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2017 年 高齢者福祉施設で働く看護職員実態調査
報告書
公益社団法人 長野県看護協会
看護師職能委員会Ⅱ
公開用
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【調査の目的】
高齢化が一層進む 2025 年を目前にし、高齢者福祉施設で働く看護職員の仕事内容・教育
研修等について調べ、看護師職能委員会Ⅱが取り組むべき課題を抽出する。
【調査対象】
長野県内介護老人保健施設(98 施設)・特別養護老人ホーム(161 施設)の看護管理者
【調査方法】 自記式調査、郵送配布・回収
【調査期間】 平成 29 年 10 月 1 日~10 月 26 日
【調査結果】
1 回収率
送付数 回収数 回収率
特別養護老人ホーム 161 89 55.3%
介護老人保健施設 98 54 55.1%
2 回答施設の背景
1)設置主体
2)施設長の資格(複数回答)
2
3)入所定員
3 看護職員について
1)職員数
特別養護老人ホームの職員数は、平均で正規職員 3.7 人、非正規職員 2.0 人であった
介護老人保健施設の職員数は、平均で正規職員 5.6 人、非正規職員 2.4 人であった。
2)保持資格
(施設数)
(人数)
3
職員の資格は、看護師が一番多く特別養護老人ホームで 85 人 50.3%、介護老人保健施設
で 267 人 73.2%であった。次いで准看護師が多く特別養護老人ホームで 77 人 45.6%、介
護老人保健施設 91 人 24.9%であった。
3)年齢構成
年齢構成は、50 歳代が一番多く次いで 40 歳代、60 歳代、30 歳代であった。
4)看護協会会員数
会員率は、特別養護老人ホーム 8.0%(39/488 人)、介護老人保健施設 17.8%(97/433
人)であった。
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4 看護管理者について
1)保持資格
看護管理者の保持資格は、看護師が一番多く特別養護老人ホームで 79.8%、介護老人保
健施設 80.7%であった。(以下 79.8%‐8.7%と表示)
複数の資格の保持については、44.9%‐53.7%が「ある」と回答している。
主なものは、介護支援専門員・衛生管理者・社会福祉士・介護福祉士であった。
2)看護職としての経験年数
看護管理者の看護経験年数は、「20~29 年」が一番多く 39.3%‐51.9%、次いで「30~
39 年」34.8%‐38.9%であった。看護管理者の 96%‐99%が 10 年以上の看護経験年数で
あった。
3)看護管理者としての経験年数
看護管理者としての経験が 3 年までが 43.8%‐44.4%、4 年以上では 55.0%‐55.5%で
あった。
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4)看護管理者の業務内容(複数回答)
全体的には「看護職員の勤務管理」「急変時の対応」「感染対策」のポイントが高かった。
特別養護老人ホームの管理者は介護老人保健施設の管理者に比べ直接利用者に関わる「利
用者の健康管理」「医療的処置」で高いポイントを示した。
介護老人保健施設では、「看護職員教育」「苦情への対応」「倫理的対応」「事故防止」のポ
イントが高かった。また、数は少ないが「夜勤業務」も看護管理者が担っている現状が明ら
かになった。
5)看護協会に入会しているか
看護管理者の看護協会入会率は、15.7%‐40.7%であった。
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5 看護職員の教育について
1)施設内研修について
・施設内研修をしているか
施設内研修は、77.5%‐83.3%が実施していた。
・実施している研修の内容(複数回答)
特に多かった内容は「感染予防」「褥瘡予防と処置」「看取り」であり、介護老人保健施設
で特別養護老人ホームと比べて多かったものは「事故防止」「認知症」「急変時の対応」「接
遇・コミュニケーション」「倫理・人権擁護」等であった。
7
・施設内研修が実施できない理由(複数回答)
施設内研修ができない理由は、「講師がいない」「時間がない」「マンパワー不足」など、
仕事に追われている現状が明らかになった。
2)施設外研修について
・施設外研修参加の有無
外部研修への参加は、92.1%‐90.7%であった
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・施設外研修に参加できない理由(複数回答)
「会場が遠い」が一番多く、次いで「マンパワー不足」「時間がない」などの人材不足の
現状が明らかになった。
・施設外研修に受講しやすい日程について(複数回答)
「平日の勤務時間帯」が 61.7%-61.1%と希望が多いことが明らかになった
