メ

ーカー等に届けられるケースが大半だが、最近は、ユーザへの直売もある。食品トレイだ

けではなく店舗の資材周り用品(フィルムやドリップシート、値付けシート、POPなど)

も一緒に、店舗ごとの注文に応じて配送するため、流通ルートがはっきりしており、どこ

の会社の容器がどこの店で使われているのか、わかる構造になっている。

⑥その他

・ プラスチック製食品容器包装には、内容物保護、鮮度保持効果、防塵、形状保護等様々な

効果がある。また、弁当容器の場合は、弁当のグレードが高い和食などの場合には、容器

にも質感や重量等が重視されるという要素もあり、軽量化のみを推進するだけではない。

図 1.2-4 PSP トレイ回収ルート

(出所)ポリスチレンペーパー成型加工工業組合商品普及

委員会資料より

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1.17

(3)福助工業㈱(レジ袋)

①会社概要

・ 資本金:8 億 1,000 万円 従業員数:2,498 名(グループ全体)

・ 1949 年設立(1919 年創業)であり、本社は愛媛県四国中央市にある。

・ 事業内容は、レジ袋・食品容器やラミネート製品など各種包装資材の製造・販売である。

・ 製造工場は、全国に14箇所あり、 中国やインドネシアに海外工場をもつ。

・ レジ袋においては、国内メーカーの販売シェア最大手である。

②容器包装(レジ袋)の製造・販売について

・ 小さいサイズのレジ袋の取扱量が多いコンビニの店舗が増加していた際は、重量では大き

な変化はなかったが、枚数ベースでは増加していた。しかし、コンビニの店舗数の増加数

もとまり、現在は製造量・販売量は、下降気味である。

・ 今年に入りレジ袋有料化の流れが拡大し、これまで特定の店舗のみで有料化を実施してい

たものが、市全体や県全体へと広がり、点から面、エリアで取り組み始めた影響により出

荷量は減少してきている。

・ 業種により異なるが、大手小売業者が使用しているレジ袋は大半の場合、輸入の割合が高

い。海外から輸入ができない場合、ただちに国内から仕入れることができるよう、全量輸

入に頼らず、国内の複数の業者と契約を結んでいる。

・ 福助工業で製造している規格品は、現在 100 アイテム以上あり、形や大きさ、厚みなど様々

である。顧客の選択肢を広くするため、アイテム数は多くなっている。

・ 福助工業では海外工場生産量は少なく国内生産量が多くなっている。空洞化を避けるため、

海外工場は2工場にしている。国内工場でも海外価格に負けないだけの合理化を進めてい

る。

③容器包装(レジ袋)等の軽量化・薄肉化等の状況と技術について

・ 顧客からの経費抑制の要望を受け、大きさや素材を変えることはできないため、薄肉化を

行っている。

・ 1970 年代(レジ袋が世に出始めた頃)には、厚さは 30~35 ミクロンであったが、1998 年

頃から技術開発をすすめ、L、LL タイプで 17~18 ミクロンへと約 30%の薄肉化となった。

・ 他企業と連携して軽量化・薄肉化をすすめているのではなく、独自開発をおこなっている。

・ ファッションバッグでは、植物由来のポリ乳酸を 10%混入した商品は既に製品化している。

今後、混入率を高める研究を行っていく予定である。

