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1 「国家は破綻する 金融危機の800年This time is different 2011年7月3日 金融経済読書会

20110710 金融経済読書会 国家は破綻する

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「国家は破綻する 金融危機の800年」This time is different

2011年7月3日

金融経済読書会

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本書の位置づけ(経済金融危機3部作)

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本書のメッセージ

「これはいつか来た道だ」

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タイトル 扱っているトピック キーワード

第一部 金融危機とは何か 危機の定義、概念、金融危機のデータベース

対外債務、公的債務、公的国内債務、銀行危機、通貨危機、債務不耐性

第二部 公的対外債務 主権国家が国外の債権者に対する返済を怠った事例

流動性不足、支払不能、複数均衡、リスケ、債務デフレ

第三部 国内債務とデフォルトの忘れられた歴史

公的国内債務 マネタリーベース、インフレ、インフレ税

第四部 銀行危機、インフレ、通貨暴落 銀行危機、通貨危機、インフレ危機 取り付け騒ぎ、金融自由化、機会均等、資本流入、5大危機、シニョレッジ、ドル化

第五部 サブプライム問題と第二次収縮 サブプライム危機と過去の危機の比較

サドンストップ、BCDI指数、スピルオーバー

第六部 過去から何を学んだか 危機、政策、学問的研究の進むべき方向

早期警戒システム、グリーンスパンプット

本書の構成

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第一部 今回は違う?(This time is different)

1.  1930年代の新興市場危機

2.  1980年代の債務危機

3.  1990年代のアジアの債務危機

4.  1990年代~2000年代前半の中南米の債務危機

5.  2000年代後半の金融危機

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第ニ部 対外債務GDP比率が低いから大丈夫?

「中所得国のデフォルトの半分以上は、対外債

務GDP比率が60%未満で起きていることが

わかる。」(P101)

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第ニ部 経済成長に頼って「債務比率の圧縮」を実現できるのか?

「中所得国で債務比率が圧縮された事例のうち、新興市場国は22件だった。(中略)経済成長によって債務比率圧縮に成功したのはわずか1件だった。(中略)国が成長だけによって債務負担から抜け出せるといいがたい。」(P145)

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第三部 国内債務だから問題がない?

「本書のデータセットには、1800年以降の公然のデフォルトが70件以上含まれている(対外債務デフォルトは250件である)。」(P190)

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第四部 先進国は銀行危機とは無縁?

「現在の先進国は公的債務の頻繁なデフォルトや年率20%以上の高インフレからは卒業したが、銀行危機から卒業したとは言いがたい。」(P239)

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 第五部 IMFさえも「今回は違う」と表明した?

サブプライム金融危機前にみられた「今回は違う」

•  アメリカは世界でも最も信頼できる金融規制、革新的な金融システム、磐石の政治制度、世界最大規模と流動性を誇る資本市場が整備されている。

•  世界の金融は統合化の方向にあり、国際資本市場は深化し、どの国も債務を増やせるようになった。

•  新しい金融商品の登場で、たくさんの新たな借り手が住宅ローン市場に参入できるようになった。

•  今起きていることはすべて、イノベーションによって金融のグローバリゼーションが一段と深化するプロセスに過ぎず、むやみに懸念するにはおよばない。

(P317)

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第六部 「今回は違う」シンドロームを克服するには

•  質の高い時系列データの整備

•  債務危機とインフレ危機に対処し深刻化を止めるために以下の点に留意すべき

–  政府債務の全容を把握する。

–  債務の維持可能性については経済動向の現実的なシナリオに基づく必要あり。

–  金融政策の枠組みでは、インフレのリスクも国内債務水準と密接に関連すると見られる。

•  政策担当者は銀行危機が長引きやすいことを肝に銘じなければならない。

•  「卒業」に関して政策上何よりも重要なのは、時期尚早の自己判断による「卒業」は慢心を招き、結局は成績悪化につながるということである。

 (P409~P411)

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アダムスミス「国富論」からの教え

•  政府債務がある水準まで蓄積したとき、公正な手段で全額が返済された事例は一つもないと思われる。(「国富論(下)」P528)

•  イギリスの支配者は、この黄金の夢、自分達も酔い、国民を酔わせている黄金の夢を実現してみせるか、そうでなければ、まずは自分達が夢から覚め、国民にも覚めるよう促すべきである。(「国富論(下)」P548)

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Appendix1 日本は大丈夫?

「日本でも何度も銀行危機、インフレ、通貨危機が発

生し、ついには第二次世界代戦中の対外デフォルト

、そして終戦(1945年)直後の銀行預金の凍結、ハイ

パーインフレに近いインフレ(インフレ率は600%近

かった)へと続いていく。」(P374)

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Appendix2 危機の進行過程

P389 図16.12 危機の進行過程

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Appendix3 日本の銀行危機の歴史 概要 発生年

国立銀行条例により銀行は政府紙幣の受け入れを強制された。その結果、10行に9行が破綻する。

1872~76年

デフレ誘導政策により経済活動が停滞し、国立銀行4行が破綻、5行が営業停止、10行が整理統合。

1882~85年

貿易赤字と外貨準備不足に加え、生産高が大幅に落ち込む。成長率は1年間で6%減。

1907年

年初に東京市場が暴落。世界的に市場は不安定化。日銀が介入し、数行を救済。救済されなかった銀行は破綻した。深刻なリセッション。

1907年

金方位制を放棄。 1917年

関東大震災を受けて、東京銀行と朝鮮銀行が不良債権を抱える。両行は政府支援を受けて再建された。

1923年9月

銀行恐慌の結果、規制が厳格化される。東京渡辺銀行の破綻をきっかけに全国で取り付け騒ぎが発生。銀行15行が支払不能に陥った。政府は銀行を救済しようとしなかったため、不確実性が高まり、取り付け騒ぎが拡大。銀行の大規模な整理統合が行われた。

1927年4月

株価と不動産の急落で、銀行が経営不振に陥る。1995年の不良債権額は4,690億~1兆ドル(GDP比10~25%)に、98年末には7,250億ドル(GDP比18%)に達し、2002年は貸出残高の35%を占めるにいたる。銀行7行が国有化、金融機関61社が閉鎖、28社が合併。

1992~97年

P477

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ディスカッションテーマ

•  日本の国債はデフォルトするのか?

•  ギリシャ危機は収束するのか?

•  未来の金融はどうあるべきか?