・施設外研修を受講しやすい場所について
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「東信・北信・中信・南信の各地域」が多く 66.3%‐57.6%であった。
3)スタッフに受けて欲しい研修について(複数回答)
特別養護老人ホームでは「感染予防」「看取り」「褥瘡予防と処置」であり、院内研修で実
施している内容と同じであった。介護老人保健施設で「認知症」「事故防止」「感染予防」で
あった。
4)看護管理者として受けたい研修について
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特別養護老人ホームでは「職員教育・人材育成」「終末期の対応」「多職種連携に関するもの」、
介護老人保健施設では「職員教育・人材育成」「管理に関するもの」「リスクマネジメント・苦
情対応」の希望が多かった。
6 看護職の責任者として、日頃課題や問題と感じていること
1)人材の確保
・慢性的な人材不足で、人材確保に苦労しているところが多い
2)職員教育について
・施設の看護師は自分で診て判断し医師の指示を受けるので、経験や知識が必要である
准看護師が多く教育背景も経験も異なり、看護レベルの個人差が大きいのが問題。
・看護の質を上げるために、定期的な研修が必要と思うが、個人のモチベーション低下
業務で時間がとれない、家庭があり時間外は参加できない等の理由により、研修参加
が難しい。
・施設では多数を占める介護職の教育も重要である。介護職の教育も看護職に任されて
いるが、介護職は専門学校を出ていない人も多く、技術や知識の個人差が大きくスキ
ルの底上げが難しいと感じる。
3)労働環境について
・オンコール体制による負担が大きい。
・介護職員との関係が難しい
・看護職の人数が少なく、業務の負担や責任が大きく大変
・賃金が安い(人員確保が難しい原因にもなっている)
4)その他
・病院、施設、在宅の看護職の役割を理解し合い、協力することが大切であると思うが、
施設の看護職は下に見られてしまうことが辛い
・生活の場である施設の中で医療をどこまで行うのか、家族の意思決定支援の大切さや
難しさを感じる
・様々な施設ができ看護職の働く場が増えているが、人員も少なく負担が大きい
7 看護協会への意見・要望など
・会費が高い
・当施設への講師の派遣をお願いしたい
・施設で働く看護職を対象とした研修を増やしてほしい
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【まとめ】
人材の確保について
施設の役割や設置基準により看護職員数は平均で正規職員 3.7 人-5.6 人、非正規職員 2.0
人-2.4 人であった。常勤比率は施設によりまちまちであった。看護職員の 50.3%-73.2%は
看護師であったが、准看護師が 45.6%-24.9%占めていた。高齢者福祉施設が准看護師の職
場として定着していることが伺える。
人材育成について
院内研修は 77.5%-83.3%が実施。スタッフに学んでほしい内容の研修を実施している。
研修ができない理由としては、「講師がいない」等の人材不足や「時間がない」「マンパワー
不足」「モチベーションが低い」など仕事に追われ、院内で研修の時間が持てない状況が推
察できる。
院外研修には 90%以上の施設で参加していた。院外研修に参加できない理由として一番
多かったのは「会場が遠い」であった。次いで「マンパワー不足」「時間がない」「モチベー
ションが低い」であった。
受講しやすい会場として「東信・南信・中信・北信の各地区」の希望が多かった。長野県
は東西南北に広く、隣の地区に行くにも峠を越えたりトンネルを抜けたり時間がかかる。時
間がかからない近隣での研修を希望している事がわかった。
受講しやすい日程としては「平日(勤務時間内・終了後)」65.4%、「土日(2 時間程度・
半日程度・5 時間程度)」30.2%、「その他」4.4%であった。
看護管理者は、管理者経験としては 1~3 年の群が一番多く、様々な不安や課題を抱えて
いることが推測される。
管理者の職務について
管理者も直接利用者に関わる業務や夜勤に携わっている人もいることが明らかになった。
多職種が連携して生活支援を中心に行っている場であることから、管理者が管理業務に専
念できない状況であり、夜勤業務にも携わっている状況から人材不足の深刻さがうかがえ
る。
医師が常駐していない現場では看護職員に知識や経験が求められているが、現状として
は教育背景や知識・経験が異なり、看護レベルの個人差が大きい。看護管理者は看護の質向
上の必要性を感じながらも、厳しい現状に悩んでいることが明らかになった。
今回のアンケート調査で明らかになった課題達成に向け、看護師職能委員会Ⅱができる
ことを今後検討していきたい。
平成 30 年度の研修は、地域開催で 2 講座、4 回開催を予定している。