④軽量化・薄肉化の可能性、課題について

・ 現状では、軽量化・薄肉化はある程度限界に達していると考えられる。今後も研究を重ね

ていく予定だが、強度的な課題が大きい。

・ 顧客によって要望は様々で、例えば有料化用のリユースを想定したレジ袋は厚みがあり、

繰り返し利用に耐えうる必要があるため、22~25 ミクロンくらいの厚みのものが主体とな

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1.18

る。それ以外では、17~18 ミクロンの厚みのものが主体である。すべてが薄肉化に向かっ

ているわけではなく使い方、使い道によって様々である。

・ レジ袋有料化の影響により、事業者によってはマイバッグ持参率が 8~9 割になっており、

使用量が 1~2 割まで減少している。また、使用量が減ると、複数の業者から購入していた

事業者も、1、2 社で賄うことが可能となるため、販売量に影響が出てくる。

⑤ユニー(株)との回収・リサイクルの取組について

・ 福助工業としてもレジ袋のリサイクルを考えていたが、回収がネックになるとの判断から

踏み切れなかった。約1年半前にユニーからリサイクルの要望があり、これに対応する形

でリサイクルへの取組を決定した。

・ レジ袋はリサイクルを考慮し、インキを白1色にして印刷面積も極力減らしている。

・ レジ袋のリサイクルシステム(「レジ袋 to レジ袋」)を導入することにより、レジ袋を廃棄

物として焼却した場合のCO2排出量 4.765 CO2-kg/kg に比べて、リサイクルした場合に

は、2.043 CO2-kg/kg と、排出量は約 57%削減可能である。

・ リサイクルの流れは次のとおり。

図 1.2-5 『レジ袋 to レジ袋』リサイクルシステム

(出所)福助工業提供資料より

・ リサイクルを開始した当初は、汚れたレジ袋が沢山回収されたが、ユニーが店頭などによ

り買い物客に呼びかけを行った結果、大幅に改善されている。

・ ユニーから回収センターに運ばれた使用済みレジ袋は、圧縮され、最終的に結束バンドで

縛り、福助工業へトラック輸送されている。

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1.19

・ レジ袋リサイクル用回収ボックスと同じ場所に、福助工業製以外のレジ袋や傘袋、ロール

袋、印刷ありの袋等を回収するボックスも設置されており、これらレジ袋リサイクルの非

対象製品についてはユニーがリサイクル業者に依頼し、ベンチ等に再生している。

・ 現状では実験店舗においての実験段階であるが、今後はユニーグループで取り組む店舗数

を拡大していく計画である。初回は約 50kg の使用済みレジ袋をマテリアルリサイクルし、

約8万枚のレジ袋を納品した。再生原料の混入率は 5%であるが、使用済みレジ袋の回収率

が上がれば、今後 15%までは技術的に可能である。

⑥その他

・ 海外のレジ袋は原料に炭酸カルシウムを混入している商品が多く、強度は弱い。炭酸カル

シウムは主原料のポリエチレン価格よりも安いため、これを主原料に混入させることによ

り、製品価格も安くなる。

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1.20

(4)イーベーシック㈱(レジ袋)

