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2 諸表簿の作成
学校教育法施行規則15条において、学校に次の表簿を備えることが義務づけられてい
る;
①学校関係法令
②学則 日課表 教科用図書配当表 学校医・学校歯科医・学校薬剤師執務記録簿 学校日誌、 、 、 、
③職員名簿、履歴書、出勤簿、担任学級、担任の教科・科目、時間表
④指導要録、その写し・抄本、出席簿、健康診断表簿
⑤入学者選抜・成績考査表簿
⑥資産原簿、出納簿、予算決算帳簿、図書機械器具・標本・模型等教具目録
⑦往復文書処理簿
そのなかでも、指導要録、出席簿、健康診断票は教育活動や管理のために大切な表簿であ
る。校長はそれら表簿を作成し、常備し、一定の期間保存管理しなければならない。
(1)指導要録
指導要録は学校教育法施行令第31条に規定する児童等の学習及び健康の状況を記録し
た書類の原本であり、学校教育法施行規則12条3項で「校長は,その学校に在学する児
童等の指導要録を作成しなければならない」と定められている。指導要録は学籍に関する
内容を要約し,学習の記録をまとめたものである。また,指導要録は児童・生徒が転学や
進学した場合には引き継ぎの資料となるし,外部に対して学籍等を証明をするための根拠
にもなるものである。
指導要録の様式や作成上の留意事項を定めるのは義務教育の場合は,所管の教育委員会
であることが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条に規定されている。す
なわち公立の小中学校で作成する指導要録の様式は区市町村教育委員会,県立学校で作成
する指導要録の様式は県教育委員会が定めることになっている。ただし全国で作成される
表簿であるので,記載事項等の参考となるものを文部科学省初等中等教育局長通知(平成
13年4月)により示している。
「 」 「 」 ,指導要録の内容は 学籍に関する記録 と 指導に関する記録 の2つに分かれており
それぞれ20年間と5年間の保管が義務付けられている。また,校長は作成を義務づけら
れているが,実際は適正な評価や正確な記入がなされるように,指導,監督する責務を負
っていると言うことであり,実際の記入は担当する教師が行うのである。
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中 学 部 生 徒 指 導 要 録
様式1(学籍に関する記録)
学年 1 2 3区分
学 級
整理番号
学 籍 の 記 録
平成 年 月 日 第1学年入学ふりがな 性
生 氏 名 入 学 ・
第 学年編入学別 編 入 学 等
昭和・平成 年 月 日生
徒 現 住 所
平成 年 月 日 第 学年転入学
転 入 学
ふりがな
保 氏 名
(平成 年 月 日)
平成 年 月 日護 転学・退学等
者 現 住 所
平成 年 月 日卒 業
入学前の経歴
進 学 先 ・
就 職 先 等
年度 平成 年度 平成 年度 平成 年度
学校名及び
区分 学年 1 2 3所 在 地
校長氏名印
分校名・学級担任者
所在地等氏 名 印
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様式2(指導に関する記録)区分 学年 1 2 3
生徒氏名 学校名 学 級整理番号
各教科の学習の記録必 修 教 科 選 択 教 科
Ⅰ 観 点 別 学 習 状 況 Ⅱ 観 点 別 学 習 状 況教科 1 2 3 教科 1 2 3
国語への関心・意欲・態度国 話す・聞く能力
書く能力読む能力
語 言語についての知識・理解・技能
社会的事象への関心・意欲・態度社 社会的な思考・判断
資料活用の技能・表現会 社会的事象についての知識・理解
数学への関心・意欲・態度数 数学的な見方や考え方
数学的な表現・処理学 数量,図形などについての知識・理解
自然事象への関心・意欲・態度理 科学的な思考
観察・実験の技能・表現科 自然事象についての知識・理解
音楽への関心・意欲・態度音 音楽的な感受や表現の工夫
表現の技能楽 鑑賞の能力
美術への関心・意欲・態度美 発想や構想の能力
創造的な技能術 鑑賞の能力
保 運動や健康・安全への関心・意欲・態度健 運動や健康・安全についての思考・判断体 運動の技能育 運動や健康・安全についての知識・理解
技 生活や技術への関心・意欲・態度術 生活を工夫し創造する能力・ 生活の技能家 生活や技術についての知識・理解庭
コミュニケーションへの関心・意欲・態度外 表現の能力国 理解の能力語 言語や文化についての知識・理解
Ⅱ 評 定 Ⅱ 評 定教科 国 社 数 理 音 美 保健 技術・ 外国語 教科学年 語 会 学 科 楽 術 体育 家庭 学年
1 12 23 3
総 合 的 な 学 習 の 時 間 の 記 録学年 学 習 活 動 観点 評 価
1
2
3
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生徒氏名
特別活動の記録 行 動 の 記 録
内容 学 級 生徒会 学 校 項目 基本的な 健康・体 自 主 創 意 思いやり 生命尊重 勤 労 公 正 公共心
・ 責任感 ・ ・ ・ ・ ・
学年 活 動 活 動 行 事 学年 生活習慣 力の向上 自 律 工 夫 協 力 自然愛護 奉 仕 公 平 公徳心
1 1
2 2
3 3自 立 活 動 の 記 録 入学時の障害の状態
第1学年 第2学年 第3学年
総 合 所 見 及 び 指 導 上 参 考 と な る 諸 事 項