施設で働く看護職員ができるだけ大勢参加できる研修を計画していきたい。
看護管理者向けの研修や情報交換の場も必要であると考える。
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調査用紙
[問1] 貴施設についてお伺いします。 (当てはまる番号に○をつけてください)
1)経営主体について
1.社会福祉法人 2.広域連合 3.県・市町村 4.社会福祉協議会
5.その他( )
2)施設長が有する資格等について
1.介護福祉士 2.社会福祉士 3.介護支援専門員 4.医師
5.看護師 6.その他( )
3)入所定員数等について
1.入所定数 ( 人) 2.通所者定数 ( 人)
3.その他( : 人)
4)契約に基づく外部からの訪問看護の利用について
1.利用あり 2.利用なし
[問2] 貴施設の看護職員についてお伺いします。
1)看護職員の正規職員と非正規職員の人数
正規職員数 ( 人) 非正規職員数 ( 人)
2)全看護職員の職種について(非正規職員も含む)
1.保健師 ( 人) 2.助産師 ( 人)
3.看護師 ( 人) 4.准看護士( 人)
3)全看護職員の年齢層について
1.20 代( 人) 2.30 代( 人) 3.40 代( 人)
4.50 代 ( 人) 5.60 代( 人) 6.70 代( 人)
4)全看護職員の貴施設での勤続年数について
1.1年未満 ( 人) 2.1~3年未満( 人)
3. 3~5年未満( 人) 4.5~10年未満( 人)
5.10年以上 ( 人)
5)看護協会への入会者数について ( 人)
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[問3] 看護職の責任者ご自身についてお伺いします。
1)職種について
1.看護師 2.准看護師 3.その他( )
2)看護職としての経験年数(貴施設以外での経験も含む) ( 年)
3)貴施設における経験年数 ( 年)
4)看護職の責任者として業務について (該当するものすべてに○をつけてください)
1.看護職員の勤務管理 2.利用者の健康管理・医療的処置
3.急変時の対応 4.入・退所の調整 5.看護職員の教育に関すること
6.家族との連携 7.ケアプラン立案など 8.日常生活援助
9.夜勤業務 10.その他 ( )
5)看護職の責任者としての課題や日頃問題と思っていることをお聞かせください。
[問4] 看護職員の教育に関することをお伺いします。
1) 貴施設内で看護職員の研修、学習会は実施していますか。
1.はい 2.いいえ
2)1)ではいと答えた方にお聞きします。どのような研修を行っていますか。(複数回答)
1.感染予防について 2.認知症に関すること 3.褥瘡に関すること
4.口腔ケアに関すること 5.栄養に関すること 6.看取りに関すること
7.フィジカルアセスメント 8.急変時の対応 9.接遇・コミュニケーション
10.基礎的看護技術(吸引、浣腸、膀胱留置カテーテルの交換、注射)
11.その他( )
3)施設外への研修に職員が参加していますか。
1.はい 2.いいえ
4)3)ではいと答えた方にお聞きします。どのような研修に参加していますか。
過去 1 年間に参加している研修を教えてください。
5)看護職責任者として自身が受けたい研修内容をお答えください。(複数回答)
1.制度に関するもの 2.管理に関するもの 3. 職員教育・人材育成
4.多職種連携に関するもの 5. リスクマネジメント・苦情対応
6.人間関係・コミュニケーション 7.急変時の対応 8.終末期の対応
9.認知症に関するもの
10.その他( )
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6)看護スタッフに受けてほしい研修についてお答えください。(複数回答)
1.感染予防について 2.認知症に関すること 3.褥瘡予防と処置
4.口腔ケアについて 5.栄養について 6.看取りについて
7.フィジカルアセスメント 8.急変時の対応 9.接遇・コミュニケーション
10.基礎的看護技術について 11.その他( )
7)外部研修に参加するとしたら、いつが参加しやすいですか。
1.平日の勤務終了後 2.平日の勤務時間内 3.休日の 2 時間程度
4.休日の半日程度 5.休日の 5 時間程度 6.その他( )
8)研修参加にあたり、障害となっていることは何ですか。(複数回答)
1.マンパワー不足 2.職場の雰囲気 3.モチベーションが低い
4.会費が高い 5.会場が遠い 6.受けたい研修がない
7.時間がない 8.管理者の理解が得られない
9.その他( )
9)その他、研修に関する意見要望などをお聞かせください。
ご協力、ありがとうございました。
2017年度
高齢者福祉施設で働く看護職員実態調査
報告書
平成 30年 3月
公益社団法人 長野県看護協会
看護師職能委員会Ⅱ
〒390-0802 松本市旭 2-11-34