①会社概要

・ 資本金 119,950 千円

・ 2003 年に創業、樹脂への添加剤を製造するメーカーであり、容器包装に限らずプラスチッ

ク関連製品向けの添加剤を開発・製造している。

②事業の概要

・ 現在は、ナノハイブリットカプセル2(NHC2)の研究開発・製造・販売を中心として

事業を行っている。その他、環境対応型高機能プラスチック製品について事業を行ってお

り、生分解性プラスチック添加剤も取り扱っている。

・ ナノハイブリットカプセル2の商流としては、自社で開発した添加剤の生産委託を行い、

14 社のセールスパートナー(商社)を通して、容器包装メーカーに納入している。

③ナノハイブリットカプセル2について

【概要】

・ CO2の排出削減効果と強度アップをキーワードに事業を模索し、2005 年に東京理科大の

TLO(技術移転機関)との協力でナノハイブリットカプセル2の開発を開始した。その

後、改めて、金沢大学との技術提携にて、2007 年より量産化を行うことができるようにな

った。

・ ナノハイブリットカプセル2は、超臨界流体技術によってつくられるナノサイズのカプセ

ルで、リン脂質の二分子膜となっている。リン脂質は親水基と疎水基で形成され、カプセ

ルの外側が親水基となっており、親水基同士は凝集や合一が起こりにくいため、添加した

ポリマー基材中での拡散性に優れている。

・ カプセルの性質は非常に不安定であるため、樹脂への練りこむことが困難であったが、特

殊な混練機とカプセルの安定性を高める独自の製法を確立したことで、量産化が可能とな

った。

図 1.2-6 ナノハイブリットカプセル2の構造

(出所)イーベーシック株式会社ウェブサイト

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1.21

【利用による効果】

・ 以下の表に示すとおり、ナノハイブリットカプセル2の添加により通常のHDPEフィル

ム製レジ袋と比較して、強度の向上が図られている。

・ またNHC22を樹脂に添加することでレジ袋の薄肉化が達成され、結果として燃焼時の

CO2が 41.7%削減できる検査結果が出ている。

表 1.2-2 レジ袋(20μ)のNHC2添加時の強度向上効果

検査項目検査項目HDPE

フィルム

NHC2

添加フィルムアップ率

タテ引張破断点 0.799kgf 1.195kgf 50%

ヨコ引張破断点 0.583kgf 0.826kgf 42%

上部シール強度 1.404kgf 2.486kgf 77%

下部シール強度 1.236kgf 2.485kgf 101%

(出所)イーベーシック株式会社ウェブサイト

表 1.2-3 ナノハイブリットカプセル2のCO2削減効果

製品名 着火時間(秒) 燃焼時間(秒)二酸化炭素

(mg/g)削減率

NHC2 添加フィルム 13 15 700

HDPE フィルム 15 19 1200

41.7%

(出所)イーベーシック株式会社ウェブサイト

【導入事例】

・ レジ袋への利用が多く主な企業としてはユニクロ、千趣会、am/pm、ヤマダ電機等での

導入実績がある

ユニクロ

ショッピングバッグ

ユージン

ガチャカプセル

全漁連

レジ袋

am/pm

レジ袋

図 1.2-7 具体的な導入事例

(出所)イーベーシック株式会社ウェブサイト

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1.22

食品トレイ 繊維 歯ブラシ PP バンド 発泡シート

図 1.2-8 レジ袋以外への用途

(出所)イーベーシック株式会社ウェブサイト

【今後の用途】

・ 現状は、レジ袋における利用が中心だが、今後は梱包材や建築現場の保護材などに用途を

広げる開発をしている。また製品の筐体に用いることのできるプラスチックへの適用につ

いても検討を行っている。

④ユーザのニーズ

・ 薄肉化技術を導入する際に、小売業などのエンドユーザが最も重視するのが、消費者の印

象である。例えばレジ袋の場合、薄くなることで、取っ手部分が手に食い込むことや、密

着することで、利用する際に開きにくいなどの使い勝手の部分での不安感を意識する事業

者が多い。

・ 実際の機能としては問題がなくても、イメージとして消費者に意識されてしまう危険性に

ついては、エンドユーザは敏感である。

・ また、薄肉化を行うことで、製造工程で不良品が出やすいなどのリスクがある。

⑤その他

・ 現状では、ナノハイブリットカプセル2の利用へのインセンティブは、原材料費の圧縮や、

CO2削減による企業イメージの向上である。

・ さらなる薄肉化や軽量化を促進するためには、需要側に働きかける仕組みが必要であると

認識している。

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1.23

(5)王子製袋㈱(紙袋)