第 1 学 年 第 2 学 年 第 3 学 年
出 欠 の 記 録
区分 授業日数 出席停止・忌 出席しなければ 欠席日数 出席日数 備 考
学年 引等の日数 ならない日数
1
2
3
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様式2(指導に関する記録)
徒 氏 名 学 校 名 区分 学年 1 2 3生
学 級
整理番号
各教科・特別活動・自立活動等の記録
学 年1 2 3
教 科 等
国
語教
社
会科
数
学別
理
科・
音
楽領
美
術域
保健体
別 育
職業
の ・家庭
指 その他
導 特別活動
自立活動
日常生活
領 の域 指・ 導教科 生を 活合 単わ 元せ 学た 習指
作導業学習
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生 徒 氏 名
入学時の総 合 的 な 学 習 の 時 間 の 記 録
学 年 学 習 活 動 観点 評 価 障害の状態
1
2
3
行 動 の 記 録
第 1 学 年 第 2 学 年 第 3 学 年
総 合 所 見 及 び 指 導 上 参 考 と な る 諸 事 項
第 1 学 年 第 2 学 年 第 3 学 年
出 欠 の 記 録
出席停止・忌 出席しなければ区分授業日数 欠席日数 出席日数 備 考
引き等の日数 ならない日数学年
1
2
3
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(2)出席簿
出席簿は児童・生徒の登校している状況を把握するための貴重な資料である。また,そ
ればかりではなく,正当な事由がなく長期にわたり欠席をする者を速やかに把握して,保
護者に対して出席を督促するための根拠にもなるものである。
出席簿の形式は都道府県教育委員会に任されている。記載する項目や様式の規定は法令
にはない。しかし,出席簿の内容は指導要録の「出欠の記録」を記入する上での根拠とな
る。したがって項目としては①授業日数,②出席日数,③欠席日数,④出席しなければな
らない日数,⑤遅刻,早退の状況,⑥出席停止日数,⑦出席停止,遅刻,早退の事由が備
わっており,かつ明確に把握できることが望ましい。
今までは出席簿に記入する順番は一般的に男女別でしかも男が先に記載されていた。最
近は男女平等の観点から、男女混合で名簿を作ること等の意見が交わされるようになって
きた。
(3)健康診断票
健康診断票は学校教育法第12条,学校保健法第6条で規定されている学校で行う健康
診断の記録として用いられるものである。診断,検査の時期及び項目は学校保健法施行規
則第3条及び第4条において規定されている。検査の時期はその年度の6月30日までと
規定されており、項目は①身長体重及び座高,②栄養状態,③脊柱及び胸郭の疾病及び異
常の有無,④視力及び聴力,⑤眼の疾病及び異常の有無,⑥耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の
, , , ,有無 ⑦歯及び口腔の疾病及び異常の有無 ⑧結核の有無 ⑨心臓の疾病及び異常の有無
⑩尿,⑪奇形虫卵の有無,⑫その他の疾病及び異常の有無となっている。学校保健法は健
康診断票の作成を義務づけ,保存期間も同第6条によって5年間と定められている。また
診断,検査の方法及び技術的水準は同第5条によって詳細に定められている。
健康診断票は校医が中心になって記載する「一般」と,学校歯科医が中心になる「歯・
口腔」の部分からなっており 「一般」と「歯・口腔」は1枚の用紙の表裏か,見開きと,
して左右において使用できるものになっている。小・中学校用は「児童生徒健康診断票」
であり,高等学校等用は「生徒学生健康診断票」である。
さらに 健康診断は 児童の権利に関する条約 とも関連している 同第6条2では 児, 「 」 。 「
童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する 」とされているが,それを学。
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校教育に於いて具現化する方策の一つとして健康診断はあるといえる。
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(4)通知票
学校によって,児童・生徒及び保護者への連絡等を総称して通知票と言う。通知票,通
知票,通信簿,または小学校等では「はげみ 「あしあと」などと呼ばれている。通知票」
は前述の3つの表簿のように法律で作成が規定されているものではなく,慣例的に行われ
てきた学期末の連絡等として扱われており,呼称が不統一なのである。
通知票の根拠としては都道府県教育委員会の管理規則や学則で規定されていることが多
い。茨城県の県立養護学校では茨城県立学校管理規則第6条の3によって「校長は,学校
の教育活動その他の学校運営の状況について,保護者等に対して積極的に情報を提供する
ものとする 」となっている。また,個別の指導計画との関連から,指導と評価の一体化。
を図るために通知票の様式,記載内容の再検討が図られている。通知票は児童・生徒自ら
が自分の学習の達成状況を知り,次の目標を設定し新たな学習成果を得るための指標とし
ての役割を担っている。
また,さらに最近の傾向としては学校におけるアカウンタビリティ(説明責任)を果た
すという意味合いも強くなり,その点からも内容の変革を迫られつつある。
(大関 毅)