①会社概要

・ 資本金 3 億 7,700 万円 従業員数 269 名

・ 1920 年創業であり、本社は東京都千代田区にある。

・ 事業内容は、重包装袋を主として、軽包装袋やフィルム等の製造・販売である。

・ 製造工場は、全国に7箇所あり、中国にも進出している。

・ 新聞古紙を再利用した製品や、生分解性の緩衝材の開発等も実施している。

②容器包装の製造量

・ 年間売上高は 159 億円で、構成比の内訳は重包装袋 44%、軽包装袋 18%等である。

・ 王子製袋の H20 年度重包装袋の生産量は、約 1 億 3000 万袋で業界の約1割弱である。

・ 業界全体では、最盛期の昭和 48 年は 28 億 9500 万袋であったが、ここ数年は毎年 5%ずつ

減少しており、H19 年度は約 14 億 3000 万袋、H20 年度は 13 億 6400 万袋となっている。

③容器包装の軽量化・薄肉化等の状況と技術について

・ メーカーからのコストダウンや CO2 削減対策としての要望に応える手段のひとつとして、

軽量化・薄肉化を行っている。

・ 薄肉化の提案をメーカー等に行っているが、重包装袋ではある程度の耐久性が求められる

ため、メーカーが行う試験段階で受け入れられないと判断されてしまう。

・ 軽包装袋は、関連企業である王子アドバが行っている。

・ ベーラーバッグという、段ボール・ケースに替わる経済的な容器で、自己堆積製のある商

品の集合包装に適している商品を販売している。これは、重ねても段ボールの 10 分の 1 程

度のカサで物流コストも削減でき、製造コストも少なくてすむ。

(出所)王子製袋株式会社ウェブサイト

図 1.2-9 ベーラーバッグ

・ ベーラーバッグは、現在 16 万袋程度が再生 100%トイレットロールの外装として使われて

おり、ニーズは高いが業界内の生産能力が追いついてない。製造機械自体は 40 年以上前の

ものであり、昔はヒラチリ紙等の外装として使われており、ポリ袋に取って替わられてい

たが、最近脚光をあびてきた。ペットフード等、積み重ねても中身が変化しないものに使

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1.24

用されており、使い方次第で幅広いニーズがあると考えられる。

・ その他の製品でも、袋の上下両方の底を強度が弱くなるため3枚重ねにし、中を2枚にす

るという 70 年代の古い技術があるが、近年の省資源化により再び見直されてきている。

④軽量化・薄肉化の可能性、課題について

・ 重包装袋では、劇的な素材変化や技術革新は難しく、軽量化・薄肉化は、現状、限界まで

行きついた感がある。コストダウンと輸送方法の変化によりここ 20 年ほどで薄肉化が進ん

ではいる。

⑤その他

・ 10 年以上前から、とうもろこしから生分解性の緩衝材「エコフォーム」を製造している。

原料は、アメリカから輸入し発泡させて作っている。石油製品と比べると価格も高くなり、

管理が難しいため、商社や通販業者等に顧客は限られている。

図 1.2-10 エコフォーム

(出所)王子製袋株式会社ウェブサイト

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1.25

(6)ザ・パック㈱(紙袋等)

①会社概要

・ 資本金:22 億円 従業員数:1020 名

・ 昭和 27 年創業で、創業当初は、洋服や着物を入れる木箱・衣装箱を製造していた。

・ 現在は、プラスチック製のシート・ロール、紙袋、プラ袋、紙器、ダンボールを製造販売

している。

・ 国内の他、米国、中国に工場を保有しており、中国では紙袋を製造している。国内工場の

うち、茨城はプラスチック製のシート・ロールを、大阪・東大阪はファッションバッグを、

奈良ではダンボールを製造している。

・ 単に包装資材を製造するだけでなく、PASシステムという、包装用品、事務用品、雑品

などの共通倉庫システム事業も展開している。

②紙製容器包装の製造・販売について

・ 紙製容器でも、様々な軽量化の取り組みを進めている。強度を確保したまま紙厚を薄くす

る、紙器をふた付きにするなどの工夫をしている。

・ 素材転換や単一素材化の要望も多く、プラスチックコーティングしない紙袋が増えており、

発泡スチロールをダンボールへの素材転換なども多い。

③ファッションバッグ・レジ袋の製造・販売について

・ レジ袋は製造しておらず、ほぼ 100%輸入であるため、レジ袋について、自社で軽量化等の

取組みはしていない。

・ レジ袋の輸入量は、年間 19 億枚である。

・ 現在、ファッションバッグの厚さは 25μから 20μにまで薄肉化されており、ほぼ限界に近

づいてきている。薄肉化を達成するために、炭酸カルシウムの添加や塗料の改良なども行

っている。

④その他

・ 環境素材であるバガス、ケナフ、

葦、水酸化アルミニウムを原料

とするパッケージの収益の

0.5%をNPO法人「地球と未来

の環境基金」に拠出するフォレ

スト基金活動を国内4ヶ所(岩

手県、奈良県、沖縄県、広島県)

で展開している。

図 1.2-11 森林保護基金額の推移

(出所)ザ・パック株式会社資料

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1.26

(7)東洋製罐㈱(PETボトル)

①会社概要

・ 資本金:110 億 9,460 万円 従業員数:4,958 名

・ 大正 6 年創業の容器メーカーであり、金属、プラスチックとそれらの複合材料を素材とし

た器の製造・販売、包装システムの販売および技術サービス等を提供している。

・ 容器の製造販売が中心に事業を行っているが、付随して容器の製造に関するトータルシス

テムについてもボトラー等に納入している。

・ 取扱い容器は PET ボトル、缶、プラスチック製容器等多岐に渡る。

②PETボトル業界の動向について

・ 従来は PET ボトルのプリフォーム13の製造から、容器の成型(ブロー)まで容器メーカー

で一貫して行うことが一般的であったが、近年は容器メーカーがプリフォームのみを納入

して、飲料メーカーが充填ラインの近くで自ら容器をブローする例が増えている。

・ 飲料メーカーが充填ラインの近くでブローする場合は、アセプティック(無菌充填)を行

うケースが多い。無菌充填の場合、容器の耐熱性が低くても良く、軽量化が可能である。

③製造する PET ボトル種類について

・ 清涼飲料用の PET ボトルには大きく分けて 4 種類のものが存在する。

アセプティック(無菌充填)用 PET ボトル:茶系飲料やミルク入りの飲料を常温で

充填するもの。無菌のクリーンルーム内で殺菌されたボトルに充填をする。飲料メ

ーカーがボトルも充填ラインの近くでブローするケースが多く、近年利用が増加し

ている。

耐熱用 PET ボトル:中身を 85℃程度の高温度で充填を行うことができる耐熱性を

持ったボトル。果汁飲料やスポーツドリンクなど、無炭酸の飲料に用いられること

が多い。

耐圧用(炭酸飲料)PET ボトル:炭酸飲料を充填するために、内圧力に耐え得る設

計がされた PET ボトル。

耐熱圧用ボトル:高温殺菌を行うことが必要な果汁入り炭酸飲料や乳性入り炭酸飲

料を充填する際に用いられる PET ボトル。

④容器包装の軽量化・薄肉化等の状況/経年変化について

・ 容器包装の削減に年々取り組んでいるが、2004 年を 100 とした場合の、重量比の削減は下

図(図1.2-14)の通りであり、近年は削減が難しい状態となっている。

13 PET ボトルの原型。わずか 9cm の試験管ぐらいの大きさで、これを加工することにより PET ボトルになる。(社団法人全国清涼飲料工業会 HP)

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1.27

・ アセプティック充填用2LPET ボトルについては、生産開始時より30%程度軽量化に成功

している。(図1.2-15 参照)

⑤軽量化・薄肉化に関する技術について

・ PET ボトルをブローする元となるプリフォームを成型する新しい技術を開発している。従

来プリフォームは射出成型によって成型していたが、新しい製法では圧縮成型法によって

製造することで、射出成型と比較して低温でプロフォームを成型することができる。それ

により、製造工程での省エネルギー化が期待できる。

図 1.2-14 PCM(Preform Compression Mlding:圧縮成型法による

プリフォーム成形の製造法

(出所)東洋製罐グループ 環境社会報告書 2008

・ 2L の PET ボトルについて、グリップ部分に加え、上部と下部に凹みを設けることで、廃

棄時に潰し易い構造の PET ボトルを設計している。この設計により、廃棄時にボトルの容

積を半分にすることができる。

図 1.2-13 アセプティック充填用

PET ボトル(2L)の重量変化

(出所)東洋製罐 2006 年環境・社会報告書

図 1.2-12 PET ボトルの質量変化

(出所)東洋製罐グループ 環境・社会報告書 2008

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1.28

図 1.2-15 耐熱2L トリプルサポート折りたたみ PET ボトル

(出所)東洋製罐グループ 環境社会報告書 2008

⑥海外と日本との容器への要求性能・品質の違いについて

・ 海外と日本において要求品質は基本的には同じである。アジアにおいてもリサイクルへの

関心が高まっており、特に回収のシステムの強化が必要とされている。

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1.29

(8)㈱大塚製薬(PETボトル)

①会社概要

・ 資本金 200 億円 従業員数 5,323 名

・ 1964 年設立、本社は東京都千代田区にある。

・ 事業内容は、医薬品・臨床検査・医療機器・食料品・化粧品の製造・販売、輸出入であり、

国内外で医療関連事業、消費者関連事業を展開している。

・ 製造工場は、全国に7箇所あり、研究所は6か所である。

②容器包装(PET ボトル)の軽量化・薄肉化等の状況と技術について

・ 現在、ポカリスエット 500mlPET ボトルの年間販売量は約 3 億本で、国内 4 工場で生産さ

れている。

・ 1980 年の発売当初、ポカリスエットは缶のみであったが、1990 年に 1.5 LPET ボトルが、

1996 年には 500mlPET ボトルが発売された。500mlPET ボトルの重さは当初 32gであっ

たが、容器包装事業者の努力により 27gまで軽量化された。

・ 2007 年に 500mlPET ボトルについて、国内製造容器として最軽量 18gの「エコボトル」

を実現した。

・ PET ボトルに常温のポカリスエットを充填し、キャップを締める直前に窒素を充填して内

部を陽圧にするという「陽圧無菌充填方式」の採用により、これまでの 27gから 9g軽量

化することができた。

・ 2005 年に軽い容器を海外で見つけ、日本でも取入れることができないかと軽量化・薄肉化

に取り組み始めた。これまでは、高温のポカリスエットを空の容器に充填し容器の殺菌を

行っていたため耐熱性が必要であり、ボトルにある程度の厚みが必要であった。しかし、

陽圧無菌充填方式により、無菌状態で常温のポカリスエットを充填した後、窒素を入れて

内圧を高くし、容器の強度を増すことにより、2 年かけて軽量化、薄肉化を実現した。

・ 9g軽くなったことにより、使用するペット樹脂は約 2,700t の削減となった(年間 3 億本

生産の場合)。これは、原油に換算すると年間 4,000KL で、約 8,300t のCO2削減となる。

・ 「エコボトル」は、キャップ開栓前はボトル本来の固さを保っているが、キャップを開く

ことによりやわらかい感触になり、リサイクルの際にはつぶしやすくなっている。また、

減容化により自治体が回収する際にこれまでよりも輸送コストが少なくなっている。

・ 軽量化、薄肉化を可能にする「陽圧無菌充填方式」を採用しているのは日本工場のみであ

る。海外では、容器を取り扱う事業者から空の容器を購入して、飲料を充填している。海

外の取引先とリデュースに取り組む必要があるため、取引先にインフラや技術が導入され

ていなければ行えない。海外でも「陽圧無菌充填方式」と同様の技術を取り入れるかにつ

いては、今後の選択肢の一つである。

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1.30

図 1.2-16 エコボトルによる効果

(出所)大塚製薬株式会社ウェブサイト

③軽量化・薄肉化の可能性、課題について

・ 清涼飲料水は食品であり、食品の容器包装については、環境負荷の低減、安全・安心の担

保という2つの課題への対応を考える必要がある。技術的にこれらにどのように対応して

いくかが課題である。

④その他

・ 容器の形状にはトレンドがあり、各社容器の形で差別化を図っている。ファッション性第

一主義ではなく、静脈産業として資源の有効活用や、リサイクルに不向きな形状にしない

ことが重要である。

・ 社会的・世界的な温暖化防止、軽量化の流れが、消費者に徐々に評価されてきて、同様の

ものを買うのであれば価格に大きな差がなければ環境に配慮したものを選び、自分にでき

る環境対策を行っていこうとする流れがある。こういった動きを先取りして取り組んでい

る。

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1.31

(9)青木固研究所(PETボトル)

①会社概要

・ 資本金:2,200 万円 従業員数:237 名

・ 1976 年創立、本社は長野県埴科郡坂城町にある。

・ 飲料、食品、医薬品、化粧品、日用品などの様々な分野において、容器成形技術を提供し

ている機械メーカーである。

・ プラスチック素材について、より使いやすく、便利な形状の研究、素材の特性を活かした

高機能な容器開発を行っており、製品市場の 90%が海外である。

②PET ボトルの製造について

・ PET ボトルの製造は、容器メーカーがプリフォームの製造から容器の製造までを行い、飲

料メーカーへ納入する方式が一般的であったが、近年、容器メーカーがプリフォームのみ

を納入し、容器のブロー成形14を飲料メーカーの工場内で行う方式が増加している。

③容器包装(PET ボトル)の軽量化・薄肉化等の状況と技術について

・ 青木固研究所の国内向けの製造は 1 割であり、残り 9 割は、海外向けである。80 ヶ国 600

ユーザーに販売している。

・ 通常は、プリフォームを作り一度冷却し、再加熱した後に成型し PET ボトルにするが、青

木固研究所では、プリフォームを作った熱を利用してそのまま成型する。

・ 通常、1.5Lの PET ボトルは 32gや 40gのものがほとんどであるが、青木固研究所の開発

した「与太瓶」は 16gと約半分となっている。また、750ml のPETボトルは、11.7gで

ある。

・ 1998 年頃から、原料価格の高騰により、軽量化を図ってきた。その結果 1.5LPET ボトル

について、12.3gまで軽量化できることがわかったが、商品の品質の維持(つぶれやすい等)

の問題や、物流システムや充填システムを変更しなければ対応できない等の問題があった。

・ 10 年前に、あえて自立しない容器である「与太瓶」を開発した。ただ単に原料を減らすだ

けではなく、生産時のエネルギーや輸送コストなど総合的に見て環境に配慮した商品であ

る。

・ 「与太瓶」は、企業の取組の事例として学校教育等に現在使われている。

・ 国内では実用化には至っていないが、海外では既に食品の詰め替え用容器などに利用され

ている。

④軽量化・薄肉化の可能性、課題について

・ 今後は、実用化できるものの開発を徐々に行っていきたい。方向性としては、「薄い・軽い・

小型化」である。

14樹脂成型加工技術の一つ。プラスチック・ボトルの製造などに利用されている。